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特開2023-173160貨幣処理装置、貨幣処理システムおよび貨幣処理装置の製造方法
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  • 特開-貨幣処理装置、貨幣処理システムおよび貨幣処理装置の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173160
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】貨幣処理装置、貨幣処理システムおよび貨幣処理装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/26 20190101AFI20231130BHJP
   G07D 11/235 20190101ALI20231130BHJP
【FI】
G07D11/26
G07D11/235
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085214
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橘 雄作
(72)【発明者】
【氏名】大加戸 颯汰
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA08
3E141BA01
3E141BA03
3E141BA06
3E141BA07
3E141BA13
3E141CA01
3E141CB01
3E141DA06
3E141FL04
(57)【要約】
【課題】メンテナンス実施者が、貨幣処理装置が備える金庫の状態を検知するセンサに生じた異常を発見することができるようにする。
【解決手段】貨幣処理装置は、貨幣を収納する金庫と、前記金庫への前記貨幣の搬送、および、前記金庫からの前記貨幣の搬送の少なくとも一方を行う搬送部と、前記金庫の状態を検知する少なくとも1つのセンサと、前記センサから検知信号を取得し、取得した前記検知信号に基づく情報を第1コンピュータに送信し、前記情報の少なくとも一部を第2コンピュータに送信する基板と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣を収納する金庫と、
前記金庫への前記貨幣の搬送、および、前記金庫からの前記貨幣の搬送の少なくとも一方を行う搬送部と、
前記金庫の状態を検知する少なくとも1つのセンサと、
前記センサから検知信号を取得し、取得した前記検知信号に基づく情報を第1コンピュータに送信し、前記情報の少なくとも一部を第2コンピュータに送信する基板と、
を備える、貨幣処理装置。
【請求項2】
前記基板は、前記金庫の内部に配置されている、
請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項3】
前記基板を覆った状態で収納するケースをさらに備える、
請求項1または2に記載の貨幣処理装置。
【請求項4】
前記ケースの開閉状態に関する検知信号を前記基板に送信するケースセンサをさらに備え、
前記基板は、前記開閉状態に関する検知信号を取得すると、前記開閉状態に関する検知信号を前記第1コンピュータおよび前記第2コンピュータの少なくとも一方に送信する、
請求項3に記載の貨幣処理装置。
【請求項5】
前記搬送部および前記基板に電力を供給することができるように構成されている第1電力供給装置と、
前記搬送部に電力を供給することができず、かつ、前記基板に電力を供給することができるように構成されている第2電力供給装置と、
前記第1電力供給装置から電力が供給される場合に、前記第1電力供給装置から供給された電力を前記基板に供給し、前記第1電力供給装置から電力が供給されない場合に、前記第2電力供給装置から供給された電力を前記基板に供給するスイッチング装置と、をさらに備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項6】
前記センサは、前記金庫の扉の開閉、前記金庫の振動、前記金庫の温度、および、前記貨幣処理装置を被固定部に固定する固定部材の状態の少なくとも1つを検知するセンサである、
請求項1から5のいずれか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項7】
第1コンピュータに接続された貨幣処理装置と、前記貨幣処理装置に接続された第2コンピュータと、を備える貨幣処理システムであって、
前記貨幣処理装置は、
貨幣を収納する金庫と、
前記金庫への前記貨幣の搬送、および、前記金庫からの前記貨幣の搬送の少なくとも一方を行う搬送部と、
前記金庫の状態を検知する少なくとも1つのセンサと、
前記センサから検知信号を取得し、取得した前記検知信号に基づく情報を前記第1コンピュータに送信し、前記情報の少なくとも一部を前記第2コンピュータに送信する基板と、を備え、
前記第2コンピュータは、前記情報の少なくとも一部に基づいて、前記貨幣処理装置を監視する、
貨幣処理システム。
【請求項8】
前記第2コンピュータは、前記貨幣処理装置の内部に配置されている、
請求項7に記載の貨幣処理システム。
【請求項9】
前記第2コンピュータは、前記金庫の内部に配置されている、
請求項8に記載の貨幣処理システム。
【請求項10】
前記基板は、前記金庫の内部に配置されており、
前記第2コンピュータは、前記基板に隣接して配置されている、または、前記基板と一体的に構成されている、
請求項9に記載の貨幣処理システム。
【請求項11】
前記第2コンピュータは、前記貨幣処理装置の外部に配置されており、かつ、前記貨幣処理装置に通信可能に接続されている、
請求項7に記載の貨幣処理システム。
【請求項12】
前記基板は、前記情報を前記第1コンピュータに送信すると同時に、前記情報の少なくとも一部を前記第2コンピュータに送信する、
請求項7から11のいずれか一項に記載の貨幣処理システム。
【請求項13】
前記基板は、前記情報の少なくとも一部を一時的に保持し、前記第2コンピュータと前記貨幣処理装置との通信セッションが確立したときに、前記情報の少なくとも一部を前記第2コンピュータに送信する、
請求項11に記載の貨幣処理システム。
【請求項14】
前記第1コンピュータは、前記情報に基づいて前記貨幣処理装置を監視する、
請求項7から13のいずれか一項に記載の貨幣処理システム。
【請求項15】
前記第2コンピュータは、前記情報の少なくとも一部に基づいて前記貨幣処理装置に異常が発生したと判断した場合、前記第1コンピュータに、前記貨幣処理装置に異常が発生したことを報知する報知情報を送信する、
請求項14に記載の貨幣処理システム。
【請求項16】
互いに構成が異なる複数のキットを含むキット群の中から1つのキットを選択し、
金庫と、前記金庫への貨幣の搬送、および、前記金庫からの貨幣の搬送の少なくとも一方を行う搬送部と、を備える貨幣処理装置を組み立て、
選択された前記キットを前記貨幣処理装置に組み付ける、
ことを含み、
前記複数のキットは、それぞれ、前記複数のキットの間で互いに異なるセンサと、前記複数のキットの間で種類が共通する基板を含む、
貨幣処理装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、貨幣処理装置、貨幣処理システムおよび貨幣処理装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貨幣を金庫に収納する貨幣処理装置が用いられている。このような貨幣処理装置には、金庫の状態を検知するセンサ、例えば、貨幣金庫扉が閉状態にあるか否かを検知する貨幣金庫扉検知センサが取り付けられている。特許文献1には、貨幣金庫扉検知センサを備える貨幣処理装置が開示されている。
【0003】
このような貨幣処理装置のメンテナンスは、貨幣処理装置を設置して運用する運用者(つまり、例えば銀行)からメンテナンスの委託を受けたメンテナンス実施者によって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-067915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
金庫の状態を検知するセンサは、貨幣処理装置の運用者によって取り付けられる。そして、センサの検知情報は、貨幣処理装置が備える制御装置を介することなく、センサから運用者が使用するコンピュータに直接送信される。
【0006】
そのため、メンテナンス実施者は、センサに生じた故障等の異常を発見することができない可能性がある。
【0007】
本開示は、メンテナンス実施者が、貨幣処理装置が備える金庫の状態を検知するセンサに生じた異常を発見することができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示にかかる貨幣処理装置は、貨幣を収納する金庫と、前記金庫への前記貨幣の搬送、および、前記金庫からの前記貨幣の搬送の少なくとも一方を行う搬送部と、前記金庫の状態を検知する少なくとも1つのセンサと、前記センサから検知信号を取得し、取得した前記検知信号に基づく情報を第1コンピュータに送信し、前記情報の少なくとも一部を第2コンピュータに送信する基板と、を備える。
【0009】
本開示にかかる貨幣処理装置において、前記基板は、前記金庫の内部に配置されていてもよい。
【0010】
本開示にかかる貨幣処理装置は、前記基板を覆った状態で収納するケースをさらに備えてもよい。
【0011】
本開示にかかる貨幣処理装置は、前記ケースの開閉状態に関する検知信号を前記基板に送信するケースセンサをさらに備えてもよい。また、前記基板は、前記開閉状態に関する検知信号を取得すると、前記開閉状態に関する検知信号を前記第1コンピュータおよび前記第2コンピュータの少なくとも一方に送信するように構成されていてもよい。
【0012】
本開示にかかる貨幣処理装置は、前記搬送部および前記基板に電力を供給することができるように構成されている第1電力供給装置と、前記搬送部に電力を供給することができず、かつ、前記基板に電力を供給することができるように構成されている第2電力供給装置と、前記第1電力供給装置から電力が供給される場合に、前記第1電力供給装置から供給された電力を前記基板に供給し、前記第1電力供給装置から電力が供給されない場合に、前記第2電力供給装置から供給された電力を前記基板に供給するスイッチング装置と、をさらに備えてもよい。
【0013】
本開示にかかる貨幣処理装置が備えるセンサは、前記金庫の扉の開閉、前記金庫の振動、前記金庫の温度、および、前記貨幣処理装置を被固定部に固定する固定部材の状態の少なくとも1つを検知するセンサであってもよい。
【0014】
また、本開示にかかる貨幣処理システムは、第1コンピュータに接続された貨幣処理装置と、前記貨幣処理装置に接続された第2コンピュータと、を備える貨幣処理システムであって、前記貨幣処理装置は、貨幣を収納する金庫と、前記金庫への前記貨幣の搬送、および、前記金庫からの前記貨幣の搬送の少なくとも一方を行う搬送部と、前記金庫の状態を検知する少なくとも1つのセンサと、前記センサから検知信号を取得し、取得した前記検知信号に基づく情報を前記第1コンピュータに送信し、前記情報の少なくとも一部を前記第2コンピュータに送信する基板と、を備え、前記第2コンピュータは、前記情報の少なくとも一部に基づいて、前記貨幣処理装置を監視する。
【0015】
本開示にかかる貨幣処理システムにおいて、前記第2コンピュータは、前記貨幣処理装置の内部に配置されていてもよい。
【0016】
本開示にかかる貨幣処理システムにおいて、前記第2コンピュータは、前記金庫の内部に配置されていてもよい。
【0017】
本開示にかかる貨幣処理システムにおいて、前記基板は、前記金庫の内部に配置されていてもよい。前記第2コンピュータは、前記基板に隣接して配置されていてもよい。前記第2コンピュータは、前記基板と一体的に構成されていてもよい。
【0018】
本開示にかかる貨幣処理システムにおいて、前記第2コンピュータは、前記貨幣処理装置の外部に配置されており、かつ、前記貨幣処理装置に通信可能に接続されていてもよい。
【0019】
本開示にかかる貨幣処理システムにおいて、前記基板は、前記情報を前記第1コンピュータに送信すると同時に、前記情報の少なくとも一部を前記第2コンピュータに送信してもよい。
【0020】
本開示にかかる貨幣処理システムにおいて、前記基板は、前記情報の少なくとも一部を一時的に保持し、前記第2コンピュータと前記貨幣処理装置との通信セッションが確立したときに、前記情報の少なくとも一部を前記第2コンピュータに送信してもよい。
【0021】
本開示にかかる貨幣処理システムにおいて、前記第1コンピュータは、前記情報に基づいて前記貨幣処理装置を監視してもよい。
【0022】
本開示にかかる貨幣処理システムにおいて、前記第2コンピュータは、前記情報の少なくとも一部に基づいて前記貨幣処理装置に異常が発生したと判断した場合、前記第1コンピュータに、前記貨幣処理装置に異常が発生したことを報知する報知情報を送信してもよい。
【0023】
また、本開示にかかる貨幣処理装置の製造方法は、互いに構成が異なる複数のキットを含むキット群の中から1つのキットを選択し、金庫と、前記金庫への貨幣の搬送、および、前記金庫からの貨幣の搬送の少なくとも一方を行う搬送部と、を備える貨幣処理装置を組み立て、選択された前記キットを前記貨幣処理装置に組み付ける、ことを含み、前記複数のキットは、それぞれ、前記複数のキットの間で互いに異なるセンサと、前記複数のキットの間で種類が共通する基板を含む。
【発明の効果】
【0024】
本開示によれば、メンテナンス実施者が、貨幣処理装置が備える金庫の状態を検知するセンサに生じた異常を発見することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態に係る貨幣処理装置および貨幣処理システムのブロック図
図2】第2実施形態に係る貨幣処理装置および貨幣処理システムのブロック図
図3】第3実施形態に係る貨幣処理装置および貨幣処理システムのブロック図
図4】第4実施形態に係る貨幣処理装置および貨幣処理システムのブロック図
図5】第5実施形態に係る貨幣処理装置および貨幣処理システムのブロック図
図6】第6実施形態に係る貨幣処理装置および貨幣処理システムのブロック図
図7】第7実施形態に係る貨幣処理装置および貨幣処理システムのブロック図
図8】貨幣処理装置の製造方法のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施形態)
図1は、本開示の第1実施形態に係る貨幣処理装置10および貨幣処理システム1のブロック図である。貨幣処理システム1は、第1コンピュータ21に通信可能に接続された貨幣処理装置10および第2コンピュータ22を備える。貨幣処理システム1は、第1コンピュータ21を備えてもよい。
【0027】
貨幣処理装置10は、銀行等の金融機関、コンビニエンスストア等の流通店舗または警備輸送機関等の施設に設置され、貨幣を処理する装置である。具体例として、紙幣硬貨入金機、紙幣硬貨出金機、紙幣硬貨入出金機、現金自動預け払い機、税公金支払機、両替機、出納機、券売機、自動販売機、釣銭機、売上金入出金機、紙幣計数機、紙幣整理機、紙幣結束機、電子マネーチャージ機および紙幣消毒装置が挙げられる。
【0028】
貨幣処理装置10は、開口部11、金庫12、搬送部13、センサ14および基板15を備えている。
【0029】
貨幣処理装置10が入金処理を行うことができる装置である場合、開口部11は入金部または入出金部である。貨幣処理装置10が出金処理を行うことができる装置である場合、開口部11は出金部または入出金部である。開口部11は、入金部と出金部の組み合わせであってもよい。なお、開口部11は、貨幣処理装置10の外側表面を形作る筐体に形成された開口を有している。
【0030】
金庫12は、貨幣が収納される箱状の装置である。金庫12に収納された貨幣は金庫の外部からアクセスすることができない。金庫12の内部に収納部が配置され、貨幣が収納部に収納されてもよいし、金庫12そのものに貨幣が収納されてもよい。金庫12は施錠可能な扉を備えていてもよい。この扉は、金庫12の内部に収納されている貨幣を取り出すとき、または、搬送部13を介することなく金庫12の内部に貨幣を収納するときに解錠されて開かれる。なお、金庫12は、貨幣処理装置10の筐体の中に配置されていてもよいし、貨幣処理装置10の筐体の一部を構成していてもよい。
【0031】
搬送部13は、コンベヤおよびローラ等の搬送装置で構成されている。搬送部13は、金庫12への貨幣の搬送、および、金庫12からの貨幣の搬送の少なくとも一方を行う。開口部11が入金部または入出金部である場合、搬送部13は、開口部11から金庫12への貨幣の搬送を行う。開口部11が出金部または入出金部である場合、搬送部13は、金庫12から開口部11への貨幣の搬送を行う。図1における白抜きの矢印は貨幣の流れを示している。なお、搬送部は、貨幣処理装置10の筐体の内部に配置されている。また、貨幣処理装置10は、貨幣の金種、正損などを識別する識別部を備えてもよい。識別部は、搬送部13によって搬送されている貨幣を識別することができるように、搬送部13に設けられてもよい。
【0032】
センサ14は、金庫12の状態を検知する。センサ14は、例えば、金庫12の扉の開閉、金庫12の振動、金庫12の温度、および、貨幣処理装置10を被固定部に固定する固定部材の状態の少なくとも1つを検知する。被固定部は例えば床であり、固定部材は例えば床に埋め込まれたスタッドボルトとこのスタッドボルトに取り付けられたナットである。スタッドボルトが床から引き抜かれたり、ナットがスタッドボルトから取り外されたりしたときに、固定部材の状態が変化する。センサ14は、この状態の変化を検知してもよい。なお、センサ14として、目的に応じたものを設置することが可能である。センサ14は、金庫12の扉の開閉、金庫12の振動、金庫12の温度、および、貨幣処理装置10を被固定部に固定する固定部材の状態、以外の要素を検知できるセンサであってもよい。
【0033】
センサ14は、金庫12の内部に配置されていてもよいし、金庫12の外部に配置されていてもよい。
【0034】
なお、図1にはセンサ14が1つしか示されていないが、貨幣処理装置10は、複数のセンサ14を備えてもよい。その場合、各センサ14は、互いに種類が異なるセンサ14であってもよい。例えば、複数のセンサ14の1つが金庫12の扉の開閉を検知し、他の1つが金庫12の振動を検知してもよい。また、各センサ14は、互いに種類が同じであり、取り付け位置が異なっていてもよい。例えば、複数のセンサ14がそれぞれ温度センサであり、複数のセンサ14の1つが金庫12の1つの側面に取り付けられており、他の1つが金庫12の他の側面に取り付けられていてもよい。この場合、複数のセンサ14の1つが金庫12の1つの側面の温度を検知し、他の1つが他の側面の温度を検知する。
【0035】
基板15は、センサ14から検知信号を取得し、取得した検知信号を電気的または電子的に処理する電子回路基板である。本実施形態において、基板15は、貨幣処理装置10の内部かつ金庫12の外部に配置されている。図1における実線の矢印は、信号または情報の流れを示している。
【0036】
基板15は、CPU、メモリおよびコネクタを備える。基板15はセンサ14を備えてもよい。換言すれば、センサ14は、基板15に実装されていてもよい。例えば、扉の開閉を検知するセンサ14は、基板15に実装されていてもよい。また、基板15は、搬送部13を含めて貨幣処理装置10の全体を統括制御する貨幣処理装置10の制御装置と一体的に構成されていてもよい。換言すれば、貨幣処理装置10の制御装置が、基板15を兼ねていてもよい。
【0037】
基板15は、センサ14から取得した検知信号に基づく情報を第1コンピュータ21に送信する。基板15から送信される情報は、センサ14から取得した検知信号(例えば電圧値)そのものであってもよいし、センサ14から取得した検知信号を基板15が処理することによって生成される情報であってもよい。検知信号を処理することによって生成される情報は、センサ14によって検知された物理量を示す数値(例えば、振動の大きさまたは温度)、または、その数値をさらに処理した数値(例えば、移動平均)であってもよい。
【0038】
第1コンピュータ21は、例えば、貨幣処理装置10を運用する運用者(例えば、銀行等の金融機関、コンビニエンスストア等の流通店舗または警備輸送機関等)によって使用および管理されるコンピュータである。第1コンピュータ21は、基板15を介してセンサ14から取得した情報に基づいて、金庫12の状態を監視する。運用者は、第1コンピュータ21を用いて金庫12の状態を監視することにより、金庫12に収納されている貨幣の安全が脅かされる事象が生じているか否かを知ることができる。
【0039】
基板15は、センサ14から取得した検知信号に基づく情報の少なくとも一部を第2コンピュータ22に送信する。基板15から第1コンピュータ21に送信される情報の全てが、基板15から第2コンピュータ22に送信されてもよい。
【0040】
貨幣処理装置10が複数のセンサ14を備える場合、基板15は、複数のセンサ14の一部から取得した検知信号に基づく情報を第2コンピュータ22に送信してもよい。いずれのセンサ14から取得した検知信号に基づく情報を第2コンピュータ22に送信するか否かは、基板15で実行されるソフトウエアにおいて予め設定されていてもよい。また、貨幣処理装置10に新たなセンサ14が増設される場合、増設されたセンサ14から取得した検知信号に基づく情報を第2コンピュータ22に送信するか否かが、基板15で実行されるソフトウエアにおいて設定されてもよい。基板15で実行されるソフトウエアの設定は、第2コンピュータ22によって行われてもよい。
【0041】
また、基板15は、1つのセンサ14から取得した検知信号に基づく情報のうち、ある所定の時間帯に取得した検知信号に基づく情報のみを第2コンピュータ22に送信してもよい。
【0042】
第2コンピュータ22は、例えば、貨幣処理装置10のメンテナンスを行うメンテナンス実施者によって使用および管理されるコンピュータである。第2コンピュータ22は、基板15を介してセンサ14から取得した情報に基づいて、センサ14の状態、つまり、故障等の異常が発生せずにセンサ14が正常に作動しているか否かを監視する。第2コンピュータ22は、基板15を介してセンサ14から取得した情報に基づいて、金庫12の状態、ひいては、貨幣処理装置10を監視する。なお、メンテナンス実施者は、貨幣処理装置の製造業者、貨幣処理装置の製造業者または運用者からメンテナンスの委託を受けた業者であってもよいし、運用者の構成員(例えば社員)であってもよい。
【0043】
以上のように構成された貨幣処理装置10および貨幣処理システム1によれば、センサ14に故障等の異常が発生すると、センサ14から基板15に、異常な信号が送信されたり、正常な信号が届かなくなったりする。すると、基板15から第2コンピュータ22に、異常を示す情報が送信されたり、正常な情報が届かなくなったりする。すなわち、第2コンピュータ22は、センサ14に故障等の異常が発生したことを検知することができる。よって、メンテナンス実施者は、貨幣処理装置10が備える金庫12の状態を検知するセンサ14に生じた異常を発見することができる。なお、センサ14に異常が生じたことの判別は、基板15で行われてもよいし、第2コンピュータ22で行われてもよい。一部のセンサ14の異常発生が基板15で行われて、他の一部のセンサ14の異常発生が第2コンピュータ22で行われてもよい。
【0044】
基板15は、情報を第1コンピュータ21に送信すると同時に、少なくとも一部の情報を第2コンピュータ22に送信してもよい。この場合、第2コンピュータ22は、センサ14の状態をリアルタイムで監視することができる。よって、第2コンピュータ22の使用者は、センサ14に異常が発生した場合に、この異常にすぐに気づくとともに修理等のメンテナンスを迅速に行うことができる。
【0045】
なお、基板15は、第2コンピュータ22に送信する情報を、基板15に搭載されている記憶装置に記憶すること等によって一時的に保持してもよい。この場合、第2コンピュータ22と貨幣処理装置10との通信セッションが確立したときに、保持していた情報を第2コンピュータ22に送信してもよい。貨幣処理装置10のメンテナンス実施者は、貨幣処理装置10の設置場所で、貨幣処理装置10に第2コンピュータ22を有線又は無線で接続することで、それまでのセンサ14の作動状態を確認することができる。すなわち、貨幣処理装置10が貨幣処理を行っているときに第2コンピュータ22を貨幣処理装置10に接続しておかなくても、メンテナンス実施者は、メンテナンス実施時にセンサ14に故障等の異常が発生しているか否かを迅速に発見することができる。
【0046】
また、第2コンピュータ22は、基板15から受信した情報に基づいてセンサ14、ひいては、貨幣処理装置10に異常が発生したと判断した場合、第1コンピュータ21に、貨幣処理装置10に異常が発生したことを報知する報知情報を送信してもよい。この場合、ネットワークトラブル等の何らかに理由によって基板15から第1コンピュータ21に情報が伝わらなくても、第1コンピュータは、センサ14ひいては貨幣処理装置10に異常が発生したことを示す情報を取得することができる。よって、第1コンピュータ21の使用者は、貨幣処理装置10の異常に確実に対応することができる。
【0047】
(第2実施形態)
図2は、本開示の第2実施形態に係る貨幣処理装置10および貨幣処理システム1のブロック図である。以下、第1の実施形態と共通する事項については説明が省略される場合がある。
【0048】
本実施形態において、基板15は、金庫12の内部に配置されている。よって、金庫12の施錠されている扉を解錠することができる者以外は、基板15に触れることができない。よって、扉を解錠することができる者以外の者によって基板15が改変されることを防止することができる。ひいては、センサ14の検知信号が第1コンピュータ21または第2コンピュータ22に送信されなくなる事態を防止することができる。
【0049】
(第3実施形態)
図3は、本開示の第3実施形態に係る貨幣処理装置10および貨幣処理システム1のブロック図である。以下、上述の各実施形態と共通する事項については説明が省略される場合がある。
【0050】
本実施形態において、貨幣処理装置10は、基板15を覆った状態で収納するケース16を備えている。ケース16は金庫12の内部に収納されている。つまり、基板15は、金庫12の内部に収納され、さらに、ケース16の内部に収納されている。よって、貨幣処理装置10の運用者またはメンテナンス実施者以外の者によって基板15が改変されることをより確実に防止することができる。ひいては、センサ14の検知信号が第1コンピュータ21または第2コンピュータ22に送信されなくなる事態をより確実に防止することができる。
【0051】
また、本実施形態において、貨幣処理装置10は、ケース16の開閉状態を検知するケースセンサ17を備えている。ケースセンサ17は、ケース16の開閉状態に関する検知信号を基板15に送信する。基板15は、ケースセンサ17から検知信号を取得すると、ケースの開閉状態に関する検知信号を第1コンピュータ21および第2コンピュータ22の少なくとも一方に送信する。よって、何らかの理由でケース16が開かれた場合、第1コンピュータ21または第2コンピュータ22の使用者は、ケース16が開かれたことを知ることができる。ひいては、基板15に何らかの改変が加えられた可能性があることを知ることができる。よって、貨幣処理装置10の運用者は、貨幣処理装置10を緊急停止させることができる。また、貨幣処理装置10のメンテナンス実施者は、貨幣処理装置10の緊急メンテナンスを行うことができる。
【0052】
また、基板15は、ケースセンサ17から検知信号を取得すると、貨幣処理装置10が備える制御装置に検知信号を取得した旨を知らせる信号を送信してもよい。そして、制御装置は、この信号を受信すると自動的に、貨幣処理装置10を貨幣を出金することができない状態に移行させてもよい。
【0053】
(第4実施形態)
図4は、本開示の第4実施形態に係る貨幣処理装置10および貨幣処理システム1のブロック図である。以下、上述の各実施形態と共通する事項については説明が省略される場合がある。
【0054】
本実施形態に係る貨幣処理装置10は、電源30(例えば商用電源)から供給される電力によって作動する。貨幣処理装置10は、第1電力供給装置31、第2電力供給装置32およびスイッチング装置33を備えている。図4における破線の矢印は電力の流れを示している。
【0055】
第1電力供給装置31は、電源30から電力の供給を受けるとともに、搬送部13および基板15に電力を供給することができるように構成されている。第1電力供給装置31は、貨幣処理装置10の全体に電力を供給するメインの電力供給装置であってもよい。
【0056】
第2電力供給装置32は、電源30から電力の供給を受けるととともに、スイッチング装置33に電力を供給することができるように構成されている。第2電力供給装置32は、搬送部13に電力を供給することができないように構成されている。第2電力供給装置32は、金庫12の内部に収納されている貨幣の安全を保つために必要な装置のみに電力を供給する予備用または補助用の電力供給装置であってもよい。
【0057】
第2電力供給装置32は、第1電力供給装置31とは異なる電力供給ラインを介して、電源30から電力の供給を受けている。例えば、第2電力供給装置32に接続されている電力ケーブルは、第1電力供給装置31に接続されている電力ケーブルとは異なる。よって、プラグが抜かれたり電力ケーブルが切断されたりして、第1電力供給装置31に電力が供給されない状態になっても、第2電力供給装置32は、電源30から電力の供給を受けることができる。
【0058】
スイッチング装置33は、第1電力供給装置31から電力が供給される場合に、第1電力供給装置31から供給された電力を基板15に供給するように構成されている。また。スイッチング装置33は、第1電力供給装置31から電力が供給されない場合に、第2電力供給装置32から供給される電力を基板15に供給するように構成されている。つまり、スイッチング装置33は、第1電力供給装置31からの電力の供給が途切れると、第2電力供給装置32から供給される電力を基板15に供給するように、電力の流れを自動的に切り替えるように構成されている。
【0059】
なお、スイッチング装置33は、基板15に実装されていてもよい。換言すれば、スイッチング装置33は、基板15と一体的に構成されていてもよい。
【0060】
本実施形態に係る貨幣処理装置10は、通常時は、第1電力供給装置31を介して供給される電力によって作動する。つまり、通常時は、第1電力供給装置31およびスイッチング装置33を介して、センサ14および基板15に電力が供給される。よって、センサ14および基板15は正常に作動することができる。
【0061】
また、何らかの原因により第1電力供給装置31に電力が供給されない状態になると、スイッチング装置33が自動的に作動する。その結果、第2電力供給装置32およびスイッチング装置33を介して、センサ14および基板15に電力が供給される。よって、このような状態においても、センサ14および基板15は正常に作動することができる。
【0062】
すなわち、本実施形態に係る貨幣処理装置10および貨幣処理システム1によれば、貨幣処理を行うために必要な電力の供給が絶たれる状況が発生しても、センサ14および基板15は正常に作動することができる。つまり、基板15は、センサ14から検知信号を取得し、取得した検知信号に基づく情報を第1コンピュータ21に送信し、この情報の少なくとも一部を第2コンピュータ22に送信することを、確実に実行することができる。
【0063】
(第5実施形態)
図5は、本開示の第5実施形態に係る貨幣処理装置10および貨幣処理システム1のブロック図である。以下、上述の各実施形態と共通する事項については説明が省略される場合がある。
【0064】
本実施形態において、貨幣処理装置10は、第2コンピュータ22を備えている。第2コンピュータ22は、貨幣処理装置10の内部かつ金庫12の外部に配置されている。第2コンピュータ22は、搬送部13を含めて貨幣処理装置10の全体を統括制御する貨幣処理装置10の制御装置によって構成されていてもよい。
【0065】
第2コンピュータ22は、有線通信または無線通信を介して、貨幣処理装置10の外部に設置されており、メンテナンス実施者によって使用されるメンテナンス用コンピュータに接続さる。なお、有線通信によって接続される場合は、メンテナンスが実施されるときにのみ、メンテナンス用コンピュータが第2コンピュータ22に接続され、それ以外のときには、メンテナンス用コンピュータが第2コンピュータ22に接続されていなくてもよい。
【0066】
第2コンピュータ22は、基板15から受信した情報をリアルタイムでメンテナンス用コンピュータに送信することができるように構成されていてもよい。また、第2コンピュータ22は、基板15から受信した情報を、第2コンピュータ22が備える記憶装置に蓄積することができるように構成されていてもよい。この場合、第2コンピュータ22は、所定のタイミングで、または、メンテナンス用コンピュータからのリクエストに応じて、蓄積していた情報をメンテナンス用コンピュータに送信してもよい。
【0067】
以上のように構成された貨幣処理装置10および貨幣処理システム1によれば、センサ14に故障等の異常が発生すると、センサ14から基板15に、異常な信号が送信されたり、正常な信号が届かなくなったりする。すると、基板15から第2コンピュータ22に、異常を示す情報が送信されたり、正常な情報が届かなくなったりする。すなわち、第2コンピュータ22は、センサ14に故障等の異常が発生したことを検知することができる。そして、第2コンピュータ22は、メンテナンス用コンピュータに、センサ14に故障等の異常が発生したことを示す情報を送信することができる。よって、メンテナンス実施者は、貨幣処理装置10が備える金庫12の状態を検知するセンサ14に生じた異常を発見することができる。
【0068】
なお、第2コンピュータ22は、情報を受信すると同時に、メンテナンス用コンピュータに受信した情報を送信してもよい。また、第2コンピュータ22は、メンテナンス用コンピュータに送信する情報を、第2コンピュータ22に搭載されている記憶装置に記憶すること等によって一時的に保持してもよい。この場合、メンテナンス実施者と第2コンピュータ22との通信セッションが確立したときに、保持していた情報をメンテナンス用コンピュータに送信してもよい。
【0069】
(第6実施形態)
図6は、本開示の第6実施形態に係る貨幣処理装置10および貨幣処理システム1のブロック図である。本実施形態は、第2コンピュータ22が、金庫12の内部に配置されている点で、第5実施形態と異なる。
【0070】
本実施形態において、第2コンピュータ22は、金庫12の内部に配置されている。よって、金庫12の施錠されている扉を解錠することができる者以外は、第2コンピュータ22に触れることができない。よって、扉を解錠することができる者以外の者によって第2コンピュータ22が改変されることを防止することができる。
【0071】
(第7実施形態)
図7は、本開示の第6実施形態に係る貨幣処理装置10および貨幣処理システム1のブロック図である。本実施形態は、第2コンピュータ22が、基板15に実装されている点で、第6実施形態と異なる。
【0072】
本実施形態において、第2コンピュータ22は、金庫12の内部に配置されており、かつ、基板15に実装されている。つまり、第2コンピュータ22は、基板15と一体的に構成されている。よって、金庫12の施錠されている扉を解錠することができる者以外は、第2コンピュータ22に触れることができない。よって、扉を解錠することができる者以外の者によって第2コンピュータ22が改変されることを防止することができる。また、第2コンピュータ22を基板15と一体的に構成することにより、基板15と第2コンピュータ22との間の配線を不要にすることができる。また、部材の数を1つ減らすことができる。すなわち、貨幣処理装置10の装置構成を簡素にすることができる。
【0073】
なお、第2コンピュータ22は、基板15に実装されず、金庫12の内部において基板15に隣接して配置されていてもよい。このような配置により、実質的に第2コンピュータ22を基板15と一体的に構成することができ、基板15と第2コンピュータ22との間の配線を必要最小限なものにすることができる。
【0074】
(貨幣処理装置の製造方法)
次に、本開示にかかる貨幣処理装置10の製造方法について説明する。
【0075】
まず、貨幣処理装置10に組み付けられるキットが選択される(S1)。組み付けられるキットは、複数のキットを含むキット群の中から選択された1つのキットである。表1はキット群の一例を示す。
【0076】
表1は、キット群の一例を示す。
【表1】
【0077】
キット群に含まれる複数のキットは、それぞれ、1つの基板15と少なくとも1つのセンサ14とを含んでいる。複数のキットは、それぞれ、複数のキットの間で互いに異なるセンサ14と、複数のキットの間で種類が共通する基板15を含む。
【0078】
すなわち、各キットに含まれる基板15は、互いに同じものである。また、各キットに含まれるセンサ14は、互いに異なる。つまり、あるキットに含まれるセンサ14の種類および数の組み合わせと、他のキットに含まれるセンサ14の種類および数の組み合わせは、互いに異なる。例えば、あるキットには、センサ14として、金庫12の温度を検知する1つのセンサのみが含まれている。また、他のキットには、センサ14として、金庫12の温度を検知する2つのセンサのみが含まれている。また、さらに他のキットには、センサ14として、金庫12の温度を検知する1つのセンサと金庫12の扉の開閉を検知する1つのセンサとが含まれている。
【0079】
キットの選択は、製造される貨幣処理装置10の運用者のニーズに基づいて行われる。
【0080】
次に、貨幣処理装置10が組み立てられる(S2)。
【0081】
続いて、貨幣処理装置10に選択されたキットが組み付けられ(S3)、貨幣処理装置10が完成する。なお、キットの組付け作業は、貨幣処理装置10の組み立て作業と並行して行われてもよい。また、貨幣処理装置10が組み立てられた後に、キットの選択が行われてもよい(つまり、S2の後にS1が行われてもよい)。
【0082】
貨幣処理装置10の製造は、組立者が手作業で行ってもよいし、FA(Factory Automation)を用いて、つまり製造装置によって自動的または半自動的に行ってもよい。FAが用いられる場合、製造装置は、1または複数のコンピュータによって制御された1または複数のロボットにより構成されてもよい。1または複数のコンピュータによって制御された1または複数のロボットが、上記S1、S2およびS3の手順の少なくとも一部を実行する。FA、ならびに、FAを構成するコンピュータおよびロボットは、例えば、公知の物を採用できる。
【0083】
上記製造方法によれば、貨幣処理装置10の運用者のニーズに則したセンサ14が取り付けられた貨幣処理装置10を製造することができる。
【0084】
また、上記製造方法で複数の貨幣処理装置10が製造された場合、基板15の種類は、取り付けられるセンサ14の種類及び数に関わらず、各貨幣処理装置10の間で共通する。よって、基板15の種類を1つに抑えつつ、様々なセンサ14を備える複数種類の貨幣処理装置10を製造することができる。また、貨幣処理装置10の運用が開始された後に基板15の改善(例えば基板15が実行するソフトウエアのアップデート)を行う場合に、複数の貨幣処理装置10に対する作業を共通化することができる。
【0085】
また、貨幣処理装置10の構造を、キットに含まれるセンサ14に最適化することができる。例えば、貨幣処理装置10が出荷された後に、貨幣処理装置10の運用者によってセンサが後付けされたり、貨幣処理装置10の設計が完了した後に、取り付けられるセンサの種類及び数が決定されたりすることを考慮する必要がない。よって、様々な条件に対応できるように不要なマージンを貨幣処理装置10に持たせる必要なない。つまり、貨幣処理装置10をコンパクトに構成することができる。
【0086】
なお、本開示はこれまでに具体的に説明された各実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内にて種々の変形を加えたものも含む。例えば、各実施形態の具体的構成を任意に取捨選択して組み合わせたものも本開示に含まれる。例えば、図7に示されるように第2コンピュータ22が実装された基板15が、図5に示されるようにケース16に収納されていてもよい。この場合、基板15の改変に加えて第2コンピュータ22の改変も確実に防止することができる。また、ケース16に収納された基板15に、図4に示されるようにスイッチング装置33を介して第1電力供給装置31または第2電力供給装置32から電力が供給されてもよい。
【0087】
また、本開示の技術思想を応用することで、貨幣を収納する金庫の状態を検知するセンサに生じた異常を発見することも可能である。この場合、金庫は、開閉可能かつ施錠可能な扉を備える。この金庫の中には、貨幣を収納する収納ボックスが配置されていてもよい。収納ボックスは、扉が開かれたときに、金庫の開口を介して金庫の外に引き出される。収納ボックスは、スライダーの上に配置されていてもよい。収納ボックスをスライダーの上に配置することにより、収納ボックスを金庫の外に容易に引き出すことができる。
【0088】
また、この金庫の側面の1つには、入金口が形成されている。この入金口は、シュートを介して収納ボックスに繋がっている。つまり、入金口から金庫の内部に入れられた貨幣は、シュートの上を滑って移動し、収納ボックスの中に入る。なお、封筒に封入された貨幣が、入金口から金庫の内部に入れられてもよい。
【0089】
この金庫の中、例えば収納ボックスの中には、センサが取り付けられている。センサは、例えば、金庫の扉の開閉、金庫の振動、金庫の温度、および、金庫を被固定部に固定する固定部材の状態の少なくとも1つを検知する。
【0090】
また、この金庫の中、例えば収納ボックスの中には、基板が配置されている。基板はセンサから検知信号を取得する。基板の構成および機能は、上述の各実施形態に係る基板15と同じであるので、詳細な説明は割愛する。
【0091】
このように構成された金庫は、センサおよび基板を備えているので、上述の各実施形態に係る貨幣処理装置10と同様の効果を発揮することができる。すなわち、センサに故障等の異常が発生すると、センサから取得した検知信号に基づく情報の少なくとも一部を受信する第2コンピュータは、センサに故障等の異常が発生したことを検知することができる。よって、メンテナンス実施者は、金庫の状態を検知するセンサに生じた異常を発見することができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本開示は、流通、金融等、貨幣を取り扱う各種産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 貨幣処理システム
10 貨幣処理装置
11 開口部
12 金庫
13 搬送部
14 センサ
15 基板
16 ケース
17 ケースセンサ
21 第1コンピュータ
22 第2コンピュータ
30 電源
31 第1電力供給装置
32 第2電力供給装置
33 スイッチング装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8