(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172957
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】測量システム、測量方法及び測量プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 15/00 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
G01C15/00 103A
G01C15/00 103E
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085183
(22)【出願日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2022084318
(32)【優先日】2022-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】一里山 海洋
(72)【発明者】
【氏名】田中 崇
(57)【要約】
【課題】現況観測を効率良く行う測量システム、測量方法及び測量プログラムを提供すること。
【解決手段】測量システムは、測点の位置を測量する測量部と、測点の設計座標の方向に測量部の測量方向を向けて測量部により測点を測量させ、測量した実測座標と設計座標との差分が大きい場合に、設計座標から、設計座標と実測座標との高さ方向の差分をオフセットさせた座標を再測量する制御部と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測点の位置を測量する測量部と、
測点の設計座標の方向に前記測量部の測量方向を向けて前記測量部により測点を測量させ、測量した実測座標と前記設計座標との差分が大きい場合に、前記設計座標から、前記設計座標と前記実測座標との高さ方向の差分をオフセットさせた座標を再測量する制御部と、
を備える測量システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記実測座標と前記設計座標との水平方向の差分が大きい場合に、前記再測量を行う請求項1に記載の測量システム。
【請求項3】
測量対象の路線及び横断面の選択を受け付ける受付部を備え、
前記制御部は、選択された前記横断面に含まれる複数の測点を前記測量部に順次測量させる、
請求項1に記載の測量システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記再測量の制限回数の設定を受け付けて、前記制限回数に達した前記再測量において前記実測座標と前記設計座標との差分が大きい場合に、測量対象となる測点を未測量の他の測点に変更する請求項3に記載の測量システム。
測量装置。
【請求項5】
前記受付部は、測量対象とする前記横断面の数の選択を受け付ける機能を有する請求項3に記載の測量システム。
【請求項6】
前記受付部は、選択された前記横断面における測量対象とする測点の測量間隔の選択を受け付ける請求項3に記載の測量システム。
【請求項7】
前記受付部の機能を有する表示部を備え、
前記表示部は、前記横断面に含まれる測点の測量結果として、測点識別情報と評価情報とを対応させて配置した測点を、順に表示し、及び、測点に対応して測量値を表示する、
請求項3に記載の測量システム。
【請求項8】
横断面に含まれる測点の設計データを表す第一図形を表示する表示部を備える請求項1に記載の測量システム。
【請求項9】
前記表示部は、前記第一図形に対応し、前記横断面に含まれる測点の測量結果を表す第二図形を表示する請求項8に記載の測量システム。
【請求項10】
前記表示部は、前記第二図形に対応する測量済みの側点の前記実測座標、及び/又は、前記第一図形と前記第二図形とに対応する前記設計座標と前記実測座標との差分を、横断方向、縦断方向及び高さ方向のそれぞれについて表示する請求項9に記載の測量システム。
【請求項11】
測量装置の測量部が測点の位置を測量する工程と、
測点の設計座標の方向に前記測量部の測量方向を向けて前記測量部により測点を測量させ、測量した実測座標と前記設計座標との差分が大きい場合に、前記設計座標から、前記設計座標と前記実測座標との高さ方向の差分をオフセットさせた座標を再測量する工程と、
を含む測量方法。
【請求項12】
測量装置の測量部が測点の位置を測量する工程と、
測点の設計座標の方向に前記測量部の測量方向を向けて前記測量部により測点を測量させ、測量した実測座標と前記設計座標との差分が大きい場合に、前記設計座標から、前記設計座標と前記実測座標との高さ方向の差分をオフセットさせた座標を再測量する工程と、
をコンピュータに実行させるための測量プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測量システム、測量方法及び測量プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、測量装置を用いて道路の現況観測を行う技術が提案されている。例えば、特許文献1には、レーザー測距器が距離計測機と計算器を用いて、車両通過路面の上の離散化3次元極座標系(R,θxj,θyj)を設定する第2計算器部分を形成する道路断面計測装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
道路等の現在使用されている土地の現況観測を行う場合、車線規制等をして作業地へ車両や人の立ち入りを制限することがある。また、土地の形状は経時的に変化することがあり、現況観測において測点の設計座標が既知であっても目的とする測点の測量が行えたか確認することが容易ではない。このような現況観測において、当該土地に対する作業時間の短縮、作業内容の簡素化、又は要人員の削減等が望まれている。
【0005】
本開示は、現況観測を効率良く行う測量システム、測量方法及び測量プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本開示に係る測量システムは、測点の位置を測量する測量部と、測点の設計座標の方向に前記測量部の測量方向を向けて前記測量部により測点を測量させ、測量した実測座標と前記設計座標との差分が大きい場合に、前記設計座標から、前記設計座標と前記実測座標との高さ方向の差分をオフセットさせた座標を再測量する制御部と、を備える。
【0007】
上記した目的を達成するために、本開示に係る測量方法は、測量装置の測量部が測点の位置を測量する工程と、測点の設計座標の方向に前記測量部の測量方向を向けて前記測量部により測点を測量させ、測量した実測座標と前記設計座標との差分が大きい場合に、前記設計座標から、前記設計座標と前記実測座標との高さ方向の差分をオフセットさせた座標を再測量する工程と、を含む。
【0008】
上記した目的を達成するために、本開示に係る測量プログラムは、測量装置の測量部が測点の位置を測量する工程と、測点の設計座標の方向に前記測量部の測量方向を向けて前記測量部により測点を測量させ、測量した実測座標と前記設計座標との差分が大きい場合に、前記設計座標から、前記設計座標と前記実測座標との高さ方向の差分をオフセットさせた座標を再測量する工程と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
上記手段を用いる本開示に係る測量システム、測量方法及び測量プログラムによれば、現況観測を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態に係る測設支援システムの全体構成図である。
【
図2】測量システムにおける測量装置及び端末の制御ブロック図である。
【
図3】端末の表示部に表示される画面の遷移を示す図である。
【
図4】測量システムを用いた作業及び処理の工程を示すフローチャートである。
【
図5】測量システムにおける測量を説明する平面図である。
【
図6】測量システムにおける測量を説明する側面図である。
【
図9】連続自動観測機能を含む測量システムを用いた作業及び処理の工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態を図面に基づき説明する。
【0012】
図1は、本開示の実施形態に係る測量システム1の全体構成図である。また、
図2は、測量装置2及び端末3の制御ブロック図である。なお、本実施形態の説明において、各装置や配置関係は、説明の便宜上模式的に示しており、実際の縮尺又は配置と異なってもよい。
【0013】
測量システム1は、測量装置2と、端末3とを含む。測量装置2は、例えば、トータルステーションであり、三脚等の脚部23に設置され、道路等の路線における測点4までの角度と距離とを測定して測量を行う機能を有する。測量装置2は、上記脚部23に着脱可能であって整準を行う整準部(詳細な構成は不図示)と、整準部によって整準されて鉛直軸周りに回動可能に設けられた本体部21と、本体部21に水平軸周りに回動可能に設けられた望遠鏡部22とを備える。従って、望遠鏡部22は整準部に対して水平軸及び鉛直軸周りに対して回動可能に設けられる。整準は整準部を調整してユーザ(例えば、作業者、操作者等)による手作業で行ってもよいし、自動整準であってもよい。また、測量装置2は、測量装置2を制御するためのコンピュータ(不図示)を備える。
【0014】
図2は、測量装置2及び端末3の制御ブロック図である。まず測量装置2の構成として示す通信部201は、端末3等の外部機器と通信可能に構成され、例えばBluetooth(登録商標)等の無線通信手段である。なお、通信部201は、接続端子を介して有線通信手段として機能してもよい。
【0015】
記憶部202は、測量プログラム等の非一過性の各種プログラム、測量データ、GPS時刻、測量装置2の大きさ(高さ、幅、奥行き等)等の各種データを記憶可能に構成される。
【0016】
表示部203は、例えば本体部21の後方部に設けられる。操作部204は、各種の動作指示や設定を入力可能な操作手段である。例えば、動作指示として、電源のオン又はオフの切替、測量を開始するトリガ、測量モードの切替、測量周期の設定等を含むことができる。また操作部204は、スイッチ、ボタン、ダイアルなど、任意の操作デバイスや入力デバイスを含んでもよい。本実施形態では、表示部203が操作部204と一体的に形成されたタッチパネルであるため、表示部203及び操作部204は受付部としての機能を有する。
【0017】
回動駆動部205は、測量装置2の本体部21を鉛直軸周りの水平方向に回動可能に制御する機能を有する。また、回動駆動部205は、望遠鏡部22を水平軸周りの鉛直方向に回動可能に制御する機能を有する。
【0018】
測量部206は、測点4の位置を測量する機能を有する。測量部206は、測距部206a及び測角部206bを有する。測距部206aは、測距光を出射する送光部と、送光部からの測距光が照射されて測量対象(例えば、測点4)により反射された反射光を受光する受光部とを含む。測距部206aは、例えば、パルスレーザー光である測距光を出射すると共に測量対象により反射された反射光を受光することで測量装置2から測点4までの距離(斜距離)を測定する。なお、測距方式はこのようなパルス方式に限られず、例えばレーザー光の波の数に基づき測距するいわゆる位相差方式等の周知の方式を適用することも可能である。
【0019】
また、測角部206bは、本体部21の水平方向の回動角(すなわち鉛直軸周りの回転角)を検出する水平エンコーダとしての機能と、望遠鏡部22の鉛直方向の回動角(すなわち水平軸周りの回転角)を検出する鉛直エンコーダとしての機能を有する。望遠鏡部22は、測量対象を視準可能な光学系を含む望遠鏡を内部に有する。望遠鏡部22は、測距光学系を含む測距部206aを内蔵しており、この測距部206aの測距光学系の光路の一部は望遠鏡の光学系の一部と共有されている。前述の測距部206aから出射された光は、望遠鏡の視準軸と同軸に導光されて出射される。また、測量対象により反射されて外部から受光した光は、望遠鏡の視準軸に沿って導光され、測距部206aにより受光される。
【0020】
制御部207は、測角部206bにより検出された角度(水平角及び鉛直角)、及び測距部206aにより測定された距離(斜距離)等の各種情報の取得、記憶、演算等を行い、例えば表示部203にその取得結果、演算結果を表示する。また、制御部207は、測角部206bにより検出された角度(水平角及び鉛直角)、及び測距部206aにより測定された距離(斜距離)等の各種情報を、通信部201を介して端末3に送信する。制御部207は、操作部204に対する操作に応じて、又は演算結果に応じて、各部の駆動制御等を行う。
【0021】
端末3は、測点4の測量指示機能を有する。端末3として、例えば、ユーザが携帯可能な携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、パーソナルコンピュータ等の機器を用いることができる。
図2に示すように、端末3は、制御部31、通信部32、操作部33(受付部)、表示部34及び記憶部35を有する。また、端末3は、端末3の動作を制御するためのコンピュータ(不図示)を備える。通信部32は、測量装置2等の外部機器と通信可能に構成され、例えばBluetooth(登録商標)等の無線通信手段である。なお、通信部32は、接続端子を介して有線通信手段として機能してもよい。
【0022】
操作部33は、端末3に各種の指示や設定を入力可能な操作手段である。また表示部34は、液晶ディスプレイ等により形成される。なお、本実施形態では、表示部34が操作部33と一体的に形成されたタッチパネルであり、表示部34及び操作部33は受付部としての機能を有する。表示部34がタッチパネルである場合、操作部33は、感圧式や静電式等の方式によりユーザからの入力操作を受け付けることができる。また、表示部34には、測量プログラムの画面を表示することができる(
図3参照)。
【0023】
記憶部35は、設計データ351、測量データ352、及び測量プログラム353等の情報を記憶する。設計データ351は、例えば、端末3とは別途の装置(又は機器)等を用いてCADにより予め作成された路線データ5(
図3のマップ画面62も参照)であり、各測点4の識別情報(例えば、測点名)と、識別情報に対応した設計座標とを含む。測量データ352は、測量装置2が測量により取得した又は測量結果から算出した、測点4の実測座標である。なお、座標の表現形式は、三次元の直交座標又は極座標等の任意の形式とすることができる。また、本実施形態の測量プログラム353は、例えば端末3が有するコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体(又は記憶装置)に非一過性のプログラムとして記憶することができる。
【0024】
端末3は、表示部34に測量プログラム353の実行に伴う画面等を表示し、操作部33を介したユーザによる入力指示に基づいて、測量装置2に測量指示信号を送信する機能を有する。
【0025】
図4は、端末3の表示部34に表示される画面を示す図であり、横断観測の設定画面61、横断観測のマップ画面62、測量中を示す待ち画面63、及び横断観測の編集画面64を示している。各画面(設定画面61、マップ画面62、編集画面64)におけるメニュー項目は、ユーザによるタッチ操作又はプッシュボタンスイッチを介した選択操作により選択及び実行される。
【0026】
設定画面61は、横断観測の設定を行うメニュー項目である。設定画面61は、路線選択部611、標準断面選択部612、横断面選択部613、連続観測切替部614、ピッチ設定部615、及びリトライ回数設定部616を有する。路線選択部611は、設計データ351に含まれる複数の路線データ5から、測量対象の横断面51が含まれる路線を選択する機能を有する。
図3の例では、路線選択部611において路線名「rs」の路線データ5が選択されている。
【0027】
標準断面選択部612は、予めCAD等により若しくは手入力により登録された設計値(「標準断面」ともいう。)から、路線データ5における横断面51の設計値として選択する機能である。これにより、選択された標準断面に対して、横断面51の測点4(観測点)を紐づけることができる。
【0028】
横断面選択部613は、選択された路線データ5に含まれる複数の横断面51から測量対象とする横断面51を選択する機能を有する。
図3の例では、横断面選択部613において横断面51「BP」が選択されている。連続観測切替部614は、選択された路線データ5に含まれる複数の横断面51の連続測定を行うか否かを切り替える機能を有する。例えば、操作部33を介したユーザの操作により連続観測切替部614の右端に配置された略四角形のチェックボックスが選択されると、横断面51の連続測定機能をオン又はオフに切り替えることができる。
【0029】
ピッチ設定部615は、測量対象として選択された横断面51における測点4の観測の間隔である測量間隔(又は計測ピッチ)を設定する機能を有する。測量間隔は、横断面51上における測点4の間隔であり、例えば50cm間隔に設定される。測量間隔は、例えばユーザがピッチ設定部615にメートル単位で数値の入力操作を行うことで設定される。
図3の例では、測量間隔が0.5mに設定されている。
【0030】
リトライ回数設定部616は、測量装置2による測点4の測量値(実測座標P2)が適正範囲ではなかった場合に、測点4の再測量の制限回数(許容回数)を設定する機能を有する。
図3の例では、リトライ回数設定部616が「3回」に設定されている。この場合、測量装置2は、測点4の3回目の再測量においてさらに再測量が必要と判断した場合(後述のステップS07;Yes)、測量対象の測点4を未測量の他の測点4に切り替える。
【0031】
マップ画面62は、設定画面61の路線選択部611で設定した路線データ5(
図3の例では路線名「rs」の路線データ5)を表示する。また、マップ画面62は、測点名表示部621、横断面名表示部622、第一距離表示部623、及び第二距離表示部624を有する。
【0032】
測点名表示部621には、現在選択されている測点4(例えば、測点4「117」)が表示される。横断面名表示部622には、現在選択されている横断面51(例えば、横断面51「BP」)が表示される。第一距離表示部623は、現在選択されている横断面51における選択中の測点4とセンターラインCLとの横断方向D4(
図5参照)の距離が表示される。第二距離表示部624は、現在選択されている横断面51における選択中の測点4と、センターラインCL上の測点4又はセンターラインCLと横断面51の交点との高さ方向の距離(高低差)が表示される。
【0033】
また、マップ画面62の右下の位置には、開始ボタン625及びスキップボタン626が左右並んで配置されている。開始ボタン625は、横断面51の測点4の測量を開始する機能を有する。スキップボタン626は、選択中の横断面51に対する測量をスキップして、縦断方向D3(
図5参照)の次の横断面51に選択を切り替える機能を有する。
【0034】
横断面の測量の待ち画面63は、測量装置2による測点4の測量中であることを示す画面である。測量装置2が測点4の測量中である場合、待ち画面63には、画面全体の中央部に、測量中であることを示す「測定しています」の文字及びC環状のアイコン631を表示される。
【0035】
横断観測の編集画面64は、測点配置
図641及び測点情報表示部642,643を有する。測点情報表示部642は最後に測量が行われた測点4の情報を表示する。また、測点情報表示部643は、測点情報表示部642以外のその他の測点4の情報を表示する。
【0036】
測点配置
図641は、路線データ5を表示する機能を有する。
図3の例では、路線データ5の横断面51及び縦断方向D3のセンターラインLCが表示されている。また、横断面51上には、複数の測点4が配置されている。測点情報表示部642,643は、測点4に関する情報が表示される。測点情報表示部642は、測点配置
図641の下方且つ測点情報表示部643の上方に配置される。上側の測点情報表示部642には、測点4の識別情報(例えば、測点名「123」)に対応して、リンクのオン又はオフの設定情報及びセンターラインCLからの距離が表示される。また、下側の測点情報表示部643には、測点4の識別情報(例えば、測点名「101」、「102」、「103」、「104」又は「110」等)に対応して、リンクのオン又はオフの設定情報、センターラインCLからの距離、及び、測点4とセンターラインCL上の測点4又はセンターラインCLと横断面51の交点との高さ方向の距離(高低差)が表示される。測点情報表示部642,643の「リンク」機能を使用することで、例えば、測点4を他の横断面51上の測点4と結線することができる。通常、横断観測を行う場合には各測点4を、センターラインCL(路線中心)からの距離で判断して、左端から近い順に右端へ向けた一筆書き状に結んだ線を、同一の横断面51として扱われている。このリンク機能は1観測ごとに設定することができる。例えば、上記の一筆書き状に線を結ぶルールと異なり、ある測点4を時系列的に1つ前に観測した測点4と結ぶことができる。これにより、観測する測点4を、Z字状や直滑降(例えば、縦断方向D3の直線状又は曲線状)のような形状で結線することが可能となる。
【0037】
次に、測量システム1を用いた各作業又は処理の工程について、
図4のフローチャートを参照して説明する。ステップS01で、測量装置2は、作業者等のユーザによって、測量対象となる測点4の周辺位置に設置される。
【0038】
ステップS02で、測量装置2は、器械点の設置を行う。具体的に、測量装置2は、図示しないベンチマークを原点として測量し、予め設定された基準方向を基準座標軸として自己の座標を求める。基準方向は、測量装置2が予め記憶する設計データに基づいて定められてもよいし、測量装置2が原点とは異なる基準方向点を測量し、原点と基準方向点とを結ぶ基準方向(例えば、
図5の基準点方向D2)を基準座標軸として求めてもよい。
【0039】
ステップS03で、端末3は、制御部31により、操作部33(受付部)から入力されたユーザの指示に基づいて、測量装置2に横断観測を行わせる路線の路線データ5、及び、路線データ5に含まれる横断面51の選択を受け付ける。測量対象の路線データ5及び横断面51の選択は、
図3の路線選択部611及び横断面選択部613により受け付けられる。
【0040】
ステップS04で、端末3は、操作部33(受付部)から入力されたユーザの指示に基づいて、測量装置2の横断観測の測量間隔と、再測量のリトライ回数の設定を受け付ける。具体的に、制御部31は、
図3のピッチ設定部615及びリトライ回数設定部616により選択された横断面51における測量対象とする測点4の測量間隔と、リトライ回数の設定を受け付ける。なお、ピッチ設定部615及びリトライ回数設定部616の一方又は両方は、測量ピッチ及びリトライ回数の設定機能として、予め設定された値から測量ピッチ及びリトライ回数を選択させる機能を有してもよい。
【0041】
ステップS05で、制御部31は、ユーザから開始ボタン625の選択を受け付けると、測量装置2に測量指示を送信し、測量装置2にステップS03で選択された路線データ5の横断面51上の測点4の測量を開始させる。
【0042】
ステップS06で、測量装置2は、選択された横断面51上の各測点4を、ステップS04で設定した測量間隔で測量する。ここで、測点4の測量方法について
図5及び
図6を参照しながら説明する。
図5は、測量システム1における測量を説明する平面図であり、
図6は、測量システム1における測量において測距光Ltを水平方向であって測距光Lt直交するP方向からみた側面図である。まず、測量装置2は、設計データ351により予め設定された測点4の設計座標を端末3等から取得する。測量装置2は、測量対象である測点4の設計座標P1の方向に、測量部206の測量方向D1を向けて測量部206により測点4を測量する。設計データ351における路面41の形状と、実際の路面42の形状とは、経時変化又は施工誤差等により、異なる場合がある。例えば、
図6では、路線の設計データ351の設計座標P1と、現況座標として例示した垂点座標P3の座標が高さdz分異なっている。測量装置2から設計上の路面41に位置する設計座標P1に向けて出射された測距光は、距離の差分A2だけ離れた現況の路面42上に位置する実測座標P2に照射される。したがって、測量装置2は、設計座標P1の測点4を測定した場合、設計座標P1とは異なる実測座標P2が測点4の測量結果として取得する。
【0043】
ステップS07で、制御部31は、測量した測点4の設計座標P1と、実測座標P2との差分が予め定めた閾値を満たすか否かを判定する。端末3は、設計座標P1と実測座標P2との差分が所定の閾値を満たす場合は(S07;Yes)ステップS06の処理に進み、満たさない場合は(S07;No)ステップS08の処理に進む。
【0044】
具体的に、測量装置2は、測点4と、測点4の測量結果である実測座標P2とを含む測量データを端末3に送信する。端末3の制御部31は、測量装置2から送信された測量データを受信して、測量データ352として記憶部35に記憶する。その後、制御部31は、測量した実測座標P2と、設計座標P1との水平方向の差分を求める。なお、水平方向は、横断方向D4(
図5の左右方向)及び縦断方向D3(
図5の上下方向)に対して平行な方向である。制御部31は、まず測距部206aによる測距により取得した実測座標P2と、設計座標P1との水平方向の差分A1を求める。また制御部31は、測角部206bにより設計座標P1を視準したときの俯角である角度dθ(測量装置2の器械点から実測座標P2を測角したときの角度と同じ)を取得している。したがって、制御部31は、実測座標P2と設計座標P1との水平方向の差分A1を、A1=A2・cos(dθ)により求めることができる。
【0045】
また、
図5において、現場の基準点方向D2と横断面51との水平方向の角度をXA、基準点方向D2と設計座標P1及び実測座標P2を結んだ線分(差分A2)との水平方向の角度をHAとすると、制御部31は、設計座標P1と、実測座標P2との縦断方向D3(センターラインCLに沿った方向)の差分L1を、L1=A1・sin(XA-HA)で求めることができる。また、制御部31は、設計座標P1と実測座標P2との横断方向D4(横断面51に沿った方向)の差分L2を、L2=A1・cos(XA-HA)で求めることができる。さらに、制御部31は、路面42(実測座標P2と同一高さの水平面)に対する設計座標P1の高さdz(換言すると、設計座標P1から垂点座標P3までの距離)を、dz=A2・sin(dθ)で求めることができる。
【0046】
制御部31は、実測座標P2と設計座標P1との水平方向の差分L1及び差分L2の一方又は両方が予め定めた閾値と比較して大きいか否かを判定する。例えば、制御部31は、差分L1が10cm以上、又は、差分L2が5cm以上の少なくとも一方を満たす場合に、差分が大きいと判定する。制御部31は、実測座標と設計座標との水平方向の差分が大きい場合に、ステップS06の処理に戻り、測点4の再測量を行う。
【0047】
ステップS07からステップS06の処理に戻り、再測量を行う場合、制御部31は、設計座標P1から、設計座標P1と実測座標P2との高さ方向D5の差分(前述の高さdz)をオフセットさせた垂点座標P3を再測量させる。すなわち、測量装置2は、前回の実測座標P2を測量した際の視準方向から角度dφだけ仰角方向に回動させた方向を視準して再測量を行う。路面42は、実測座標P2の高さを基に求めた仮想的な水平面であるため、垂点座標P3が実際の路面上に位置しない場合があるが、再測量を行うことで設計座標P1に対して水平方向の差分(差分L1又は差分L2)がより小さい座標を測量することができる。
【0048】
同一の測点4を再測量した後のステップS07で、制御部31は、測量した測点4の設計座標P1と、実測座標P2との差分が予め定めた閾値を満たすか否か判定する。端末3は、設計座標P1と実測座標P2との差分が所定の閾値を満たす場合はステップS06の処理に進み、満たさない場合はステップS08の処理に進む。このように、ステップS06及びステップS07の再測量の処理を繰り返すことで、制御部31は、測点4の設計座標P1と実測座標P2との水平方向の差分L1,L2を小さくすることができるため、測点4の設計座標P1と現況座標との高さ方向D5の差分をより正確に求めることができる。
【0049】
なお、制御部31は、
図3の設定画面61におけるリトライ回数設定部616により予め再測量の制限回数の設定を受け付けて、ステップS07において、制限回数(例えば、3回)に達した再測量において実測座標P2と設計座標P1との差分が大きいと判断された場合、ステップS08以降の処理を行ってもよい。したがって、後述するように、ステップS09で、横断面51上の全ての測点4の測量が完了していない場合は、測量が完了できなかった測点4があった場合であっても、測量対象となる測点4を未測量の他の測点4に変更することができる。
【0050】
なお、測量が完了できない測点4は、例えば、路面上に車両が駐車又は停車している場合が挙げられる。
【0051】
測量装置2による測点4の測量が完了すると(ステップS08)、制御部31は、ステップS09において、横断面51上の全ての測点4の測量が完了したか判定する。制御部31は、横断面51上の全ての測点4の測量が完了した場合は(ステップS09;Yes)ステップS10の処理に進み、全ての測点4の測量が完了していない場合は(ステップS09;No)ステップS06の処理に戻る。
【0052】
ステップS09から遷移したステップS06の処理では、制御部31は、測量対象の測点4を未測定の測点4に変更する。具体的に、制御部31は、選択された横断面51に含まれる複数の測点4を測量部206に順次測量させる。測量は、例えばマップ画面62において横断面51の測点4を、左端点側から右端点側に向けて順に自動的に選択されて行われる。
【0053】
ステップS10で、端末3の表示部34は、横断面51に含まれる測点の測量結果として、測点4の識別情報(測点識別情報)と評価情報とを対応させて配置した測点4を、順に表示し、及び、測点4に対応した測量値を表示する。表示部34には、例えば、
図3の編集画面64が表示される。ユーザは編集画面64を参照することで測量の結果を容易に確認することができる。
【0054】
測量結果に異常がある、又は、測量漏れがあるとユーザが判断すると、ユーザは操作部33を介して再測量の指示を、端末3を介して測量装置2に送信する。ステップS11で、制御部31は、ユーザからの指示に基づき、測量結果に異常がある又は測量漏れがある場合にステップS06の処理に戻り、測量結果に異常がなく且つ測量漏れがない場合にステップS12の処理に進む。なお、再測量を行う場合、操作部33を介して再測量の測量対象の測点4を選択してもよい。また、例えば、測量結果に漏れがあった場合であっても、ユーザが測量結果に問題ないと判断した場合は、ステップS12の処理に進んでもよい。さらに、ステップS11において、制御部31は、測量結果に異常等があるか否かを自動判定してもよい。例えば、制御部31は、測量がされていない測点4が存在する場合、測点4の最終的な実測座標P2がセンターラインCL(横断中心)から路線の進行方向(縦断方向D3の予め定めた進行方向)又はその逆方向(縦断方向D3の予め定めた進行方向とは逆方向)に対して著しく離れていた場合、左右の測点4(観測点)に対し高低差が著しい場合、横断面51上の隣り合う測点4の実測座標P2が測量間隔(観測ピッチ)に対して著しく離れていた場合(例えば、
図5の左右方向に著しく離れていた場合)、及び、ユーザが指定した各閾値を満たさない測点4が存在する場合、の一つ又は任意の複数の場合に、測量結果に異常等があると判定することができる。
【0055】
ステップS12で、制御部31は横断面51の観測を終了させる。なお、制御部31は取得された測量データ352を任意に表示部34に表示させたり、ネットワークを介して通信接続された外部装置に出力させたりしてもよい。また、制御部31は、端末3に有線接続した持ち運び可能な記憶媒体に測量データ352を記憶させてもよい。
【0056】
(設計座標表示)
次に、編集画面64の他の表示例について説明する。
図7は、端末3の表示部34に表示される編集画面64Aを示す図である。編集画面64Aは、測点配置
図641Aを有する。測点配置
図641Aは、
図3の測点配置
図641と同様に、路線データ5を表示する機能を有する。
図3の測点配置
図641は路線データ5の平面図を示しているのに対して、測点配置
図641Aは路線データ5の特定の横断面51の横断図を示している。路線データ5は、XML等のファイルから取り込んだ設計データである。表示部34は、測点配置
図641Aに、横断面に含まれる測点4の設計データ(路線データ5)を表す第一図形4aを表示する。
図7の例では、第一図形4aは、菱形の図形である。第一図形4aの数及び位置は、路線選択部611により選択された路線データ5、横断面選択部613により選択された横断面51、及び、ピッチ設定部615により選択されたピッチに応じて決定される。また、第一図形4aの位置は、設計座標(P1)に従った位置に表示される。なお、測点配置
図641Aは横断図であるので、設計座標(P1)に従った位置は、横断方向D4と高さ方向D5について反映されている。
【0057】
端末3の表示部34に設計データである測点4を表示することにより、ユーザは、測量目標である横断図を作業前に確認することができる。そのため、ユーザは、自動観測の前に、路線データ5から測量対象の目標形状を確認し、測量対象が道路40(
図8参照)である場合は道路状況の整備等の事前準備を行い、又は、測量の作業イメージの推定を容易に行うことができる。
【0058】
また、表示部34は、測点配置
図641Aにおいて、第一図形4aに対応し、横断面に含まれる測点4の測量結果を表す第二図形4bを表示する。第二図形4bは、例えば、ステップS08で測量を終えた測点4から順次表示される。
図7の例では、第二図形4bは、菱形の図形である。なお、第一図形4aと第二図形4bは、円形、三角形若しくは四角形等の多角形、又はその他の図形であってもよい。第一図形4aと第二図形4bは、同じ図形であってもよいし、異なる図形であってもよい。第一図形4aと第二図形4bが同じ図形である場合は、異なる色で表示されてもよい。例えば、第一図形4aは赤の菱形で表示され、第二図形4bは緑の菱形で表示される。
【0059】
また
図7の例では、測点4の実測座標P2が設計座標P1よりも高さ方向D5に低いため、表示部34は、第二図形4bを第一図形4aよりも下方に表示する。
【0060】
測点情報表示部643Aは、測点4に関する具体的な情報を表示する。表示部34は、測点情報表示部643Aに、第一図形4aと第二図形4bとに対応する設計座標P1と実測座標P2との差分を、横断方向D4、縦断方向D3及び高さ方向D5のそれぞれについて表示する。また当該差分は、測点4の識別情報(例えば、測点名「701」、「702」、「703」)毎に対応して表示される。例えば、測点名「701」の測点4の設計座標と実測座標との縦断方向D3の差分(前後差)は縦断方向D3の正側(前側)へ1.695mであり、横断方向D4の差分(左右差)は横断方向D4の左側へ4.695mであり、高さ方向D5の差分(上下差)は高さ方向D5の下側へ7.412mである。測点配置
図641Aに示される測点4のうち、測点情報表示部643Aに一度に表示しきれない他の測点4(
図7では、測点名「704」、「705」)は、測点情報表示部643Aの表示範囲をスクロールさせる操作部33からの指示を受け付けることで表示させることができる。
【0061】
ユーザは、表示部34に表示された設計座標の位置を第一図形4aにより確認することで観測前に設計データの測点4の位置及び路面41の形状を確認することができる。また、ユーザは、観測中に、設計座標からの差分を、第二図形4b又は測点情報表示部643Aにより確認することができる。
【0062】
なお、表示部34は、第二図形4bに対応する測量済みの測点4の実測座標を、測点情報表示部643Aに表示してもよい。表示する実測座標P2は、縦断方向D3、横断方向D4及び高さ方向D5の一部又は全部の情報を含むことができる。従って、表示部34は、第二図形4bに対応する測量済みの測点4の実測座標、及び/又は、第一図形4aと第二図形4bとに対応する設計座標と実測座標との差分を、横断方向D4、縦断方向D3及び高さ方向D5のそれぞれについて表示することができる。
【0063】
このように、ユーザは、XML等のファイルから取り込んだ路線データ5(設計データ)から測点4の設計座標を表す第一図形4aと、実測座標を表す第二図形4bとを表示することで、現在の作業状況と測定対象の設計値を比較し、作業の妥当性を判断することができる。これに伴い、ユーザは、事務所に戻って実測座標が異常であることを後から気付くことを防止し、現場で事前に知ることができるため測量作業のやり直す等の作業工程の大幅な遅延を削減又は抑制することができる。
【0064】
なお、設計座標と実測座標との差分が妥当(又は異常)であるか否かの判断は、ユーザが行ってもよいし、制御部31等が自動で行ってもよい。例えば、制御部31は、設計座標と実測座標との差分が妥当(又は異常)であるか否かを、ステップS11で判断することができる。
【0065】
(連続自動観測)
次に、測量システム1を用いた連続自動観測機能の各作業又は処理の工程について、
図9の制御のフローチャートを参照して説明する。
図9の説明において、
図4と同様の処理については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略化する。
【0066】
制御部31は、連続観測切替部614により連続観測が選択された場合に、横断面選択部613により選択された複数の横断面51に対して連続自動観測を行う。
図8は、連続自動観測の例として、道路40の路面41,42を観測する例について示している。路線データ5は、道路40の縦断方向D3に所定の間隔で配置された複数の横断面51を含む。各横断面51は、複数の測点4を含む。また測点4は、設計座標P1と実測座標P2とを含む。
図8の例では、路線データ5の路面41は、道路40の中央が高くなるように設計されており、実際の現況データの路面42は、設計座標P1よりも高さ方向D5に低く且つ略平坦である状態を図示している。連続自動観測では、測量装置2が、一か所の観測点から一度の観測処理により、複数の横断面51に含まれる各測点4を観測する。
【0067】
図9は、連続自動観測を実行する制御部31の処理のフローチャートである。制御部31は、ステップS09において、横断面51上の全ての測点4の測量が完了した場合(ステップS09;Yes)ステップS13の処理に進み、横断面51上の全ての測点4の測量が完了していない場合は(ステップS09;No)ステップS06の処理に戻る。
【0068】
ステップS13で、制御部31は、全ての横断面51上の測点4の測量が完了したか判定する。制御部31は、全ての横断面51上の測点4の測量が完了した場合は(ステップS13;Yes)ステップS10の処理に進み、全ての横断面51上の測点4の測量が完了していない場合は(ステップS13;No)ステップS06の処理に戻る。
【0069】
ステップS13から遷移したステップS06の処理では、制御部31は、測量対象の測点4を未測定の横断面51に含まれる測点4に変更する。具体的に、制御部31は、選択された複数の横断面51に含まれる複数の測点4を測量部206に順次測量させる。制御部31は、例えばマップ画面62において下方側から上方側に向けて順に横断面51を選択し、各横断面51に含まれる測点4を自動的に測量する。
【0070】
連続自動観測機能によると、測量装置2は設定された範囲を一括で(連続で)観測するため、ユーザは作業の大幅な短縮を行うことができる。また、表示部34は、観測中に、
図7に示した測点配置
図641Aに、設計座標の横断面と測定済みの測点4を表示してもよい。これにより、ユーザは、自動観測途中に測定座標と設計座標との差分(横断方向D4、縦断方向D3及び高さ方向D5の一つ又は複数の差分)が大きいなどの異常が起こった際に、その場で即座に測量作業をやり直すことができる。これにより、連続観測を行いつつ測量をやり直す等の作業工程の大幅な遅延を削減又は抑制し、測量作業の効率化を図ることができる。
【0071】
以上のように、本実施形態では、測点4の位置を測量する測量部206と、測点4の設計座標P1の方向に測量部206の測量方向D1を向けて測量部206により測点4を測量させ、測量した実測座標P2と設計座標P1との差分が大きい場合に、設計座標P1から、設計座標P1と実測座標P2との高さ方向の差分(dz)をオフセットさせた位置を再測量する制御部31と、を備える測量システム1について説明した。
【0072】
また、測量装置2の測量部206が測点4の位置を測量する工程と、測点4の設計座標P1の方向に測量部206の測量方向D1を向けて測量部206により測点4を測量させ、測量した実測座標P2と設計座標P1との差分が大きい場合に、設計座標P1から、設計座標P1と実測座標P2との高さ方向の差分(dz)をオフセットさせた位置を再測量する工程と、をコンピュータに実行させるための非一過性の測量プログラム及び各前記工程を含む測量方法について説明した。
【0073】
本実施形態の測量方法では、いわゆるプリズム等のターゲット部材を測点4に配置する必要がないため、路線の測量を行う場合は車線規制を行うことなく素早く実施することができる。また、横断面51における測点4の測量や、横断面51を跨ぐ各測点4の測量は自動的に行うことができる。そのため、現況観測を効率良く行うことができる。
【0074】
以上で本開示の実施形態の説明を終えるが、本開示の態様はこの実施形態に限定されるものではない。
【0075】
例えば、端末3は、操作部33と表示部34とを一体装置に設けた例について説明したが、これに限らず端末3は複数の装置により別体に構成してもよい。すなわち、操作部33及び表示部34の機能を含む構成を端末とすることができる。
【0076】
また、本実施形態の測量システム1では、測量装置2としてトータルステーションを用いた例について説明したが、測量装置2としてGNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)受信装置を用いてもよい。この場合、作業者はGNSS受信装置を移動させて測設点を確認することができる。また、測量装置2としてレーザー墨出器を適用してもよい。
【0077】
また、
図4で説明した各ステップにおける処理は、制御部31により複数の工程を纏めて処理させてもよい。
【0078】
また、本実施形態では道路の路面に光を照射して、散乱光として反射された戻り光を検出することで測距する構成について説明したが、測量装置2から照射された光を反射して測量装置2に反射光を検出させることが可能な程度の強度で反射可能な反射部材(例えば、反射シート、ターゲット板等)を路面に設置してもよい。その路面に敷いた反射部材は、作業員等により支持が不要である場合は車両等の通行を許容して車線規制を不要としながらも測量を実施させることができる。
【0079】
また、本実施形態では、ステップS04で、操作部33(受付部)が、ピッチ設定部615により、選択された横断面51における測点4の測量間隔の設定を受け付ける構成について説明したが、測量対象とする横断面51の数の選択を受け付ける機能を有してもよい。
【0080】
また、測量装置2に測量指示を行う、設計座標P1と実測座標P2との差分を算出する等の制御部31の機能は、測量装置2の制御部207が有してもよい。例えば、測量システム1は、測量装置2及び端末3の機能を有した一体の装置を備えてもよい。
【0081】
また、測量装置2又は端末3は、撮影機能を有するカメラ部を備えていてもよい。測量装置2又は端末3は、カメラ部を用いて現場の異常点(例えば、設計座標P1と大幅に異なる実測座標P2が観測された測点4等)を撮影させてもよい。
【0082】
また、編集画面64には、測点4を、設計座標P1及び実測座標P2の一方又は両方を表示させてもよい。また、編集画面64において、測点4は、設計座標P1及び実測座標P2は切り替え可能に一方のみを表示させてもよい。
【0083】
また、ステップS07で制限回数に達した状態で設計座標P1と実測座標P2との差分が所定の閾値以上と判定された場合、端末3又は測量装置2は、表示部34,203等の任意の出力手段によってエラーを出力してもよい。
【0084】
また、ステップS07で制限回数に達した状態で設計座標P1と実測座標P2との差分が所定の閾値以上と判定された場合、端末3又は測量装置2は、表示部34,203等の任意の出力手段によってエラーを出力してもよい。
【0085】
また、設定画面61は、一度の測量実行によって自動的に測量可能な横断面51の数を設定する横断面数設定部を有してもよい。この横断面数設定部は、測量装置2の測量可能な距離に応じて(例えば、等級に応じて)、設定可能な横断面数の最大値の入力を規制してもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 測量システム
2 測量装置
3 端末
4 測点
5 路線データ
21 本体部
22 望遠鏡部
23 脚部
31 制御部
32 通信部
33 操作部
34 表示部
35 記憶部
40 道路
41 路面
42 路面
51 横断面
61 設定画面
62 マップ画面
63 待ち画面
64 編集画面
201 通信部
202 記憶部
203 表示部
204 操作部
205 回動駆動部
206 測量部
206a 測距部
206b 測角部
207 制御部
351 設計データ
352 測量データ
353 測量プログラム
611 路線選択部
612 標準断面選択部
613 横断面選択部
614 連続観測切替部
615 ピッチ設定部
616 リトライ回数設定部
621 測点名表示部
622 横断面名表示部
623 第一距離表示部
624 第二距離表示部
625 開始ボタン
626 スキップボタン
631 アイコン
641,641A 測点配置図
642 測点情報表示部
643,643A 測点情報表示部
A1 差分
A2 差分
CL センターライン
D1 測量方向
D2 基準点方向
D3 縦断方向
D4 横断方向
D5 高さ方向
L1,L2 差分
LC センターライン
Lt 測距光
P1 設計座標
P2 実測座標
P3 垂点座標
dz 高さ
dθ 角度
dφ 角度