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  • 特開-包装箱 図1
  • 特開-包装箱 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173030
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/26 20060101AFI20231130BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B65D81/26 F
B65D85/50 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084989
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭太
【テーマコード(参考)】
3E035
3E067
【Fターム(参考)】
3E035AA11
3E035AB01
3E035BA01
3E035BB07
3E035BC01
3E035BC02
3E035BD03
3E035BD04
3E067AA11
3E067AB01
3E067AB08
3E067AB09
3E067AC03
3E067BA05A
3E067BA06A
3E067BB01A
3E067BB02A
3E067BB16A
3E067BB26A
3E067CA07
3E067CA08
3E067FA01
3E067FC01
3E067GA01
3E067GB07
3E067GD01
3E067GD02
(57)【要約】
【課題】底板の強度を保ちつつ、排水効率を高めることができる包装箱を提供する。
【解決手段】包装箱1であって、前後の端壁11,11および左右の側壁12,12を有する筒状の胴部10と、胴部10の下側の開口部に設けられた底板20と、を有する箱体50を備え、箱体50の下側の角部51に孔部60が形成されている。底板20の内面には撥水層70が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後の端壁および左右の側壁を有する筒状の胴部と、
前記胴部の下側の開口部に設けられた底板と、を有する箱体を備え、
前記箱体の下側の角部に孔部が形成されており、
前記底板の内面に撥水層が形成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項1に記載の包装箱であって、
前記底板は、
前記端壁の下縁部に連設された内フラップと、
前記側壁の下縁部に連設された外フラップと、を備え、
前記内フラップの外面に前記外フラップが重ねられており、
前記内フラップおよび前記外フラップの内面に前記撥水層が形成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項1に記載の包装箱であって、
前記撥水層は、前記底板の内面に塗布された撥水剤によって形成されていることを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
段ボール製の包装箱に野菜や果物などの食料品を収容したときに、食料品や保冷剤から生じた水が底板の内面に溜まって、底板に水が浸透してしまう場合がある。
そこで、従来の包装箱としては、箱体の下側の角部に孔部を形成するとともに、底板の内面に孔部から底板の中央部に向けて延びている押罫を形成しているものがある(例えば、特許文献1参照)。この構成では、底板の内面の水が、押罫に沿って孔部に向けて流れて、孔部を通じて外部に排水される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3236097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来の包装箱では、底板が押罫において折れ曲がり易いため、内容物の重量によって底板が変形し易い。さらに、前記した従来の包装箱において、排水効率を高めるには、底板の内面に多数の押罫を形成する必要がある。このように、前記した従来の包装箱では、底板の強度が低下してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、前記した問題を解決し、底板の強度を保ちつつ、排水効率を高めることができる包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、包装箱であって、前後の端壁および左右の側壁を有する筒状の胴部と、前記胴部の下側の開口部に設けられた底板と、を有する箱体を備え、前記箱体の下側の角部に孔部が形成されている。前記底板の内面には撥水層が形成されている。
【0007】
本発明の包装箱では、箱体内に生じた水が、底板の撥水層の上で水滴となり、搬送時などに底板が傾くと、底板の内面の水滴が、角部に向けてスムーズに流れて、孔部を通じて外部に排水される。
また、本発明の包装箱では、底板の内面に撥水層を形成することで、排水効率を高めているため、底板の強度を保つことができる。
【0008】
前記した包装箱において、前記底板は、前記端壁の下縁部に連設された内フラップと、前記側壁の下縁部に連設された外フラップと、を備え、前記内フラップの外面に前記外フラップが重ねられている。そして、前記内フラップおよび前記外フラップの内面に前記撥水層が形成されている。
この構成では、内フラップと外フラップとを重ねて形成した底板を有する包装箱において排水効率を高めることができる。
【0009】
前記した包装箱において、前記底板の内面に塗布した撥水剤によって前記撥水層を形成することで、底板の内面に容易に撥水効果を付与することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の包装箱では、底板の内面の撥水層によって、箱体内の水が箱体の孔部を通じて外部に排水され易いため、底板の強度を保ちつつ、排水効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る包装箱を前方左下から見た斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、前後左右方向とは、本実施形態の包装箱を説明する上で便宜上設定したものであり、包装箱の構成や使用状態を限定するものではない。
【0013】
本実施形態の包装箱1は、図1に示すように、矩形筒状の胴部10と、胴部10の下側の開口部を閉塞している底板20と、胴部10の上側の開口部を閉塞している頂板30と、を有する箱体50を備えている。本実施形態の包装箱1は、A式の段ボール箱である。
【0014】
本実施形態の包装箱1は、図2に示すように、段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートSを各折れ線において山折りまたは谷折りすることで形成される。図2に示すブランクシートSは内面側が見えるように配置されている。
【0015】
ブランクシートSの折れ線は、ブランクシートSの表面を線状に押し込んで形成された罫線(押罫)である。なお、折れ線に断続的な切れ込みを形成してもよい。このようにすると、折れ線においてブランクシートSを折り曲げ易くなる。
また、シートの表面のみを切断したハーフカットの切れ込みやシートを貫通した切れ込みを断続させて線状に形成することで折れ線を構成してもよい。
【0016】
胴部10は、図1に示すように、前後一対の端壁11,11と、左右一対の側壁12,12と、を備えている。端壁11および側壁12は四角形に形成されている。端壁11と側壁12とは折れ線を介して連設されている。本実施形態では、左側の側壁12の後縁部に連設された接合片13を、後側の端壁11の内面に貼り付けることで、筒状の胴部10が形成されている。胴部10の上面および下面には、四角形の開口部が形成されている。
【0017】
底板20は、前後の端壁11,11にそれぞれ連設された前後一対の内フラップ21,21と、左右の側壁12,12にそれぞれ連設された左右一対の外フラップ22,22と、を有している。
【0018】
内フラップ21は、端壁11の下縁部に折れ線を介して連設されている。前側の内フラップ21は、胴部10の下側の開口部の前部を塞いでおり、後側の内フラップ21は、胴部10の下側の開口部の後部を塞いでいる。前後の内フラップ21,21は前後方向に間隔を空けて配置されている。
【0019】
外フラップ22は、側壁12の下縁部に折れ線を介して連設されている。外フラップ22の前部は、前側の内フラップ21の外面(下面)に重ねられ、外フラップ22の後部は、後側の内フラップ21の外面(下面)に重ねられている。
【0020】
左側の外フラップ22は、胴部10の下側の開口部の左半分を塞いでおり、右側の外フラップ22は、胴部10の下側の開口部の右半分を塞いでいる。
左右の外フラップ22,22の先端縁部同士は、胴部10の上側の開口部の左右方向の中央部において突き合わされている。
両外フラップ22,22の先端縁部同士の外面に粘着テープ(図示せず)を貼り付けることで、両外フラップ22,22の先端部が連結されている。このようにして、底板20が閉じられており、底板20によって胴部10の下側の開口部が閉塞されている。
【0021】
頂板30は、底板20と上下対称な構成であり、端壁11の上縁部に連設された内フラップ31と、側壁12の上縁部に連設された外フラップ32と、を有し、内フラップ31の外面(上面)に外フラップ32が重ねられている。
【0022】
本実施形態の箱体50の下側の角部51には、孔部60が形成されている。本実施形態では、箱体50の左前、右前および右後の三つの角部51に孔部60が形成されている。左前、右前および右後の各角部51は、端壁11、側壁12、内フラップ21および外フラップ22によって形成されている。孔部60は、箱体50の角部51を貫通している。
【0023】
孔部60は、図2に示すブランクシートSにおいて、端壁11と側壁12との間の折れ線と、端壁11と内フラップ21との間の折れ線と、側壁12と外フラップ22との折れ線との交点となる位置に形成されている。
孔部60は、ブランクシートSの状態では、略円形に形成されている。本実施形態の孔部60は、端壁11、側壁12、内フラップ21および外フラップ22に分割して形成されている。つまり、端壁11、側壁12、内フラップ21および外フラップ22に、孔部60の縁部の略1/4の領域がそれぞれ形成されている。
そして、図1に示すように、箱体50を組み立てたときに、端壁11、側壁12、内フラップ21および外フラップ22の孔部60の縁部が連結することで、箱体50の角部51に孔部60が形成される。
【0024】
図2に示すブランクシートSの内面全体には、撥水層70が形成されている。本実施形態では、端壁11、側壁12、内フラップ21,31および外フラップ22,32の内面全体に撥水層70が形成されている。
これにより、本実施形態の包装箱1では、図1に示す箱体50の胴部10、底板20および頂板30の内面全体に撥水層70が形成されていることになる。
【0025】
本実施形態の撥水層70は、図2に示すブランクシートSの内側のライナーの内面に撥水剤を塗布することで形成されている。
撥水層70を形成するための撥水剤は限定されるものではなく、例えば、ワックスや合成樹脂などがある。
ワックスの具体例としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、マレイン化石油樹脂などの変性ワックスなどがある。
合成樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂などがある。
【0026】
撥水層70は、水が掛かっても、水をはじいて水滴とし、シートへの水の浸透を防ぐことができる撥水度を有している。なお、撥水層70の撥水度は、Japan TAPPI No.68紙及び板紙-はっ水試験方法におけるR8以上の撥水度であることが好ましい。
【0027】
以上のような包装箱1によれば、図1に示す箱体50内に収容した食料品や保冷剤から生じた水は、箱体50の内面の撥水層70にはじかれて、箱体50のシートに浸透することなく、底板20の内面に水滴の状態で溜まる。
底板20の内面の水滴は、搬送時などに底板20が傾くと、箱体50の角部51に向けてスムーズに流れる。
このように、本実施形態の包装箱1では、箱体50内に生じた水を、箱体50の孔部60を通じて外部に効率良く排水することができる。
【0028】
また、本実施形態の包装箱1では、底板20の内面に撥水層70を形成することで、箱体50の排水効率を高めているため、底板20の強度を保つことができる。
【0029】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本実施形態では、図2に示すブランクシートSの内側のライナーの内面に撥水層70を形成しているが、内側のライナーの内面に加えて、外側のライナーの外面に撥水層を形成してもよい。更には、内外のライナーの間の中芯(フルート)にも撥水加工を施してもよい。
【0030】
本実施形態の包装箱1の底板20は、図1に示すように、内フラップ21の下面に外フラップ22を重ねた構成であるが、底板20の構成は限定されるものではない。例えば、一枚の外フラップ22によって胴部10の下側の開口部を塞ぐように構成してもよい。
【0031】
本実施形態の包装箱1では、箱体50の上側の開口部が頂板30によって閉塞されているが、頂板30の構成は限定されるものではなく、頂板30に開口部を形成してもよい。更には、箱体50に頂板30を設けることなく、箱体50の上面が開口しているトレイ形状に形成してもよい。
【0032】
本実施形態の包装箱1の胴部10は、矩形筒状に形成されているが、胴部10の形状は限定されるものではなく、例えば、端壁11と側壁12との間に傾斜壁を設けて、胴部10を六角形や八角形などの多角形の筒状に形成してもよい。
【0033】
本実施形態の包装箱1は段ボール製であるが、各種公知の板紙によって包装箱を形成してもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 包装箱
10 胴部
11 端壁
12 側壁
13 接合片
20 底板
21 内フラップ
22 外フラップ
30 頂板
31 内フラップ
32 外フラップ
50 箱体
51 角部
60 孔部
70 撥水層
S ブランクシート
図1
図2