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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172971
(43)【公開日】2023-12-06
(54)【発明の名称】チップの認識学習システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 1/06 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
A63F1/06 Z
A63F1/06 A
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023145172
(22)【出願日】2023-09-07
(62)【分割の表示】P 2018564513の分割
【原出願日】2018-01-17
(31)【優先権主張番号】P 2017010188
(32)【優先日】2017-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000103301
【氏名又は名称】エンゼルグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230120651
【弁護士】
【氏名又は名称】山口 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(74)【代理人】
【識別番号】100220423
【弁理士】
【氏名又は名称】榊間 城作
(72)【発明者】
【氏名】重田 泰
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プレーヤが賭けたチップを精度よく認識できるチップの認識学習システムを提供する。
【解決手段】チップの認識学習システム10は、遊技テーブル上に積み重ねられたチップの状態をカメラ212により画像として記録するゲーム記録装置11と、記録されたチップの状態の画像を画像分析して、プレーヤが賭けたチップの枚数および種類を判定する人工知能装置12aを含むチップ判定装置12と、チップ判定装置12の判定結果に誤りの疑いありと判定された場合に、チップ判定装置12の判定に用いられた画像および誤りに対する正解のチップの枚数および種類を教師データとして人工知能装置12aに入力して学習させる教師装置13と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技テーブルを有する遊技場におけるチップの認識学習システムであって、前記遊技テーブルはバカラテーブルであり、
前記遊技テーブル上に積み重ねられたチップの状態をカメラであって、1台のカメラが撮影する画像に、ベット対象を示すエリアが複数含まれるカメラにより画像として記録するゲーム記録装置と、
前記記録されたチップの状態の画像を画像分析して、プレーヤが賭けたチップの枚数および種類ならびにベット対象を判定する人工知能装置を含むチップ判定装置と、
前記チップ判定装置の判定結果に誤りの疑いありと判定された場合に、前記チップ判定装置の判定に用いられた画像および前記誤りに対する正解のチップの枚数および種類を教師データとして前記人工知能装置に入力して学習させる教師装置と、を備えたチップの認識学習システム。
【請求項2】
請求項1に記載のチップの認識学習システムであって、
前記教師装置は、前記チップ判定装置の判定結果が正しいと判定された場合に、前記チップ判定装置の判定に用いられた画像および前記判定結果のチップの枚数および種類を教師データとして前記人工知能装置に更に入力して学習させる、チップの認識学習システム。
【請求項3】
遊技テーブルを有する遊技場におけるチップの認識学習システムであって、前記遊技テーブルはバカラテーブルであり、
前記遊技テーブル上に積み重ねられたチップの状態をカメラであって、1台のカメラが撮影する画像に、ベット対象を示すエリアが複数含まれるカメラにより画像として記録するゲーム記録装置と、
前記記録されたチップの状態の画像を画像分析して、プレーヤが賭けたチップの枚数および種類ならびにベット対象を判定する人工知能装置を含むチップ判定装置と、を備え、
前記人工知能装置は、前記チップ判定装置の判定結果に誤りの疑いありと判定された場合に、前記チップ判定装置の判定に用いられた画像および前記誤りに対する正解のチップの枚数または種類を教師データとして教師装置により入力されて学習する、チップの認識
学習システム。
【請求項4】
請求項1または3に記載のチップの認識学習システムであって、
前記チップ判定装置の判定結果の正否を判定する制御装置を更に備え、
前記チップ判定装置は、前記遊技テーブルで行われるゲームにおいて前記遊技テーブルが備えるチップトレイのチップの種類および枚数、ならびに各プレーヤが賭けるチップの位置、種類および枚数を、前記ゲーム記録装置に記録された画像から判定可能であり、
前記制御装置は、各プレーヤが賭けた負けチップのすべての回収が終わったときに、チップトレイにおけるチップの現実の総額を把握し、前記チップ判定装置の判定結果に基づいて各ゲームの精算前のチップトレイにおけるチップの総額に、負けたプレーヤが賭けたチップの種類および枚数から算出される当該ゲームにおけるチップトレイの増額を加算した当該チップトレイにおけるチップのあるべき総額を計算し、当該チップトレイにおけるチップのあるべき総額と当該チップトレイにおけるチップの現実の総額とを比較し、あるべき総額と現実の総額との間に相違があったときに、前記チップ判定装置の判定結果に誤りの疑いありと判定する、チップの認識学習システム。
【請求項5】
請求項4に記載のチップの認識学習システムであって、
前記制御装置は、前記チップトレイにおけるチップの現実の総額を、前記チップに設けられたRFIDを基準に把握する、チップの認識学習システム。
【請求項6】
請求項4に記載のチップの認識学習システムであって、
前記制御装置は、前記チップトレイにおけるチップの現実の総額を前記ゲーム記録装置に記録された画像から把握する、前記チップ判定装置の人工知能装置とは異なる正解決定用の人工知能装置を含む、チップの認識学習システム。
【請求項7】
請求項4から6のいずれかに記載のチップの認識学習システムであって、
当該ゲームの記録が前記チップ判定装置により後で分析可能となるように、前記ゲーム記録装置は、カメラから取得した画像にインデックスもしくは時刻を付与するか、もしくはチップの回収シーンあるいは支払シーンを特定するタグを付与して記録する、チップの認識学習システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のチップの認識学習システムであって、
前記チップ判定装置は、遊技テーブル上に置かれた複数のチップが前記カメラの死角により一部もしくは一枚全体が隠れた状態となっていても、賭けられたチップの種類、枚数および位置を判定可能である、チップの認識学習システム。
【請求項9】
遊技テーブルを有する遊技場におけるチップの認識学習方法であって、前記遊技テーブルはバカラテーブルであり、
前記遊技テーブル上に積み重ねられたチップの状態をカメラであって、1台のカメラが撮影する画像に、ベット対象を示すエリアが複数含まれるカメラにより画像として記録するゲーム記録ステップと、
前記記録されたチップの状態の画像を画像分析して、プレーヤが賭けたチップの枚数および種類ならびにベット対象を判定する人工知能装置によるチップ判定ステップと、
前記チップ判定ステップの判定結果に誤りの疑いありと判定された場合に、前記チップ判定ステップの判定に用いられた画像および前記誤りに対する正解のチップの枚数および種類を教師データとして前記人工知能装置に入力して学習させる教師ステップと、を備えたチップの認識学習方法。
【請求項10】
遊技テーブルを有する遊技場におけるチップの認識学習システムであって、前記遊技テーブルはバカラテーブルであり、
前記遊技テーブル上に積み重ねられたチップの状態をカメラであって、1台のカメラが撮影する画像に、ベット対象を示すエリアが複数含まれるカメラにより画像として記録するゲーム記録装置と、
前記記録されたチップの状態の画像を画像分析して、プレーヤが賭けたチップの枚数および種類ならびにベット対象を判定する人工知能装置を含むチップ判定装置と、
前記チップ判定装置の判定結果が正しいと判定された場合に、前記チップ判定装置の判定に用いられた画像および前記判定結果のチップの枚数および種類を教師データとして前記人工知能装置に入力して学習させる教師装置と、を備えたチップの認識学習システム。
【請求項11】
遊技テーブルを有する遊技場におけるチップの認識学習システムであって、前記遊技テーブルはバカラテーブルであり、
前記遊技テーブル上に積み重ねられたチップの状態をカメラであって、1台のカメラが撮影する画像に、ベット対象を示すエリアが複数含まれるカメラにより画像として記録するゲーム記録装置と、
前記記録されたチップの状態の画像を画像分析して、プレーヤが賭けたチップの枚数および種類ならびにベット対象を判定する人工知能装置を含むチップ判定装置と、を備え、
前記人工知能装置は、前記チップ判定装置の判定結果が正しいと判定された場合に、前記チップ判定装置の判定に用いられた画像および前記判定結果のチップの枚数または種類を教師データとして教師装置により入力されて学習する、チップの認識学習システム。
【請求項12】
請求項10または11に記載のチップの認識学習システムであって、
前記チップ判定装置の判定結果の正否を判定する制御装置を更に備え、
前記チップ判定装置は、前記遊技テーブルで行われるゲームにおいて前記遊技テーブルが備えるチップトレイのチップの種類および枚数、ならびに各プレーヤが賭けるチップの位置、種類および枚数を、前記ゲーム記録装置に記録された画像から判定可能であり、
前記制御装置は、各プレーヤが賭けた負けチップのすべての回収が終わったときに、チップトレイにおけるチップの現実の総額を把握し、前記チップ判定装置の判定結果に基づいて各ゲームの精算前のチップトレイにおけるチップの総額に、負けたプレーヤが賭けたチップの種類および枚数から算出される当該ゲームにおけるチップトレイの増額を加算した当該チップトレイにおけるチップのあるべき総額を計算し、当該チップトレイにおけるチップのあるべき総額と当該チップトレイにおけるチップの現実の総額とを比較し、あるべき総額と現実の総額とが一致していたときに、前記チップ判定装置の判定結果が正しいと判定する、チップの認識学習システム。
【請求項13】
請求項12に記載のチップの認識学習システムであって、
前記制御装置は、前記チップトレイにおけるチップの現実の総額を、前記チップに設けられたRFIDを基準に把握する、チップの認識学習システム。
【請求項14】
請求項12に記載のチップの認識学習システムであって、
前記制御装置は、前記チップトレイにおけるチップの現実の総額を前記ゲーム記録装置に記録された画像から把握する、前記チップ判定装置の人工知能装置とは異なる正解決定用の人工知能装置を含む、チップの認識学習システム。
【請求項15】
請求項12から14のいずれかに記載のチップの認識学習システムであって、
当該ゲームの記録が前記チップ判定装置により後で分析可能となるように、前記ゲーム記録装置は、カメラから取得した画像にインデックスもしくは時刻を付与するか、もしくはチップの回収シーンあるいは支払シーンを特定するタグを付与して記録する、チップの認識学習システム。
【請求項16】
請求項10から15のいずれかに記載のチップの認識学習システムであって、
前記チップ判定装置は、遊技テーブル上に置かれた複数のチップが前記カメラの死角により一部もしくは一枚全体が隠れた状態となっていても、賭けられたチップの種類、枚数および位置を判定可能である、チップの認識学習システム。
【請求項17】
遊技テーブルを有する遊技場におけるチップの認識学習方法であって、前記遊技テーブルはバカラテーブルであり、
前記遊技テーブル上に積み重ねられたチップの状態をカメラであって、1台のカメラが撮影する画像に、ベット対象を示すエリアが複数含まれるカメラにより画像として記録するゲーム記録ステップと、
前記記録されたチップの状態の画像を画像分析して、プレーヤが賭けたチップの枚数および種類ならびにベット対象を判定する人工知能装置によるチップ判定ステップと、
前記チップ判定ステップの判定結果が正しいと判定された場合に、前記チップ判定ステップの判定に用いられた画像および前記判定結果のチップの枚数および種類を教師データとして前記人工知能装置に入力して学習させる教師ステップと、を備えたチップの認識学習方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップの認識学習システムに関する。
【背景技術】
【0002】
バカラゲームなどのゲームでは、客(プレーヤ)がテーブル上に複数のチップを積み重ねることによって賭けが行われる。そのため、積み重ねられたチップを正確に認識する必要がある。なお、国際公開第2008/120749号には、ゲームに用いられるチップの一例が開示されている。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、プレーヤが賭けたチップを精度よく認識できるチップの認識学習システムを提供することである。
【0004】
本発明の一態様に係るチップの認識学習システムは、
遊技テーブルを有する遊技場におけるチップの認識学習システムであって、
前記遊技テーブル上に積み重ねられたチップの状態をカメラにより画像として記録するゲーム記録装置と、
前記記録されたチップの状態の画像を画像分析して、プレーヤが賭けたチップの枚数および種類を判定する人工知能装置を含むチップ判定装置と、
前記チップ判定装置の判定結果に誤りの疑いありと判定された場合に、前記チップ判定装置の判定に用いられた画像および前記誤りに対する正解のチップの枚数および種類を教師データとして前記人工知能装置に入力して学習させる教師装置と、を備える。
【0005】
このような態様によれば、チップ判定装置の判定結果に誤りの疑いありと判定された場合に、教師装置が、チップ判定装置の判定に用いられた画像および誤りに対する正解のチップの枚数および種類を教師データとして人工知能装置に入力して学習させるため、人工知能装置は、チップ判定装置の判定精度が相対的に低い画像パターンについて効率的に学習することができ、当該画像パターンについて重点的にチップ判定装置の判定精度を高めることができる。このような教師学習が繰り返されることで、チップ判定装置は、チップがどのような状態で積み重ねられていても、プレーヤが賭けたチップを精度よく認識できるようになる。
【0006】
本発明の一態様に係るチップの認識学習システムにおいて、
前記教師装置は、前記チップ判定装置の判定結果が正しいと判定された場合に、前記チップ判定装置の判定に用いられた画像および前記判定結果のチップの枚数および種類を教師データとして前記人工知能装置に更に入力して学習させてもよい。
【0007】
このような態様によれば、チップ判定装置の判定精度が相対的に低い画像パターンだけでなく、判定精度が相対的に高い画像パターンについても、判定精度を一層高めることができ、これにより、チップ判定装置は、プレーヤが賭けたチップを一層精度よく認識できるようになる。
【0008】
本発明の一態様に係るチップの認識学習システムは、
遊技テーブルを有する遊技場におけるチップの認識学習システムであって、
前記遊技テーブル上に積み重ねられたチップの状態をカメラにより画像として記録するゲーム記録装置と、
前記記録されたチップの状態の画像を画像分析して、プレーヤが賭けたチップの枚数および種類を判定する人工知能装置を含むチップ判定装置と、を備え、
前記人工知能装置は、前記チップ判定装置の判定結果に誤りの疑いありと判定された場合に、前記チップ判定装置の判定に用いられた画像および前記誤りに対する正解のチップの枚数または種類を教師データとして教師装置により入力されて学習する。
【0009】
このような態様によれば、チップ判定装置の判定結果に誤りの疑いありと判定された場合に、人工知能装置が、チップ判定装置の判定に用いられた画像および誤りに対する正解のチップの枚数および種類を教師データとして教師装置により入力されて学習するため、人工知能装置は、チップ判定装置の判定精度が相対的に低い画像パターンについて効率的に学習することができ、当該画像パターンについて重点的にチップ判定装置の判定精度を高めることができる。これを繰り返すことで、チップ判定装置は、チップがどのような状態で積み重ねられていても、プレーヤが賭けたチップを精度よく認識できるようになる。
【0010】
本発明の一態様に係るチップの認識学習システムは、
前記チップ判定装置の判定結果の正否を判定する制御装置を更に備え、
前記チップ判定装置は、前記遊技テーブルで行われるゲームにおいて前記遊技テーブルが備えるチップトレイのチップの種類および枚数、ならびに各プレーヤが賭けるチップの位置、種類および枚数を、前記ゲーム記録装置に記録された画像から判定可能であり、
前記制御装置は、各プレーヤが賭けた負けチップのすべての回収が終わったときに、チップトレイにおけるチップの現実の総額を把握し、前記チップ判定装置の判定結果に基づいて各ゲームの精算前のチップトレイにおけるチップの総額に、負けたプレーヤが賭けたチップの種類および枚数から算出される当該ゲームにおけるチップトレイの増額を加算した当該チップトレイにおけるチップのあるべき総額を計算し、当該チップトレイにおけるチップのあるべき総額と当該チップトレイにおけるチップの現実の総額とを比較し、あるべき総額と現実の総額との間に相違があったときに、前記チップ判定装置の判定結果に誤りの疑いありと判定してもよい。
【0011】
このような態様によれば、チップ判定装置の判定結果に誤りの疑いがあるか否かを制御装置により自動的に判定することができる。
【0012】
本発明の一態様に係るチップの認識学習システムは、
遊技テーブルを有する遊技場におけるチップの認識学習システムであって、
前記遊技テーブル上に積み重ねられたチップの状態をカメラにより画像として記録するゲーム記録装置と、
前記記録されたチップの状態の画像を画像分析して、プレーヤが賭けたチップの枚数および種類を判定する人工知能装置を含むチップ判定装置と、
前記チップ判定装置の判定結果が正しいと判定された場合に、前記チップ判定装置の判定に用いられた画像および前記判定結果のチップの枚数および種類を教師データとして前記人工知能装置に入力して学習させる教師装置と、を備える。
【0013】
本発明の一態様に係るチップの認識学習システムは、
遊技テーブルを有する遊技場におけるチップの認識学習システムであって、
前記遊技テーブル上に積み重ねられたチップの状態をカメラにより画像として記録するゲーム記録装置と、
前記記録されたチップの状態の画像を画像分析して、プレーヤが賭けたチップの枚数および種類を判定する人工知能装置を含むチップ判定装置と、を備え、
前記人工知能装置は、前記チップ判定装置の判定結果が正しいと判定された場合に、前記チップ判定装置の判定に用いられた画像および前記判定結果のチップの枚数または種類を教師データとして教師装置により入力されて学習する。
【0014】
本発明の一態様に係るチップの認識学習システムは、
前記チップ判定装置の判定結果の正否を判定する制御装置を更に備え、
前記チップ判定装置は、前記遊技テーブルで行われるゲームにおいて前記遊技テーブルが備えるチップトレイのチップの種類および枚数、ならびに各プレーヤが賭けるチップの位置、種類および枚数を、前記ゲーム記録装置に記録された画像から判定可能であり、
前記制御装置は、各プレーヤが賭けた負けチップのすべての回収が終わったときに、チップトレイにおけるチップの現実の総額を把握し、前記チップ判定装置の判定結果に基づいて各ゲームの精算前のチップトレイにおけるチップの総額に、負けたプレーヤが賭けたチップの種類および枚数から算出される当該ゲームにおけるチップトレイの増額を加算した当該チップトレイにおけるチップのあるべき総額を計算し、当該チップトレイにおけるチップのあるべき総額と当該チップトレイにおけるチップの現実の総額とを比較し、あるべき総額と現実の総額とが一致していたときに、前記チップ判定装置の判定結果が正しいと判定してもよい。
【0015】
本発明の一態様に係るチップの認識学習システムにおいて、
前記制御装置は、前記チップトレイにおけるチップの現実の総額を、前記チップに設けられたRFIDを基準に把握してもよい。
【0016】
このような態様によれば、制御装置は、チップトレイにおけるチップの現実の総額を、RFIDを用いて自動的に把握することができ、作業者による目視計測よりも計測制度を高めることができる。
【0017】
本発明の一態様に係るチップの認識学習システムにおいて、
前記制御装置は、前記チップトレイにおけるチップの現実の総額を前記ゲーム記録装置に記録された画像から把握する、前記チップ判定装置の人工知能装置とは異なる正解決定用の人工知能装置を含んでいてもよい。
【0018】
このような態様によれば、制御装置は、チップトレイにおけるチップの現実の総額を、正解決定用の人工知能装置を用いて自動的に把握することができ、作業者による目視計測よりも計測制度を高めることができる。
【0019】
本発明の一態様に係るチップの認識学習システムにおいて、
当該ゲームの記録が前記チップ判定装置により後で分析可能となるように、前記ゲーム記録装置は、カメラから取得した画像にインデックスもしくは時刻を付与するか、もしくはチップの回収シーンあるいは支払シーンを特定するタグを付与して記録してもよい。
【0020】
このような態様によれば、チップ判定装置は、画像に付与されたインデックスや時刻やタグを利用することで、ゲーム記録装置の記録内容から、分析対象とすべきチップの状態の画像を容易に特定することができ、特定に要する時間を短縮できる。
【0021】
本発明の一態様に係るチップの認識学習システムにおいて、
前記チップ判定装置は、遊技テーブル上に置かれた複数のチップが前記カメラの死角により一部もしくは一枚全体が隠れた状態となっていても、賭けられたチップの種類、枚数および位置を判定可能であってもよい。
【0022】
このような態様によれば、特に遊技テーブル上に置かれた複数のチップが作業者の死角により一部もしくは一枚全体が隠れた状態になっている場合に、チップ判定装置にプレーヤが賭けたチップを判定させることで、作業者による目視計測よりも計測制度を高めることができる。
【0023】
本発明の一態様に係るチップの認識学習方法は、
遊技テーブルを有する遊技場におけるチップの認識学習方法であって、
前記遊技テーブル上に積み重ねられたチップの状態をカメラにより画像として記録するゲーム記録ステップと、
前記記録されたチップの状態の画像を画像分析して、プレーヤが賭けたチップの枚数および種類を判定する人工知能装置によるチップ判定ステップと、
前記チップ判定ステップの判定結果に誤りの疑いありと判定された場合に、前記チップ判定ステップの判定に用いられた画像および前記誤りに対する正解のチップの枚数および種類を教師データとして前記人工知能装置に入力して学習させる教師ステップと、を備える。
【0024】
このような態様によれば、チップ判定ステップにおける判定結果に誤りの疑いありと判定された場合に、教師ステップにおいて、チップ判定ステップにおける判定に用いられた画像および誤りに対する正解のチップの枚数および種類を教師データとして人工知能装置に入力して学習させるため、人工知能装置は、チップ判定ステップにおける判定精度が相対的に低い画像パターンについて効率的に学習することができ、当該画像パターンについて重点的に判定精度を高めることができる。これを繰り返すことで、チップ判定ステップにおいて、チップがどのような状態で積み重ねられていても、プレーヤが賭けたチップを精度よく認識できるようになる。
【0025】
本発明の一態様に係るチップの認識学習方法は、
遊技テーブルを有する遊技場におけるチップの認識学習方法であって、
前記遊技テーブル上に積み重ねられたチップの状態をカメラにより画像として記録するゲーム記録ステップと、
前記記録されたチップの状態の画像を画像分析して、プレーヤが賭けたチップの枚数および種類を判定する人工知能装置によるチップ判定ステップと、
前記チップ判定ステップの判定結果が正しいと判定された場合に、前記チップ判定ステップの判定に用いられた画像および前記判定結果のチップの枚数および種類を教師データとして前記人工知能装置に入力して学習させる教師ステップと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、第1の実施の形態によるチップの認識学習システムを備えた遊技場を模式的に示す図である。
図2図2は、バカラゲームの進行を説明するための図である。
図3図3は、第1の実施の形態によるチップの認識学習システムの概略構成を示すブロック図である。
図4図4は、チップの認識学習方法を説明するためのフローチャートである。
図5図5は、チップの認識学習方法の一変形例を説明するためのフローチャートである。
図6図6は、チップの認識学習方法の別の変形例を説明するためのフローチャートである。
図7図7は、第2の実施の形態によるチップの認識学習システムを備えた遊技場を模式的に示す図である。
図8図8は、第2の実施の形態によるチップの認識学習システムの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、同一符号の構成要素の詳しい説明は繰り返さない。
【0028】
まずは、遊技テーブル4を有する遊技場において行われるゲームについて説明する。本実施の形態では、遊技テーブル4がバカラテーブルであり、バカラゲームが行われる例を説明するが、他の遊技場あるいは他のゲームにも本発明は適用可能である。
【0029】
図1は、第1の実施の形態によるチップの認識学習システム10を備えた遊技場を模式的に示す図である。図1に示すように、遊技場には、略半円状の遊技テーブル4と、遊技テーブル4の円弧側に沿ってディーラーDと向かい合うように並べられた複数の椅子201とが配置されている。椅子201の数は任意であり、図1に示す例では、6つの椅子201が並べられている。また、椅子201のそれぞれに対応して、遊技テーブル4上にベットエリアBAが設けられている。すなわち、図示された例では、6個のベットエリアBAが円弧状に並んで設けられている。
【0030】
図1に示すように、椅子201のそれぞれに客(プレーヤ)Cが着席する。客(プレーヤ)Cは、バカラゲームの勝敗結果として、プレーヤ(PLAYER)とバンカー(BANKER)のどちらが勝利するか、または引き分け(TIE)となるかを、着席した椅子201の目の前に設けられたベットエリアBAにチップWを積み重ねて配置することにより賭ける(以下、これを「ベット」とする)。
【0031】
ベットするチップWは、1種類のみであってもよいし、複数種類であってもよい。また、ベットするチップWの枚数は、客(プレーヤ)Cが任意に決定してよい。本実施の形態によるチップの認識学習システム10は、この積み重ねて配置されたチップWの枚数および種類を認識するものである。
【0032】
ディーラーDは、客(プレーヤ)Cによるベットを終了させるため、タイミングを計り“No More Bet(ベットの受付終了)”とコールし、手を横方向に動かすなどを行う。次いで、ディーラーDは、カードシュータ装置Sからカードを1枚ずつ遊技テーブル4に引き出す。図2に示すように、1枚目のカードはプレーヤ(PLAYER)、2枚目のカードはバンカー(BANKER)、3枚目のカードはプレーヤ(PLAYER)、4枚目のカードはバンカー(BANKER)の手となる(以下、1~4枚目のカードの引き出しを、「ディーリング」とする)。
【0033】
なお、カードはカードシュータ装置Sからすべて裏面が上向きの状態で引き出される。そのため、引き出されたカードのランク(数)やスート(ハート・ダイヤ・スペード・クラブ)は、ディーラーDからも客(プレーヤ)Cからも把握することはできない。
【0034】
4枚目のカードが引き出された後、プレーヤ(PLAYER)にベットをした客(プレーヤ)C(PLAYERにベットをした客が複数いる場合は一番高額のベットをした客C、PLAYERにベットをした客がいない場合はディーラーD)は、裏面が上向きになっている1枚目と3枚目のカードを表面に返す。同様に、バンカー(BANKER)にベットをした客(プレーヤ)C(BANKERにベットをした客が複数いる場合は一番高額のベットをした客C、BANKERにベットをした客がいない場合はディーラーD)は、2枚目と4枚目のカードを表面に返す(一般に、この裏面のカードを表面に返すことを、「スクイーズ」と呼ぶ)。
【0035】
そして、この1~4枚目のカードのランク(数)と、バカラゲームの詳細なルールに基づき、ディーラーDにより5枚目のカード、さらに6枚目のカードが引き出され、これらは各々プレーヤ(PLAYER)またはバンカー(BANKER)の手となる。同じくプレーヤ(PALYER)の手となるカードをプレーヤ(PLAYER)にベットをした客(プレーヤ)Cがスクイーズし、バンカー(BANKER)の手となるカードをバンカー(BANKER)にベットをした客(プレーヤ)がスクイーズする。
【0036】
1~4枚目のカードが引き出された後、5枚目、6枚目のカードをスクイーズして勝敗結果が判明するまでの時間は、客(プレーヤ)Cにとって醍醐味となる時間である。
【0037】
さらに、カードのランク(数)によっては1~4枚目までで勝敗が決まることもあり、また5枚目、さらには6枚目でようやく勝敗が決まることもある。ディーラーDは、スクイーズされたカードのランク(数)に基づき、勝敗が決まったことや勝敗結果を把握し、カードシュータ装置Sにおける勝敗結果表示ボタンを押して、勝敗結果を客(プレーヤ)Cに知らせるためにモニタに表示させるなどの作業を行う。
【0038】
また同時に、カードシュータ装置Sが有する勝敗判定部により、ゲームの勝敗結果が判定される。勝敗が決まっているにもかかわらず、ディーラーDが勝敗結果の表示を行わずにさらにカードを引こうとした場合はエラーとなる。カードシュータ装置Sは前記エラーを検知し、エラー信号が出力される。最後に、ディーラーDは、勝敗結果が表示されている間、客(プレーヤ)Cによる掛け金の精算を行い、勝った客(プレーヤ)Cへの支払い、および負けた客(プレーヤ)Cの掛け金の回収を行う。精算が完了した後、勝敗結果の表示を終了し、次のゲームのベットを開始する。
【0039】
なお、上記のバカラゲームの流れは、一般のカジノで広く行われているものであり、カードシュータ装置Sは、カードをディーラーDの手により引き出す構造をとりつつ、引き出されるカードを読み取るように構成され、さらに結果表示ボタンや結果表示部を有し、勝敗判定や勝敗結果の表示を行う機能を備えた、既存のカードシュータ装置である。一般のカジノフロアにおいて、複数台並べられている遊技テーブル4ごとにカードシュータ装置Sやモニタなどが配置され、各遊技テーブル4またはその下のキャビネットに、使用するカードがパッケージまたはセット単位で、さらにはカートン単位で供給され、運用されている。
【0040】
本実施の形態に係るチップの認識学習システム10は、客(プレーヤ)CがベットエリアBAに積み重ねて配置したチップWを認識学習するシステムに関し、より詳しくは、チップWの枚数および/または種類を認識学習するシステムに関する。
【0041】
図1に示すように、本実施の形態では、ベットエリアBAに積み重ねて配置されたチップWの状態を撮像する監視カメラ212が、遊技テーブル4の外側に設けられている。また、各チップWにはRFIDが設けられおり、ディーラーDが管理するチップトレイ23には、チップトレイ23内のチップWのRFIDを読み取るRFID読取装置22が設けられている。
【0042】
本実施の形態によるチップの認識学習システム10は、監視カメラ212およびRFID読取装置22に対してそれぞれ通信可能に接続されている。
【0043】
図3は、本実施の形態に係るチップの認識学習システム10の概略構成を示すブロック図である。
【0044】
図3に示すように、チップの認識学習システム10は、ゲーム記録装置11と、チップ判定装置12と、教師装置13と、制御装置14とを有している。なお、チップの認識学習システム10の少なくとも一部は、コンピュータにより実現されている。
【0045】
ゲーム記録装置11は、たとえばハードディスク等の固定型データストレージを含んでいる。ゲーム記録装置11は、遊技テーブル4上に積み重ねられたチップWの状態を、カメラ212により撮像された画像として記録する。なお、画像は、動画像であってもよいし、連続した静止画像であってもよい。
【0046】
ゲーム記録装置11は、後述するチップ判定装置12によりゲームの記録が後で分析可能となるように、カメラ212から取得した画像にインデックスもしくは時刻を付与するか、もしくはチップWの回収シーンあるいは支払シーンを特定するタグを付与して記録してもよい。
【0047】
チップ判定装置12は、たとえば深層学習(ディープラーニング)技術などにより画像認識を行う人工知能装置12aを含んでおり、ゲーム記録装置11に記録されたチップWの状態の画像を画像分析して、客(プレーヤ)Cが賭けたチップWの枚数および種類を判定する。チップ判定装置12は、客(プレーヤ)Cが賭けたチップWのベットエリアBA上における位置をさらに判定してもよい。
【0048】
チップ判定装置12は、ゲーム記録装置11に記録されたチップWの状態の画像を画像分析して、各ゲームの精算前のチップトレイ23におけるチップWの枚数および種類を判定してもよい。
【0049】
図3に示すように、チップ判定装置12は、判定結果を出力装置15に出力する。出力装置15は、チップ判定装置12の判定結果を、文字情報として遊技テーブル4上のモニタに出力してもよいし、音声情報としてディーラーDのヘッドセットなどに出力してもよい。
【0050】
制御装置14は、チップ判定装置12の判定結果の正否を判定する装置である。制御装置14は、負けた客(プレーヤ)Cが賭けたチップW(負けチップ)のすべての回収が終わったときに、チップトレイ23におけるチップWの現実の総額V0を把握する。
【0051】
本実施の形態では、制御装置14は、チップトレイ23内のチップWのRFIDの情報をRFID読取装置22から取得し、取得したRFIDの情報に基づいて、チップトレイ23におけるチップWの種類および枚数を判定し、その現実の総額V0を把握する。
【0052】
また、制御装置14は、チップ判定装置12から判定結果を取得し、取得した判定結果に基づいて、各ゲームの精算前のチップトレイ23におけるチップWの種類および枚数から、その総額V1を算出するとともに、各プレーヤCが賭けたチップWの位置、種類および枚数から、負けたプレーヤCが賭けたチップWの総額(すなわち当該ゲームにおけるチップトレイ23の増額)V2を算出する。そして、制御装置14は、各ゲームの精算前のチップトレイ23におけるチップWの総額V1に、当該ゲームにおけるチップトレイ23の増額V2を加算して、当該チップトレイ23におけるチップのあるべき総額V3(=V1+V2)を計算する。
【0053】
制御装置14は、当該チップトレイ23におけるチップWのあるべき総額V3と当該チップトレイ23におけるチップWの現実の総額V0とを比較し、あるべき総額V3と現実の総額V0との間に相違があったときに(V3≠V0)、チップ判定装置12の判定結果に誤りの疑いありと判定する。他方、制御装置14は、あるべき総額V3と現実の総額V0とが一致しているときに(V3=V0)、チップ判定装置12の判定結果が正しいと判定する。
【0054】
負けたプレーヤCからのチップWの回収が終わると、勝ったプレーヤCへのチップWの支払が行われる。制御装置14は、各プレーヤCが賭けたチップWの位置、種類および枚数から、勝ったプレーヤCが賭けたチップWの総額およびそれに対する支払うべき額V4を算出する。制御装置14は、チップトレイ23の、支払いを行ったチップWによって減少した後の現実の総額を把握し、支払うべきV4と一致するか判定し、判定結果に応じて一致不一致のランプを表示する。
【0055】
制御装置14は、チップトレイ23におけるチップWのあるべき総額V5(=V1+V2-V4)と、回収したチップの増加及び支払ったチップの減少のあとのチップトレイ23のチップWの現実の総額とを比較し、相違があったときに、チップ判定装置12の判定結果に誤りの疑いありと判定する。制御装置14は、あるべき総額V5と現実の総額とが一致しているときに、チップ判定装置12の判定結果が正しいと判定する。
【0056】
それぞれの一致不一致の判定に対して、例えば一致ならば緑色、不一致ならば赤色というようにランプが点灯してもよい。
【0057】
教師装置13は、制御装置14からチップ判定装置12の判定結果の正否を取得する。教師装置13は、制御装置14によりチップ判定装置12の判定結果に誤りの疑いありと判定された場合に、チップ判定装置12の(誤りの疑いを含む)判定に用いられた画像と、誤りに対する正解のチップWの枚数および種類とを、教師データとしてチップ判定装置12の人工知能装置12aに入力して学習させてもよい。なお、誤りに対する正解のチップの枚数および種類は、実際に人が画像を確認して、教師装置13に教示する。すなわち、教師装置13は、誤りに対する正解のチップの枚数および種類を、誤ったときの画像とその時に正解である枚数を教示する装置を介して、人が教示することで学ぶ。
【0058】
教師装置13は、制御装置14によりチップ判定装置12の判定結果が正しいと判定された場合に、チップ判定装置12の(正しい)判定に用いられた画像と、チップ判定装置12の判定結果のチップWの枚数および種類(すなわち正解のチップWの枚数および種類)を、教師データとしてチップ判定装置12の人工知能装置12aに更に入力して学習させてもよい。
【0059】
教師装置13は、チップ判定装置12の人工知能装置12aに上記教師データを入力して学習させるという教師動作を繰り返し行うことで、チップ判定装置12によるチップWの判定精度を高めることができる。チップ判定装置12の人工知能装置12aは、チップWの状態の画像を画像分析してチップWの判定を行うため、遊技テーブル4上に置かれた複数のチップWがカメラ212の死角により一部もしくは一枚全体が隠れた状態となっていても、そのような不完全な画像を繰り返し学習しておくことで、賭けられたチップWの種類、枚数および位置を判定可能となる。
【0060】
次に、図4を参照して、本実施の形態によるチップの認識学習システム10の動作(チップの認識学習方法)を説明する。
【0061】
図4に示すように、まず、客(プレーヤ)Cが遊技テーブル4のベットエリアBAにチップWを積み重ねて配置する(チップWを賭ける)と、積み重ねられたチップWの状態がカメラ212により画像として撮像され、当該画像がゲーム記録装置11に記録される(ステップS31)。
【0062】
次に、ゲーム記録装置11に記録された画像が、チップ判定装置12により画像分析され、客(プレーヤ)Cが賭けたチップWの枚数および種類が判定される(ステップS32)。なお、チップ判定装置12により画像分析される画像は、ゲーム記録装置11により画像に付与されたインデックス、時刻、またはチップWの回収シーンあるいは支払シーンを特定するタグに基づいて選択されたものであってもよい。
【0063】
ステップS32において、ゲーム記録装置11に記録されたチップWの状態の画像がチップ判定装置12により画像分析されることで、客(プレーヤ)Cが賭けたチップWの枚数および種類に加えて、客(プレーヤ)Cが賭けたチップWのベットエリアBA上における位置が判定されてもよいし、各ゲームの精算前のチップトレイ23におけるチップWの枚数および種類が判定されてもよい。
【0064】
チップ判定装置12の判定結果は、出力装置15に出力される。チップ判定装置12の判定結果は、出力装置15により、文字情報として遊技テーブル4上のモニタに出力されてもよいし、音声情報としてディーラーDのヘッドセットなどに出力されてもよい。
【0065】
チップ判定装置12の判定結果は、また、制御装置14に送信され、制御装置14において、チップ判定装置12の判定結果の正否が判定される(ステップS33)。
【0066】
制御装置14によりチップ判定装置12の判定結果に誤りの疑いありと判定された場合には(ステップS34:No)、チップ判定装置12の(誤りの疑いを含む)判定に用いられた画像と、誤りに対する正解のチップWの枚数および種類とが、教師データとして教師装置13からチップ判定装置12の人工知能装置12aに入力され、人工知能装置12aが学習を行う(ステップS36)。
【0067】
一方、制御装置14によりチップ判定装置12の判定結果が正しいと判定された場合には(ステップS34:Yes)、当該ゲームにおけるチップの認識学習システム10の動作を終了する。
【0068】
以上のように、本実施の形態によれば、チップ判定装置12の判定結果に誤りの疑いありと判定された場合に、教師装置13が、チップ判定装置12の判定に用いられた画像および誤りに対する正解のチップWの枚数および種類を教師データとして人工知能装置12aに入力して学習させるため、人工知能装置12aは、チップ判定装置12の判定精度が相対的に低い画像パターンについて効率的に学習することができ、当該画像パターンについて重点的にチップ判定装置12の判定精度を高めることができる。このような教師学習が繰り返されることで、チップ判定装置12は、チップWがどのような状態で積み重ねられていても、プレーヤCが賭けたチップWを精度よく認識できるようになる。
【0069】
また、本実施の形態によれば、制御装置14が、各プレーヤCが賭けた負けチップのすべての回収が終わったときに、チップトレイ23におけるチップWの現実の総額V0を把握し、チップ判定装置12の判定結果に基づいて各ゲームの精算前のチップトレイ23におけるチップWの総額V1に、負けたプレーヤCが賭けたチップWの種類および枚数から算出される当該ゲームにおけるチップトレイ23の増額V2を加算した当該チップトレイ23におけるチップWのあるべき総額V3(=V1+V2)を計算し、当該チップトレイ23におけるチップWのあるべき総額V3と当該チップトレイ23におけるチップWの現実の総額V0とを比較し、あるべき総額V3と現実の総額V0との間に相違があったときに(V3≠V0)、チップ判定装置12の判定結果に誤りの疑いありと判定する。これにより、チップ判定装置12の判定結果に誤りの疑いがあるか否かを制御装置14により自動的に判定することができる。
【0070】
また、本実施の形態によれば、制御装置14は、チップトレイ23におけるチップWの現実の総額V0を、チップWに設けられたRFIDを基準に把握するため、制御装置14は、チップトレイ23におけるチップWの現実の総額V0を、RFIDを用いて自動的に把握することができ、作業者による目視計測よりも計測制度を高めることができる。
【0071】
また、本実施の形態によれば、ゲーム記録装置11が、カメラ212から取得した画像にインデックスもしくは時刻を付与するか、もしくはチップの回収シーンあるいは支払シーンを特定するタグを付与して記録するため、チップ判定装置12は、画像に付与されたインデックスや時刻やタグを利用することで、ゲーム記録装置11の記録内容から、分析対象とすべきチップWの状態の画像を容易に特定することができ、特定に要する時間を短縮できる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、遊技テーブル4上に置かれた複数のチップWがカメラ212の死角により一部もしくは一枚全体が隠れた状態となっていても、チップ判定装置12が、賭けられたチップWの種類、枚数および位置を判定可能であるため、特に遊技テーブル4上に置かれた複数のチップWが作業者の死角により一部もしくは一枚全体が隠れた状態になっている場合に、チップ判定装置12にプレーヤCが賭けたチップWを判定させることで、作業者による目視計測よりも計測制度を高めることができる。
【0073】
なお、上述の実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに重複する説明を省略する。
【0074】
図5は、チップの認識学習方法の一変形例を説明するためのフローチャートである。
【0075】
図5に示す例では、制御装置14によりチップ判定装置12の判定結果に誤りの疑いありと判定された場合には(ステップS34:No)、チップ判定装置12の(誤りの疑いを含む)判定に用いられた画像と、誤りに対する正解のチップWの枚数および種類とが、教師データとして教師装置13からチップ判定装置12の人工知能装置12aに入力され、人工知能装置12aが学習を行う(ステップS36)。
【0076】
一方、制御装置14によりチップ判定装置12の判定結果が正しいと判定された場合に(ステップS34:Yes)、チップ判定装置12の(正しい)判定に用いられた画像と、チップ判定装置12の判定結果のチップWの枚数および種類(すなわち正解のチップWの枚数および種類)とが、教師データとして教師装置13からチップ判定装置12の人工知能装置12aに更に入力され、人工知能装置12aが更に学習を行う(ステップS35)。
【0077】
このような態様によれば、チップ判定装置12の判定精度が相対的に低い画像パターンだけでなく、判定精度が相対的に高い画像パターンについても、判定精度を一層高めることができ、これにより、チップ判定装置12は、プレーヤCが賭けたチップWを一層精度よく認識できるようになる。
【0078】
図6は、チップの認識学習方法の別の変形例を説明するためのフローチャートである。
【0079】
図6に示す例では、制御装置14によりチップ判定装置12の判定結果が正しいと判定された場合に(ステップS34:Yes)、チップ判定装置12の(正しい)判定に用いられた画像と、チップ判定装置12の判定結果のチップWの枚数および種類(すなわち正解のチップWの枚数および種類)とが、教師データとして教師装置13からチップ判定装置12の人工知能装置12aに更に入力され、人工知能装置12aが更に学習を行う(ステップS35)。
【0080】
一方、制御装置14によりチップ判定装置12の判定結果に誤りの疑いありと判定された場合には(ステップS34:No)、当該ゲームにおけるチップの認識学習システム10の動作を終了する。
【0081】
このような態様によれば、チップ判定装置12の判定結果が正しいと判定された場合に、教師装置13が、チップ判定装置12の判定に用いられた画像および判定結果の(正解の)チップWの枚数および種類を教師データとして人工知能装置12aに入力して学習させるため、人工知能装置12aは、チップ判定装置12の判定精度が相対的に高い画像パターンについて効率的に学習することができ、当該画像パターンについて重点的にチップ判定装置12の判定精度を高めることができる。このような教師学習が繰り返されることで、チップ判定装置12は、プレーヤCが賭けたチップWを精度よく認識できるようになる。
【0082】
図7は、第2の実施の形態によるチップの認識学習システム100を備えた遊技場を模式的に示す図である。図8は、第2の実施の形態によるチップの認識学習システム100の概略構成を示すブロック図である。
【0083】
図7に示すように、第2の実施の形態では、ベットエリアBAに積み重ねて配置されたチップWの状態を撮像する監視カメラ212に加えて、ディーラーDが管理するチップトレイ23内のチップWの状態を撮像するチップトレイ用の監視カメラ24が、遊技テーブル4の外側に設けられている。
【0084】
第2の実施の形態によるチップの認識学習システム100は、監視カメラ212およびチップトレイ用監視カメラ24に対してそれぞれ通信可能に接続されている。
【0085】
図8に示すように、ゲーム記録装置11は、チップトレイ23内のチップWの状態を、チップトレイ用カメラ24により撮像された画像として記録する。なお、画像は、動画像であってもよいし、連続した静止画像であってもよい。
【0086】
制御装置14は、たとえば深層学習(ディープラーニング)技術などにより画像認識を行う、チップ判定装置12の人工知能装置12aとは異なる人工知能装置14a(正解決定用人工知能装置)を含んでおり、ゲーム記録装置11に記録されたチップトレイ23内のチップWの状態の画像を画像分析して、チップトレイ23内のチップWの枚数および種類を判定し、その現実の総額V0を把握する。
【0087】
第2の実施の形態によれば、制御装置14は、チップトレイ23におけるチップWの現実の総額を、正解決定用の人工知能装置14aを用いて自動的に把握することができ、作業者による目視計測よりも計測制度を高めることができる。
【0088】
なお、一般的には無教師データ学習と呼ばれるものがあるが、人工知能が判定した結果が正しいか間違っているかを教えるものであり、これも本発明では教師データ学習と考えている。
【0089】
上述した実施の形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の様々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8