IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東海理化電機製作所の特許一覧

<>
  • 特開-筐体装置 図1
  • 特開-筐体装置 図2
  • 特開-筐体装置 図3
  • 特開-筐体装置 図4
  • 特開-筐体装置 図5
  • 特開-筐体装置 図6
  • 特開-筐体装置 図7
  • 特開-筐体装置 図8
  • 特開-筐体装置 図9
  • 特開-筐体装置 図10
  • 特開-筐体装置 図11
  • 特開-筐体装置 図12
  • 特開-筐体装置 図13
  • 特開-筐体装置 図14
  • 特開-筐体装置 図15
  • 特開-筐体装置 図16
  • 特開-筐体装置 図17
  • 特開-筐体装置 図18
  • 特開-筐体装置 図19
  • 特開-筐体装置 図20
  • 特開-筐体装置 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173136
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】筐体装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20231130BHJP
   E05B 19/00 20060101ALI20231130BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20231130BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20231130BHJP
【FI】
E05B49/00 J
E05B19/00 E
H02J50/10
B60R25/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085172
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】小杉 正則
(72)【発明者】
【氏名】九鬼 篤史
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250CC01
2E250FF23
2E250FF36
2E250HH01
2E250JJ03
2E250LL01
(57)【要約】
【課題】無線通信に基づいて施解錠装置を遠隔制御する通信装置を格納する筐体装置の利便性を高める。
【解決手段】電子キー12は、施解錠装置に開閉体を施解錠させる遠隔制御信号を無線送信可能であり、かつ当該施解錠装置を機械的に操作する機械式鍵128が着脱可能とされている。開閉体により開閉される空間内に配置される筐体装置の筐体は、電子キー12が格納される格納部131aを有している。アクチュエータは、格納部131aに格納された電子キー12の可動部121を操作可能である。機械式鍵128が取り外された状態で可動部121が前記アクチュエータにより操作されうる姿勢をとったときの電子キー12は、非対称性を呈する形状を有している。格納部131aは、前記非対称性が反映された形状を有している。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉体により開閉される空間内に配置される筐体装置であって、
施解錠装置に前記開閉体を施解錠させる遠隔制御信号を無線送信可能であり、かつ当該施解錠装置を機械的に操作する機械式鍵が着脱可能とされている通信装置が格納される格納部を有している筐体と、
前記格納部に格納された前記通信装置の可動部を操作可能であるアクチュエータと、
を備えており、
前記機械式鍵が取り外された状態で前記可動部が前記アクチュエータにより操作されうる姿勢をとったときの前記通信装置は、非対称性を呈する形状を有しており、
前記格納部は、前記非対称性が反映された形状を有している、
筐体装置。
【請求項2】
前記機械式鍵に代えて前記通信装置に装着されることにより、前記通信装置を前記格納部に係止する係止部材を備えている、
請求項1に記載の筐体装置。
【請求項3】
前記通信装置には第一コイルが搭載されており、
前記筐体内に配置されており、前記第一コイルを通じて前記通信装置に無線給電を行なう第二コイルを備えている、
請求項1に記載の筐体装置。
【請求項4】
開閉体により開閉される空間内に配置される筐体装置であって、
施解錠装置に前記開閉体を施解錠させる遠隔制御信号を無線送信可能であり、かつ当該施解錠装置を機械的に操作する機械式鍵が着脱可能とされている通信装置が格納される格納部を有している筐体と、
前記格納部に格納された前記通信装置の可動部を操作可能であるアクチュエータと、
前記機械式鍵に代えて前記通信装置に装着可能であり、前記通信装置を前記格納部に係止する係止部材と、
を備えており、
前記格納部は、前記通信装置が前記アクチュエータによる前記可動部の操作が可能な姿勢とされた場合に前記係止部材による係止を許容する形状を有している、
筐体装置。
【請求項5】
前記通信装置には第一コイルが搭載されており、
前記筐体内に配置されており、前記第一コイルを通じて前記通信装置に無線給電を行なう第二コイルを備えている、
請求項2または4に記載の筐体装置。
【請求項6】
前記係止部材は、前記無線給電に使用される電波を透過させる材料で形成されている、
請求項5に記載の筐体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信に基づいて施解錠装置を遠隔制御する通信装置を格納する筐体装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両のドアにより開閉される車室内に配置される筐体装置を開示している。筐体装置は、格納部、通信部、およびアクチュエータを備えている。格納部は、通信装置の一例としての電子キーを格納する。電子キーは、特定の操作がなされることにより、無線通信を通じて当該車両に搭載された制御装置に施解錠装置の制御を行なわせる装置である。ユーザによる携帯が可能であるモバイル装置から通信部が施解錠指示を受信すると、アクチュエータは、電子キーに対して上記特定の操作を行なう。これにより、車室内に電子キーを残した状態で、例えば車室外からモバイル装置を通じて施解錠装置の動作を遠隔制御できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3418985号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような筐体装置の利便性を高めることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示により提供される態様例の一つは、開閉体により開閉される空間内に配置される筐体装置であって、
施解錠装置に前記開閉体を施解錠させる遠隔制御信号を無線送信可能であり、かつ当該施解錠装置を機械的に操作する機械式鍵が着脱可能とされている通信装置が格納される格納部を有している筐体と、
前記格納部に格納された前記通信装置の可動部を操作可能であるアクチュエータと、
を備えており、
前記機械式鍵が取り外された状態で前記可動部が前記アクチュエータにより操作されうる姿勢をとったときの前記通信装置は、非対称性を呈する形状を有しており、
前記格納部は、前記非対称性が反映された形状を有している。
【0006】
上記のような構成によれば、機械式鍵が装着されたままの状態では、通信装置を格納部に格納することができない。したがって、機械式鍵を通信装置から取り外すという操作を通じて、正しい姿勢での通信装置の格納を促すことができる。すなわち、アクチュエータによる可動部の操作が不能である姿勢で通信装置が格納部内に配置される事態を回避できる。通信装置が期せずして誤った姿勢で格納されることにより所望の施解錠操作を行なえない事態を回避できるので、無線通信に基づいて施解錠装置を遠隔制御する通信装置を格納する筐体装置の利便性を高めることができる。
【0007】
本開示により提供される態様例の一つは、開閉体により開閉される空間内に配置される筐体装置であって、
施解錠装置に前記開閉体を施解錠させる遠隔制御信号を無線送信可能であり、かつ当該施解錠装置を機械的に操作する機械式鍵が着脱可能とされている通信装置が格納される格納部を有している筐体と、
前記格納部に格納された前記通信装置の可動部を操作可能であるアクチュエータと、
前記機械式鍵に代えて前記通信装置に装着可能であり、前記通信装置を前記格納部に係止する係止部材と、
を備えており、
前記格納部は、前記通信装置が前記アクチュエータによる前記可動部の操作が可能な姿勢とされた場合に前記係止部材による係止を許容する形状を有している。
【0008】
上記のような構成によれば、機械式鍵を係止部材で置き換えるという操作を通じて、正しい姿勢での通信装置の格納を促すことができる。すなわち、アクチュエータによる可動部の操作が不能である姿勢で通信装置が格納部内に配置される事態を回避できる。通信装置が期せずして誤った姿勢で格納されることにより所望の施解錠操作を行なえない事態を回避できるので、無線通信に基づいて施解錠装置を遠隔制御する通信装置を格納する筐体装置の利便性を高めることができる。
【0009】
加えて、機械式鍵を取り外すことにより生じた空間を有効に活用して通信装置の筐体装置に対する位置ずれを抑制できる。これにより、アクチュエータによる可動部の操作に係る動作安定性を高めることができる。通信装置の位置ずれに起因して所望の施解錠操作を行なえない事態の発生を抑制できるので、無線通信に基づいて施解錠装置を遠隔制御する通信装置を格納する筐体装置の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る遠隔制御システムの構成を例示している。
図2図1の筐体装置の構成の一例を示している。
図3】一実施形態に係る無線給電システムの回路構成を例示している。
図4図2の筐体装置の動作の一例を示している。
図5図2の筐体装置の動作の一例を示している。
図6図2の電子キーの外観を例示している。
図7図6の電子キーから機械式鍵が取り外された状態を例示している。
図8図6の電子キーを格納するための格納部の外観を例示している。
図9図8の格納部の構成の別例を示している。
図10図9の格納部に電子キーが係止された状態を例示している。
図11】別例に係る電子キーの外観を例示している。
図12図11の電子キーから機械式鍵が取り外された状態を例示している。
図13図11の電子キーを格納するための格納部の外観を例示している。
図14図13の格納部の構成の別例を示している。
図15図14の格納部に電子キーが係止された状態を例示している。
図16】別例に係る電子キーの外観を例示している。
図17図16の電子キーから機械式鍵が取り外された状態を例示している。
図18図16の電子キーに係止部材が装着された状態を例示している。
図19図16の電子キーを格納するための格納部の外観を例示している。
図20図19における線XX-XXに沿う線に沿って矢印方向から見た断面を例示している。
図21図19の格納部に電子キーが係止された状態を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について以下詳細に説明する。図1は、一実施形態に係る遠隔制御システム10の構成を例示している。各図においては、例示される各要素を認識可能な大きさとするために、縮尺を適宜に変更している。
【0012】
添付の図面において、矢印Fは、図示された構造の前方向を示している。矢印Bは、図示された構造の後方向を示している。矢印Uは、図示された構造の上方向を示している。矢印Dは、図示された構造の下方向を示している。矢印Rは、図示された構造の右方向を示している。矢印Lは、図示された構造の左方向を示している。これらの方向に係る表現は、説明の便宜のために用いるものであり、図示された構造の実際の使用状態における姿勢や方向を限定するものではない。
【0013】
本明細書で用いられる「前後方向」という語は、上記の前方向と後方向に沿う方向を意味している。本明細書で用いられる「上下方向」という語は、上記の上方向と下方向に沿う方向を意味している。本明細書で用いられる「左右方向」という語は、上記の左方向と右方向に沿う方向を意味している。
【0014】
本明細書における「X方向に沿う方向」という表現は、X方向に直交する方向よりもX方向に近い方向を含む意味で用いられる。
【0015】
遠隔制御システム10は、モバイル装置11を含んでいる。モバイル装置11は、ユーザ20により携帯可能な装置である。モバイル装置11の例としては、スマートフォンなどの汎用携帯情報端末が挙げられる。
【0016】
遠隔制御システム10は、電子キー12を含んでいる。電子キー12もまた、ユーザ20による携帯が可能な装置である。電子キー12は、第一無線通信に基づいて車両30に搭載された制御装置31に施解錠装置32の動作制御を行なわせることが可能な無線通信装置である。施解錠装置32は、車両30の車室33を開閉するドア34を施解錠する装置である。
【0017】
車両30は、移動体の一例である。施解錠装置32は、被制御装置の一例である。ドア34は、開閉体の一例である。車室33は、開閉体により開閉される空間の一例である。
【0018】
第一無線通信は、第一周波数帯を用いる第一信号S1と第二周波数帯を用いる第二信号S2の送受信を含んでいる。第一周波数帯と第二周波数帯は相違している。第一周波数帯の例としては、長波(LF)帯が挙げられる。第二周波数帯の例としては、極超短波(UHF)帯が挙げられる。換言すると、電子キー12は、施解錠装置32の制御に必要な情報を出力する。
【0019】
具体的には、車両30における適宜の箇所に配置された通信装置を通じて第一信号S1が送信される。第一信号S1の送信は、連続的になされてもよいし、断続的になされてもよい。電子キー12は、第一信号S1の受信と第二信号S2の送信が可能なアンテナを含む通信装置を備えている。電子キー12は、第一信号S1を受信すると第二信号S2を送信するように構成されている。第二信号S2は、電子キー12の認証に必要な認証情報を含むように構成されている。認証情報は、電子キー12とユーザ20の少なくとも一方を特定可能な情報である。
【0020】
制御装置31は、車両30における適宜の箇所に配置された通信装置を通じて第二信号S2を受信すると、認証処理を実行するように構成されている。具体的には、制御装置31は、第二信号S2に含まれる認証情報を、不図示の記憶装置に予め格納されている電子キー12の認証情報と照合するように構成されている。両情報の一致度が閾値を上回る場合、制御装置31は、電子キー12の認証が成立したと判断する。
【0021】
制御装置31は、電子キー12の認証が成立したと判断されると、施解錠装置32にドア34の施解錠を許可する制御信号CSを出力するように構成されている。この状態でユーザ20が例えばドアハンドルに設けられたタッチセンサに触れると、施解錠装置32はドア34を施解錠する。
【0022】
すなわち、電子キー12を携帯したユーザ20が第一信号S1を受信可能な領域に進入すると、第一無線通信を通じて電子キー12の認証がなされる。認証が成立すると、ユーザ20は、キーをキーシリンダに挿入して回すといった動作を行なうことなく、ドア34を施解錠できる。第二信号S2は、遠隔制御信号の一例である。
【0023】
遠隔制御システム10は、筐体装置13を含んでいる。筐体装置13は、車両30の車室33内における適宜の場所に設置されるように構成されている。当該場所には、車室33内に設置されたグローブボックスやアクセサリボックスなどの収容空間が含まれうる。筐体装置13は、電子キー12を格納できるように構成されている。すなわち、電子キー12は、車室33内に配置されうる。
【0024】
図2に例示されるように、筐体装置13は、筐体131を備えている。筐体131は、少なくとも第二信号S2が透過可能な材料により形成されている。筐体131は、電子キー12が格納される格納部131aを有している。
【0025】
筐体装置13は、アクチュエータ132を備えている。アクチュエータ132は、格納部131aに格納された電子キー12の可動部121を操作可能に構成されている。電子キー12は、可動部121に対して所定の操作がなされると、第一信号S1の受信状態に依らず第二信号S2を送信するように構成されている。可動部121は、ボタンやレバーなどにより実現されうる。アクチュエータ132は、ソレノイド、カム機構、ラックピニオン機構などにより実現されうる。電子キー12に第二信号S2を送信させるための可動部121の操作の例としては、少なくとも一回の押下操作などが挙げられる。
【0026】
筐体装置13は、通信部133を備えている。通信部133は、モバイル装置11と第二無線通信を行なうためのアンテナを備えている。本例においては、第二無線通信は、短距離無線通信である。
【0027】
本明細書において用いられる「短距離無線通信」という語は、標準規格であるIEEE802.15またはIEEE802.11に準拠して行なわれる無線通信を意味する。そのような無線通信を実行可能な技術としては、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth Low Energy(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、UWB(Ultra Wide Band)などが挙げられる。本明細書における「短距離無線通信」は、読取装置から送信される電波から微小な電力を得てモバイル装置が情報の送信を行なう非接触通信技術を用いる「近接無線通信」とは区別される。近接無線通信を実行可能な技術としては、RF-IDやNFCなどが挙げられる。
【0028】
電子キー12は、第一信号S1に応答して第二信号S2を送信する通信装置に電力を供給するための電池を収容可能な収容部を備えている。収容部は、当該電池に代えて、第一コイル122も収容可能に構成されている。第一コイル122は、軸心122aを有する空芯コイルである。
【0029】
本例に係る筐体装置13は、第二コイル134を備えている。第二コイル134は、軸心134aを有する空芯コイルである。第二コイル134は、格納部131aに格納された電子キー12の第一コイル122を包囲するように配置されている。
【0030】
本明細書で用いられる「第二コイル134が第一コイル122を包囲する」という表現は、第二コイル134の軸心134aに直交する向きから見て第一コイル122と第二コイル134の少なくとも一部が重なっている状態を意味している。
【0031】
本例に係る筐体装置13は、電源135を備えている。電源135は、交流電源である。電源135の動作周波数は、上記の第一信号S1の周波数および第二信号S2の周波数と異なるように、かつ第一信号S1の周波数および第二信号S2の周波数の各々に影響を与えないように定められる。例えば、第一信号S1の周波数および第二信号S2の周波数の各々の逓倍である周波数は使用されない。
【0032】
具体的には、図3に例示されるように、電源135は、第二コイル134およびコンデンサ136とともに一次側の無線給電回路を形成している。第二コイル134とコンデンサ136は、LC直列共振回路を形成している。当該無線給電回路は、給電制御装置の一例である。
【0033】
他方、電子キー12においては、第一コイル122がコンデンサ123、ダイオード124、およびコンデンサ125とともに二次側の無線給電回路を形成している。第一コイル122とコンデンサ123は、共振ループ回路を形成している。ダイオード124は半端整流を行なうために設けられている。コンデンサ125は、平滑化を行なうために設けられている。
【0034】
筐体装置13に電子キー12が格納された状態で車両30のドア34の解錠を希望するユーザ20は、モバイル装置11に対して所定の操作を入力する。操作入力は、スイッチまたはスイッチ画像の操作、音声指示入力、ジェスチャ入力などによりなされうる。図1に例示されるように、モバイル装置11は、当該所定の操作に基づいて解錠信号ULを送信するように構成されている。
【0035】
図2に例示されるように、筐体装置13は、制御部137を備えている。制御部137は、アクチュエータ132と電源135の動作を制御可能に構成されている。
【0036】
具体的には、図4に例示されるように、制御部137は、通信部133により解錠信号ULが受信されると、電源135に第二コイル134への給電を行なわせるように構成されている。これにより、第二コイル134から第一コイル122への無線給電がなされ、第一コイル122に起電力が発生する。
【0037】
図3に例示されるように、電子キー12には電圧レギュレータ126が搭載されている。電圧レギュレータ126は、無線給電により第一コイル122に生じた電力を所定の値に制限して負荷127へ供給するように構成されている。負荷127は、第二信号S2の送信に必要な要素を含んでいる。
【0038】
加えて、制御部137は、通信部133により解錠信号ULが受信されると、電子キー12に第二信号S2を送信させるための可動部121の操作をアクチュエータ132に行なわせるように構成されている。
【0039】
したがって、図5に例示されるように、通信部133により解錠信号ULが受信されると、無線給電を通じて電子キー12が起動され、アクチュエータ132による可動部121の操作を通じて、電子キー12から第二信号S2が送信される。
【0040】
電子キー12から送信された第二信号S2は、車両30に搭載された制御装置31により受信される。前述の通り、制御装置31は、第二信号S2を受信すると、電子キー12の認証処理を行なう。認証処理が成立すると、制御装置31は、施解錠装置32にドア34を解錠させる制御信号CSを出力する。第二信号S2は、遠隔制御信号の一例である。
【0041】
よって、車室33内に設置された筐体装置13に電子キー12が格納された状態でユーザ20がモバイル装置11から解錠信号ULを送信すると、ドア34を解錠できる。換言すると、ユーザ20は、電子キー12を携帯せずとも、車室33の外からモバイル装置11に対する所定の操作を通じてドア34を解錠できる。
【0042】
図6は、電子キー12を上方から見た外観を例示している。電子キー12は、機械式鍵128を備えている。機械式鍵128は、電子キー12の本体に対して着脱可能とされている。
【0043】
電池切れなどにより電子キー12の通信装置が動作不能になった場合、図7に例示されるように、機械式鍵128が電子キー12の本体から取り外される。機械式鍵128は、鍵本体部128aを備えている。車両30のドア34に設けられた鍵穴に鍵本体部128aを挿入して回すことにより、施解錠装置32を機械的に操作できる。すなわち、電子キー12の無線通信機能が失われても、ユーザ20は、機械式鍵128を用いてドア34を施解錠できる。
【0044】
図8は、筐体装置13の格納部131aを上方から見た外観を例示している。機械式鍵128が取り外された状態で可動部121が上方を向いた姿勢をとったときの電子キー12は、前後方向と左右方向について非対称性を呈する形状を有している。格納部131aは、この非対称性が反映された形状を有している。具体的には、可動部121がアクチュエータ132により操作されうる姿勢をとったときの電子キー12の外郭形状に対応するように、格納部131aに凸部131bが形成されている。
【0045】
このような構成によれば、機械式鍵128が装着されたままの状態では、機械式鍵128と凸部131bが干渉して電子キー12を格納部131aに格納することができない。したがって、機械式鍵128を電子キー12から取り外すという操作を通じて、正しい姿勢での電子キー12の格納を促すことができる。すなわち、アクチュエータ132による可動部121の操作が不能である姿勢で電子キー12が格納部131a内に配置される事態を回避できる。電子キー12が期せずして誤った姿勢で格納されることにより所望の施解錠操作を行なえない事態を回避できるので、無線通信に基づいて施解錠装置32を遠隔制御する電子キー12を格納する筐体装置13の利便性を高めることができる。
【0046】
機械式鍵128の鍵本体部128aは、金属材料により形成されうる。この場合、筐体装置13の第二コイル134から電子キー12内の第一コイル122へ無線給電がなされる際に、電子キー12内に配置された鍵本体部128aの発熱を考慮する必要が生じる。上記のような構成によれば、電子キー12の格納部131aへの格納時に機械式鍵128が取り外されるので、そのような考慮の必要性を回避できる。
【0047】
図9に例示されるように、筐体装置13は、係止部材138を備えうる。係止部材138は、無線給電により発熱しない材料により形成されることが好ましい。この場合、格納部131aには貫通穴131cが形成される。貫通穴131cは、機械式鍵128が取り外されることにより電子キー12に形成される空間129と対向するように配置される。
【0048】
図10に例示されるように、係止部材138は、貫通穴131cに挿入される。係止部材138の先端部138aは、電子キー12の空間129内に配置される。これにより、電子キー12が格納部131aに対して係止される。なお、所望の係止機能が発揮されるのであれば、必ずしも係止部材138の先端部138aの形状が空間129の形状と一致していることを要しない。
【0049】
このような構成によれば、機械式鍵128を取り外すことにより生じた空間129を有効に活用して電子キー12の筐体装置13に対する位置ずれを抑制できる。これにより、アクチュエータ132による可動部121の操作に係る動作安定性を高めることができる。電子キー12の位置ずれに起因して所望の施解錠操作を行なえない事態の発生を抑制できるので、無線通信に基づいて施解錠装置32を遠隔制御する電子キー12を格納する筐体装置13の利便性を高めることができる。
【0050】
図11は、別例に係る電子キー12を下方から見た外観を示している。図12は、機械式鍵128が電子キー12から取り外された状態を例示している。機械式鍵128が取り外された状態で可動部121が上方を向いた姿勢をとったときの電子キー12は、左右方向と上下方向について非対称性を呈する形状を有している。
【0051】
図13は、図11の電子キー12を格納するための筐体装置13の格納部131aを上方から見た外観を例示している。格納部131aは、この非対称性が反映された形状を有している。具体的には、可動部121がアクチュエータ132により操作されうる姿勢をとったときの電子キー12の底面形状に対応するように、格納部131aに凸部131dが形成されている。
【0052】
この場合、機械式鍵128が装着されたままの状態では、機械式鍵128と凸部131dが干渉して電子キー12を格納部131aに格納することができない。したがって、本例に係る構成によっても、機械式鍵128を電子キー12から取り外すという操作を通じて、正しい姿勢での電子キー12の格納を促すことができる。
【0053】
図14に例示されるように、本例においても、係止部材138が挿入される貫通穴131cが格納部131aに形成されうる。貫通穴131cは、機械式鍵128が取り外されることにより電子キー12に形成される空間129と対向するように、凸部131d内を延びている。
【0054】
図15に例示されるように、係止部材138が貫通穴131cに挿入されると、係止部材138の先端部138aは、電子キー12の空間129内に配置される。これにより、電子キー12が格納部131aに対して係止される。
【0055】
図16は、別例に係る電子キー12を上方から見た外観を示している。図17は、機械式鍵128が電子キー12から取り外された状態を例示している。本例においては、図18に例示されるように、格納部131aへの格納に先立ち、取り外された機械式鍵128に代えて係止部材138が電子キー12に装着される。具体的には、係止部材138の第一端部138bが、機械式鍵128が取り外されることにより電子キー12に形成される空間129内に配置される。なお、後述する所望の係止機能が発揮されるのであれば、必ずしも係止部材138の第一端部138bの形状が空間129の形状と一致していることを要しない。
【0056】
図19は、図13の電子キー12を格納するための筐体装置13の格納部131aを上方から見た外観を例示している。図20は、図19における線XX-XXに沿って矢印方向から見た格納部131aの断面を例示している。
【0057】
格納部131aは、電子キー12がアクチュエータ132による可動部121の操作が可能な姿勢とされた場合に係止部材138との係合を許容する形状を有している。具体的には、格納部131aに貫通穴131eが形成されている。
【0058】
係止部材138が装着された電子キー12は、上下方向について非対称な形状を呈する。すなわち、可動部121が上方を向く姿勢をとる場合と可動部121が下方を向く姿勢をとる場合とで、係止部材138の上下方向における位置が変化する。貫通穴131eは、可動部121が上方を向く姿勢を電子キー12がとる場合に係止部材138と対向しうる位置に形成されている。
【0059】
図21に例示されるように、係止部材138の第二端部138cが貫通穴131eと係合されると、電子キー12が格納部131aに対して係止される。なお、第二端部138cには、スナップフィット構造などの係止構造が適宜に設けられうる。
【0060】
このような構成によれば、機械式鍵128を係止部材138で置き換えるという操作を通じて、正しい姿勢での電子キー12の格納を促すことができる。すなわち、アクチュエータ132による可動部121の操作が不能である姿勢で電子キー12が格納部131a内に配置される事態を回避できる。電子キー12が期せずして誤った姿勢で格納されることにより所望の施解錠操作を行なえない事態を回避できるので、無線通信に基づいて施解錠装置32を遠隔制御する電子キー12を格納する筐体装置13の利便性を高めることができる。
【0061】
加えて、機械式鍵128を取り外すことにより生じた空間129を有効に活用して電子キー12の筐体装置13に対する位置ずれを抑制できる。これにより、アクチュエータ132による可動部121の操作に係る動作安定性を高めることができる。電子キー12の位置ずれに起因して所望の施解錠操作を行なえない事態の発生を抑制できるので、無線通信に基づいて施解錠装置32を遠隔制御する電子キー12を格納する筐体装置13の利便性を高めることができる。
【0062】
なお、前述した各例に用いられる係止部材138は、第二コイル134から第一コイル122への無線給電に使用される電波を透過させる材料で形成されうる。そのような材料の例としては、樹脂が挙げられる。このような構成によれば、機械式鍵128に代えて使用される係止部材138によって無線給電が阻害される事態を回避できる。
【0063】
上記の実施形態は、本開示の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜に変更されうる。
【0064】
上記の実施形態においては、係止部材138は、格納部131aから独立した部材として提供されている。しかしながら、係止部材138は、格納部131aの一部であってもよい。その場合、係止部材138は、電子キー12の格納部131aへの格納を阻害しない形状と配置を適宜にとりうる。
【0065】
上記の実施形態においては、係止部材138は、機械式鍵128に代えて電子キー12に装着される部材として提供されている。しかしながら、機械式鍵128を係止部材138として使用する構成も採用されうる。本明細書で用いられる「機械式鍵に代えて」という表現は、機械式鍵128が本来と異なる役割で使用されている場合を含む意味である。
【0066】
上記の実施形態においては、筐体装置13の第二コイル134が電子キー12の第一コイル122を包囲するように配置されている。しかしながら、第一コイル122への無線給電を遂行可能であれば、筐体131内における第二コイル134の配置は適宜に変更されうる。
【0067】
上記の実施形態においては、制御装置31と電子キー12との間で行なわれる第一無線通信は、異なる周波数帯を使用している。しかしながら、第一無線通信は、同一の周波数帯を用いる適宜の無線通信規格に基づいて行なわれうる。
【0068】
上記の実施形態においては、モバイル装置11と筐体装置13の通信部133との間で行なわれる第二無線通信は、短距離無線通信である。この場合、車室33内に設置される筐体装置13の配置自由度を高めることができる。しかしながら、第二無線通信は、近接無線通信であってもよい。
【0069】
本開示に係る遠隔制御システム10は、他の移動体にも適用されうる。その他の移動体の例としては、鉄道、航空機、船舶などが挙げられる。当該移動体は、運転者を必要としなくてもよい。電子キー12により遠隔制御される被制御装置の種別は、移動体の仕様に応じて適宜に定められる。
【0070】
上記の実施形態においては、施解錠装置32により施解錠される開閉体として車室33を開閉するドア34が例示されている。ドア34の形態は、ヒンジドアであってもよいし、スライドドアであってもよい。車室33を開閉する開閉体は、サンルーフを含みうる。車両30に搭載される開閉体は、トランクやボンネットを含みうる。この場合、トランクやボンネットにより開閉される空間に筐体装置13が配置されてもよい。
【0071】
施解錠装置により施解錠される開閉体は、必ずしも移動体に搭載されることを要しない。住宅や施設における扉や窓もまた開閉体の一例になりうる。電子キー12により遠隔制御される被制御装置の種別は、当該住宅や施設の仕様に応じて適宜に定められる。
【符号の説明】
【0072】
12:電子キー、120:収容部、121:可動部、122:第一コイル、128:機械式鍵、13:筐体装置、131:筐体、131a:格納部、131b:凸部、131d:凸部、132:アクチュエータ、134:第二コイル、138:係止部材、30:車両、32:施解錠装置、33:車室、34:ドア、DT:検出信号、S2:第二信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21