(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173131
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
A63F7/02 312Z
A63F7/02 304D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085156
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100163315
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健二
(72)【発明者】
【氏名】酒井 貴彬
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BC22
2C088BC25
2C088EB78
(57)【要約】
【課題】遊技球が特定領域を通過する期待感を高めることによって、遊技興趣の向上を図る。
【解決手段】遊技領域に発射された遊技球が所定の進入経路を通って進入可能なステージ45を遊技者が視認可能に設けて、ステージ上の遊技球を転動手段で転動させる。また、ステージ上の遊技球を受け入れ可能に開口した複数の受入口51を設けると共に、各受入口を特定領域54および非特定領域55と連通させ、受入口に受け入れられた遊技球が特定領域を通過したことに基づいて、遊技者にとって有利な特定状態を発生させる。さらに、複数の受入口の各々について、受入口に受け入れられた遊技球が特定領域を通過する有利状態と、非特定領域を通過する不利状態とを切り換え可能な切換手段56を備える。そして、切換手段の駆動を制御して、複数の受入口のうち有利状態となっている数を変更可能とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤に形成された遊技領域に遊技球を発射することによって遊技を行う遊技機において、
前記遊技領域に発射された前記遊技球が所定の進入経路を通って進入可能であり、遊技者が視認することが可能なステージと、
前記ステージ上で前記遊技球を転動させる転動手段と、
前記ステージ上の前記遊技球を受け入れ可能に複数が開口しており、各々が特定領域および非特定領域と連通する受入口と、
前記受入口に受け入れられた前記遊技球が前記特定領域を通過したことに基づいて、遊技者にとって有利な特定状態を発生させる特定状態発生手段と、
前記複数の受入口の各々について、該受入口に受け入れられた前記遊技球が前記特定領域を通過する有利状態と、前記非特定領域を通過する不利状態とを切り換え可能な切換手段と、
前記切換手段の駆動を制御し、前記複数の受入口のうち前記有利状態となっている数を変更可能な制御手段と
を備えることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機において、
前記複数の受入口のうち、前記有利状態となっている前記受入口を、前記不利状態となっている前記受入口とは異なる態様で遊技者に示す示唆手段を備える
ことを特徴とする遊技機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の遊技機において、
前記ステージへの前記遊技球の進入を許可する許可状態と、前記遊技球の進入を禁止する禁止状態とを切り換え可能な変更手段を備え、
前記制御手段は、前記変更手段の作動で前記許可状態になってから所定時間が経過する毎に、前記複数の受入口のうち前記有利状態となっている数を1つずつ増やす
ことを特徴とする遊技機。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の遊技機において、
前記制御手段は、前記複数の受入口の各々について異なる周期で前記有利状態と前記不利状態とを切り換える
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤に形成された遊技領域に向けて遊技球を発射することによって遊技を行う遊技機(パチンコ機)に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技盤に形成された遊技領域に向けて遊技球を発射することで遊技を行う遊技機では、遊技領域を流下する遊技球が所定の検知手段(例えば、始動口センサー)で検知されたことに基づいて、可変入球口が入球不能状態から入球可能状態となり、その可変入球口に入球した遊技球が特定領域(いわゆるV)を通過すると、遊技者にとって有利な特定状態(大当り遊技)が発生するもの(いわゆる羽根物)が知られている。
【0003】
こうした遊技機では、遊技球が通過しても特定状態が発生することのない非特定領域を、特定領域の近傍に配置したものが提案されており(例えば、特許文献1)、可変入球口に入球した遊技球が特定領域を通過するか非特定領域を通過するかに遊技者を注目させることができる。また、非特定領域を塞ぐことが可能な可動部材を搭載し、複数の非特定領域のうち可動部材で塞ぐ数を変化させることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のように特定領域と非特定領域とを備えた遊技機では、可変入球口に入球した遊技球が何れの領域を通過するかは遊技球の動き次第であり、可動部材で非特定領域を塞ぐ数を増やすと、結果的に遊技球が特定領域を通過する可能性が高まるものの、実際には特定領域の数が増えるわけではなく、せっかく可動部材を搭載しているのに、遊技球が特定領域を通過することに対する遊技者の期待感を十分に高めることができていないという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、遊技球が特定領域を通過する期待感の変動を可能とし、期待感の上昇によって遊技興趣の向上を図ることが可能な遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の遊技機は次の構成を採用した。すなわち、
遊技盤に形成された遊技領域に遊技球を発射することによって遊技を行う遊技機において、
前記遊技領域に発射された前記遊技球が所定の進入経路を通って進入可能であり、遊技者が視認することが可能なステージと、
前記ステージ上で前記遊技球を転動させる転動手段と、
前記ステージ上の前記遊技球を受け入れ可能に複数が開口しており、各々が特定領域および非特定領域と連通する受入口と、
前記受入口に受け入れられた前記遊技球が前記特定領域を通過したことに基づいて、遊技者にとって有利な特定状態を発生させる特定状態発生手段と、
前記複数の受入口の各々について、該受入口に受け入れられた前記遊技球が前記特定領域を通過する有利状態と、前記非特定領域を通過する不利状態とを切り換え可能な切換手段と、
前記切換手段の駆動を制御し、前記複数の受入口のうち前記有利状態となっている数を変更可能な制御手段と
を備えることを特徴とする。
【0008】
上述した本発明の遊技機では、
前記複数の受入口のうち、前記有利状態となっている前記受入口を、前記不利状態となっている前記受入口とは異なる態様で遊技者に示す示唆手段を備える
こととしてもよい。
【0009】
こうした本発明の遊技機では、
前記ステージへの前記遊技球の進入を許可する許可状態と、前記遊技球の進入を禁止する禁止状態とを切り換え可能な変更手段を備え、
前記制御手段は、前記変更手段の作動で前記許可状態になってから所定時間が経過する毎に、前記複数の受入口のうち前記有利状態となっている数を1つずつ増やす
こととしてもよい。
【0010】
また、前述した本発明の遊技機では、
前記制御手段は、前記複数の受入口の各々について異なる周期で前記有利状態と前記不利状態とを切り換える
こととしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、遊技球が特定領域を通過する期待感を高めることによって、遊技興趣の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】本実施例の遊技盤20の盤面構成を示す説明図である。
【
図3】本実施例のステージ45の構成を示す斜視図である。
【
図4】本実施例の受入ユニット50の内部構造を示した断面図である。
【
図5】本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示したブロック図である。
【
図6】主制御基板200のCPU201が、遊技の進行に係る制御として行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフロ―チャートである。
【
図7】本実施例の中央装置制御処理の前半部分を示したフローチャートである。
【
図8】本実施例の中央装置制御処理の後半部分を示したフローチャートである。
【
図9】サブ制御基板220のCPU221が行う有利状態示唆演出処理を示したフローチャートである。
【
図10】本実施例のパチンコ機1において5つの受入ユニット50a~50eのうち有利状態となっている数が変化する例を概念的に示したタイムチャートである。
【
図11】変形例のパチンコ機1において5つの受入ユニット50a~50eのうち有利状態となっている数が変化する例を概念的に示したタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を「羽根物」と呼ばれるタイプのパチンコ機(遊技機)に適用した実施例について説明する。尚、実施例において、「前」および「表」は「遊技機を基準とする前方」、つまり「遊技者に近接する方向(遊技者から見て手前側)」を示し、「後」および「裏」は「遊技機を基準とする後方」、つまり「遊技者から離間する方向(遊技者から見て奥側)」を示す。また、「上」とは遊技者から見て「上」であることを示し、「下」とは遊技者から見て「下」であることを示し、「左」とは遊技者から見て「左」であることを示し、「右」とは遊技者から見て「右」であることを示す。
【0014】
A.パチンコ機の装置構成 :
A-1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例のパチンコ機1の正面図である。
図1に示すように、パチンコ機1の前面部には、前面枠4が設けられている。前面枠4は、一端(
図1における左側)が中枠3に対して回動可能に軸支されている。中枠3の前面側には遊技盤20(
図2参照)が着脱可能に取り付けられており、前面枠4が中枠3に対してパチンコ機1の前方側に回動(開放)されると、遊技盤20が露出した状態となる。中枠3は、一端(
図1における左側)が本体枠2に対して回動可能に軸支されている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機1の外枠を形成している。
【0015】
前面枠4の略中央部には窓部4aが形成されており、この窓部4aにはガラス板等の透明板4bが嵌め込まれている。遊技者は、窓部4a(透明板4b)を通して奥側に配置された遊技盤20の後述する遊技領域を視認可能である。また、前面枠4における窓部4aの右下方には、小窓部4cが形成されており、この小窓部4cには合成樹脂板等の透明板4dが嵌め込まれている。遊技者は、小窓部4c(透明板4d)を通して奥側に配置された遊技盤20の後述するセグメント表示部を視認可能である。
【0016】
前面枠4における窓部4aの上方には上部ランプ5aが設けられ、窓部4aの右側の周縁部には右サイドランプ5bが設けられ、窓部4aの左側の周縁部には左サイドランプ5cが設けられている。また、窓部4aの上方の左右には一対の上部スピーカー6aが設けられており、本体枠2の下部の前面側には下部スピーカー6bが設けられている。これらの上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c、上部スピーカー6a、および下部スピーカー6bは、遊技上の演出効果を高めるために駆動される。
【0017】
前面枠4における窓部4aの下方には、上皿部7が設けられている。上皿部7には、カードユニット242(
図5参照)を介して貸し出される遊技球や、パチンコ機1から払い出される遊技球が貯留される。また、上皿部7の下方には下皿部8が設けられており、上皿部7の容量を超えて貸し出された遊技球や、上皿部7の容量を超えて払い出された遊技球が貯留される。
【0018】
前面枠4における下皿部8の右方には、遊技者による回転操作が可能な発射ハンドル9が設けられている。発射ハンドル9の回転軸は、発射ハンドル9の奥側に搭載された発射装置ユニット261(
図5参照)に接続されている。この発射装置ユニット261には、上皿部7に貯留された遊技球が供給される。遊技者が発射ハンドル9を回転させると、その回転が発射装置ユニット261に伝達され、発射装置ユニット261に内蔵された発射モーターの作動によって、発射ハンドル9の回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。
【0019】
A-2.遊技盤の構成 :
図2は、本実施例の遊技盤20の盤面構成を示す説明図である。前述したように遊技盤20は、中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。
図2に示すように、遊技盤20の中央には略円形状の遊技領域21が形成されている。発射装置ユニット261(
図5参照)から発射された遊技球は、外レール22と内レール23との間を通って遊技領域21に放出され、遊技領域21の上方から下方へと流下する。遊技領域21は、前面枠4の窓部4a(透明板4b)を通して遊技者に視認されるので、当然ながら、遊技領域21を流下する遊技球の様子も窓部4aを通して遊技者が視認可能である。
【0020】
遊技領域21の略中央には、中央装置40が設けられている。本実施例の中央装置40は、複数の発光ダイオード(以下、LED)を備えており、LEDの発光(点灯あるいは点滅)を制御して発光演出を行うことが可能である。この中央装置40の上部には上入賞口41が設けられており、本実施例の上入賞口41は、左右一対の翼片42を備えている。一対の翼片42は、下端側を軸に上端側を左右に回動可能になっており、図中に実線で示されるように一対の翼片42が略直立して上入賞口41に遊技球が入球不能な閉鎖状態と、図中に破線で示されるように一対の翼片42が左右外側に傾いて上入賞口41に遊技球が入球可能な開放状態とに変化可能である。
【0021】
上入賞口41には入球通路43が接続されており、開放状態の上入賞口41に入球した遊技球は、入球通路43に設けられた上入賞口センサー41sによって検知された後、入球通路43を通って下方へと導かれる。図示されるように本実施例の入球通路43は、先ず左方に向かって下方に傾斜しており、その後に折り返して右方に向かって下方に傾斜している。また、入球通路43から放出通路43aが下方に向かって分岐しており、放出通路43aには、前後方向に移動可能な可動板44が設けられている。
【0022】
可動板44が前方に移動した前進状態では、上入賞口41に入球した遊技球が入球通路43から放出通路43aへと進むと、可動板44上に乗って放出通路43aにストックされることとなる。また、図示されるようにストックされる遊技球は1つのみである。このため、上入賞口41に2つ以上の遊技球が続けて入球しても、最先の遊技球が放出通路43aにストックされると、2番目以後の遊技球は、ストックの遊技球を乗り越え、そのまま入球通路43を直進して遊技盤20の裏面側へと排出される。
【0023】
そして、可動板44が後方に移動した後退状態になると、ストックされていた1つの遊技球が放出通路43aを通って下方のステージ45へと放出される。中央装置40に内蔵のステージ45の詳細な構成については別図を用いて後述するが、本実施例のステージ45は、遊技球を受け入れ可能に開口した複数の受入口を有しており、ステージ45上に放出された遊技球が何れかの受入口に入る様子を遊技者が視認可能となっている。尚、本実施例における上入賞口41に入球した遊技球が入球通路43および放出通路43aを通ってステージ45に至る経路は、本発明の「進入経路」に相当している。また、本実施例の可動板44は、本発明の「変更手段」に相当しており、可動板44の後退状態が本発明の「許可状態」に相当し、可動板44の前進状態が本発明の「禁止状態」に相当する。
【0024】
遊技領域21における中央装置40の下方には、中始動口24が設けられている。また、中始動口24の左方には、左始動口25が設けられており、中始動口24の右方には、右始動口26が設けられている。これら3つの始動口24,25,26は、何れも上方に向かって開口しており、遊技球の入球可能性に変化がなく、遊技球が常時入球可能になっていると共に、入球した遊技球は、それぞれ通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれる。そして、中始動口24に入球した遊技球は、中始動口センサー24s(
図5参照)によって検知され、左始動口25に入球した遊技球は、左始動口センサー25s(
図5参照)によって検知され、右始動口26に入球した遊技球は、右始動口センサー26s(
図5参照)によって検知される。
【0025】
遊技領域21における中始動口24の下方には、前方に向かって略長方形状に大きく開口した下入賞口27が設けられている。下入賞口27は、下端側を軸に上端側を前方に傾けて回動可能な開閉扉28を備えており、開閉扉28が略直立して遊技球が入球不能な閉鎖状態と、開閉扉28が前方に回動して遊技球が入球可能な開放状態とに変化可能である。
図2では、下入賞口27が開放状態となっている様子が示されている。下入賞口27に入球した遊技球は、通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、下入賞口センサー27s(
図5参照)によって検知される。
【0026】
遊技領域21における中央装置40の左方および右方には、その他入賞口29が一対で設けられている。その他入賞口29は、上方に向かって開口しており、遊技球の入球可能性に変化がなく、遊技球が常時入球可能である。その他入賞口29に入球した遊技球は、通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、その他入賞口センサー29s(
図5参照)によって検知される。
【0027】
また、上述した各遊技装置の周辺には、遊技球が流下する経路に影響を与える風車型ホイール31や、多数の遊技釘(
図2では図示省略)が設けられている。さらに、遊技領域21の最下部には、アウト口33が設けられており、上述した上入賞口41、中始動口24、左始動口25、右始動口26、下入賞口27、その他入賞口29の何れにも入球しなかった遊技球は、アウト口33から遊技盤20の裏面側に排出される。尚、本実施例のパチンコ機1では、上入賞口41に遊技球が入球した場合は、賞球として7個の遊技球が払い出され、中始動口24、左始動口25、右始動口26の何れかに遊技球が入球した場合は、賞球として4個の遊技球が払い出され、下入賞口27に遊技球が入球した場合は、賞球として10個の遊技球が払い出され、その他入賞口29に遊技球が入球した場合は、賞球として3個の遊技球が払い出される。
【0028】
さらに、遊技盤20における遊技領域21の右下方には、複数のLEDの組み合わせによって遊技に係る情報を表示するセグメント表示部60が設けられている。セグメント表示部60は、前面枠4に設けられた小窓部4c(
図1参照)を通して遊技者が視認可能である。
【0029】
図3は、本実施例のステージ45の構成を示す斜視図である。図示されるようにステージ45は、略円形に形成され、外縁よりも中央が低くなった皿状になっている。ステージ45の中央には、上下方向の軸回りに回転可能な円柱状の回転体46が設けられており、この回転体46は、外周面から径方向の外側に向けて互いに反対方向に突設された一対の突出部46aを有している。ステージ45に放出された遊技球は、皿状の傾斜によってステージ45の中央に向かって転動すると共に、回転する回転体46の突出部46aと衝突することでステージ45の外縁に向けてはね飛ばされるので、ステージ45上で停止することなく転動し続けることになる。尚、本実施例の回転体46は、本発明の「転動手段」に相当している。
【0030】
また、本実施例のステージ45における奥側の外縁に沿って複数(図示した例では5つ)の受入ユニット50a~50eが設けられている。各受入ユニット50a~50eは、ステージ45の中央に向かって開口した受入口51a~51eを有しており、ステージ45上を転動する遊技球を受入口51a~51eから受け入れることが可能となっている。尚、以下では、5つの受入ユニット50a~50eを左から順に、第1受入ユニット50a、第2受入ユニット50b、第3受入ユニット50c、第4受入ユニット50d、第5受入ユニット50eと称することがある。
【0031】
図4は、本実施例の受入ユニット50の内部構造を示した断面図である。尚、5つの受入ユニット50a~50eは、基本的には同じ構造であり、図では、ステージ45の中央を通る垂直な平面で受入ユニット50を切断した断面を表している。図示されるように受入ユニット50内には、隔壁53によって仕切られた特定領域54および非特定領域55が下方に延設されており、受入口51は、手前側(図中の右側)の特定領域54と、奥側(図中の左側)の非特定領域55との両方に連通している。
【0032】
また、隔壁53の上端側には、振分板56が下端側を軸に回動可能に設置されている。そして、
図4(a)に示されるように振分板56が略直立した状態では、非特定領域55が振分板56によって塞がれているため、受入口51から入った遊技球は、特定領域54へと導かれ、特定領域センサー54s(
図5参照)によって検知されることになる。以下では、振分板56が略直立した状態を、「有利状態」と称することがある。尚、本実施例の振分板56は、本発明の「切換手段」に相当している。
【0033】
一方、
図4(b)に示されるように振分板56が受入口51側に倒れて略水平な状態では、特定領域54が振分板56によって塞がれているため、受入口51から入った遊技球は、非特定領域55へと導かれ、非特定領域センサー55s(
図5参照)によって検知されることになる。以下では、振分板56が略水平な状態を、「不利状態」と称することがある。
【0034】
さらに、
図3に示されるように、本実施例の受入ユニット50a~50eの各々は、上面に示唆LED52a~52eを内蔵しており、示唆LED52a~52eを点灯すると、「V」の文字が浮かび上がるようになっている。そして、内部の振分板56が略直立した状態(有利状態)になっている受入ユニット50a~50eでは、示唆LED52a~52eを点灯するのに対して、内部の振分板56が略水平な状態(不利状態)になっている受入ユニット50a~50eでは、示唆LED52a~52eを消灯している。図示した例では、第1受入ユニット50a、第3受入ユニット50c、および第4受入ユニット50dの3つで示唆LED52a,52c,52dが点灯状態になっている。尚、本実施例の示唆LED52a~52eは、本発明の「示唆手段」に相当している。
【0035】
A-3.制御回路の構成 :
次に、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成について説明する。
図5は、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているようにパチンコ機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板などから構成されている。機能に着目して大別すると、遊技の基本的な進行に係る制御を司る主制御基板200と、遊技の演出に係る制御を司るサブ制御基板220と、遊技球の貸し出しや払い出しに係る制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に係る制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPU(
図5におけるCPU201、221等)や、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM(
図5におけるROM202、222等)、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM(
図5におけるRAM203、223等)、入出力用回路など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。
【0036】
主制御基板200には、中始動口24へ入球した遊技球を検知する中始動口センサー24sや、左始動口25へ入球した遊技球を検知する左始動口センサー25s、右始動口26へ入球した遊技球を検知する右始動口センサー26s、下入賞口27へ入球した遊技球を検知する下入賞口センサー27s、その他入賞口29へ入球した遊技球を検知するその他入賞口センサー29s、上入賞口41へ入球した遊技球を検知する上入賞口センサー41s、受入ユニット50a~50e内の特定領域54を通過する遊技球を検知する特定領域センサー54s、非特定領域55を通過する遊技球を検知する非特定領域センサー55sなどが接続されている。主制御基板200のCPU201は、中始動口センサー24sや、左始動口センサー25s、右始動口センサー26s、下入賞口センサー27s、その他入賞口センサー29s、上入賞口センサー41s、特定領域センサー54s、非特定領域センサー55sなどから遊技球の検知信号の入力があると、その検知信号の入力のあったセンサーに対応したコマンドを、サブ制御基板220や、払出制御基板240などに向けて送信する。
【0037】
また、主制御基板200には、下入賞口27の開放状態と閉鎖状態とを切り換え可能な開閉扉28を駆動する下入賞口ソレノイド28m、上入賞口41の開放状態と閉鎖状態とを切り換え可能な一対の翼片42を駆動する上入賞口ソレノイド42m、放出通路43aで前進状態と後退状態とに変化可能な可動板44を駆動する可動板ソレノイド44m、回転体46を駆動する回転体モーター46m、受入ユニット50a~50eの各々に内蔵されて有利状態と不利状態とに変化可能な振分板56a~56eを駆動する振分板ソレノイド56ma~56me、セグメント表示部60などが接続されている。主制御基板200のCPU201は、下入賞口ソレノイド28m、上入賞口ソレノイド42m、可動板ソレノイド44m、回転体モーター46m、振分板ソレノイド56ma~56me、セグメント表示部60に駆動信号を送信することにより、これらの動作の制御を行う。
【0038】
サブ制御基板220には、アンプ基板224や、電飾駆動基板226などが接続されている。サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200からの各種コマンドを受信すると、コマンドの内容を解析して、その内容に応じた遊技演出を行う。例えば、受信したコマンドに対応する音声データをROM222から読み出して、その音声データの信号をアンプ基板224に送信することにより、上部スピーカー6aおよび下部スピーカー6b(以下「各種スピーカー6a,6b」ともいう)から音声を出力する。また、電飾駆動基板226に対して、上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c(以下「各種ランプ5a~5c」ともいう)、および中央装置40に搭載された複数のLED(以下「中央装置電飾40a」ともいう)の発光パターンを指定するコマンドを送信したり、受入ユニット50a~50eの各々の上面に内蔵された示唆LED52a~52eの状態(点灯あるいは消灯)を指示するコマンドを送信したりする。
【0039】
電飾駆動基板226は、サブ制御基板220から発光パターンを指定するコマンドを受信すると、指定された発光パターンに従って各種ランプ5a~5cや中央装置電飾40aへの電力の供給と遮断とを切り換えることにより、各種ランプ5a~5cや中央装置電飾40aを点灯させたり点滅させたりする発光演出を行う。本実施例のパチンコ機1では、上入賞口41が開放状態となったり、ステージ45に遊技球が放出されたり、下入賞口27が開放状態となったりすると、発光演出を行うようになっている。また、電飾駆動基板226は、サブ制御基板220から示唆LED52a~52eの状態を指示するコマンドを受信すると、指示に従って示唆LED52a~52eを点灯あるいは消灯させることで有利状態示唆演出を行う。
【0040】
払出制御基板240には、上皿部7に設けられた球貸ボタン241(
図1では図示省略)や、パチンコ機1に並設されたカードユニット242、払出モーター243などが接続されている。球貸ボタン241が操作されると、その検知信号は、払出制御基板240を介してカードユニット242に伝達される。カードユニット242は、払出制御基板240とデータを通信しながら、払出モーター243を駆動して遊技球の貸し出しを行う。また、払出制御基板240は、主制御基板200から遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを受信すると、払出モーター243を駆動して遊技球の払い出しを行う。
【0041】
また、払出制御基板240には発射制御基板260が接続されており、発射制御基板260には発射装置ユニット261が接続されている。発射装置ユニット261は、遊技球を発射するための発射モーター262や、遊技者が発射ハンドル9に触れていることを検知するタッチスイッチ263などを有している。遊技者が発射ハンドル9に触れていることをタッチスイッチ263で検知すると、発射モーター262の作動が可能となり、発射ハンドル9の回転角度に応じた強さで遊技球を発射する。
【0042】
B.遊技の概要 :
本実施例のパチンコ機1では、次のようにして遊技が進行する。上皿部7に遊技球が貯留された状態で遊技者が発射ハンドル9を回転させると、上皿部7に貯留された遊技球が1球ずつ発射装置ユニット261に供給されて、
図2を用いて前述した遊技領域21に向けて発射される。遊技球を打ち出す強さは発射ハンドル9の回転角度に対応するので、遊技者は発射ハンドル9の回転角度を変化させることによって、所望の領域に遊技球を流下させることができる。
【0043】
発射された遊技球が遊技領域21を流下して、中始動口24に入球した遊技球が中始動口センサー24sによって検知されるか、左始動口25に入球した遊技球が左始動口センサー25sによって検知されるか、右始動口26に入球した遊技球が右始動口センサー26sによって検知されると、所定の判定乱数(特図当り判定乱数など)を取得し、その判定乱数の値に基づいて小当りか外れかを判定する特図当り判定を行う。そして、特図当り判定の結果に基づいて、セグメント表示部60にて特別図柄を表す複数のLEDを点滅させる(点灯させるLEDを切り換える)ことで特別図柄の変動表示を行った後、所定の組み合わせのLEDを点灯させた状態で特別図柄を停止表示させる。このとき、特図当り判定の結果が小当りであれば、小当り図柄に対応する組み合わせのLEDを点灯させ、外れであれば、外れ図柄に対応する組み合わせのLEDを点灯させる。
【0044】
尚、中始動口24、左始動口25、右始動口26の何れかに遊技球が入球しても、特別図柄の変動表示中などで新たな変動表示の開始条件が満たされていない場合は、取得した判定乱数の値を特図保留として記憶する。その後、特別図柄の新たな変動表示の開始条件が満たされると、特図保留に基づいて特図当り判定や特別図柄の変動表示を行う。本実施例のパチンコ機1では、このような特図保留を最大2つまで記憶可能である。
【0045】
特別図柄が小当り図柄で停止表示されると、上入賞口41が所定の開放時間だけ開放状態となった後に閉鎖状態に戻る小当り遊技を実行する。そして、開放状態の上入賞口41に入球した遊技球が、ステージ45へと放出され、受入ユニット50a~50eの何れかの受入口51a~51eに入って特定領域54を通過した場合は、下入賞口27が開放状態となる大当り遊技を実行する。大当り遊技では、開放した下入賞口27を、規定個数(例えば9個)の遊技球が入球するか、あるいは所定の開放時間(例えば30秒)が経過したら閉鎖するラウンド遊技が複数回繰り返される。本実施例のパチンコ機1では、複数の小当り図柄が設けられており、停止表示された小当り図柄の種類によって、大当り遊技で行われるラウンド遊技の回数が異なる(例えば、3回、6回、10回)。前述したように下入賞口27に遊技球が1個入球する毎に、賞球として10個の遊技球が払い出されることから、ラウンド遊技の回数(ラウンド回数)が多い大当り遊技であるほど、遊技者は多量の賞球を獲得することが可能である。
【0046】
C.本実施例のパチンコ機の制御内容 :
C-1.遊技制御処理 :
図6は、主制御基板200のCPU201が、遊技の進行に係る制御として行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフロ―チャートである。主制御基板200のCPU201は、所定周期で(例えば、4msec毎に)発生するタイマ割り込みに基づいて
図6の遊技制御処理を実行する。尚、以下の説明では、CPU201の初期化処理や、割り込み禁止処理、割り込み許可処理などの周知の処理については説明を省略する。
【0047】
主制御基板200のCPU201は、遊技制御処理を開始すると、まず、出力処理(S10)を行う。本実施例の主制御基板200では、後述する各処理においてサブ制御基板220を初めとする各種制御基板に向けて送信する各種コマンドを、RAM203に確保された出力バッファに一旦記憶するようになっており、出力処理(S10)では、出力バッファに記憶されている各種コマンドを各種制御基板に向けて送信する。こうすることにより、例えば、サブ制御基板220では、遊技の進行に合わせた演出の制御が行われ、払出制御基板240では、遊技球の払い出しが行われることになる。
【0048】
主制御基板200のCPU201は、出力処理(S10)に続いて、入力処理(S20)を行う。前述したように、中始動口24、左始動口25、右始動口26、下入賞口27、その他入賞口29、上入賞口41の何れかに遊技球が入球すると、賞球として遊技球を払い出すようになっている。そこで、入力処理(S20)では、賞球の払い出しを伴う入球を検知する各種センサー(中始動口センサー24s、左始動口センサー25s、右始動口センサー26s、下入賞口センサー27s、その他入賞口センサー29s、上入賞口センサー41sなど)について、遊技球を検知したか否かを判断する。そして、遊技球を検知した場合は、遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを、上述した出力バッファに記憶する。こうして出力バッファに記憶された払出コマンドは、次回の出力処理(S10)で払出制御基板240に向けて送信される。払出コマンドを受信した払出制御基板240は、前述したように遊技球の入球が中始動口24、左始動口25、右始動口26の何れかであれば、4個の遊技球を払い出し、下入賞口27であれば、10個の遊技球を払い出し、その他入賞口29であれば、3個の遊技球を払い出し、上入賞口41であれば、7個の遊技球を払い出す。
【0049】
入力処理(S20)を終了すると、次に、乱数更新処理(S30)を行う。前述したように特図当り判定は、所定の判定乱数の値に基づいて行われる。また、これ以外にも、後述する各種の決定が専用の乱数の値に基づいて行われる。乱数更新処理(S30)では、これらの乱数の更新を行う。尚、乱数の更新は、遊技制御処理の中の乱数更新処理(S30)においてだけでなく、遊技制御処理を一旦終了してから次回の遊技制御処理を開始する(タイマ割り込みが発生する)までの間に行うこととしてもよい。また、乱数更新のための専用回路を設けて、この専用回路で乱数を更新してもよい。
【0050】
乱数更新処理(S30)を終了したら、始動口センサー検知処理(S40)を行う。始動口センサー検知処理(S40)では、中始動口24に入球した遊技球を中始動口センサー24sで検知するか、左始動口25に入球した遊技球を左始動口センサー25sで検知するか、右始動口26に入球した遊技球を右始動口センサー26sで検知すると、特図保留の記憶数(特図保留数)が上限値(本実施例では「2」)に達しているか否かを判断して、達していなければ、所定の判定乱数を取得し、取得した乱数値を特図保留としてRAM203に記憶する。ここで、判定乱数としては、特図当り判定を行うための特図当り判定乱数や、小当りの場合に特別図柄で停止表示する小当り図柄の種類を決定するための図柄決定乱数などを取得する。
【0051】
始動口センサー検知処理(S40)に続いて、特定領域センサー検知処理(S50)を行う。本実施例のパチンコ機1では、前述したように中央装置40のステージ45に5つの受入ユニット50a~50eの受入口51a~51eが開口しており、上入賞口41に入球してステージ45に放出された遊技球を受け入れることが可能である。また、受入ユニット50a~50eの各々は、内蔵の振分板56によって、受入口51a~51eから入った遊技球が特定領域54へと導かれる有利状態と、非特定領域55へと導かれる不利状態とに切り換え可能である。特定領域センサー検知処理(S50)では、特定領域54を通過する遊技球を特定領域センサー54sで検知すると、特定領域通過フラグをONに設定する。特定領域通過フラグとは、遊技球が特定領域54を通過したことを示すフラグであり、主制御基板200のRAM203に特定領域通過フラグの記憶領域が確保されている。
【0052】
特定領域センサー検知処理(S50)を終了すると、特別動作処理(S60)を行う。特別動作処理(S60)では、主に次のような処理を行う。まず、特別図柄の変動表示中、小当り遊技中、大当り遊技中の何れかであるか否かを判断する。これらの何れでもない場合は、特別図柄の停止表示から所定の確定時間が経過していることを確認した後、特図保留数が「0」であるか否かを判断する。特図保留数が「0」でなければ、最先に特図保留として記憶された各種の判定乱数(すなわち、特図当り判定乱数、図柄決定乱数など)の値を読み出す。こうして特図保留として読み出した特図当り判定乱数の値に基づいて特図当り判定を行う。特図当り判定では、読み出した特図当り判定乱数の値が「小当り」に対応する値(小当り値)であれば、小当りと判定し、「外れ」に対応する値(外れ値)であれば、外れと判定する。このような特図当り判定では、例えば、判定結果が小当りとなる確率(小当り確率)が100分の99に設定される。
【0053】
そして、特図当り判定の結果が小当りであれば、停止表示する小当り図柄を決定する。前述したように小当り図柄は複数設けられており、特図保留として読み出した図柄決定乱数の値に基づいて何れかの小当り図柄を、停止表示する図柄(停止図柄)として決定する。一方、特図当り判定の結果が外れであれば、停止図柄として外れ図柄を決定する。こうして特別図柄の停止図柄を決定したら、特別図柄の変動表示を開始すると共に、特図保留数から「1」を減算する。
【0054】
特別図柄の変動表示中である場合は、所定の変動時間が経過したか否かを判断して、変動時間が経過すると、決定しておいた停止図柄(小当り図柄または外れ図柄)で特別図柄を停止表示する。そして、確定時間の経過を待って、停止表示された特別図柄が小当り図柄および外れ図柄の何れであるかを判断する。その結果、外れ図柄であった場合は、再び特別図柄の変動表示を開始する処理を行う。一方、停止表示された特別図柄が小当り図柄であった場合は、小当り遊技を開始する。
【0055】
小当り遊技中は、上入賞口ソレノイド42mを駆動して上入賞口41を開放状態とした後、所定の開放時間が経過したら閉鎖状態に戻す処理を行う。上入賞口41の開放時間は、例えば0.5秒に設定される。そして、小当り遊技が終了すると、可動板ソレノイド44mを駆動して放出通路43aの可動板44を後退状態とした後に前進状態へと戻すことでストックの遊技球を放出する処理を行う。さらに、ステージ45に放出された遊技球が遊技盤20の裏面側へと排出されるのを待って、遊技球が特定領域54を通過したことを示す前述の特定領域通過フラグがONに設定されているか否かを判断する。特定領域通過フラグがONに設定されている場合は、大当り遊技における下入賞口27の開放パターン(ラウンド回数、開放時間、閉鎖時間など)を設定して、大当り遊技を開始すると共に、特定領域通過フラグをOFFに設定する。前述したように大当り遊技でのラウンド回数は、停止表示された小当り図柄の種類に応じて異なっている。一方、特定領域通過フラグがONに設定されていない場合は、遊技球が特定領域54を通過していないので、大当り遊技を開始することなく、再び特別図柄の変動表示を開始する処理を行う。
【0056】
大当り遊技中は、下入賞口ソレノイド28mを駆動して下入賞口27を開放状態とすることでラウンド遊技を開始する。その後、下入賞口27に規定個数の遊技球が入球するか、あるいは開放時間が経過すると、下入賞口27を閉鎖状態としてラウンド遊技を終了し、閉鎖時間の経過を待って次のラウンド遊技を開始する。そして、設定されたラウンド回数を全て消化したら、大当り遊技を終了する。尚、本実施例の大当り遊技は、本発明の「特定状態」に相当しており、本実施例の主制御基板200のCPU201は、本発明の「特定状態発生手段」に相当している。
【0057】
こうして特別動作処理(S60)を終了したら、
図6の遊技制御処理を一旦終了し、4msec毎のタイマ割り込みが発生すると、再び
図6の遊技制御処理を実行する。主制御基板200のCPU201は、以上のような遊技制御処理を繰り返し行うことによって、パチンコ機1での遊技を進行させる。また、本実施例のパチンコ機1では、前述したように上入賞口41やステージ45が設けられた中央装置40を搭載しており、上入賞口41に入球した遊技球をステージ45に放出すると共に、受入ユニット50a~50eの何れかの受入口51a~51eに入った遊技球が特定領域54を通過する確率を変化させることが可能となっている。以下では、中央装置40を制御するために主制御基板200のCPU201が実行する処理(中央装置制御処理)について説明する。
【0058】
C-2.中央装置制御処理 :
図7および
図8は、本実施例の中央装置制御処理を示したフローチャートである。主制御基板200のCPU201は、
図6を用いて上述した遊技制御処理の主に特別動作処理(S60)の中で、
図7および
図8の中央装置制御処理を実行する。中央装置制御処理では、まず、上入賞口41が開放中であるか否かを判断する(S101)。上入賞口41が開放中ではない場合は(S101:no)、続いて、特別図柄が小当り図柄で停止表示されたか否かを判断する(S102)。そして、特別図柄が小当り図柄で停止表示された場合は(S102:yes)、上入賞口ソレノイド42mを駆動して上入賞口41を開放する(S103)。
【0059】
これに対して、S101の判断において、上入賞口41が開放中である場合は(S101:yes)、S102およびS103の処理を省略して、上入賞口41の開放時間(例えば0.5秒)が経過したか否かを判断する(S104)。そして、上入賞口41の開放時間が経過した場合は(S104:yes)、上入賞口41を閉鎖する(S105)。これに対して、上入賞口41の開放時間が未だ経過していない場合は(S104:no)、S105の処理を省略する。また、S102の判断において、特別図柄が小当り図柄で停止表示されていない場合は(S102:no)、上述したS103~S105の処理を省略して、放出フラグがONに設定されているか否かを判断する(S106)。放出フラグとは、上入賞口41に入球した遊技球がステージ45に放出されたことを示すフラグであり、主制御基板200のRAM203に放出フラグの記憶領域が確保されている。
【0060】
放出フラグがONに設定されていない場合は(S106:no)、続いて、放出通路43aにストックされた遊技球の放出タイミングであるか否かを判断する(S107)。前述したように、入球通路43から分岐した放出通路43aには、前後方向に移動可能な可動板44が設けられており、この可動板44が前進状態であることによって、上入賞口41に入球した遊技球が入球通路43を通って放出通路43aに進むと、可動板44上に乗って放出通路43aに遊技球が1つストックされる。そして、上入賞口41の閉鎖から所定時間が経過したら、可動板44を後退状態にすることにより、ストックされていた遊技球をステージ45に放出するようになっている。このような遊技球の放出タイミングではない場合は(S107:no)、そのまま
図7および
図8の中央装置制御処理を終了して、
図6の遊技制御処理の特別動作処理(S60)に復帰する。そして、所定周期でタイマ割り込みが発生すると、再び
図7および
図8の中央装置制御処理を実行する。
【0061】
一方、遊技球の放出タイミングである場合は(S107:yes)、可動板ソレノイド44mを駆動して可動板44を後退状態にすることで、ストックされていた遊技球をステージ45に放出する(S108)。そして、遊技球がステージ45に放出されたことを示す放出フラグをONに設定する(S109)。
【0062】
これに対して、S106の判断において、放出フラグが既にONに設定されている場合は(S106:yes)、S107~S109の処理を省略して、5つの受入ユニット50a~50eのうち有利状態(受入口51a~51eから入った遊技球が特定領域54へと導かれる状態)になっている数を増やす有利増加タイミングであるか否かを判断する(
図8のS110)。本実施例のパチンコ機1では、遊技球がステージ45に放出される前の初期状態において、5つの受入ユニット50a~50eのうち1つが有利状態となっており、遊技球がステージ45に放出されてから所定時間(例えば30秒)が経過する毎に有利状態の数を1つずつ増やすようになっている。
【0063】
そして、有利増加タイミングである場合は(S110:yes)、5つの受入ユニット50a~50eのうち不利状態になっている振分板56の1つを、振分板ソレノイド56mの駆動によって有利状態に変更する(S111)。尚、本実施例の主制御基板200のCPU201は、本発明の「制御手段」に相当している。
【0064】
続いて、5つの受入ユニット50a~50eのうち有利状態になっている数が増えたことを示す有利増加コマンドを出力バッファに記憶する(S112)。この有利増加コマンドは、次回の出力処理(
図6のS10)でサブ制御基板220に向けて送信される。尚、本実施例の有利増加コマンドには、5つの受入ユニット50a~50eのうち有利状態となったものを指定する情報が含まれている。
【0065】
一方、S110の判断において、有利増加タイミングではない場合は(S110:no)、S111およびS112の処理を省略して、ステージ45に放出された遊技球の排出を検知したか否かを判断する(S113)。前述したように、ステージ45に放出された遊技球は、5つの受入ユニット50a~50eの何れかの受入口51a~51eに入り、特定領域54または非特定領域55を通って遊技盤20の裏面側へと排出される。このとき、特定領域54を通過する遊技球は特定領域センサー54sによって検知され、非特定領域55を通過する遊技球は非特定領域センサー55sによって検知される。そして、ステージ45に放出された遊技球の排出を、特定領域センサー54sおよび非特定領域センサー55sの何れでも検知していない場合は(S113:no)、そのまま
図7および
図8の中央装置制御処理を終了して、
図6の遊技制御処理の特別動作処理(S60)に復帰する。
【0066】
これに対して、ステージ45に放出された遊技球の排出を、特定領域センサー54sまたは非特定領域センサー55sで検知した場合は(S113:yes)、まず、前述した放出フラグをOFFに設定する(S114)。続いて、5つの受入ユニット50a~50eを初期状態に復帰させる(S115)。すなわち、5つの受入ユニット50a~50eのうち有利状態になっている振分板56を、有利状態を維持する1つを除き、振分板ソレノイド56mの駆動によって不利状態に変更する。
【0067】
さらに、5つの受入ユニット50a~50eのうち有利状態になっている数が減ったことを示す有利減少コマンドを出力バッファに記憶する(S116)。この有利減少コマンドは、次回の出力処理(
図6のS10)でサブ制御基板220に向けて送信される。尚、本実施例の有利減少コマンドには、5つの受入ユニット50a~50eのうち不利状態となったものを指定する情報が含まれている。
【0068】
そして、有利減少コマンドを出力バッファに記憶したら、
図7および
図8の中央装置制御処理を終了して、
図6の遊技制御処理の特別動作処理(S60)に復帰し、所定周期でタイマ割り込みが発生すると、再び
図7および
図8の中央装置制御処理を実行する。また、前述したように主制御基板200のCPU201は、中央装置制御処理を実行する中で各種コマンドをサブ制御基板220に向かって送信する。そして、サブ制御基板220のCPU221は、受信したコマンドに基づき、受入ユニット50a~50eの各々の上面に内蔵された示唆LED52a~52eを用いて有利状態示唆演出を行うようになっている。以下では、受入ユニット50a~50eの有利状態示唆演出を制御するためにサブ制御基板220のCPU221が行う処理(有利状態示唆演出処理)について説明する。
【0069】
C-3.有利状態示唆演出処理 :
図9は、サブ制御基板220のCPU221が行う有利状態示唆演出処理を示したフローチャートである。この有利状態示唆演出処理は、所定周期で発生するタイマ割り込みに基づいて行われる。尚、以下の説明では、CPU221の初期化処理や、割り込み禁止処理、割り込み許可処理などの周知の処理については説明を省略する。
【0070】
サブ制御基板220のCPU221は、有利状態示唆演出処理を開始すると、まず、主制御基板200から有利増加コマンドを受信したか否かを判断する(S201)。前述したように、5つの受入ユニット50a~50eのうち有利状態になっている数が増えると、有利増加コマンドが主制御基板200から出力される。また、有利増加コマンドには、5つの受入ユニット50a~50eのうち有利状態となったものを指定する情報が含まれている。
【0071】
有利増加コマンドを受信した場合は(S201:yes)、5つの受入ユニット50a~50eのうち有利状態になったと指定されたものに対応する示唆LED52a~52eを点灯する(S202)。前述したように、受入ユニット50a~50eの各々の上面に示唆LED52a~52eが内蔵されており、有利状態になっている受入ユニット50a~50eでは、示唆LED52a~52eを点灯することで、「V」の文字が浮かび上がるようになっている。
【0072】
一方、S201の判断において、有利増加コマンドを受信していない場合は(S201:no)、S202の処理を省略して、主制御基板200から有利減少コマンドを受信したか否かを判断する(S203)。前述したように、5つの受入ユニット50a~50eを初期状態に復帰させ、有利状態になっている数が減ると、有利減少コマンドが主制御基板200から出力される。また、有利減少コマンドには、5つの受入ユニット50a~50eのうち不利状態となったものを指定する情報が含まれている。そして、有利減少コマンドを受信していない場合は(S203:no)、そのまま
図9の有利状態示唆演出処理を終了する。
【0073】
これに対して、有利減少コマンドを受信した場合は(S203:yes)、5つの受入ユニット50a~50eのうち不利状態になったと指定されたものに対応する示唆LED52a~52eを消灯する(S204)。本実施例の受入ユニット50a~50eでは、初期状態において、示唆LED52a~52eのうち1つが点灯状態となっており、それ以外を消灯状態にすると、
図9の有利状態示唆演出処理を終了する。その後、所定周期でタイマ割り込みが発生したら、再び
図9の有利状態示唆演出処理を実行し、主制御基板200から有利増加コマンドを受信すると(S201:yes)、S202の処理で示唆LED52a~52eの何れかを点灯させる有利状態示唆演出を行う。
【0074】
図10は、本実施例のパチンコ機1において5つの受入ユニット50a~50eのうち有利状態となっている数が変化する例を概念的に示したタイムチャートである。前述したように本実施例のパチンコ機1では、遊技球がステージ45に放出される前の初期状態において、5つの受入ユニット50a~50eのうち1つが有利状態となっており、図示した例では、第3受入ユニット50cが有利状態となっている。従って、遊技球がステージ45に放出された直後は、受入ユニット50a~50eの何れかの受入口51a~51eに遊技球が入ったとしても、特定領域54を通過する確率は1/5(20%)である。
【0075】
そして、遊技球がステージ45に放出されてから30秒が経過すると、第1受入ユニット50aが有利状態となり、5つの受入ユニット50a~50eのうち有利状態になっている数が2つに増加する。これにより、受入ユニット50a~50eの何れかの受入口51a~51eに入った遊技球が特定領域54を通過する確率は、2/5(40%)に上昇する。
【0076】
また、第1受入ユニット50aが有利状態となってから30秒が経過すると、第4受入ユニット50dが有利状態となり、5つの受入ユニット50a~50eのうち有利状態になっている数が3つに増加する。すると、受入ユニット50a~50eの何れかの受入口51a~51eに入った遊技球が特定領域54を通過する確率は、3/5(60%)に上昇する。
【0077】
続いて、第4受入ユニット50dが有利状態となってから30秒が経過すると、第2受入ユニット50bが有利状態となり、5つの受入ユニット50a~50eのうち有利状態になっている数が4つに増加する。すると、受入ユニット50a~50eの何れかの受入口51a~51eに入った遊技球が特定領域54を通過する確率は、4/5(80%)に上昇する。
【0078】
さらに、第2受入ユニット50bが有利状態となってから30秒が経過すると、第5受入ユニット50eが有利状態となり、5つの受入ユニット50a~50eのうち有利状態になっている数が5つに増加する。その結果、受入ユニット50a~50eの何れかの受入口51a~51eに入った遊技球が特定領域54を通過する確率は、5/5(100%)となり、遊技球は全て特定領域54を通過することになる。
【0079】
以上に説明したように本実施例のパチンコ機1では、上入賞口41に入球した遊技球がステージ45に放出され、そのステージ45上を転動する遊技球を受け入れ可能に5つの受入ユニット50a~50eの受入口51a~51eが開口している。各受入ユニット50a~50e内には、特定領域54および非特定領域55が設けられており、受入口51a~51eの各々が特定領域54と非特定領域55との両方に連通している。また、各受入ユニット50a~50eは振分板56を内蔵しており、受入口51a~51eから入った遊技球が特定領域54を通過する有利状態と、非特定領域55を通過する不利状態とに振分板56によって切り換え可能である。そして、振分板56の駆動を制御することで、5つの受入ユニット50a~50e(受入口51a~51e)のうち有利状態となっている数を変更可能となっている。このようにすれば、5つの受入ユニット50a~50e(受入口51a~51e)のうち実際に有利状態となっている数が増加することにより、ステージ45上を転動して受入ユニット50a~50eの何れかの受入口51a~51eに入った遊技球が特定領域54を通過する可能性が高まるので、遊技者の期待感を効果的に高めて遊技興趣の向上を図ることが可能となる。
【0080】
特に、本実施例のパチンコ機1では、遊技球がステージ45に放出されてから所定時間(本実施例では30秒)が経過する毎に、5つの受入ユニット50a~50e(受入口51a~51e)のうち有利状態となっている数(有利数)を1つずつ増やすようになっている。このようにすれば、ステージ45に放出された遊技球が5つの受入ユニット50a~50eの何れの受入口51a~51eにも入ることなく、ステージ45上で滞留(転動)する時間が長くなるほど(耐えるほど)、有利数の増加によって遊技球が特定領域54を通過する可能性が高まる(チャンスアップする)という遊技性を付与して、遊技興趣を高めることが可能となる。
【0081】
また、本実施例のパチンコ機1では、5つの受入ユニット50a~50e(受入口51a~51e)のうち、有利状態になっている受入ユニット50a~50eでは、示唆LED52a~52eが点灯して「V」の文字が浮かび上がるのに対して、不利状態になっている受入ユニット50a~50eでは、示唆LED52a~52eが消灯している。これにより、遊技者は、受入ユニット50a~50e(受入口51a~51e)の有利状態と不利状態とを、示唆LED52a~52eの態様(点灯あるいは消灯)の違いで区別し、有利状態となっている数(有利数)を容易に認識することができるので、有利数の増加によって遊技者の期待感を上昇させることが可能となる。
【0082】
D.変形例 :
以上、本実施例のパチンコ機1について説明したが、実施態様はこれに限られるわけではなく、次のような変形例の態様で実施することも可能である。尚、変形例の説明にあたっては、上述した実施例と同様の構成部分については、実施例と同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0083】
上述した実施例のパチンコ機1では、遊技球がステージ45に放出されてから所定時間(例えば30秒)が経過する毎に、5つの受入ユニット50a~50eのうち有利状態となっている数を1つずつ増やすようになっていた。しかし、5つの受入ユニット50a~50eのうち有利状態となっている数を変化させる態様は、これに限られず、以下のようにしてもよい。
【0084】
図11は、変形例のパチンコ機1において5つの受入ユニット50a~50eのうち有利状態となっている数が変化する例を概念的に示したタイムチャートである。変形例のパチンコ機1では、5つの受入ユニット50a~50eの各々について周期的に有利状態と不利状態とを切り換えると共に、それぞれの周期を異ならせている。すなわち、図示されるように、第1受入ユニット50aの周期が最も短く、第4受入ユニット50d、第2受入ユニット50b、第5受入ユニット50eの順に周期が長くなり、第3受入ユニット50cの周期が最も長くなっている。尚、本変形例のパチンコ機1では、受入ユニット50a~50eにおける周期的な有利状態と不利状態との切り換えを、ステージ45への遊技球の放出を契機として開始することとしているが、ステージ45への遊技球の放出にかかわらず、周期的な切り換えを常時行ってもよい。
【0085】
図示した例では、遊技球がステージ45に放出されるタイミングで、まず、第3受入ユニット50cが有利状態となり、それ以外は不利状態であるため、受入ユニット50a~50eの何れかの受入口51a~51eに入った遊技球が特定領域54を通過する確率(以下、特定領域通過確率)は1/5(20%)である。そして、第1受入ユニット50aが有利状態となるタイミングで、第4受入ユニット50dも有利状態となり、特定領域通過確率は3/5(60%)に上昇するものの、短い周期で第1受入ユニット50aが不利状態に戻るので、特定領域通過確率は2/5(40%)に低下する。
【0086】
続いて、第1受入ユニット50aが有利状態となるタイミングで、第2受入ユニット50bも有利状態となるものの、第4受入ユニット50dが不利状態に戻るため、特定領域通過確率は3/5(60%)になり、第1受入ユニット50aが不利状態に戻ると、特定領域通過確率は2/5(40%)になる。
【0087】
また、次に第1受入ユニット50aが有利状態となるタイミングで、第4受入ユニット50dおよび第5受入ユニット50eも有利状態となり、5つの受入ユニット50a~50eの全てが有利状態となるため、特定領域通過確率は5/5(100%)になる。ただし、第1受入ユニット50aが不利状態に戻るタイミングで、第2受入ユニット50bおよび第3受入ユニット50cも不利状態に戻るため、特定領域通過確率は2/5(40%)に低下する。
【0088】
さらに、再び第1受入ユニット50aが有利状態となるタイミングで、第4受入ユニット50dが不利状態に戻るため、特定領域通過確率は2/5(40%)のまま維持され、第1受入ユニット50aが不利状態に戻ると、有利状態は第5受入ユニット50eだけとなり、特定領域通過確率は1/5(20%)に低下する。
【0089】
その後、第1受入ユニット50aが有利状態となるタイミングで、第2受入ユニット50bおよび第4受入ユニット50dも有利状態となり、特定領域通過確率は4/5(80%)に上昇するものの、第1受入ユニット50aが不利状態に戻るタイミングで、第5受入ユニット50eも不利状態に戻るので、特定領域通過確率は2/5(40%)に低下する。
【0090】
以上に説明したように変形例のパチンコ機1では、5つの受入ユニット50a~50e(受入口51a~51e)の各々について異なる周期で有利状態と不利状態とを切り換えるようになっている。このように5つの受入ユニット50a~50e(受入口51a~51e)の各々で有利状態と不利状態とが切り換わる周期が異なることにより、5つの受入ユニット50a~50e(受入口51a~51e)のうち有利状態となっている数がランダムに変化するので、特定のタイミングで有利状態が揃うと、受入ユニット50a~50eの何れかの受入口51a~51eに入った遊技球が特定領域54を通過する可能性が最大となる(大チャンスとなる)という遊技性を付与して、遊技興趣を高めることが可能となる。
【0091】
以上、本発明の実施例および変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0092】
例えば、前述した実施例では、ステージ45の中央に回転体46が設けられており、ステージ45に放出された遊技球は、ステージ45の皿状の傾斜によって中央に向かって転動すると共に、回転する回転体46の突出部46aと衝突してステージ45の外縁に向けてはね飛ばされることで、ステージ45上で停止することなく転動し続けるようになっていた。しかし、回転体46を設けずに、ステージ45自体を揺らすことによって、ステージ45上で遊技球が転動し続けるようにしてもよい。
【0093】
また、前述した実施例では、遊技球がステージ45に放出されてからの経過時間に応じて、5つの受入ユニット50a~50eのうち有利状態となっている数を変化(増加)させるようになっていた。しかし、5つの受入ユニット50a~50eのうち有利状態となっている数を変化させる態様は、これに限られず、小当り遊技における上入賞口41への遊技球の入球数に応じて、5つの受入ユニット50a~50eのうち有利状態となっている数(有利数)を設定してもよい。例えば、入球数が1つであれば、有利数を1つとし、入球数が2つであれば、有利数を2つとし、入球数が3つであれば、有利数を3つとし、入球数が4つであれば、有利数を4つとし、入球数が5つ以上であれば、有利数を5つとしてもよい。あるいは、小当り図柄の種類に応じて有利数を設定してもよい。
【0094】
また、前述した実施例では、有利状態となっている受入ユニット50a~50eについて、示唆LED52a~52eを点灯することで、有利状態を示唆するようになっていた。しかし、有利状態と不利状態とで態様が異なっていればよく、有利状態となっている受入ユニット50a~50eでは、可動体を作動させて旗を立てるなどしてもよい。
【0095】
また、前述した実施例では、小当り遊技で上入賞口41に入球した複数の遊技球のうち、最先に入球した遊技球をステージ45に放出するようになっていた。しかし、ステージ45に放出する遊技球は1つに限られず、上入賞口41に入球した遊技球の全てをステージ45に放出することとしてもよい。
【0096】
また、前述した実施例では、小当り遊技で上入賞口41に入球した遊技球が受入ユニット50a~50eの何れかの受入口51a~51eに入って特定領域54を通過した場合に大当り遊技を実行するパチンコ機1(いわゆる羽根物)に、本発明を適応した例について説明した。しかし、本発明の適用は羽根物に限られず、特別図柄が大当り図柄で停止表示された場合にも大当り遊技を実行するパチンコ機1(いわゆる1種2種混合機)に対しても、本発明を好適に適用することが可能である。
【0097】
また、前述した実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を払い出すことによって、遊技の結果としての利益(遊技価値)を遊技者に付与するパチンコ機1に本発明を適用した例を説明した。これに限らず、「遊技球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入球口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプのパチンコ機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上述した実施例と同様の効果を得ることができる。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプのパチンコ機としては、パチンコ機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入球口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成されたパチンコ機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。
【0098】
<上述した実施例および変形例から抽出できる遊技機A1~A4>
上述した実施例および変形例のパチンコ機1は、次のような遊技機A1~A4として捉えることができる。
【0099】
<遊技機A1>
遊技盤に形成された遊技領域に遊技球を発射することによって遊技を行う遊技機において、
前記遊技領域に発射された前記遊技球が所定の進入経路を通って進入可能であり、遊技者が視認することが可能なステージと、
前記ステージ上で前記遊技球を転動させる転動手段と、
前記ステージ上の前記遊技球を受け入れ可能に複数が開口しており、各々が特定領域および非特定領域と連通する受入口と、
前記受入口に受け入れられた前記遊技球が前記特定領域を通過したことに基づいて、遊技者にとって有利な特定状態を発生させる特定状態発生手段と、
前記複数の受入口の各々について、該受入口に受け入れられた前記遊技球が前記特定領域を通過する有利状態と、前記非特定領域を通過する不利状態とを切り換え可能な切換手段と、
前記切換手段の駆動を制御し、前記複数の受入口のうち前記有利状態となっている数を変更可能な制御手段と
を備えることを特徴とする遊技機。
【0100】
このような遊技機A1では、ステージ上の遊技球を受け入れ可能に開口した複数の受入口の各々について、切換手段の駆動によって有利状態と不利状態とに切り換えることが可能であり、実際に有利状態となっている受入口の数(有利数)が増加することで、遊技球が特定領域を通過する可能性が高まるので、遊技者の期待感を効果的に高めて遊技興趣の向上を図ることが可能となる。
【0101】
<遊技機A2>
遊技機A1において、
前記複数の受入口のうち、前記有利状態となっている前記受入口を、前記不利状態となっている前記受入口とは異なる態様で遊技者に示す示唆手段を備える
ことを特徴とする遊技機。
【0102】
このような遊技機A2によれば、遊技者は、受入口の有利状態と不利状態とを態様の違いで区別して、有利状態となっている受入口の数(有利数)を容易に認識することができるので、有利数の増加によって遊技者の期待感を上昇させることが可能となる。
【0103】
<遊技機A3>
遊技機A1または遊技機A2において、
前記ステージへの前記遊技球の進入を許可する許可状態と、前記遊技球の進入を禁止する禁止状態とを切り換え可能な変更手段を備え、
前記制御手段は、前記変更手段の作動で前記許可状態になってから所定時間が経過する毎に、前記複数の受入口のうち前記有利状態となっている数を1つずつ増やす
ことを特徴とする遊技機。
【0104】
このような遊技機A3では、許可状態でステージに進入した遊技球が何れの受入口にも入ることなく、ステージ上で滞留(転動)する時間が長くなるほど(耐えるほど)、有利数の増加によって遊技球が特定領域を通過する可能性が高まる(チャンスアップする)という遊技性を付与して、遊技興趣を高めることが可能となる。
【0105】
<遊技機A4>
遊技機A1または遊技機A2において、
前記制御手段は、前記複数の受入口の各々について異なる周期で前記有利状態と前記不利状態とを切り換える
ことを特徴とする遊技機。
【0106】
このような遊技機A4では、複数の受入口の各々で有利状態と不利状態とが切り換わる周期が異なることにより、有利数がランダムに変化するので、特定のタイミングで有利状態が揃うと、遊技球が特定領域を通過する可能性が最大となる(大チャンスとなる)という遊技性を付与して、遊技興趣を高めることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、遊技ホールで用いられる遊技機に利用することができる。
【符号の説明】
【0108】
1…パチンコ機(遊技機)、 20…遊技盤、 21…遊技領域、
24…中始動口、 25…左始動口、 26…右始動口、
27…下入賞口、 40…中央装置、 41…上入賞口、
42…翼片、 43…入球通路、 43a…放出通路、
44…可動板(変更手段)、 45…ステージ、 46…回転体(転動手段)、
46a…突出部、 50…受入ユニット、 51…受入口、
52…示唆LED(示唆手段)、 53…隔壁、 54…特定領域、
55…非特定領域、 56…振分板(切換手段)、 200…主制御基板、
201…CPU(特定状態発生手段、制御手段)、 202…ROM、
203…RAM、 220…サブ制御基板、 221…CPU。