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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173085
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】警告装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/005 20060101AFI20231130BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G08G1/005
G08G1/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085079
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】小池 博一
(72)【発明者】
【氏名】楠美 麻梨子
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 雄大
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 廉
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA21
5H181AA26
5H181LL01
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】歩行者の状況を考慮して危険性の判定を行うこと。
【解決手段】警告装置(100)は、歩行者(U)が観察された観察情報から歩行者(U)の進行方向を検出する検出部(165)と、進行方向を含む周辺画像を取得する取得部(164)と、観察情報に基づき周辺画像から歩行者の視野外領域(R1、R2)を特定する特定部(166)と、視野外領域(R1、R2)が歩行者(U)にとっての危険状態か否かを判定する判定部(167)と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行者が観察された観察情報から前記歩行者の進行方向を検出する検出部と、
前記進行方向を含む周辺画像を取得する取得部と、
前記観察情報に基づき前記周辺画像から前記歩行者の視野外領域を特定する特定部と、
前記視野外領域が前記歩行者にとっての危険状態か否かを判定する判定部と、
を備える警告装置。
【請求項2】
前記特定部は、前記観察情報から推定される前記歩行者の年齢に基づいて前記視野外領域を特定する
請求項1に記載の警告装置。
【請求項3】
前記特定部は、前記観察情報から前記歩行者の歩行の特徴をさらに特定し、
前記判定部は、前記歩行の特徴に基づいて前記危険状態か否かを判定する
請求項1又は2に記載の警告装置。
【請求項4】
コンピュータが、
歩行者が観察された観察情報から前記歩行者の進行方向を検出し、
前記進行方向を含む周辺画像を取得し、
前記観察情報に基づき前記周辺画像から前記歩行者の視野外領域を特定し、
前記視野外領域が前記歩行者にとっての危険状態か否かを判定する、
警告方法。
【請求項5】
歩行者が観察された観察情報から前記歩行者の進行方向を検出する検出処理と、
前記進行方向を含む周辺画像を取得する取得処理と、
前記観察情報に基づき前記周辺画像から前記歩行者の視野外領域を特定する特定処理と、
前記視野外領域が前記歩行者にとっての危険状態か否かを判定する判定処理と、
をコンピュータに実行させる警告プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、警告装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、歩行者に対して危険が迫っている場合に、歩行者に対して危険性を警告する技術が開発されつつある。例えば、特許文献1には、歩車間通信とAR(Augmented Reality)デバイスを利用することで、歩行者の安全確認を支援する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-190852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、歩行者へ危険性を警告したとしても、歩行者が危険性を認識している場合には警告の有効性が低いという問題点がある。例えば、過剰な通知をし続けてしまうと、警告の効果が却って下がってしまう可能性もある。
【0005】
本開示の目的は、上述した課題を鑑み、歩行者の状況を考慮して危険性の判定を行うことにより、警告の有効性を向上するための警告装置、方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる警告装置は、歩行者が観察された観察情報から前記歩行者の進行方向を検出する検出部と、前記進行方向を含む周辺画像を取得する取得部と、前記観察情報に基づき前記周辺画像から前記歩行者の視野外領域を特定する特定部と、前記視野外領域が前記歩行者にとっての危険状態か否かを判定する判定部と、を備える。
【0007】
本開示にかかる警告方法は、コンピュータが、歩行者が観察された観察情報から前記歩行者の進行方向を検出し、前記進行方向を含む周辺画像を取得し、前記観察情報に基づき前記周辺画像から前記歩行者の視野外領域を特定し、前記視野外領域が前記歩行者にとっての危険状態か否かを判定する。
【0008】
本開示にかかる警告プログラムは、歩行者が観察された観察情報から前記歩行者の進行方向を検出する検出処理と、前記進行方向を含む周辺画像を取得する取得処理と、前記観察情報に基づき前記周辺画像から前記歩行者の視野外領域を特定する特定処理と、前記視野外領域が前記歩行者にとっての危険状態か否かを判定する判定処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示により、歩行者の状況を考慮して危険性の判定を行うことにより、警告の有効性を向上するための警告装置、方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態1にかかる警告装置100が無人航空機である場合の歩行者への危険性の警告の概念を説明するための図である。
図2】本実施形態1にかかる警告装置100を含む無人航空機の構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態1にかかる警告処理の流れを示すフローチャートである。
図4】本実施形態2にかかる警告装置が自動走行案内装置である場合の歩行者への危険性の警告の概念を説明するための図である。
図5】本実施形態2にかかる警告装置を含む自動走行案内装置の構成を示すブロック図である。
図6】本実施形態3にかかる警告装置が路上警告装置である場合の歩行者への危険性の警告の概念を説明するための図である。
図7】本実施形態3にかかる警告装置を含む路上警告装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本開示の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略する。
【0012】
<実施形態1>
図1は、本実施形態1にかかる警告装置100が無人航空機である場合の歩行者Uへの危険性の警告の概念を説明するための図である。前提として、歩行者Uが歩行する路上には、スピーカ201~203が設置されているものとする。スピーカ201等は、例えば、警告装置100との間で近距離無線通信により警告信号を受信した場合、警告信号に応じたアラーム音を出力する。スピーカ201等は、警告を出力するための警告出力装置の一例である。警告出力装置は、ディスプレイ装置であってもよい。警告出力装置は、警告装置100との間で任意のプロトコルの無線通信により警告情報を受信した場合、警告情報に応じた出力を行う。また、本実施形態において警告出力装置は必須ではなく、警告装置100自体が警告出力装置つまり、スピーカやディスプレイ装置を同梱していてもよい。
【0013】
警告装置100は、歩行者Uの上空付近を飛行して、歩行者Uに対して案内や危険性を警告するための無人航空機、いわゆるドローンである。警告装置100は、遠隔操縦されるか、自動で飛行するものであってもよい。警告装置100は、一定範囲を飛行し、センサ等により歩行者U等の移動体を検出した場合、カメラ121により歩行者Uの顔付近および歩行者Uの全身を撮影する。警告装置100は、撮影した画像から歩行者Uの進行方向、視線Lの方向を検出する。ここで、進行方向とは、歩行者Uが進む方向を中心に左右に所定の角度の範囲を含む範囲である。なお、所定の角度とは例えば15度であるが、これに限定されない。また、警告装置100は、撮影した画像から歩行者Uの年齢を推定し、歩行者Uの歩行の特徴を特定してもよい。ここで、歩行の特徴とは、例えば、歩行者Uのつま先を上げる高さや歩幅等の歩容(歩行パターン)である。また、警告装置100は、検出した進行方向を含む周辺画像を、カメラ122により撮影する。警告装置100は、検出した視線Lや推定した年齢に基づき、周辺画像の中から、歩行者Uの視野外領域を特定する。ここで、視野外領域とは、視野領域R0の外側の範囲である。図1の例では、カメラ122の撮影範囲のうち、視野領域R0(有効視野)と視野外領域R1及びR2とが特定される。ここで、視野領域R0とは、歩行者Uが注視する視線L(注視点)の周りで情報を検出、弁別つまり識別、処理、貯蔵できる範囲である。そして、警告装置100は、特定した歩行の特徴に基づき、視野外領域が歩行者Uにとっての危険状態か否かを判定する。ここで、危険状態とは、歩行者Uの歩行を阻害する所定の高さ以上の物、例えば段差、又は、移動体が歩行者Uの進行方向に存在する状態である。または、危険状態とは、所定の大きさ以上かつ所定の深さ以上の穴が歩行者Uの進行方向に存在する状態である。なお、所定の高さは例えば1cm、所定の大きさは例えば5cm、所定の深さは例えば2cmであるが、これらに限定されない。図1の例では、視野外領域R2に段差obが存在するため、歩行者Uにとっての危険状態であると判定される。つまり、段差obは視野外領域R2に存在するため、歩行者Uが危険性を認識していない可能性が高い。そこで、警告装置100は、近距離無線通信の圏内であるスピーカ202に対して、近距離無線通信により警告信号を出力する。これに応じて、スピーカ202は、アラーム音を出力する。そのため、歩行者Uは、危険性を認識し易くなる、つまり、段差obの存在に気付き易くなり、注意して歩行するなど、危険を未然に防ぎ易くなる。
【0014】
図2は、本実施形態1にかかる警告装置100を含む無人航空機の構成を示すブロック図である。警告装置100は、飛行部110、カメラ121及び122、無線部130、記憶部140、メモリ150及び制御部160を備える。尚、警告装置100は、図示しない構成として歩行者U等の移動体の存在を検出するセンサや、上述した警告出力装置を備えていても良い。
【0015】
飛行部110は、制御部160の飛行制御部161からの指示に応じて、警告装置100の飛行を行う。飛行部110は、例えば、複数枚のブレード、つまり羽根と、ブレードを指示するハブその他部品を含むプロペラである。カメラ121及び122は、制御部160の撮影制御部162からの指示に応じて、所定の撮影範囲を撮影し、撮影された画像を撮影制御部162へ出力する。カメラ121及び122は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等である。カメラ121は、歩行者Uの顔を含む領域を撮影するために用いられる。また、カメラ122は、歩行者Uの周辺、少なくとも歩行者Uの進行方向を含む領域を撮影するために用いられる。尚、カメラ121等は、360度カメラを用いることにより1台で実現してもよい。
【0016】
ここで、カメラ121により撮影された画像は、観察情報の一例である。観察情報は、歩行者Uが所定の観察装置により観察されたことにより取得された情報である。観察装置とは、例えば、カメラ121や、歩行者Uが所持する携帯端末に搭載されたジャイロ等であり、観察情報は、撮影画像や進行方向等となる。また、観察装置は、警告装置100の外部に存在したものでもよい。その場合、観察装置は、例えば、近距離無線通信により警告装置100へ観察情報を出力する。
【0017】
無線部130は、所定の近距離無線通信や他のプロトコルによる無線通信のための信号の送受信を行うためのアンテナ等である。記憶部140は、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置である。記憶部140は、プログラム141を記憶する。プログラム141は、本実施形態にかかる警告処理を含む警告装置100の制御処理が実装されたコンピュータプログラムであり、警告プログラムの一例である。メモリ150は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶装置であり、制御部160の動作時に一時的に情報を保持するための記憶領域である。
【0018】
制御部160は、警告装置100の各構成を制御する制御装置である。制御部160は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、量子プロセッサ(量子コンピュータ制御チップ)等のプロセッサである。制御部160は、記憶部140からプログラム141をメモリ150へ読み込ませ、プログラム141を実行する。これにより、制御部160は、飛行制御部161、撮影制御部162、通信制御部163、取得部164、検出部165、特定部166、判定部167及び出力部168の機能を実現する。尚、飛行制御部161、撮影制御部162、通信制御部163及び出力部168の一部又は全ては、制御部160とは別のハードウェアにより実現されてもよい。別のハードウェアとは、例えば、半導体装置で実現される汎用又は専用の回路であってもよい。または、飛行制御部161、撮影制御部162、通信制御部163及び出力部168の一部又は全ての処理は、プログラム141とは別のプログラムに実装されてもよい。そのため、本実施形態にかかるプログラム141は、少なくとも取得部164、検出部165、特定部166及び判定部167の処理が実装されたものであればよい。
【0019】
飛行制御部161は、警告装置100の空中移動のために、飛行部110を制御する。撮影制御部162は、歩行者Uの観察情報としての撮影画像を取得するためにカメラ121による撮影を制御する。また、撮影制御部162は、歩行者Uの進行方向を含む周辺領域を撮影するように、カメラ122を制御する。通信制御部163は、歩行者Uの観察情報を外部から取得する場合や、警告情報を出力するための無線通信を行うために、無線部130を制御する。
【0020】
取得部164は、カメラ121及び122により撮影された画像を、撮影制御部162を介して取得する。具体的には、取得部164は、カメラ121により撮影された歩行者Uの顔を含む画像を観察情報として取得する。また、取得部164は、カメラ122により撮影された周辺画像を取得する。
【0021】
検出部165は、歩行者Uが観察された観察情報から歩行者Uの進行方向を検出する。例えば、検出部165は、取得部164が取得した歩行者Uの顔を含む連続した撮影画像つまり映像を解析して、画像内の歩行者Uの領域の変化の軌跡や歩行者Uの体の向きから歩行者Uの進行方向を検出するとよい。また、検出部165は、カメラ121の撮影画像を解析して歩行者Uの視線Lの方向を検出する。例えば、検出部165は、公知の視線解析技術(アイトラッキングなど)を適用して、カメラ121の撮影画像から検出した視線方向を左右反転して視線Lの方向を検出してもよい。また、検出部165は、カメラ121の撮影画像を解析して歩行者Uの年齢を推定する。例えば、検出部165は、公知の年齢推定技術(年齢推定を用いた顔認識AI(Artificial Intelligence)など)を適用して、撮影画像から歩行者Uの容姿や顔の特徴から年齢を推定してもよい。
【0022】
特定部166は、観察情報に基づき周辺画像から歩行者Uの視野外領域R1及びR2を特定する。具体的には、特定部166は、少なくとも、カメラ121とカメラ122の撮影画像から検出された視線Lの方向に基づき、視野外領域R1及びR2を特定する。例えば、特定部166は、撮影画像の中で、視線Lの方向が示す点を中心とした所定範囲を視野領域R0とし、撮影画像の中で、視野領域R0以外の領域を視野外領域R1及びR2として特定してもよい。
【0023】
さらに、特定部166は、撮影画像から推定された年齢に基づいて、視野外領域R1及びR2を特定するとよい。例えば、特定部166は、推定された年齢が幼年期又は老年期に属する場合、他の年代より視野領域R0を狭くし、視野外領域を広くするように視野外領域R1及びR2を特定してもよい。一般的に、幼年期又は老年期に属する場合は有効視野が狭く、また、老年期は加齢による視力低下により周辺視野が狭くなる傾向にあるためである。
【0024】
また、特定部166は、観察情報から歩行者Uの歩行の特徴を特定するとよい。具体的には、特定部166は、歩行者Uの撮影画像の解析結果を用いて、歩行者Uの歩容や杖等の使用の有無を歩行の特徴として特定する。例えば、特定部166は、連続した撮影画像、つまり映像の解析結果を用いて、歩行者Uがつま先を上げる高さ、歩幅等を歩容として特定する。また、例えば、特定部166は、撮影画像から歩行者Uの体形以外の形状を認識し、杖、車椅子、ベビーカ等の使用の有無を特定してもよい。
【0025】
判定部167は、視野外領域R1及びR2が歩行者Uにとっての危険状態か否かを判定する。具体的には、判定部167は、周辺画像のうち視野外領域R1及びR2を解析して、障害物の存在有無を判定する。障害物が存在する場合、判定部167は、歩行者Uにとっての危険状態と判定するとよい。さらに、判定部167は、推定された年齢に基づいて、危険状態か否かの判定基準を調整してもよい。例えば、判定部167は、推定された年齢が幼年期や老年期を示す場合、障害物の大きさの基準を他の年代より小さくするとよい。また、判定部167は、特定された歩行の特徴に基づいて、危険状態か否かを判定してもよい。つまり、判定部167は、特定された歩行の特徴に基づいて、判定基準を調整してもよい。例えば、判定部167は、特定された歩行の特徴が示すつま先を上げる高さや歩幅に基づいて、障害物とみなす段差の高さや穴の大きさや深さを調整してもよい。尚、障害物は、歩行者Uの歩行を阻害し得る物や移動体であればよい。例えば、判定部167は、連続した撮影画像、つまり映像を解析して、視野外領域R1及びR2における移動体の有無、進行方向、移動速度等を判定し、移動体及び歩行者Uの進行方向及び移動速度等に基づき、歩行者Uにとっての危険状態か否かを判定してもよい。つまり、歩行者Uにとっての危険状態は、固定された障害物に限らず、移動体の存在等を加味して判定されてもよい。
【0026】
出力部168は、視野外領域R1及びR2が歩行者Uにとっての危険状態と判定された場合、歩行者Uへの警告情報を出力する。例えば、出力部168は、近距離無線通信の圏内に存在するスピーカ202に対して、近距離無線通信により警告信号を出力する。
【0027】
図3は、本実施形態1にかかる警告処理の流れを示すフローチャートである。まず、取得部164は、歩行者Uの撮影画像を取得する(S101)。具体的には、まず、カメラ121は、撮影制御部162の指示に応じて歩行者Uの顔を含む領域を撮影し、カメラ122は周辺画像を撮影し、撮影画像を撮影制御部162へ出力する。そして、取得部164は、撮影制御部162から撮影画像を取得し、撮影画像を検出部165へ出力する。そして、取得部164は、連続して撮影画像を取得し、撮影映像として検出部165へ出力するものとする。
【0028】
次に、検出部165は、撮影映像を解析する(S102)。例えば、検出部165は、連続して撮影された撮影画像を時系列に沿って解析し、歩行者Uの領域の変化の軌跡や歩行者Uの体の向きを解析結果に含める。そして、検出部165は、撮影映像の解析結果から歩行者Uの進行方向を検出する(S103)。そして、撮影制御部162は、検出された進行方向を含めた撮影範囲を撮影するようにカメラ122を制御する。そして、カメラ122は、撮影制御部162の指示に応じて、進行方向を含む周辺領域を周辺画像として撮影し、周辺画像を撮影制御部162へ出力する。そして、取得部164は、撮影制御部162から周辺画像を取得する(S107)。これに応じて、取得部164は、周辺画像を特定部166へ出力する。尚、取得部164は、連続して周辺画像を取得し、周辺映像として特定部166へ出力してもよい。
【0029】
ステップS103と並行して、検出部165は、公知の視線解析技術を適用して、撮影映像のうち直近の撮影画像を解析し、解析結果から歩行者Uの視線Lを検出する(S104)。同様に、検出部165は、公知の年齢解析技術を適用して、撮影映像又は直近の撮影画像を解析し、解析結果から歩行者Uの年齢を推定する(S105)。
【0030】
ステップS107、S104及びS105の後、特定部166は、検出された視線Lの方向及び推定された年齢に基づき、周辺画像の中から歩行者Uの視野外領域R1及びR2を特定する(S108)。
【0031】
ステップS103と並行して、特定部166は、撮影映像の解析結果から歩行者Uの歩行の特徴を特定する(S106)。そして、ステップS108及びS106の後、判定部167は、歩行者Uの歩行の特徴に基づいて、視野外領域R1及びR2が歩行者Uにとっての危険状態か否かを判定する(S109)。
【0032】
視野外領域R1及びR2が歩行者Uにとっての危険状態と判定された場合、出力部168は、歩行者Uへの警告情報を出力する(S110)。例えば、出力部168は、近距離無線通信の圏内に存在するスピーカ202に対して、近距離無線通信により警告信号を出力する。これに応じて、スピーカ202は、受信した警告信号に応じたアラーム音を出力する。そのため、歩行者Uは、危険性を認識し易くなり、例えば、進行方向の段差obの存在に気付き易くなり、注意して歩行するなど、危険を未然に防ぎ易くなる。
【0033】
尚、出力部168は、近距離無線通信の圏内に存在するディスプレイ装置に対して、近距離無線通信により危険状態を示す画像又は映像を出力してもよい。例えば、出力部168は、段差obの周辺画像を、危険状態を示す画像として出力してもよい。これによっても、上記同様に、歩行者Uは、危険性を認識し易くなる。
【0034】
ここで、歩行者の視野外領域に物体や移動体が存在していたとしても、その歩行者にとっての危険性が低い場合に何度も警告を行うと、危険性の認識が薄れてしまうおそれがあり、警告の有効性が下がる。そこで、本実施形態では、歩行者の進行方向及び視線といった状況を考慮して危険性の判定を行うことにより、歩行者の進行方向かつ視野外領域に障害物等が存在する場合に警告を出力する。つまり、歩行者が進行方向の危険性を認識していない可能性が高い場合に警告を通知するため、警告の有効性を向上することができる。
【0035】
さらに、歩行者にとって障害物等か否かの判定基準は、歩行者の歩容、装具、持ち物等により異なる。そこで、歩行者の年齢を加味して視野外領域を調整することで、危険性の判定精度が向上する。また、歩行者の年齢を加味して上記判定基準を調整することでも、危険性の判定精度が向上する。また、歩行者の歩行の特徴を考慮して障害物等の判定基準や危険状態の判定基準を調整することで、危険性の判定精度がさらに向上する。
【0036】
<実施形態2>
本実施形態2は、上述した実施形態1の変形例である。図4は、本実施形態2にかかる警告装置100aが自動走行案内装置である場合の歩行者Uへの危険性の警告の概念を説明するための図である。警告装置100aは、屋外の路上、又は、店舗等の屋内の通路上を自動走行し、歩行者Uに対して案内や危険性を警告するための自動走行案内装置である。尚、歩行者Uは、店舗の来客であるか、店舗のスタッフ、清掃員、設備業者等であってもよい。自動走行案内装置は、例えば、自動走行するロボット、つまり移動体である。警告装置100aは、上述した警告装置100と比べて、表示部170及びスピーカ180を備える例を示す。表示部170は、例えば、ディスプレイ装置等である。但し、警告装置100aは、上述した警告装置100と同様に、外部のスピーカやディスプレイ装置へ警告情報を出力してもよい。
【0037】
図5は、本実施形態2にかかる警告装置100aを含む自動走行案内装置の構成を示すブロック図である。警告装置100aは、上述した図2と比べて、飛行部110、プログラム141、飛行制御部161、出力部168が、走行部110a、プログラム141a、走行制御部161a、出力部168aにそれぞれ置き変わったものである。また、警告装置100aは、上述した図2と比べて、表示部170及びスピーカ180が追加されたものである。他の構成は、上述した警告装置100と同等である。
【0038】
走行部110aは、走行制御部161aからの指示に応じて、警告装置100aの地上での走行を行う。走行部110aは、例えば、車輪やロボットの脚等である。プログラム141aは、上述したプログラム141から、本実施形態にかかる走行制御処理、出力制御処理等が変更されたコンピュータプログラムであり、警告プログラムの一例である。そのため、プログラム141aの他の処理は、上述したプログラム141と同様である。
【0039】
走行制御部161aは、警告装置100aの地上での走行のために走行部110aを制御する。出力部168aは、視野外領域R1及びR2が歩行者Uにとっての危険状態と判定された場合、表示部170及びスピーカ180の少なくともいずれか一方へ警告情報を出力する。図4の例では、出力部168aは、「前方の段差に注意!」というテキスト情報を警告情報として表示部170へ出力し、表示部170は、出力されたテキスト情報を画面に表示する。また、出力部168aは、警告信号をスピーカ180へ出力し、スピーカ180は、警告信号に応じたアラーム音を出力する。
【0040】
このように、本実施形態によっても上述した実施形態1と同様に、歩行者の状況を考慮して危険性の判定を行うことにより、警告の有効性を向上することができる。
【0041】
<実施形態3>
本実施形態3は、上述した実施形態1又は2の変形例である。図6は、本実施形態3にかかる警告装置100bが路上警告装置である場合の歩行者Uへの危険性の警告の概念を説明するための図である。警告装置100bは、屋外の路上、又は、店舗等の屋内の通路上に設置され、歩行者Uに対して案内や危険性を警告するための路上警告装置である。警告装置100bは、上述した警告装置100aと比べて、走行する機能を有さない。但し、警告装置100bは、上述した警告装置100と同様に、外部のスピーカやディスプレイ装置へ警告情報を出力してもよい。
【0042】
図7は、本実施形態3にかかる警告装置100bを含む路上警告装置の構成を示すブロック図である。警告装置100bは、上述した図5と比べて、プログラム141a、出力部168aが、プログラム141b、出力部168bにそれぞれ置き変わったものである。また、警告装置100bは、上述した図2の飛行部110及び飛行制御部161、又は、上述した図5の走行部110a及び走行制御部161aが削除されたものである。尚、出力部168bは、上述した図5の出力部168aと同等の機能を有する。他の構成は、上述した警告装置100aと同等である。
【0043】
プログラム141bは、上述したプログラム141aから、走行制御処理等が削除されたコンピュータプログラムであり、警告プログラムの一例である。そのため、プログラム141bの他の処理は、上述したプログラム141aと同様である。
【0044】
ここで、図6の例では、判定部167は、視野外領域R2に柵ob1及び穴ob2が存在するため、歩行者Uにとっての危険状態であると判定する。そして、出力部168bは、「前方の柵と穴に注意!」というテキスト情報を警告情報として表示部170へ出力し、表示部170は、出力されたテキスト情報を画面に表示する。また、出力部168bは、警告信号をスピーカ180へ出力し、スピーカ180は、警告信号に応じたアラーム音を出力する。
【0045】
このように、本実施形態によっても上述した実施形態1又は2と同様に、歩行者の状況を考慮して危険性の判定を行うことにより、警告の有効性を向上することができる。例えば、工事現場では、工事の進捗状況に応じて地形が頻繁に変化するため、障害物等の危険性の変動が大きい。そして、工事現場では、歩行者として作業者や工事とは無関係の一般の歩行者により、危険性の基準が異なる。そこで、工事現場付近に上述した各実施形態のいずれかにかかる警告装置100等を用いることで、歩行者の状況を考慮して危険性の判定を行うことにより、警告の有効性を向上することができる。
【0046】
以上、本発明を上記実施の形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【0047】
尚、上述の実施形態では、ハードウェアの構成として説明したが、これに限定されるものではない。本開示は、任意の処理を、CPUにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0048】
上述の例において、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【符号の説明】
【0049】
100、100a、100b 警告装置
110 飛行部
110a 走行部
121 カメラ
122 カメラ
130 無線部
140 記憶部
141、141a、141b プログラム
150 メモリ
160 制御部
161 飛行制御部
161a 走行制御部
162 撮影制御部
163 通信制御部
164 取得部
165 検出部
166 特定部
167 判定部
168、168a、168b 出力部
170 表示部
180 スピーカ
201~203 スピーカ
U 歩行者
L 視線
ob 段差
ob1 柵
ob2 穴
R0 視野領域
R1、R2 視野外領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7