(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173056
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】ガスセンサ制御装置、及び加熱制御方法
(51)【国際特許分類】
B60W 10/30 20060101AFI20231130BHJP
B60K 6/24 20071001ALI20231130BHJP
B60K 6/40 20071001ALI20231130BHJP
B60W 20/15 20160101ALI20231130BHJP
B60K 6/54 20071001ALI20231130BHJP
B60K 6/48 20071001ALI20231130BHJP
F02D 43/00 20060101ALI20231130BHJP
G01N 27/419 20060101ALI20231130BHJP
G01N 27/409 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B60W10/30 900
B60K6/24 ZHV
B60K6/40
B60W20/15
B60K6/54
B60K6/48
F02D43/00 301T
G01N27/419 327Q
G01N27/409 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085046
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】平岩 雅道
(72)【発明者】
【氏名】水野 将成
【テーマコード(参考)】
2G004
3D202
3G384
【Fターム(参考)】
2G004BD11
2G004BL08
3D202AA08
3D202BB43
3D202CC22
3D202CC23
3D202DD00
3D202DD45
3D202EE00
3D202EE01
3D202EE23
3D202FF04
3G384BA58
3G384DA02
3G384ED07
3G384FA66Z
(57)【要約】 (修正有)
【課題】モータ走行モードによる走行時に、ガスセンサのヒータの消費電力を抑えられる、ハイブリッド車両におけるガスセンサ制御装置等の提供。
【解決手段】ハイブリッド車両200におけるエンジン201の排気管208に取り付けられ、特定ガスの濃度を検知する検知セル51と、検知セル51を加熱するヒータ83とを有するガスセンサ2を制御するガスセンサ制御装置1であり、走行モードが、エンジン走行モード、又はモータ202の駆動力のみを利用するモータ走行モードかを判定する第1判定部と、バッテリ204の充電レベルが第1閾値αを上回るか否かを判定する第2判定部とを備え、ヒータ制御部は、第1判定部がモータ走行モードと判定し、かつ第2判定部が第1閾値αを上回ると判定した場合に、ヒータ83を活性温度よりも低い待機温度で発熱させる待機モード、又はヒータ83の通電を停止する停止モードの何れかで、ヒータ83の通電制御を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動力源としてエンジン及び発電機能付きのモータを備えつつ、前記モータに電力を供給又は前記モータからの電力を蓄えるバッテリを備えるハイブリッド車両における前記エンジンの排気管に取り付けられ、特定ガスの濃度を検知する検知セルと、前記検知セルを加熱するヒータとを有するガスセンサを制御するガスセンサ制御装置であり、
前記ヒータの通電制御を行うと共に、前記ハイブリッド車両の走行モードが、前記エンジンの駆動力を利用するエンジン走行モードの場合に、前記検知セルを検知可能な状態とする活性温度で前記ヒータを発熱させるヒータ制御部とを備える、ガスセンサ制御装置であって、
前記走行モードが、前記エンジン走行モード、又は前記モータの駆動力のみを利用するモータ走行モードかを判定する第1判定部と、
前記バッテリの充電レベルが第1閾値αを上回るか否かを判定する第2判定部とを備え、
前記ヒータ制御部は、前記第1判定部が前記モータ走行モードと判定し、かつ前記第2判定部が前記第1閾値αを上回ると判定した場合に、前記ヒータを前記活性温度よりも低い待機温度で発熱させる待機モード、又は前記ヒータの通電を停止する停止モードの何れかで、前記ヒータの通電制御を行うガスセンサ制御装置。
【請求項2】
前記ヒータ制御部は、前記バッテリの前記充電レベルに応じて、前記待機モード又は前記停止モードの何れかを選択して前記ヒータの通電制御を行う請求項1に記載のガスセンサ制御装置。
【請求項3】
前記ヒータ制御部は、前記停止モードである時に、前記バッテリの前記充電レベルが、第2閾値β(ただし、β>α)を下回ると、前記待機モードに切り替えて前記ヒータの通電制御を行う請求項1又は請求項2に記載のガスセンサ制御装置。
【請求項4】
前記ヒータ制御部は、前記待機モードである時に、前記バッテリの前記充電レベルが、第3閾値γ(ただし、γ>β)を上回ると、前記停止モードに切り替えて前記ヒータの通電制御を行う請求項1又は請求項2に記載のガスセンサ制御装置。
【請求項5】
駆動力源としてエンジン及び発電機能付きのモータを備えつつ、前記モータに電力を供給又は前記モータからの電力を蓄えるバッテリを備えるハイブリッド車両における前記エンジンの排気管に取り付けられ、特定ガスの濃度を検知する検知セルと、前記検知セルを加熱するヒータとを有するガスセンサと、前記ヒータの通電制御を行うと共に、前記ハイブリッド車両の走行モードが、前記エンジンの駆動力を利用するエンジン走行モードの場合に、前記検知セルを検知可能な状態とする活性温度で前記ヒータを発熱させるヒータ制御部とを備えるガスセンサ制御装置の加熱制御方法であって、
前記走行モードが、前記エンジン走行モード、又は前記モータの駆動力のみを利用するモータ走行モードかを判定する第1判定工程と、
前記バッテリの充電レベルが第1閾値αを上回るか否かを判定する第2判定工程と、
前記第1判定工程の判定結果が前記モータ走行モードであり、かつ前記第2判定工程において前記第1閾値αを上回ると判定された場合に、前記ヒータを前記活性温度よりも低い待機温度で発熱させる待機モード、又は前記ヒータの通電を停止する停止モードの何れかで、前記ヒータ制御部が、前記ヒータの通電制御を行う通電制御工程とを備える加熱制御方法。
【請求項6】
前記通電制御工程において、前記ヒータ制御部は、前記バッテリの充電レベルに応じて、前記待機モード又は前記停止モードの何れかを選択して前記ヒータの通電制御を行う請求項5に記載の加熱制御方法。
【請求項7】
前記通電制御工程において、前記停止モードである時に、前記バッテリの前記充電レベルが、第2閾値β(ただし、β>α)を下回ると、前記ヒータ制御部が、前記待機モードに切り替えて、前記ヒータの通電制御を行う請求項5又は請求項6に記載の加熱制御方法。
【請求項8】
前記通電制御工程において、前記待機モードである時に、前記バッテリの前記充電レベルが、第3閾値γ(ただし、γ>β)を上回ると、前記ヒータ制御部が、前記停止モードに切り替えて前記ヒータの通電制御を行う請求項5又は請求項6に記載の加熱制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスセンサ制御装置、及び加熱制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両は、駆動力源としてエンジン及び発電機能付きのモータを備える車両である。このようなハイブリッド車両の走行モードには、モータの駆動力のみによって走行するモータ走行モードと、主にエンジンの駆動力を利用するエンジン走行モードとがあり、それらは、要求される駆動力等に応じて、適宜、切り替えられる。例えば、要求される駆動力が小さい場合、ハイブリッド車両はモータ走行モードで走行する。また、モータ走行モードの状態でアクセルペダルが踏み込まれる等により、要求される駆動力が増大した場合、ハイブリッド車両は、エンジン走行モードで走行する。
【0003】
ところで、ハイブリッド車両におけるエンジンの排気管には、ガスセンサが取り付けられている。ガスセンサは、空燃比のフィードバック制御等のために、排気管内を流れるガス中に含まれる特定ガスの濃度等を検知するものであり、固体電解質体(例えば、部分安定化ジルコニア等のジルコニア系材料)と一対の電極と含む検知セルと、その検知セルを加熱するヒータとを備えている。検知セルは、特定ガスの濃度等を精度良く検知できるように、ヒータにより加熱されて活性化するために、所定温度(例えば、600~700℃)で維持される必要がある。
【0004】
なお、特許文献1には、信号待ち等の一次停車時にエンジンを自動停止する場合に、ガスセンサのヒータへの通電を停止して、ヒータの消費電力を抑えることにより、バッテリの負担低減を図る技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、ハイブリッド車両において、モータ走行モードによる走行時に、ガスセンサのヒータの消費電力を抑える技術は、十分に検討されていなかった。
【0007】
本発明の目的は、モータ走行モードによる走行時に、ガスセンサのヒータの消費電力が抑えられる、ハイブリッド車両におけるガスセンサ制御装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 駆動力源としてエンジン及び発電機能付きのモータを備えつつ、前記モータに電力を供給又は前記モータからの電力を蓄えるバッテリを備えるハイブリッド車両における前記エンジンの排気管に取り付けられ、特定ガスの濃度を検知する検知セルと、前記検知セルを加熱するヒータとを有するガスセンサを制御するガスセンサ制御装置であり、 前記ヒータの通電制御を行うと共に、前記ハイブリッド車両の走行モードが、前記エンジンの駆動力を利用するエンジン走行モードの場合に、前記検知セルを検知可能な状態とする活性温度で前記ヒータを発熱させるヒータ制御部とを備える、ガスセンサ制御装置であって、前記走行モードが、前記エンジン走行モード、又は前記モータの駆動力のみを利用するモータ走行モードかを判定する第1判定部と、前記バッテリの充電レベルが第1閾値αを上回るか否かを判定する第2判定部とを備え、前記ヒータ制御部は、前記第1判定部が前記モータ走行モードと判定し、かつ前記第2判定部が前記第1閾値αを上回ると判定した場合に、前記ヒータを前記活性温度よりも低い待機温度で発熱させる待機モード、又は前記ヒータの通電を停止する停止モードの何れかで、前記ヒータの通電制御を行うガスセンサ制御装置。
【0009】
<2> 前記ヒータ制御部は、前記バッテリの前記充電レベルに応じて、前記待機モード又は前記停止モードの何れかを選択して前記ヒータの通電制御を行う前記<1>に記載のガスセンサ制御装置。
【0010】
<3> 前記ヒータ制御部は、前記停止モードである時に、前記バッテリの前記充電レベルが、第2閾値β(ただし、β>α)を下回ると、前記待機モードに切り替えて前記ヒータの通電制御を行う前記<1>又は<2>に記載のガスセンサ制御装置。
【0011】
<4> 前記ヒータ制御部は、前記待機モードである時に、前記バッテリの前記充電レベルが、第3閾値γ(ただし、γ>β)を上回ると、前記停止モードに切り替えて前記ヒータの通電制御を行う前記<1>又は<2>に記載のガスセンサ制御装置。
【0012】
<5> 駆動力源としてエンジン及び発電機能付きのモータを備えつつ、前記モータに電力を供給又は前記モータからの電力を蓄えるバッテリを備えるハイブリッド車両における前記エンジンの排気管に取り付けられ、特定ガスの濃度を検知する検知セルと、前記検知セルを加熱するヒータとを有するガスセンサと、前記ヒータの通電制御を行うと共に、前記ハイブリッド車両の走行モードが、前記エンジンの駆動力を利用するエンジン走行モードの場合に、前記検知セルを検知可能な状態とする活性温度で前記ヒータを発熱させるヒータ制御部とを備えるガスセンサ制御装置の加熱制御方法であって、前記走行モードが、前記エンジン走行モード、又は前記モータの駆動力のみを利用するモータ走行モードかを判定する第1判定工程と、前記バッテリの充電レベルが第1閾値αを上回るか否かを判定する第2判定工程と、前記第1判定工程の判定結果が前記モータ走行モードであり、かつ前記第2判定工程において前記第1閾値αを上回ると判定された場合に、前記ヒータを前記活性温度よりも低い待機温度で発熱させる待機モード、又は前記ヒータの通電を停止する停止モードの何れかで、前記ヒータ制御部が、前記ヒータの通電制御を行う通電制御工程とを備える加熱制御方法。
【0013】
<6> 前記通電制御工程において、前記ヒータ制御部は、前記バッテリの充電レベルに応じて、前記待機モード又は前記停止モードの何れかを選択して前記ヒータの通電制御を行う前記<5>に記載の加熱制御方法。
【0014】
<7> 前記通電制御工程において、前記停止モードである時に、前記バッテリの前記充電レベルが、第2閾値β(ただし、β>α)を下回ると、前記ヒータ制御部が、前記待機モードに切り替えて、前記ヒータの通電制御を行う前記<5>又は<6>に記載の加熱制御方法。
【0015】
<8> 前記通電制御工程において、前記待機モードである時に、前記バッテリの前記充電レベルが、第3閾値γ(ただし、γ>β)を上回ると、前記ヒータ制御部が、前記停止モードに切り替えて前記ヒータの通電制御を行う前記<5>又は<6>に記載の加熱制御方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、モータ走行モードによる走行時に、ガスセンサのヒータの消費電力が抑えられる、ハイブリッド車両におけるガスセンサ制御装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態1に係るガスセンサ制御装置を備えるハイブリッド車両の概略構成を示す説明図
【
図3】マイコンにおいて実行される、ヒータの通電制御に関する処理を示すフローチャート
【
図4】ハイブリッド車両におけるバッテリの充電レベルと走行モードとの関係、及びバッテリの充電レベルとヒータ制御モードとの関係を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1に係るガスセンサ制御装置1及び加熱制御方法を、
図1~
図4を参照しつつ説明する。
図1は、実施形態1に係るガスセンサ制御装置1を備えるハイブリッド車両200の概略構成を示す説明図である。ここで、先ず、ハイブリッド車両200について説明する。
【0019】
ハイブリッド車両(以下、「HV車両」と表す場合がある。)100は、
図1に示されるように、駆動力源としてエンジン201と、発電機能付きのモータ202とを備える。HV車両200では、走行モードとして、モータ202の駆動力のみによって走行するモータ走行モードと、主にエンジン201の駆動力を利用するエンジン走行モードとが設定されており、要求される駆動力等に応じて、それらの走行モード(モータ走行モード、エンジン走行モード)の切り替えが適宜、行われる。
【0020】
HV車両200は、エンジン201及びモータ202の他に、
図1に示されるように、インバータ203、バッテリ204、動力伝達系205、駆動輪206、ECU207等を備える。なお、本明細書では、説明の便宜上、HV車両200の構成は簡略化されている。そのため、HV車両200には、
図1に示される構成要素以外の他の構成要素が、適宜、設けられ得る。
【0021】
エンジン201は、ガソリン等を燃料として動力を生成する内燃機関であり、例えば、4気筒のガソリンエンジンからなる。エンジン201の気筒毎には、点火プラグが配置されている。また、エンジン201の上流側には、エアクリーナ、吸気管、インテークマニホールドが設けられている。吸気管には、吸入空気量を調節するスロットルバルブが設けられている。インテークマニホールドには、気筒毎に燃料を噴射する燃料噴射弁が設けられている。なお、他の実施形態において、エンジンは、燃料噴射弁をインテークマニホールドではなく、燃焼室内に設けた直噴エンジンであってもよい。
【0022】
エンジン201の下流側には、図示されないエキゾーストマニホールド、及び排気管208が設けられている。排気管208の一端は、エキゾーストマニホールドに接続され、排気管208の他端は、触媒装置(三元触媒)に接続される。エンジン201の排気口から排出された排ガスは、エキゾーストマニホールドを介して排気管208へ導かれる。
【0023】
エンジン201の出力軸であるクランクシャフトは、動力伝達系205の入力側と接続されており、エンジン201から出力される動力は、動力伝達系205を介して駆動輪へ伝達される。
【0024】
排気管208には、排気管208内を流れる排ガス中に含まれる特定ガス(例えば、酸素ガス)の濃度を検知するガスセンサ2が取り付けられている。ガスセンサ2の詳細は、後述する。
【0025】
モータ(発電機能付きのモータ)202は、HV車両200の減速時に回生駆動されて駆動輪206の運動エネルギーを用いて発電可能なモータジェネレータからなる。モータ202により発電された電力は、インバータ203を介してバッテリ204へ供給される。インバータ203は、モータ202により発電された交流電力を直流電力に変換し、それにより得られた直流電力がバッテリ10へ供給される。また、インバータ203は、PWM制御(つまり、パルス幅変調制御)により、モータ202に電力を供給する。
【0026】
バッテリ204は、駆動用バッテリであり、電力を充放電可能な電池(例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池等)からなる。バッテリ204は、モータ202に供給される電力を蓄える。
【0027】
動力伝達系205の出力側は、駆動輪206の車軸と接続されている。エンジン201又はモータ202から出力される動力は、動力伝達系205及び車軸を介して駆動輪206へ伝達される。動力伝達系205は、変速機を含んでおり、エンジン201又はモータ202から出力される動力は、動力伝達系205で変速されて駆動輪206へ伝達される。
【0028】
なお、HV車両200において、駆動力源(エンジン201又はモータ202)から出力される動力(駆動力)が伝達される駆動輪206は、前輪であってもよいし、後輪であってもよい。また、動力伝達系205の出力側から出力される動力は、図示されないプロペラシャフトを介して前輪及び後輪の双方へ伝達されてもよい。
【0029】
ECU(Electronic Control Unit)207は、HV車両200における各種の制御等を行うコンピュータである。ECU207には、プロセッサ、メモリ等のコンピュータハードウェアが搭載されており、インストールされたOS(Operating System)、アプリケーションプログラム等のソフトウェアに従って動作する。
【0030】
ECU207は、燃料噴射弁、点火回路、ディストリビュータ、ガスセンサ制御装置1の制御装置3等に対して電気的に接続されている。点火回路は、ECU207から出力される信号に基づいて点火プラグを駆動する高電圧電流を発生させる電気回路である。ディストリビュータは、点火回路から出力される高電圧電流をクランク角に同期して点火プラグに分配する。ディストリビュータには、クランク角を検出する(つまり、エンジン回転数を検出する)回転センサが取り付けられている。制御装置3は、ガスセンサ2の動作を制御する。
【0031】
ECU207は、例えば、エンジン201の空燃比フィードバック制御を行う処理や、走行モードの選択、切り替えを行う処理等の各種処理を実行する。
【0032】
次いで、ガスセンサ制御装置1について説明する。ガスセンサ制御装置1は、
図1に示されるように、主として、ガスセンサ2と、制御装置3とを備える。
【0033】
ガスセンサ2は、エンジン201の空燃比フィードバック制御に用いられるものであり、排気管208内を流れる排ガスを検知対象ガスとする全領域空燃比センサである。ガスセンサ2の動作は、制御装置3により制御される。また、ガスセンサ2は、ECU207を介して供給されるバッテリ204からの電力を利用して動作する。
【0034】
ガスセンサ2は、排ガス中に含まれる酸素ガス(特定ガス)の濃度を検知するセンサ素子(検知セル)51、センサ素子51を加熱するヒータ素子53、それらを収容するハウジング(不図示)等を備える。
【0035】
センサ素子51は、固体電解質体55,57、絶縁基体59,61を積層した構造を含む。固体電解質体55,57は、イットリアを安定化剤に用いた部分安定化ジルコニア(YSZ)を主成分とする材料によって形成され、酸素イオン伝導性を有する。絶縁基体59,61は、アルミナを主成分とする材料によって形成される。ヒータ素子53は、固体電解質体55,57の早期活性化や、活性の安定性維持等のために、センサ素子51に積層されている。
【0036】
センサ素子51は、詳細には、検知室63、拡散律速部65、酸素ポンプセル(以下、「Ipセル」と表す場合がある。)67と、酸素分圧検知セル(以下、「Vsセル」と表す場合がある。)69と、絶縁基体59,61とを備える。
【0037】
検知室63は、排気管208内を流れる排ガスが導入される小空間である。拡散律速部65は、多孔質状の部材(例えば、アルミナ)によって形成され、検知室63内に排ガスを導入する際の流入量を調整する。
【0038】
Ipセル67は、固体電解質体55と、固体電解質体55を挟むように形成された多孔質の一対の電極71,73とを備える。これらの電極71,73は、例えば白金(Pt)を主成分とする材料によって形成される。Ipセル67は、電極71,73間に電流が供給されることで、電極71が接する雰囲気(排ガス)と電極73が接する雰囲気(検知室63内の雰囲気)との間で、酸素の汲み出し及び汲み入れ(所謂、酸素ポンピング)を行う。
【0039】
絶縁基体61は、電極71の上部となる位置に開口75を有する。開口75には多孔質の例えばアルミナからなる保護層77が設けられている。
【0040】
Vsセル69は、固体電解質体57と、固体電解質体57を挟むように形成された多孔質の一対の電極79,81とを備える。これらの電極79,81は、例えば白金(Pt)を主成分とする材料によって形成される。それらのうち、電極79は、固体電解質体57の面のうち、検知室63側の面に設けられており、電極81は、検知室63内の酸素濃度の検知のための基準となる酸素濃度を維持する酸素基準電極として機能する。
【0041】
Vsセル69は、主として、固体電解質体57によって隔てられた雰囲気(電極79と接する検知室63内の雰囲気と、電極81と接する雰囲気)間の酸素分圧差に応じて電圧(起電力)を発生する。
【0042】
ヒータ素子53は、センサ素子51(特に、固体電解質体55,57)を加熱して活性化させる素子であり、ヒータ(発熱抵抗体)83と、絶縁基体85,87とを備える。ヒータ83は、白金を主体とする材料によって構成される。ヒータ83は、絶縁基体85と絶縁基体87の間に挟まれている。絶縁基体85,87は、アルミナを主成分とする材料によって形成される。
【0043】
制御装置3は、マイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と表す場合がある。)91と、特定用途向け集積回路(以下、「ASIC」と表す場合がある。)93と、ヒータ電圧供給回路95とを備える。マイコン91は、公知の構成のCPU(Central Processing Unit)91a、ROM(Read Only Memory)91b、RAM(Random Access Memory)91c等を搭載したマイコンチップである。
【0044】
ASIC93は、Ip検知回路101、Ip駆動回路103、抵抗検知回路105、電圧出力回路107、基準電圧比較回路109、Icp供給回路111等を備える。
【0045】
Ip検知回路101は、Ipセル67の電極71,73間に流れる電流Ipを電圧変換し、その変換した電圧を検知信号としてマイコン91に出力する。抵抗検知回路105は、定期的に、予め定められた値の電流をVsセル69に通電し、その通電に応答して得られる電圧変化量(電圧Vsの変化量)を検知するための回路である。この抵抗検知回路105によって検知された電圧Vsの変化量を示す値は、マイコン91に出力される。
【0046】
マイコン91では、抵抗検知回路105から出力された値と、ROM91bに記憶されている電圧Vsの変化量とVsセル60のインピーダンスRiとが予め関連付けられたテーブルとに基づいて、Vsセル69のインピーダンスRiが求められる。Vsセル69のインピーダンスRiは、Vsセル69の温度、即ちセンサ素子51全体の温度と相関があり、マイコン91は、Vsセル69のインピーダンスRiに基づいて、ガスセンサ2(センサ素子51)の温度を検知する。
【0047】
電圧出力回路107は、Vsセル69の電極79,81間に生ずる起電力Vsを検知する。基準電圧比較回路109は、予め定められた基準電圧と、電圧出力回路107において検知された起電力Vsとの比較を行い、その比較結果をIp駆動回路103に出力する。Ip駆動回路103は、基準電圧比較回路109から出力された比較結果に基づいて、Ipセル67の電極71,83間に供給する電流Ipの大きさ及び向きを制御する。Icp供給回路111は、Vsセル69の電極81から電極79へ向かって流れる微小電流Icpを供給する。
【0048】
ヒータ電圧供給回路95は、後述するように、マイコン91のCPU91a(ヒータ制御部91d)からの指示に応じて、ヒータ83の両端に印加される電圧Vhを公知のPI制御のもとに生成すると共に、ヒータ(発熱抵抗体)83の両端に、所定の電圧(例えば、後述する検知モードの場合、12V)を印加することで、ヒータ83を発熱させる。
【0049】
ここで、ガスセンサ2の基本的な動作について、簡単に説明する。ここでは、ガスセンサ2を用いて検知対象ガスの酸素濃度(排ガスの空燃比)を検知する動作について説明する。なお、排ガスの空燃比を検知する際には、基準電圧比較回路109で比較対象となる基準電圧(例えば450mV)が設定される。
【0050】
先ず、Icp供給回路111が、Vsセル69の電極81から固体電解質体57を介して電極79に向けて微小電流Icpを供給する。この通電により、排ガス中の酸素は、酸素イオンとなって、固体電解質体57を介して電極79側から電極81側に移動する。
【0051】
Vsセル69に微小電流Icpが供給されると、酸素イオンは電極79側から電極81側に移動し、排ガス中の酸素濃度に応じた起電力Vsを発生させるための基準となる酸素濃度雰囲気が生成される。
【0052】
電圧出力回路107は、両電極79,81間の起電力Vsを検知し、検知した起電力Vsを基準電圧比較回路109に出力する。基準電圧比較回路109は、起電力Vsと基準電圧とを比較し、比較結果をIp駆動回路103に出力する。
【0053】
Ip駆動回路103は、基準電圧比較回路109による比較結果に基づいて、起電力Vsが基準電圧となるように、Ipセル67の電極71,73間に供給する電流Ipの大きさ及び向きを制御する。これにより、Ipセル67による検知室63内への酸素の汲み入れ又は検知室63からの酸素の汲み出しが行われる。
【0054】
ここで、検知室63内に流入した排ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチであった場合、Ipセル67において外部から検知室63内に酸素を汲み入れるように、電極71,73間に供給される電流Ipの大きさや向きが制御される。一方、検知室63内に流入した排ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンであった場合、Ipセル67において検知室63から外部へ酸素を汲み出すように、電極71,73間に供給される電流Ipの大きさ及び向きが制御される。
【0055】
このときの電流Ipは、Ip検知回路101において電圧変換され、その電圧変換された電流Ipは、検知信号としてマイコン91に出力される。マイコン91は、検知信号に基づいて検知対象ガス中に含まれる酸素濃度対応値、更には排気ガスの空燃比を算出する。このようにして、ガスセンサ2を用いて検知対象ガスの酸素濃度(排ガスの空燃比)が検知される。
【0056】
次いで、ガスセンサ制御装置1において行われる、ヒータ83の通電制御方法(ガスセンサ制御装置1の加熱制御方法)について説明する。なお、このヒータ83の通電制御は、HV車両200の走行中に行われるものである。
【0057】
図2は、マイコン91の機能構成の一例を示すブロック図である。マイコン91には、ソフトウェアによって、ヒータ制御部91d、第1判定部91e、第2判定部91f、第3判定部91g、第4判定部91h、第5判定部91iが構築されている。
【0058】
ここで、マイコン91のヒータ制御部91d等において実行される処理内容を、
図3を参照しつつ説明する。
図3は、マイコン91において実行される、ヒータ83の通電制御に関する処理を示すフローチャートである。イグニッションスイッチが操作されて、HV車両200のハイブリッドシステム(ECU207等)が起動すると、ECU207により、走行モードとしてモータ走行モードを選択する処理が実行される。このような状況において、ユーザ(運転者)によりアクセルペダルが踏み込まれると、HV車両200は、停止した状態から、モータ走行モードで走行し始める。その後、ECU207は、HV車両200の運転状況(要求駆動力等)に応じて、適宜、走行モードを切り替える処理を実行する。
【0059】
HV車両200の走行中において、第1判定部91eは、ステップS11に示されるように、走行モードが、モータ走行モードであるか否かを判定(つまり、モータ走行モード、又はエンジン走行モードかを判定)する処理を実行する(第1判定工程)。HV車両の走行モードの情報は、定期的に、ECU207からマイコン91に対して供給されており、第1判定部91eは、適宜、走行モードの情報を取得することができる。ステップS11において、第1判定部91eにより、モータ走行モードであると判定された場合、ステップS12へ移行する。これに対して、ステップS11において、モータ走行モードでない(つまり、エンジン走行モード)と判定された場合、ステップS21へ移行する。
【0060】
ステップS21へ移行すると、ヒータ制御部91dは、センサ素子(検知セル)51を検知可能な状態とする活性温度(例えば、750℃)でヒータ83を発熱させる処理を実行する。ヒータ制御部91dは、予め定められている活性温度を目標として、ヒータ電圧供給回路95を介して、ヒータ(発熱抵抗体)83の両端に、所定の電圧(ヒータ制御電圧1)を印加する。ヒータ制御電圧1は、例えば、12Vである。なお、本明細書において、ヒータ83が通電制御されるモードを、「ヒータ制御モード」と称する。そして、活性温度(例えば、750℃)でヒータ83が発熱するように行うヒータ制御モードを、「検知モード」と称する。また、ヒータ83の通電を停止して、ヒータ83の発熱を停止するヒータ制御モードを、「停止モード」と称する。ステップS21における処理が終了すると、再び、ステップS11へ戻される。
【0061】
ステップS12において、第2判定部91fは、バッテリ204の充電レベルが第1閾値αを上回るか否かを判定する処理を実行する(第2判定工程)。第1閾値αは、予め定められた値であり、ROM91bに記憶されている。第1閾値αは、例えば、バッテリ204がフル充電されたときのバッテリ204の充電レベルに対する50%の充電レベルとして設定される。ステップS12において、第2判定部91fにより、バッテリ204の充電レベルが第1閾値αを上回ると判定された場合、ステップS13へ移行する。これに対して、ステップS12において、バッテリ204の充電レベルが第1閾値αを上回らないと判定された場合(つまり、充電レベルが第1閾値α以下と判定された場合)、ステップS20へ移行する。
【0062】
ステップS20へ移行すると、ヒータ制御部91dは、センサ素子51を検知可能な状態とする活性温度(例えば、750℃)でヒータ83を発熱させる処理を実行する。ステップS20の処理内容は、基本的に、上述したステップS21と同様である。ステップS20における処理が終了すると、再び、ステップS11へ戻される。
【0063】
ステップS13において、第3判定部91gは、ヒータ制御モードが、停止モードであるか否かを判定する処理を実行する(第3判定工程)。ステップS13において、第3判定部91gにより、停止モードであると判定された場合、ステップS14へ移行する。これに対して、ステップS13において、ヒータ制御モードが、停止モードではないと判定された場合、ステップS15へ移行する。
【0064】
ステップS14において、第4判定部91hは、バッテリ204の充電レベルが第2閾値βを下回るか否かを判定する処理を実行する(第4判定工程)。第2閾値βは、予め定められた値であり、上述した第1閾値αよりも大きな値として設定される(β>α)。ステップS14において、バッテリ204の充電レベルが第2閾値βを下回ると判定された場合、ステップS16へ移行する。これに対して、ステップS14において、バッテリ204の充電レベルが第2閾値βを下回らないと判定された場合(つまり、充電レベルが第2閾値β以上と判定された場合)、ステップS17へ移行する。
【0065】
ステップS16へ移行すると、ヒータ制御部91dは、ヒータ83を活性温度よりも低い待機温度(例えば、550℃)で発熱させる待機モードで、ヒータ83の通電制御を行う。ヒータ制御部91dは、予め定められている待機温度を目標として、ヒータ電圧供給回路95を介して、ヒータ(発熱抵抗体)83の両端に、所定の電圧(ヒータ制御電圧2)を印加する。ヒータ制御電圧2は、上述したヒータ制御電圧1よりも低い値である。本明細書において、ヒータ83を活性温度よりも低い待機温度で発熱させるヒータ制御モードを、上記のように「待機モード」と称する。ステップS16における処理が終了すると、再び、ステップS11へ戻される。
【0066】
ステップS17へ移行すると、ヒータ制御部91dは、ヒータ制御モードを停止モードのまま維持した状態で、ヒータ83の通電制御を行う。したがって、ステップS17では、ヒータ83の発熱が停止された状態が維持される。ステップS17における処理が終了すると、再び、ステップS11へ戻される。
【0067】
ステップS15において、第5判定部91iは、バッテリ204の充電レベルが第3閾値γを上回るか否かを判定する処理を実行する(第5判定工程)。第3閾値γは、予め定められた値であり、上述した第2閾値よりも大きな値として設定される(γ>β)。ステップ15において、バッテリ204の充電レベルが第3閾値γを上回ると判定された場合、ステップS18へ移行する。これに対して、ステップ15おいて、バッテリ204の充電レベルが第3閾値γを上回らないと判定された場合(つまり、充電レベルが第3閾値γ以下と判定された場合)、ステップS19へ移行する。
【0068】
ステップS18へ移行すると、ヒータ制御部91dは、停止モードでヒータ83の通電制御を行う。つまり、ステップS18では、ヒータ83の発熱が停止される。ステップS18における処理が終了すると、再び、ステップS11へ戻される。
【0069】
ステップS19へ移行すると、ヒータ制御部91dは、ヒータ83を活性温度よりも低い待機温度(例えば、550℃)で発熱させる待機モードで、ヒータ83の通電制御を行う。ステップS19における処理が終了すると、再び、ステップS11へ戻される。
【0070】
なお、ヒータ制御部91dは、バッテリ204の充電レベルに応じて、ヒータ制御モードの選択、及び切り替えを行うように構成されている。
【0071】
図4は、ハイブリッド車両200におけるバッテリ204の充電レベルと走行モードとの関係、及びバッテリ204の充電レベルとヒータ制御モードとの関係を示す説明図である。
図4には、縦軸がバッテリ204の充電レベルに対応し、横軸が時間に対応したグラフが示されている。ここで、
図4のグラフ中に示される時間t1~時間t8の各タイミングに、マイコン91(ヒータ制御部91等)において実行される処理内容を、
図3のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0072】
時間t1のタイミングにおいて、HV車両200の走行モードは、モータ走行モードであり、バッテリ204の充電レベルL1は、β<L1<γである。この場合のヒータ83の通電制御は、
図3のフローチャートを、ステップS11、ステップS12、ステップS13、ステップS14及びステップS17の順で移行するように行われる。そして、ステップS17において、ヒータ制御部91dは、ヒータ制御モードを停止モードのまま維持した状態で、ヒータ83の通電制御を行う。つまり、ヒータ83の発熱が停止される。このように時間t1のタイミングでは、バッテリ204の充電レベルL1が十分高く(β<L1)、これからしばらくの間、モータ走行モードでの走行が予想されるため、ヒータ制御モードは、停止モードのまま維持される。
【0073】
時間t2のタイミングにおいて、HV車両200の走行モードは、モータ走行モードであり、バッテリ204の充電レベルL2は、第1閾値αを上回りつつ、第2閾値βを下回る(つまり、α<L2<β)。この場合のヒータ83の通電制御は、
図3のフローチャートを、ステップS11、ステップS12、ステップS13、ステップS14及びステップS16の順で移行するように行われる。そして、ステップS16において、ヒータ制御部91dは、ヒータ制御モードを、停止モードから待機モードへ切り替えると共に、待機モードで、ヒータ83の通電制御を行う。ヒータ83は、待機温度(例えば、550℃)となるように発熱する。このように時間t2のタイミングでは、バッテリ204の充電レベルL2が第2閾値βを下回り、近い将来、走行モードがエンジン走行モードに切り替わることが予想されるため、ヒータ制御モードは、待機モードに切り替えられる。
【0074】
時間t3のタイミングにおいて、HV車両200の走行モードは、エンジン走行モードであり、バッテリ204の充電レベルL3は、第1閾値α未満である。この場合のヒータ83の通電制御は、
図3のフローチャートを、ステップS11、及びステップS21の順で移行するように行われる。そして、ステップS21において、ヒータ制御部91dは、ヒータ制御モードを、待機モードから検知モードへ切り替えると共に、検知モードで、ヒータ83の通電制御を行う。ヒータ83は、活性温度(例えば、750℃)となるように発熱する。このように時間t3のタイミングでは、走行モードがエンジン走行モードに切り替わっているため、ヒータ制御モードは、検知モードとなる。
【0075】
時間t4のタイミングにおいて、HV車両200の走行モードは、モータ走行モードであり、バッテリ204の充電レベルL4は、第1閾値αを上回りつつ、第3閾値γを下回る(つまり、α<L4<γ)。この場合のヒータ83の通電制御は、
図3のフローチャートを、ステップS11、ステップS12、ステップ13、ステップS15、及びステップS19の順で移行するように行われる。そして、ステップS19において、ヒータ制御部91dは、ヒータ制御モードを、検知モードから待機モードへ切り替えると共に、待機モードで、ヒータ83の通電制御を行う。ヒータ83は、待機温度(例えば、550℃)となるように発熱する。このように時間t4のタイミングでは、走行モードがエンジン走行モードからモータ走行モードに切り替わっているものの、バッテリ204の充電レベルL4が、第3閾値γを下回っているため、近い将来、走行モードが再びエンジン走行モードへ切り替わる可能性があるため、ヒータ制御モードは、待機モードとなる。
【0076】
時間t5のタイミングにおいて、HV車両200の走行モードは、モータ走行モードであり、バッテリ204の充電レベルL5は、第3閾値γを上回る(つまり、γ<L5)。この場合のヒータ83の通電制御は、
図3のフローチャートを、ステップS11、ステップS12、ステップ13、ステップS15、及びステップS18の順で移行するように行われる。そして、ステップS18において、ヒータ制御部91dは、ヒータ制御モードを、待機モードから停止モードへ切り替えると共に、停止モードで、ヒータ83の通電制御を行う。つまり、ヒータ83の発熱が停止される。このように時間t5のタイミングでは、走行モードがモータ走行モードであり、しかも、バッテリ204の充電レベルL5が第3閾値を上回り、十分高いため、これからしばらくの間、モータ走行モードでの走行が予想されるため、ヒータ制御モードは、停止モードに切り替えられる。
【0077】
時間t6のタイミングにおいて、HV車両200の走行モードは、モータ走行モードであり、バッテリ204の充電レベルL6は、第2閾値βを上回りつつ、第3閾値γを下回る(つまり、β<L6<γ)。この場合のヒータ制御部91dの処理内容は、時間t1の場合と同じである。
【0078】
時間t7のタイミングにおいて、HV車両200の走行モードは、モータ走行モードであり、バッテリ204の充電レベルL7は、第1閾値αを上回りつつ、第2閾値βを下回る(つまり、α<L7<β)。この場合のヒータ制御部91dの処理内容は、時間t2の場合と同じである。
【0079】
時間t8のタイミングにおいて、HV車両200の走行モードは、モータ走行モードであるものの、バッテリ204の充電レベルL8が、第1閾値α以下の場合である。この場合のヒータ83の通電制御は、
図3のフローチャートを、ステップS11、ステップS12、及びステップS20の順で移行するように行われる。そして、ステップS20において、ヒータ制御部91dは、ヒータ制御モードを、待機モードから検知モードへ切り替えると共に、検知モードで、ヒータ83の通電制御を行う。この場合、ECU17により、走行モードがモータ走行モードからエンジン走行モードへ直ちに切り替えられることを見越して、ヒータ制御部91dは、ヒータ制御モードを検知モードに切り替えると共に、検知モードで、ヒータ83の通電制御を行う。
【0080】
以上のように、本実施形態のガスセンサ制御装置1において、ヒータ制御部91dは、第1判定部91eがモータ走行モードと判定し、かつ第2判定部91fが第1閾値αを上回ると判定した場合に、ヒータ83を活性温度(例えば、750)よりも低い待機温度(例えば、550℃)で発熱させる待機モード、又はヒータ83の通電を停止する停止モードの何れかで、ヒータ83の通電制御を行う。したがって、ガスセンサ制御装置1は、モータ走行モードの際におけるヒータ83の消費電力を抑えることができる。
【0081】
また、本実施形態のガスセンサ制御装置1において、ヒータ制御部91dは、バッテリ204の充電レベルに応じて、待機モード又は停止モードの何れかを選択して、ヒータ83の通電制御を行う。したがって、ガスセンサ制御装置1は、バッテリの充電レベルに基づいて、モータ走行モードの際におけるヒータ83の消費電力を抑えることができる。
【0082】
また、本実施形態のガスセンサ制御装置1において、ヒータ制御部91dは、停止モードである時に、バッテリ204の充電レベルが、第2閾値β(ただし、β>α)を下回ると、待機モードに切り替えて、ヒータ83の通電制御を行う。このように、停止モードの状態において、バッテリ204の充電レベルを把握することにより、近い将来、走行モードがモータ走行モードからエンジン走行モードへ切り替わることが予想できるため、ガスセンサ2のセンサ素子(検知セル)51を予め、ある程度、高い温度である待機温度で温めておくことができる。したがって、ガスセンサ制御装置1では、その後の近い将来、モータ走行モードからエンジン走行モードに切り替えられた場合に、ガスセンサのセンサ素子(検知セル)51を、素早く検知可能な状態とすることができる。このようなガスセンサ制御装置1は、モータ走行モードによる走行時に、ガスセンサ2のヒータ83の消費電力が抑えられつつ、モータ走行モードからエンジン走行モードに切り替えられた場合に、ガスセンサ2のセンサ素子(検知セル)51が素早く検知可能な状態で維持される。
【0083】
また、本実施形態のガスセンサ制御装置1において、ヒータ制御部91dは、待機モードである時に、バッテリ204の充電レベルが、第3閾値γ(ただし、γ>β)を上回ると、停止モードに切り替えて、ヒータ83の通電制御を行う。このように、待機モードの状態において、バッテリ204の充電レベルを把握することにより、これからしばらくの間、モータ走行モードでの走行が予想されるため、ヒータ制御モードは、停止モードとなる。したがって、ガスセンサ制御装置1では、モータ走行モードの際におけるヒータ83の消費電力を抑えることができる。
【0084】
また、本実施形態のガスセンサ制御装置1において、ヒータ制御部91dは、停止モード以外のモード(つまり、検知モード、又は待機モード)である時に、バッテリ204の充電レベルが、第2閾値β(ただし、β>α)以上であると、検知モードから待機モードに切り替えて、又は待機モードのまま維持して、ヒータ83の通電制御を行う。このように、停止モードではないモードの状態において、バッテリ204の充電レベルを把握することにより、近い将来、走行モードが再びエンジン走行モードへ切り替わる可能性があることを把握することがきるため、ヒータ制御モードは、待機モードとなる。したがって、ガスセンサ制御装置1では、その後の近い将来、モータ走行モードからエンジン走行モードに切り替えられた場合に、ガスセンサのセンサ素子(検知セル)51を、素早く検知可能な状態とすることができる。このようなガスセンサ制御装置1は、モータ走行モードによる走行時に、ガスセンサ2のヒータ83の消費電力が抑えられつつ、モータ走行モードからエンジン走行モードに切り替えられた場合に、ガスセンサ2のセンサ素子(検知セル)51が素早く検知可能な状態で維持される。
【0085】
なお、ガスセンサ制御装置1の加熱制御方法は、走行モードが、エンジン201の駆動力を利用するエンジン走行モード、又はモータ202の駆動力のみを利用するモータ走行モードかを判定する第1判定工程と、バッテリ204の充電レベルが第1閾値αを上回るか否かを判定する第2判定工程と、第1判定工程の判定結果がモータ走行モードであり、かつ第2判定工程において第1閾値αを上回ると判定された場合に、ヒータ83を活性温度よりも低い待機温度で発熱させる待機モード、又はヒータ83の通電を停止する停止モードの何れかで、ヒータ制御部91dが、ヒータ83の通電制御を行う通電制御工程(ステップS16、ステップS17、ステップS18、ステップS19)とを備える。
【0086】
通電制御工程(ステップS16、ステップS17、ステップS18、ステップS19)において、ヒータ制御部91dは、バッテリ204の充電レベルに応じて、待機モード又は停止モードの何れかを選択して、ヒータ83の通電制御を行う。
【0087】
通電制御工程(ステップS16)において、停止モードである時に、バッテリ204の充電レベルが、第2閾値β(ただし、β>α)を下回ると、ヒータ制御部91dが、ヒータ制御モードを、待機モードに切り替えて、ヒータ83の通電制御を行う。
【0088】
通電制御工程(ステップS18)において、待機モードである時に、バッテリ204の充電レベルが、第3閾値γ(ただし、γ>β)を上回ると、ヒータ制御部91dが、ヒータ制御モードを、停止モードに切り替えて、ヒータ83の通電制御を行う。
【0089】
通電制御工程(ステップS19)において、停止モード以外のモード(つまり、検知モード、又は待機モード)である時に、バッテリ204の充電レベルが、第2閾値β(ただし、β>α)以上であると、検知モードから待機モードに切り替えて、又は待機モードのまま維持して、ヒータ83の通電制御を行う。
【符号の説明】
【0090】
1…ガスセンサ制御装置、2…ガスセンサ、3…制御装置、51…センサ素子(検知セル)、83…ヒータ、91…マイコン、91d…ヒータ制御部、91e…第1判定部、91f…第2判定部、200…ハイブリッド車両、201…エンジン、202…発電機能付きのモータ、204…バッテリ、208…排気管