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特開2023-172952CMUTトランスデューサおよびCMUTトランスデューサの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172952
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】CMUTトランスデューサおよびCMUTトランスデューサの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 19/00 20060101AFI20231129BHJP
   H04R 31/00 20060101ALI20231129BHJP
   B81C 1/00 20060101ALI20231129BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
H04R19/00 330
H04R31/00 330
B81C1/00
B81B3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023084777
(22)【出願日】2023-05-23
(31)【優先権主張番号】2204899
(32)【優先日】2022-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】323000860
【氏名又は名称】ヴェルモン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨンギル
(72)【発明者】
【氏名】メニエ,シリル
(72)【発明者】
【氏名】グロス,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ヘラー,ジャック
(72)【発明者】
【氏名】スゴン,ニコラス
【テーマコード(参考)】
3C081
5D019
【Fターム(参考)】
3C081AA17
3C081BA22
3C081BA33
3C081BA45
3C081BA48
3C081BA53
3C081CA02
3C081CA14
3C081CA15
3C081CA29
3C081CA32
3C081CA40
3C081DA03
3C081DA04
3C081DA30
3C081EA21
5D019DD01
5D019HH01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】静電容量型マイクロマシン超音波トランスデューサ(CMUT)を製造する方法を提供する。
【解決手段】CMUTを製造する方法は、CMUTの第1の電極を規定する第1のシリコン層101の面上に第1の酸化シリコン層103及び窒化シリコン層を形成するステップと、第1の酸化シリコン層及び窒化シリコン層のシリコンを局所的に酸化することによって、第1のシリコン層の面側に、酸化シリコン壁107を形成するステップと、窒化シリコン層を除去するステップと、第2の酸化シリコン層111を形成するステップと、第2の酸化シリコン層上に第2のシリコン層113を形成するステップと、基板を薄化するステップと、基板の下面から、酸化シリコン壁に対して絶縁溝121を形成するステップと、絶縁溝によって横方向に画定された基板の領域123の真上に、開口部127を有する金属化部129を形成するステップと、を含む。
【選択図】図1I
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CMUTトランスデューサを製造する方法であって、
前記トランスデューサの第1の電極を規定する第1のシリコン層(101)の面上に第1の酸化シリコン層(103)を形成するステップa)と、
第2のシリコン層(113)の面上に第2の酸化シリコン層(111)を形成するステップb)と、
ステップa)に続いて、前記第1のシリコン層(101)のシリコンを局所的にエッチングすることによって、前記第1の酸化シリコン層(103)の厚さよりも大きい高さを有し、前記トランスデューサのキャビティ(109)を横方向に画定する酸化シリコン壁(107)を、前記第1のシリコン層(101)の前記面側に形成するステップc)と、
ステップb)およびc)に続いて、前記トランスデューサの前記キャビティ(109)を閉じるように、前記第2のシリコン層(113)および前記第2の酸化シリコン層(111)を備えるセットを、前記第1のシリコン層(101)、前記第1の酸化シリコン層(103)および前記酸化シリコン壁(107)を備えるセットに転写して付け、前記キャビティ(109)は、垂直方向に、前記第1の酸化シリコン層(103)の前記第1のシリコン層(101)とは反対側の面から、前記第2の酸化シリコン層(111)の前記第2のシリコン層(113)とは反対側の面まで延びているステップd)と
を含む方法。
【請求項2】
ステップa)において、前記第1の酸化シリコン層(103)は、前記第1のシリコン層(101)の前記面を乾式成長熱酸化することにより形成され、
ステップb)において、前記第2の酸化シリコン層(111)は、前記第2のシリコン層(113)の前記面を乾式成長熱酸化することにより形成される
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップc)は、
前記第1の酸化シリコン層(103)の前記第1のシリコン層(101)とは反対側の面上に窒化シリコン層(105)を堆積するステップと、
次いで、前記酸化シリコン壁(107)の所望の位置に前記窒化シリコン層(105)および前記第1の酸化シリコン層(103)を局所的にエッチングするステップと、
次いで、前記酸化シリコン壁(107)を形成するように熱酸化するステップと、
次いで、前記窒化シリコン層(105)を除去するステップと
を含む
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記窒化シリコン層(105)の除去は、ウェットエッチングにより行われる
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ステップd)において、前記第2のシリコン層(113)および前記第2の酸化シリコン層(111)を備えるセットは、直接接合によって、前記第1のシリコン層(101)、前記第1の酸化シリコン層(103)および前記酸化シリコン壁(107)を備えるセットに付けられる
請求項1~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
ステップd)において実施される直接接合は、700~1,100℃の温度でのアニールを含む
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップd)において実施される直接接合は、前記第2の酸化シリコン層(111)の前記第2のシリコン層(113)とは反対側の面を、前記酸化シリコン壁(107)の前記第1のシリコン層(101)とは反対側の面に接合することである
請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のシリコン層(101)は固定基板であり、前記第2のシリコン層(113)+は前記トランスデューサの可撓性膜である
請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記第1の酸化シリコン層(103)の厚さは、前記第2の酸化シリコン層(111)の厚さと実質的に等しい
請求項1~8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
前記第1のシリコン層(101)の前記第1の酸化シリコン層(103)とは反対側の面上に、前記トランスデューサの接触金属化部(125a、125b)を形成するステップと、
前記接触金属化部を前記トランスデューサの制御集積回路(150;250)と接続するステップと
をさらに含む
請求項1~9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
前記第1のシリコン層(101)はドープされている
請求項1~10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
前記第2のシリコン層(113)の前記第2の酸化シリコン層(111)とは反対側の面上に、前記トランスデューサの第2の電極を規定する金属層(129)を形成するステップを含む
請求項1~11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
CMUTトランスデューサであって、
前記トランスデューサの第1の電極を規定する第1のシリコン層(101)と、
前記第1のシリコン層(101)の上面に配置され、前記第1のシリコン層(101)の前記上面に接触した第1の酸化シリコン層(103)と、
垂直方向に前記第1の酸化シリコン層(103)の上面よりも高く延び、部分的に前記第1のシリコン層に入り込み、横方向に前記トランスデューサのキャビティ(109)を画定する酸化シリコン局所壁(107)と、
前記キャビティをその上面で閉じる第2の酸化シリコン層(111)であって、前記キャビティは、垂直方向に前記第1の酸化シリコン層(103)の前記上面から前記第2の酸化シリコン層(111)の下面まで延びている、第2の酸化シリコン層(111)と、
前記第2の酸化シリコン層(111)の上面に配置され、前記第2の酸化シリコン層(111)の前記上面に接触した第2のシリコン層(113)と
を備えるCMUTトランスデューサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に超音波トランスデューサの分野に関し、より詳細には、CMUT(静電容量型マイクロマシン超音波トランスデューサ)トランスデューサとも呼ばれる膜容量型超音波トランスデューサの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、CMUTトランスデューサは、キャビティに懸架された可撓性膜と、キャビティの膜とは反対側に位置する下部電極と呼ばれる第1の電極と、キャビティの第1の電極とは反対側に位置し、可撓性膜に機械的に固定された、上部電極と呼ばれる第2の電極とを備える。作動的には、直流バイアス電圧が電極間に印加される。直流バイアス電圧に重畳された適切な交流励起電圧が電極間に印加されると、可撓性膜は電極間に印加された静電気力の変化の影響下で振動し、超音波の送信を引き起こす。逆に、トランスデューサが超音波を受信すると、可撓性膜は機械的圧力の変化の影響下で振動し、電極間の静電容量が変化するため、トランスデューサの下部電極と上部電極との間に、直流バイアス電圧に重畳された交流電圧が発生する。
【0003】
CMUTトランスデューサは、通常、制御電子回路と結合される。制御電子回路は、送信フェーズにおいて、直流バイアス電圧に重畳された励起交流電圧を、トランスデューサの電極間に印加し、トランスデューサに超音波を送信させ、受信フェーズにおいて、トランスデューサの電極間に直流バイアス電圧を印加し、受信した超音波の影響下で発生した交流電圧を前記電極間で読み取るように構成されている。
【0004】
CMUTトランスデューサの送信周波数は、一般にその共振周波数に関係し、この共振周波数は様々なパラメータ、特に膜およびキャビティの幾何学的および機械的特性、ならびに外部環境に依存する。
【0005】
既知のCMUTトランスデューサ及びCMUTトランスデューサの製造方法の欠点の全て又は一部に対処したCMUTトランスデューサ及びそのようなトランスデューサの製造方法を設けることができることが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態は、CMUTトランスデューサの製造方法を提供する。方法は、
トランスデューサの第1の電極を規定する第1のシリコン層の面上に第1の酸化シリコン層を形成するステップa)と、
第2のシリコン層の面上に第2の酸化シリコン層を形成するステップb)と、
ステップa)に続いて、第1のシリコン層のシリコンを局所的にエッチングすることによって、第1の酸化シリコン層の厚さよりも大きい高さを有し、トランスデューサのキャビティを横方向に画定する酸化シリコン壁を、第1のシリコン層の前記面側に形成するステップc)と、
ステップb)およびc)に続いて、トランスデューサのキャビティを閉じるように、第2のシリコン層および第2の酸化シリコン層を備えるセットを、第1のシリコン層、第1の酸化シリコン層、および酸化シリコン壁を備えるセットに転写して付け、前記キャビティは、垂直方向に、第1の酸化シリコン層の第1のシリコン層とは反対側の面から、第2の酸化シリコン層の第2のシリコン層とは反対側の面まで延びているステップd)と
を含む。
【0007】
一実施形態によれば、ステップa)において、第1の酸化シリコン層は、第1のシリコン層の前記面を乾式成長熱酸化することにより形成され、ステップb)において、第2の酸化シリコン層は、第2のシリコン層の前記面を乾式成長熱酸化することにより形成される。
【0008】
一実施形態によれば、ステップc)は、第1の酸化シリコン層の第1のシリコン層とは反対側の面に窒化シリコン層を堆積するステップと、次いで、酸化シリコン壁の所望の位置で窒化シリコン層および第1の酸化シリコン層を局所的にエッチングするステップと、次いで、酸化シリコン壁を形成するように熱酸化するステップと、次いで、窒化シリコン層を除去するステップとを含む。
【0009】
一実施形態によれば、窒化シリコン層の除去はウェットエッチングによって行われる。
【0010】
一実施形態によれば、ステップd)において、第2のシリコン層および第2の酸化シリコン層を備えるセットは、直接接合によって、第1のシリコン層、第1の酸化シリコン層、および酸化シリコン壁を備えるセットに付けられる。
【0011】
一実施形態によれば、ステップd)において実施される直接接合は、700~1,100℃の温度でのアニールを含む。
【0012】
一実施形態によれば、ステップd)において実施される直接接合は、第2の酸化シリコン層の第2のシリコン層とは反対側の面を、酸化シリコン壁の第1のシリコン層とは反対側の面上に接合することである。
【0013】
一実施形態によれば、第1のシリコン層は固定基板であり、第2のシリコン層はトランスデューサの可撓性膜である。
【0014】
一実施形態によれば、第1の酸化シリコン層の厚さは、第2の酸化シリコン層の厚さと実質的に等しい。
【0015】
一実施形態によれば、本方法は、第1のシリコン層の第1の酸化シリコン層とは反対側の面に、トランスデューサの接触金属化部を形成するステップと、前記接触金属化部をトランスデューサの制御集積回路に接続するステップとをさらに含む。
【0016】
一実施形態によれば、第1のシリコン層はドープされている。
【0017】
一実施形態によれば、本方法は、第2のシリコン層の第2の酸化シリコン層とは反対側の面に、トランスデューサの第2の電極を規定する金属層を形成するステップを含む。
【0018】
他の実施形態は、CMUTトランスデューサを提供する。CMUTトランスデューサは、
トランスデューサの第1の電極を規定する第1のシリコン層と、
第1のシリコン層の上面に配置され、該第1のシリコン層の上面に接触した第1の酸化シリコン層と、
垂直方向に第1の酸化シリコン層の上面よりも高く延び、部分的に第1のシリコン層に入り込み、横方向にトランスデューサのキャビティを画定する酸化シリコン局所壁と、
キャビティをその上面で閉じる第2の酸化シリコン層であって、キャビティは、垂直方向に第1の酸化シリコン層の上面から第2の酸化シリコン層の下面まで延びている、第2の酸化シリコン層と、
第2の酸化シリコン層の上面に配置され、該第2の酸化シリコン層の上面に接触した第2のシリコン層と
を備える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
上記及び他の特徴及び利点は、添付図面を参照して本発明を限定するものではない実例として与えられる以下の特定の実施形態に詳細に記載されている。
【0020】
図1A】実施形態によるCMUTトランスデューサの製造方法の一例の連続するステップを示す断面図である。
図1B】実施形態によるCMUTトランスデューサの製造方法の一例の連続するステップを示す断面図である。
図1C】実施形態によるCMUTトランスデューサの製造方法の一例の連続するステップを示す断面図である。
図1D】実施形態によるCMUTトランスデューサの製造方法の一例の連続するステップを示す断面図である。
図1E】実施形態によるCMUTトランスデューサの製造方法の一例の連続するステップを示す断面図である。
図1F】実施形態によるCMUTトランスデューサの製造方法の一例の連続するステップを示す断面図である。
図1G】実施形態によるCMUTトランスデューサの製造方法の一例の連続するステップを示す断面図である。
図1H】実施形態によるCMUTトランスデューサの製造方法の一例の連続するステップを示す断面図である。
図1I】実施形態によるCMUTトランスデューサの製造方法の一例の連続するステップを示す断面図である。
図2A】実施形態によるCMUTトランスデューサの製造方法の他の例の連続するステップを示す断面図である。
図2B】実施形態によるCMUTトランスデューサの製造方法の他の例の連続するステップを示す断面図である。
図2C】実施形態によるCMUTトランスデューサの製造方法の他の例の連続するステップを示す断面図である。
図2D】実施形態によるCMUTトランスデューサの製造方法の他の例の連続するステップを示す断面図である。
図2E】実施形態によるCMUTトランスデューサの製造方法の他の例の連続するステップを示す断面図である。
図2F図2Eの装置の代替実施形態を示す断面図である。
図3図2Eの装置の他の代替実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
同様の特徴は、様々な図において同様の参照符号によって指定されている。特に、様々な実施形態の間で共通である構造的および/または機能的特徴は、同じ参照符号を有し得、同一の構造的、寸法的および材料的特性を有し得る。
【0022】
明確にするために、本明細書に記載された実施形態の理解に有用な動作及び要素のみが図示され、詳細に説明されている。特に、記載されたトランスデューサが有し得る様々な用途は詳述されないが、記載された実施形態は、超音波トランスデューサの通常の用途、特に超音波映像装置における用途と一致している。さらに、記載されたトランスデューサの制御回路は詳述されないが、記載された実施形態は、CMUTトランスデューサの既知の制御回路の全て又は大部分と一致する。
【0023】
本開示では、別段の指示がない限り、本願の要件に従って配置された1つ以上のCMUTトランスデューサエレメントから構成される装置をCMUTトランスデューサと呼ぶ。各CMUTトランスデューサエレメントは、例えば並列に互いに電気的に接続された1つ以上のCMUTトランスデューサエレメンタリーセルから構成される。各CMUTエレメンタリーセルは、例えば、キャビティに懸架された単一の可撓性膜と、膜を振動させるための電気的励起信号の受信、および/または膜の振動の影響下での電気的応答信号の生成に適合された2つの対向電極とを備える。
【0024】
別段の指示がない限り、接続された2つの要素に言及する場合、これは、導体以外のいかなる中間要素も伴わない直接接続を意味し、結合された2つの要素に言及する場合、これは、これら2つの要素を接続することができる、または、それらが1つ以上の他の要素を介して結合されることができることを意味する。
【0025】
以下の開示では、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」などの絶対位置を述べる用語、または、「の上」、「の下」、「上方」、「下方」などの相対位置を述べる用語、または、「水平」、「垂直」などの方向を述べる用語に言及する場合、別段の指示がない限り、図面に示されている向きへの参照がなされる。
【0026】
特に指定されていない場合、「約」、「略」、「実質的に」および「程度」という表現は、該当する値の10%の範囲内、好ましくは5%の範囲内を表す。
【0027】
図1A図1Iは、実施形態によるCMUTトランスデューサの製造方法の一例の連続するステップを示す断面図である。図1A図1Iでは、CMUTトランスデューサの単一のエレメンタリーセルの実施形態を表している。実際には、同一の初期基板から多数のセルを同時に実装することができる。
【0028】
図1Aは、初期のシリコン基板101上に酸化シリコン層103を形成してから窒化シリコン層105を形成するステップの終了時に得られる構造体を示す断面図である。基板101は、好ましくは比較的高濃度にドープされている。一例として、基板101は、1013~1018atoms/cmのドーピングレベルを有するシリコン基板である。基板101の厚さは、例えば30μm~1mm、例えば400μm~800μmである。基板101は、例えばシリコンウェハ、またはシリコンウェハの一部に対応する。基板101を方法の終了時に任意に薄化できることに留意されたい。
【0029】
酸化シリコン層103は、基板101の上面に形成され、該上面に接触している。この層103は、例えば、高品質の酸化物が得られるように、乾式成長熱酸化(dry-growing thermal oxidizing)によって形成される。層103は、例えば基板101の上面全体に連続的に、実質的に均一な厚さで延在している。層103の厚さは、例えば20nm~300nm、例えば100nm~150nm、例えば125nm程度である。
【0030】
窒化シリコン層105は、例えば、層103の上面に堆積され、該上面に接触している。層105は、例えば基板101の上面全体に実質的に均一な厚さで連続的に延在している。層105は、例えば、気相化学体積法、例えば、LPCVD(低圧化学気相堆積法)によって堆積され、これは、下層の酸化シリコン層103の品質を劣化させないという利点を有する。あるいは、層105は、PECVD(プラズマ励起化学気相堆積)または他の適切な堆積プロセスによって堆積されてもよい。層105の厚さは、例えば50nm~500nm、例えば100nm~300nm、例えば200nm程度である。
【0031】
図1Bは、層103および105によって形成されたスタックを局所的にエッチングするステップの終了時に得られる構造体を示す。この例では、層103および105は、CMUTトランスデューサの将来のキャビティに関する位置にのみ残される。層103および105は、ドライエッチング法、例えばプラズマエッチングによってエッチングされる。エッチングの終了時に、基板101の上面がCMUTトランスデューサの将来のキャビティの周囲に露出する。
【0032】
図1Cは、LOCOS(シリコンの局所酸化)法とも呼ばれる、基板101のシリコンを局所的に酸化するステップの終了時に得られる構造体を示す。このステップにおいて、図1Bのエッチングステップの終了時に露出した基板101の上面の部分の熱酸化を実施する。この結果、基板101の上面の露出部分、すなわちCMUTトランスデューサの将来のキャビティの周囲に、酸化シリコン壁107が成長する。しかし、窒化シリコン層105は、基板101の将来のキャビティの位置での酸化を阻止する。酸化シリコン壁107の高さは、CMUTトランスデューサの将来のキャビティの厚さまたは深さを規定する。より詳細には、この例では、CMUTトランスデューサの将来のキャビティの深さは、酸化シリコン壁107の上面のレベルと酸化シリコン層103の上面のレベルとの間の距離に対応する。酸化シリコン壁107の上面のレベルは、酸化シリコン層103の上面のレベルよりも上に位置する。LOCOS法の利点は、特に酸化の温度および期間を制御することにより、壁107の高さ、ひいてはキャビティの深さを正確に制御できることである。これは、浅い深さ、例えば100nm未満の深さ、例えば約50nmの深さのキャビティを作る場合に特に有利である。しかしながら、説明した実施形態は、浅い深さのキャビティに限定されるものではない。一例として、CMUTトランスデューサのキャビティの深さは、10nm~1μmである。
【0033】
非限定的な説明するための例として、酸化シリコン層は125nm程度の厚さを有し、酸化シリコン壁107は基板101の上面のレベルから約175nmの高さだけ突出し、約50nmのキャビティの深さが得られる。酸化中に基板の厚さの一部が消費され、酸化シリコンに変化することに留意されたい。例えば、基板101の上面のレベルに対して約175nm突出した壁107を得るためには、基板のシリコンの137.5nm程度の厚さが酸化中に消費されることにより、壁107が312.5nm(137.5+175nm)程度の全高を有することになる。
【0034】
図1Dは、窒化シリコン層105を除去するステップの終了時に得られる構造体を示す。層105は、酸化シリコンに対して窒化シリコンを選択的にエッチングする方法によって除去される。好ましくは、層105はウェットエッチングにより除去され、これにより下層の酸化シリコン層103の品質を維持することができる。特に、ドライエッチング法と比較して、酸化シリコン層103の上面にマイクロクラックが形成されることを避けることができる。このステップの終了時に、CMUTトランスデューサのキャビティ109を横方向に囲む酸化シリコン壁107、キャビティ109の底を規定する上面を有する酸化シリコン層103、および下層の基板101のみが残される。
【0035】
図1Eは、図1Dの構造体の上面から、酸化シリコン層111、シリコン層113、酸化シリコン層115、および例えばシリコンで作られた支持層117を順次に含むスタックを、図1Dの構造体の上面側に転写して付けるステップの終了時に得られる構造体を示す。一例として、層111、113、115および117それぞれは、図1Dの構造体の表面全体に実質的に均一な厚さで連続的に延在している。層111、113、115および117は、例えば実質的に平坦である。この例では、基板117はその下面で層115の上面に接触し、層115はその下面で層113の上面に接触し、層113はその下面で層111の上面に接触している。層117は、例えばシリコンウェハまたはシリコンウェハの一部に対応する。
【0036】
層111、113、115および117のスタックは別々に形成され、その後、図1Dの構造体の上面に転写されて付けられる。
【0037】
一例として、層117、115および113のスタックはSOI(絶縁体上シリコン)タイプの構造であり、層117はSOI構造の支持基板を構成し、層115はSOI構造の埋め込み酸化シリコン層であり、層113はSOI構造の単結晶シリコン活性層である。基板117の厚さは、例えば10μm~1mm、例えば400μm~800μmである。酸化シリコン層115の厚さは、例えば50nm~2μmである。シリコン層113の厚さは、例えば0.5μm~5μmである。シリコン層113は、好ましくは比較的高濃度にドープされる。一例として、層113のドーピングレベルは1013~1018atoms/cmである。あるいは、層113は非意図的にドープされてもよい。
【0038】
酸化シリコン層111は、例えば、図1Dの構造体の上面にスタック111-113-115-117を転写する前に、シリコン層113の下面(図1Eの向き)に形成され、シリコン層113の下面に接触している。層111は、例えば、層103(図1A)と同じ条件下で、乾式成長熱酸化によって形成される。層111の厚さは、例えば20μm~300nm、例えば100nm~150nm、例えば約125nmである。好ましくは、層111の厚さは層103の厚さと実質的に等しい。
【0039】
その後、層111、113、115および117のスタックを図1Dの構造体の上面に転写して付ける。スタックは、中間材料を加えることなく、酸化シリコン層111の下面を酸化シリコン壁107の上面に直接接合または分子接合することによって付けられることが好ましい。
【0040】
接合の品質を向上させるために、比較的高い温度、例えば700℃~1,100℃の温度で構造体をアニールすることができる。次に、フュージョン接合について説明する。
【0041】
このステップの終了時に、CMUTトランスデューサのキャビティ109は気密的に閉じられる。酸化シリコン層111の下面がキャビティ109の上面を規定する。接合は、大気圧よりも低い圧力を有するキャビティ109を得るために、真空下で行うことができる。
【0042】
これらのステップの終了時に、基板117および埋め込み酸化シリコン115を除去することができる。シリコン層113はそのまま残され、CMUTトランスデューサの膜を形成する。層113は、さらに、ドープされると、CMUTトランスデューサの上部電極を部分的に形成することができる。導電層、例えば金属(図1Gには示さず、図1Hの例における層129に対応する)が、半導体層113の上面に堆積され、該上面に接触し、トランスデューサの上部電極を部分的に形成する。
【0043】
この例では、基板101がCMUTトランスデューサの下部電極を形成する。CMUTトランスデューサの電極に接点を形成し、CMUTトランスデューサの電極を電気的に絶縁する様々なステップをさらに実行することができる。図1F図1Iは、そのようなステップを実行する非限定的な例を示す。
【0044】
図1Fは、基板101をその下面で薄化し、薄化した基板101の下面側に接触要素を形成するステップの終了時に得られる構造体を示す。
【0045】
一例として、基板101は、層117をハンドルとして用いて研削することにより薄化される。薄化ステップの終了時に、基板101の厚さは例えば10~150μm、例えば20~100μmである。
【0046】
薄化に続いて、基板101の下面から、CMUTトランスデューサの酸化シリコン壁107に対して絶縁溝121を形成する。溝121は、基板101の全厚さにおいて基板101を垂直に貫通して延び、酸化シリコン壁107の下面に至る。
【0047】
より詳細には、この例では、各CMUTトランスデューサエレメンタリーセルについて、または各CMUTトランスデューサエレメントについて、セルまたはエレメントの周縁部、例えばセルのキャビティ109の周縁部(図示の例ではキャビティの右側)に、例えばリング状の絶縁溝121を形成し、絶縁溝121は、トランスデューサの上部電極に電気的に接続されることが意図された、基板101の領域123を横方向に画定する。この例では、領域123は、絶縁溝121によって、完全に取り囲まれ、基板101の他の部分から電気的に絶縁されている。
【0048】
溝121は、電気絶縁材料、例えば酸化シリコンで充填される。あるいは、溝121の側壁を電気絶縁材料、例えば酸化シリコンで被覆し、その後、電気絶縁材料、例えばノンドープポリシリコンまたは酸化シリコンで溝を充填する。
【0049】
図1Fは、基板101の下面に接触金属化部を形成することをさらに示す。より詳細には、この例では、各CMUTトランスデューサまたは各CMUTトランスデューサエレメントについて、基板101の下面に接触した2つの別個の接触金属化部125aおよび125bを基板101の下面に形成する。金属化部125aは、キャビティの周縁部に位置し、溝121によって基板の他の部分から電気的に絶縁された基板101の領域123の下面にのみ接触している。金属化部125bは、キャビティ109に対して配置され、例えばキャビティ109の表面の大部分、例えば実質的にキャビティ109の表面全体に延在する。金属化部125bは、基板101の領域123には接触しない。
【0050】
図示の例では、各CMUTトランスデューサエレメントは、同時に励起され、酸化シリコン壁107によって横方向に分離された2つのキャビティ109(例えば、2つのトランスデューサエレメンタリーセルに対応する)を備えることに留意されたい。説明した実施形態はこの具体例に限定されない。あるいは、各CMUTトランスデューサは、単一のキャビティ109または2より多い数のキャビティ109を含んでもよい。
【0051】
図1Gは、図1Fの構造体の支持層117および酸化シリコン層115を除去してシリコン層113の上面を露出させ、CMUTトランスデューサの膜を形成するステップの終了時に得られる構造体を示す。
【0052】
図1Hは、各CMUTトランスデューサの膜(および上部電極)113上に電気接点を形成するステップの終了時に得られる構造体を示す。
【0053】
より詳細には、この例では、図1Gの構造体の上面から開始して、各CMUTトランスデューサにおいて、溝121によって横方向に画定された基板101の領域123の真上に、開口部127を形成し、開口部127は、膜113、酸化シリコン層111、および酸化シリコン壁107を垂直に貫通して延び、溝121によって横方向に画定された基板101の領域123の上面に至る。
【0054】
その後、トランスデューサのキャビティ109、例えばキャビティ109の表面の大部分または実質的にキャビティ109の表面全体にたいして、膜113の上面に延在し、膜113の上面に接触した金属化部129を形成する。金属化部129はさらに、開口部127のフランジおよび底面に延在している。特に、金属化部129は、溝121によって横方向に画定された基板101の領域123の上面に接触している。したがって、金属化部129は、基板101の領域123を介してトランスデューサの下部の金属化部125aに電気的に接続されている。しかし、金属化部129は、基板101の他の部分から電気的に絶縁されている。したがって、金属化部125aおよび125bは、それぞれCMUTトランスデューサの上部電極および下部電極と電気的に結合している。一例として、金属化部129を形成するために、まず金属層を構造体の上面全体にフルウェハで堆積させ、その後、様々なトランスデューサの電極を互いに電気的に絶縁するように、この金属層を局所的にエッチングする。半導体層113がドープされている場合、エッチングは、様々なトランスデューサの電極を互いに電気的に絶縁するように、層113を貫通して実行されてもよい。
【0055】
図1Iは、図1Hの構造体を制御電子回路150に転写して付けるステップの終了時に得られる構造体を示す。電子回路150は、例えば半導体基板(例えば、シリコン基板)に予め形成された集積回路である。電子回路150は、例えばCMOS(相補形金属酸化膜半導体)技術で作られる。電子回路150は、例えば、送信フェーズにおいて、各トランスデューサの電極間に、直流バイアス電圧に重畳された励起交流電圧を印加して、トランスデューサによる超音波の送信を引き起こし、受信フェーズにおいて、各トランスデューサの電極間に直流バイアス電圧を印加し、受信した超音波の影響下で生成された交流電圧を前記電極間で読み取るように構成されている。回路150が基板上および基板中に集積され、該基板は、例えばシリコンウェハまたはシリコンウェハの一部に対応する。したがって、この例では、このステップで実施される転写は、ウェハからウェハへの転写である。ウェハレベルでの組立もしくはパッケージング、またはWLP(「ウェハレベルパッケージング」)とも言う。
【0056】
表わされた例では、電子回路150は、その上面側に、図1Hの構造体の各CMUTトランスデューサについて、トランスデューサの接触金属化部125a及び125bにそれぞれ接続されることが意図された2つの接触金属化部151a及び151bを備える。
【0057】
この例では、転写中に、図1Hの構造体の各金属化部125aを、その下面によって、電子回路150の対応する金属化部151aの上面に接触させ、図1Hの構造体の各金属化部125bを、その下面によって、電子回路150の対応する金属化部151bの上面に接触させる。金属化部125a、125bを金属化部150a、150bに付けるには、直接接合、熱圧着、共晶接合、溶接層の手段、溶接パッドの手段、溶接ボールの手段、または接触金属化部を付けて電気的に接続するための他の既知の手段によって付けることができる。
【0058】
図示されない代替案として、方法の様々なステップにおけるアセンブリの機械的強度を改善するために、図1Fのステップの後、支持層117を除去するステップ(図1G)の前に、制御集積回路150をCMUTトランスデューサの構造体に付けてもよい。
【0059】
その後、図1Iの構造体を複数の単一チップに切断することができ、複数の単一チップそれぞれは、1つ以上のCMUTトランスデューサ、例えばCMUTトランスデューサアレイ、及びチップの1つ以上のCMUTトランスデューサの制御電子回路を備える。切断は、例えば、以下に説明する図2Dの例で示したのと同様に、鋸引きによって行われる。
【0060】
図2A図2Eは、図1A図1Eの方法によって製造されたCMUTトランスデューサに接点を形成するステップを実行するための他の例を示す。
【0061】
図2A図2Eの方法は、主として、トランスデューサおよびトランスデューサの制御電子回路の組立が、図1F図1Iの方法のような基板またはウェハのレベル(単一チップに切断する前)ではなく、単一チップのレベルで行われるという点で、図1F図1Iの方法とは異なる。
【0062】
図2A図2Fの方法は、図1Fに関連して本明細書で上述したものと同じまたは類似のステップ、すなわち、基板101を薄化するステップ、基板の接続領域123を画定する絶縁溝121を形成するステップ、および基板101の下面に接触金属化部125a、125bを形成するステップを含む。
【0063】
図2Aは、図1Fの構造体を相互接続構造体210に転写して付けるステップをより詳細に示す。
【0064】
相互接続構造体210は、半導体基板(例えば、シリコン基板)211上および半導体基板211中に形成されている。基板211は、好ましくは、比較的高濃度にドープされている。一例として、基板211は、1013~1018atoms/cmのドーピングレベルを有するシリコン基板である。基板211の厚さは、例えば30μm~1mmである。
【0065】
相互接続構造体210は、図1Fの構造体の各CMUTトランスデューサについて、2つの接触金属化部213aおよび213bを備え、接触金属化部213aおよび213bは、基板211の上面に配置され、該上面に接触しており、トランスデューサの接触金属化部125aおよび125bにそれぞれ接続されることが意図される。相互接続構造体210は、図1Fの構造体の各CMUTトランスデューサについて、2つの接触金属化部215aおよび215bをさらに備え、接触金属化部215aおよび215bは、基板211の下面(例えば接触金属化部213aおよび213bそれぞれの真下)に配置され、該下面に接触している。相互接続構造体210は、例えば図1Fの構造体の溝121と同様の、基板211の全厚さに垂直に延びる絶縁溝217をさらに備える。溝217は、各CMUTトランスデューサについて、1つのトランスデューサに関連する接触金属化部213a、215aが基板211の領域によって互いに電気的に結合され、該トランスデューサの接触金属化部213b、215bから、また他のトランスデューサの接触金属化部213a、215a、213b、215bからも電気的に絶縁されるように配置されている。
【0066】
相互接続構造体210は、別々に作られ、その後、図1Fの構造体の下面に転写され付けられてもよい。転写は、例えば、基板またはウェハのレベルで行われる(WLP)。
【0067】
この例では、転写中に、図1Fの構造体の各金属化部125aを、その下面によって、相互接続構造体210の対応する金属化部213aの上面に接触させ、図1Hの構造体の各金属化部125bを、その下面によって、相互接続構造体210の対応する金属化部213bの上面に接触させる。金属化部125a、125bを金属化部213a、213bに付けるには、直接接合、熱圧着、溶接層の手段、溶接パッドの手段、溶接ボールの手段、または接触金属化部を付けて電気的に接続するための他の既知の手段によって付けることができる。
【0068】
図2Bは、図2Aの構造体の支持層117および酸化シリコン層115を除去してシリコン層113の上面を露出させ、CMUTトランスデューサの膜を形成するステップの終了時に得られる構造体を示す。
【0069】
図2Cは、各CMUTトランスデューサの膜(および上部電極)113に電気接点を形成するステップの終了時に得られる構造体を示す。このステップは、本明細書で図1Hに関連して説明したものと同様である。
【0070】
図2Dは、図2Cの構造体を複数の単一チップに切断するステップを示し、複数の単一チップそれぞれは、1つ以上のCMUTトランスデューサ(例えばCMUTトランスデューサのアレイ)および相互接続構造体210の対応する部分を備える。切断は、例えば鋸引きによって行われる。
【0071】
その後、各単一チップを、制御電子回路、例えば、トランスデューサの寸法よりも小さい辺寸法を有する集積回路チップに付け、該集積回路チップに電気的に接続する。
【0072】
図2Eは、半導体基板(例えばシリコン基板)から予め形成された制御電子回路250チップ上に、図2Dのステップの終了時に得られたトランスデューサチップを転写して付けるステップの終了時に得られた構造体を示す。電子回路250は、例えばCMOS技術で作られる。表わされた例では、電子回路250は、その上面側において、トランスデューサチップの各CMUTトランスデューサについて、トランスデューサチップの接触金属化部215aおよび215bにそれぞれ接続されることが意図された2つの接触金属化部251aおよび251bを備える。
【0073】
トランスデューサチップの金属化部215a、215bは、例えば、直接接合、熱圧着、溶接層の手段、溶接パッドの手段、溶接ボールの手段などの任意の適切な接続手段によって、制御チップの金属化部251a、251bに接続される。
【0074】
図2A図2Eの実施形態の利点は、相互接続構造体210によって、CMUT(125aおよび125b)の接点の配置を、CMOSの接点(接点215aおよび215bに関する)の異なる配置にある程度適合させることができることである。したがって、同じ設計のCMUTトランスデューサであれば、相互接続構造体210の設計を変更するだけで、異なるCMOS回路に適合させることができ、一般に製造が容易である。したがって、図には、金属化部215a、215bおよび絶縁溝217がそれぞれ、金属化部125a、125bおよび絶縁溝121に垂直方向に整列されているが、実際には、金属化部215a、215bおよび絶縁溝217は、例えば図2Fに示されるように、金属化部125a、125bおよび絶縁溝121に垂直方向に整列されていない場合がある。
【0075】
相互接続構造体210の他の利点は、支持層117を除去した後、制御回路を転写する前に、CMUTと相互接続構造体とのアセンブリに剛性を加えることができることである。
【0076】
図1A-1Iおよび図2A-2Fに関連して説明した実施形態の利点は、キャビティ109の下面側および上面側にそれぞれ位置する酸化シリコン層103および111が、高品質の酸化物を得ることを可能にするフルウェハ乾式成長熱酸化法によって行われる一方で、その方法中に厚さをエッチングまたは部分的にエッチングするステップを経ないため、高品質を有する。これにより、層103および111に電荷が注入または捕捉される寄生現象が抑制される。該寄生現象はトランスデューサの動作を悪化させる可能性がある。
【0077】
好ましくは、層103および111は同じまたは実質的に同じ厚さを有する。これにより、構造を対称にすることができ、層103および111に注入された電荷の分布のバランスが促進される。
【0078】
図3は、図2Eの装置の代替実施形態を示す断面図である。
【0079】
このような代替案では、誘電体層103はCMUTトランスデューサの2つのキャビティ109の一方では除去され、他方のキャビティではそのまま残されている。これにより、同じ基板上に、2つの異なる高さのキャビティ、例えば異なる形状または辺寸法を有する2つのキャビティを得ることができる。特に、一方のキャビティに層103がないため、膜の変位が大きくなり、より大きな表面積を有する膜を使用することができるようになる。これにより、例えば、2つの別個の音響周波数で同時に送信するように適合されるトランスデューサを得ることができる。層103を局所的にエッチングすることは、例えば、窒化シリコン層105を除去するステップ(図1D)の後、膜113の酸化シリコン層111を接合してキャビティ109を閉じる前(図1E)に実行される。
【0080】
図3の代替案は、勿論、図1F~1Iの方法と組み合わせることができる。
【0081】
様々な実施形態および変形例について説明してきた。当業者は、これらの実施形態および変形例の特定の特徴を組み合わせてもよく、他の変形例も当業者に容易に想起されることを理解するであろう。特に、説明された実施形態は、本開示に開示された寸法例に限定されない。
【0082】
さらに、本明細書で説明した例では、トランスデューサのキャビティ109を横方向に画定する酸化シリコン壁107は、基板101の上面にLOCOS法によって形成され、トランスデューサの下部電極を形成することに留意されたい。他の代替案として、壁107は、シリコン層113の下面にLOCOS法によって形成され、トランスデューサの膜および上部電極を形成してもよい。この場合、構造体の下部の酸化シリコン層103はエッチングされない。その後、窒化シリコン層105を酸化物層111の下面(図1Eの向き)に形成し、層111と105とのスタックを局所的にエッチングして、トランスデューサの将来のキャビティ109に関する位置にのみ残す。
【0083】
他の代替案では、膜を基板101に転写する前に、膜の下面側および基板101の上面側でLOCOS法を実施してもよい。この場合、転写中に壁107の下部と壁107の上部とを位置合わせすることが適切である。
【0084】
最後に、本明細書に記載された実施形態および変形例の実用的実現は、本明細書で提供された機能的説明に基づいて、当業者の能力の範囲内である。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
【外国語明細書】
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3