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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172961
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】外科用器具システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/90 20060101AFI20231129BHJP
   A61B 17/17 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
A61B17/90
A61B17/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023085613
(22)【出願日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】10 2022 205 193.9
(32)【優先日】2022-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フランツ-ペーター ファームバッハ
(72)【発明者】
【氏名】スヴェニア アンホーン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL12
4C160LL27
4C160LL28
4C160LL29
(57)【要約】      (修正有)
【課題】可能な限り正確で、使用が容易で、かつ費用効率が高い、運動学的アライメントを実行するための外科用器具および器具システムを提供する。
【解決手段】髄内ロッドであって、近位ロッド端と遠位ロッド端との間で細長く、大腿骨の髄腔内への導入のためされるように適合されている髄内ロッドを有し、および基準ブロックであって、遠位ロッド端上にスライドされているまたはスライド可能であり、かつ近位方向に配向された、大腿骨の遠位顆と接触して支持するように適合されているブロック後面を有し、基準ブロックは遠位ロッド端に、軸受要素を介して取り付けられているまたは取付可能であって、軸受要素は遠位ロッド端を同軸にかつ半径方向に形状嵌合し受容するための受容ボアを有し、基準ブロックに対して少なくとも前後方向に配向された枢動軸まわりに枢動可能であるように、基準ブロックに取り付けられている外科用器具システム。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具システム(1)であって、
髄内ロッド(100、100a)であって、細長く、近位ロッド端(101、101a)と遠位ロッド端(102、102a)との間で大腿骨(F)の髄腔内へ導入されるように適合されている前記髄内ロッド(100、100a)と、
基準ブロック(200、200a)であって、前記遠位ロッド端(102、102a)上にスライドされているまたはスライド可能であるとともに、近位方向に配向され、前記大腿骨(F)の遠位顆に接触して支持するように適合されているブロック後面(201、201a)を有する前記基準ブロック(200、200a)と、を備えており、
前記基準ブロック(200、200a)は、前記遠位ロッド端(102、102a)に軸受要素(300、300a)を介して取り付けられているまたは取付可能であって、
前記軸受要素(300、300a)は、前記遠位ロッド端(102、102a)を同軸かつ半径方向に形状嵌合(form-hit)して受容するための受容ボア(301、301a)を有しており、前記基準ブロック(200、200a)に対して少なくとも前後方向に配向された枢動軸(S)周りに枢動可能であるように、前記基準ブロック(200、200a)に取り付けられている、外科用器具システム(1)。
【請求項2】
前記基準ブロック(200)は、円弧状に凹状に湾曲しており、内外側方向に互いに反対側に位置するガイド面(207、208)を有する滑動ガイドを有し、
前記軸受要素(300)は、円弧状に凸状に湾曲し、内外側方向に互いに反対側に位置する滑動面(308、309)を有し、
前記滑動面(308、309)は、前記枢動軸(S)周りに回転して滑動することができ、近位遠位方向および内外側方向に前記ガイド面(207、208)と形状嵌合的に協働することができる、請求項1に記載の外科用器具システム(1)。
【請求項3】
前記ガイド面(207、208)の夫々は、前記枢動軸(S)と平行であるとともに直線的に細長く、
前記滑動面(308、309)は、前記ガイド面(207、208)と並進滑動運動において前記枢動軸(S)に沿って協働する、請求項2に記載の外科用器具システム(1)。
【請求項4】
前記基準ブロック(200)は、受容スロット(209)を有し、
前記受容スロット(209)は、前記ブロック後面(201)から遠位方向に反対側に位置するブロック前面(202)に達し、前記枢動軸(S)と平行であるとともに直線的に細長く、内壁(2091、2092)を有しており、
前記内壁(2091、2092)は、内外側方向に互いに反対側に位置し、その上に前記ガイド面(207、208)が配置および/または形成されており、
前記受容スロット(209)は、前記軸受要素(300)を挿入するために、前方で前記基準ブロック(200)のブロック上面(203)に、または後方でブロック下面(204)に配置された挿入開口部(2093)を有する、請求項2または3に記載の外科用器具システム(1)。
【請求項5】
前記基準ブロック(200a)は、前記枢動軸(S)と同軸に配向された少なくとも1つの軸方向要素(220a、221a)を有する軸方向ガイドを有し、
前記軸受要素(300a)は、前記枢動軸(S)と同軸に配向された少なくとも1つの軸方向凹部(320a、321a)を有し、
前記軸方向要素(220a、221a)は、前記枢動軸(S)周りを滑動できるように前記軸方向凹部(320a、321a)に係合する、請求項1に記載の外科用器具システム(1a)。
【請求項6】
少なくとも1つの前記軸受要素(300、300a)が、前記基準ブロック(200、200a)上に解放可能に取り付けられており、
前記基準ブロック(200、200a)の傾斜角度を調整するために前記基準ブロック(200、200a)上に相互に交換可能に取り付け可能である、異なる傾斜の細長い受容ボア(301、301’、301’’)を有する複数の異なる軸受要素(300、300’、300’’)が設けられている、請求項1から5のいずれか一項に記載の外科用器具システム(1、1a)。
【請求項7】
前記遠位顆の異なる顕在した摩耗を補償するために、前記ブロック後面(201、201a)に相互に交換可能に適用可能である、異なる遠位近位方向の厚さを有する複数の異なる補償要素(500、500a、500’、500)が提供される、請求項1から6のいずれか一項に記載の外科用器具システム(1、1a)。
【請求項8】
切断ブロック(400、400a)が設けられており、
前記切断ブロック(400、400a)は、前記大腿骨(F)の前記遠位顆に対する切断の案内をするように適合され、前記基準ブロック(200、200a)の固定装置(212、212a)上に解放可能に固定または固定可能である、請求項1から7のいずれか一項に記載の外科用器具システム(1、1a)。
【請求項9】
前記髄内ロッド(100、100a)が、120mm~250mm、好ましくは150mm~220mm、特に好ましくは170mm~200mmの長さを有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の外科用器具システム(1、1a)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全人工膝関節置換術において使用するための外科用器具システムに関し、当該外科用器具システムは、近位ロッド端と遠位ロッド端との間で細長く、大腿骨の髄腔内へ導入されるように適合されている髄内ロッドを有し、基準ブロックであって、遠位ロッド端上にスライドされているまたはスライド可能であり、かつ近位方向に配向されているブロック後面であり、大腿骨の遠位顆と接触して支持するように適合されたブロック後面を有する基準ブロックを有する。
【背景技術】
【0002】
患者の損傷または摩耗した天然骨構造の人工置換物として整形外科用プロテーゼを使用することは、一般的な医療行為である。特に、人工股関節および膝関節全置換術は、外科的整形外科の標準的なレパートリーに属する。
【0003】
全膝関節置換術(TKA)では、疾患または事故による何らかの他の形で摩耗または病気になった大腿骨および/または脛骨の関節表面が膝関節プロテーゼと置き換えられる。
そのような膝関節プロテーゼは、従来、大腿骨の遠位端に移植される大腿骨パーツと、脛骨の近位端に移植される脛骨パーツとを備える。人工関節置換において機能が損なわれないことを確実にするために、前記パーツは、患者の生体構造および患者の身体軸に関連するそれらの位置および配向に関して、可能な限り正確に規定された方法で位置決めされる必要がある。そうでなければ、患者にとって不満足な結果が予想され得る。パーツの位置決めに関して、様々な外科的アプローチが存在する。
【0004】
機械的アライメントとして知られ、かつ従来からある1つのアプローチによれば、人工膝関節の人工関節軸の位置およびアライメントは、患者の整形外科的変形(ある場合)は考慮しない程度で、機械的に理想的にアライメントされる。この場合では、脛骨の長手方向軸がアライメント及び位置決めのための基準軸として使用されることが多い。臨床研究は、機械的アライメントアプローチは、不自然だと感じる人工膝関節の働きをもたらし得ることを示している。
【0005】
別のアプローチとして、いわゆる運動学的アライメントが知られている。この手技では、大腿骨パーツおよび脛骨パーツは患者の整形外科的変形がある場合、それを考慮しながら位置決めされる。この場合、目的は患者の自然な関節アライメントを再現することであり、これは、変形によって影響される可能性もあり得る。臨床研究は、運動学的アラインメントアプローチが患者の満足度が高まることにつながることが多いことを示している。特に、人工膝関節の機能は、患者によってより自然であると感じられる。
【0006】
患者の満足度をさらに向上させたいという要望に伴い、可能な限り正確で、使用が容易で、かつ費用効率が高い、運動学的アライメントを実行するための外科用器具および器具システムが基本的に必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はそのような外科用器具システムに関し、特に、運動学的アラインメントの範囲内で遠位大腿骨切断ブロックを位置決めするための外科用器具システムに関する。
【0008】
髄内ロッドおよび基準ブロックを有するそのような外科用器具システムは、米国特許出願公開第10,130,375 B2号明細書から公知である。髄内ロッドは、近位ロッド端と遠位ロッド端との間で細長く、大腿骨の髄腔に導入するように適合されている。基準ブロックは、大腿骨の遠位顆に接触して支持するように適合された、近位方向に配向されたブロック後面を有する。基準ブロックはさらに、遠位大腿骨切断ブロックの解放可能な固定のための固定装置を有する。大腿骨側に位置決めするために、基準ブロックは、遠位ロッド端から始まって近位方向に髄内ロッド上にスライドすることができる。この目的のために、既知の外科用器具システムの基準ブロックは、長手方向孔を有する。長手方向孔はブロック後面と、遠位方向に反対側にあるブロック前面との間で軸方向に延び、内外側方向に細長く延在する。その結果、基準ブロックはスライドされたときに、内外側方向に制限された方法で相対的に移動可能である。基準ブロックはさらに、前後方向に配向された傾斜軸の周りで髄内ロッドに対して傾斜可能であり、長手方向孔に受容された髄内ロッドに対する傾斜軸の位置は、一意的に画定されず、決まった範囲内で可変である。
【0009】
本発明の目的は導入部で述べたタイプの外科用器具システムを提供することであり、これは、基準ブロックの位置及び向きの正確な調整を可能にし、最終的に改善された手術結果を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、基準ブロックは遠位ロッド端に、軸受要素を介して取り付けられているまたは取付可能であって、軸受要素は遠位ロッド端を同軸にかつ半径方向に形状嵌合しながら受容するための受容ボアを有し、基準ブロックに対して少なくとも前後方向に配向された枢動軸まわりに枢動可能であるように、基準ブロックに取り付けられているという点で達成される。本発明による解決策は、髄内ロッド上への基準ブロックの改善された取り付けを達成する。従来技術から知られている解決策と比較して、本発明は、基準ブロックの運動学的に明確に定められた相対移動度を可能にする。このようにして、基準ブロックの位置及び向きを正確に調整することができる。特に、前後方向に配向された枢動軸を中心とする基準ブロックの枢動によって、内反-外反角度を正確に調整することができる。
このようにして、膝関節置換の運動軸のミスアライメントを回避することができ、改善された手術結果が可能になる。基準ブロックは骨髄内ロッド上に、間接的に、具体的には軸受要素によって取り付けられるか、または取り付け可能である。この目的のために、軸受要素は、前記受容ボアを有する。受容ボアは、髄内ロッドに対して寸法的に相補的に構成される。基準ブロックがスライドされると、受容ボアと髄内ロッドとは互いに同軸に整列され、髄内ロッドは、径方向に形状が嵌合して受容ボア内に受容される。形状嵌合のために、軸受要素および髄内ロッドは、内外側方向および前後方向の両方で互いに対して固定される。髄内ロッドに対する基準ブロックの枢動は、基準ブロックへの軸受要素の枢動可能な取り付けによって可能になる。取付けは例えば、滑動ガイド、軸方向ガイドなどとして構成されてもよく、一方では基準ブロック上に、他方では軸受要素上に配置および/または形成される構成パーツおよび/またはセクションを備えてもよい。
【0011】
本明細書で使用される位置および方向の用語は患者の身体、特に患者の大腿骨を指し、それらの従来の解剖学的意味に従って理解されるべき程度まで言及する。したがって、「前方」は前方を意味するか、または前方に横たわることを意味し、「後方」は後方を意味するか、または後方に横たわることを意味し、「内側(medial)」は内側を意味するか、または内側へ横たわることを意味し、「外側(lateral)」は外側を意味するか、または外側へ横たわることを意味し、「近位」は、身体の中心に向かうことを意味し、「遠位」は身体の中心から遠ざかることを意味する。さらに、「近位遠位方向の」は近位遠位方向に整列された軸に沿っていること、好ましくは平行であることを意味し、「前後方向の」は前後方向に整列された軸に沿っていること、好ましくは平行であることを意味し、「内外側方向の」は、内外側方向に整列された軸に沿っていること、好ましくは平行であることを意味する。前記軸は、互いに直交して整列され、当然、患者の解剖学的構造と接続されていないX、Y、およびZ軸と関連して設定されてもよい。例えば、近位遠位軸は代替的に、X軸と称してもよい。内側外側軸は、Y軸と称してもよい。前後軸は、Z軸と称してもよい。改善された説明のために、および用語の簡潔さのために、前記解剖学的位置および方向の用語は、主に以下で使用される。さらに、例えば基準ブロックの、外科用器具システムのパーツまたはセクションの「後面」などの用語は、近位方向に指向した観察方向に関して使用される。逆に、「前面」などの用語は、遠位方向に指向した視野方向に関して使用される。
【0012】
本発明の一実施形態では、基準ブロックは円弧状に凹状に湾曲し、内外側方向に互いに反対側に位置するガイド面を有する滑動ガイドを有し、および、軸受要素は円弧状に凸状に湾曲し、内外側方向に互いに反対側に位置する滑動面を有し、滑動面は枢動軸まわりに回転して滑動することができ、近位遠位方向および内外側方向にガイド面と形状嵌合的に協働することができる。このようにして、設計上は特に単純であるが、それにもかかわらず正確で丈夫な枢動可能な取付けが、軸受要素と基準ブロックとの間で達成される。ガイド面および滑動面はそれぞれ、前方または後方に向いた視野方向に関して円弧の形状である。ガイド面及び滑動面は互いに補完的に湾曲しており、ガイド面は凹状であり、滑動面はそれぞれ凸状である。ガイド面は、滑動ガイドの内径を画定する。滑動面は、相補的な外径を画定する。外径は内径に適合する。嵌合は、好ましくは遊びがないと同時に、軸受要素と基準ブロックとの間で十分に滑らかで正確な相対移動が達成されるように選択される。好ましくは、受容ボアが軸受要素の対向する滑動面の間に、好ましくは中央に、内外側方向に配置される。対向するガイド面は、第1ガイド面および第2ガイド面、あるいは内側ガイド面および外側ガイド面と呼ばれてもよい。滑動面についても、必要な変更は加えたうえで、同様のことが準用される。
【0013】
本発明の別の実施形態では、ガイド面はそれぞれ、枢動軸と平行に直線的に細長く、滑動面は、ガイド面と並進滑動運動において枢動軸に沿って協働する。このようにして、基準ブロックは、髄内ロッドに対して前後方向に滑動することができる。これにより、基準ブロックの前後方向の位置を調整することができる。このようにして、基準ブロックの位置決めは、改善された方法で、大腿骨の所与のサイズに適合させることができる。それらが直線的に延在しているため、対向するガイド面はそれぞれ、実質的にガイド経路を形成する。基準ブロックは、軸受要素に対して上端位置と下端位置との間で、枢動軸および/またはガイド経路に沿って並進移動可能である。
【0014】
本発明の別の実施形態では、基準ブロックは受容スロットを有し、受容スロットはブロック後面から遠位方向に反対側に位置するブロック前面に達し、枢動軸と平行に直線的に細長く、内壁を有しており、内壁は内外側方向に互いに反対側に位置し、それの上に前記ガイド面が配置されているおよび/または形成されており、受容スロットは軸受要素を挿入するために、前方で基準ブロックのブロック上面にまたは後方でブロック下面に配置された挿入開口部を有する。受容スロットは、基準ブロック上の軸受要素の、またはその逆の、特に単純で時間を節約する適用を可能にする。例えば、軸受要素は最初に、受容ボアと共に近位方向に遠位ロッド端上にスライドされてもよい。基準ブロックは、その後、挿入開口部が軸受要素上の(前方)ブロック上面に配置されているか、または(後方)ブロック下面に配置されているかに応じて、前方向または後方向へ枢動軸に沿ってスライドされてもよい。代替的に、軸受要素は髄内ロッド上に摺動される前に、受容スロット内に導入されてもよい。一実施形態では、挿入開口部は基準ブロックのブロック上面に配置される。別の実施形態では、挿入開口部はブロック下面に配置される。ブロック上面とブロック下面とは、前後方向において互いに対向している。好ましくは、受容スロットは基準ブロックを外側ブロック区域と内側ブロック区域とに細分する。内側ブロック区域の後面は、大腿骨の内側遠位顆に接触して支持するように適合されている。外側ブロック区域の後面は、大腿骨の外側遠位顆に接触して支持するように適合されている。
【0015】
本発明の別の実施形態では、基準ブロックは枢動軸と同軸に配向された少なくとも1つの軸方向要素を有する軸方向ガイドを有し、および、軸受要素は枢動軸と同軸に配向された少なくとも1つの軸方向凹部を有し、軸方向要素は、枢動軸まわりを滑動できるように軸方向凹部に係合する。軸方向要素は、好ましくはピン、ボルト、および/またはペグとして構成され、その結果、軸方向ピン、軸方向ボルト、または軸方向ペグという用語も使用されてもよい。軸方向ガイドは、設計上比較的簡単に構成される。これは、単純な製造および組み立て、ならびに関連するコストの節約を可能にする。しかしながら、同時に、十分に正確な枢動可能な取付けを達成することができる。一実施形態では、基準ブロックは2つの軸方向要素を有し、軸受要素は対応して2つの軸方向凹部を有し、その各々は軸方向要素のうちの1つと協働する。この文脈において、前部軸方向要素および後部軸方向要素という用語も使用されてもよい。同様のことが、必要な変更を加えて、軸方向凹部にも当てはまる。前記実施形態では、受容ボアは好ましくは前後方向において、好ましくは前部軸方向凹部と後部軸方向凹部との間で中央に配置される。
【0016】
本発明の別の実施形態では、少なくとも1つの軸受要素が基準ブロック上に解放可能に取り付けられており、および、基準ブロックの傾斜角度を調整するために基準ブロック上に相互に交換可能に取り付け可能である、異なる傾斜の細長い受容ボアを有する複数の異なる軸受要素が設けられる。複数の異なる軸受要素は、好ましくは受容ボアの傾斜に関してのみ互いに異なる。好ましくは、異なる軸受要素は、他の点で同一である。互いに異なる傾斜の複数の細長い受容ボアのために、基準ブロックの傾斜角度は、それぞれの軸受要素の対応する選択によって、簡単かつ正確に調整することができる。好ましくは、複数の受容ボアは基準ブロックの近位に配向されたブロック後面に対して異なって傾斜している。この場合、複数の受容ボアは、前方向および/または後方向において、ブロック後面の法線方向に対して互いに異なって好ましくは傾斜している。これは、基準ブロックの屈曲-伸展角度、すなわち、内外側方向に整列された軸周りのその回転角度の簡単かつ正確な調整を可能にする。
【0017】
本発明の別の実施形態では、遠位顆の異なる顕在した摩耗を補償するために、ブロック後面に相互に交換可能に適用可能である、異なる遠位近位方向の厚さを有する複数の異なる補償要素が提供される。導入部で述べたように、外科用器具システムは、運動学的アライメントアプローチの実施を意図している。このアプローチは、従来、顆摩耗の寸法補償を提供する。この目的のために、本発明のこの実施形態では、外科用器具システムは互いに入れ替え可能である、異なる近位の厚さを有する複数の異なる補償要素を有する。
【0018】
本発明の別の実施形態では、切断ブロックが設けられており、切断ブロックは大腿骨の遠位顆に対する切断の案内をするように適合され、基準ブロックの固定装置上に解放可能に固定されているまたは固定可能である。切断ブロックは、切削ブロックまたは切断治具と呼ばれてもよい。切断ブロックは、鋸刃を受け入れて案内するための少なくとも1つの案内スロットを有する。そのような切断ブロックの基本的な構成および機能は、当業者に知られている。固定装置は、好ましくは基準ブロックの前方ブロック上面の領域に配置される。
【0019】
本発明の別の実施形態では、髄内ロッドは120mm~250mm、好ましくは150mm~220mm、特に好ましくは170mm~200mmの長さを有する。
【0020】
本発明のさらなる利点および特徴は、図面を用いて表される、本発明の好ましい例示的な実施形態の特許請求の範囲および以下の説明に見出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】髄内ロッド、基準ブロック、軸受要素、および切断ブロックを有する本発明による外科用器具システムの一実施形態の概略斜視図を示す。
図2】ブロック後面に向けられた視野方向における図1による外科用器具システムの基準ブロックおよびベアリング要素の概略斜視図を示す。
図3図1による外科用器具システムを使用するときの手術中の状況の概略斜視図を示す。
図4図1による外科用器具システムの側方に向けられた視野方向を有する概略側面図を示す。
図5図4による切断線B-Bに沿った概略縦断面図を示す。
図6図1~5による外科用器具システムの後方に向けられた視野方向を有する概略平面図を示す。
図7図6による断面線A-Aに沿った概略縦断面図を示す。
図8】異なる傾斜した受容ボアを有する異なる軸受要素の概略斜視図を示す。
図9】本発明による外科用器具システムの別の実施形態の手術中の状況における概略斜視図を示す。
図10図9による外科用器具システムの基準ブロックおよび軸受要素の概略斜視図を示す。
図11図9による外科用器具システムの後方に向いた視線方向を有する概略平面図を示す。
図12図11による断面線A-Aに沿った概略縦断面図を示す。
図13図9図12による外科用器具システムを、内側に向けられた視線方向を有する概略側面図で示す 。
図14図13の切断線C-Cに沿った概略縦断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1~7によれば、全膝関節置換術に使用するための外科用器具システム1が提供され、これは、髄内ロッド100と、基準ブロック200と、少なくとも1つの軸受要素300と、切断ブロック400と、少なくとも1つの補償要素500とを有する。
【0023】
髄内ロッド100は、近位ロッド端101と遠位ロッド端102との間で直線的に細長く、大腿骨Fの髄腔に導入するように適合されている(図3参照)。髄内ロッド100(以下、「ロッド」と略記する)は使用中、大腿骨Fの近位遠位方向軸と同軸に整列される。使用中、遠位ロッド端102は大腿骨Fの端部から突出し、後者(大腿骨F)の遠位顆を越えて突出し、大腿骨Fの外側遠位顆KLのみが図3において可視となる。
【0024】
基準ブロック200は、ロッド100上に後者(ロッド100)の軸方向でスライドさせることができる。基準ブロック200は、ブロック後面201、ブロック前面202、ブロック上面203、ブロック下面204、およびブロック外面205、206を有する。ブロック後面201は、近位方向に配向される。すなわち、ブロック後面201の面法線(参照符号なし)は、近位遠位方向軸(図1)に沿って位置合わせされ、位置合わせは以下でより詳細に説明されるように、必ずしも平行である必要はない。ブロック前面202は、遠位方向にてブロック後面201の反対側に位置する。ブロック上面203は、基準ブロック200上で前方向に配置される。ブロック下面204は、後方向にてブロック上面203の反対側に位置する。2つのブロック外面205、206は内外側方向において互いに反対側にあり、外側ブロック外面205および内側ブロック外面206とも呼ばれてもよい。
【0025】
近位に配向されたブロック後面201は、大腿骨Fの前記遠位顆に接触して支持(当接)するように適合されている(図3参照)。基準ブロック200は、軸受要素300によって遠位ロッド端102に取り付けられる。
【0026】
この目的のために、軸受要素300は、遠位ロッド端102を同軸に、および半径方向において形状嵌合しながら受容するために適合された受容ボア301を有する。さらに、軸受要素300は少なくとも前後方向に配向された枢動軸Sを中心として基準ブロック200に対して枢動することができるように、基準ブロック200に取り付けられる。
【0027】
軸受要素300は、近位に配向された後面302と、遠位方向にて反対側に位置する前面303と、前方に配向された上面304と、後方向にて反対側に位置する下面305と、内外側方向にて互いに反対側に位置する外面306、307とを有する。後者(外面306、307)は、外側外面306および内側外面307と称してもよい。受容ボア301は、後面302と前面303との間で長手方向軸L(図8参照)に沿って細長い。長手方向軸Lおよび枢動軸Sは、軸受要素300の場合、互いに直交して整列される。以下でより詳細に説明するように、それとは異なるアライメントも提供される。
【0028】
ロッド100の外周(参照符号なし)および受容ボア301は、受容ボア301の半径方向に嵌合する形状を以て実質的に遊びなしに協働する。受容ボア301の軸方向、すなわち長手方向軸Lに沿って、つまりは近位遠位方向軸に沿って、軸受要素300は、ロッド100に対して滑動することによって移動することができる。さらに、軸受要素300は長手方向軸Lを中心としてロッド100の円周方向に原理的に回転可能である。これ以外では、軸受要素300とロッド100との間での互いに対する相対移動は不可能である。
【0029】
基準ブロック200と軸受要素300との間の枢動可能な取付けのために、基準ブロック200はロッド100に対して、したがって大腿骨Fに対しても、枢動軸S周りの異なる角度位置に位置決め可能である。これは切断ブロック500によって後に実行される大腿骨Fの遠位切除のための内反-外反角度の容易かつ正確な調整を可能にする。
【0030】
枢動軸Sは受容ボア301の長手方向軸Lと交差し、したがって、ロッド100の長手方向軸(別個の参照符号なし)とも交差する。
【0031】
図1から図7による実施形態では、枢動可能な取り付けのために、ガイド面207、208および滑動面308、309を有する滑走ガイドがある(特に図5参照)。
【0032】
この場合、基準ブロック200は、ガイド面207、208を有する。一方、軸受要素は、滑動面308、309を有する。
【0033】
ガイド面207、208は内外側方向において互いに反対側にあり、それぞれ、前方または後方に向いた視線方向(図5参照)に関して、円弧状で凹状に湾曲している。滑動面308、309は、ガイド面207、208と相補的に成形されている。したがって、滑動面308、309は、軸受要素300上で内外側方向に互いに反対側に配置され、円弧状で凸状に湾曲している。滑動面308、309は枢動軸Sを中心とする回転滑動運動においてガイド面207、208と協働する。前記面207、307、208、308は近位遠位方向に、したがって長手方向軸Lに沿って、形状嵌合で協働する。さらに、内外側方向においても形状嵌合がある。
【0034】
ガイド面207、208は、内側ガイド面207および外側ガイド面208と称してもよい。言い換えれば、内側ガイド面207は、枢動軸Sおよび/またはロッド100の内側にある。一方、外側ガイド面208は、枢動軸および/またはロッド100の外側にある。滑動面308、309は、内側滑動面308および外側滑動面309と称してもよい。内側滑動面308は、内側外面307に配置されるか、またはそれによって形成される。ここでは、後者のケースである。外側滑動面309は、外側外面306によって形成される。
【0035】
本例ではガイド面207、208はそれぞれ、枢動軸Sに平行に直線的に細長い。直線的および平行な長手方向の範囲のため、ガイド面207、208はいわゆる枢動軸Sに沿って延びるガイド経路Eを形成する(特に図2参照)。基準ブロック200および軸受要素300はガイド経路Eに沿って並進運動で互いに対して変位可能である。このようにして、基準ブロック200は、ロッド100に対して、したがって大腿骨Fに対しても、前後方向軸において異なる位置に位置決め可能である。言い換えれば、基準ブロック200は遠位大腿骨F上のその高さ軸(詳細には示されていない)に対して異なる位置で位置決め可能である。このようにして、基準ブロック200の位置は異なるサイズの複数の大腿骨に応じて容易かつ正確に適合できる。図3を用いて示されるように、基準ブロック200は、下端位置と上端位置との間で、軸受要素300に対してガイド経路E(図2)に沿って変位可能である。図3には、例えば、下端位置の領域における位置決めが示されている。基準ブロック200が図3に示される位置から始まって、それがガイド面207、208の下端に達するまで図面の平面において上方に変位されたとき、上端位置が占有される。
【0036】
本ケースにおいては、基準ブロック200は、ブロック後面201から遠位方向において反対側にあるブロック前面202に達する受容スロット209を有する。受容スロット209は、枢動軸Sおよび/またはガイド経路Eに平行に直線的に細長く、内外側方向に互いに対向する内壁2091、2092を有し、その上にガイド面207、208が配置および/または形成されている。ここでは、後者のケースである。受容スロットはさらに、ここではブロック下面204に配置された挿入開口部2093を有する。挿入開口部2093は、軸受要素300を受容スロット209内に挿入するように適合されている。受容スロット209はさらに、端壁2094を有する。端壁2094は、枢動軸Sに沿った前方向において挿入開口部2093の反対側にある。端壁2094は軸受要素300、より正確にはその上面304(図7参照)のためのストッパを形成する。
【0037】
図示の実施形態では、受容スロット209は基準ブロック200を外側ブロックセクション201と内側ブロックセクション211とに細分する(特に図6参照)。したがって、ブロック後面201は、外側ブロック後面および内側ブロック後面に細分される(両方とも参照符号なし)。
【0038】
図8を用いて分かるように、この場合の外科用器具システム1は複数の異なる軸受要素300、300’、300’’を有する。これらは第1軸受要素300、第2軸受要素300’、および第3軸受要素300’’と称してもよい。軸受要素300、300’、300’’は実質的に同一の構成および機能性を有し、それぞれの受容ボア301、301’、301’’の長手方向軸L、L’、L’’の位置合わせに関してのみ異なる。長手方向軸L、L’、L’’は、それぞれ異なる傾斜角度で細長い。ブロック後面201の法線方向Nに関して、異なる傾斜角が示されている。法線方向Nは図8において、例えば、第2軸受要素300’および第3軸受要素300’’に示されている。第1軸受要素300の場合、法線方向Nは長手方向軸Lと一致する。軸受要素300、300’、300’’はそれぞれ、基準ブロック200上に相互交換可能に取り付けることができる。
【0039】
分解するためには、図2に示される構成から開始して、軸受要素300を後方向に受容スロット209から引き出すことができる。組み立ては、逆の方法で運動学的に実行される。異なるように傾斜された長手方向軸L、L’、L’’は大腿骨Fに対して異なる傾斜角度で選択的に位置決めされてもよい。特に、いわゆる屈曲伸展角度はこのようにして、容易かつ正確に適合できる。長手方向軸L、L’、L’’は設定された角度増分において互いに異なる。その結果、基準ブロック200の角度的アライメントの適応は、設定された所定の増分で実行することができる。基準ブロック200の傾斜の調整は、この場合、枢動軸S及び長手方向軸Lの両方と交差する、内外側方向に配列された軸周りで実行される。
【0040】
図示の実施形態では、外科用器具システム1は前記(任意の)切断ブロック400をさらに有する。切断ブロック400の機能および構成は、原則として当業者に周知である。切断ブロック400は、大腿骨Fの遠位顆の切除のための鋸刃を受け入れて案内するために使用される。切断ブロック400は固定装置212によって基準ブロック200上に解放可能に適用される。固定装置212および切断ブロック400の詳細は、本発明に関して本質的に重要ではない。したがって、これらに関するさらなる説明は省略し得る。
【0041】
(任意の)補償要素500は外側遠位顆KLの摩耗(詳細には図示せず)を補償するように適合され、この目的のために、ブロック後面201上に解放可能に固定される。補償要素は、外側顆KLの前記摩耗の量にほぼ一致する近位遠位方向の厚さ(詳細には示されていない)を有する。異なる量の摩耗を補償するために、外科用器具システム1はこの場合、複数の異なる補償要素500、500’、500’’(図4参照)を有する。単に図式的な理由のために、補償要素500のみが詳細に表されている。補償要素500、500’、500’’は異なる近位遠位方向の厚さを有し、ブロック後面201上に相互に交換可能に適用できる。補償要素500、500’、500’’およびブロック後面201におけるそれらの適用は、本発明に関して必須ではない。したがって、これらに関するさらなる説明は省略され得る。
【0042】
図示の実施形態では、髄内ロッド100が175mmの長さを有する。図面に示されていないいくつかの実施形態では、長さは120mm~250mmである。
【0043】
図9から図14は、本発明による外科用器具システム1aの別の実施形態を示す。その機能および構成は、図1から図7による外科用器具システム1と実質的に同一である。繰り返しを避けるために、図1から図7による外科用器具システム1からの外科用器具システム1aの本質的な相違のみが、主に以下で論じられる。機能的に等価である構成部品および/またはセクションは、小文字「a」が追加された同一の参照番号によって示される。機能的に等価である構成部品および/またはセクションは、別途説明されない。代わりに、外科用器具システム1に関するコメントについて言及し、明示的に言及する。
【0044】
外科用器具システム1aは主に、基準ブロック200aと軸受要素300aとの間の枢動の異なる実装によって異なる。枢動可能な取付けのために、本ケースでは軸方向ガイドが設けられる。軸方向ガイドは、枢動軸Sと同軸に配向された軸方向要素220a、221aと、対応する軸方向凹部320a、321aとを有する(特に図12参照)。本ケースでは、軸方向要素220a、221aは、基準ブロック200aに割り当てられる。軸方向凹部320a、321aは、軸受要素300a上に配置および/または形成されている。
【0045】
軸方向要素220a、221aは、互いに同軸に並んでいる。軸方向凹部320a、321aについても同様である。軸方向要素220a、221aおよび軸方向凹部320a、321aは枢動軸S周りの滑動運動において協働する。この目的のために、軸方向要素220a、221aのうちの1つは、それぞれ、軸方向凹部320a、321aのうちの1つに軸方向に係合する。軸方向要素220a、221aおよび軸方向凹部320a、321aの両方は、本ケースにおいて、受容ボア301aの長手方向軸に対して垂直に並んでいる。
【0046】
長手方向軸Lに関して、前方軸方向要素220aおよび後方軸方向要素221aという用語もまた、本ケースにおいて使用してもよい。
これは、必要な個所は変更して、軸方向凹部320a、321aにもあてはまる。
【0047】
前方軸方向凹部320aは、軸受要素300aの上面304aに後方向へ凹んでいる。
後方軸方向凹部321aは、軸受要素301aの下面305aに前方向へ凹んでいる。
2つの軸方向凹部320a、321aは、それぞれ非貫通孔の形態で軸受要素300aに導入されている。
【0048】
軸方向要素220a、221aはそれぞれ、基準ブロック200a上に解放可能に固定され、本ケースではそれぞれ、皿ねじの形態で、基準ブロック200aのそれに適したねじ山にねじ込まれる。軸方向要素220a、221aを解放するために、それらはそれぞれ、相補的なツールを受け入れるためのツール面(参照符号なし)を備える。
【0049】
図示の実施形態では、軸受要素300aは基準ブロック200aの中空円筒形突出部222aに取り付けられている。突出部222aは受容切欠き部223a(図14)を有し、軸受要素300aは、上述のように枢動可能に取り付けられる。受容切欠き部223aは、孔224a(図14)へ近位方向に開口している。孔224aは遠位ロッド端102aを受容するために使用され、遠位ロッド端102aは、ブロック後面201aから始まって孔224aを通ってそこから、さらに基準ブロック200aを通って受容ボア301aを通って案内できる。
【0050】
外科用器具システム1の軸受要素300とは対照的に、軸受要素300aは、基準ブロック200a上の枢動軸Sに沿って前後方向に直線的に変位可能に取り付けられていない。
【0051】
それにもかかわらず、切断ブロック400aの前後方向での調節を可能にするためには、固定装置212aは、基準ブロック200aに対して対応して変位可能である。この目的のために、基準ブロック200aは、固定装置212aのガイドペグ2121aが軸方向に係合するガイドボア225a(図10)を有する。
【0052】
その他の点では、固定装置212aの機能及び構成の残りの部分は本発明に関して必須ではないので、これらに関するさらなる説明は省略できる。
【0053】
したがって、補償要素500aの機能性に関して、外科用器具システム1に関するコメントが適用される。さらに、異なる近位遠位方向の厚さを有する複数の異なる補償要素が、ここでも設けられてもよい。
【0054】
図8を参照すると、外科用器具システム1aは、基準ブロック200a上に相互交換可能に取り付けることができる、異なる傾斜した長手方向軸を有する複数の異なる軸受要素をここでも有してもよい。軸受要素を変更するために、軸方向要素は、基準ブロック200aから解放され、再締結されてもよい。これは、上述のねじ接続によって行われる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【外国語明細書】