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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173095
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/40 20200101AFI20231130BHJP
   D06F 39/02 20060101ALI20231130BHJP
   D06F 33/37 20200101ALI20231130BHJP
   D06F 34/08 20200101ALI20231130BHJP
   D06F 37/12 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
D06F33/40
D06F39/02 C
D06F33/37
D06F34/08
D06F37/12 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085094
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】池永 貴一
(72)【発明者】
【氏名】上田 達朗
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 博紀
【テーマコード(参考)】
3B165
3B166
3B167
【Fターム(参考)】
3B165AA11
3B165AA15
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3B167LA23
3B167LC12
3B167LD20
3B167LE05
3B167LF06
(57)【要約】
【課題】洗濯兼脱水槽を回転させたときの遠心力で仕上剤を自動投入する洗濯機において、仕上剤の投入有無を判定可能な洗濯機を提供する。
【解決手段】筐体と、筐体内部に設けられた外槽と、外槽内部に回転自在に支持された洗濯兼脱水槽と、洗濯兼脱水槽上部に配置されたバランスリングと、バランスリングに取り付けられた仕上剤投入装置と、洗濯兼脱水槽を回転駆動させる駆動機構と、洗濯兼脱水槽の回転速度を検知する回転速度検知手段と、駆動機構を制御する制御装置と、を有し、制御部は、回転速度検知手段の検知情報をもとに、洗濯兼脱水槽の回転速度が仕上剤を投入可能な回転数に到達したことを判定する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内部に設けられた水槽と、
前記水槽内部に回転自在に支持された内槽と、
前記内槽上部に配置されたバランスリングと、
前記バランスリングに設けられ、前記内槽に仕上剤を投入する仕上剤投入装置と、
前記内槽を回転駆動する駆動部と、
前記内槽の回転速度を検知する回転速度検知手段と、
前記駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記回転速度検知手段の検知情報をもとに、前記内槽の回転速度が前記仕上剤を投入可能な回転速度に到達したことを判定することを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記仕上剤投入装置は、洗濯前に前記仕上剤を投入する第1の仕上剤室と、前記内槽が回転したときの遠心力で前記第1の仕上剤室から移動した仕上剤を保持するための第2の仕上剤室と、を有することを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記制御部は、前記内槽の回転速度が前記仕上剤を投入可能な回転速度に到達した回数をもとに、前記仕上剤の投入有無を判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記制御部は、前記仕上剤の投入有無の判定が投入無しの場合、前記仕上剤の再投入動作を実行することを特徴とする請求項3に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯兼脱水槽を有し、洗濯兼脱水槽を回転させたときの遠心力で仕上剤を自動投入する洗濯機が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-136796号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
仕上剤を遠心力で投入する仕上剤投入装置を備えた洗濯機において、仕上剤を投入するためには、洗濯兼脱水槽(内槽)を、仕上剤を投入するために必要な遠心力が得られる回転速度まで回転させる必要がある。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の洗濯機では、洗濯兼脱水槽に投入された衣類の偏りや、洗剤の過剰供給による泡の異常発生等によって、洗濯兼脱水槽を、仕上剤を投入するために必要な遠心力が得られる回転速度まで加速できず、仕上剤を投入しないまま洗濯動作が終了してしまい、使用者が仕上剤の投入有無に気づかない課題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、仕上剤の投入状況を判定可能な洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、筐体と、前記筐体内部に設けられた水槽と、前記水槽内部に回転自在に支持された内槽と、前記内槽上部に配置されたバランスリングと、前記バランスリングに設けられ、前記内槽に仕上剤を投入する仕上剤投入装置と、前記内槽を回転駆動する駆動部と、前記内槽の回転速度を検知する回転速度検知手段と、前記駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記回転速度検知手段の検知情報をもとに、前記内槽の回転速度が前記仕上剤を投入可能な回転速度に到達したことを判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、仕上剤の投入状況を判定可能な洗濯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る洗濯機の斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る洗濯機の縦断面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る仕上剤投入装置の部分拡大図である。
図4】洗濯兼脱水槽停止中の図3のA-A断面図である。
図5】洗濯兼脱水槽回転中の図3のA-A断面図である。
図6】洗濯兼脱水槽回転中の図3のB-B断面図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る洗濯機の洗濯動作の工程ブロック図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る洗濯機の仕上剤投入判定の動作フロー図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る洗濯機の仕上剤投入判定の動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る洗濯機の斜視図を示す。図2は、本発明の第1実施形態に係る洗濯機の縦断面図を示している。
図1に示すように、洗濯機1は、外郭を構成する筐体11を備え、筐体11の上部にトップカバー12、筐体11の下部にベース13(図2参照)が設けられている。
【0011】
トップカバー12は、洗濯物を投入する投入口12aを覆うように外蓋12bが設けられている。また、トップカバー12の前側には、電源スイッチや洗濯コース選択スイッチ、スタートボタンなどの操作スイッチ(図示しない)、選択したコースや残時間などを表示する表示器(図示しない)を備えた操作・表示パネル21が設けられている。
【0012】
また、投入口12aの下方には、洗濯物が投入される洗濯兼脱水槽15(内槽)が設けられている。洗濯兼脱水槽15の上部には、バランスリング16が設けられている。バランスリング16には、仕上剤投入装置160が設けられている。バランスリング16の上部には、仕上剤(柔軟剤)を投入する仕上剤投入口16b(図3参照)が設けられている。仕上剤投入口16bの上面には、仕上剤投入口カバー16cが取り付けられている。
【0013】
図2に示すように、筐体11には、筐体11の上部の四隅より、圧縮バネ27aを備えた吊棒27を介して外槽14(水槽)が支持されている(図2では一部のみ図示)。外槽14の内部には、洗濯物50を入れて洗濯、脱水を行なう円筒状の洗濯兼脱水槽15を備える。洗濯兼脱水槽15は、その外周壁に通水および通風のための多数の貫通孔15a(一部のみ図示)と、その底壁に通水および通風のための複数の貫通孔(図示せず)を有している。
【0014】
洗濯兼脱水槽15の上縁部には、流体バランサ16aを内蔵したバランスリング16が設けられている。また、洗濯兼脱水槽15の底部の内側には、攪拌翼17が回転自在に支持されている。流体バランサ16aは、バランスリング16の内部に同心に設けた複数の層に流体を閉じ込めた構造であり、洗濯兼脱水槽15と一体に回転することで、洗濯物50のアンバランスによる洗濯兼脱水槽15の振動を低減する構成である。
【0015】
また、洗濯兼脱水槽15の内壁には、シャワーケース15bが設けられている。攪拌翼17が回転することで、攪拌翼17の裏面に設けられた羽根により洗濯水が押されて、シャワーケース15b内の水路を通って、洗濯水がシャワーケース15bの上端に設けられた吐出口15cから洗濯兼脱水槽15内に戻される。
【0016】
外槽14の底部の外側には、回転軸が概ね垂直方向を向いたクラッチ機構18が設けられている。このクラッチ機構18を制御することで洗濯兼脱水槽15と攪拌翼17の駆動形態を変更することが可能となっている。駆動形態は、洗濯兼脱水槽15を回転しないように固定した状態で攪拌翼17を駆動させる第1の駆動形態と、洗濯兼脱水槽15を回転自在にした状態で攪拌翼17を駆動させる第2の駆動形態と、洗濯兼脱水槽15と攪拌翼17とを一体として同一方向に回転させる第3の駆動形態(脱水モード)の3つがある。また、クラッチ機構18は、従動プーリー18aを備え、伝達ベルト20を介して、駆動機構19に備えられた駆動プーリー19aと連結している。駆動機構19には、回転速度を測定するためにホールセンサなどによる回転速度検知手段19bが備えられている。
【0017】
また、操作・表示パネル21は、トップカバー12の後側に設けた制御装置30に電気的に接続され、制御装置30は制御部(図示しない)を備えている。また、トップカバー12の後側には給水ホースを接続するための給水口12cが設けられている。水道水を外槽14内に供給する際には、給水電磁弁25を開くことで、水道水は、給水口12cから、給水電磁弁25と接続した給水管24を経由して、外槽14の内部に供給される。また、外槽14の底面には、排水弁26を介して排水管28が接続されており、外槽14内の洗濯水を排水できるようになっている。
【0018】
図3は、本発明の第1実施形態に係る仕上剤投入装置の部分拡大図である。なお、図3は、バランスリングの上面側から見た状態である。
図3に示すように、バランスリング16には、仕上剤投入装置160が取り付けられている。仕上剤投入装置160は、仕上剤40を保持するための仕上剤室161と、仕上剤室161から移動した仕上剤40を外槽14内に投入するための仕上剤投入室162と、を備えている。第1実施形態においては、仕上剤室161を2室設け、その一方は洗濯前に投入された仕上剤40(図4参照)を保持する第1の仕上剤室161aであり、他方は第1の仕上剤室161aから移動した仕上剤40(図5参照)を保持する第2の仕上剤室161bである。なお、仕上剤室161は、少なくとも1つ以上備えていればよい。
【0019】
第1の仕上剤室161aは、洗濯前に仕上剤40が投入される仕上剤投入口16bを備えている。この仕上剤投入口16bは、バランスリング16の上面に形成されている。なお、図3では、仕上剤投入口16bを塞ぐ仕上剤投入口カバー16cの図示を省略している。
【0020】
第2の仕上剤室161bは、バランスリング16がW方向(洗濯兼脱水槽15の脱水時の回転方向)に回転したときに仕上剤40が第1の仕上剤室161aから移動する空間を有している。また、第2の仕上剤室161bは、洗濯兼脱水槽15が回転中に仕上剤40を保持する仕上剤中間保持室161cと、洗濯兼脱水槽15の回転が停止したときに移動して仕上剤40を保持する仕上剤保持室161dと、を有している。
【0021】
仕上剤中間保持室161cは、第1の仕上剤室161aの外周側に位置している。また、仕上剤中間保持室161cは、洗濯兼脱水槽15の回転中に仕上剤40を保持する壁面161c1と、W方向の進行方向側に位置する壁面161c3、W方向の進行方向とは反対側に位置する壁面161c2とを有し、上面視において径方向内側に凹面が向くように凹状に形成されている。
【0022】
仕上剤保持室161dは、仕上剤中間保持室161cよりもW方向(バランスリング16の周方向)側に位置し、W方向に沿って細長く形成されている。また、仕上剤中間保持室161cと仕上剤保持室161dとは、連通した空間である。また、仕上剤中間保持室161cの底面161c4は、仕上剤保持室161dに向けて下るように傾斜している。また、仕上剤保持室161dの底面は、回転停止中に仕上剤40を仕上剤保持室161dにおいて保持できる形状を有している。
【0023】
仕上剤投入室162は、仕上剤保持室161dの径方向の外側に位置している。また、仕上剤投入室162は、バランスリング16の周方向に沿って細長く形成されている。また、仕上剤投入室162の底面162aには、W方向の進行方向とは反対側の端部に吐出口163が形成されている。この吐出口163は、底面162aの最底部に形成されている。また、底面162aは、吐出口163に向けて下るように傾斜し、回転が停止したときに仕上剤40が吐出口163に向けて流れ込むようになっている。
【0024】
次に、仕上剤40が洗濯兼脱水槽15に投入される原理を、図3図4図5図6図7をもとに説明する。図4は、洗濯兼脱水槽停止中の図3のA-A断面図、図5は、洗濯兼脱水槽回転中の図3のA-A断面図、図6は、洗濯兼脱水槽回転中の図3のB-B断面図、図7は、本発明の第1実施形態に係る洗濯機の洗濯動作の工程ブロック図である。
【0025】
仕上剤40は、洗濯開始時に仕上剤投入口16bから投入される。投入された仕上剤40は、図4に示すように、第1の仕上剤室161aに保持される。図7に示す中間脱水(1)において、洗濯兼脱水槽15を回転させたときの遠心力によって、仕上剤40は、洗濯兼脱水槽15の径方向の外側方向に移動し、第1の仕上剤室161aの壁面161a1に押し付けられる。洗濯兼脱水槽15の回転速度が、仕上剤40を第1の仕上剤室161aから第2の仕上剤室161bに移動させるために必要な回転速度を超えると、仕上剤40は、図5の矢印(a)に示すように、第1の仕上剤室161aの壁面161a1を乗り越えて第2の仕上剤室161bの仕上剤中間保持室161cに移動する。洗濯兼脱水槽15の回転速度が、仕上剤40を第2の仕上剤室161bの仕上剤中間保持室161cの壁面161c1~161c3(図3参照)に保持するために必要な回転速度を維持している間は、仕上剤40は、第2の仕上剤室161bの仕上剤中間保持室161cの壁面161c1~161c3(図3参照)に保持される。
【0026】
そして、図7に示す中間脱水(1)が終了し、洗濯兼脱水槽15の回転が停止すると、仕上剤40は、第2の仕上剤室161bの仕上剤中間保持室161cの底部に移動する。仕上剤中間保持室161cの底面161c4は、仕上剤保持室161dに向けて下るように傾斜しているので、洗濯兼脱水槽15の回転が停止すると、図3の矢印(b)に示すように、仕上剤40は、仕上剤中間保持室161cから仕上剤保持室161dに向けて移動して保持される。図7に示すすすぎ給水(1)、すすぎ(1)の間、仕上剤40は、第2の仕上剤室161bの仕上剤保持室161dに保持される。
【0027】
そして、図7に示す中間脱水(2)において、洗濯兼脱水槽15の回転速度が、仕上剤40を第2の仕上剤室161bの仕上剤保持室161dから仕上剤投入室162に移動させるために必要な回転速度を超えると、仕上剤40は、図6の矢印(c)で示すように、第2の仕上剤室161bの仕上剤保持室161dの壁面161d1を乗り越えて仕上剤投入室162に移動する。洗濯兼脱水槽15の中間脱水(2)中、仕上剤40は、図6に示すように、仕上剤投入室162の壁面162bに保持される。
【0028】
そして、中間脱水(2)が終了し、洗濯兼脱水槽15の回転が停止すると、仕上剤40は、仕上剤投入室162の底面162a(図3参照)側に移動し、底面162aの傾斜を利用して自然に吐出口163から洗濯兼脱水槽15内に投入される(図3(d)参照)。なお、吐出口163から吐出された仕上剤40は、洗濯兼脱水槽15に設けられたシャワーケース15b(図2参照)内を通って洗濯兼脱水槽15の底部を通り、外槽14に投入される。
【0029】
次に、洗濯機1の制御部の動作と効果を図8を参照して説明する。図8は、本発明の第1実施形態に係る洗濯機の仕上剤投入判定の動作フロー図である。図8に示す動作フロー図は、中間脱水のときに動作するフローを示している。
図8に示すように、ステップS101において、制御部は、中間脱水中であるか否かを判定する。なお、中間脱水は、中間脱水(1)と中間脱水(2)を含んでいる。ステップS101において、制御部は、中間脱水中であると判定した場合には(Yes)、ステップS102に進み、中間脱水中ではないと判定した場合には(No)、ステップS102およびS103をスキップして、ステップS104に進む。
【0030】
ステップS102において、制御部は、洗濯兼脱水槽15の回転速度を検出し、検出した回転速度が仕上剤40を移動させるために必要な回転速度(仕上剤移動可能回転速度、仕上剤を投入可能な回転速度)以上の場合(Yes)、ステップS103に進み、仕上剤移動可能回転速度未満の場合(No)、ステップS103をスキップして、ステップS104に進む。なお、回転速度が仕上剤移動可能回転速度未満の場合とは、洗濯液の異常発泡の場合、衣類の偏りによる洗濯兼脱水槽15にアンバランスが発生した場合である。また、中間脱水(1)と中間脱水(2)とにおける仕上剤移動可能回転速度は、仕上剤移動可能回転速度以上であれば、同じであってもよく、あるいは異なっていてもよい。一例として、バランスリング16の直径が356mm、仕上剤室161の外周側の壁面161a1(図4参照)の高さが40mmの場合、仕上剤40を移動させるために必要な回転速度は680回転/分以上とするのがよい。
【0031】
そして、ステップS103において、制御部は、仕上剤移動可能回転速度以上となった到達回数を加算する。例えば、到達回数が0の場合は、到達回数を1加算して、合計を1とする。また、到達回数が1の場合は、到達回数を1加算して、合計を2とする。
【0032】
そして、ステップS104において、制御部は、仕上剤投入タイミングであるか否かを判定する。なお、仕上剤投入タイミングとは、中間脱水(2)が終了したタイミングである。制御部は、ステップS104において、中間脱水(2)が終了していると判定した場合には(Yes)、ステップS105に進み、中間脱水(2)が終了していないと判定した場合には(No)、処理を終了する。
【0033】
そして、ステップS105において、制御部は、到達回数(仕上剤を投入可能な回転速度に到達した回数)が規定回数(例えば2回)以上の場合には(Yes)、仕上剤40を投入済みと判断できる。第1実施形態において、仕上剤40を投入するには、第1の仕上剤室161aから第2の仕上剤室161b(仕上剤中間保持室161cおよび仕上剤保持室161d)への移動と、第2の仕上剤室161bから仕上剤投入室162への移動が必要となるため、規定回数は2回となる。
【0034】
例えば、洗濯液の異常発泡により、洗濯兼脱水槽15の回転速度が、仕上剤40を移動させるために必要な回転速度に到達せず、仕上剤40を投入するタイミングにおいて、到達回数が規定回数未満であると判定した場合は(ステップS105、No)、仕上剤未投入と判断できる。制御部は、仕上剤未投入と判断した場合、運転を一時停止し、洗濯機1の表示器などで仕上剤未投入を報知することで、使用者は、仕上剤が未投入であることに気づくことができる。
【0035】
以上説明したように、第1実施形態の洗濯機1は、筐体11と、筐体11内部に設けられた外槽14と、外槽14内部に回転自在に支持された洗濯兼脱水槽15と、洗濯兼脱水槽15上部に配置されたバランスリング16と、バランスリング16に設けられ、洗濯兼脱水槽15に仕上剤40を投入する仕上剤投入装置160と、洗濯兼脱水槽15を回転駆動する駆動機構19と、洗濯兼脱水槽15の回転速度を検知する回転速度検知手段19bと、駆動機構19を制御する制御装置30と、を備える。制御装置30は、回転速度検知手段の検知情報をもとに、洗濯兼脱水槽15の回転速度が仕上剤40を投入可能な回転速度に到達したことを判定する。これにより、洗濯機1は、洗濯兼脱水槽15の回転速度により仕上剤40の投入有無を判定することができる。その場合、仕上剤未投入を報知することで(図8のステップS106)、使用者に仕上剤未投入であることを気づかせることができる。また、既存の洗濯機1が備える部品を利用する構成のため、仕上剤40を直接検知するためのセンサを使用する構成と比較して、より安価な構成で、仕上剤40の投入有無を判定できる。また、副次的な効果として、仕上剤投入装置160内に仕上剤が残留することによる仕上剤40の固着、および、雑菌等の繁殖による異臭発生を防止できる。
【0036】
また、第1実施形態では、仕上剤投入装置160は、洗濯前に仕上剤40を投入する第1の仕上剤室161aと、洗濯兼脱水槽15が回転したときの遠心力で第1の仕上剤室161aから移動した仕上剤を保持するための第2の仕上剤室161bと、を有する。これにより、すすぎを2回行うことができるので(中間脱水(1)と中間脱水(2))、すすぎ性能を向上することができる。
【0037】
また、第1実施形態では、制御部は、洗濯兼脱水槽15の回転速度が仕上剤40を投入可能な回転速度に到達した回数をもとに、仕上剤40の投入有無を判定する(図8のステップS105)。これにより、ユーザに仕上剤40の投入有無のお知らせが可能になる。
【0038】
(第2実施形態)
図9は、本発明の第2実施形態に係る洗濯機の仕上剤投入判定の動作フロー図である。なお、第2実施形態は、仕上剤40を未投入と判定した際に、仕上剤再投入動作を実施する点が第1実施形態と異なる。また、ステップS202~S205は、図8のステップS102~S105と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0039】
図9に示すように、ステップS201において、制御部は、中間脱水中または追加脱水中であるか否かを判定し、中間脱水中または追加脱水中である場合には(Yes)、ステップS202に進み、中間脱水中でも追加脱水中でもない場合には(No)、ステップS202、S203をスキップしてステップS204に進む。
【0040】
ステップS205において到達回数が規定回数未満の場合(仕上剤の投入有無の判定が投入無しの場合)、ステップS206に進み、制御部は、追加脱水(仕上剤の再投入動作)を実施する。追加脱水を実施する場合には、再度給水して脱水(追加脱水)に移行する。そして、ステップS201に戻り、制御部は、追加脱水中であると判定して(Yes)、ステップS202~S205の処理を実行する。
【0041】
このように、仕上剤40を投入するタイミングにおいて、仕上剤未投入と判定した場合(ステップS205、No)、追加脱水を実施し(ステップS206)、洗濯兼脱水槽15の回転速度を、仕上剤40を第2の仕上剤室161bから仕上剤投入室162に移動させるために必要な回転速度以上に加速させることで、仕上剤40を槽内に投入することができる。
【0042】
以上説明したように、第2実施形態は、制御部は、仕上剤40の投入有無の判定が投入無しの場合(ステップS205、No)、仕上剤40の再投入動作を実行する。これによれば、洗濯機1は、仕上剤未投入判定時に、仕上剤再投入動作を実施するため、仕上剤の未投入を防止でき、洗濯物50の仕上がり悪化を防止できる。また、制御部が仕上剤再投入動作を実施するため、使用者が洗濯機1を操作する手間を軽減できる。
【0043】
なお、本発明は、前記した各実施形態に限定されるものではなく、種々の変形例が含まれる。第1実施形態では、回転速度検知手段19bを、駆動機構19に配置する構成として説明したが、それに限らない。例えば、洗濯兼脱水槽15に配置する構成や、伝達ベルトに配置する構成としてもよい。
【0044】
また、第2実施形態では、仕上剤再投入動作を追加脱水を実施する構成として説明したが、それに限らない。例えば、追加脱水の前に洗濯物をほぐす動作を実施する構成や、仕上剤が水没するまで給水を実施する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 洗濯機
11 筐体
14 外槽(水槽)
15 洗濯兼脱水槽(内槽)
16 バランスリング
16a 流体バランサ
16b 仕上剤投入口
16c 仕上剤投入口カバー
18 クラッチ機構
18a 従動プーリー
19 駆動機構(駆動部)
19a 駆動プーリー
19b 回転速度検知手段
20 伝達ベルト
30 制御装置(制御部)
40 仕上剤
50 洗濯物
160 仕上剤投入装置
161 仕上剤室
161a 第1の仕上剤室
161b 第2の仕上剤室
161c 仕上剤中間保持室
161d 仕上剤保持室
162 仕上剤投入室
163 吐出口
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9