(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023172977
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】ジャッキ移動型床版架設装置
(51)【国際特許分類】
E01C 5/08 20060101AFI20231130BHJP
E01D 19/12 20060101ALI20231130BHJP
E01D 21/00 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
E01C5/08
E01D19/12
E01D21/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079216
(22)【出願日】2022-05-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】395013212
【氏名又は名称】株式会社IHIインフラ建設
(71)【出願人】
【識別番号】000176202
【氏名又は名称】三信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082658
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 儀一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221615
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 祐子
(72)【発明者】
【氏名】永田 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】岡本 清志
(72)【発明者】
【氏名】行川 友和
【テーマコード(参考)】
2D051
2D059
【Fターム(参考)】
2D051AH06
2D051DA16
2D059AA14
2D059DD02
(57)【要約】
【課題】車輪走行移動なしに床版架設装置の移動がスムーズに迅速に行え、床版取り替え作業が確実安全に行えるジャッキ移動型床版架設装置を提供する。
【解決手段】一対の移動レール9と、前記一対の移動レール9上に載置される支持脚を有する床版架設装置1と、該床版架設装置1を移動レール9の長手方向に移動させる中空ジャッキ装置21とを備え、前記中空ジャッキ装置21は、前記床版架設装置1の両側面に連結されたジャッキ本体22と、前記ジャッキ本体22を貫挿して該ジャッキ本体22の両端側から突出可能に構成されたシリンダー部25と、前記シリンダー部25内を貫挿し、両端部が移動レール9に係止された棒状操作部材23と、該棒状操作部材23に取り付けられ、突出するシリンダー部に押される係止部材27とを有し、前記係止部材27がシリンダー部に押された長さ分、前記床版架設装置1を移動レール9の長手方向へ移動させることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面上に設置される一対の移動レールと、前記一対の移動レール上に載置される支持脚を有する床版架設装置と、該床版架設装置を前記移動レールの長手方向に移動させる中空ジャッキ装置と、を備え、
前記中空ジャッキ装置は、前記床版架設装置の両側面に連結されたジャッキ本体と、前記ジャッキ本体を貫挿して該ジャッキ本体の両端側から突出可能に構成されたシリンダー部と、前記シリンダー部内を貫挿し、両端部が移動レールに係止された棒状操作部材と、該棒状操作部材の長手方向所定箇所に取り付けられ、突出するシリンダー部に押される係止部材と、を有し、
前記係止部材がシリンダー部に押された長さ分、前記床版架設装置を移動レールの長手方向へ移動させる、
ことを特徴とするジャッキ移動型床版架設装置。
【請求項2】
前記中空ジャッキ装置は、床版架設装置の一側面に複数個取り付けられた、
ことを特徴とする請求項1記載のジャッキ移動型床版架設装置。
【請求項3】
前記移動レールと該移動レールに載置される支持脚との間には、摩擦抵抗を減ずるすべり板が介在された、
ことを特徴とした請求項1または請求項2記載のャッキ移動型床版架設装置。
【請求項4】
前記床版架設装置の両側面に取り付けられた中空ジャッキ装置の内、片方側の中空ジャッキ装置のみの作動を交互に繰り返し、前記床版架設装置を移動レールの長手方向へ移動させる、
ことを特徴とした請求項1、請求項2記載のャッキ移動型床版架設装置。
【請求項5】
前記移動レールは長手方向略中間位置から左右方向に曲折する様構成され、左右方向に曲折する路面の設置に対応できる移動レールに構成された、
ことを特徴とした請求項1、請求項2記載のャッキ移動型床版架設装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路などの路面において該路面に敷設してある床版を剥がし、新しい床版に貼り替える際などに使用される床版架設装置に係り、特に急勾配の上り路面に敷設された床版の貼り替え作業用に発明されたジャッキ移動型プレキャスト床版架設装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば高速道路などの路面を構成する床版の取り替え装置は、各種提案されており、例えば、特開2018-155017号公報に記載された床版取り替え装置も本件発明の出願人らが出願し、特許を取得したものである。
【0003】
ここで、床版の取り替え作業を行う高速道路などの路面はすべての路面が水平に近い平坦な路面であるとは限らない。例えば、山間部に敷設された高速道路などでは、既設橋の走行勾配が大きく形成され、その路面がいわゆる急勾配の上り勾配あるいは下り勾配になった既設橋などが多く存在する。
【0004】
そのような場合に、急勾配斜面の路面上を車輪走行で床版架設装置を移動させ、床版の取り替え作業などの作業を行うのは極めて困難であり、安全対策上好ましいものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来の課題に対処すべく創案されたものであって、例えば橋梁や高速道路などの路面が急勾配に形成されており、車輪走行移動の床版架設装置では、床版取り替え作業などの作業がスムーズにかつ確実に行えない場合でも、前記車輪走行移動なしに床版架設装置の移動がスムーズに迅速に行え、また床版取り替え作業が確実安全に行えるジャッキ移動型床版架設装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
路面上に設置される一対の移動レールと、前記一対の移動レール上に載置される支持脚を有する床版架設装置と、該床版架設装置を前記移動レールの長手方向に移動させる中空ジャッキ装置と、を備え、
前記中空ジャッキ装置は、前記床版架設装置の両側面に連結されたジャッキ本体と、前記ジャッキ本体を貫挿して該ジャッキ本体の両端側から突出可能に構成されたシリンダー部と、前記シリンダー部内を貫挿し、両端部が移動レールに係止された棒状操作部材と、該棒状操作部材の長手方向所定箇所に取り付けられ、突出するシリンダー部に押される係止部材と、を有し、
前記係止部材がシリンダー部に押された長さ分、前記床版架設装置を移動レールの長手方向へ移動させる、
ことを特徴とし、
または、
前記中空ジャッキ装置は、床版架設装置の一側面に複数個取り付けられた、
ことを特徴とし、
または、
前記移動レールと該移動レールに載置される支持脚との間には、摩擦抵抗を減ずるすべり板が介在された、
ことを特徴とし、
または、
前記床版架設装置の両側面に取り付けられた中空ジャッキ装置の内、片方側の中空ジャッキ装置のみの作動を交互に繰り返し、前記床版架設装置を移動レールの長手方向へ移動させる、
ことを特徴とし、
または、
前記移動レールは長手方向略中間位置から左右方向に曲折する様構成され、左右方向に曲折する路面の設置に対応できる移動レールに構成された、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えば橋梁や高速道路などの路面が上り急勾配に形成されており、車輪走行移動の床版架設装置では、床版取り替え作業などの作業がスムーズにかつ確実に行えない場合でも、前記車輪走行移動なしに床版架設装置の移動がスムーズに迅速に行え、また床版取り替え作業が確実、安全に行えるジャッキ移動型床版架設装置を提供できるとの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明によるジャッキ移動型床版架設装置の設置状態を説明する説明図(1)である。
【
図2】移動レールに載置する支持脚の設置状態を説明する説明図である。
【
図3】床版架設装置の側面に連結される中空ジャッキ装置の棒状操作部材の構成を説明する説明図である。
【
図4】床版架設装置の側面に取り付けられたアウトリガージャッキの構成を説明図である。
【
図5】床版架設装置の両側面に一対取り付けられた支持脚の構成を説明する説明図である。
【
図6】床版架設装置の側面に取り付けられた中空ジャッキ装置の構成を説明する斜視図である。
【
図7】床版架設装置の両側面に取り付けられた中空ジャッキ装置の動作を説明する説明図である。
【
図8】本発明によるジャッキ移動型床版架設装置の設置状態を説明する説明図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を図に基づいて説明する。
図1は本発明による床版架設装置1を使用して、急勾配を有する高速道路などの路面工事を行う際の床版架設装置1の設置状態を示す。
【0011】
まず、床版架設装置1の概略構成につき説明する。
図1は床版架設装置1を側面から示した図であり、床版架設装置1が設置されている路面2は、
図1において、右側から左側に向かって上り勾配を有して形成されている。本発明の床版架設装置1は例えば上り勾配あるいは下り勾配を有する路面2上に設置され、前記上り勾配あるいは下り勾配の路面2上を床版架設装置1の前後方方向のいずれの方向にも移動出来る構成とし、床版取り替え作業などが行えるものとなっている。
【0012】
しかるに、このような勾配を有する路面2では、車輪で移動する床版架設装置1で下降あるいは上昇移動することは安全走行の上から極めて難しい。床版架設装置1の自重により路面2上を下降してしまう可能性があるからである。本発明による床版架設装置1が発明された所以である。
【0013】
ここで、床版架設装置1は床版の取り替え作業を行う路面2上に架設された移動レール9上に載置される下枠部材3を有している。該下枠部材3は路面2の幅方向両側において路面2の長手方向に延出する一対の横下枠4を備えて構成される。この一対の横下枠4には長方形の枠状にすべく、あるいは一対の横下枠4の一方側だけ連結される縦下枠を有して略長方形状の下枠部材3にすべく構成しても構わない。
【0014】
また、前記一対の下枠部材3の上には略直方体をなす枠体で構成された装置本体枠5が前記下枠部材3に跨がって載置されており、該装置本体枠5内には、作業レール6が吊下されて取り付けられている。
そして、前記作業レール6には吊り装置7が該作業レール6の長手方向に移動できる様にして吊り下げ保持されている。
【0015】
吊り装置7は、例えば取り替えるためにカットされて路面2から剥がされた床版体8を吊り上げ、さらに水平方向に約90度ほど回転して作業レール6の長手方向に移動できるよう構成されている。
【0016】
吊り上げた床版体8を作業レール6に沿って装置本体枠5の内部まで移動させると、装置本体枠5内にすでに進入している例えば運搬車両の荷台上に前記床版体8を下ろす作業が行われる。その後、前記吊り装置7を移動させて次の床版体8の取り替え、運搬作業に移るものとなる。
【0017】
尚、装置本体枠5内に運搬車両が進入する場合、下枠部材3の縦下枠などが邪魔にならないよう取り外すか、当初より縦下枠などを取り外しておき、その状態で装置本体枠5内に入れるようにし、運搬作業が行えるように構成してある。
【0018】
急勾配の勾配斜面である路面2上には移動レール9が設置される。そして、該移動レール9はレール固定具10により勾配を有する路面2に固定される。
尚、この移動レール9は
図1から理解されるように2つのレール部材を直線状に繋いで構成してある。すなわち、長手方向の略中間位置で接合部材11により接合して移動レール9とした。
【0019】
これは移動レール9を設置する路面2がすべて直線状に形成されてはおらず、左右に曲がりくねった路面2となっている場合があることによる。本発明では、接合部材11で繋いだ箇所で移動レール9が左右に略く字状に曲げられるように構成し、もって左右に曲がりくねった路面2上においても床版架設装置1を容易に移動できて床版取り替え作業などが行えるものとしたのである。
【0020】
ところで、
図2に示すように、前記移動レール9は断面略T字状に形成されており、直線的に、かつ水平方向に延出されたレール部12と該レール部12の幅方向中間位置から垂直方向に垂下したレール保持部13を有して構成されている。
【0021】
そして、レール部12の上には前記装置本体枠5や下枠部材3で構成される床版架設装置1を支える複数本の支持脚14が載置されるものとなる。
尚、支持脚14は下枠部材3を構成する横下枠4の長手方向両側から床版架設装置1を支持すべく垂下して設けられており、支持脚14の下端面がレール部12の上面と密着した状態でレール部12上に載置される。
【0022】
そして、前記レール部12の上面と前記支持脚14の下端面の間にはすべり板15が介在されており、床版架設装置1が上り勾配を有する路面2上を上昇して移動しやすいように摩擦抵抗を減少させるものとしてある。尚、通常、すべり板15は支持脚14の下端面側に貼着した構成としてあるが、レール部12の上面に貼着した構成でも構わない。
【0023】
また、すべり板15については摩擦抵抗が極めて小さく、床版架設装置1の自重によって下り傾斜側に下ってしまう材質で構成してはならない。床版架設装置1の自重によって下り傾斜側に下ってしまわない程度の摩擦抵抗を有する部材であることが必要である。本発明では一例としてすべり板15をSUS部材で構成してある。
【0024】
図2に示すように、支持脚14の幅方向両端からはレール部12の張り出し部裏面16に係止する挟み部17が設けられており、該挟み部17の先端にはレール部12の長手方向に移動可能なローラー18が設けられている。
【0025】
前記挟み部17が設けられていることにより、支持脚14が、ひいては床版架設装置1が容易にレール部12から脱線しないよう構成されていると共に、支持脚14がレール部12から浮き上がる事態が生じたときにおいても前記挟み部材17がレール部12の張り出し部裏面16に係止し、もって支持脚14のレール部12からの浮き上がりを防止できるものとなっている。
【0026】
尚、
図1から理解されるように、支持脚14は垂直方向に伸縮できる構成となっており、横下枠4の両端側に取り付けられた支持脚14を伸縮させることにより床版架設装置1が急勾配の路面2上にあっても水平に保てるように構成されている。
【0027】
次に床版架設装置1の設置及び動作につき説明する。
図1に示すように一対の移動レール9を上り勾配を有する路面2上に固定して設置する。該固定はレール固定具10を使用して路面2に移動レール9を固定している。
【0028】
床版架設装置1は前記移動レール9の固定作業中は、該床版架設装置1の前後方向に設けられた垂直方向に伸縮出来るアウトリガージャッキ19により持ち上げられた状態になっており、決して移動レール9の固定作業の邪魔にならないものとなっている。
【0029】
ここで、前述したように移動レール9はその長手方向略中間位置にある接合部20で接合されて構成されている。すなわち、移動レール9は複数本のレール用部材、例えば2本のレール用部材を接合部材11で接合して構成したものである。
【0030】
これは前述したように作業を行うべき路面2が決して直線状の路面ではなく、左右方向に蛇行している路面2があり、そのような路面2に対応して作業をしなければならない場合があるからである。
移動レール9が路面2に固定されると、床版架設装置1の支持脚14は移動レール9上に載置される。
【0031】
ここで、支持脚14は床版架設装置1の幅方向両側に設けられた一対の下枠部材3の長手方向両側にそれぞれ2つずつ設けられ、通常は4つの支持脚14が移動レール9上に載置される。そして、
図8に示すように移動レール9の先端側に寄せて床版架設装置1が載置される。ここで、移動レール9の後端側に載置される支持脚14は移動レール9の接合部20より後方に位置するものとなっている。すなわち、移動レール9の先端側に載置される支持脚14も移動レール9の後端側に載置される支持脚14も移動レール9の接合部20の上を通過させない構成になっている。
【0032】
符号21は中空ジャッキ装置を示す。該中空ジャッキ装置21は貫通孔26を有する例えば円筒部を有するジャッキ本体22と前記貫通孔26の長手方向両端から突出作動する油圧などの作動部材で構成されたシリンダー部25を有している。
【0033】
また、中空ジャッキ装置21は前記貫通孔26及びシリンダー部25内を貫挿して長手方向に延出する長尺の棒状操作部材23を有している。そして、前記長尺の棒状操作部材23の両端は移動レール9の両端に係止されている(
図1、
図8参照)。
【0034】
さらに、前記円筒部を有するジャッキ本体22の両端側には突出作動するシリンダー部25の突出作動の際に前記シリンダー部25に当接する係止部材27が前記棒状操作部材23を貫挿して取り付けられている。そして、該係止部材27は棒状操作部材23の長手方向所定の位置で係止できるよう構成されており、図に示すように、シリンダー部25が前記所定の位置で止められた係止部材27に当接しながら、前記シリンダー部25が突出した長さ分、ジャッキ本体22に連結された床版架設装置1が移動レール9上を移動する構成となっている。
【0035】
図1、
図8に示すように中空ジャッキ装置21のジャッキ本体22は床版架設装置1の下枠部材3の長手方向略中間位置でジャッキ本体取付部材24により床版架設装置1に固定されており、もって中空ジャッキ装置21が作動され、ジャッキ本体22の端部からシリンダー部25が突出すると、床版架設装置1が移動レール9の前後方向へ移動できるように構成したのである。
【0036】
尚、本発明では前記棒状操作部材23をネジ鉄筋で構成し、前記係止部材27を前記ネジ鉄筋に螺合するナットで構成しているが、かかる構成に限定されるものではない。長尺の棒状操作部材23の長手方向所定箇所で係止部材27が係止出来る部材であればよい。
【0037】
尚、
図1に示すように、中空ジャッキ装置21のジャッキ本体22は、一対の下枠部材3の長手方向略中間位置でジャッキ本体取付部材24の一側面に2個取り付けられ、他側面にも2個取り付けられている。中空ジャッキ装置21の取り付け個数については何ら限定されないが、少なくとも1つの下枠部材3につき、ジャッキ本体取付部材24の両側面に2つ取り付けておくのが好ましい。
【0038】
次に、本発明による床版架設装置1の使用状態につき説明する。
図1、
図8に示すように、移動レール9はレール固定具10により勾配を有する路面2の上に固定される。そして、
図1、
図8、
図2に示すように移動レール9上に支持脚14が載置され、床版架設装置1が水平方向に姿勢を保てるように支持脚14を伸縮させて移動レール9に設置される。
【0039】
ここで、支持脚14の下端面にはすべり板15が取り付けられており、床版架設装置1に車輪がなくとも、摩擦抵抗を減じて移動レール9上をスムーズに移動できる様構成されている。
【0040】
図8のように設置された床版架設装置1は、前述した中空ジャッキ装置21を作動させて上り勾配の路面2上を後方移動する。ここで、中空ジャッキ装置21の動作につき説明する。
【0041】
一方側の下枠部材3、すなわち
図8において図面に現れている床版架設装置1の側面側に取り付けられた中空ジャッキ装置21のシリンダー部25を
図8において床版架設装置1を左側から右側へ移動させるよう突出させる。すなわち、
図8においてジャッキ本体22の左側にシリンダー部25を突出させる(
図8参照)。
【0042】
すると、前記突出によってシリンダー部25は係止部材27に当接してこれを押し、これによってジャッキ本体22と連結された床版架設装置1は、
図8において左側から右側へ移動レール9上を移動し、上り勾配状の路面2上を下降する。
【0043】
ところで、他方側の下枠部材3に取り付けられた中空ジャッキ装置21のシリンダー部25は
図7の下側に描画された図に示すように、
図8において図面に現れている床版架設装置1の側面側に取り付けられた中空ジャッキ装置21のシリンダー部25の突出方向とは反対側へ突出する様動作させている。
【0044】
すなわち、前記
図8において図面に現れている床版架設装置1の側面側に取り付けられた中空ジャッキ装置21のシリンダー部25が
図8の左側に突出すると、
図8において床版架設装置1が左側から右側へ移動する。
【0045】
そして、この動作の間、
図8に現れていない床版架設装置1の側面側に取り付けられた中空ジャッキ装置21のシリンダー部25については、
図7の下側に描画された図の様に、右側に突出する動作が行われるのである。
【0046】
次に、右側に突出する動作が行われた
図8に現れていない床版架設装置1の側面側に取り付けられた中空ジャッキ装置21のシリンダー部25を右側に突出させ、床版架設装置1をさらに前記シリンダー部25の突出長の長さ分、
図8において右側、すなわち路面2の下方へ移動させるのである。
【0047】
そして、このシリンダー部25の動作中には、
図8において現れている床版架設装置1の側面側に取り付けられたシリンダー部25は突出した右側から左側へ退出させる操作が行われる。
【0048】
そして、次の操作では、前記退出させた
図8において現れている床版架設装置1の側面側に取り付けられたシリンダー部25を再び左側から右側へ突出させる。すると、床版架設装置1はさらに前記シリンダー部25の突出長の長さ分、
図8において右側、すなわち路面2の下方へさらに移動するのである。
しかるに、これらの操作を繰り返し行い、移動レール9の後端側まで床版架設装置1を移動させる。
【0049】
すなわち、本発明では上記説明したように床版架設装置1の左右側面に設けられた中空ジャッキ装置21を交互に作動させて床版架設装置1を移動させている。このように一方側の中空ジャッキ装置21だけで充分床版架設装置1を移動でき、かつ一方側の中空ジャッキ装置21の作動中に他方側の中空ジャッキ装置21はそのシリンダー部25を突出した状態から引っ込めた元の状態に戻している。よって、本発明では交互のシリンダー部25の突出動作を互い違いに直ちに操作開始できる構成になっているのである。
【0050】
これが本発明の大きな特徴でもある。すなわち、双方の中空ジャッキ装置21のシリンダー部25を突出させて床版架設装置1を移動させることも出来るが、この場合、突出させたシリンダー部25を元の引っ込めた状態に戻す間、作業を中断させることになり、時間にロスを生じさせることになるからである。
【0051】
しかるに、
図1に示す様に、床版架設装置1が移動レール9の後端側まで移動したときは、アウトリガージャッキ19を伸ばして床版架設装置1を移動レール9から上昇させて浮き上がらせ、その状態で移動レール9を
図1に向かって左側に移動させて
図8のように移動レール9の先端側に床版架設装置1を再設置する。そして再び中空ジャッキ装置21を作動させて床版取り替え作業を行うものとなる。
【0052】
ところで本発明であれば、前述したように勾配を有する路面2上を前進させて使用することも出来るし、後退させて使用することも出来る。よって、剥がした床版体8を車両におろし、運搬するため後退移動で使用することもあるし、新しい床版体8を設置するため、前進移動して使用することも出来るものとなる。
【符号の説明】
【0053】
1 床版架設装置
2 路面
3 下枠部材
4 横下枠
5 装置本体枠
6 作業レール
7 吊り装置
8 床版体
9 移動レール
10 レール固定具
11 接合部材
12 レール部
13 レール保持部
14 支持脚
15 すべり板
16 張り出し部裏面
17 挟み部
18 ローラー
19 アウトリガージャッキ
20 接合部
21 中空ジャッキ装置
22 ジャッキ本体
23 棒状操作部材
24 ジャッキ本体取付部材
25 シリンダー部材
26 貫通孔
27 係止部材
【手続補正書】
【提出日】2023-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面上に設置される一対の移動レールと、前記一対の移動レール上に載置される支持脚を有する床版架設装置と、該床版架設装置を前記移動レールの長手方向に移動させる中空ジャッキ装置と、を備え、
前記中空ジャッキ装置は、前記床版架設装置の両側面に連結されたジャッキ本体と、前記ジャッキ本体を貫挿して該ジャッキ本体の両端側から突出可能に構成されたシリンダー部と、前記シリンダー部内を貫挿し、両端部が移動レールに係止された棒状操作部材と、該棒状操作部材の長手方向所定箇所に取り付けられ、突出するシリンダー部に押される係止部材と、を有し、
前記係止部材がシリンダー部に押された長さ分、前記床版架設装置を移動レールの長手方向へ移動させる、
ことを特徴とするジャッキ移動型床版架設装置。
【請求項2】
前記中空ジャッキ装置は、床版架設装置の一側面に複数個取り付けられた、
ことを特徴とする請求項1記載のジャッキ移動型床版架設装置。
【請求項3】
前記移動レールと該移動レールに載置される支持脚との間には、摩擦抵抗を減ずるすべり板が介在された、
ことを特徴とした請求項1または請求項2記載のジャッキ移動型床版架設装置。
【請求項4】
前記床版架設装置の両側面に取り付けられた中空ジャッキ装置の内、片方側の中空ジャッキ装置のみの作動を交互に繰り返し、前記床版架設装置を移動レールの長手方向へ移動させる、
ことを特徴とした請求項1、請求項2記載のジャッキ移動型床版架設装置。
【請求項5】
前記移動レールは長手方向略中間位置から左右方向に曲折する様構成され、左右方向に曲折する路面の設置に対応できる移動レールに構成された、
ことを特徴とした請求項1、請求項2記載のジャッキ移動型床版架設装置。