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特開2023-173159ヘッドアップディスプレイ及び表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173159
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20231130BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20231130BHJP
   G02B 5/04 20060101ALI20231130BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G02B27/01
G02B5/02 C
G02B5/04 A
B60K35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085211
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 慎一郎
【テーマコード(参考)】
2H042
2H199
3D344
【Fターム(参考)】
2H042BA04
2H042BA11
2H042BA13
2H042BA15
2H042BA20
2H042CA12
2H199DA03
2H199DA15
2H199DA18
2H199DA42
3D344AA19
3D344AB01
3D344AC25
(57)【要約】
【課題】ヘッドアップディスプレイにおいて、外部からの光が反射した反射光が虚像と重なることで生じる虚像の視認性の低下を抑制すること。
【解決手段】ヘッドアップディスプレイ1は、光源20と、光源20からの光を透過させて画像を投影する液晶パネル40と、液晶パネル40を透過した光を屈折させるプリズムシート50と、を備え、プリズムシート50は、液晶パネル40の板面と平行なシート面51と、シート面51と反対側で液晶パネル40の板面に対向しており、並列に配置されている複数のプリズム52と、を有し、複数のプリズム52は、それぞれ、シート面51に対して傾斜している第1プリズム面52a、および、シート面51に対して傾斜し、シート面51とのなす角が第1プリズム面52aより大きい第2プリズム面52bによって断面角状に形成されており、第1プリズム面52aとシート面51とのなす角度は、35°以上である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源からの光を透過させて画像を投影する液晶パネルと、
前記液晶パネルの板面に対して傾斜しており、前記液晶パネルを透過した光を屈折させるプリズムシートと、を備えている、
ヘッドアップディスプレイ。
【請求項2】
前記プリズムシートは、
前記液晶パネルの板面に対して傾斜しているシート面と、
前記シート面の反対側で前記液晶パネルの板面に対向している複数のプリズムと、を有している、
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項3】
前記シート面と前記液晶パネルの板面とのなす角度は、10°以上15°以下である、
請求項2に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項4】
複数の前記プリズムは、それぞれ、前記シート面に対して傾斜している第1プリズム面、および、前記シート面に対して傾斜し、前記シート面とのなす角が前記第1プリズム面より大きい第2プリズム面によって断面角状に形成され、並列に配置されている、
請求項2または3に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項5】
互いに隣接する2つの前記プリズムにおいて、一方の前記プリズムの前記第1プリズム面と他方の前記プリズムの前記第2プリズム面とは連続して形成されている、
請求項4に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項6】
光源と、
前記光源からの光を透過させて画像を投影する液晶パネルと、
前記液晶パネルの板面に対して傾斜しており、前記液晶パネルを透過した光を屈折させるプリズムシートと、を備えている、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘッドアップディスプレイ及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像をフロントガラス等の透光体に投影してユーザに虚像を視認させる車両用ヘッドアップディスプレイ装置に応用した表示装置が知られている(例えば特許文献1)。表示装置は、バックライト、バックライトの光を透過して画像を投影する液晶表示パネル、液晶表示パネルを透過した光を屈折させるプリズムシート、および、ハウジングを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-264529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の表示装置において、太陽光などの外部からの光がプリズムシートなどで反射し、反射光が虚像と重なると、虚像の視認性が低下する可能性がある。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、ヘッドアップディスプレイおよび表示装置において、外部からの光が反射した反射光が虚像と重なることで生じる虚像の視認性の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のヘッドアップディスプレイは、光源と、前記光源からの光を透過させて画像を投影する液晶パネルと、前記液晶パネルの板面に対して傾斜しており、前記液晶パネルを透過した光を屈折させるプリズムシートと、を備えている。
【0007】
また、本開示の表示装置は、光源と、前記光源からの光を透過させて画像を投影する液晶パネルと、前記液晶パネルの板面に対して傾斜しており、前記液晶パネルを透過した光を屈折させるプリズムシートと、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るヘッドアップディスプレイの模式図である。
図2図2は、光源および画像出力部の模式図である。
図3図3は、プリズムシートの拡大側面図である。
図4図4は、画像出力部における外部光の進行および反射光を示す図である。
図5図5は、反射光のシミュレーション結果の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態の変形例に係る画像出力部の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0010】
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0011】
図面で示すDx方向は、ヘッドアップディスプレイ1の高さ方向であり、Dy方向は、ヘッドアップディスプレイ1の幅方向であり、Dz方向は、ヘッドアップディスプレイ1の奥行方向である。なお、Dx、Dy、Dzの方向は一例であって、本開示はこれらの方向に限定されない。
【0012】
図1は、実施形態に係るヘッドアップディスプレイ1の模式図である。ヘッドアップディスプレイ(以下、HUDと記載する。)1は、表示装置の一例であり、画像を透光体2に投影してユーザUに虚像VGを視認させる。透光体2は、例えばフロントガラスであるが、これに限定されないことは言うまでもなく、HUD1の画像が投影される構成であればよい。
【0013】
HUD1は、ハウジング10、光源20、画像出力部30、および、光学部材70を備えている。ハウジング10は、箱状であり、光源20、画像出力部30、および、光学部材70を備えている。
【0014】
図2は、光源20および画像出力部30の模式図である。光源20は、直方体状のケース内に、例えばLED(Light Emitting Diode)等の発光素子(不図示)を有している。光源20は、画像出力部30に光を照射する。光源20から出射する光の光軸は、光源20の光源出射面21と直交している。光源出射面21は、Dy方向と平行であり、出力軸Vzに対してDy方向と平行な軸線(以下、Dy軸線と称する。)回りに傾斜している。出力軸Vzは、画像出力部30から出射される後述する出射光Lcの光軸を沿わせるための軸線である。具体的には、出力軸Vzは、Dz方向と平行であり、画像出力部30から光学部材70に向けて延びている。
【0015】
光源出射面21の垂線V1と出力軸Vzとのなす角度を第1傾斜角度θ1と称する。第1傾斜角度θ1は、鋭角である。なお、光源出射面21は、出力軸Vzに対して傾斜せずに、直交していてもよい。この場合、第1傾斜角度θ1はゼロである。
【0016】
画像出力部30には、光源20から出射された光が入射光Laとして入射する。入射光Laの光軸は、垂線V1と平行である。画像出力部30は、入射光Laを透過および屈折させて、出力軸Vzに沿う出射光Lcを出射する。画像出力部30は、液晶パネル40、プリズムシート50、および、支持体60を備えている。
【0017】
液晶パネル40は、光源20からの光を透過させて画像を投影する。液晶パネル40は、透過型の液晶ディスプレイパネルである。液晶パネル40は、光源20に対向し、光源20からの光が入射光Laとして入射するパネル入射面41、および、入射光Laが液晶パネル40を透過した透過光として出射されるパネル出射面42を有している。
【0018】
パネル入射面41およびパネル出射面42は、互いに平行である。また、パネル入射面41およびパネル出射面42は、光源出射面21に対してDy軸線回りに傾斜している。パネル入射面41の垂線V2と出力軸Vzとのなす角度を第2傾斜角度θ2と称する。第2傾斜角度θ2は、鋭角であり、第1傾斜角度θ1より大きい。なお、第2傾斜角度θ2は、第1傾斜角度θ1と同じ角度でもよい。
【0019】
液晶パネル40は、アクティブマトリクス方式で駆動される複数の画素を有する。当該複数の画素は、液晶パネル40の板面に沿って二次元的に配置されている。この複数の画素が配置された画像出力領域(不図示)では、複数の画素が個別に制御されることで、虚像VGとして投影される画像に対応した光の透過パターンが形成される。これにより、入射光Laが画像出力領域を透過する際に光量が調整され、透過光として出射される。入射光Laの光軸と透過光の光軸とは互いに平行である。
【0020】
プリズムシート50は、液晶パネル40を透過した光を屈折させる。具体的には、プリズムシート50は、パネル出射面42から出射された透過光を屈折させ、出射光Lcとして出力軸Vzに沿って出射させる。すなわち、出射光Lcの光軸は、透過光の光軸と平行な入射光Laの光軸に対して傾斜している。プリズムシート50は、出射光Lcを光学部材70に向けて出射する。プリズムシート50は、液晶パネル40の板面に対して傾斜している。プリズムシート50は、シート面51および複数のプリズム52を有している。
【0021】
シート面51は、液晶パネル40の板面に対して傾斜している。シート面51は、具体的には、液晶パネル40のパネル出射面42に対してDy軸線回りに傾斜している。シート面51の垂線V3と出力軸Vzとのなす角度を第3傾斜角度θ3と称する。
【0022】
第3傾斜角度θ3は、シート面51から出射する出射光Lcの出射角度に相当する。第3傾斜角度θ3は、鋭角である。第2傾斜角度θ2と第3傾斜角度θ3との関係の詳細は、後述する。
【0023】
複数のプリズム52は、シート面51と反対側で液晶パネル40の板面に対向している。具体的には、複数のプリズム52は、液晶パネル40のパネル出射面42に対向している。
【0024】
図3は、プリズムシート50の拡大側面図である。複数のプリズム52は、シート面51と平行な平面S上に配置されている。複数のプリズム52は、それぞれ、第1プリズム面52aおよび第2プリズム面52bによって断面角状に形成されている。
【0025】
第1プリズム面52aおよび第2プリズム面52bは、それぞれ、シート面51に対してDy軸線回りに傾斜している。第2プリズム面52bは、シート面51とのなす角が第1プリズム面52aより大きい。換言すれば、シート面51に対する第1プリズム面52aの第1プリズム角度αは、シート面51に対する第2プリズム面52bの第2プリズム角度βより小さい。第1プリズム角度αおよび第2プリズム角度βは、垂線V2に沿う透過光が屈折して出力軸Vzに沿う出射光Lcとして出射されるように定められている。
【0026】
また、複数のプリズム52は、並列に配置されている。具体的には、複数のプリズム52は、それぞれ、第1プリズム面52aと第2プリズム面52bとによって形成される稜線RがDy軸線に沿って配置されている。つまり、複数のプリズム52は、それぞれの稜線Rが互いに平行となるように配置されている。
【0027】
また、複数のプリズム52のうち互いに隣接する2つのプリズム52において、一方のプリズム52の第1プリズム面52aと他方のプリズム52の第2プリズム面52bとは連続して形成されている。つまり、平面Sは、露出していない。
【0028】
図2に示すように、支持体60は、液晶パネル40およびプリズムシート50を支持する。支持体60は、第1支持部61、および、第2支持部62を備えている。第1支持部61は、液晶パネル40を支持する。具体的には、第1支持部61は、パネル入射面41の周縁部を支持し、接着剤などによってパネル入射面41の周縁部と接着している。また、第1支持部61は、第2支持部62を支持する。第2支持部62は、液晶パネル40に対してプリズムシート50を傾斜させて支持する。具体的には、第2支持部62は、シート面51の周縁部を支持し、接着剤などによってシート面51の周縁部と接着している。
【0029】
図1に破線の矢印にて示すように、光学部材70は、出射光Lcを、ハウジング10の開口部11を介して透光体2に導く。光学部材70は、具体的には、凹面鏡である。また、光学部材70は、複数の凹面鏡および反射鏡によって構成されてもよい。
【0030】
光学部材70によって導かれた出射光Lcは、透光体2に投影される。透光体2に投影された出射光Lcに視線を向けたユーザUは、虚像VGを視認する。
【0031】
上記のように、画像出力部30の出射光Lcは出力軸Vzに沿って出射されており、液晶パネル40のパネル出射面42は、出力軸Vzに対してDy軸線回りに傾斜している。これにより、虚像VGがDz方向に立体感を有するかのようにユーザUが視認することができる。
【0032】
また、上記のように、光源20の光源出射面21は、出力軸Vzに対してDy軸線回りに傾斜している。この場合、光源出射面21が出力軸Vzと直交している場合と比べて、光源出射面21から出射してパネル入射面41に入射する入射光Laの入射角が小さくなる。これにより、虚像VGを形成する光の輝度及び虚像VGのコントラストの低下を抑制することができる。
【0033】
次に、第2傾斜角度θ2と第3傾斜角度θ3との関係について詳細に説明する。HUD1において、太陽光などの外部からの光(以下、外部光と称する。)Lgが開口部11を介してハウジング10内に入り込んで、出射光Lcの進行方向と逆向きに出力軸Vzに沿って進み、プリズムシート50などで反射することがある。この反射光が虚像VGと重なると、虚像VGの視認性が低下する。
【0034】
第2傾斜角度θ2と第3傾斜角度θ3との関係は、反射光が虚像VGと重なることを抑制する角度に定められている。具体的には、第2傾斜角度θ2と第3傾斜角度θ3との差が、以下に示す反射光の反射角度に基づいて定められている。第2傾斜角度θ2と第3傾斜角度θ3と差は、図2に示すシート面51と液晶パネル40の板面(パネル出射面42)とのなす角度(以下、相対角度θsと称する。)に相当する。
【0035】
図4は、画像出力部30における外部光Lgの進行および反射光を示す図である。図4では、外部光Lgの進行を破線で示している。反射光は、外部光Lgがプリズムシート50およびパネル出射面42などで反射した光である。反射光の反射角度を、反射光の光軸と出力軸Vzとのなす角度と定義する。
【0036】
なお、図4において、パネル出射面42の第2傾斜角度θ2は45°であり、シート面51の第3傾斜角度θ3は35°である。つまり、相対角度θsは10°である場合を示している。また、第1プリズム角度αは40°であり、第2プリズム角度βは90°である場合を示している。
【0037】
外部光Lgは、出力軸Vzに沿って進行し、シート面51の点Aに到達する。点Aに到達した外部光Lgの一部は、シート面51の点Aで反射する。点Aで反射した外部光Lgを第1反射光Lr1と称し、第1反射光Lr1の光軸と出力軸Vzとのなす角度を第1反射角度θr1と称する。第1反射光Lr1は、シート面51の点Aで1回反射している。
【0038】
また、シート面51の点Aにて反射しなかった外部光Lgは、点Aで屈折してプリズムシート50に入射し、第1プリズム面52aの点Bで屈折してプリズムシート50から出射する。なお、外部光Lgが屈折する角度は、プリズムシート50の材料とプリズムシート50外の空気との相対屈折率に従う。
【0039】
第1プリズム面52aの点Bから出射した外部光Lgの一部は、第2プリズム面52bの点Cで反射し、さらに、パネル出射面42の点Dで反射する。点Dで反射した外部光Lgは、第1プリズム面52aの点Eで屈折してプリズムシート50に入射し、シート面51の点Fで屈折してプリズムシート50から出射する。点Fから出射した外部光Lgを第2反射光Lr2と称し、第2反射光Lr2の光軸と出力軸Vzとのなす角度を第2反射角度θr2と称する。
【0040】
第2反射光Lr2は、第2プリズム面52bの点Cおよびパネル出射面42の点Dで合計2回反射している。プリズムシート50および液晶パネル40は、材質などに基づく特定の反射率(例えば8%)を有している。よって、反射回数が多いほど、光量が低下する。よって、第2反射光Lr2は第1反射光Lr1より反射回数が多く、第2反射光Lr2の光量は第1反射光Lr1の光量より小さい。
【0041】
一方、第2プリズム面52bの点Cで反射しなかった外部光Lgは、点Cで屈折してプリズムシート50に入射し、第1プリズム面52aの点Gで屈折してプリズムシート50から出射する。第1プリズム面52aの点Gから出射した外部光Lgは、パネル出射面42の点Hで反射し、さらに、第2プリズム面52bの点Iで屈折してプリズムシート50に入射し、シート面51の点Jで屈折してプリズムシート50から出射する。点Jから出射した外部光Lgを第3反射光Lr3と称し、第3反射光Lr3の光軸と出力軸Vzとのなす角度を第3反射角度θr3と称する。
【0042】
第3反射光Lr3は、パネル出射面42の点Hで1回反射している。よって、第2反射光Lr2の反射回数は第3反射光Lr3より多く、第2反射光Lr2の光量は第3反射光Lr3の光量より小さい。第2反射光Lr2のように反射光の光量が比較的小さいと、反射光が虚像VGと重なっていても、虚像VGの視認性は低下しない。
【0043】
また、反射光が出力軸Vzに対して大きく傾斜していると、反射光が虚像VGと重ならず、虚像VGの視認性の低下が抑制される。そこで、反射回数が1回である反射光が出力軸Vzに対して比較的大きく傾斜するように、第2傾斜角度θ2と第3傾斜角度θ3との差、つまり、相対角度θsは定められる。すなわち、第1反射角度θr1および第3反射角度θr3が比較的大きくなるように、相対角度θsは定められる。なお、反射回数が2回である第2反射光Lr2の第2反射角度θr2においても比較的大きくなることが望ましい。
【0044】
図4では、プリズムシート50に外部光Lgが点Aに到達した場合の進行について説明した。しかしながら、外部光Lgが点A以外の点にもプリズムシート50に到達し、図4に示す第1反射光Lr1、第2反射光Lr2および第3反射光Lr3とは反射角度が異なる反射光が出射する場合がある。そこで、相対角度θsを定める際には、プリズムシート50に入射する位置が互いに異なる複数の外部光Lgに基づいて反射光の反射角度を導出するシミュレーションを行う。
【0045】
図5は、反射光のシミュレーション結果の一例を示す図である。図5において、パネル出射面42の第2傾斜角度θ2は45°であり、シート面51の第3傾斜角度θ3は35°である。つまり、相対角度θsは、10°である。また、第1プリズム角度αは30°であり、第2プリズム角度βは70°である。外部光Lgとして100本の光線が、シート面51に互いに異なる位置から入射している。
【0046】
シート面51から入射した外部光Lgが上記のようにシート面51およびプリズム52などで反射および屈折し、シート面51から複数の反射光Lrとして出射する。なお、本シミュレーションにおいて、反射回数は2回までとする。但し、全反射は、反射回数としてカウントしない。
【0047】
表1は、反射光Lrのシミュレーション結果の一例を示す表である。表1は、パネル出射面42の第2傾斜角度θ2が45°であり、第1プリズム角度αは30°であり、第2プリズム角度βは70°である場合で、シート面51の第3傾斜角度θ3を25°から45°まで5°刻みで変化させたとき、すなわち、相対角度θsを、0°から20°まで5°刻みで変化させたときそれぞれにおいて、複数の反射光Lrのうち反射回数が1回である反射光Lrの反射角度の中から最も小さい反射角度を示している。
【0048】
反射光Lrの反射角度が大きいほど、反射光Lrは、出力軸Vzに対して傾斜し、虚像VGと重ならない。つまり、反射角度が大きいほど、良好な結果を示している。
【0049】
表1において、相対角度θsが10°以上15°以下である場合、反射角度は比較的大きい。つまり、相対角度θsが10°以上15°以下であることが好ましい。
【0050】
【表1】
【0051】
なお、相対角度θsが20°より大きい場合、プリズムシート50が透過光を屈折して出力軸Vzに沿う出射光Lcを出射することができない。よって、シミュレーションでは相対角度θsを0°から20°までとしている。
【0052】
また、上記のシミュレーションでは、第1プリズム角度αが30°であり、第2プリズム角度βが70°であり、パネル出射面42の第2傾斜角度θ2が45°であるが、第1プリズム角度αが30±5°の範囲であり、第2プリズム角度βが70±5°の範囲であり、かつ、第2傾斜角度θ2が45°とは異なる場合のシミュレーションにおいても、上記のシミュレーションの結果と同様に、シート面51と液晶パネル40の板面(パネル出射面42)とのなす相対角度θsが10°以上15°以下である場合、反射角度は比較的大きく、良好な結果が得られる。第2傾斜角度θ2が35°~45°である場合には、第2傾斜角度θ2が45°である場合と同様の良好な結果が得られる。
【0053】
なお、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本開示によりもたらされるものと解される。
【0054】
図6は、実施形態の変形例に係る画像出力部30の模式図である。変形例に係る画像出力部30は、液晶パネル40とプリズムシート50との間に拡散板180をさらに備えている。拡散板180は、パネル出射面42に張り付けられる。拡散板180は、入射した光を拡散させつつ透過させる。拡散板180は、モアレの発生を抑制することができる。また、拡散板180は、パネル出射面42で反射してシート面51から射出する反射光Lrの光量を抑制する。したがって、拡散板180は、虚像VGの視認性の低下を抑制することができる。
【0055】
また、変形例に係る画像出力部30の支持体160において、第2支持部162は、拡散板180の周縁部を支持する。また、支持体160は、第3支持部163をさらに備える。第3支持部163は、第2支持部162に配置され、シート面51に対して液晶パネル40の板面(パネル出射面42)が傾斜するようにプリズムシート50を支持する。第3支持部163は、プリズムシート50の周縁部をシート面51側および複数のプリズム52側の両側から支持する。
【0056】
また、本開示は、HUD1以外の表示装置、例えばナビゲーションシステム、スマートフォン、タブレットおよびVR(Virtual Reality)ゴーグルなどの表示装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 ヘッドアップディスプレイ
20 光源
30 画像出力部
40 液晶パネル
42 パネル射出面(液晶パネルの板面)
50 プリズムシート
51 シート面
52 プリズム
52a 第1プリズム面
52b 第2プリズム面
図1
図2
図3
図4
図5
図6