(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173178
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】ローラスクリーンおよびローラスクリーンのローラ交換方法
(51)【国際特許分類】
B07B 1/14 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
B07B1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085244
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100187827
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 雅則
(72)【発明者】
【氏名】西川 佳孝
【テーマコード(参考)】
4D021
【Fターム(参考)】
4D021AA03
4D021AB11
4D021BA18
4D021CA11
4D021DA12
(57)【要約】
【課題】摩耗時における部材の交換コストを抑制することが可能なローラスクリーン、長期間に亘ってローラと軸体との間の締結力を確保することが可能なローラ交換方法を提供する。
【解決手段】並列する複数のローラ11と、一対の側壁部13でローラ11の軸方向両端をローラ11の軸周りに回転自在に支持するフレーム12と、を有し、ローラ11の両端が軸体32に接続されており、ローラ11の端部が、側壁部13の内面よりも外側に配置されている構成、ローラ11の両端に軸体32を接続する接続工程と、ボルト40と、ワッシャ41、キー部材39、ピン45、および、溶接部42から選択される1種類以上の固定手段と、によって、接続工程で接続されたローラ11と軸体32を固定する固定工程と、固定工程で固定されたローラ11および軸体32を、ローラスクリーン1のフレーム12の一対の側壁部13に跨るように取り付ける取り付け工程と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列する複数のローラ(11)と、
前記複数のローラ(11)を内部に収容した状態で、一対の側壁部(13)で前記ローラ(11)の軸方向両端を当該ローラ(11)の軸周りに回転自在に支持するフレーム(12)と、
を有し、
前記ローラ(11)の両端が、駆動装置(10)によって回転駆動される軸体(32)に接続されており、前記ローラ(11)の端部が、前記側壁部(13)の内面よりも外側に配置されているローラスクリーン。
【請求項2】
前記側壁部(13)と前記ローラ(11)の端部との間に介在する封止部材(44)が設けられている請求項1に記載のローラスクリーン。
【請求項3】
前記ローラ(11)と前記軸体(32)がボルト(40)で接続されている請求項1または2に記載のローラスクリーン。
【請求項4】
前記ボルト(40)に、当該ボルト(40)を回り止めする溶接部(42)が形成されている請求項3に記載のローラスクリーン。
【請求項5】
複数の前記ボルト(40)に跨るワッシャ(41)が設けられており、前記溶接部(42)が前記ボルト(40)と前記ワッシャ(41)に跨って形成されている請求項4に記載のローラスクリーン。
【請求項6】
前記ローラ(11)と前記軸体(32)が、前記ローラ(11)と前記軸体(32)との間に介在して設けられたキー部材(39)またはピン(45)によって回り止めされている請求項3に記載のローラスクリーン。
【請求項7】
ローラ(11)の両端に軸体(32)を接続する接続工程と、
ボルト(40)と、ワッシャ(41)、キー部材(39)、ピン(45)、および、溶接部(42)から選択される1種類以上の固定手段と、によって、前記接続工程で接続された前記ローラ(11)と前記軸体(32)を固定する固定工程と、
前記固定工程で固定された前記ローラ(11)および前記軸体(32)を、ローラスクリーン(1)のフレーム(12)の一対の側壁部(13)に跨るように取り付ける取り付け工程と、
を有するローラスクリーンのローラ交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ローラスクリーンおよびローラスクリーンのローラ交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ローラスクリーンは、土砂、砕石、鉱石、コークスをはじめとする様々な塊状物、粒状物などの被処理物を分級するために用いられている。このローラスクリーンは、例えば下記特許文献1の第1図に示すように、駆動装置によって軸周りに回転するローラを所定の間隔で複数並列して備えている。被処理物は、ローラ上をそのローラの回転方向に沿って移動する。隣り合うローラ間には所定の大きさの隙間が形成されており、この隙間の大きさよりも小さい被処理物はローラ間からふるい落とされる一方で、大きい被処理物はローラ上を通過し、被処理物がその大きさに応じてふるい分けられる。
【0003】
ローラスクリーンで用いられるローラは、被処理物との接触によってその表面が摩耗する。このため、摩耗量が所定の基準に達したときにローラの交換が必要となる。通常、このローラの表面には耐摩耗性が高い素材が用いられており、頻繁なローラの交換は高コストとなる。そこで、例えば下記特許文献1に記載の構成においては、ローラをロール芯体とこのロール芯体の外周に嵌め合わされる耐摩耗性円筒体に分割して構成している。そして、摩耗時に耐摩耗性円筒体のみを交換することでローラのコストを抑制している。また、例えば下記特許文献2に記載の構成においても、ローラを回転自在に支持するシャフトからこのローラを着脱自在とすることで、摩耗時にローラのみを交換可能としている。これらの構成においては、ロール芯体やシャフトなどの軸体には耐摩耗性素材を用いないことでコストの削減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平3-51016号公報
【特許文献2】特開平9-1073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1または2に記載の構成においては、いずれもローラと軸体を分離可能とし、摩耗時にローラのみを交換することができるようにしたので、交換コストを削減することができる。しかしながら、これらの構成においては、フレーム内側端部と軸部との間の隙間に被処理物の細片や粉末が滞留し、耐摩耗性の低い軸部が摩耗してこの軸部を交換する必要が生じ、交換コストが増大するおそれがある。また、特許文献1または2に記載の構成においては、いずれもローラと軸体の固定が、ピン、キー部材、摩擦締結部材、ボルトなどの1種類の固定手段によってなされているため、長期間の使用に伴って締結力が低下し、ローラと軸体が空回りするおそれがある。
【0006】
そこで、この発明は、摩耗時における部材の交換コストを抑制すること、および、長期間に亘ってローラと軸体との間の締結力を確保することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、この発明では、
並列する複数のローラと、
前記複数のローラを内部に収容した状態で、一対の側壁部で前記ローラの軸方向両端を当該ローラの軸周りに回転自在に支持するフレームと、
を有し、
前記ローラの両端が、駆動装置によって回転駆動される軸体に接続されており、前記ローラの端部が、前記側壁部の内面よりも外側に配置されているローラスクリーンを構成した。
【0008】
このようにすると、フレーム内を搬送される被処理物の細片や粉末が軸体に到達しにくくなる。このため、細片や粉末に起因する軸体の摩耗が防止され、軸体の交換コストを抑制することができる。
【0009】
前記構成においては、
前記側壁部と前記ローラの端部との間に介在する封止部材が設けられている構成とするのが好ましい。
【0010】
このようにすると、細片や粉末が軸体に到達するのを確実に阻止することができ、軸体の摩耗防止効果を高めることができる。
【0011】
前記各構成においては、
前記ローラと前記軸体がボルトで接続されている構成とするのが好ましい。
【0012】
このようにすると、ローラと軸体の接続や分離が容易となり、ローラスクリーンの組み立てやローラの交換作業をスムーズに行うことができる。
【0013】
前記ボルトで前記ローラと前記ボルトを接続する構成においては、
前記ボルトに、当該ボルトを回り止めする溶接部が形成されているのが好ましい。
【0014】
このようにすると、経時的にボルトが弛んでローラと軸体が空回りするなどのトラブルを防止することができる。
【0015】
前記ボルトで前記ローラと前記ボルトを接続する構成においては、
複数の前記ボルトに跨るワッシャが設けられており、前記溶接部が前記ボルトと前記ワッシャに跨って形成されている構成とするのが好ましい。
【0016】
このようにすると、隣り合うボルト同士がワッシャを介して互いの回転を阻止するため、ボルトの弛みを確実に防止することができる。
【0017】
前記ボルトで前記ローラと前記ボルトを接続する構成においては、
前記ローラと前記軸体が、前記ローラと前記軸体との間に介在して設けられたキー部材またはピンによって回り止めされているのが好ましい。
【0018】
このようにすると、ボルトの締結力に加えて、キー部材またはピンによる回り止め防止効果が発揮されるため、経時的な要因によってローラと軸体が空回りするなどのトラブルを確実に防止することができる。
【0019】
また、上記の課題を解決するため、この発明では、
ローラの両端に軸体を接続する接続工程と、
ボルトと、ワッシャ、キー部材、ピン、および、溶接部から選択される1種類以上の固定手段と、によって、前記接続工程で接続された前記ローラと前記軸体を固定する固定工程と、
前記固定工程で固定された前記ローラおよび前記軸体を、ローラスクリーンのフレームの一対の側壁部に跨るように取り付ける取り付け工程と、
を有するローラスクリーンのローラ交換方法を構成した。
【0020】
このようにすると、摩耗によって交換が必要となったローラと軸体をスムーズに接続および固定することができる。また、複数の種類の固定手段でローラと軸体を接続することにより、長期間に亘ってローラと軸体との間の締結力を確保することができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明では、上記のように、ローラスクリーンのローラの両端が、駆動装置によって回転駆動される軸体に接続されており、このローラの端部が、フレームの側壁部の内面よりも外側に配置されている構成としたので、被処理物の細片や粉末に起因する軸体の摩耗が防止され、軸体の交換コストを抑制することができる。
【0022】
また、ローラ交換方法において、ローラの両端に軸体を接続する接続工程と、ボルトと、ワッシャ、キー部材、ピン、および、溶接部から選択される1種類以上の固定手段と、によって、前記接続工程で接続された前記ローラと前記軸体を固定する固定工程と、前記固定工程で固定された前記ローラおよび前記軸体を、ローラスクリーンのフレームの一対の側壁部に跨るように取り付ける取り付け工程と、を有する構成としたので、摩耗によって交換が必要となったローラを軸体とスムーズに接続および固定することができるとともに、長期間に亘ってローラと軸体との間の締結力を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】この発明に係るローラスクリーンの一実施形態を正面から見た断面図
【
図2】
図1に係るローラスクリーンを側面から見た断面図
【
図3】
図1に係るローラスクリーンの要部を側面から見た断面図
【
図5】(a)は
図4中のa-a線に沿う断面図、(b)は
図4中のb-b線に沿う断面図、(c)は
図4中のc-c線に沿う断面図
【
図6】
図1に示すローラスクリーンのローラの一部を切り欠いた側面図
【
図7】(a)は
図6中のa-a線に沿う断面図、(b)は
図6中のb-b線に沿う断面図
【
図8】
図1に係るローラスクリーンの変形例の要部を側面から見た断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明に係るローラスクリーン1の一実施形態を図面に基づいて説明する。このローラスクリーン1は、
図1および
図2に模式的に示すように、土砂、砕石、鉱石、コークスをはじめとする様々な塊状物、粒状物などの被処理物Sを分級するために用いられ、駆動装置10としての電動モータからの駆動力によって同方向に回転する並列する複数のローラ11を有している。この複数のローラ11は、フレーム12の内部に収容されている。フレーム12は、上側が開放した枠体である。このフレーム12の一対の側壁部13によって、各ローラ11の軸方向両端が、このローラ11の軸周りに回転自在に支持されている。
【0025】
ローラ11を支持するフレーム12は、床Fに設置された台枠14によって支持されている。フレーム12の一端は昇降装置15によって昇降自在となっており、他端はヒンジ接続された支点支持部16によって回動自在となっている。昇降装置15のロッドを伸長するとフレーム12の一端が上昇して、ローラスクリーン1の水平に対する仰角αを大きくすることができる。その一方で、昇降装置15のロッドを短縮するとフレーム12の一端が下降して仰角αを小さくすることができる。
【0026】
駆動装置10は、プーリ17およびベルト18を介してローラ11に回転を伝達する。各ローラ11の軸端部に設けられたスプロケット19にはチェーン(図示せず)が掛け渡され、このチェーンを介して駆動装置10の駆動力が各ローラ11に伝達される。ローラ11の並列方向の一端側上部には、処理前の被処理物Sを一時的に収容するホッパ20が設けられている。また、並列するローラ11の下部にはふるい落とし部21が、ローラ11の並列方向の他端側下部には、回収部22が設けられている。隣り合うローラ11の間には、所定の大きさの隙間wが設けられている。この隙間wの大きさよりも小さい被処理物Sは、この隙間wを通ってふるい落とし部21に向かって落下し、大きい被処理物Sは、回転するローラ11によって搬送された後に回収部22によって回収される。ふるい落とし部21および回収部22の被処理物Sは、それぞれベルトコンベア23、24によって所定の場所まで搬送される。
【0027】
図3および
図4に示すように、ローラ11は、円筒状の本体部25と、本体部25の両端をそれぞれ閉塞する端板26とを有している。端板26の端面中央には、軸方向に凹んだ凹部27が形成されている。
図5(a)(b)に示すように、この端板26の外周縁には、周方向の所定角度間隔ごとにボルト穴28が形成されている。また、凹部27の中央には、ローラ軸方向に所定深さのキー溝29が形成されている。本体部25と端板26の表面(被処理物Sの細片や粉末に接触する可能性がある部分)には、摩耗防止処理が施されている。この摩耗防止処理によって、被処理物Sの細片や粉末によるローラ11の摩耗を抑制している。本体部25と端板26は、溶接などの手段によって一体化されている。
【0028】
図6および
図7(a)に示すように、ローラ11の本体部25の表面には、その軸方向の所定間隔ごとに環状のリング30が設けられている。このリング30は、隣り合うローラ11に向かって径方向外向きに突出している。その突出量は、周方向位置で異なり(10~40mm程度)、全体として略多角形状をなしている。リング30の素材は特に限定されないが、この実施形態では焼き入れ焼き戻し材を採用している。
【0029】
隣り合う一方のローラ11のリング30は、隣り合う他方のローラ11のリング30の間に臨むように配置されている。すなわち、一方のローラ11のリング30と、他方のローラ11のリング30は、軸方向に互い違いとなるように配置されている。これにより、ローラ11にリング30を設けなかった場合と比較して、ローラ11間の実質的な隙間wの大きさが小さくなり、ローラ11間の隙間wから落下する被処理物Sのサイズを制御することができる。
【0030】
この実施形態において示したリング30の形状は一例に過ぎず、例えば突出量が周方向位置で一定の円形とすることもできる。また、隣り合うローラ11のリング30の軸方向位置が互いに対向するようにすることもできる。
【0031】
図7(b)に示すように、ローラ11の本体部25の表面には、回転方向に対して傾斜した正面視ハ字形のリフタ31が形成されている。このリフタ31の本体部25の表面からの突出高さは例えば5mmであって、リング30の突出量よりも相対的に低い。このリフタ31を形成することにより、ローラ11間に挟まった被処理物Sを掻き出してふるい落とし部21に落下させることができる。
【0032】
ローラ11の両端には、駆動装置10によって回転駆動される軸体32が配置されている。
図4に示すように、この軸体32のローラ11に臨む端部には、径方向外向きにフランジ33が延設されている。また、
図5(a)~(c)に示すように、フランジ33には、ローラ11の端板26に形成されたボルト穴28の位置に対応するようにボルト穴34が形成されている。フランジ33の所定位置には、このフランジ33を軸方向に貫通するタップ穴35が形成されている。軸体32の端部は、端板26に形成された凹部27に嵌まり込む突部36が形成されている。突部36の中央には、軸方向に所定深さのキー溝37が形成されている。軸体32は、軸受38によって軸周りに回転自在に保持されている。
【0033】
ローラ11と軸体32は、ローラ11の端板26に形成されたキー溝29と軸体32の端部に形成されたキー溝37との間にキー部材39が挿入された状態で接続され、端板26およびフランジ33にそれぞれ形成されたボルト穴28、34にボルト40をねじ込むことによって固定される。
図5(c)に示すように、ボルト40には、隣り合う複数(この実施形態では2個)のボルト40に跨るワッシャ41が設けられている。このワッシャ41は扇形をなし、その表面にはボルト40を通すための2個の貫通孔が形成されている。ボルト40を締め付けた状態で、ボルト40とワッシャ41は溶接部42において互いに溶接される。なお、このワッシャ41として、隣り合う3個以上のボルト40に跨る形状のものを採用することもできる。
【0034】
キー部材39には、このキー部材39を軸方向に貫通するタップ穴43が形成されている。ローラ11と軸体32を接続した状態において、このローラ11の端部は、フレーム12の側壁部13の内面よりも外側に配置されている。
【0035】
フレーム12の側壁部13とローラ11の両端部外周面との間には、環状の封止部材44が介在して設けられている。この封止部材44によって、フレーム12内の被処理物Sの細片や粉末がフレーム12の側壁部13とローラ11との間の隙間を通って軸体32に至るのを防止している。この実施形態においては、封止部材44の軸方向の全体がローラ11の外周面に接触している構成を示したが、封止部材44の軸方向の一部が軸体32の外周面に接触している構成とすることもできる。
【0036】
この発明に係るローラスクリーン1のローラ交換方法について説明する。まず、ローラスクリーン1のフレーム12から、ローラ11と軸体32を一体のまま取り外す。次に、ローラ11と軸体32を接続しているボルト40を取り外す。このとき、ボルト40とワッシャ41に跨るように形成された溶接部42を、外力を与えることによって取り除く。そして、軸体32のフランジ33に形成されたタップ穴35に取り外し用ボルト(図示せず)をねじ込んで、この取り外し用ボルトの先端をローラ11の端板26の端面に突き当て、その反力でローラ11と軸体32を分離する。
【0037】
ローラ11と軸体32を分離すると、それぞれのキー溝29、37の間に介在するように設けられていたキー部材39は、通常はいずれかのキー溝29、37側に取り残される。そこで、キー部材39に形成されたタップ穴43に取り外し用ボルト(図示せず)をねじ込んで、この取り外し用ボルトの先端をローラ11の端板26に形成されたキー溝29の底部、または、軸体32に形成されたキー溝37の底部に突き当て、その反力でキー部材39とローラ11または軸体32を分離する。
【0038】
このようにローラ11と軸体32を分離したら、摩耗したローラ11を新品のローラ11に交換する。そして、ローラ11の端板26に形成されたキー溝29と軸体32の端部に形成されたキー溝37との間にキー部材39を挿入してこのローラ11と軸体32を接続し、ローラ11の端板26および軸体32のフランジ33にそれぞれ形成されたボルト穴28、34に、隣り合う2個のボルト40に跨るようにワッシャ41を設けるとともにボルト40をねじ込んでローラ11と軸体32を固定する。そして、ボルト40とワッシャ41に跨るように溶接部42を形成する。最後に、一体化したローラ11と軸体32をローラスクリーン1のフレーム12に取り付けてローラ11の交換作業を完了する。
【0039】
上記のローラスクリーン1は、ローラ11の両端が、駆動装置10によって回転駆動される軸体32に接続されており、このローラ11の端部が、フレーム12の側壁部13の内面よりも外側に配置されているので、フレーム12内を搬送される被処理物Sの細片や粉末が軸体に到達しにくくなる。このため、細片や粉末に起因する軸体32の摩耗が防止され、軸体32の交換コストを抑制することができる。
【0040】
また、上記のローラスクリーン1は、側壁部13とローラ11の端部との間に封止部材44が介在する構成としたので、細片や粉末が軸体32に到達するのを確実に阻止することができ、軸体32の摩耗防止効果を高めることができる。
【0041】
また、上記のローラスクリーン1は、ローラ11と軸体32がボルト40で接続された上で、ローラ11と軸体32との間に介在して設けられたキー部材39によって回り止めする構成としたので、ローラ11と軸体32の接続や分離が容易となり、ローラスクリーン1の組み立てやローラ11の交換作業をスムーズに行うことができるとともに、ボルト40の締結力に加えて、キー部材39による回り止め防止効果が発揮されるため、経時的な要因によってローラ11と軸体32が空回りするなどのトラブルを確実に防止することができる。
【0042】
また、上記のローラスクリーン1は、複数のボルト40に跨るワッシャ41を設けた上で、ボルト40とワッシャ41に跨る溶接部42を形成したので、隣り合うボルト40同士がワッシャ41を介して互いの回転を阻止し、ボルト40の弛みを確実に防止することができる。
【0043】
なお、上記のローラスクリーン1は、ボルト40によるローラ11と軸体32の接続状態を、ワッシャ41、溶接部42、および、キー部材39によってさらに強化する構成としたが、ボルト40の他に少なくとも1種類以上の固定手段を採用することによって(例えば、ボルト40と溶接部42)、ローラ11と軸体32の回り止め防止効果を発揮させることができる。
【0044】
上記のローラスクリーン1の変形例を
図8に示す。このローラスクリーン1は、基本的な構成は上記のものと共通するが、キー部材39の代わりにピン45を採用した点で相違している。このピン45は、ローラ11の端板26に形成されたピン穴46と、このピン穴46の位置に対応して軸体32のフランジ33に形成されたピン穴47に挿通される。このピン45も、キー部材39と同様にローラ11と軸体32との間に介在して回り止め防止効果を発揮する。このため、経時的な要因によってローラ11と軸体32が空回りするなどのトラブルを確実に防止することができる。
【0045】
上記のローラスクリーン1においては、ローラ11の両端が駆動装置によって回転駆動される軸体32に接続され、ローラ11の端部がフレーム12の側壁部13の内面よりも外側に配置されている構成としたが、ローラ11の端部がフレーム12の側壁部13の内面と同一面または内側に配置された状態で、ボルト40と、ワッシャ41、溶接部42、キー部材39、および、ピン45から選択される1種類以上の固定手段と、によって、ローラ11と軸体32を固定する構成とすることもできる。このようにすると、摩耗によって交換が必要となったローラ11を軸体32とスムーズに接続および固定することができるとともに、複数の固定手段でローラ11と軸体32を接続することにより、長期間に亘ってローラ11と軸体32との間の締結力を確保することができる。
【0046】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味およびすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0047】
1 ローラスクリーン
10 駆動装置
11 ローラ
12 フレーム
13 側壁部
14 台枠
15 昇降装置
16 支点支持部
17 プーリ
18 ベルト
19 スプロケット
20 ホッパ
21 ふるい落とし部
22 回収部
23、24 ベルトコンベア
25 本体部
26 端板
27 凹部
28 ボルト穴
29 キー溝
30 リング
31 リフタ
32 軸体
33 フランジ
34 ボルト穴
35 タップ穴
36 突部
37 キー溝
38 軸受
39 キー部材
40 ボルト
41 ワッシャ
42 溶接部
43 タップ穴
44 封止部材
45 ピン
46、47 ピン穴
S 被処理物
F 床
α 仰角
w 隙間