特開 2023-173062 情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023173062

(43)【公開日】2023-12-07

(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法

(51)【国際特許分類】

   G08G 1/00 20060101AFI20231130BHJP

【ＦＩ】

G08G1/00 D

【審査請求】未請求

【請求項の数】18

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022085054

(22)【出願日】2022-05-25

【公序良俗違反の表示】

（特許庁注：以下のものは登録商標）

１．ＡＮＤＲＯＩＤ

２．ＢＬＵＥＴＯＯＴＨ

(71)【出願人】

【識別番号】500168811

【氏名又は名称】株式会社ナビタイムジャパン

(74)【代理人】

【識別番号】230104019

【弁護士】

【氏名又は名称】大野 聖二

(74)【代理人】

【識別番号】100184181

【弁理士】

【氏名又は名称】野本 裕史

(72)【発明者】

【氏名】川島 航

【テーマコード（参考）】

5H181

【Ｆターム（参考）】

5H181AA01

5H181AA14

5H181BB04

5H181BB05

5H181BB13

5H181CC17

5H181CC27

5H181EE10

5H181FF04

5H181FF10

5H181FF13

5H181FF14

5H181FF22

5H181FF27

5H181FF33

5H181FF35

5H181LL09

5H181MA20

5H181MA44

(57)【要約】

【課題】ソフトメーターによる運賃算出時に、測位不良が起こる条件下であっても、表示された運賃に対して乗客が不満や不信感を抱くことを減らすことができる情報処理システムを提供する。
【解決手段】情報処理システムは、車両の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記車両が目的地点に到着した後に、出発地点を出発してから目的地点に到着するまでに取得された前記位置情報を地図情報から得られる近傍の道路上にマッチングさせるマップマッチングを行い、マップマッチングにより得られた走行経路に基づいて運賃を算出する運賃算出手段と、前記車両内の乗客用端末に前記運賃を表示する運賃表示手段と、を備える。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

車両の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記車両が目的地点に到着した後に、出発地点を出発してから目的地点に到着するまでに取得された前記位置情報を地図情報から得られる近傍の道路上にマッチングさせるマップマッチングを行い、マップマッチングにより得られた走行経路に基づいて運賃を算出する運賃算出手段と、
前記車両内の乗客用端末に前記運賃を表示する運賃表示手段と、
を備えた情報処理システム。

【請求項2】

前記運賃に対して乗客からの承認を受け付ける運賃承認受付手段をさらに備えた、請求項１に記載の情報処理システム。

【請求項3】

前記走行経路を前記乗客用端末に表示する経路表示手段をさらに備えた、請求項１または２に記載の情報処理システム。

【請求項4】

前記経路表示手段は、前記走行経路のうち前記位置情報の測位精度が予め定められた基準に満たなかった箇所を識別可能に表示する、請求項３に記載の情報処理システム。

【請求項5】

前記走行経路に対して乗客および／または運転手からの修正指示を受け付ける走行経路修正指示受付手段をさらに備えた、請求項３または４に記載の情報処理システム。

【請求項6】

前記車両の走行中に、前記運賃算出手段は、出発地点を出発してから現在までに取得された前記位置情報を地図情報から得られる近傍の道路上にマッチングさせるマップマッチングを行い、マップマッチングにより得られた現在までの走行経路に基づいて現在までの途中運賃を算出し、前記運賃表示手段は、前記現在までの途中運賃を前記乗客用端末に表示する、請求項１～５のいずれかに記載の情報処理システム。

【請求項7】

車両が目的地点に到着した後に、出発地点および目的地点の位置情報と地図情報に基づいて出発地点から目的地点までの経路探索を行い、経路探索により得られた最適経路に基づいて運賃を算出する運賃算出手段と、
前記車両内の乗客用端末に前記運賃を表示する運賃表示手段と、
を備えた情報処理システム。

【請求項8】

前記最適経路を前記乗客用端末に表示する経路表示手段をさらに備えた、請求項７に記載の情報処理システム。

【請求項9】

前記最適経路は、出発地点から目的地点までの最速経路または最短経路である、請求項７または８に記載の情報処理システム。

【請求項10】

前記車両の走行中に、前記運賃算出手段は、出発地点および現在位置の位置情報と地図情報に基づいて出発地点から現在位置までの経路探索を行い、経路探索により得られた現在位置までの最適経路に基づいて現在までの途中運賃を算出し、前記運賃表示手段は、前記現在までの途中運賃を前記乗客用端末に表示する、請求項７～９のいずれかに記載の情報処理システム。

【請求項11】

コンピュータを、
車両の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記車両が目的地点に到着した後に、出発地点を出発してから目的地点に到着するまでに取得された前記位置情報を地図情報から得られる近傍の道路上にマッチングさせるマップマッチングを行い、マップマッチングにより得られた走行経路に基づいて運賃を算出する運賃算出手段と、
前記車両内の乗客用端末に前記運賃を表示する運賃表示手段と、
として機能させる情報処理プログラム。

【請求項12】

コンピュータを、
車両が目的地点に到着した後に、出発地点および目的地点の位置情報と地図情報に基づいて出発地点から目的地点までの経路探索を行い、経路探索により得られた最適経路に基づいて運賃を算出する運賃算出手段と、
前記車両内の乗客用端末に前記運賃を表示する運賃表示手段と、
として機能させる情報処理プログラム。

【請求項13】

通信可能に接続された複数のコンピュータによって構成される情報処理システムであって、
車両の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記車両が目的地点に到着した後に、出発地点を出発してから目的地点に到着するまでに取得された前記位置情報を地図情報から得られる近傍の道路上にマッチングさせるマップマッチングを行い、マップマッチングにより得られた走行経路に基づいて運賃を算出する運賃算出手段と、
前記車両内の乗客用端末に前記運賃を表示する運賃表示手段と、
を備えた情報処理システムを機能させるために、
前記コンピュータの少なくとも１つを、前記手段の少なくとも１つとして機能させるための情報処理プログラム。

【請求項14】

通信可能に接続された複数のコンピュータによって構成される情報処理システムであって、
車両が目的地点に到着した後に、出発地点および目的地点の位置情報と地図情報に基づいて出発地点から目的地点までの経路探索を行い、経路探索により得られた最適経路に基づいて運賃を算出する運賃算出手段と、
前記車両内の乗客用端末に前記運賃を表示する運賃表示手段と、
を備えた情報処理システムを機能させるために、
前記コンピュータの少なくとも１つを、前記手段の少なくとも１つとして機能させるための情報処理プログラム。

【請求項15】

通信可能に接続された複数のコンピュータによって、請求項１～１０のいずれかに記載の情報処理システムを機能させるために、
前記コンピュータのうちの少なくとも１つを、請求項１～１０のいずれかに記載の情報処理システムにおける各手段の少なくとも１つとして機能させるための情報処理プログラム。

【請求項16】

コンピュータを、請求項１～１０のいずれかに記載の情報処理システムにおける各手段の少なくとも１つとして機能させるための情報処理プログラム。

【請求項17】

コンピュータが実行する情報処理方法であって、
車両の位置情報を取得するステップと、
前記車両が目的地点に到着した後に、出発地点を出発してから目的地点に到着するまでに取得された前記位置情報を地図情報から得られる近傍の道路上にマッチングさせるマップマッチングを行い、マップマッチングにより得られた走行経路に基づいて運賃を算出するステップと、
前記車両内の乗客用端末に前記運賃を表示するステップと、
を含む情報処理方法。

【請求項18】

コンピュータが実行する情報処理方法であって、
車両が目的地点に到着した後に、出発地点および目的地点の位置情報と地図情報に基づいて出発地点から目的地点までの経路探索を行い、経路探索により得られた最適経路に基づいて運賃を算出するステップと、
前記車両内の乗客用端末に前記運賃を表示するステップと、
を含む情報処理方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法に関する。

【背景技術】

【0002】

通常、タクシーでは、車両に備え付けられたタクシーメーターが走行距離を計測して運賃を計算する。従来のタクシーメーターは、タイヤに取り付けられた回転尺を使用して距離の実測値を計測するものであり、計量法の対象となっているため、定期的な検査が義務付けられている。

【0003】

これに対し、現在、タクシーソフトメーターの導入が国土交通省により検討されている。タクシーソフトメーターは、従来のタクシーメーターとは異なり、ＧＰＳを利用して距離を計測して運賃を算出するものであり、汎用的なＡｎｄｒｏｉｄ／ｉＯＳ端末をタクシーメーターとして利用することも可能である。

【0004】

特許文献１には、ＧＰＳにより特定された車両の位置情報を用いて走行中にリアルタイムで運賃を計算する技術が開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0005】

【特許文献1】特開２０２０－１７７４５６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

しかし、ＧＰＳを利用するソフトメーターでは、出発地点から目的地点までの間に、トンネル内、マルチパス地帯、高架下といった、ＧＰＳの苦手とする箇所（測位精度が悪くなる箇所）を走行した場合、測位が不安定な状態が継続したことにより、走行距離を正確に計測できなくなる。そのため、正確な運賃算出が難しいという課題がある。特許文献１では、ＧＰＳが測位不良となる場合については何も記載されていない。

【0007】

本発明は、以上のような点を考慮してなされたものである。本発明の目的は、ソフトメーターによる運賃算出時に、測位不良が起こる条件下であっても、表示された運賃に対して乗客が不満や不信感を抱くことを減らすことができる情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0008】

本発明に係る情報処理システムは、
車両の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記車両が目的地点に到着した後に、出発地点を出発してから目的地点に到着するまでに取得された前記位置情報を地図情報から得られる近傍の道路上にマッチングさせるマップマッチングを行い、マップマッチングにより得られた走行経路に基づいて運賃を算出する運賃算出手段と、
前記車両内の乗客用端末に前記運賃を表示する運賃表示手段と、を備える。

【発明の効果】

【0009】

本発明によれば、ソフトメーターによる運賃算出時に、測位不良が起こる条件下であっても、表示された運賃に対して乗客が不満や不信感を抱くことを減らすことができる。

【図面の簡単な説明】

【0010】

【図1】図１は、第１の実施形態に係る情報処理システムの概略的な構成を示す図である。

【図2】図２は、第１の実施形態に係る情報処理システムの動作の一例を示すフローチャートである。

【図3】図３は、第１の実施形態に係る情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。

【図4】図４は、第１の実施形態に係る情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。

【図5】図５は、第１の実施形態に係る情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。

【図6】図６は、第２の実施形態に係る情報処理システムの概略的な構成を示す図である。

【図7】図７は、第２の実施形態に係る情報処理システムの動作の一例を示すフローチャートである。

【図8】図８は、第２の実施形態に係る情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。

【図9】図９は、第２の実施形態に係る情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。

【図10】図１０は、第２の実施形態に係る情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0011】

以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、同一符号の構成要素の詳しい説明は繰り返さない。

【0012】

以下に説明する実施の形態では、ソフトメーター端末３が備え付けられる「車両」としてタクシーを例に挙げて説明することがあるが、「車両」は、乗客を輸送する距離に応じて運賃が計算されるものであれば、タクシーに限られるものではなく、たとえば、福祉輸送車両（介護タクシー）であってもよいし、運転代行業者の伴走車であってもよい。「車両」は、自動運転車両であってもよい。また「車両」は、ライドシェアで利用される車両であってもよく、具体的には、たとえば、不特定多数の乗客が相乗りで利用する乗合タクシーであってもよい。

【0013】

（第１の実施形態）
図１は、第１の実施形態に係る情報処理システム１の概略的な構成を示す図である。なお、同図において、各機能を行う機能部は、それぞれ各機能を行う手段ということができる。

【0014】

図１に示すように、情報処理システム１は、ソフトメーター端末３と、乗客用端末２とを備えている。ソフトメーター端末３と乗客用端末２とは、ＵＳＢやＢｌｕｅｔｏｏｔｈ等のネットワーク４を介して互いに通信可能に接続されている。ネットワーク４は、有線回線と無線回線のいずれでもよく、回線の種類や形態は問わない。なお、ソフトメーター端末３および乗客用端末２の少なくとも一部は、コンピュータにより実現される。

【0015】

まず、乗客用端末２について説明する。乗客用端末２は、車両の乗客が使用または閲覧するものであり、たとえば、運転席や助手席のヘッドレストの後ろ側や天井に取り付けられる後部座席用のモニターであってもよいし、乗客が所持するスマートフォンやタブレット端末などのモバイル端末であってもよい。運転席付近で後部座席の位置から表示が確認できる位置に設置された端末であってもよい。

【0016】

図１に示すように、乗客用端末２は、通信部２１と、入力部２４と、表示部２５とを有している。通信部２１と入力部２４と表示部２５とは、互いに通信可能に接続されている。

【0017】

通信部２１は、乗客用端末２とネットワーク４との間の通信インターフェースである。通信部２１は、ネットワーク４を介して乗客用端末２とソフトメーター端末３との間で情報を送受信する。

【0018】

入力部２４は、乗客が乗客用端末２に情報を入力するためのインターフェースであり、たとえばタッチパネルやタッチパッド、プッシュボタン、ダイアル、キーボード、マイクロフォンなどである。

【0019】

表示部２５は、乗客用端末２から乗客に対して各種情報を表示するインターフェースであり、たとえば液晶ディスプレイや有機ＥＬディスプレイ等の映像表示手段である。具体的には、たとえば、表示部２５は、乗客からの操作を受け付けるためのＧＵＩ（Graphical User Interface）を表示してもよい。

【0020】

次に、ソフトメーター端末３について説明する。ソフトメーター端末３は、ＧＰＳを利用して距離を計測して運賃を算出するものであり、たとえば、運転席横など法令や規則等で定められた位置に固定されて使用されるものであってもよい。ソフトメーター端末３として、スマートフォンやタブレット端末などの汎用的なＡｎｄｒｏｉｄ／ｉＯＳ端末を利用してもよい。図１に示すように、ソフトメーター端末３は、通信部３１と、制御部３２と、記憶部３３と、入力部３４と、表示部３５、測位部３６とを有している。各部３１～３５は、互いに通信可能に接続されている。

【0021】

このうち通信部３１は、ソフトメーター端末３とネットワーク４との間の通信インターフェースである。通信部３１は、ネットワーク４を介してソフトメーター端末３と乗客用端末２との間で情報を送受信する。

【0022】

入力部３４は、運転手がソフトメーター端末３に情報を入力するためのインターフェースであり、たとえばタッチパネルやタッチパッド、プッシュボタン、ダイアル、キーボード、マイクロフォンなどである。

【0023】

表示部３５は、ソフトメーター端末３から運転手および乗客に対して各種情報を表示するインターフェースであり、たとえば液晶ディスプレイや有機ＥＬディスプレイ等の映像表示手段である。具体的には、たとえば、表示部３５は、運転手からの操作を受け付けるためのＧＵＩ（Graphical User Interface）を表示してもよい。ソフトメーター端末３の表示部３５に表示される情報と、乗客用端末２の表示部２５に表示される情報とは、互いにミラーリングされるように構成されていてもよい。

【0024】

測位部３６は、ソフトメーター端末３の現在位置の情報を取得するために後述する位置情報取得部３２ａにより用いられる測位手段である。測位部３６は、たとえばＧＰＳや準天頂衛星システム（ＱＺＳＳ）などの電波受信モジュールを含んでいる。測位部３６は、加速度センサや地磁気センサなどをさらに含んでいてもよい。

【0025】

記憶部３３は、たとえばフラッシュメモリやハードディスク等の不揮発性データストレージである。記憶部３３には、制御部３２が取り扱う各種データが記憶される。たとえば、記憶部３３は、交通ネットワーク情報を含む経路ネットワーク情報データベース３３ａと、地図情報を含む地図情報データベース３３ｂと、測位情報データベース３３ｃとを含んでいる。

【0026】

交通ネットワーク情報は、鉄道やバス等の交通網や道路網を規定する情報である。交通網の情報としては、交通機関の路線情報、時刻表情報、料金情報等を含む。道路網の情報は、例えば交差点等の道路網表現上の結節点であるノードのデータと、ノード間の道路区間であるリンクのデータとの組み合わせによって表現される。

【0027】

地図情報は、全国および各地方の道路地図などの地図データと、地図データに対応付けられた地図オブジェクト情報を含む。地図オブジェクト情報とは、地図上に表示される施設の形状についての形状情報、地図上に表示される注記についての注記情報、地図上に表示される記号についての記号情報などである。また、地図情報は公共交通機関の路線図に関する路線図情報を含んでいてもよい。

【0028】

上記の交通ネットワーク情報および地図情報は、所定のタイミングでアップデートされてもよい。

【0029】

測位情報データベース３３ｃには、後述する位置情報取得部３２ａにより取得された車両の位置情報が、時刻情報および測位の信頼度情報とともに記憶される。

【0030】

なお、記憶部３３は、必ずしもソフトメーター端末３内に設けられていなくてもよく、記憶部３３の一部または全部は、ネットワーク４を介してソフトメーター端末３と通信可能に接続された別の装置内に設けられていてもよい。

【0031】

図１に示すように、制御部３２は、位置情報取得部３２ａと、運賃算出部３２ｂと、運賃表示部３２ｃと、運賃承認受付部３２ｄと、経路表示部３２ｅと、走行経路修正指示受付部３２ｆとを有している。これらの各部３２ａ～３２ｆは、ソフトメーター端末３内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよいし、ハードウェアで実装されてもよい。

【0032】

位置情報取得部３２ａは、測位部３６における測位情報を利用してソフトメーター端末３の現在位置の情報を取得する。位置情報取得部３２ａは、たとえば、ＧＰＳや準天頂衛星システム（ＱＺＳＳ）などの電波航法手段による測位情報に基づいて現在位置を取得する。位置情報取得部３２ａは、加速度センサや地磁気センサなどの自律航法手段による測位情報をさらに測位に用いてもよい。ソフトメーター端末３は、車両とともに移動するものであるから、位置情報取得部３２ａにより取得された位置情報は、車両の現在位置を示すものである。位置情報取得部３２ａにより取得された車両の位置情報は、時刻情報および測位の信頼度情報とともに、測位情報データベース３３ｃに記憶される。

【0033】

運賃算出部３２ｂは、車両が目的地点に到着した後に、地図情報データベース３３ｂおよび測位情報データベース３３ｃを参照し、出発地点Ｓを出発してから目的地点Ｇに到着するまでに取得された位置情報を地図情報から得られる近傍の道路上にマッチングさせるマップマッチングを行い、マップマッチングにより得られた走行経路に基づいて運賃を算出する。ここで、「マップマッチング」のアルゴリズムとしては、たとえば、特許第３８６０４７４号および特許第４１７５６４６号に記載されているものを利用することができる。スマートフォンやタブレット端末などのモバイル端末においては、たとえば、株式会社ナビタイムジャパン製のナビゲーション開発キット「ＮａｖｉＳＤＫ」を利用することで、「マップマッチング」の機能を容易に実現することが可能である。

【0034】

運賃表示部３２ｃは、運賃算出部３２ｂにより算出された運賃を、ソフトメーター端末３の表示部３５に表示するとともに、当該運賃を表示するための制御信号を乗客用端末２へと送信し、図３に示すように、乗客用端末２の表示部２５を介して乗客に運賃５１を表示する。

【0035】

経路表示部３２ｅは、マップマッチングにより得られた走行経路５５を地図上に表示するための制御信号を乗客用端末２へと送信し、図３に示すように、乗客用端末２の表示部２５を介して当該走行経路５５を運賃５１とともに表示する。

【0036】

経路表示部３２ｅは、測位情報データベース３３ｃを参照し、マップマッチングにより得られた走行経路５５のうち、車両の位置情報の測位精度が予め定められた基準に満たなかった箇所（測位不良箇所）５６を特定し、走行経路５５上において当該測位不良箇所５６を識別可能に表示してもよい。図３に示す例では、経路表示部３２ｅは、走行経路５５のうち測位不良箇所５６を他の箇所（すなわち測位良好箇所）とは異なる色で表示しているが、測位不良箇所５６の表示態様は、他の箇所（測位良好箇所）とは識別可能なものであれば、色が異なることに限定されず、たとえば、太さが異なっていてもよいし、破線で表示されてもよいし、点滅表示されてもよいし、測位不良箇所であることを示す吹出しやアイコンが付されて表示されてもよい。

【0037】

走行経路修正指示受付部３２ｆは、走行経路５５に対して乗客および／または運転手からの修正指示を受け付ける。具体的には、たとえば、図３に示すように、走行経路修正指示受付部３２ｆは、走行経路５５に対する修正指示を受け付けるための修正指示受付ボタン５３を乗客用端末２の表示部２５に表示し、走行経路５５に対する乗客からの修正指示を、当該修正指示受付ボタン５３を介して受け付けてもよい。あるいは、走行経路修正指示受付部３２ｆは、走行経路５５に対する修正指示を受け付けるための修正指示受付ボタン５３をソフトメーター端末３の表示部３５に表示し、走行経路５５に対する運転手からの修正指示を、当該修正指示受付ボタン５３を介して受け付けてもよい。

【0038】

走行経路修正指示受付部３２ｆが、走行経路５５に対する乗客および／または運転からの修正指示を受け付けると、運賃算出部３２ｂは、当該修正指示に基づいて走行経路５５を修正し、当該修正された走行経路５５に基づいて運賃を再計算する。そして、運賃表示部３２ｃは、運賃算出部３２ｂにより再計算された運賃を、表示部３５を介して表示するとともに、当該運賃を表示するための制御信号を乗客用端末２へと送信し、乗客用端末２の表示部２５を介して乗客に表示する。

【0039】

運賃承認受付部３２ｄは、乗客用端末２に表示された運賃５１に対して乗客からの承認を受け付ける。具体的には、たとえば、図３に示すように、運賃承認受付部３２ｄは、表示された運賃５１に対する乗客からの承認を受け付けるための承認受付ボタン５２を乗客用端末２の表示部２５に表示し、表示された運賃５１に対する乗客からの承認を、当該承認受付ボタン５２を介して受け付けてもよい。

【0040】

運賃算出部３２ｂは、車両の走行中に、図４に示すように、出発地点を出発してから現在までに取得された車両の位置情報５７と地図情報に基づいて、現在までの車両の走行経路を特定し、当該走行経路に基づいて現在までの途中運賃５８を算出してもよい。一例として、運賃算出部３２ｂは、図５に示すように、出発地点を出発してから現在までに取得された位置情報５７を地図情報から得られる近傍の道路上にマッチングさせるマップマッチングを行い、マップマッチングにより得られた現在までの走行経路５５に基づいて、現在までの途中運賃５８を算出してもよい。そして、運賃表示部３２ｃは、車両の走行中に、運賃算出部３２ｂにより算出された現在までの途中運賃５８を、乗客用端末２の表示部２５を介して乗客に表示してもよい。

【0041】

運賃表示部３２ｃは、車両の走行中に、測位情報データベース３３ｃを参照し、位置情報取得部３２ａにより取得された現在位置５４の位置情報について、測位状況の良否を判定し、測位不良と判定された場合には、表示中の途中運賃の不確実性（変動可能性）に関する情報５９を、当該途中運賃５８とともに乗客用端末２の表示部２５を介して乗客に表示してもよい。不確実性（変動可能性）に関する情報５９の表示態様は、乗客の注意を引くことができるものであれば、特に限定されるものではなく、たとえば、途中運賃５８の表示をグレーアウトしてもよいし、図形や数値、背景色の違いで情報の信頼性の程度を示してもよいし、途中運賃が不確定である（変動可能である）旨を伝える文字列を表示してもよい。運賃表示部３２ｃは、表示中の途中運賃の不確実性（変動可能性）に関する情報５９を、ソフトメーター端末３の表示部３５を介して表示してもよい。

【0042】

（動作の一例）
次に、図２を参照して、情報処理システム１の動作の一例について説明する。図２は、情報処理システム１の動作の一例を示すフローチャートである。

【0043】

図２に示すように、まず、車両が出発地点Ｓにて乗客を乗せて賃走を開始すると（ステップＳ１０）、ソフトメーター端末３の位置情報取得部３２ａが、測位部３６における測位情報を利用して車両の現在位置情報を取得する（ステップＳ１１）。たとえば、位置情報取得部３２ａは、ＧＰＳやＱＺＳＳなどの電波航法手段による測位情報に基づいて現在の車両の位置情報を取得する。位置情報取得部３２ａは、加速度センサや地磁気センサなどの自律航法手段による測位情報をさらに測位に用いてもよい。位置情報取得部３２ａにより取得された車両の位置情報は、時刻情報および測位の信頼度情報とともに、測位情報データベース３３ｃに記憶される。

【0044】

次いで、ソフトメーター端末３の制御部３２は、車両が目的地点Ｇに到着したか否かを判定する（ステップＳ１２）。制御部３２は、入力部３４に対する運転手の操作（たとえば実車ボタンの操作）に基づいて、車両が目的地点Ｇに到着したことを判定してもよいし、位置情報取得部３２ａにより取得された車両の位置情報に基づいて、車両が目的地点Ｇに到着したことを判定してもよい。

【0045】

車両が目的地点Ｇに到着していないと判定された場合には（ステップＳ１２：ＮＯ）、運賃算出部３２ｂは、出発地点Ｓを出発してから現在までに取得された位置情報５７を地図情報から得られる近傍の道路上にマッチングさせるマップマッチングを行い、マップマッチングにより得られた現在までの走行経路５５に基づいて、現在までの途中運賃を算出する（ステップＳ１３）。そして、運賃表示部３２ｃは、運賃算出部３２ｂにより算出された現在までの途中運賃を、ソフトメーター端末３の表示部３５に表示するとともに、当該途中運賃を表示するための制御信号を乗客用端末２へと送信し、図５に示すように、乗客用端末２の表示部２５を介して乗客に途中運賃５８を表示する（ステップＳ１４）。その後、制御部３２の処理は、ステップＳ１１に戻る。

【0046】

他方、車両が目的地点Ｇに到着したと判定された場合には（ステップＳ１２：ＹＥＳ）、運賃算出部３２ｂは、出発地点Ｓを出発してから目的地点Ｇに到着するまでに取得された位置情報を地図情報から得られる近傍の道路上にマッチングさせるマップマッチングを行い、マップマッチングにより得られた走行経路に基づいて運賃を算出する（ステップＳ１５）。このように、出発地点Ｓを出発してから目的地点Ｇに到着するまでに取得された位置情報をマップマッチングにより補完するため、出発地点Ｓから目的地点Ｇまでの間に、トンネル内、マルチパス地帯、高架下といった、ＧＰＳの苦手とする箇所（測位精度が悪くなる箇所）を車両が走行した場合であっても、正確な走行経路を求めることが可能である。そして、マップマッチングにより得られた走行経路に基づいて運賃が算出されるため、測位不良が起こる条件下であっても、正確な運賃を算出することができる。

【0047】

次いで、運賃表示部３２ｃは、運賃算出部３２ｂにより算出された運賃を、ソフトメーター端末３の表示部３５に表示するとともに、当該運賃を表示するための制御信号を乗客用端末２へと送信し、図３に示すように、乗客用端末２の表示部２５を介して乗客に運賃５１を表示する（ステップＳ１６）。マップマッチングにより得られた走行経路５５に基づいて正確な運賃５１が算出され、当該正確な運賃５１が乗客に対して表示されるため、測位不良が起こる条件下であっても、表示された運賃５１に対して乗客が不満や不信感を抱くことを減らすことができる。

【0048】

また、経路表示部３２ｅは、マップマッチングにより得られた走行経路５５を地図上に表示するための制御信号を乗客用端末２へと送信し、図３に示すように、乗客用端末２の表示部２５を介して当該走行経路５５を運賃５１とともに表示する（ステップＳ１７）。これにより、乗客は、測位不良が起こる条件下において、表示された運賃５１の計算の根拠となっている走行経路５５を、自らの目で確認することが可能となるため、表示された運賃５１に対して乗客が不満や不信感を抱くことを一層減らすことができる。

【0049】

ステップＳ１７において、経路表示部３２ｅは、測位情報データベース３３ｃを参照し、マップマッチングにより得られた走行経路５５のうち、車両の位置情報の測位精度が予め定められた基準に満たなかった箇所（測位不良箇所）５６を特定し、走行経路５５上において当該測位不良箇所５６を識別可能に表示してもよい。これにより、乗客は、測位不良が起こる条件下において、表示された運賃５１の計算の根拠となっている走行経路５５のうち、自らの目で確認する必要性が高い箇所（すなわち測位不良箇所）を容易に見分けることが可能となるため、表示された運賃に対して乗客が不満や不信感を抱くことをより一層減らすことができる。

【0050】

次に、走行経路修正指示受付部３２ｆは、走行経路５５に対して乗客および／または運転手からの修正指示を受け付けたか否かを判定する（ステップＳ１８）。一例として、図３を参照し、走行経路修正指示受付部３２ｆは、走行経路５５に対する修正指示を受け付けるための修正指示受付ボタン５３を、走行経路５５とともに乗客用端末２の表示部２５に表示してもよい。そして、乗客が乗客用端末２の入力部２４を介して修正指示受付ボタン５３を操作して修正受付モードにした状態で、走行経路５５として地図上に表示されているルート線のうち一部を選択し、修正を希望する先の道路上へドラッグ＆ドロップしたり、修正先の道路上をなぞったりした場合には、走行経路修正指示受付部３２ｆは、当該修正先の道路を走行するように走行経路５５を修正する修正指示を乗客から受け付けたと判定してもよい。別例として、走行経路修正指示受付部３２ｆは、走行経路５５に対する修正指示を受け付けるための修正指示受付ボタン５３を、走行経路５５とともにソフトメーター端末３の表示部３５に表示してもよい。そして、運転手がソフトメーター端末３の入力部３４を介して修正指示受付ボタン５３を操作して修正受付モードにした状態で、走行経路５５として地図上に表示されているルート線のうち一部を選択し、修正を希望する先の道路上へドラッグ＆ドロップしたり、修正先の道路上をなぞったりした場合には、走行経路修正指示受付部３２ｆは、当該修正先の道路を走行するように走行経路５５を修正するための修正指示を運転手から受け付けたと判定してもよい。走行経路５５に対して乗客および／または運転手からの修正指示を受け付ける機能があることで、正しい走行経路に修正することが可能となる。これにより、測位不良が起こる条件下において、不正確な走行経路に基づいて不正確な運賃を算出して乗客に表示してしまうことを防止でき、ソフトメーターでの運賃の請求に対して乗客が不満や不信感を抱くことを減らすことができる。

【0051】

走行経路５５に対して乗客および／または運転手からの修正指示があった場合には（ステップＳ１８：ＹＥＳ）、運賃算出部３２ｂは、当該修正指示に基づいて走行経路５５を修正し、当該修正された走行経路５５に基づいて運賃を再計算する（ステップＳ２０）。その後、制御部３２の処理は、ステップＳ１６に戻る。

【0052】

他方、走行経路５５に対して乗客および／または運転手からの修正指示がなかった場合には（ステップＳ１８：ＮＯ）、運賃承認受付部３２ｄは、乗客用端末２に表示された運賃５１に対して乗客からの承認を受け付ける（ステップＳ１９）。具体的には、たとえば、図３に示すように、運賃承認受付部３２ｄは、乗客からの承認を受け付けるための承認受付ボタン５２を、運賃５１とともに乗客用端末２の表示部２５に表示してもよい。そして、乗客が乗客用端末２の入力部２４を介して承認受付ボタン５２を操作した場合には、運賃承認受付部３２ｄは、表示された運賃５１に対して乗客からの承認を受け付けたと判定してもよい。表示された運賃５１に対して乗客からの承認を受け付ける機能があることで、測位不良が起こる条件下において、表示された運賃に対して乗客が納得したうえで支払いを行うことが可能となり、ソフトメーターでの運賃の請求に対して乗客が不満や不信感を抱くことを減らすことができる。

【0053】

以上のような実施の形態によれば、運賃の計算の根拠となる走行経路を特定する際に、出発地点Ｓを出発してから目的地点Ｇに到着するまでに取得された位置情報がマップマッチングにより補完されるため、出発地点Ｓから目的地点Ｇまでの間に、トンネル内、マルチパス地帯、高架下といった、ＧＰＳの苦手とする箇所（測位精度が悪くなる箇所）を車両が走行した場合であっても、正確な走行経路を求めることが可能である。そして、マップマッチングにより得られた走行経路に基づいて正確な運賃が算出され、当該正確な運賃が乗客に対して表示されるため、測位不良が起こる条件下であっても、表示された運賃５１に対して乗客が不満や不信感を抱くことを減らすことができる。

【0054】

（第２の実施形態）
次に、図６を参照し、第２の実施形態に係る情報処理システムについて説明する。図６は、第２の実施形態に係る情報処理システム１の概略的な構成を示す図である。第２の実施形態において、上述した第１の実施形態と同様に構成され得る部分については、上述した第１の実施形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略し、以下では相違点を中心に説明する。

【0055】

本実施の形態では、ソフトメーター端末３の運賃算出部３２ｂは、車両が目的地点に到着した後に、出発地点および目的地点の位置情報を特定する。一例として、運賃算出部３２ｂは、位置情報取得部３２ａにより取得された車両の位置情報に基づいて、出発地点および目的地点の位置情報を特定してもよい。別例として、運賃算出部３２ｂは、図８に示すように、乗客用端末２の表示部２５に、出発地点入力ボックス６０Ｓおよび目的地点入力ボックス６０Ｇを表示し、乗客が乗客用端末２の入力部２４を介して出発地点入力ボックス６０Ｓおよび目的地点入力ボックス６０Ｇに入力した情報に基づいて、出発地点および目的地点の位置情報を特定してもよい。さらに別の例として、運賃算出部３２ｂは、ソフトメーター端末３の表示部３５に、出発地点入力ボックス６０Ｓおよび目的地点入力ボックス６０Ｇを表示し、運転手がソフトメーター端末３の入力部３４を介して出発地点入力ボックス６０Ｓおよび目的地点入力ボックス６０Ｇに入力した情報に基づいて、出発地点および目的地点の位置情報を特定してもよい。

【0056】

運賃算出部３２ｂは、特定された出発地点および目的地点の位置情報と地図情報に基づいて、出発地点から目的地点までの経路探索を行い、経路探索により得られた最適経路に基づいて運賃を算出する。ここで、経路探索により得られる「最適経路」は、出発地点から目的地点までの最速経路であってもよいし、最短経路であってもよい。

【0057】

運賃表示部３２ｃは、運賃算出部３２ｂにより算出された運賃を、ソフトメーター端末３の表示部３５に表示するとともに、当該運賃を表示するための制御信号を乗客用端末２へと送信し、図８に示すように、乗客用端末２の表示部２５を介して乗客に運賃６１を表示する。

【0058】

経路表示部３２ｅは、経路探索により得られた最適経路６５を地図上に表示するための制御信号を乗客用端末２へと送信し、図８に示すように、乗客用端末２の表示部２５を介して当該最適経路６５を運賃６１とともに表示する。

【0059】

運賃算出部３２ｂは、車両の走行中に、図９に示すように、出発地点を出発してから現在までに取得された車両の位置情報６７と地図情報に基づいて、現在までの車両の走行経路を特定し、当該走行経路に基づいて現在までの途中運賃６８を算出してもよい。一例として、運賃算出部３２ｂは、図１０に示すように、出発地点および現在位置６４の位置情報と地図情報に基づいて、出発地点から現在位置６４までの経路探索を行い、経路探索により得られた現在位置６４までの最適経路に基づいて、現在までの途中運賃６８を算出してもよい。そして、運賃表示部３２ｃは、車両の走行中に、運賃算出部３２ｂにより算出された現在までの途中運賃６８を、乗客用端末２の表示部２５を介して乗客に表示してもよい。

【0060】

運賃表示部３２ｃは、車両の走行中に、測位情報データベース３３ｃを参照し、位置情報取得部３２ａにより取得された現在位置６４の位置情報について、測位状況の良否を判定し、測位不良と判定された場合には、図９に示すように、表示中の途中運賃の不確実性（変動可能性）に関する情報６９を、当該途中運賃６８とともに乗客用端末２の表示部２５を介して乗客に表示してもよい。運賃表示部３２ｂは、途中運賃の不確実性（変動可能性）に関する情報６９を、ソフトメーター端末３の表示部３５を介して表示してもよい。

【0061】

（動作の一例）
図７を参照して、第２の実施形態に係る情報処理システム１の動作の一例について説明する。図７は、情報処理システム１の動作の一例を示すフローチャートである。

【0062】

図７に示すように、まず、車両が出発地点Ｓにて乗客を乗せて賃走を開始すると（ステップＳ２０）、ソフトメーター端末３の位置情報取得部３２ａが、測位部３６における測位情報を利用して車両の現在位置情報を取得する（ステップＳ２１）。たとえば、位置情報取得部３２ａは、ＧＰＳやＱＺＳＳなどの電波航法手段による測位情報に基づいて現在の車両の位置情報を取得する。位置情報取得部３２ａは、加速度センサや地磁気センサなどの自律航法手段による測位情報をさらに測位に用いてもよい。位置情報取得部３２ａにより取得された車両の位置情報は、時刻情報および測位の信頼度情報とともに、測位情報データベース３３ｃに記憶される。

【0063】

次いで、ソフトメーター端末３の制御部３２は、車両が目的地点Ｇに到着したか否かを判定する（ステップＳ２２）。制御部３２は、入力部３４に対する運転手の操作（たとえば実車ボタンの操作）に基づいて、車両が目的地点Ｇに到着したことを判定してもよいし、位置情報取得部３２ａにより取得された車両の位置情報に基づいて、車両が目的地点Ｇに到着したことを判定してもよい。

【0064】

車両が目的地点Ｇに到着していないと判定された場合には（ステップＳ２２：ＮＯ）、運賃算出部３２ｂは、出発地点および現在位置６４の位置情報と地図情報に基づいて、出発地点から現在位置６４までの経路探索を行い、経路探索により得られた現在位置６４までの最適経路に基づいて、現在までの途中運賃を算出する（ステップＳ２３）。そして、運賃表示部３２ｃは、運賃算出部３２ｂにより算出された現在までの途中運賃を、ソフトメーター端末３の表示部３５に表示するとともに、当該途中運賃を表示するための制御信号を乗客用端末２へと送信し、図１０に示すように、乗客用端末２の表示部２５を介して乗客に途中運賃６８を表示する（ステップＳ２４）。その後、制御部３２の処理は、ステップＳ２１に戻る。

【0065】

他方、車両が目的地点Ｇに到着したと判定された場合には（ステップＳ２２：ＹＥＳ）、運賃算出部３２ｂは、出発地点Ｓおよび目的地点Ｇの位置情報を特定する。そして、運賃算出部３２ｂは、特定された出発地点Ｓおよび目的地点Ｇの位置情報と地図情報に基づいて、出発地点Ｓから目的地点Ｇまでの経路探索を行い、経路探索により得られた最適経路に基づいて運賃を算出する（ステップＳ２５）。ここで、経路探索により得られる「最適経路」は、たとえば、出発地点Ｓから目的地点Ｇまでの最速経路であってもよいし、最短経路であってもよい。また「最適経路」は、必ずしも最速経路や最短経路に限定されるものではなく、たとえば、乗合タクシーの場合には、複数の利用者（乗客）の各々の目的地を巡るために全体として最適となる経路であってもよい。このように、出発地点Ｓと目的地点Ｇの位置情報と地図情報に基づいて経路探索が行われ、経路探索により得られた最適経路に基づいて運賃（最安運賃）が算出されるため、出発地点Ｓから目的地点Ｇまでの間に、トンネル内、マルチパス地帯、高架下といった、ＧＰＳの苦手とする箇所（測位精度が悪くなる箇所）を車両が走行した場合であっても、測位状況に影響されることなく運賃（最安運賃）を算出することができる。

【0066】

次いで、運賃表示部３２ｃは、運賃算出部３２ｂにより算出された運賃を、ソフトメーター端末３の表示部３５に表示するとともに、当該運賃を表示するための制御信号を乗客用端末２へと送信し、図８に示すように、乗客用端末２の表示部２５を介して乗客に運賃６１を表示する（ステップＳ２６）。経路探索により得られた最適経路６５に基づいて運賃（最安運賃）６１が算出され、当該運賃（最安運賃）６１が乗客に対して表示されるため、測位不良が起こる条件下であっても、表示された運賃６１が最安運賃であることから、表示された運賃６１に対して乗客が不満や不信感を抱くことを減らすことができる。

【0067】

また、経路表示部３２ｅは、経路探索により得られた最適経路６５を地図上に表示するための制御信号を乗客用端末２へと送信し、図８に示すように、乗客用端末２の表示部２５を介して当該最適経路６５を運賃６１とともに表示する（ステップＳ２７）。これにより、乗客は、測位不良が起こる条件下において、表示された運賃（最安運賃）６１の計算の根拠となっている最適経路６５を、自らの目で確認することが可能となるため、表示された運賃６１に対して乗客が不満や不信感を抱くことを一層減らすことができる。

【0068】

以上のような第２の実施形態によれば、運賃の計算の根拠となる走行経路を特定する際に、出発地点Ｓと目的地点Ｇの位置情報と地図情報に基づいて経路探索が行われ、経路探索により得られた最適経路に基づいて運賃（最安運賃）が算出されるため、出発地点Ｓから目的地点Ｇまでの間に、トンネル内、マルチパス地帯、高架下といった、ＧＰＳの苦手とする箇所（測位精度が悪くなる箇所）を車両が走行した場合であっても、測位状況に影響されることなく運賃（最安運賃）を算出することができる。そして、最適経路６５に基づいて算出された運賃（最安運賃）６１が乗客に対して表示されるため、測位不良が起こる条件下であっても、表示された運賃６１が最安運賃であることから、表示された運賃６１に対して乗客が不満や不信感を抱くことを減らすことができる。

【0069】

なお、上述した実施形態で説明した情報処理システム１の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ハードウェアで構成する場合には、情報処理システム１の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやＣＤ－ＲＯＭ等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。

【0070】

また、情報処理システム１の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線（無線通信も含む）を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。

【0071】

さらに、一つまたは複数の情報処理装置によって情報処理システム１を機能させてもよい。複数の情報処理装置を用いる場合、情報処理装置のうちの１つをコンピュータとし、当該コンピュータが所定のプログラムを実行することにより情報処理システム１の少なくとも１つの手段として機能が実現されてもよい。

【0072】

また、方法の発明においては、全ての工程（ステップ）をコンピュータによって自動制御で実現するようにしてもよい。また、各工程をコンピュータに実施させながら、工程間の進行制御を人の手によって実施するようにしてもよい。また、さらには、全工程のうちの少なくとも一部を人の手によって実施するようにしてもよい。

【0073】

上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や様々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。

【符号の説明】

【0074】

１ 情報処理システム
２ 乗客用端末
２１ 通信部
２４ 入力部
２５ 表示部
３ ソフトメーター端末
３１ 通信部
３２ 制御部
３２ａ 位置情報取得部
３２ｂ 運賃算出部
３２ｃ 運賃表示部
３２ｄ 運賃承認受付部
３２ｅ 経路表示部
３２ｆ 走行経路修正指示受付部
３２ｇ 走行済みルート表示部
３３ 記憶部
３３ａ 経路ネットワーク情報データベース
３３ｂ 地図情報データベース
３４ 入力部
３５ 表示部
３６ 測位部
４ ネットワーク

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】