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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173084
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】印刷装置及び印刷システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
B41J29/38 104
B41J29/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085076
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今泉 敦之
(72)【発明者】
【氏名】亀井 龍
(72)【発明者】
【氏名】吉江 信一
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AR01
2C061AS02
2C061HJ08
2C061HJ10
2C061HK11
2C061HN15
(57)【要約】
【課題】印刷装置に対して接続される配線数を抑制する。
【解決手段】情報の送信と電力の送信が可能な第1ケーブルが接続される第1接続部と、第1ケーブルから供給される情報に基づく画像を媒体に形成する印刷処理を、第1ケーブルから供給される電力を用いて実行する印刷部と、を備える、ことを特徴とする印刷装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報の送信と電力の送信が可能な第1ケーブルが接続される第1接続部と、
前記第1ケーブルから供給される情報に基づく画像を媒体に形成する印刷処理を、
前記第1ケーブルから供給される電力を用いて実行する印刷部と、
を備える、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記第1ケーブルから供給される電力により充電される蓄電部を備え、
前記印刷部は、
前記蓄電部から供給される電力を用いて前記印刷処理を実行する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第1ケーブルから供給される電力により充電される蓄電部と、
情報の送信と電力の送信が可能な第2ケーブルが接続される第2接続部と、
を備え、
前記印刷部は、
前記蓄電部から供給される電力を用いて前記印刷処理を実行し、
前記蓄電部は、
前記第2ケーブルを介して接続される外部機器に対して、前記第2ケーブルを介して電力を供給する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷部は、
前記印刷装置に対して前記第1ケーブル以外のケーブルが接続されていない状態で、前記印刷処理を実行可能である、
ことを特徴とする、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第1ケーブルから供給される電力により充電される蓄電部と、
情報の送信と電力の送信が可能な第2ケーブルが接続される第2接続部と、
を備え、
前記印刷部は、
前記媒体に対して、前記第1ケーブルから供給される情報に基づく画像を形成する画像形成部と、
前記第1ケーブルから供給される情報に基づき前記画像形成部を制御する制御部と、
を備え、
前記蓄電部は、
前記第2ケーブルを介して接続される外部機器に対して、前記第2ケーブルを介して電力を供給し、
前記制御部は、
前記第2ケーブルを介して前記外部機器を制御する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記第1ケーブルから供給される電力により充電される蓄電部と、
情報の送信と電力の送信が可能な第2ケーブルが接続される第2接続部と、
を備え、
前記印刷部は、
前記媒体に対して、前記第1ケーブルから供給される情報に基づく画像を形成する画像形成部と、
前記第1ケーブルから供給される情報に基づき前記画像形成部を制御する制御部と、
を備え、
前記蓄電部は、
前記第2ケーブルを介して接続される外部機器に対して、前記第2ケーブルを介して電力を供給し、
前記制御部は、
前記第2ケーブルを介して前記外部機器から取得した情報を前記第1ケーブルに出力する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記第1ケーブルから供給される電力により充電される蓄電部と、
情報の送信と電力の送信が可能な第2ケーブルが接続される第2接続部と、
を備え、
前記印刷部は、
前記媒体に対して、前記第1ケーブルから供給される情報に基づく画像を形成する画像形成部と、
前記第1ケーブルから供給される情報に基づき前記画像形成部を制御する制御部と、
を備え、
前記蓄電部は、
前記第2ケーブルを介して接続される外部機器に対して、前記第2ケーブルを介して電力を供給し、
前記制御部は、
前記蓄電部から前記外部機器に対して供給される電力量を前記外部機器に応じて調整する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記第1ケーブルは、イーサネットの規格に準拠したケーブルである、
ことを特徴とする、請求項1乃至7のうち何れか1項に記載の印刷装置。
【請求項9】
情報の送信と電力の送信が可能な第1ケーブルが接続される第1接続部、
情報の送信と電力の送信が可能な第2ケーブルが接続される第2接続部、及び、
前記第1ケーブルから供給される情報に基づく画像を媒体に形成する印刷処理を、
前記第1ケーブルから供給される電力を用いて実行する印刷部、
を具備する印刷装置と、
前記第2ケーブルを介して前記印刷装置に接続される外部機器と、
を備え、
前記印刷装置は、
前記第2ケーブルを介して前記外部機器に対して電力を供給する、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項10】
前記印刷装置は、
前記第1ケーブルから供給される電力により充電される蓄電部を備え、
前記印刷部は、
前記蓄電部から供給される電力を用いて前記印刷処理を実行する、
ことを特徴とする、請求項9に記載の印刷システム。
【請求項11】
前記印刷部は、
前記印刷装置に対して前記第1ケーブル以外のケーブルが接続されていない状態で、前記印刷処理を実行可能である、
ことを特徴とする、請求項9に記載の印刷システム。
【請求項12】
前記印刷装置は、
前記第1ケーブルから供給される電力により充電される蓄電部を備え、
前記印刷部は、
前記媒体に対して、前記第1ケーブルから供給される情報に基づく画像を形成する画像形成部と、
前記第1ケーブルから供給される情報に基づき前記画像形成部を制御する制御部と、
を備え、
前記蓄電部は、
前記第2ケーブルを介して前記外部機器に対して電力を供給し、
前記制御部は、
前記第2ケーブルを介して前記外部機器を制御する、
ことを特徴とする、請求項9に記載の印刷システム。
【請求項13】
前記印刷装置は、
前記第1ケーブルから供給される電力により充電される蓄電部を備え、
前記印刷部は、
前記媒体に対して前記第1ケーブルから供給される情報に基づく画像を形成する画像形成部と、
前記第1ケーブルから供給される情報に基づき前記画像形成部を制御する制御部と、
を備え、
前記蓄電部は、
前記第2ケーブルを介して前記外部機器に対して電力を供給し、
前記制御部は、
前記第2ケーブルを介して前記外部機器から取得した情報を前記第1ケーブルに出力する、
ことを特徴とする、請求項9に記載の印刷システム。
【請求項14】
前記印刷装置は、
前記第1ケーブルから供給される電力により充電される蓄電部を備え、
前記印刷部は、
前記媒体に対して、前記第1ケーブルから供給される情報に基づく画像を形成する画像形成部と、
前記第1ケーブルから供給される情報に基づき前記画像形成部を制御する制御部と、
を備え、
前記蓄電部は、
前記第2ケーブルを介して前記外部機器に対して電力を供給し、
前記制御部は、
前記蓄電部から前記外部機器に対して供給される電力量を前記外部機器に応じて調整する、
ことを特徴とする、請求項9に記載の印刷システム。
【請求項15】
前記第1ケーブルは、イーサネットの規格に準拠したケーブルである、
ことを特徴とする、請求項9乃至14のうち何れか1項に記載の印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及び印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
媒体に対して画像を形成する印刷装置が広く普及している。例えば、特許文献1には、商用交流電源等の外部電源から供給される電力を用いて、画像を媒体に形成する印刷処理を実行する印刷装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-163390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、印刷装置が外部電源からの電力の供給を受ける場合、印刷装置には、ホストコンピューター等の情報処理装置から印刷装置に情報を供給するための情報供給用の配線と、外部電源から印刷装置に電力を供給するための電力供給用の配線との、複数の配線を接続することが必要となり、印刷装置に対して接続される配線数が多くなるという問題が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明に係る印刷装置は、情報の送信と電力の送信が可能な第1ケーブルが接続される第1接続部と、前記第1ケーブルから供給される情報に基づく画像を媒体に形成する印刷処理を、前記第1ケーブルから供給される電力を用いて実行する印刷部と、を備える、ことを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る印刷システムは、情報の送信と電力の送信が可能な第1ケーブルが接続される第1接続部、情報の送信と電力の送信が可能な第2ケーブルが接続される第2接続部、及び、前記第1ケーブルから供給される情報に基づく画像を媒体に形成する印刷処理を、前記第1ケーブルから供給される電力を用いて実行する印刷部、を具備する印刷装置と、前記第2ケーブルを介して前記印刷装置に接続される外部機器と、を備え、前記印刷装置は、前記第2ケーブルを介して前記外部機器に対して電力を供給する、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る印刷システムSysの構成の一例を示すブロック図である。
図2】印刷装置1の構成の一例を示すブロック図である。
図3】電源ユニット5の構成の一例を示すブロック図である。
図4】印刷装置1の概略的な内部構造の一例を示す斜視図である。
図5】吐出部D[m]の構造の一例を説明するための断面図である。
図6】ヘッドユニット3の構成の一例を示すブロック図である。
図7】ヘッドユニット3に供給される信号の一例を説明するためのタイミングチャートである。
図8】個別指定信号Sd[m]の一例を説明するための説明図である。
図9】本発明の変形例1に係る印刷システムSys-Bの構成の一例を示すブロック図である。
図10】変形例1に係る印刷装置1Bの構成の一例を示すブロック図である。
図11】変形例1に係る電源ユニット5Bの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0009】
<<A.実施形態>>
本実施形態では、インクを吐出して記録用紙PPに画像を形成する印刷装置1を有する印刷システムSysを説明する。
【0010】
<<1.印刷システムの概要>>
以下、図1を参照しつつ、本実施形態に係る印刷システムSysの構成の一例について説明する。
【0011】
図1は、印刷システムSysの構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0012】
図1に示すように、印刷システムSysは、印刷装置1と、ホストコンピューター91と、印刷装置1及びホストコンピューター91を接続するスイッチングハブ92と、ホストコンピューター91及びスイッチングハブ92を接続するケーブルLNと、スイッチングハブ92及び印刷装置1を接続するケーブルLPと、を備える。
【0013】
ケーブルLPは、イーサネット(登録商標)に係るIEEE 802.3の規格に準拠した有線のLANケーブルである。本実施形態では、ケーブルLPが、IEEE 802.3af、IEEE 802.3at、または、IEEE 802.3bt等の、PoE規格に準拠した有線のLANケーブルである場合を想定する。ここで、LANとは、Local Area Networkの略称である。すなわち、ケーブルLPは、情報の送信と、電力の送信の両方が可能な、「第1ケーブル」の一例である。
【0014】
スイッチングハブ92は、PoE規格に準拠したスイッチングハブである。ここで、PoEとは、Power over Ethernetの略称である。本実施形態において、スイッチングハブ92は、ケーブルLPを介して印刷装置1に電力を供給する。
【0015】
ケーブルLNは、イーサーネットの規格に準拠した有線のLANケーブルである。なお、ケーブルLNは、PoE規格に準拠した有線のLANケーブルであってもよい。
【0016】
ホストコンピューター91は、例えば、パーソナルコンピューターまたはデジタルカメラ等であり、印刷装置1が形成すべき画像を示す画像データImgを記憶している。ホストコンピューター91は、印刷装置1と通信を行う。具体的には、ホストコンピューター91は、ケーブルLN、スイッチングハブ92、及び、ケーブルLPを介して、印刷装置1に対して画像データImg等の各種情報を送信する。また、ホストコンピューター91は、ケーブルLN、スイッチングハブ92、及び、ケーブルLPを介して、印刷装置1から各種情報を取得する。
【0017】
なお、本実施形態では、ホストコンピューター91及びスイッチングハブ92が、有線のLANケーブルであるケーブルLNにより接続される場合を例示して説明するが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。ホストコンピューター91及びスイッチングハブ92は、LAN以外の有線ネットワークにより接続されてもよいし、無線ネットワークにより接続されてもよい。また、ホストコンピューター91及びスイッチングハブ92の間には、スイッチングハブまたはルータ等の各種ネットワーク機器が介在してもよい。
【0018】
また、印刷システムSysは、1または複数の外部機器93と、1または複数の外部機器93と1対1に対応する1または複数のケーブルLBと、を備える。本実施形態では、一例として、印刷システムSysが、3個の外部機器93と、3本のケーブルLBと、を備える場合を想定する。具体的には、本実施形態では、印刷システムSysに設けられた3個の外部機器93が、ディスプレイ93-1、スキャナー93-2、及び、タブレット端末93-3である場合を、一例として想定する。また、本実施形態では、印刷装置1及びディスプレイ93-1を接続するケーブルLBを、ケーブルLB-1と称し、印刷装置1及びスキャナー93-2を接続するケーブルLBを、ケーブルLB-2と称し、印刷装置1及びタブレット端末93-3を接続するケーブルLBを、ケーブルLB-3と称する。
なお、ケーブルLBは、USB規格に準拠したケーブルである。ここで、USBとは、Universal Serial Busの略称である。すなわち、ケーブルLBは、情報の送信と、電力の供給の両方が可能な、「第2ケーブル」の一例である。本実施形態において、印刷装置1は、ケーブルLBを介して、外部機器93に電力を供給する。印刷装置1は、ケーブルLBを介して、外部機器93に対して各種情報を送信する。印刷装置1は、ケーブルLBを介して、外部機器93から各種情報を取得する。
【0019】
<<2.印刷装置の概要>>
以下、図2乃至図5を参照しつつ、本実施形態に係る印刷装置1の構成の一例について説明する。
【0020】
図2は、印刷装置1の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0021】
図2に示すように、印刷装置1は、ホストコンピューター91から供給される画像データImgに基づいて、記録用紙PPに対して画像を形成する印刷処理を実行する印刷処理実行部10と、印刷処理実行部10に電力を供給する電源ユニット5と、印刷装置1に対してケーブルLP及びケーブルLBを接続するための接続ユニット8と、を備える。このうち、印刷処理実行部10は、印刷装置1の各部を制御する制御ユニット2と、記録用紙PPに対してインクを吐出する吐出部Dが設けられたヘッドユニット3と、吐出部Dを駆動するための駆動信号Comを生成する駆動ユニット4と、ヘッドユニット3に対する記録用紙PPの相対位置を変化させるための搬送ユニット7と、を備える。
【0022】
なお、記録用紙PPは、「媒体」の一例であり、印刷処理実行部10は、「印刷部」の一例であり、制御ユニット2は、「制御部」の一例であり、ヘッドユニット3は、「画像形成部」の一例である。
【0023】
本実施形態では、印刷装置1が、1または複数のヘッドユニット3と、1または複数のヘッドユニット3と1対1に対応する1または複数の駆動ユニット4と、を備える場合を想定する。具体的には、本実施形態では、印刷装置1が、4個のヘッドユニット3と、4個のヘッドユニット3と1対1に対応する4個の駆動ユニット4と、を備える場合を想定する。但し、以下では、説明の便宜上、図2に示すように、4個のヘッドユニット3のうち一のヘッドユニット3と、4個の駆動ユニット4のうち一のヘッドユニット3に対応して設けられた一の駆動ユニット4と、に着目して説明する場合がある。
【0024】
制御ユニット2は、1または複数のCPUを含んで構成される。但し、制御ユニット2は、CPUの代わりに、または、CPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを備えるものでよい。ここで、CPUとは、Central Processing Unitの略称であり、FPGAとは、field-programmable gate arrayの略称である。また、制御ユニット2は、メモリーを含む。メモリーは、RAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリーと、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、または、PROM(Programmable ROM)等の不揮発性メモリーと、の一方または両方を含んで構成される。
【0025】
詳細は後述するが、制御ユニット2は、印刷信号SI、及び、波形指定信号dCom等の、印刷装置1の各部の動作を制御するための信号を生成する。
ここで、波形指定信号dComとは、駆動信号Comの波形を規定するデジタルの信号である。また、駆動信号Comとは、吐出部Dを駆動するためのアナログの信号である。駆動ユニット4は、DA変換回路を含み、波形指定信号dComにより規定される波形を有する駆動信号Comを生成する。また、印刷信号SIとは、吐出部Dの動作の種類を指定するデジタルの信号である。具体的には、印刷信号SIは、吐出部Dに対して駆動信号Comを供給するか否かを指定することで、吐出部Dの動作の種類を指定する信号である。
【0026】
ヘッドユニット3は、供給回路31と、記録ヘッド32と、を備える。
【0027】
記録ヘッド32は、M個の吐出部Dを備える。ここで、値Mは、「M≧1」を満たす自然数である。なお、以下では、記録ヘッド32に設けられたM個の吐出部Dのうち、m番目の吐出部Dを、吐出部D[m]と称する場合がある。ここで、変数mは、「1≦m≦M」を満たす自然数である。また、以下では、印刷装置1の構成要素または信号等が、M個の吐出部Dのうち、吐出部D[m]に対応する場合は、当該構成要素または信号等を表わすための符号に、添え字[m]を付すことがある。
【0028】
供給回路31は、印刷信号SIに基づいて、駆動信号Comを吐出部D[m]に供給するか否かを切り替える。なお、以下では、駆動信号Comのうち、吐出部D[m]に供給される駆動信号Comを、供給駆動信号Vin[m]と称する場合がある。
【0029】
上述のとおり、本実施形態において、印刷装置1は、印刷処理を実行する。印刷処理が実行される場合、制御ユニット2は、画像データImgに基づいて、印刷信号SI等のヘッドユニット3を制御するための信号を生成する。また、制御ユニット2は、印刷処理が実行される場合、波形指定信号dCom等の駆動ユニット4を制御するための信号を生成する。また、制御ユニット2は、印刷処理が実行される場合、搬送ユニット7を制御するための制御信号CtrHを生成する。これにより、制御ユニット2は、印刷処理において、ヘッドユニット3に対する記録用紙PPの相対位置を変化させるように搬送ユニット7を制御しつつ、吐出部D[m]からのインクの吐出の有無、インクの吐出量、及び、インクの吐出タイミング等を調整し、画像データImgに対応する画像が記録用紙PPに形成されるように、印刷装置1の各部を制御する。
【0030】
接続ユニット8は、ケーブルLPに接続されるイーサネット接続部81と、ケーブルLBに接続されるUSB接続部82と、を備える。
【0031】
イーサネット接続部81は、ケーブルLPから供給された信号を、電力PW0と、受信情報DPrとに分離する。そして、イーサネット接続部81は、電力PW0を、電源ユニット5に供給し、受信情報DPrを、制御ユニット2に供給する。ここで、電力PW0は、ケーブルLPから供給される電圧V0の電力である。ここで、電圧V0は、例えば、30Vである。また、受信情報DPrは、ケーブルLPから供給された情報であり、例えば、画像データImgを含む。
また、イーサネット接続部81には、制御ユニット2から送信情報DPsが供給される。そして、イーサネット接続部81は、送信情報DPsを、ケーブルLPに対して出力する。
なお、イーサネット接続部81は、「第1接続部」の一例である。
【0032】
本実施形態において、印刷処理実行部10は、ケーブルLPから供給される受信情報DPrに含まれる画像データImg等の情報を用いて、印刷処理を実行する。また、本実施形態において、印刷処理実行部10は、ケーブルLPから供給される電力PW0を用いて、印刷処理を実行する。すなわち、本実施形態において、印刷処理実行部10は、印刷装置1に対してケーブルLPが接続された状態であって、印刷装置1に対してケーブルLP以外のケーブルが接続されていない状態において、印刷処理を実行可能である。
【0033】
USB接続部82は、ケーブルLBから供給された受信情報DBrを、制御ユニット2に供給する。また、USB接続部82は、制御ユニット2から供給された送信情報DBsを、ケーブルLBに対して出力する。なお、詳細は供述するが、USB接続部82には、電源ユニット5から、電圧V3の電力PW3が供給される。USB接続部82は、電源ユニット5から供給された電力PW3を、ケーブルLBを介して外部機器93に供給する。
なお、USB接続部82は、「第2接続部」の一例である。
【0034】
なお、本実施形態において、制御ユニット2は、ケーブルLBを介して外部機器93に供給する送信情報DBsにより、外部機器93を制御してもよい。
また、本実施形態において、制御ユニット2は、ケーブルLBを介して外部機器93より取得した受信情報DBrを、ケーブルLPを介してホストコンピューター91に供給してもよい。
【0035】
電源ユニット5は、ケーブルLPから供給された電圧V0の電力PW0に基づいて、制御ユニット2に対して電圧V1の電力PW1を供給し、ヘッドユニット3、駆動ユニット4、及び、搬送ユニット7に対して電圧V2の電力PW2を供給し、USB接続部82に対して電圧V3の電力PW3を供給する。
【0036】
図3は、電源ユニット5の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0037】
図3に示すように、電源ユニット5は、変圧回路51と、充電回路52と、バッテリー53と、変圧回路54と、変圧回路55と、を備える。
【0038】
変圧回路51は、ケーブルLPからイーサネット接続部81を経由して供給された電力PW0の電圧V0を、電圧V3に変換し、電圧V3の電力PW3を出力する。ここで、電圧V3は、例えば、5Vである。
【0039】
充電回路52は、降圧回路51から出力される電圧V3の電力PW3を用いてバッテリー53を充電する。なお、充電回路52は、イーサネット接続部81から供給される電圧V0の電力PW0を用いてバッテリー53を充電してもよい。
【0040】
バッテリー53は、バッテリー53に充電された電力を用いて、電圧V3の電力PW3を出力する。変圧回路51またはバッテリー53から出力された電力PW3は、USB接続部82及びケーブルLBを経由して、外部機器93に供給される。そして、外部機器93は、電源ユニット5からケーブルLBを介して供給される電力PW3により駆動される。
【0041】
変圧回路54は、変圧回路51またはバッテリー53から供給された電力PW3の電圧V3を、電圧V1に変換し、電圧V1の電力PW1を出力する。ここで、電圧V1は、例えば、3.3Vである。変圧回路54から出力された電力PW1は、制御ユニット2に供給される。
【0042】
変圧回路55は、変圧回路51またはバッテリー53から供給された電力PW3の電圧V3を、電圧V2に変換し、電圧V2の電力PW2を出力する。ここで、電圧V2は、例えば、24Vである。変圧回路55から出力された電力PW2は、ヘッドユニット3、駆動ユニット4、及び、搬送ユニット7に供給される。すなわち、印刷処理実行部10は、電源ユニット5から供給される電力PW1及び電力PW2を用いて、印刷処理を実行する。
【0043】
なお、本実施形態において、バッテリー53を備える電源ユニット5は、「蓄電部」の一例である。
【0044】
また、本実施形態において、制御ユニット2は、外部機器93の種類に応じて、電源ユニット5からケーブルLBを介して外部機器93に供給される電力PW3の大きさを調整してもよい。そして、電源ユニット5は、外部機器93の種類に応じた大きさの電力PW3を、ケーブルLBを介して外部機器93に供給してもよい。
例えば、制御ユニット2は、外部機器93で必要な電力量に関する情報を、外部機器93からケーブルLB経由で取得し、当該取得した情報に基づいて、電力PW3の大きさに関する電力情報を生成してもよい。例えば、電力情報は、電圧V3を示す情報であってもよい。この場合、変圧回路51は、電力情報に応じて定められる電圧V3の電力PW3を出力してもよい。
【0045】
図4は、印刷装置1の概略的な内部構造の一例を示す斜視図である。
【0046】
図4に示すように、本実施形態では、印刷装置1がシリアルプリンターである場合を想定する。具体的には、印刷装置1は、印刷処理を実行する場合、X1方向に記録用紙PPを搬送しつつ、X1方向に交差するY1方向と、Y1方向の逆方向であるY2方向とに、ヘッドユニット3を往復動させながら、吐出部D[m]からインクを吐出させることで、記録用紙PP上に、画像データImgに応じたドットを形成する。
以下では、X1方向とその逆方向であるX2方向とを「X軸方向」と総称し、X軸方向に交差するY1方向とその逆方向であるY2方向とを「Y軸方向」と総称し、X軸方向及びY軸方向に交差するZ1方向とその逆方向であるZ2方向とを「Z軸方向」と総称する。本実施形態では、一例として、X軸方向、Y軸方向、及び、Z軸方向が、互いに直交する場合を想定して説明する。但し、本発明はこのような態様に限定されるものではない。X軸方向、Y軸方向、及び、Z軸方向は、互いに交差していればよい。なお、本実施形態において、Z1方向は、吐出部D[m]からインクが吐出される方向であることとする。
【0047】
図4に示すように、本実施形態に係る印刷装置1は、筐体100と、筐体100内をY軸方向に往復動可能であり、4個のヘッドユニット3を搭載するキャリッジ110と、を備える。
本実施形態では、図2に示すように、キャリッジ110が、シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラックの4色のインクと1対1に対応する、4個のインクカートリッジ120を格納している場合を想定する。また、本実施形態では、上述のとおり、印刷装置1が、4個のインクカートリッジ120と1対1に対応する、4個のヘッドユニット3を備える場合を想定する。各吐出部D[m]は、当該吐出部D[m]が設けられたヘッドユニット3に対応するインクカートリッジ120からインクの供給を受ける。これにより、各吐出部D[m]は、供給されたインクを内部に充填し、充填したインクをノズルNから吐出することができる。なお、インクカートリッジ120は、キャリッジ110の外部に設けられてもよい。
【0048】
また、上述のとおり、本実施形態に係る印刷装置1は、搬送ユニット7を備える。搬送ユニット7は、図4に示すように、キャリッジ110をY軸方向に往復動させるためのキャリッジ搬送機構71と、キャリッジ110をY軸方向に往復自在に支持するキャリッジガイド軸76と、記録用紙PPを搬送するための媒体搬送機構73と、キャリッジ110のZ1方向に設けられたプラテン75と、を具備する。このため、搬送ユニット7は、印刷処理が実行される場合に、キャリッジ搬送機構71により、ヘッドユニット3をキャリッジ110と共にキャリッジガイド軸76に沿ってY軸方向に往復動させ、媒体搬送機構73により、プラテン75上の記録用紙PPをX1方向に搬送することで、記録用紙PPのヘッドユニット3に対する相対位置を変化させ、記録用紙PPの全体に対するインクの着弾を可能とする。
【0049】
図5は、吐出部D[m]を含むように記録ヘッド32を切断した、記録ヘッド32の概略的な一部断面図である。
【0050】
図5に示すように、吐出部D[m]は、圧電素子PZ[m]と、内部にインクが充填されたキャビティCVと、キャビティCVに連通するノズルNと、振動板321と、を備える。吐出部D[m]は、圧電素子PZ[m]が供給駆動信号Vin[m]により駆動されることにより、キャビティCV内のインクをノズルNから吐出させる。キャビティCVは、キャビティプレート324と、ノズルNが形成されたノズルプレート323と、振動板321と、により区画される空間である。キャビティCVは、インク供給口326を介してリザーバ325と連通している。リザーバ325は、インク取入口327を介して、吐出部D[m]に対応するインクカートリッジ120と連通している。圧電素子PZ[m]は、上部電極Zu[m]と、下部電極Zd[m]と、上部電極Zu[m]及び下部電極Zd[m]の間に設けられた圧電体Zm[m]と、を有する。下部電極Zd[m]は、電位VBSに設定された給電線LDと電気的に接続される。そして、上部電極Zu[m]に供給駆動信号Vin[m]が供給されて、上部電極Zu[m]及び下部電極Zd[m]の間に電圧が印加されると、当該印加された電圧に応じて圧電素子PZ[m]がZ1方向またはZ2方向に変位し、その結果、圧電素子PZ[m]が振動する。振動板321には、下部電極Zd[m]が接合されている。このため、圧電素子PZ[m]が供給駆動信号Vin[m]により駆動されて振動すると、振動板321も振動する。そして、振動板321の振動によりキャビティCVの容積及びキャビティCV内の圧力が変化し、キャビティCV内に充填されたインクがノズルNより吐出される。
【0051】
<<3.ヘッドユニットの概要>>
以下、図6乃至図8を参照しつつ、ヘッドユニット3の概要について説明する。
【0052】
図6は、ヘッドユニット3の構成の一例を示すブロック図である。
【0053】
図6に示すように、ヘッドユニット3は、供給回路31と記録ヘッド32とを備える。また、ヘッドユニット3は、駆動ユニット4から駆動信号Comが供給される配線LCを備える。
【0054】
図6に示すように、供給回路31は、M個の吐出部D[1]~D[M]と1対1に対応するM個のスイッチWS[1]~WS[M]と、各スイッチの接続状態を指定する接続状態指定回路310と、を備える。
接続状態指定回路310は、制御ユニット2から供給される印刷信号SI、ラッチ信号LAT、及び、チェンジ信号CHの、少なくとも一部の信号に基づいて、スイッチWS[m]のオンオフを指定する接続状態指定信号QS[m]を生成する。
スイッチWS[m]は、接続状態指定信号QS[m]に基づいて、配線LCと、吐出部D[m]に設けられた圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]との、導通及び非導通を切り替える。本実施形態において、スイッチWS[m]は、接続状態指定信号QS[m]がハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフする。スイッチWS[m]がオンする場合、配線LCに供給される駆動信号Comが、供給駆動信号Vin[m]として、吐出部D[m]の上部電極Zu[m]に供給される。
【0055】
本実施形態において、印刷装置1が、印刷処理を実行する場合、印刷装置1の動作期間として、1または複数の単位期間TPが設定される。本実施形態に係る印刷装置1は、各単位期間TPにおいて、印刷処理のために各吐出部D[m]を駆動することができる。
【0056】
図7は、単位期間TPにおいてヘッドユニット3に供給される駆動信号Com等の各種信号を示すタイミングチャートである。
【0057】
図7に示すように、制御ユニット2は、パルスPLLを有するラッチ信号LATを出力する。これにより、制御ユニット2は、パルスPLLの立ち上がりから次のパルスPLLの立ち上がりまでの期間として単位期間TPを規定する。
また、制御ユニット2は、単位期間TPにおいて、パルスPLCを有するチェンジ信号CHを出力する。そして、制御ユニット2は、単位期間TPを、パルスPLLの立ち上がりからパルスPLCの立ち上がりまでの駆動期間TQ1と、パルスPLCの立ち上がりからパルスPLLの立ち上がりまでの駆動期間TQ2と、に区分する。
【0058】
図7に示すように、印刷信号SIは、M個の吐出部D[1]~D[M]と1対1に対応するM個の個別指定信号Sd[1]~Sd[M]を含む。個別指定信号Sd[m]は、印刷装置1が印刷処理を実行する場合に、各単位期間TPにおける吐出部D[m]の駆動の態様を指定する。制御ユニット2は、各単位期間TPに先立って、M個の個別指定信号Sd[1]~Sd[M]を含む印刷信号SIを、クロック信号CLに同期させて接続状態指定回路310に供給する。そして、接続状態指定回路310は、当該単位期間TPにおいて、個別指定信号Sd[m]に基づいて、接続状態指定信号QS[m]を生成する。
【0059】
なお、本実施形態では、印刷処理が実行される単位期間TPにおいて、吐出部D[m]が、インク量ξ1のインクからなる大ドットと、インク量ξ1よりも少ないインク量ξ2のインクからなる中ドットと、インク量ξ2よりも少ないインク量ξ3のインクからなる小ドットとのうち、何れかのドットを形成可能である場合を想定する。
【0060】
図8は、個別指定信号Sd[m]を説明するための説明図である。
【0061】
図8に示すように、本実施形態において、個別指定信号Sd[m]は、印刷処理が実行される単位期間TPにおいて、吐出部D[m]を大ドット形成吐出部DP-1として指定する値「1」と、吐出部D[m]を中ドット形成吐出部DP-2として指定する値「2」と、吐出部D[m]を小ドット形成吐出部DP-3として指定する値「3」と、吐出部D[m]をドット非形成吐出部DP-Nとして指定する値「4」との、4個の値のうち、何れか1個の値をとることができる。ここで、大ドット形成吐出部DP-1とは、単位期間TPにおいて、大ドットを形成する吐出部Dである。また、中ドット形成吐出部DP-2とは、単位期間TPにおいて、中ドットを形成する吐出部Dである。また、小ドット形成吐出部DP-3とは、単位期間TPにおいて、小ドットを形成する吐出部Dである。また、ドット非形成吐出部DP-Nとは、単位期間TPにおいて、ドットを形成しない吐出部Dである。
【0062】
説明を図7に戻す。
図7に示すように、本実施形態において、駆動信号Comは、駆動期間TQ1に設けられた波形PA1と、駆動期間TQ2に設けられた波形PA2と、を有する。
このうち、波形PA1は、基準電位Viniから、基準電位Viniよりも低電位の電位VLA1、及び、基準電位Viniよりも高電位の電位VHA1を経て、基準電位Viniに戻る波形である。波形PA1を有する供給駆動信号Vin[m]が吐出部D[m]に供給される場合に、吐出部D[m]から、インク量φ1に相当するインクが吐出されるように、波形PA1が定められる。
また、波形PA2は、基準電位Viniから、基準電位Viniよりも低電位の電位VLA2、及び、基準電位Viniよりも高電位の電位VHA2を経て、基準電位Viniに戻る波形である。波形PA2を有する供給駆動信号Vin[m]が吐出部D[m]に供給される場合に、吐出部D[m]から、インク量φ2に相当するインクが吐出されるように、波形PA2が定められる。
【0063】
なお、本実施形態では、インク量ξ1が、インク量φ1とインク量φ2との合計量に相当し、インク量ξ2が、インク量φ1に相当し、インク量ξ3が、インク量φ2に相当する場合を想定する。
【0064】
また、本実施形態では、一例として、吐出部D[m]に供給される供給駆動信号Vin[m]の電位が高電位の場合に、低電位の場合と比較して、吐出部D[m]の備えるキャビティCVの容積が小さくなる場合を想定する。このため、吐出部D[m]が波形PA1等を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動される場合、供給駆動信号Vin[m]の電位が低電位から高電位に変化することで、吐出部D[m]内のインクがノズルNから吐出される。
【0065】
図8に示すように、個別指定信号Sd[m]が、単位期間TPにおいて吐出部D[m]を大ドット形成吐出部DP-1として指定する値「1」を示す場合、接続状態指定回路310は、接続状態指定信号QS[m]を、駆動期間TQ1、及び、駆動期間TQ2においてハイレベルに設定する。この場合、スイッチWS[m]が、駆動期間TQ1、及び、駆動期間TQ2においてオンする。このため、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて、波形PA1、及び、波形PA2を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動され、大ドットに相当するインク量ξ1のインクを吐出する。
【0066】
また、個別指定信号Sd[m]が、単位期間TPにおいて吐出部D[m]を中ドット形成吐出部DP-2として指定する値「2」を示す場合、接続状態指定回路310は、接続状態指定信号QS[m]を、駆動期間TQ1においてハイレベルに設定し、この場合、スイッチWS[m]が、駆動期間TQ1においてオンする。このため、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて、波形PA1を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動され、中ドットに相当するインク量ξ2のインクを吐出する。
【0067】
また、個別指定信号Sd[m]が、単位期間TPにおいて吐出部D[m]を小ドット形成吐出部DP-3として指定する値「3」を示す場合、接続状態指定回路310は、接続状態指定信号QS[m]を、駆動期間TQ2においてハイレベルに設定する。この場合、スイッチWS[m]が、駆動期間TQ2においてオンする。このため、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて、波形PA2を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動され、小ドットに相当するインク量ξ3のインクを吐出する。
【0068】
また、個別指定信号Sd[m]が、単位期間TPにおいて吐出部D[m]をドット非形成吐出部DP-Nとして指定する値「4」を示す場合、接続状態指定回路310は、接続状態指定信号QS[m]を、単位期間TPに亘りローレベルに設定する。この場合、スイッチWS[m]が、単位期間TPに亘りオフする。このため、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて、供給駆動信号Vin[m]により駆動されず、インクを吐出しない。
【0069】
<<4.実施形態の結び>>
以上のように、本実施形態に係る印刷装置1は、情報の送信と電力の送信が可能なケーブルLPが接続されるイーサネット接続部81と、ケーブルLPから供給される画像データImgに基づく画像を記録用紙PPに形成する印刷処理を、ケーブルLPから供給される電力PW0を用いて実行する印刷処理実行部10と、を備える、ことを特徴とする。
【0070】
つまり、本実施形態によれば、印刷装置1に対して印刷処理の実行に必要な電力を供給するための電力供給用の配線と、印刷装置1に対して印刷処理の実行に必要な情報を供給するための情報供給用の配線とを、ケーブルLPに統合することができる。このため、本実施形態によれば、印刷装置1に対して電力供給用の配線及び情報供給用の配線の2つの配線が接続される態様と比較して、印刷装置1に接続する配線数を抑制することが可能となる。
【0071】
また、本実施形態に係る印刷装置1は、ケーブルLPから供給される電力PW0により充電される電源ユニット5を備え、印刷処理実行部10は、電源ユニット5から供給される電力PW1及び電力PW2を用いて印刷処理を実行する、ことを特徴としてもよい。
【0072】
よって、本実施形態によれば、印刷装置1からケーブルLPが抜去され、ケーブルLPを介した給電を受けることができない状態においても、印刷処理を実行することが可能となる。
【0073】
また、本実施形態に係る印刷装置1は、ケーブルLPから供給される電力PW0により充電される電源ユニット5と、情報の送信と電力の送信が可能なケーブルLBが接続されるUSB接続部82と、を備え、印刷処理実行部10は、電源ユニット5から供給される電力PW1及び電力PW2を用いて印刷処理を実行し、電源ユニット5は、ケーブルLBを介して接続される外部機器93に対して、ケーブルLBを介して電力PW3を供給する、ことを特徴としてもよい。
【0074】
よって、本実施形態によれば、ケーブルLBにより外部機器93に対する情報の送信及び電力の送信が可能となるため、外部機器93に対して電力供給用の配線及び情報供給用の配線の2つの配線を接続する態様と比較して、外部機器93に接続する配線数を抑制することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態に係る印刷装置1において、印刷処理実行部10は、印刷装置1に対してケーブルLP以外のケーブルが接続されていない状態で、印刷処理を実行可能である、ことを特徴としてもよい。
【0076】
よって、本実施形態によれば、印刷装置1に対して電力供給用の配線及び情報供給用の配線の2つの配線を接続する態様と比較して、印刷装置1に接続する配線数を抑制することが可能となる。
【0077】
また、本実施形態に係る印刷装置1は、ケーブルLPから供給される電力PW0により充電される電源ユニット5と、情報の送信と電力の送信が可能なケーブルLBが接続されるUSB接続部82と、を備え、印刷処理実行部10は、記録用紙PPに対して、ケーブルLPから供給される画像データImgに基づく画像を形成するヘッドユニット3と、ケーブルLPから供給される画像データImgに基づきヘッドユニット3を制御する制御ユニット2と、を備え、電源ユニット5は、ケーブルLBを介して接続される外部機器93に対して、ケーブルLBを介して電力PW3を供給し、制御ユニット2は、ケーブルLBを介して外部機器93を制御する、ことを特徴としてもよい。
【0078】
よって、本実施形態によれば、ケーブルLBにより外部機器93に対する情報の送信及び電力の送信が可能となるため、外部機器93に対して電力供給用の配線及び情報供給用の配線の2つの配線を接続する態様と比較して、外部機器93に接続する配線数を抑制することが可能となる。
【0079】
また、本実施形態に係る印刷装置1は、ケーブルLPから供給される電力PW0により充電される電源ユニット5と、情報の送信と電力の送信が可能なケーブルLBが接続されるUSB接続部82と、を備え、印刷処理実行部10は、記録用紙PPに対して、ケーブルLPから供給される画像データImgに基づく画像を形成するヘッドユニット3と、ケーブルLPから供給される画像データImgに基づきヘッドユニット3を制御する制御ユニット2と、を備え、電源ユニット5は、ケーブルLBを介して接続される外部機器93に対して、ケーブルLBを介して電力PW3を供給し、制御ユニット2は、ケーブルLBを介して外部機器93から取得した送信情報DBsを、送信情報DPsとしてケーブルLPに出力する、ことを特徴としてもよい。
【0080】
よって、本実施形態によれば、ケーブルLBにより外部機器93に対する情報の送信及び電力の送信が可能となるため、外部機器93に対して電力供給用の配線及び情報供給用の配線の2つの配線を接続する態様と比較して、外部機器93に接続する配線数を抑制することが可能となる。
【0081】
また、本実施形態に係る印刷装置1は、ケーブルLPから供給される電力PW0により充電される電源ユニット5と、情報の送信と電力の送信が可能なケーブルLBが接続されるUSB接続部82と、を備え、印刷処理実行部10は、記録用紙PPに対して、ケーブルLPから供給される画像データImgに基づく画像を形成するヘッドユニット3と、ケーブルLPから供給される画像データImgに基づきヘッドユニット3を制御する制御ユニット2と、を備え、電源ユニット5は、ケーブルLBを介して接続される外部機器93に対して、ケーブルLBを介して電力PW3を供給し、制御ユニット2は、電源ユニット5から外部機器93に対して供給される電力PW3の大きさを、外部機器93に応じて調整する、ことを特徴としてもよい。
【0082】
よって、本実施形態によれば、電源ユニット5は、ケーブルLBを介して、外部機器93の駆動に適切な電力量の電力PW3を供給することができる。
【0083】
また、本実施形態に係る印刷装置1において、ケーブルLPは、イーサネットの規格に準拠したケーブルである、ことを特徴としてもよい。
【0084】
すなわち、本実施形態によれば、ケーブルLPが、電力供給源から電力供給先までの距離が100メートル程度に制限されるイーサネット規格に準拠したケーブルであるため、スイッチングハブ92等の電力供給源から印刷装置1までの距離を、100メートル程度まで離間させることが可能となる。従って、ケーブルLPが、電力供給源から電力供給先までの距離が5メートル程度に制限されるUSB規格に準拠したケーブルである態様と比較して、印刷装置1の設置の自由度を向上させることができる。
【0085】
<<B.変形例>>
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。なお、以下に例示する変形例において作用や機能が実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0086】
<変形例1>
上述した実施形態では、印刷システムSysが外部機器93を備える態様を例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。印刷システムSysは、外部機器93を備えずに構成されてもよい。
【0087】
図9は、本変形例に係る印刷システムSys-Bの構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0088】
図9に示すように、印刷システムSys-Bは、印刷装置1の代わりに印刷装置1Bを備える点と、外部機器93及びケーブルLBを備えない点と、において、実施形態に係る印刷システムSysと相違する。
【0089】
図10は、印刷装置1Bの構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0090】
図10に示すように、印刷装置1Bは、電源ユニット5の代わりに電源ユニット5Bを備える点と、接続ユニット8の代わりに接続ユニット8Bを備える点と、において、実施形態に係る印刷装置1と相違する。このうち、接続ユニット8Bは、USB接続部82を備えない点において、実施形態に係る接続ユニット8と相違する。なお、本変形例では、印刷装置1Bは、接続ユニット8Bを備えるが、印刷装置1Bは、接続ユニット8を備えていてもよい。
【0091】
図11は、電源ユニット5Bの構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0092】
図11に示すように、電源ユニット5Bは、変圧回路56と、変圧回路57と、を備える。このうち、変圧回路56は、ケーブルLPからイーサネット接続部81を経由して供給された電力PW0の電圧V0を、電圧V1に変換し、電圧V1の電力PW1を出力する。変圧回路56から出力された電力PW1は、制御ユニット2に供給される。また、変圧回路57は、ケーブルLPからイーサネット接続部81を経由して供給された電力PW0の電圧V0を、電圧V2に変換し、電圧V2の電力PW2を出力する。変圧回路57から出力された電力PW2は、ヘッドユニット3と駆動ユニット4と搬送ユニット7に供給される。
【0093】
以上のように、本変形例においても、上述した実施形態と同様に、印刷装置1Bに対して印刷処理の実行に必要な電力を供給するための電力供給用の配線と、印刷装置1Bに対して印刷処理の実行に必要な情報を供給するための情報供給用の配線とを、ケーブルLPに統合することができる。よって、本変形例によれば、印刷装置1Bに対して、電力供給用の配線及び情報供給用の配線の2つの配線が接続される態様と比較して、印刷装置1Bに接続する配線数を抑制することが可能となる。
【0094】
<変形例2>
上述した実施形態及び変形例1では、印刷装置1が4個のヘッドユニット3を備える場合を想定したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。印刷装置1は、1個以上3個以下のヘッドユニット3を備えるものであってもよいし、また、印刷装置1は、5個以上のヘッドユニット3を備えるものであってもよい。
【0095】
<変形例3>
上述した実施形態並びに変形例1及び2では、印刷装置1がシリアルプリンターである場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。印刷装置1は、ヘッドユニット3において、複数のノズルNが、記録用紙PPの幅よりも広く延在するように設けられた、所謂ラインプリンターであってもよい。
【0096】
<変形例4>
上述した実施形態及び変形例1乃至3では、圧電素子PZ[m]を振動させてキャビティCV内部の圧力を変動させることで、キャビティCV内部のインクをノズルNから吐出させる、所謂、ピエゾ方式のインクジェットプリンターを例示して印刷装置1を説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、キャビティCV内部に設けられた発熱素子を加熱してキャビティCV内部に気泡を発生させキャビティCV内部の圧力を変動させることで、キャビティCV内部のインクをノズルNから吐出させる、所謂、サーマル方式のインクジェットプリンターを印刷装置1として採用してもよい。
【符号の説明】
【0097】
1…印刷装置、2…制御ユニット、3…ヘッドユニット、4…駆動ユニット、5…電源ユニット、7…搬送ユニット、8…接続ユニット、31…供給回路、32…記録ヘッド、51…変圧回路、52…充電回路、53…バッテリー、54…変圧回路、55…変圧回路、81…イーサネット接続部、82…USB接続部、91…ホストコンピューター、92…スイッチングハブ、93…外部機器、D…吐出部、LB…ケーブル、LN…ケーブル、LP…ケーブル、Sys…印刷システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11