(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173089
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
G08G1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085085
(22)【出願日】2022-05-25
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ANDROID
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】500168811
【氏名又は名称】株式会社ナビタイムジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】川島 航
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA14
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB13
5H181CC04
5H181CC17
5H181CC27
5H181EE10
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181FF35
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】ソフトメーターによるメーター表示に対して乗客が抱く不信感を低減できる情報処理システムを提供する。
【解決手段】情報処理システムは、車両の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記位置情報と地図情報に基づいて運賃を算出する運賃算出手段と、前記車両内の乗客用端末に前記運賃を表示する運賃表示手段と、前記位置情報の測位状況の良否を判定する測位状況判定手段と、前記測位状況判定手段により測位不良と判定された場合には、表示中の運賃の不確実性に関する情報を前記乗客用端末に表示する測位不良時情報表示手段と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報と地図情報に基づいて運賃を算出する運賃算出手段と、
前記車両内の乗客用端末に前記運賃を表示する運賃表示手段と、
前記位置情報の測位状況の良否を判定する測位状況判定手段と、
前記測位状況判定手段により測位不良と判定された場合には、表示中の運賃の不確実性に関する情報を前記乗客用端末に表示する測位不良時情報表示手段と、
を備えた情報処理システム。
【請求項2】
前記運賃表示手段は、前記測位状況判定手段により測位不良と判定された場合には、測位良好との判定に復帰するまで前記運賃の表示の更新を停止する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記運賃表示手段は、前記測位状況判定手段により測位不良と判定された場合には、前記地図情報および/または前記車両のカメラで撮影された道路の映像に基づいて予測料金を算出し、目安運賃として前記乗客用端末に表示する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記位置情報と地図情報および/または前記車両のカメラで撮影された道路の映像に基づいて、予め定められた測位不良エリアに車両が進入することを事前に検知し、表示中の運賃の不確実性に関する情報を前記乗客用端末に予告表示する予告表示手段をさらに備えた、請求項1~3のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記運賃表示手段は、前記測位状況判定手段により測位不良と判定された場合であっても、運賃加算中であることを示す情報を前記乗客用端末に表示する、請求項1~4のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記運賃表示手段は、前記予告表示手段により測位不良エリアに車両が進入することが事前に検知された場合であっても、運賃加算が継続されることを示す情報を前記乗客用端末に表示する、請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記位置情報と地図情報に基づいて車両の走行済みルートを特定し、前記乗客用端末に表示する走行済みルート表示手段をさらに備え、
前記測位状況判定手段により測位不良と判定されたのち、測位良好との判定に復帰した場合には、前記走行済みルート表示手段は、
測位不良と判定されていた区間の直前および直後の前記位置情報と地図情報に基づいて、測位不良と判定されていた区間の経路探索を行い、経路探索により得られた経路を、測位不良と判定されていた区間の走行済みルートとして前記乗客用端末に表示する、または、
測位不良と判定されていた区間の前記位置情報を地図情報から得られる近傍の道路上にマッチングさせるマップマッチングを行い、マップマッチングにより得られた経路を、測位不良と判定されていた区間の走行済みルートとして前記乗客用端末に表示する、請求項1~6のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項8】
コンピュータを、
車両の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報と地図情報に基づいて運賃を算出する運賃算出手段と、
前記車両内の乗客用端末に前記運賃を表示する運賃表示手段と、
前記位置情報の測位状況の良否を判定する測位状況判定手段と、
前記測位状況判定手段により測位不良と判定された場合には、表示中の運賃の不確実性に関する情報を前記乗客用端末に表示する測位不良時情報表示手段と、
として機能させる情報処理プログラム。
【請求項9】
通信可能に接続された複数のコンピュータによって構成される情報処理システムであって、
車両の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報と地図情報に基づいて運賃を算出する運賃算出手段と、
前記車両内の乗客用端末に前記運賃を表示する運賃表示手段と、
前記位置情報の測位状況の良否を判定する測位状況判定手段と、
前記測位状況判定手段により測位不良と判定された場合には、表示中の運賃の不確実性に関する情報を前記乗客用端末に表示する測位不良時情報表示手段と、
を備えた情報処理システムを機能させるために、
前記コンピュータの少なくとも1つを、前記手段の少なくとも1つとして機能させるための情報処理プログラム。
【請求項10】
通信可能に接続された複数のコンピュータによって、請求項1~7のいずれかに記載の情報処理システムを機能させるために、
前記コンピュータのうちの少なくとも1つを、請求項1~7のいずれかに記載の情報処理システムにおける各手段の少なくとも1つとして機能させるための情報処理プログラム。
【請求項11】
コンピュータを、請求項1~7のいずれかに記載の情報処理システムにおける各手段の少なくとも1つとして機能させるための情報処理プログラム。
【請求項12】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
車両の位置情報を取得するステップと、
前記位置情報と地図情報に基づいて運賃を算出するステップと、
前記車両内の乗客用端末に前記運賃を表示するステップと、
前記位置情報の測位状況の良否を判定するステップと、
前記測位状況の良否を判定するステップにおいて測位不良と判定された場合には、表示中の運賃の不確実性に関する情報を前記乗客用端末に表示するステップと、
を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、タクシーでは、車両に備え付けられたタクシーメーターが走行距離を計測して運賃を計算する。従来のタクシーメーターは、タイヤに取り付けられた回転尺を使用して距離の実測値を計測するものであり、計量法の対象となっているため、定期的な検査が義務付けられている。
【0003】
これに対し、現在、タクシーソフトメーターの導入が国土交通省により検討されている。タクシーソフトメーターは、従来のタクシーメーターとは異なり、GPSを利用して距離を計測して運賃を算出するものであり、汎用的なAndroid/iOS端末をタクシーメーターとして利用することも可能である。
【0004】
特許文献1には、GPSにより特定された車両の位置情報を用いて走行中にリアルタイムで運賃を計算する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、GPSを利用するソフトメーターでは、トンネル内、マルチパス地帯、高架下といった、GPSの苦手とする箇所にて車両の測位精度が悪くなることにより、走行中のメーター表示が不正確になってしまうという課題がある。特許文献1では、GPSが測位不良となる場合については何も記載されていない。
【0007】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたものである。本発明の目的は、ソフトメーターによるメーター表示に対して乗客が抱く不信感を低減できる情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る情報処理システムは、
車両の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報と地図情報に基づいて運賃を算出する運賃算出手段と、
前記車両内の乗客用端末に前記運賃を表示する運賃表示手段と、
前記位置情報の測位状況の良否を判定する測位状況判定手段と、
前記測位状況判定手段により測位不良と判定された場合には、表示中の運賃の不確実性に関する情報を前記乗客用端末に表示する測位不良時情報表示手段と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ソフトメーターによるメーター表示に対して乗客が抱く不信感を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施の形態に係る情報処理システムの概略的な構成を示す図である。
【
図2】
図2は、一実施の形態に係る情報処理システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、一実施の形態に係る情報処理システムの動作の一変形例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、一実施の形態に係る情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、一実施の形態に係る情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、一実施の形態に係る情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、一実施の形態に係る情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、一実施の形態に係る情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、一実施の形態に係る情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、同一符号の構成要素の詳しい説明は繰り返さない。
【0012】
以下に説明する実施の形態では、ソフトメーター端末3が備え付けられる「車両」としてタクシーを例に挙げて説明することがあるが、「車両」は、乗客を輸送する距離に応じて運賃が計算されるものであれば、タクシーに限られるものではなく、たとえば、福祉輸送車両(介護タクシー)であってもよいし、運転代行業者の伴走車であってもよい。「車両」は、自動運転車両であってもよい。また「車両」は、ライドシェアで利用される車両であってもよく、具体的には、たとえば、不特定多数の乗客が相乗りで利用する乗合タクシーであってもよい。
【0013】
(情報処理システムの構成)
図1は、一実施の形態に係る情報処理システム1の概略的な構成を示す図である。なお、同図において、各機能を行う機能部は、それぞれ各機能を行う手段ということができる。
【0014】
図1に示すように、情報処理システム1は、ソフトメーター端末3と、乗客用端末2とを備えている。ソフトメーター端末3と乗客用端末2とは、USBやBluetooth等のネットワーク4を介して互いに通信可能に接続されている。ネットワーク4は、有線回線と無線回線のいずれでもよく、回線の種類や形態は問わない。なお、ソフトメーター端末3および乗客用端末2の少なくとも一部は、コンピュータにより実現される。
【0015】
まず、乗客用端末2について説明する。乗客用端末2は、車両の乗客が使用または閲覧するものであり、たとえば、運転席や助手席のヘッドレストの後ろ側や天井に取り付けられる後部座席用のモニターであってもよいし、乗客が所持するスマートフォンやタブレット端末などのモバイル端末であってもよい。運転席付近で後部座席の位置から表示が確認できる位置に設置された端末であってもよい。
【0016】
図1に示すように、乗客用端末2は、通信部21と、表示部25とを有している。通信部21と表示部25とは、互いに通信可能に接続されている。
【0017】
通信部21は、乗客用端末2とネットワーク4との間の通信インターフェースである。通信部21は、ネットワーク4を介して乗客用端末2とソフトメーター端末3との間で情報を送受信する。
【0018】
表示部25は、乗客用端末2から乗客に対して各種情報を表示するインターフェースであり、たとえば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の映像表示手段である。
【0019】
次に、ソフトメーター端末3について説明する。ソフトメーター端末3は、GPSを利用して距離を計測して運賃を算出するものであり、たとえば、運転席横など法令や規則等で定められた位置に固定されて使用されるものであってもよい。ソフトメーター端末3として、スマートフォンやタブレット端末などの汎用的なAndroid/iOS端末を利用してもよい。
図1に示すように、ソフトメーター端末3は、通信部31と、制御部32と、記憶部33と、測位部34と、表示部35とを有している。各部31~35は、互いに通信可能に接続されている。
【0020】
このうち通信部31は、ソフトメーター端末3とネットワーク4との間の通信インターフェースである。通信部31は、ネットワーク4を介してソフトメーター端末3と乗客用端末2との間で情報を送受信する。
【0021】
表示部35は、ソフトメーター端末3から運転手および乗客に対して各種情報を表示するインターフェースであり、たとえば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の映像表示手段である。ソフトメーター端末3の表示部35に表示される情報と、乗客用端末2の表示部25に表示される情報とは、互いにミラーリングされるように構成されていてもよい。
【0022】
測位部34は、ソフトメーター端末3の現在位置の情報を取得するために後述する位置情報取得部32aにより用いられる測位手段である。測位部34は、たとえばGPSや準天頂衛星システム(QZSS)などの電波受信モジュールを含んでいる。測位部34は、加速度センサや地磁気センサなどをさらに含んでいてもよい。
【0023】
記憶部33は、たとえばフラッシュメモリやハードディスク等の不揮発性データストレージである。記憶部33には、制御部32が取り扱う各種データが記憶される。たとえば、記憶部33は、交通ネットワーク情報を含む経路ネットワーク情報データベース33aと、地図情報を含む地図情報データベース33bと、測位情報データベース33cとを含んでいる。
【0024】
交通ネットワーク情報は、鉄道やバス等の交通網や道路網を規定する情報である。交通網の情報としては、交通機関の路線情報、時刻表情報、料金情報等を含む。道路網の情報は、例えば交差点等の道路網表現上の結節点であるノードのデータと、ノード間の道路区間であるリンクのデータとの組み合わせによって表現される。
【0025】
地図情報は、全国および各地方の道路地図などの地図データと、地図データに対応付けられた地図オブジェクト情報を含む。地図オブジェクト情報とは、地図上に表示される施設の形状についての形状情報、地図上に表示される注記についての注記情報、地図上に表示される記号についての記号情報などである。また、地図情報は公共交通機関の路線図に関する路線図情報を含んでいてもよい。
【0026】
上記の交通ネットワーク情報および地図情報は、所定のタイミングでアップデートされてもよい。
【0027】
測位情報データベース33cには、後述する位置情報取得部32aにより取得された車両の位置情報が、時刻情報および測位の信頼度情報とともに記憶される。
【0028】
なお、記憶部33は、必ずしもソフトメーター端末3内に設けられていなくてもよく、記憶部33の一部または全部は、ネットワーク4を介してソフトメーター端末3と通信可能に接続された別の装置内に設けられていてもよい。
【0029】
図1に示すように、制御部32は、位置情報取得部32aと、運賃算出部32bと、運賃表示部32cと、測位状況判定部32dと、測位不良時情報表示部32eと、予告表示部32fと、走行済みルート表示部32gとを有している。これらの各部32a~32gは、ソフトメーター端末3内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよいし、ハードウェアで実装されてもよい。
【0030】
位置情報取得部32aは、測位部34における測位情報を利用してソフトメーター端末3の現在位置の情報を取得する。位置情報取得部32aは、たとえば、GPSや準天頂衛星システム(QZSS)などの電波航法手段による測位情報に基づいて現在位置を取得する。位置情報取得部32aは、加速度センサや地磁気センサなどの自律航法手段による測位情報をさらに測位に用いてもよい。ソフトメーター端末3は、車両とともに移動するものであるから、位置情報取得部32aにより取得された位置情報は、車両の現在位置を示すものである。位置情報取得部32aにより取得された車両の位置情報は、時刻情報および測位の信頼度情報とともに、測位情報データベース33cに記憶される。
【0031】
運賃算出部32bは、地図情報データベース33bおよび測位情報データベース33cを参照し、位置情報取得部32aにより取得された車両の位置情報と地図情報に基づいて、車両の走行距離を計測して運賃を算出する。
【0032】
運賃表示部32cは、運賃算出部32bにより算出された運賃を、表示部35を介して表示するとともに、当該運賃を表示するための制御信号を乗客用端末2へと送信し、乗客用端末2の表示部25を介して乗客に表示する(
図4参照)。
【0033】
測位状況判定部32dは、位置情報取得部32aにより取得された車両の位置情報について、測位状況の良否を判定する。たとえば、測位状況判定部32dは、GPSやQZSSなどの電波航法手段による測位情報の取得に失敗した場合や、測位情報の取得には成功したものの測位の信頼度情報が予め定められた基準に満たなかった場合には、測位不良であると判定し、測位の信頼度情報が基準を満たした場合には、測位良好であると判定してもよい。あるいは、たとえば、測位状況判定部32dは、車両の位置情報を地図情報から得られる近傍の道路上にマッチングさせるマップマッチングを行って、マップマッチングに失敗した場合には、測位不良であると判定し、マップマッチングに成功した場合には、測位良好であると判定してもよい。なお、「マップマッチング」のアルゴリズムとしては、たとえば、特許第3860474号および特許第4175646号に記載されているものを利用することができる。スマートフォンやタブレット端末などのモバイル端末においては、たとえば、株式会社ナビタイムジャパン製のナビゲーション開発キット「NaviSDK」を利用することで、「マップマッチング」の機能を容易に実現することが可能である。
【0034】
測位不良時情報表示部32eは、測位状況判定部32dにより測位不良と判定された場合には、表示中の運賃の不確実性(変動可能性)に関する情報を表示するための制御信号を乗客用端末2へと送信し、乗客用端末2の表示部25を介して乗客に表示する。表示中の運賃の不確実性(変動可能性)に関する情報の表示態様は、乗客の注意を引くことができるものであれば、特に限定されるものではなく、たとえば、運賃の表示をグレーアウトしてもよいし(
図5参照)、図形や数値、背景色の違いで情報の信頼性の程度を示してもよいし、料金が不確定である(変動可能である)旨を伝える文字列を表示してもよい(
図6参照)。測位不良時情報表示部32eは、測位状況判定部32dにより測位不良と判定された場合には、表示中の運賃の不確実性(変動可能性)に関する情報を、ソフトメーター端末3の表示部35に表示してもよい。
【0035】
運賃表示部32cは、測位状況判定部32dにより測位不良と判定された場合には、測位良好との判定に復帰するまで、乗客用端末2での運賃の表示の更新を停止してもよい(すなわち、運賃の表示が更新されなくなるようにしてもよい)。
【0036】
一変形例として、運賃表示部32cは、測位状況判定部32dにより測位不良と判定された場合には、地図情報および/または車両のカメラ(たとえばドライブレコーダー)で撮影された道路の映像に基づいて走行距離を計算して予測料金を算出し、算出された予測料金を目安運賃として乗客用端末2に表示してもよい。具体的には、たとえば、トンネル内に入ったことで測位不良となっている場合には、運賃表示部32cは、地図情報に基づいてトンネルの長さを特定し、当該トンネルの長さを走行距離として用いることで、トンネルから出るときまでにどれくらい運賃が上がるかを予測し、目安運賃として乗客用端末2に表示してもよい。
【0037】
運賃表示部32cは、測位状況判定部32dにより測位不良と判定された場合であっても、運賃加算中であることを示す情報を、乗客用端末2およびソフトメーター端末3の表示部35に表示してもよい。
【0038】
予告表示部32fは、地図情報データベース33bおよび測位情報データベース33cを参照し、車両の位置情報と地図情報および/または車両のカメラで撮影された道路の映像に基づいて、予め定められた測位不良エリア(たとえばトンネル内、マルチパス地帯、高架下など)に車両が進入することを事前に検知し、表示中の運賃の不確実性に関する情報を乗客用端末2に予告表示してもよい(
図7参照)。具体的には、たとえば、車両の位置情報を地図情報から得られる近傍の道路上にマッチングさせるマップマッチングを行って、マップマッチングにより得られた経路がトンネルへと続いている場合には、予告表示部32fは、もうすぐトンネル内に車両が進入すると判断し、表示中の運賃の不確実性に関する情報を乗客用端末2に予告表示してもよい。あるいは、たとえば、車両のカメラで撮影した道路の映像にトンネルまたはその道路標識が写った場合には、予告表示部32fは、もうすぐトンネル内に車両が進入すると判断し、表示中の運賃の不確実性に関する情報を乗客用端末2に予告表示してもよい。
【0039】
運賃表示部32cは、予告表示部32fにより測位不良エリアに車両が進入することが事前に検知された場合であっても、運賃加算が継続されることを示す情報を乗客用端末2およびソフトメーター端末3の表示部35に表示してもよい。
【0040】
走行済みルート表示部32gは、地図情報データベース33bおよび測位情報データベース33cを参照し、車両の位置情報と地図情報に基づいて車両の走行済みルートを特定し、当該走行済みルートを表示するための制御信号を乗客用端末2へと送信して、乗客用端末2の表示部25を介して乗客に表示する(
図8参照)。
【0041】
測位状況判定部32dにより測位不良と判定されたのち、測位良好との判定に復帰した場合には、走行済みルート表示部32gは、測位不良と判定されていた区間の直前および直後の車両の位置情報と地図情報に基づいて、測位不良と判定されていた区間の経路探索(たとえば最短経路や最適経路の探索)を行い、経路探索により得られた経路を、測位不良と判定されていた区間の走行済みルートとして乗客用端末2に表示してもよく、運賃表示部32cは、経路探索により得られた経路に基づいて算出された運賃50を乗客用端末2に表示してもよい(
図9参照)。
【0042】
一変形例として、測位状況判定部32dにより測位不良と判定されたのち、測位良好との判定に復帰した場合には、走行済みルート表示部32gは、測位不良と判定されていた区間の車両の位置情報を地図情報から得られる近傍の道路上にマッチングさせるマップマッチングを行い、マップマッチングにより得られた経路を、測位不良と判定されていた区間の走行済みルートとして乗客用端末2に表示してもよく、運賃表示部32cは、マップマッチングにより得られた経路に基づいて算出された運賃50を乗客用端末2に表示してもよい。
【0043】
(動作の一例)
次に、
図2を参照して、情報処理システム1の動作の一例について説明する。
図2は、情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0044】
図2に示すように、まず、車両が乗客を乗せて賃走を開始すると、ソフトメーター端末3の位置情報取得部32aが、測位部34における測位情報を利用して車両の現在位置情報を取得する(ステップS10)。たとえば、位置情報取得部32aは、GPSやQZSSなどの電波航法手段による測位情報に基づいて車両の現在位置情報を取得する。位置情報取得部32aは、加速度センサや地磁気センサなどの自律航法手段による測位情報をさらに測位に用いてもよい。位置情報取得部32aにより取得された車両の位置情報は、時刻情報および測位の信頼度情報とともに、測位情報データベース33cに記憶される。
【0045】
次に、測位状況判定部32dが、位置情報取得部32aにより取得された車両の位置情報について、測位状況の良否を判定する(ステップS11)。
【0046】
そして、測位状況判定部32dにより測位良好と判定された場合には(ステップS12:YES)、運賃算出部32bが、地図情報データベース33bおよび測位情報データベース33cを参照し、車両の位置情報と地図情報に基づいて、車両の走行距離を計測して運賃を算出する(ステップS13)。
【0047】
次いで、運賃表示部32cが、運賃算出部32bにより算出された運賃を、表示部35を介して表示するとともに、当該運賃を表示するための制御信号を乗客用端末2へと送信し、
図4に示すように、乗客用端末2の表示部25を介して乗客に運賃50を表示する(ステップS14)。
【0048】
他方、測位状況判定部32dにより測位不良と判定された場合には(ステップS12:NO)、測位不良時情報表示部32eが、表示中の運賃の不確実性(変動可能性)に関する情報を表示するための制御信号を乗客用端末2へと送信し、乗客用端末2の表示部25を介して乗客に表示する(ステップS16)。たとえば、表示中の運賃の不確実性(変動可能性)に関する情報を表示する一態様として、測位不良時情報表示部32eは、
図5に示すように、運賃50の表示をグレーアウトしてもよい。あるいは、たとえば、表示中の運賃の不確実性(変動可能性)に関する情報を表示する別の態様として、測位不良時情報表示部32eは、
図6に示すように、料金が不確定である(変動可能である)旨を伝える文字列52を表示してもよい。このように、測位状況が測位不良と判定される場合には、表示中の運賃の不確実性(変動可能性)に関する情報が乗客用端末2に表示されるため、乗客は、現在表示中の運賃が正確でない(変動する可能性がある)ことを知ることができる。これにより、その後に測位状況が回復することで表示中の運賃が急に大きく変化することがあったとしても、乗客は直前に表示されていた運賃が正確でないことを知っているため、あまり驚いたり不安に感じたりはしなくなる。したがって、ソフトメーターによるメーター表示に対して乗客が抱く不信感を低減することができる。
【0049】
次いで、運賃表示部32cは、測位良好との判定に復帰するまで(すなわちステップS12の分岐でYESの方向に進むまで)、乗客用端末2での運賃の表示の更新を停止する(すなわち、運賃の表示が更新されなくなる)(ステップS17)。乗客用端末2での運賃の表示が更新されなくなることで、測位状況が測位不良と判定された場合に、測位精度の悪い位置情報に基づいて運賃の表示を誤って変更してしまい、メーター表示に対して乗客に不信感を抱かせてしまうことを防止できる。
【0050】
一変形例として、
図3を参照し、ステップS17の代わりに、運賃表示部32cは、地図情報および/または車両のカメラで撮影された道路の映像に基づいて走行距離を計算して予測料金を算出し、
図6に示すように、算出された予測料金51を目安運賃として乗客用端末2に表示してもよい(ステップS19)。
【0051】
次に、運賃表示部32cは、運賃加算中であることを示す情報を乗客用端末2およびソフトメーター端末3の表示部35に表示する(ステップS18)。これにより、乗客は、乗客用端末2での運賃の表示の更新が停止している(または目安運賃が表示されていて本来の運賃は表示されていない)場合であっても、運賃が加算され続けていること知ることができ、乗客用端末2での運賃の表示の更新が停止している(または運賃が表示されていない)ことに伴って、運賃の加算までも停止しているのではないかとの誤解が生じることを防止できる。その後、制御部32の処理は、ステップS10まで戻る。
【0052】
ステップS14において、運賃表示部32cが、運賃算出部32bにより算出された運賃を、乗客用端末2およびソフトメーター端末3の表示部35に表示したのち、予告表示部32fが、地図情報データベース33bおよび測位情報データベース33cを参照し、車両の位置情報と地図情報および/または車両のカメラで撮影された道路の映像に基づいて、予め定められた測位不良エリア(たとえばトンネルなど)に車両が進入することを事前に検知する。そして、予告表示部32fは、
図7に示すように、表示中の運賃の不確実性に関する情報53を乗客用端末2に予告表示する(ステップS15)。これにより、乗客は、表示中の運賃がもうすぐ正確でなくなる(変動する可能性が生じる)ことを事前に知ることが可能となる。
【0053】
運賃表示部32cは、予告表示部32fにより測位不良エリアに車両が進入することが事前に検知された場合であっても、
図7に示すように、運賃加算が継続されることを示す情報54を乗客用端末2に表示してもよい。これにより、乗客は、乗客用端末2での運賃の表示の更新が停止する場合であっても、運賃は加算され続けること知ることができ、乗客用端末2での運賃の表示の更新が停止することに伴って、運賃の加算までも停止するのではないかとの誤解が生じることを防止できる。
【0054】
次に、走行済みルート表示部32gが、地図情報データベース33bおよび測位情報データベース33cを参照し、車両の位置情報と地図情報に基づいて車両の走行済みルートを特定する。そして、走行済みルート表示部32gは、当該走行済みルートを表示するための制御信号を乗客用端末2へと送信して、
図8に示すように、乗客用端末2の表示部25を介して走行済みルート55を地図上に表示する(ステップS21)。
【0055】
測位状況判定部32dにより測位不良と判定されたのち、測位良好との判定に復帰した場合(すなわち、ステップS10→S11→S12→S16→S17→S18→S11のループを1または複数回繰り返したあとで、はじめてステップS10→S11→S12→S13→S14→S15→S21→S22という順序で進んだ場合)には、走行済みルート表示部32gは、
図8を参照し、測位不良と判定されていた区間56の直前および直後の車両の位置情報と地図情報に基づいて、測位不良と判定されていた区間の経路探索(たとえば最短経路や最適経路の探索)を行い、
図9に示すように、経路探索により得られた経路57を、測位不良と判定されていた区間の走行済みルートとして乗客用端末2に表示する(ステップS22)。
【0056】
ステップS22の一変形例として、走行済みルート表示部32gは、
図8を参照し、測位不良と判定されていた区間56の車両の位置情報を地図情報から得られる近傍の道路上にマッチングさせるマップマッチングを行い、
図9に示すように、マップマッチングにより得られた経路57を、測位不良と判定されていた区間の走行済みルートとして乗客用端末2に表示してもよい。
【0057】
仮に走行済みルートの一部が欠けた状態で乗客用端末2に表示される場合には、乗客に不安を感じさせてしまう可能性がある。これに対し、測位不良と判定されていた区間56についても経路探索やマップマッチングにより走行済みルートが補完されて表示されることで、乗客に不安を感じさせてしまうことを防止できる。
【0058】
測位状況判定部32dにより測位不良と判定されたのち、測位良好との判定に復帰した場合には、走行済みルート表示部32gが、経路探索やマップマッチングにより補完された走行済みルートを乗客用端末2を介して乗客に表示する(ステップS22)とともに、運賃表示部32cが、当該補完された走行済みルートに基づいて算出された運賃50を乗客用端末2を介して乗客に表示してもよい。
【0059】
その後、ソフトメーター端末3の制御部32は、車両が目的地に到着したか否かを判定し、目的地に到着した場合には、処理を終了する。他方、車両が目的地に到着していない場合には、制御部32の処理は、ステップS10まで戻る。
【0060】
以上のような実施の形態によれば、車両の位置情報について測位不良と判定される場合には、表示中の運賃の不確実性(変動可能性)に関する情報が乗客用端末2に表示されるため、乗客は、現在表示中の運賃が正確でない(変動する可能性がある)ことを知ることができる。これにより、その後に測位状況が回復することで表示中の運賃が急に大きく変化することがあったとしても、乗客は直前に表示されていた運賃が正確でないことを知っているため、あまり驚いたり不安に感じたりはしなくなる。したがって、ソフトメーターによるメーター表示に対して乗客が抱く不信感を低減することができる。
【0061】
なお、上述した実施形態で説明した情報処理システム1の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ハードウェアで構成する場合には、情報処理システム1の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD-ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0062】
また、情報処理システム1の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0063】
さらに、一つまたは複数の情報処理装置によって情報処理システム1を機能させてもよい。複数の情報処理装置を用いる場合、情報処理装置のうちの1つをコンピュータとし、当該コンピュータが所定のプログラムを実行することにより情報処理システム1の少なくとも1つの手段として機能が実現されてもよい。
【0064】
また、方法の発明においては、全ての工程(ステップ)をコンピュータによって自動制御で実現するようにしてもよい。また、各工程をコンピュータに実施させながら、工程間の進行制御を人の手によって実施するようにしてもよい。また、さらには、全工程のうちの少なくとも一部を人の手によって実施するようにしてもよい。
【0065】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や様々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 情報処理システム
2 乗客用端末
3 ソフトメーター端末
31 通信部
32 制御部
32a 位置情報取得部
32b 運賃算出部
32c 運賃表示部
32d 測位状況判定部
32e 測位不良時情報表示部
32f 予告表示部
32g 走行済みルート表示部
33 記憶部
33a 経路ネットワーク情報データベース
33b 地図情報データベース
34 測位部
4 ネットワーク