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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172949
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】窓用の音響シールド
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/16 20060101AFI20231129BHJP
   E06B 5/20 20060101ALI20231129BHJP
   G10K 11/172 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G10K11/16 100
E06B5/20
G10K11/172
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023084647
(22)【出願日】2023-05-23
(31)【優先権主張番号】10202205469U
(32)【優先日】2022-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(71)【出願人】
【識別番号】508095500
【氏名又は名称】ハウジング・アンド・ディヴェロップメント・ボード
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】タン, ジィー ティオン
(72)【発明者】
【氏名】アイレネ リー, イェン レン
(72)【発明者】
【氏名】リー, ウェンフイ ケルヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ソダルソノ, ヘル サントソ
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラ, トビアス ベスタリ
【テーマコード(参考)】
2E239
5D061
【Fターム(参考)】
2E239BB07
5D061AA06
5D061AA12
5D061AA25
5D061EE31
(57)【要約】
【課題】新規な窓用の音響シールドを提供すること。
【解決手段】本発明による窓用の音響シールド1、30、40は、窓の開口部の少なくとも一部分に配置可能な1つまたは複数の音響キャビティモジュール5、33、52を含む。各モジュールは、空気流が通過することも可能にしながら、共鳴開口部を通過する音波の全体的な音圧レベルを低減するための少なくとも1つの共鳴開口部8を提供し、音響キャビティモジュールは、共鳴キャビティが各対のプレート間に画定されるように略平行かつ隣接する構成で位置合わせされた複数のプレート7、35、54、60、62、64を含み、各プレートは、少なくとも1つの開口9、37、39、55を有し、各プレートの開口は共に、モジュールの共鳴開口部8を提供する。各音響キャビティモジュールは、800~1600Hzの間のノイズ周波数を捕捉するように設計される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓の開口部の少なくとも一部分に配置可能である1つまたは複数の音響キャビティモジュールを備える、窓用の音響シールドであって、
前記1つまたは複数の音響キャビティモジュールの各々は、少なくとも1つの共鳴開口部を提供し、該共鳴開口部が、空気流が通過することも可能にしながら、該共鳴開口部を通過する音波の全体的な音圧レベルを低減するためのものであり、前記音響キャビティモジュールが複数のプレートを含み、前記複数のプレートは、共鳴キャビティが各対の前記プレート間に画定されるように略平行かつ隣接する構成で位置合わせされており、前記プレートの各々が少なくとも1つの開口を有し、前記プレートの各々の前記開口は協働して前記音響キャビティモジュールの前記共鳴開口部を提供し、
前記1つまたは複数の音響キャビティモジュールの各々は、800~1600Hzの間のノイズ周波数を捕捉するように設計されている、窓用の音響シールド。
【請求項2】
前記プレートの各々の前記開口が、前記音響キャビティモジュール内でそれぞれ位置合わせされている、請求項1に記載の窓用の音響シールド。
【請求項3】
前記プレートと、前記プレートの各々に設けられた前記開口とが、略直線形状である、請求項1または2に記載の窓用の音響シールド。
【請求項4】
前記プレートの各々の前記開口が、25~30%の間の開口率をもたらす、請求項1~3のいずれか一項に記載の窓用の音響シールド。
【請求項5】
前記プレートのうちの少なくとも1つが、多孔質材料から少なくとも部分的に形成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の窓用の音響シールド。
【請求項6】
前記プレートのうちの少なくとも1つには、その少なくとも1つの面から延びる突起が設けられている、請求項1~5のいずれか一項に記載の窓用の音響シールド。
【請求項7】
前記少なくとも1つのプレートが、多孔質材料から作られた部分と、そこから延びる突起を有する部分との組み合わせを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の窓用の音響シールド。
【請求項8】
前記共鳴キャビティが、その内部に内部ノイズトラップを提供する、請求項1~7のいずれか一項に記載の窓用の音響シールド。
【請求項9】
前記内部ノイズトラップが、前記共鳴キャビティの内部周辺領域に設けられている、請求項8に記載の窓用の音響シールド。
【請求項10】
前記内部ノイズトラップが、前記周辺領域のコーナにそれぞれ設けられた対向する細長いテーパ付きチャネルを備える、請求項9に記載の窓用の音響シールド。
【請求項11】
前記内部ノイズトラップが、前記周辺領域のコーナ間に延びる細長い直線状キャビティを備える、請求項9に記載の窓用の音響シールド。
【請求項12】
前記音響キャビティモジュールが、3つの前記プレートを備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の窓用の音響シールド。
【請求項13】
前記開口が、その各側が0.107mの寸法を有する直線形状を有する、請求項12に記載の窓用の音響シールド。
【請求項14】
前記プレートが、直線形状であり、高さ0.254m、幅0.184mの外形寸法を有する、請求項13に記載の窓用の音響シールド。
【請求項15】
前記音響キャビティモジュールが、0.046mの全厚を有する、請求項14に記載の窓用の音響シールド。
【請求項16】
前記窓の前記開口部の少なくとも一部分に配置可能である少なくとも1つの音響メタマテリアルパネルを備え、
前記音響メタマテリアルパネルが複数の前記音響キャビティモジュールを備える、請求項1~15のいずれか一項に記載の窓用の音響シールド。
【請求項17】
複数の前記音響メタマテリアルパネルを備え、
前記音響メタマテリアルパネルが、当該音響シールドの折り畳みを可能にするために1つまたは複数のヒンジ部材によってそれぞれ接合されている、請求項16に記載の窓用の音響シールド。
【請求項18】
前記窓のための安全グリルをさらに提供する、請求項16または17に記載の窓用の音響シールド。
【請求項19】
前記音響キャビティモジュールが、窓安全グリルの1つまたは複数のバーに係合するために前記音響キャビティモジュールの外面に設けられた少なくとも1つの係合構成体を備える、請求項1~16のいずれか一項に記載の窓用の音響シールド。
【請求項20】
前記係合構成体が、前記音響キャビティモジュールの対向する側面に固定されたU字形弾性部材の対を備える、請求項19に記載の窓用の音響シールド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、一般にノイズ制御システムに関し、特に窓用の音響シールドに関する。本発明は、窓を構築するためのその用途に関して説明されるが、本発明はこの用途に制限されず、他の用途も想定されることを理解されたい。
【背景技術】
【0002】
[0002]本発明の背景に関する以下の論議は、本発明の理解を容易にすることのみを意図している。この論議は、参照される資料のいずれかが本発明の優先日の時点で任意の管轄権において当業者の共通の一般知識の公開された、公知された、または一部であったことの認定または承認ではないことを理解されたい。
【0003】
[0003]都市化された環境内での生活に関連するますます一般的な問題は、その都市環境内で生活する居住者が経験する可能性のある外部ノイズの量である。典型的なノイズ源は、自動車からの、ならびに電車およびバスなどの公共交通機関からの交通ノイズ、建築工事、道路工事などの産業および都市活動、ならびに娯楽施設からのノイズを含む。現場の制約により、建物を後退させてレベルを下げることは必ずしも可能ではないことがある。同時に、ノイズレベルを規制する法規制を遵守する必要がある。したがって、そのようなノイズ発生源の近くに居住する居住者は、その内部生活環境内のノイズの量を最小限に抑えるために何らかの形のノイズ制御を必要とする。
【0004】
[0004]ノイズの多くは、特に内部生活環境への自然換気を可能にするために建物の外部窓が開放されているときに、それらの外部窓を通って入る。したがって、一般的なノイズ低減の解決策は、外部窓の周りの空隙をシールするためのゴムガスケットの使用、またはノイズバリアを提供するための外部窓の二重または三重ガラスの使用によるものを含む。これらの現在のノイズ低減解決策は、窓が完全に閉じられているときにのみ有効であるという共通の欠点を有する。これにより、窓開口を通って内部の生活環境に入る空気からの自然換気が防止される。これは、居住者が、彼らの内部生活環境内にある程度の冷却を提供するためにそのような自然換気から恩恵を受けているシンガポールなどのより暑い気候において、より大きな問題となり得る。窓を閉じることは、電気使用量の増加につながる空調の使用を含む代替の冷却方法の使用を必要とする。
【0005】
[0005]都市環境内のノイズの多くは、自動車のエンジンおよび路面タイヤの摩擦によって発生する交通ノイズ、ならびにバスおよび地上列車などの公共交通機関から生じる。このノイズは、典型的には、800~1600hzの間の周波数範囲内に含まれ、任意のノイズ低減技術にとってその周波数範囲内のノイズを標的とすることが好適である。
【0006】
[0006]したがって、開いたときに窓を通してノイズ低減を提供すると同時に、窓を通して自然換気を可能にすることができることが好適である。
【0007】
[0007]また、好ましくは、800Hz~1600Hzの間の周波数範囲を目標とするノイズ低減を有することが好適である。
【発明の概要】
【0008】
[0008]本発明の一態様によれば、窓用の音響シールドであって、
窓の開口部の少なくとも一部分に配置可能な1つまたは複数の音響キャビティモジュールであって、各モジュールは、空気流が通過することも可能にしながら、共鳴開口部を通過する音波の全体的な音圧レベルを低減するための少なくとも1つの共鳴開口部を提供し、音響キャビティモジュールは、共鳴キャビティが各対のプレート間に画定されるように略平行かつ隣接する構成で位置合わせされた複数のプレートを含み、各プレートは、少なくとも1つの開口を有し、各プレートの開口は共に、モジュールの共鳴開口部を提供する、1つまたは複数の音響キャビティモジュールを備え、
各音響キャビティモジュールが、800~1600Hzの間のノイズ周波数を捕捉するように設計される、窓用の音響シールドが提供される。
【0009】
[0009]いくつかの実施形態では、プレートのそれぞれの開口は、音響キャビティモジュール内でそれぞれ位置合わせされる。
【0010】
[0010]いくつかの実施形態では、プレートおよび各前記プレート内に設けられた開口は、略直線形状である。
【0011】
[0011]いくつかの実施形態では、各前記プレートの開口は、25~30%の間の開口率を提供する。
【0012】
[0012]いくつかの実施形態では、プレートの少なくとも1つは、多孔質材料から少なくとも部分的に形成される。
【0013】
[0013]いくつかの実施形態では、プレートの少なくとも1つには、その少なくとも1つの面から延びる突起が設けられる。
【0014】
[0014]いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプレートは、多孔質材料から作製された部分と、そこから延びる突起を有する部分との組み合わせを備える。
【0015】
[0015]いくつかの実施形態では、共鳴キャビティは、その中に内部ノイズトラップを提供する。
【0016】
[0016]いくつかの実施形態では、内部ノイズトラップは、共鳴キャビティの内部周辺領域に設けられる。
【0017】
[0017]いくつかの実施形態では、内部ノイズトラップは、周辺領域のコーナにそれぞれ設けられた対向する細長いテーパ付きチャネルを備える。
【0018】
[0018]いくつかの実施形態では、内部ノイズトラップは、周辺領域のコーナ間に延びる細長い直線状キャビティを備える。
【0019】
[0019]いくつかの実施形態では、音響キャビティモジュールは、3つの前記プレートを備える。
【0020】
[0020]いくつかの実施形態では、開口は、その両側に0.107mの寸法を有する直線形状を有する。
【0021】
[0021]いくつかの実施形態では、プレートは、直線形状であり、高さ0.254m、幅0.184mの外形寸法を有する。
【0022】
[0022]いくつかの実施形態では、音響キャビティモジュールは、0.046mの全厚を有する。
【0023】
[0023]いくつかの実施形態では、音響シールドは、窓開口部の少なくとも一部分の上に配置可能な少なくとも1つの音響メタマテリアルパネルを備え、音響メタマテリアルパネルは、複数の音響キャビティモジュールを備える。
【0024】
[0024]いくつかの実施形態では、音響シールドは、複数の音響メタマテリアルパネルを備え、パネルは、音響シールドの折り畳みを可能にするために1つまたは複数のヒンジ部材によってそれぞれ接合される。
【0025】
[0025]いくつかの実施形態では、音響シールドは、窓のための安全グリルをさらに提供する。
【0026】
[0026]いくつかの実施形態では、音響キャビティモジュールは、窓安全グリルの1つまたは複数のバーに係合するために音響キャビティモジュールの外面に設けられた少なくとも1つの係合構成体を備える。
【0027】
[0027]いくつかの実施形態では、係合構成体は、音響キャビティモジュールの対向する側面に固定されたU字形弾性部材の対を備える。
【0028】
[0028]他の態様および特徴は、添付の図面と併せて特定の実施形態の以下の説明を検討することにより、当業者に明らかになるであろう。
【0029】
[0029]本発明の実施形態を例としてのみ示す図において、
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】それぞれ、本開示による音響メタマテリアルパネルの正面図、および音響キャビティモジュールの斜視図である。
図2】ノイズ周波数の捕捉における、図1に示す音響キャビティモジュールの予測および実験データパフォーマンスを示すグラフである。
図3図1の音響メタマテリアルパネルのパフォーマンスを試験するために使用される実験セットアップの写真である。
図4】同様の領域の窓開口部と比較した場合の、図3に示すような試験セットアップを使用して測定された音響試験パネルの追加のノイズ低減を示すグラフである。
図5】窓に取り付けられた本開示による音響窓シールドの一実施形態を示す図である。
図6】Fig.6aは完全に後退した位置にある図5の音響窓シールドを示す図である。Fig.6bは部分的に伸長した位置にある図5の音響窓シールドを示す図である。Fig.6cは完全に伸長した位置にある図5の音響窓シールドを示す図である。
図7】Fig.7aとFig.7bは本開示による音響窓シールドのさらなる実施形態をそれぞれ示す図である。
図8】本開示による音響窓シールドの別の実施形態を示す図である。
図9】Fig.9aは既存の窓グリル内に設置された本開示による音響キャビティモジュールの一実施形態を示す図である。Fig.9bは既存の窓グリル内に設置された本開示による音響キャビティモジュールの一実施形態を示す別の図である。
図10】Fig.10a~Fig.10cはそれぞれ本開示による音響キャビティモジュールの代替的なプレート構成を示す図である。
図11】本開示による音響キャビティモジュールのノイズトラップの代替の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[0041]本文書を通して、そうでないことが示されていない限り、「備える」、「からなる」、「有する」などの用語は、網羅的でないものとして、または換言すれば「それだけに限定されないが、含む」を意味するものとして解釈されるものである。
【0032】
[0042]さらに、本明細書を通して、文脈上別段の要求がない限り、「含む(include)」という単語または「含む(includes)」もしくは「含んでいる(including)」などの変形は、記載された整数または整数群を含むが、任意の他の整数または整数群を除外しないことを意味すると理解される。
【0033】
[0043]本開示による音響窓シールド1は、開いた窓を通って入るノイズの全体的な音圧レベルを低減すると同時に、その窓を通る空気流が自然換気を提供することを可能にするために使用され得る。これは、音響窓シールド1が、図1に示すようにその構造において音響メタマテリアルパネル3を利用することによって達成されることが可能であり、このパネルは、ノイズ低減およびそれを通る空気流の両方を可能にする。
【0034】
[0044]音響メタマテリアルパネル3は、この目的を達成するために共鳴原理、すなわちヘルムホルツ共鳴器を利用する。パネル3は、一緒に組み立てることができるか、またはパネル3の一部分として一体的に製造することができる1つまたは複数の音響キャビティモジュール5から形成される。9つのこのようなモジュール5が、図1に示すパネル3内に含まれている。図1に示す構成を有するパネル3で実験試験を行い、このときパネル3は、全高0.762m、幅0.552mを有していた。各音響キャビティモジュール5は、光学グレードのアクリル材料で作られ、略平行で隣接する構成で位置合わせされた3つのプレート7から形成され、プレート7の各対は、それらの間に共鳴キャビティを画定している。プレートは、等しい距離で離間されてもよい。各プレート7には、中央に0.107m×0.107mの正方形の孔の略直線形状の開口9が設けられた。開口は、それによって、試験に使用されたモジュール5の各プレート7のサイズに対して25~30%の間の開口率を提供するようなサイズにされた。各プレート7の開口は、隣接するプレート7の開口9と少なくとも実質的に位置合わせされて、それによってモジュール5のための共鳴開口部8を共に形成した。各モジュール5の高さは0.254m、幅は0.184m、全厚は0.046mであった。
【0035】
[0045]音響キャビティモジュール5は、ヘルムホルツ共鳴器の原理に基づいて800~1600Hzの間のノイズ周波数を捕捉するように設計された。これは、交通および公共交通機関からの都市ノイズの多くが一般的に発生する周波数範囲である。図2は、各モジュール5の設計予測と実際の実験データの両方を示すグラフである。そのグラフは、600Hz~1800Hzの間の周波数範囲にわたる伝送損失(dB)をプロットしており、実験データが通常は設計予測に従っており、伝送損失が800Hz~1600Hzの周波数範囲で最も顕著であることを示している。
【0036】
[0046]図3は、図1に示す音響メタマテリアルパネル3を試験するために使用される実際の実験セットアップを示す。パネル3は、モジュール5の3×3アレイから形成され、試験窓構造体11の前面に取り付けられた。試験は、パネル3がその上に取り付けられていない状態で試験されたときの窓構造11と比較した場合よりも、パネル3が6~8dBの間のさらなる低減を実行することを見出した。試験は、広帯域のホワイトノイズおよび交通記録を使用し、試験結果は、同じ面積(すなわち、すべての正方形開口部の合計)の窓開口部と比較され、100~3150Hzの間の周波数範囲にわたる追加のノイズ低減(dB)をプロットする図4に示すグラフにプロットされた。このグラフは、音響キャビティモジュール5が捕捉するように設計されたノイズと同じ周波数範囲である800~1600Hzの間の周波数範囲内で著しいノイズ低減パフォーマンスを示している。測定されたノイズ低減は、平均で6~8dBの間であった。
【0037】
[0047]上記の寸法は、実験セットアップで使用されるパネル3およびモジュール5に関するものであり、実際に使用され得るパネル3およびモジュール5はこれらの寸法に制限されないことを理解されたい。さらに、各パネル3内で使用される音響キャビティモジュール5の数および配置、ならびにモジュール5のそれぞれの構成も実際には変化し得る。例えば、各モジュール5は3つのプレート7を有するものとして説明されているが、3つより多い、または2つだけのプレート7が使用されることも想定される。さらに、各プレート7内の直線開口9はまた、隣接するプレート7からの寸法および形状が異なっていてもよく、必ずしも位置合わせされていなくてもよい。したがって、各プレート7の開口率もまた、隣接するプレート7間で変化してもよい。さらに、モジュール5はアクリル材料で作られるように説明されているが、モジュール5、したがってパネル3は、例えばガラスなどの代替材料で作られることも想定される。音響メタマテリアルパネルの寸法および設計は、異なる周波数範囲のノイズ周波数を捕捉するように変更および最適化されてもよい。
【0038】
[0048]本開示による音響窓シールド1の一実施形態は、図5および図6のFig.6a~Fig.6cに示すように、これらの音響メタマテリアルパネル3のうちの1つまたは複数を利用する。各パネル3は、図5および図6のFig.6a~Fig.6cにおいて各パネル3内に垂直アレイで位置合わせされて示されているいくつかの音響キャビティモジュール5から形成されてもよい。音響窓シールド1は、4つのそのようなパネル3が、窓15が開くことを可能にするために窓板17を有する窓15の前の設置位置にある状態で示されている。パネル3は、音響窓シールド1の協生的な折り畳みを可能にするために、ヒンジ19を用いて隣接するパネル3の一方または両方にそれぞれ接続されてもよい。ヒンジ16のセットを使用して、音響シールド1全体を窓15のフレーム16に接続することができる。また、音響窓シールド1を窓15に固定するために、強力な磁石または接着剤などの他の取り付け手段を使用できることも想定される。各パネル3の周りの空隙からのノイズ漏れを最小限に抑えるために、各パネル3の間および/またはその周囲にゴムガスケット20を設けることもできる。シールド1の各ヒンジジョイントに隣接するブラケット上に取り付けられたローラホイール23を案内するためのガイドトラック21は、音響シールド1の協生的な開閉を支持すると共に案内するのを助けることができる。図6のFig.6a~Fig.6cはそれぞれ、窓開口部18の前の完全に後退した位置、部分的に伸長した位置、および完全に伸長した位置にある音響窓シールド1を示している。
【0039】
[0049]音響窓シールド1は、完全に伸長した位置にあるとき、その窓を介して著しい騒音低減をもたらすと同時に、内部の生活環境内に自然換気をもたらすために空気が通過することを可能にする。音響窓シールド1は、大部分を光学的に透明な材料から作ることができ、それによって自然光が通過することを可能にし、窓を通る視界を著しく制限しない。窓開口部全体を覆うように完全に伸長された音響窓シールド1は、窓の安全グリルとして作用することもできる。
【0040】
[0050]図7のFig.7a~図8は、本開示による音響シールド30のさらなる実施形態を示す。これらの実施形態の各々は、折り畳み可能な音響シールド30を形成するための複数の接続されたパネル31として構成され、4つのパネル31が、図7のFig.7aおよびFig.7bにそれぞれ示される音響シールド30に使用される。図5図6のFig.6cに示す音響シールドの実施形態は、音響キャビティモジュール5のアレイから形成される音響メタマテリアルパネル3を使用する。図7のFig.7a~図8に示す音響シールド1の実施形態は、単一の音響キャビティモジュール33を使用し、このとき各パネル31は、音響キャビティモジュール33を支持するための外側フレーム32を有する。各モジュール33は、複数の単一プレート35を備え、各プレート35は、単一材料層を提供する。図7のFig.7aに示す実施形態の各プレート33内には単一の長い開口37が設けられ、図7のFig.7bに示す実施形態の音響キャビティモジュール33のそれぞれの単一プレート35内には、位置合わせされた垂直列に配置された複数の開口39が設けられている。
【0041】
[0051]図8は、図7のFig.7aに示す音響シールド30の実施形態をより詳細に示しており、接続された各パネル31が、平行に配置され、外側フレーム32によって互いに隣接して支持された、複数のプレート35を支持し、各プレート33を通って、単一の細長い開口37が設けられており、開口37は、通気のための通路を提供するように位置合わせされていることを示している。
【0042】
[0052]図9のFig.9aおよびFig.9bは、図9のFig.9aに示すように既存の窓グリル50のグリル開口部51内に設置されるように適合された1つまたは複数の音響キャビティモジュール52を備える、本開示による音響シールド40の一実施形態を示す。音響キャビティモジュール52の構成は図9のFig.9bでより詳細に示されており、これは、モジュール52が、平行で隣接する構成の複数の直線形状のプレート54が内部に収容される外側ボックス形状のフレーム53を備え、3つのプレート54が図9のFig.9bに示されていることを示している。各プレート54もまた、中央直線開口55を有し、各プレート54の開口55は位置合わせされる。U字形弾性部材56の形態の迅速係合構成体56は、安全グリル50のグリルバー57にそれぞれ係合するために、フレーム53の対向する側面に固定することができる。したがって、音響キャビティモジュール52は、図1および図3に示す音響キャビティモジュール5と同様の内部構成を有する。これは、図9のFig.9aに示すように、既存のグリル50のグリル開口部51内に1つまたは複数の音響キャビティモジュールを押し込むかまたは引き入れることによって、既存の窓グリル50を本開示による音響シールド40に変換する便利な方法を提供する。このモジュール構成体はまた、グリル50内に設置された音響キャビティモジュール52の数および配置を変えることによって、ノイズ低減および換気のレベルを制御することを可能にする。音響キャビティモジュール52は、必要でないときに容易に取り外すこともできる。
【0043】
[0053]音響キャビティモジュール5、52内で使用されるプレート7、54の構成は、達成され得るノイズ低減をさらに改善するために、図10のFig.10a~Fig.10cに示すように変更することもできる。図10のFig.10aは、前述の音響キャビティモジュール5、52で使用されるプレート7、54と同様の構成のプレート60を示す。しかし、前述のモジュール5、52で使用される平滑材料の代わりに多孔質材料が使用される。多孔質材料は、入ってくるノイズの一部を吸収するように作用することができる。図10のFig.10bに示すプレート62は、プレート62の一方の側にワッフル状のライン構成で配置された一連の突出部63を含む。他の形状の突出部、および保護部の異なる配置を使用できることも想定される。これらの突出部は、音響キャビティモジュール7、52の内部のノイズを偏向させるように作用し、それによってノイズの移動経路を長くすることによってノイズを低減する。図10のFig.10cは、プレート64上の多孔質ゾーン65および突出部66の両方を組み合わせ、それによって音響キャビティモジュール5、52内のノイズ吸収および偏向の組み合わせを提供するプレート64を示す。
【0044】
[0054]音響キャビティモジュール5、52の内部構成はまた、または代替的に、内部でノイズをさらに捕捉して放散するように適合されてもよい。図11は、音響キャビティモジュール5、52内のプレート7、35間に画定された共鳴キャビティ70の少なくとも1つの内周領域内に設けられた代替的なノイズトラップ構成71、73を示す。一方のトラップ構成71は、ノイズトラップを形成するために共鳴キャビティ70の周辺領域の各コーナに設けられた対向する細長いテーパ付きチャネルを備える。他方の構成73は、共鳴キャビティ70の周辺領域に沿って、かつ共鳴キャビティ70の周辺領域のコーナ間に延びる細長い直線状キャビティを備える。図11に示すものに加えて、代替のノイズトラップ構成も想定されることを理解されたい。
【0045】
[0055]音響シールドは、窓と共に使用するために記載されているが、この用途に限定されず、騒音低減および自然換気機能の両方を必要とする他の用途に使用することができる。
【0046】
[0056]別段定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本明細書の主題が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0047】
[0057]上記の発明が記載された実施形態に限定されないことは、当業者によって理解されるべきである。本発明の範囲から逸脱することなく、改変および改良がなされてもよいことを理解されたい。
【0048】
[0058]相互に排他的ではない上記の改変または改良の1つまたは複数をさらに組み合わせて、本発明のさらに別の実施形態を形成してもよいことを当業者はさらに理解するべきである。
【符号の説明】
【0049】
1、30、40…音響シールド、3…音響メタマテリアルパネル、5、33、52…音響キャビティモジュール、7、35、54、60、62、64…プレート、8…共鳴開口部、9、37、39、55…開口。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】