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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173053
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】車両用照明装置、および車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/47 20180101AFI20231130BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20231130BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20231130BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20231130BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20231130BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20231130BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20231130BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20231130BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20231130BHJP
   F21W 103/45 20180101ALN20231130BHJP
   F21W 103/40 20180101ALN20231130BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231130BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20231130BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20231130BHJP
【FI】
F21S45/47
F21S43/14
F21V23/00 160
F21V23/00 150
F21V19/00 150
F21W103:55
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:00
F21W103:45
F21W103:40
F21Y115:10
F21Y115:15
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085043
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】越智 統彦
【テーマコード(参考)】
3K013
3K014
【Fターム(参考)】
3K013AA07
3K013BA01
3K013CA05
3K014AA01
(57)【要約】
【課題】発光効率の向上を図ることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る車両用照明装置は、ソケットと;前記ソケットの一方の端部側に設けられ、配線パターンを有する基板と;前記基板に設けられた少なくとも1つの発光素子と;前記ソケットの内部に設けられ、一方の端部が前記ソケットの一方の端部側に露出する複数の給電端子と;を具備している。前記配線パターンには、前記発光素子、および、前記給電端子のみが電気的に接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケットと;
前記ソケットの一方の端部側に設けられ、配線パターンを有する基板と;
前記基板に設けられた少なくとも1つの発光素子と;
前記ソケットの内部に設けられ、一方の端部が前記ソケットの一方の端部側に露出する複数の給電端子と;
を具備し、
前記配線パターンには、前記発光素子、および、前記給電端子のみが電気的に接続されている車両用照明装置。
【請求項2】
前記配線パターンは、膜状を呈し、前記基板の面を覆い、前記給電端子の数に応じて分割され、
前記分割された配線パターンは、前記発光素子を介して電気的に接続されている請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項3】
膜状を呈し、前記配線パターン、および、前記基板の面を覆う被覆部をさらに具備し、
前記被覆部は、前記発光素子から出射した光に対する反射率が高い材料を含む請求項1または2に記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記発光素子の保護、および前記発光素子の制御の少なくともいずれかを行う回路部をさらに具備し、
前記回路部は、前記ソケットの外部に設けられ、前記複数の給電端子の他方の端部と電気的に接続されている請求項1または2に記載の車両用照明装置。
【請求項5】
請求項1記載の車両用照明装置と;
前記車両用照明装置が取り付けられる筐体と;
を具備した車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用照明装置、および車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー化や長寿命化などの観点から、フィラメントを備えた車両用照明装置に代えて、発光ダイオードなどの発光素子を備えた車両用照明装置の普及が進んでいる。
この様な車両用照明装置は、放熱フィンを有するソケットと、ソケットの一方の端部側に設けられた発光モジュールと、を備えている。
【0003】
この場合、発光モジュールに、基板、発光素子、および、発光回路を構成するための素子を設ければ、集約化を図ることができる。そのため、基板に設けられた配線パターンには、発光素子、抵抗、コンデンサ、ダイオードなどが電気的に接続されている。
【0004】
ここで、発光素子に電流が流れると、発光素子から光が出射するとともに、発光素子において熱が発生する。発生した熱により発光素子の温度が高くなると発光効率が低下する場合がある。発光効率が低下すると、車両用照明装置の高光束化が困難となる。
【0005】
また、抵抗などの発光回路を構成するための素子に電流が流れると、熱が発生する。発生した熱は、基板を介して発光素子に伝わる場合がある。抵抗などの素子において発生した熱が発光素子に伝わると、発光素子の温度が上昇し易くなって、発光効率がさらに低下するおそれがある。
【0006】
また、近年においては、車両用照明装置の小型化が望まれている。そのため、ソケットや発光モジュールの大きさが小さくなる傾向にある。ソケットの大きさが小さくなると、ソケットの、発光モジュールが設けられる部分の面積が小さくなり、発光モジュールにおいて発生した熱がソケットに伝わり難くなる。また、発光モジュールの大きさが小さくなると、発光素子と発光回路を構成するための素子との間の距離が短くなって、発光回路を構成するための素子において発生した熱が発光素子に伝わり易くなる。
【0007】
また、近年においては、車両用照明装置の高光束化が望まれている。車両用照明装置の高光束化を図ると、発光素子や発光回路を構成するための素子に流す電流が増加する場合がある。発光素子や発光回路を構成するための素子に流す電流が増加すると、これらにおいて発生する熱が多くなって、発光素子の温度上昇、ひいては発光効率の低下が顕著になるおそれがある。
すなわち、車両用照明装置の小型化や高光束化を図ると、発光素子の温度がさらに上昇し易くなり、発光効率の向上がさらに困難となる。
そこで、発光効率の向上を図ることができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2022-22963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、発光効率の向上を図ることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態に係る車両用照明装置は、ソケットと;前記ソケットの一方の端部側に設けられ、配線パターンを有する基板と;前記基板に設けられた少なくとも1つの発光素子と;前記ソケットの内部に設けられ、一方の端部が前記ソケットの一方の端部側に露出する複数の給電端子と;を具備している。前記配線パターンには、前記発光素子、および、前記給電端子のみが電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、発光効率の向上を図ることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態に係る車両用照明装置を例示するための模式分解図である。
図2図1における車両用照明装置のA-A線断面図である。
図3】他の実施形態に係る発光モジュールを例示するための模式斜視図である。
図4】車両用灯具を例示するための模式部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0014】
(車両用照明装置)
本実施の形態に係る車両用照明装置1は、例えば、自動車や鉄道車両などに設けることができる。自動車に設けられる車両用照明装置1としては、例えば、フロントコンビネーションライト(例えば、デイタイムランニングランプ(DRL:Daytime Running Lamp)、ポジションランプ、ターンシグナルランプなどが適宜組み合わされたもの)や、リアコンビネーションライト(例えば、ストップランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、バックランプ、フォグランプなどが適宜組み合わされたもの)などに用いられるものを例示することができる。ただし、車両用照明装置1の用途は、これらに限定されるわけではない。
【0015】
図1は、本実施の形態に係る車両用照明装置1を例示するための模式分解図である。
図2は、図1における車両用照明装置1のA-A線断面図である。
なお、繁雑となるのを避けるために、図2においては、回路部25および給電端子31を省いて描いている。
図1、および図2に示すように、車両用照明装置1には、例えば、ソケット10、発光モジュール20、給電部30、および伝熱部40が設けられている。
【0016】
ソケット10は、例えば、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15を有する。
装着部11は、例えば、フランジ13の、放熱フィン14が設けられる側とは反対側の面に設けられる。装着部11の外形形状は、柱状とすることができる。装着部11の外形形状は、例えば、円柱状である。装着部11は、例えば、フランジ13側とは反対側の端部に開口する凹部11aを有する。
【0017】
バヨネット12は、例えば、装着部11の側面に設けられる。バヨネット12は、例えば、車両用照明装置1の外側に向けて突出している。バヨネット12は、フランジ13と対向している。バヨネット12は、複数設けることができる。バヨネット12は、車両用照明装置1を、例えば、後述する車両用灯具100の筐体101に装着する際に用いられる。バヨネット12は、ツイストロックに用いることができる。
【0018】
フランジ13は、例えば、板状を呈している。フランジ13は、例えば、円板状を呈している。フランジ13の側面は、バヨネット12の側面よりも車両用照明装置1の外方に位置している。
【0019】
放熱フィン14は、例えば、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられる。放熱フィン14は、少なくとも1つ設けることができる。例えば、図1に例示をしたソケット10には複数の放熱フィン14が設けられている。複数の放熱フィン14は、所定の方向に並べて設けることができる。放熱フィン14は、例えば、板状、または筒状を呈している。
【0020】
コネクタホルダ15は、例えば、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられる。コネクタホルダ15は、放熱フィン14と並べて設けることができる。コネクタホルダ15は、筒状を呈し、内部に、シール部材を有するコネクタ25dが挿入される。
【0021】
ソケット10は、発光モジュール20、および給電部30を保持する機能と、発光モジュール20において発生した熱を外部に伝える機能を有する。そのため、ソケット10は、熱伝導率の高い材料から形成するのが好ましい。例えば、ソケット10は、アルミニウム合金などの金属から形成することができる。
【0022】
また、近年においては、ソケット10は、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができ、且つ、軽量であることが望まれている。そのため、ソケット10は、例えば、高熱伝導性樹脂から形成することがさらに好ましい。高熱伝導性樹脂は、例えば、樹脂と、無機材料を用いたフィラーと、を含む。高熱伝導性樹脂は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)やナイロン(Nylon)等の樹脂に、炭素や酸化アルミニウムなどを用いたフィラーを混合させたものである。
【0023】
高熱伝導性樹脂を含み、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15が一体に成形されたソケット10とすれば、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができる。また、ソケット10の重量を軽くすることができる。この場合、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15は、射出成形法などを用いて、一体成形することができる。また、インサート成形法などを用いて、例えば、ソケット10、給電部30、および伝熱部40を一体成形することもできる。
【0024】
給電部30は、例えば、複数の給電端子31、および保持部32を有する。
複数の給電端子31は、棒状体とすることができる。複数の給電端子31は、所定の方向に並べて設けることができる。複数の給電端子31の一方の端部は、凹部11aの底面11a1から突出している。すなわち、複数の給電端子31は、ソケット10の内部に設けられ、一方の端部がソケット10の一方の端部側に露出している。複数の給電端子31の一方の端部は、基板21に設けられた配線パターン21aと半田付けされる。複数の給電端子31の他方の端部は、コネクタホルダ15の孔の内部に露出している。コネクタホルダ15の孔の内部に露出する複数の給電端子31の端部には、コネクタ25dが嵌め合わされる。複数の給電端子31は、例えば、銅合金などの導電率の高い材料から形成される。なお、複数の給電端子31の形状、配置、材料などは例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0025】
前述したように、ソケット10は熱伝導率の高い材料から形成することが好ましい。ところが、熱伝導率の高い材料は導電性を有している場合がある。例えば、アルミニウム合金などの金属や、炭素を用いたフィラーを含む高熱伝導性樹脂などは、導電性を有している。そのため、保持部32は、複数の給電端子31と、導電性を有するソケット10との間を絶縁するために設けられている。また、保持部32は、複数の給電端子31を保持する機能をも有する。なお、ソケット10が絶縁性を有する高熱伝導性樹脂(例えば、酸化アルミニウムを用いたフィラーを含む高熱伝導性樹脂など)から形成される場合には、保持部32を省くことができる。この場合、ソケット10が複数の給電端子31を保持する。保持部32は、例えば、絶縁性を有する樹脂から形成される。保持部32は、例えば、ソケット10に設けられた孔に圧入したり、孔の内壁に接着したりすることができる。
【0026】
伝熱部40は、例えば、基板21と、凹部11aの底面11a1との間に設けられている。伝熱部40は、例えば、凹部11aの底面11a1に接着することができる。伝熱部40と凹部11aの底面11a1とを接着する接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。例えば、接着剤は、無機材料を用いたフィラーが混合された接着剤とすることができる。無機材料は、熱伝導率の高い材料(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス)とすることが好ましい。
【0027】
また、伝熱部40は、インサート成形法により、凹部11aの底面11a1に埋め込むこともできる。また、伝熱部40は、熱伝導グリス(放熱グリス)を含む層を介して、凹部11aの底面11a1に取り付けることもできる。熱伝導グリスの種類には特に限定はないが、例えば、熱伝導グリスは、変性シリコーンに、熱伝導率の高い材料(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス)を用いたフィラーが混合されたものとすることができる。
【0028】
伝熱部40は、発光モジュール20において発生した熱が、ソケット10に伝わりやすくするために設けられる。そのため、伝熱部40は、熱伝導率の高い材料から形成することが好ましい。伝熱部40は、板状を呈し、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などの金属から形成することができる。
なお、発光モジュール20において発生する熱が少ない場合などには、伝熱部40を省くこともできる。
【0029】
発光モジュール20(基板21)は、例えば、ソケット10の一方の端部側に設けられている。発光モジュール20(基板21)は、例えば、伝熱部40の上に接着される。伝熱部40が省かれる場合には、発光モジュール20(基板21)は、例えば、凹部11aの底面11a1に接着される。発光モジュール20(基板21)を接着する接着剤は、例えば、伝熱部40と凹部11aの底面11a1とを接着する接着剤と同じとすることができる。
発光モジュール20は、例えば、基板21、発光素子22、枠部23、封止部24、および回路部25を有する。
【0030】
基板21は、板状を呈している。基板21の平面形状は、例えば、四角形である。基板21は、例えば、セラミックス(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなど)などの無機材料、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料などから形成することができる。また、基板21は、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したメタルコア基板であってもよい。発光素子22の発熱量が多い場合には、放熱の観点から熱伝導率の高い材料を用いて基板21を形成することが好ましい。熱伝導率の高い材料としては、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、高熱伝導性樹脂、メタルコア基板などを例示することができる。また、基板21は、単層構造を有するものであってもよいし、多層構造を有するものであってもよい。
【0031】
また、基板21は、配線パターン21aを有する。配線パターン21aは、基板21の面に設けられている。配線パターン21aは、導電率の高い材料から形成される。配線パターン21aは、例えば、銀を主成分とする材料や、銅を主成分とする材料を含んでいる。
【0032】
発光素子22は、基板21の上(伝熱部40側とは反対側)に設けられている。発光素子22は、配線パターン21aと電気的に接続される。発光素子22は、少なくとも1つ設けることができる。図1、および図2に例示をした発光モジュール20には、複数の発光素子22が設けられている。複数の発光素子22は、直列接続することができる。
発光素子22は、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどとすることができる。
【0033】
発光素子22は、チップ状の発光素子とすることもできるし、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)型などの表面実装型の発光素子とすることもできるし、砲弾型などのリード線を有する発光素子とすることもできる。図1、および図2に例示をした発光素子22は、チップ状の発光素子である。
【0034】
この場合、発光素子22を、表面実装型の発光素子、または砲弾型などのリード線を有する発光素子とすれば、枠部23、および封止部24を省くことができる。ただし、発光モジュール20の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を考慮すると、発光素子22は、チップ状の発光素子とすることが好ましい。
以下においては、一例として、発光素子22がチップ状の発光素子である場合を説明する。
【0035】
チップ状の発光素子22は、COB(Chip On Board)により配線パターン21aに実装することができる。チップ状の発光素子22は、例えば、上部電極型の発光素子、上下電極型の発光素子、およびフリップチップ型の発光素子のいずれであってもよい。
発光素子22の数、大きさ、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく、車両用照明装置1の大きさや用途などに応じて適宜変更することができる。
【0036】
枠部23は、基板21の上に設けられている。枠部23は、枠状を呈し、基板21の上に接着されている。枠部23に囲まれた領域には、発光素子22が設けられている。枠部23は、例えば、樹脂から形成される。樹脂は、例えば、PBT(polybutylene terephthalate)、PC(polycarbonate)、PET、ナイロン、PP(polypropylene)、PE(polyethylene)、PS(polystyrene)などの熱可塑性樹脂とすることができる。
【0037】
枠部23は、封止部24の形成範囲を規定する機能と、リフレクタの機能とを有することができる。そのため、枠部23は、反射率を向上させるために、酸化チタンの粒子などを含んでいたり、白色の樹脂を含んでいたりすることができる。
【0038】
また、枠部23は、省くこともできる。ただし、枠部23が設けられていれば、発光素子22から照射された光の利用効率を向上させることができる。また、封止部24が形成される範囲を小さくすることができるので、発光モジュール20の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を図ることができる。
【0039】
封止部24は、枠部23の内側に設けられる。封止部24は、枠部23により囲まれた領域を覆うように設けられる。封止部24は、発光素子22を覆うように設けられる。封止部24は、透光性を有する樹脂を含んでいる。封止部24は、例えば、枠部23の内側に樹脂を充填することで形成される。樹脂の充填は、例えば、ディスペンサなどを用いて行われる。充填する樹脂は、例えば、シリコーン樹脂などである。
なお、枠部23が省かれる場合には、例えば、ドーム状の封止部24が基板21の上に設けられる。
【0040】
また、封止部24には蛍光体を含めることができる。蛍光体は、例えば、YAG系蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体)などである。ただし、蛍光体の種類は、車両用照明装置1の用途などに応じて所定の発光色が得られるように適宜変更することができる。
また、必要に応じて、封止部24の上に光学要素を設けることもできる。光学要素は、例えば、凸レンズ、凹レンズ、導光体などである。
【0041】
ここで、一般的には、基板21の上には、発光回路を構成するための素子が設けられている。素子は、抵抗、コンデンサ、ダイオードなどである。素子は、配線パターン21aを介して、発光素子22と電気的に接続されている。発光素子22に電流が流れると、発光素子22から光が出射する。この際、発光素子22において熱が発生する。発生した熱で発光素子22の温度が高くなると、発光効率が低下するおそれがある。
【0042】
この場合、前述したように、基板21、伝熱部40、およびソケット10が熱伝導率の高い材料から形成されていれば、発光素子22において発生した熱を、基板21、および伝熱部40を介してソケット10に効率良く伝えることができる。ソケット10に伝わった熱は、ソケット10の放熱フィン14などから外部に放出される。そのため、発光素子22の温度が高くなるのを抑制することができるので、発光効率が低下するのを抑制することができる。
【0043】
ところが、発光素子22に電流が流れると、発光素子22と電気的に接続された素子にも電流が流れる。そのため、素子においても熱が発生する。発生した熱は、基板21を介して発光素子22に伝わるので、発光素子22の温度が上昇し易くなり、ひいては発光効率が低下し易くなる。
【0044】
この場合、素子が抵抗の場合には、発熱量が多くなる。そのため、基板21の上に、発光素子22と抵抗が設けられていると、発光素子22の温度上昇の抑制、ひいては発光効率の向上が困難となる。
【0045】
そこで、図1に示すように、本実施の形態に係る発光モジュール20においては、基板21の上に、発光素子22のみを設け、抵抗などの素子は設けない様にしている。例えば、図1に示すように、配線パターン21aには、発光素子22および給電端子31のみが電気的に接続されている。前述した様に、配線パターン21aおよび給電端子31は、導電率の高い材料から形成されている。そのため、配線パターン21aおよび給電端子31に電流が流れたとしても、発生する熱は少ない。配線パターン21aおよび給電端子31において発生する熱が少なければ、これらにおいて発生する熱により、発光素子22の温度が上昇するのを抑制することができる。そのため、発光効率の向上を図ることができる。
【0046】
また、抵抗などの素子が、基板21の上に設けられないのであれば、基板21において素子を設けるスペースを考慮する必要がない。そのため、発光モジュール20(基板21)の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を図ることが容易となる。
【0047】
図1に示すように、回路部25は、ソケット10の外部に設けられ、複数の給電端子31の他方の端部と電気的に接続されている。回路部25は、発光素子22の保護、および発光素子22の制御の少なくともいずれかを行う。
回路部25は、例えば、基板25a、素子25b、ケース25c、およびコネクタ25dを有する。
【0048】
基板25aは、板状を呈している。基板25aの面には、配線パターンを設けることができる。
素子25bは、発光素子22の保護や制御を行うための受動素子または能動素子とすることができる。素子25bは、基板25aの配線パターンと電気的に接続される。素子25bは、少なくとも1つ設けることができる。
【0049】
素子25bは、例えば、抵抗や、ダイオードなどとすることができる。
抵抗は、発光素子22に直列接続される。抵抗は、例えば、表面実装型の抵抗器、リード線を有する抵抗器(酸化金属皮膜抵抗器)、スクリーン印刷法などを用いて形成された膜状の抵抗器などとすることができる。
膜状の抵抗器の材料は、例えば、酸化ルテニウム(RuO)である。膜状の抵抗器は、例えば、スクリーン印刷法および焼成法を用いて形成される。抵抗が膜状の抵抗器であれば、抵抗と基板25aとの接触面積を大きくすることができるので、放熱性を向上させることができる。また、複数の抵抗を一度に形成することができる。そのため、生産性を向上させることができる。また、複数の抵抗における抵抗値のばらつきを抑制することができる。
【0050】
ここで、発光素子22の順方向電圧特性には、ばらつきがあるので、アノード端子とグランド端子との間の印加電圧を一定にすると、発光素子22から照射される光の明るさ(光束、輝度、光度、照度)にばらつきが生じる。そのため、発光素子22から照射される光の明るさが所定の範囲内に収まるように、発光素子22に直列接続された抵抗により、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。この場合、抵抗の抵抗値を変化させることで、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。
【0051】
抵抗が表面実装型の抵抗器やリード線を有する抵抗器などの場合には、発光素子22の順方向電圧特性に応じて適切な抵抗値を有する抵抗を選択する。抵抗が膜状の抵抗器の場合には、抵抗の一部を除去すれば、抵抗値を増加させることができる。例えば、膜状の抵抗器にレーザ光を照射すれば、膜状の抵抗器の一部を容易に除去することができる。
【0052】
ダイオードは、例えば、逆方向電圧が発光素子22に印加されるのを抑制するため、および、逆方向からのパルスノイズが発光素子22に印加されるのを抑制するために設けられる。ダイオードは、例えば、表面実装型のダイオードや、リード線を有するダイオードなどである。
【0053】
なお、素子25bの種類は例示をしたものに限定されるわけではなく、回路部25の目的に応じて適宜変更することができる。例えば、素子25bは、前述したものの他に、コンデンサ、正特性サーミスタ、負特性サーミスタ、ツェナーダイオード(TVS(Transient Voltage Suppressor)ダイオードなどとも称される)、サージアブソーバ、バリスタ、インダクタ、FETやバイポーラトランジスタなどのトランジスタ、集積回路、演算素子などであってもよい。
【0054】
ケース25cは、箱状を呈し、内部に、素子25bが実装された基板25aを収納する空間を有する。ケース25cは、素子25bが実装された基板25aを水密となるように密閉する。ケース25cは、例えば、樹脂などの絶縁性材料から形成することができる。なお、ケース25cに代えて、素子25bが実装された基板25aを水密となるように封止することもできる。例えば、素子25bが実装された基板25aを水密となるように樹脂モールドすることもできる。
【0055】
ケース25cの一方の端部からは、基板25aの配線パターンと電気的に接続された配線25a1が引き出されている。配線25a1は、コネクタ25dと電気的に接続されている。ケース25cの他方の端部からは、基板25aの配線パターンと電気的に接続された配線25a2が引き出されている。配線25a2は、例えば、バッテリなどの電源や点灯回路などと電気的に接続されている。
【0056】
コネクタ25dは、給電端子31と基板25aの配線パターンとを電気的に接続する。コネクタ25dの一方の端部側は、コネクタホルダ15の内部に露出している複数の給電端子31の端部に嵌め合わされる。コネクタ25dの他方の端部側は、配線25a1を介して、基板25aの配線パターンと電気的に接続される。
【0057】
また、コネクタ25dには、シール部材を設けることができる。シール部材を有するコネクタ25dが、コネクタホルダ15の内部に挿入された際には、コネクタホルダ15の内部が水密となるように密閉される。
【0058】
なお、コネクタ25dを省くこともできる。例えば、配線25a1や基板25aの配線パターンを給電端子31と電気的に接続することもできる。ただし、コネクタ25dが設けられていれば、回路部25の着脱や交換が容易となる。そのため、車両用照明装置1の取り付け作業やメンテナンスが容易となる。
また、車両用照明装置1の用途や製造コストなどに応じて、素子25bの種類や数などが異なる回路部25を適宜選択して用いることが容易となる。
【0059】
図3は、他の実施形態に係る発光モジュール20aを例示するための模式斜視図である。
図3に示すように、発光モジュール20aは、例えば、基板21、発光素子22、枠部23、封止部24、回路部25、および被覆部26を有する。
【0060】
前述した発光モジュール20の場合と同様に、基板21に設けられた配線パターン21bには、発光素子22および給電端子31のみが電気的に接続されている。基板21には素子25bが設けられていないので、基板21において素子25bを設けるスペースを考慮する必要がない。そのため、図3に示すように、配線パターン21bの平面寸法を大きくすることができる。配線パターン21bの平面寸法が大きくなれば、電気抵抗が小さくなるので、配線パターン21bに電流が流れた際に発生する熱をさらに少なくすることができる。また、発光素子22において発生した熱を配線パターン21bを介して放熱することができる。そのため、発光効率のさらなる向上を図ることができる。また、前述した発光モジュール20の場合と同様に、発光モジュール20a(基板21)の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を図ることが容易となる。
【0061】
また、配線パターン21bは、銀や銅などの金属を含んでいる。そのため、配線パターン21bの平面寸法が大きくなれば、配線パターン21bにリフレクタの機能を持たせることができる。配線パターン21bにリフレクタの機能を持たせれば、車両用灯具100の筐体101やカバー102において反射されて、配線パターン21bに入射した光を車両用照明装置1の外部に照射することができる。そのため、発光素子22から出射した光の利用効率を向上させることができる。
【0062】
例えば、配線パターン21bは、膜状を呈し、基板21の面を覆うことができる。この場合、配線パターン21bは、発光素子22が設けられる領域を囲む様に設けることができる。
【0063】
また、配線パターン21bは、給電端子31の数に応じて分割することができる。例えば、給電端子31の数が2つの場合には、図3に示すように、配線パターン21bを2つに分割することができる。例えば、給電端子31の数が3つの場合には、配線パターン21bを3つに分割することができる。分割された配線パターン21bは、発光素子22を介して電気的に接続される。分割された配線パターン21bのそれぞれには、発光素子22の電極と、給電端子31とが電気的に接続される。
【0064】
ここで、配線パターン21bの平面寸法が大きくなれば、配線パターン21bが雰囲気に含まれている水分やガスに接触し易くなる。そのため、配線パターン21bの平面寸法が大きくなれば、配線パターン21bの腐食や変質が生じるおそれがある。
そのため、発光モジュール20aには、被覆部26が設けられている。被覆部26は、膜状を呈し、配線パターン21bの上に設けられている。また、被覆部26は、基板21の面の露出部分を覆っている。すなわち、被覆部26は、膜状を呈し、配線パターン21b、および、基板21の面を覆っている。
【0065】
被覆部26は、例えば、樹脂やガラスなどを含んでいる。被覆部26は、例えば、基板21の面に材料を塗布することで形成することができる。また、基板21の面にシート状の材料を貼り付けるようにしてもよい。
【0066】
また、被覆部26にリフレクタの機能を持たせることもできる。例えば、被覆部26は、発光素子22から出射した光に対する反射率が高い材料を含むことができる。被覆部26は、例えば、酸化チタンの粒子などを含んでいたり、白色の樹脂を含んでいたりすることができる。また、被覆部26は、例えば、アルミニウムなどの反射率の高い材料を含む層を表面に有するシートなどとすることもできる。
被覆部26にリフレクタの機能を持たせれば、配線パターン21bの腐食や変質を抑制することができ、且つ、発光素子22から出射した光の利用効率を向上させることができる。
【0067】
なお、図1に示すように、線状を呈する配線パターン21aが設けられる場合もある。この様な場合にも、被覆部26を設けることができる。被覆部26にリフレクタの機能を持たせる場合には、被覆部26は、配線パターン21a、および基板21の面を覆うことができる。この様にすれば、配線パターン21aの腐食や変質を抑制することができる。また、発光素子22から出射した光の利用効率を向上させることができる。
【0068】
(車両用灯具)
本発明の1つの実施形態において、車両用照明装置1を具備した車両用灯具100を提供することができる。前述した車両用照明装置1に関する説明、および車両用照明装置1の変形例(例えば、前述した発光モジュール20、発光モジュール20aなど)は、いずれも車両用灯具100に適用することができる。
【0069】
なお、以下においては、一例として、車両用灯具100が自動車に設けられるフロントコンビネーションライトである場合を説明する。ただし、車両用灯具100は、自動車に設けられるフロントコンビネーションライトに限定されるわけではない。車両用灯具100は、自動車や鉄道車両などに設けられる車両用灯具であればよい。
【0070】
図4は、車両用灯具100を例示するための模式部分断面図である。
図4に示すように、車両用灯具100は、例えば、車両用照明装置1、筐体101、カバー102、光学要素103、および、シール部材104を有する。
【0071】
筐体101には、車両用照明装置1が取り付けられる。筐体101は、装着部11を保持する。筐体101は、一方の端部側が開口した箱状を呈している。筐体101は、例えば、光を透過しない樹脂などから形成される。筐体101の底面には、装着部11の、バヨネット12が設けられた部分が挿入される取付孔101aが設けられる。取付孔101aの周縁には、装着部11に設けられたバヨネット12が挿入される凹部が設けられる。なお、筐体101に取付孔101aが直接設けられる場合を例示したが、取付孔101aを有する取付部材が筐体101に設けられていてもよい。
【0072】
車両用照明装置1を車両用灯具100に取り付ける際には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分を取付孔101aに挿入し、車両用照明装置1を回転させる。すると、例えば、取付孔101aの周縁に設けられた嵌合部にバヨネット12が保持される。この様な取り付け方法は、ツイストロックと呼ばれている。
【0073】
カバー102は、筐体101の開口を塞ぐように設けられる。カバー102は、透光性樹脂などから形成される。カバー102は、レンズなどの機能を有することもできる。
【0074】
光学要素103には、車両用照明装置1から出射した光が入射する。光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光の反射、拡散、導光、集光、所定の配光パターンの形成などを行う。例えば、図4に例示をした光学要素103はリフレクタである。この場合、光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光を反射して、所定の配光パターンを形成する。
【0075】
シール部材104は、フランジ13と筐体101の間に設けられる。シール部材104は、環状を呈し、ゴムやシリコーン樹脂などの弾性を有する材料から形成される。
【0076】
車両用照明装置1が車両用灯具100に取り付けられた際には、シール部材104は、フランジ13と筐体101との間に挟まれる。そのため、シール部材104により、筐体101の内部空間を密閉することができる。また、シール部材104の弾性力により、バヨネット12が筐体101に押し付けられる。そのため、車両用照明装置1が、筐体101から脱離するのを抑制することができる。
【0077】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【0078】
以下、前述した実施形態に関する付記を示す。
【0079】
(付記1)
ソケットと;
前記ソケットの一方の端部側に設けられ、配線パターンを有する基板と;
前記基板に設けられた少なくとも1つの発光素子と;
前記ソケットの内部に設けられ、一方の端部が前記ソケットの一方の端部側に露出する複数の給電端子と;
を具備し、
前記配線パターンには、前記発光素子、および、前記給電端子のみが電気的に接続されている車両用照明装置。
【0080】
(付記2)
前記配線パターンは、膜状を呈し、前記基板の面を覆い、前記給電端子の数に応じて分割され、
前記分割された配線パターンは、前記発光素子を介して電気的に接続されている付記1記載の車両用照明装置。
【0081】
(付記3)
膜状を呈し、前記配線パターン、および、前記基板の面を覆う被覆部をさらに具備し、
前記被覆部は、前記発光素子から出射した光に対する反射率が高い材料を含む付記1または2に記載の車両用照明装置。
【0082】
(付記4)
前記発光素子の保護、および前記発光素子の制御の少なくともいずれかを行う回路部をさらに具備し、
前記回路部は、前記ソケットの外部に設けられ、前記複数の給電端子の他方の端部と電気的に接続されている付記1~3のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
【0083】
(付記5)
付記1~4のいずれか1つに記載の車両用照明装置と;
前記車両用照明装置が取り付けられる筐体と;
を具備した車両用灯具。
【符号の説明】
【0084】
1 車両用照明装置、10 ソケット、20 発光モジュール、20a 発光モジュール、21 基板、21a 配線パターン、21b 配線パターン、22 発光素子、25 回路部、25a 基板、25b 素子、25c ケース、25d コネクタ、26 被覆部、100 車両用灯具、101 筐体
図1
図2
図3
図4