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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173187
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】ペダル軸
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/16 20060101AFI20231130BHJP
   B62M 3/00 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G01B7/16 R
B62M3/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085266
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100179280
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 育郎
(72)【発明者】
【氏名】青井 英勝
(72)【発明者】
【氏名】李 奎
【テーマコード(参考)】
2F063
【Fターム(参考)】
2F063AA25
2F063BA30
2F063EC03
2F063EC22
2F063LA27
(57)【要約】
【課題】ペダル軸に生じるひずみを高い精度で検出することのできるペダル軸を提供する。
【解決手段】ペダル型パワーメータ用のペダル軸は、ペダルが回転可能に取り付けられる中空軸と、前記中空軸の外周面に取り付けられたひずみゲージと、前記中空軸の内部空間に配置され、且つ前記ひずみゲージからの出力を処理する処理回路とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペダル型パワーメータ用のペダル軸であって、
ペダルが回転可能に取り付けられる中空軸と、
前記中空軸の外周面に取り付けられたひずみゲージと、
前記中空軸の内部空間に配置され、且つ前記ひずみゲージからの出力を処理する処理回路とを備えるペダル軸。
【請求項2】
前記中空軸に、前記外周面と前記内部空間とを接続する接続孔が設けられており、
前記ひずみゲージと前記処理回路とを接続する配線が、前記接続孔及び前記内部空間に配置されている請求項1に記載のペダル軸。
【請求項3】
前記接続孔は、前記中空軸の周方向に沿って等間隔で複数設けられている請求項2に記載のペダル軸。
【請求項4】
前記接続孔は、前記中空軸の軸方向を長手方向とする長孔である請求項2又は3に記載のペダル軸。
【請求項5】
前記ひずみゲージは、前記中空軸の軸方向に並ぶ2つのひずみゲージを含み、
前記配線は前記2つのひずみゲージに接続されたフレキシブルプリント配線基板を含み、
前記フレキシブルプリント配線基板は、前記2つのひずみゲージの間に位置する領域に、前記軸方向に交差する方向に延びるスロットを有する請求項2~4のいずれか一項に記載のペダル軸。
【請求項6】
前記中空軸は円筒状であり、
前記内部空間は前記中空軸の軸方向に延びる凹孔又は貫通孔により画定されている請求項1~5のいずれか一項に記載のペダル軸。
【請求項7】
前記中空軸の前記外周面に、前記中空軸の径方向に直交する面内に各々が延びる複数の平坦面が設けられており、
前記複数の平坦面は、前記中空軸の周方向に沿って等間隔で設けられており、
前記複数の平坦面の各々に前記ひずみゲージが取り付けられている請求項1~6のいずれか一項に記載のペダル軸。
【請求項8】
前記複数の平坦面は4つの平坦面である請求項7に記載のペダル軸。
【請求項9】
前記ひずみゲージは、ひずみ受感部と、前記ひずみ受感部を前記処理回路に接続するための接続端子と、前記ひずみ受感部及び前記接続端子が形成された基材とを有し、
前記基材は、前記ひずみ受感部が形成された領域において前記中空軸に固定されており、前記接続端子が形成された領域において前記中空軸に固定されていない請求項1~8のいずれか一項に記載のペダル軸。
【請求項10】
前記中空軸の前記外周面に凹溝が設けられており、
前記ひずみゲージの前記接続端子が、前記中空軸の径方向に見て前記凹溝の内側に位置する請求項9に記載のペダル軸。
【請求項11】
前記中空軸の一端部に前記ペダル軸をクランクに取り付けるためのネジ部が設けられており、前記中空部の他端部に前記ペダル軸に前記ペダルを取り付けるためのネジ部が設けられている請求項1~10のいずれか一項に記載のペダル軸。
【請求項12】
前記ひずみゲージは、各々がひずみ受感部を有する複数のゲージであり、
前記複数のひずみゲージの各々は、ひずみ受感部のひずみ受感方向が前記中空軸の軸方向に一致している請求項1~11のいずれか一項に記載のペダル軸。
【請求項13】
前記ひずみゲージは、各々がひずみ受感部を有する複数のゲージであり、
前記複数のゲージは、各々のひずみ受感部のひずみ受感方向が前記中空軸の軸方向に一致した第1ゲージ群と、各々のひずみ受感部のひずみ受感方向が前記中空軸の周方向に一致した第2ゲージ群とを含む請求項1~11のいずれか一項に記載のペダル軸。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はペダル軸に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車等に取り付けられて、使用者がペダルを踏み込む力の大きさや向き、位置を測定するパワーメータが知られている。パワーメータは、ペダルに測定部を設けるペダル型パワーメータ、クランクに測定部を設けるクランク型パワーメータ、及びタイヤのハブに測定部を設けるハブ型パワーメータに大別される。
【0003】
特許文献1は、ペダル型パワーメータを開示している。特許文献1においては、ペダル軸に4つの伸び測定片が取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-145824号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたペダル軸は、ペダル軸に生じるひずみを十分な精度で検出できるとは言い難い。
【0006】
本発明は、ペダル型パワーメータ用のペダル軸であって、ペダル軸に生じるひずみを高い精度で検出することのできるペダル軸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に従えば、
ペダル型パワーメータ用のペダル軸であって、
ペダルが回転可能に取り付けられる中空軸と、
前記中空軸の外周面に取り付けられたひずみゲージと、
前記中空軸の内部空間に配置され、且つ前記ひずみゲージからの出力を処理する処理回路とを備えるペダル軸が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明のペダル軸は、ペダル軸に生じるひずみを高い精度で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態のパワーメータの斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施形態のペダル軸の斜視図である。
図3図3は、図2のペダル軸を中心軸Xを通り径方向に延びる平面により切断した断面図である。図3においては、ひずみゲージの図示は省略している。
図4図4(a)は、図3のIVa-IVa線に沿った中空軸の断面図である。図4(b)は、図3のIVb-IVb線に沿った中空軸の断面図である。図4(c)は、図3のIVc-IVc線に沿った中空軸の断面図である。
図5図5(a)は第1起歪面を径方向の外側から見た平面図であり、第1起歪面に取り付けられた4つのひずみゲージの構成を示す。図5(b)は第2起歪面を径方向の外側から見た平面図であり、第2起歪面に取り付けられた4つのひずみゲージの構成を示す。図5(c)は第3起歪面を径方向の外側から見た平面図であり、第3起歪面に取り付けられた4つのひずみゲージの構成を示す。図5(d)は第4起歪面を径方向の外側から見た平面図であり、第4起歪面に取り付けられた4つのひずみゲージの構成を示す。図5(a)~図5(d)の各図においては左側が基端側であり、右側が先端側である。
図6図6は、図5のVI-VI線に沿った断面図である。
図7図7(a)~図7(d)はそれぞれ、中空軸に取り付けられたひずみゲージにより構成されるホイートストンブリッジの回路図である。
図8図8は、変形例のペダル軸が備えるひずみゲージの平面図である。
図9図9(a)は第1起歪面を径方向の外側から見た平面図であり、第1起歪面に取り付けられた変形例のひずみゲージの構成を示す。図9(b)は第2起歪面を径方向の外側から見た平面図であり、第2起歪面に取り付けられた変形例のひずみゲージの構成を示す。図9(c)は第3起歪面を径方向の外側から見た平面図であり、第3起歪面に取り付けられた変形例のひずみゲージの構成を示す。図9(d)は第4起歪面を径方向の外側から見た平面図であり、第4起歪面に取り付けられた変形例のひずみゲージの構成を示す。
図10図10(a)~図10(d)はそれぞれ、中空軸に取り付けられた変形例のひずみゲージにより構成されるホイートストンブリッジの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態>
本発明の実施形態に係るペダル軸100及びパワーメータPMについて、図1図7を参照して説明する。
【0011】
[パワーメータPM]
図1に示す通り、パワーメータPMは、ペダル軸100とペダル軸100に回転可能に取り付けられたペダルPとを有するペダル型パワーメータである。
【0012】
[ペダル軸100]
図2図3に示す通り、ペダル軸100は、中心軸Xを有する中空軸(中空スピンドル)10と、中空軸10の外周面10OUTに取り付けられた16個のひずみゲージ(詳細後述)と、中空軸10の内部空間に配置された回路基板20とを主に有する。ペダル軸100は更に、中空軸10の内部空間に配置された電源部30と、16個のひずみゲージを回路基板20に接続するフレキシブルプリント配線板(FPC)40とを有する。
【0013】
以下の説明においては、中心軸Xの方向を中空軸10及びペダル軸100の軸方向と呼ぶ。また、中心軸Xを中心とする放射方向を中空軸10及びペダル軸100の径方向と呼び、中心軸Xを中心とする周方向を中空軸10及びペダル軸100の周方向と呼ぶ。
【0014】
軸方向においては、中空軸10のクランク用ネジ部11(後述)側を基端側と呼び、中空軸10のペダル用ネジ部16(後述)側を先端側と呼ぶ。周方向においては、軸方向の基端側から先端側を見た場合の時計回り方向を正方向と呼び、反時計周り方向を負方向と呼ぶ。
【0015】
[中空軸10]
中空軸10は、軸方向に延びる貫通孔THを有する略円筒形である。中空軸10は一例としてステンレス等の金属により形成されている。
【0016】
中空軸10は中心軸Xに沿って、基端側から順に、クランク用ネジ部11、ボルトヘッド部12、ゲージ取付部13、中径部14、小径部15、及びペダル用ネジ部16に区画されている。
【0017】
クランク用ネジ部11は、中空軸10の基端側の端部に位置する。クランク用ネジ部11においては、中空軸10の外周面10OUTに雄ネジMS11が設けられている。雄ネジMS11は、中空軸10を自転車等のクランクに取り付ける際に用いられる。
【0018】
ボルトヘッド部12は、クランク用ネジ部11に隣接して、クランク用ネジ部11の軸方向先端側に設けられている。ボルトヘッド部12においては、中空軸10の外周面10OUTに、六角ボルトヘッド121とフランジ122とが設けられている。フランジ122は、雄ネジMS11と六角ボルトヘッド121との間に設けられている。なお、六角ボルトヘッドに代えて、二角や四角のボルトヘッドを設けてもよい。
【0019】
ゲージ取付部13は、ボルトヘッド部12に隣接して、ボルトヘッド部12の軸方向先端側に設けられている。
【0020】
図2図4(a)に示す通り、ゲージ取付部13においては、中空軸10の外周面10OUTに、中空軸10の径方向に直交する面内に各々が延びる第1起歪面131、第2起歪面132、第3起歪面133、及び第4起歪面134が設けられている。図5(a)~図5(d)に示す通り、第1起歪面131~第4起歪面134の各々は、軸方向を長辺方向とし周方向を短辺方向とする矩形の平坦面である。第1起歪面131~第4起歪面134の各々は、ひずみゲージが取り付けられるゲージ取付面である。
【0021】
図4(a)に示す通り、第1起歪面131と第3起歪面133とは互いに平行であり、第2起歪面132と第4起歪面134とは互いに平行である。第1起歪面131及び第3起歪面133は、第2起歪面132及び第4起歪面134に直交している。
【0022】
第1起歪面131の周方向正側の長辺と第2起歪面132の周方向負側の長辺とは断面円弧状の曲面CS1により接続されている。第2起歪面132の周方向正側の長辺と第3起歪面133の周方向負側の長辺とは断面円弧状の曲面CS2により接続されている。第3起歪面133の周方向正側の長辺と第4起歪面134の周方向負側の長辺とは断面円弧状の曲面CS3により接続されている。第4起歪面134の周方向正側の長辺と第1起歪面131の周方向負側の長辺とは断面円弧状の曲面CS4により接続されている。
【0023】
換言すれば、ゲージ取付部13における中空軸10の外周面は、円柱面(円筒面)に、周方向に等間隔に4つのDカット面を設けた形状を有する。
【0024】
図3図4(b)に示す通り、ゲージ取付部13の軸方向の略中央部には、中空軸10の周方向全域にわたって延びる凹溝Gが設けられている。図6に示すように、凹溝Gの上縁Ge1(即ち側面Gsと第1起歪面131~第4起歪面134の各々との接続部)及び下縁Ge2(即ち側面Gsと底面Gbとの接続部)にはそれぞれ、R面取り加工が施されている。したがって、凹溝Gの上縁Ge1及び下縁Ge2は、周方向に直交する面による断面形状が曲面状となっている。
【0025】
図2及び図4(c)に示す通り、曲面CS1~曲面CS4の各々の、凹溝Gよりも先端側の領域には、中空軸10の径方向に延びて外周面10OUTと内周面10IN及び内部空間ISとを繋ぐ接続孔CHが設けられている。本実施形態では、4つの接続孔CHの各々は軸方向を長手方向とする長孔(スロット)である。4つの接続孔CHの内の1つにはFPC40が配置され、4つの接続孔CHの内の他の3つにはFPC40は配置されない(詳細後述)。
【0026】
中径部14は、ゲージ取付部13に隣接して、ゲージ取付部13の軸方向先端側に設けられている。中径部14における中空軸10の外径は、ゲージ取付部13における中空軸10の外径(曲面CS1~曲面CS4の内の対向する2つを通る外径)よりも小さい。
【0027】
小径部15は、中径部14に隣接して、中径部14の軸方向先端側に設けられている。小径部15における中空軸10の外径は、中径部14における中空軸10の外径よりも小さい。
【0028】
ペダル用ネジ部16は、小径部15に隣接して、小径部15の軸方向先端側に設けられている。ペダル用ネジ部16は、中空軸10の先端側の端部に位置する。ペダル用ネジ部16においては、中空軸10の外周面に雄ネジMS16が設けられている。雄ネジMS16は、中空軸10にペダルPを取り付ける際に用いられる。
【0029】
図3に示す通り、中空軸10の内部には、貫通孔THにより内部空間ISが画定されている。
【0030】
貫通孔THは、基端側から中心軸Xに沿って、第1部分TH1、第2部分TH2、第3部分TH3、及び第4部分TH4に区画されている。第2部分TH2における貫通孔THの径(中空軸10の内径)は第1部分TH1における貫通孔THの径よりも小さい。第3部分TH3における貫通孔THの径は第2部分TH2における貫通孔THの径よりも小さい。第4部分TH4における貫通孔THの径は第3部分TH3における貫通孔THの径よりも小さい。
【0031】
第1部分TH1は中空軸10の基端とクランク用ネジ部11の軸方向中央部近傍との間に位置する。第2部分TH2は、クランク用ネジ部11の軸方向中央部近傍とボルトヘッド部12の軸方向中央部近傍との間に位置する。第3部分TH3は、ボルトヘッド部12の軸方向中央部近傍と小径部15の基端側端部との間に位置する。第4部分TH4は、小径部15の基端側端部と中空軸10の先端との間に位置する。
【0032】
[ひずみゲージ]
ゲージ取付部13の第1起歪面131~第4起歪面134には、ひずみゲージSG11~SG14、ひずみゲージSG21~SG24、ひずみゲージSG31~SG34、及びひずみゲージSG41~SG44が取り付けられている(図5(a)~図5(d))。以下、ひずみゲージSG11~SG14、ひずみゲージSG21~SG24、ひずみゲージSG31~SG34、及びひずみゲージSG41~SG44を総称してひずみゲージSGと記載する場合がある。
【0033】
ひずみゲージSGの各々は、樹脂フィルムで形成された基材BMと、基材BM上に設けられた金属製の抵抗体RSとを有する。
【0034】
抵抗体RSは、ひずみ受感部SSと、ひずみ受感部SSを回路基板20に接続するための一対の接続タブ(接続端子)T1、T2とを有する。
【0035】
ひずみ受感部SSにおいては、線状の抵抗体RSがジグザグに折り返されている。以下の説明では、折返し点と折返し点との間に画定される線状部分の延在方向をグリッド方向(ひずみ受感方向)と呼び、当該線状部分が並ぶ方向をグリッド幅方向と呼ぶ。グリッド方向とグリッド幅方向とは互いに直交する。各ひずみゲージはグリッド方向に生じるひずみを検知するように構成されている。
【0036】
ひずみゲージSGの各々は、ひずみ受感部SSのグリッド方向が軸方向に一致するように設けられている。
【0037】
ひずみゲージSG11は第3起歪面133の基端側且つ周方向負側に設けられており、ひずみゲージSG12は第3起歪面133の基端側且つ周方向正側に設けられている。ひずみゲージSG13は第1起歪面131の基端側且つ周方向負側に設けられており、ひずみゲージSG14は第1起歪面131の基端側且つ周方向正側に設けられている。ひずみゲージSG11~SG14はそれぞれ、接続タブT1、T2が受感部SSよりも先端側に位置するように設けられている。
【0038】
ひずみゲージSG21は第2起歪面132の基端側且つ周方向負側に設けられており、ひずみゲージSG22は第2起歪面132の基端側且つ周方向正側に設けられている。ひずみゲージSG23は第4起歪面134の基端側且つ周方向負側に設けられており、ひずみゲージSG24は第4起歪面134の基端側且つ周方向正側に設けられている。ひずみゲージSG21~SG24はそれぞれ、接続タブT1、T2が受感部SSよりも先端側に位置するように設けられている。
【0039】
ひずみゲージSG31は第3起歪面133の先端側且つ周方向負側に設けられており、ひずみゲージSG32は第3起歪面133の先端側且つ周方向正側に設けられている。ひずみゲージSG33は第1起歪面131の先端側且つ周方向負側に設けられており、ひずみゲージSG34は第1起歪面131の先端側且つ周方向正側に設けられている。ひずみゲージSG31~SG34はそれぞれ、接続タブT1、T2が受感部SSよりも基端側に位置するように設けられている。
【0040】
ひずみゲージSG41は第2起歪面132の先端側且つ周方向負側に設けられており、ひずみゲージSG42は第2起歪面132の先端側且つ周方向正側に設けられている。ひずみゲージSG43は第4起歪面134の先端側且つ周方向負側に設けられており、ひずみゲージSG44は第4起歪面134の先端側且つ周方向正側に設けられている。ひずみゲージSG41~SG44はそれぞれ、接続タブT1、T2が受感部SSよりも基端側に位置するように設けられている。
【0041】
第1起歪面131においては、ひずみゲージSG13、SG14の接続タブT1、T2、及びひずみゲージSG33、SG34の接続タブT1、T2は、いずれも径方向にみて凹溝Gの内部に配置されている。ひずみゲージSG13、SG14、SG33、SG34の基材BMは、接続タブT1、T2が形成された領域においては第1起歪面131に接着されておらず、径方向に見た凹溝Gの内部に、凹溝Gの底面Gbから離間した状態で配置されている(図6)。また、基材BMは、径方向にたわむことにより、接続タブT1、T2を、周方向に見た凹溝Gの内部に位置させている。中空軸10のひずみをこのたわみにより吸収することで、接続タブT1、T2におけるひずみの発生が抑制される(詳細後述)。
【0042】
一方で、ひずみゲージSG13、SG14、SG33、SG34の基材BMは、受感部SSが形成された領域においては第1起歪面131に接着されて第1起歪面131に固定されている。したがって、第1起歪面131にひずみが生じた場合には、受感部SSにも該ひずみに応じたひずみが生じる。
【0043】
第2起歪面132~第4起歪面134においても同様である。各起歪面に取り付けられたひずみゲージの基材BMは、接続タブT1、T2が形成された領域においては第2起歪面132~第4起歪面134に接着されておらず、径方向に見た凹溝Gの内部に、凹溝Gの底面から離間した状態で配置されている。また、基材BMは、径方向にたわむことにより、接続タブT1、T2を、周方向に見た凹溝Gの内部に位置させている。一方で、各ひずみゲージの基材BMは、受感部SSが形成された領域においては各起歪面に接着されて各起歪面に固定されている。
【0044】
[回路基板20、電源部30、FPC40]
回路基板20は、各ひずみゲージの出力を処理する処理回路21、外部との通信を行う通信回路22等が設けられたプリント回路基板アセンブリ(PCBA)である。本実施形態では、回路基板20は、内部空間ISの、第2部分TH2により画定される領域に配置されている。
【0045】
処理回路21は、ひずみゲージSG11~SG14、ひずみゲージSG21~S24、ひずみゲージSG31~SG34、及びひずみゲージSG41~SG44の出力を増幅する増幅回路、及び/又はひずみゲージSG11~SG14、ひずみゲージSG21~S24、ひずみゲージSG31~SG34、及びひずみゲージSG41~SG44の出力を用いて各種の算出を行う算出回路等を含む。
【0046】
通信回路22は、処理回路21の処理結果を外部に送信する送信回路等を含む。
【0047】
電源部30は、ひずみゲージSG及び回路基板20に電力を供給する部分であり、例えばバッテリである。電源部30は任意の二次電池とし得る。本実施形態では、電源部30は、内部空間ISの、第2部分TH2により画定される領域に配置されている。
【0048】
FPC40は、ひずみゲージSGを接続して4つのホイートストンブリッジ回路を構成する。FPC40はまた、4つのホイートストンブリッジ回路を回路基板20及び電源部30に接続する。
【0049】
FPC40は、第1配線基板41、第2配線基板42、第3配線基板43、及び第4配線基板44が一体に接続された構成を有する。
【0050】
第1配線基板41(図2図6)は、中空軸10の周方向に延びてひずみゲージSG11~SG14、ひずみゲージSG21~SG24、ひずみゲージSG31~SG34、及びひずみゲージSG41~SG44の接続タブT1、T2に接続されている。第1配線基板41は、凹溝Gの径方向外側に設けられている。
【0051】
第1配線基板41は、中空軸10の周方向を長手方向とする帯状である。第1配線基板41は幅方向(中空軸10の軸方向)の中央部に、第1配線基板41を厚さ方向に貫通して長手方向に延びる4つのスロットSLが設けられている。4つのスロットSLの各々は、第1起歪面131~第4起歪面134のいずれかにおいて、軸方向に並ぶ2つのひずみゲージの接続タブの間に配置されている。
【0052】
第2配線基板42(図2)は、第1配線基板41の周方向の一部から軸方向に延びる。第2配線基板42は、曲面CS1に設けられている。
【0053】
第3配線基板43(図2)は、第2配線基板42の周方向の端部から径方向に延びる。第3配線基板43は、曲面CS1から、曲面CS1に設けられた接続孔CHを通って内部空間ISへと延びる。
【0054】
第4配線基板44(図3)は、第3配線基板43の径方向内側の端部から軸方向に延びる。第4配線基板44は、第3配線基板43から中空軸10の内周面10INに沿って延びて、回路基板20、及び電源部30に接続されている。
【0055】
ひずみゲージSG11~SG14をFPC40で接続することにより、第1ホイートストンブリッジWSB1(図7(a))が形成される。同様に、ひずみゲージSG21~SG24をFPC40で接続することにより第2ホイートストンブリッジWSB2(図7(b))が、ひずみゲージSG31~SG34をFPC40で接続することにより第3ホイートストンブリッジWSB3(図7(c))が、ひずみゲージSG41~SG44をFPC40で接続することにより第4ホイートストンブリッジWSB4(図7(d))が、それぞれ形成される。
【0056】
ホイートストンブリッジWSB1~WSB4の各々には、電源部30により入力電圧Eiが加えられる。ホイートストンブリッジWSB1~WSB4の各々の出力電圧Eoは回路基板20に出力される。
【0057】
ペダルPは、ペダル軸100が挿入される貫通孔(不図示)を内部に有する厚手の板状である。ペダル軸100へのペダルPの取り付けは、中径部14の基端側端部の近傍、及び小径部15にボールベアリング(不図示)を配置したペダル軸100をペダルPの貫通孔に挿入し、ペダル用ネジ部16にナット(不図示)を取り付けてペダルPの軸方向の移動を規制することによりなされる。その他、ペダル軸100へのペダルPの取り付けは公知の任意の方法によりなし得る。
【0058】
次に、パワーメータPMの使用方法を説明する。
【0059】
パワーメータPMの使用時には、まずパワーメータPMを自転車等のクランクCR(図1)に取り付ける。パワーメータPMのクランクCRへの取り付けは、ペダル軸100のボルトヘッド部12にスパナ等の工具を係合し、クランク用ネジ11をクランクCRの雌ネジ(不図示)に螺合することによりなされる。
【0060】
パワーメータPMをクランクCRに取り付けた状態で自転車等の使用者がペダルPを漕ぐと、使用者の脚からペダル軸100に、ペダルPの位置に応じた荷重が加えられる。ホイートストンブリッジWSB1~WSB4は、当該荷重によりペダル軸100に生じるひずみを検出して、回路基板20に出力する。
【0061】
回路基板20の処理回路21は、ホイートストンブリッジWSB1~WSB4を介して検出したひずみに基づいて、自転車等の使用者がペダルPを踏み込む力(踏込み力)の大きさ、方向や位置等を算出する。算出された各値は、通信回路22を介して外部装置、例えば自転車のハンドルに取り付けられた表示装置(不図示)に送信される。表示装置は、ペダルメータPMにより算出された各値を自転車等の使用者に表示する。
【0062】
本実施形態のペダル軸100、及びパワーメータPMの有利な効果を以下にまとめる。
【0063】
本実施形態のペダル軸100においては、ひずみゲージSGが中空軸10の外周面10OUTに、回路基板20が中空軸10の内部空間ISにそれぞれ配置されており、ひずみゲージSGと回路基板20とを接続するFPC40は、接続孔CHを通って内部空間ISの内部を延びる。
【0064】
中空軸10において最も大きなひずみが生じる位置である外周面10OUTにひずみゲージSGを設けることで、ひずみゲージSGの検出精度を高めることが出来る。また、ひずみゲージSGの各々が出力する信号は微弱であり外部からのノイズの影響を受けやすいが、回路基板20及びFPC40を中空軸10の内部空間ISに配置することにより、外部からのノイズを中空軸10により遮断して、FPC40による信号伝達及び回路基板20による各種処理を良好に行うことができる。これらの点より、本実施形態のペダル軸100は、回路基板20によるひずみの検出等を高い精度で行うことができる。
【0065】
本実施形態のペダル軸100は、回路基板20及びFPC40が金属製の中空軸10の内部空間ISに配置されているため、回路基板20及びFPC40を外部の水や塵等から良好に保護することが出来る。
【0066】
本実施形態のペダル軸100は、内部空間ISを有する金属製の中空軸10を用いて構成されているため、十分な強度を有しつつ軽量である。
【0067】
本実施形態のペダル軸100においては、中空軸10の外周面10OUTに、径方向に直交する平坦面である第1起歪面131~第4起歪面134が、周方向に等間隔に設けられている。ひずみゲージSGは第1起歪面131~第4起歪面134に取り付けられている。このように、ひずみゲージSGを軸方向に平行な平坦面に設けることにより、ひずみゲージSGの各々は中空軸10の軸方向に生じるひずみを高い精度で検出することができ、且つ回路基板20における算出処理の負担も小さくなる。また、互いに同一形状である複数の起歪面を周方向において等間隔で(即ち回転対称で)設けることで、中空軸10に生じるひずみが周方向において均等化され、回路基板20における踏込み力の大きさ等の算出をより高い精度で行うことができる。
【0068】
本実施形態のペダル軸100においては、中空軸10のゲージ取付部13に凹溝Gが設けられている。そして、ひずみゲージSGの各々の接続タブT1、T2は、径方向に見た凹部Gの内部に凹部Gの底面から離間して配置されており、中空軸10に接着されていない。また、基材BMは、径方向にたわむことにより、接続タブT1、T2を周方向に見た凹溝Gの内部に位置させている。したがって、中空軸10にひずみが生じた場合でも接続タブT1、T2は径方向に移動するのみであり、接続タブT1、T2にひずみが生じることはない。したがって、接続タブT1、T2におけるひずみの発生、ひいては接続タブT1、T2のひずみにより生じ得る接続タブT1、T2とFPC40との接続状態の悪化を防止できる。
【0069】
本実施形態のペダル軸100においては、FPC40の第1配線基板41にスロットSLが設けられている。したがって、スロットSLの軸方向一方側に配置されたひずみゲージの接続タブT1、T2に発生したひずみの影響がスロットSLの軸方向他方側に配置されたひずみゲージの接続タブT1、T2に及ぶことを抑制することができる。即ち、スロットSLの軸方向一方側と他方側とで中空軸10やひずみゲージのひずみ量(変位量)に差があっても、その影響はスロットSLにより吸収されるため、スロットSLの軸方向一方側において生じたひずみに起因するスロットSLの軸方向他方側のひずみゲージの接続タブT1、T2等におけるひずみの発生が抑制される。
【0070】
本実施形態のペダル軸100においては、中空軸10のゲージ取付部13に、互いに同一形状の4つの接続孔CHが周方向に等間隔に設けられている。このように、FPC40を通すための接続孔CHは1つで足りるにもかかわらず、互いに同一形状の複数の接続孔CHを周方向において回転対称に設けることで、中空軸10に生じるひずみが周方向において均等化され、回路基板20における踏込み力の大きさ等の算出をより高い精度で行うことができる。
【0071】
本実施形態のペダル軸100においては、中空軸10のゲージ取付部13に取り付けられたひずみゲージSGの各々のグリッド方向が、中空軸10の軸方向に一致している。したがってホイートストンブリッジWSB1~WSB4の各々をフルブリッジ回路とすることができ、高精度な検知を行うことが出来る。
【0072】
本実施形態のペダル軸100は、処理回路20及び電源部30が中空軸10の内部空間ISに配置されている。したがってペダル軸100を有するパワーメータPMは機能的に完結しており、パワーメータPMを自転車等のクランクCRに取り付けた際に、パワーメータPMとクランクCRとを跨ぐ配線等を設ける必要がない。したがって、本実施形態のペダル軸100を含むパワーメータPMは取り扱いが容易であり、クランクCRへの着脱を少ない手間で行うことが出来る。
【0073】
<変形例>
上記実施形態のペダル軸100において、次の変形態様を用いることもできる。
【0074】
上記実施形態のペダル軸100においては、中空軸10に取り付けた16個のひずみゲージSGの全てについて、受感部SSのグリッド方向を中空軸10の軸方向に一致させている。しかしながらこれには限られず、一部の受感部のグリッド方向を中空軸10の軸方向に一致させ、他の一部の受感部のグリッド方向を中空軸10の周方向に一致させてもよい。
【0075】
具体的には例えば、図8に示すひずみゲージSSGを用いる。ひずみゲージSSGは、樹脂フィルムで形成された基材BBMと、基材BBM上に設けられた金属製の抵抗体RRSとを有する。抵抗体RRSは、ひずみ受感部SS、SSB1、SSB2と、ひずみ受感部SS、SSB1、SSB2を回路基板20に接続するための接続タブTT1、TT2、TT3とを有する。
【0076】
ひずみ受感部SS、SSB1、SSB2においては、線状の抵抗体RRSがジグザグに折り返されている。ひずみ受感部SSのグリッド方向と、ひずみ受感部SSB1、SSB2のグリッド方向とは互いに直交している。ひずみ受感部SSB1、SSB2は、ひずみ受感部SSのグリッド方向と直交する方向(グリッド幅方向)において、ひずみ受感部SSを挟んで配置されている。
【0077】
図9(a)~図9(d)に示す通り、8個のひずみゲージSSGを、第1起歪面131~第4起歪面134の各々に2つずつ取り付ける。8個のひずみゲージSSGの各々は、ひずみ受感部SSのグリッド方向が中空軸10の軸方向に一致し、ひずみ受感部SSB1、SSB2のグリッド方向が中空軸10の周方向に一致するように取り付ける。
【0078】
第1起歪面131~第4起歪面134の基端側に取り付けられたひずみゲージSSGは、接続タブTT1~TT3がひずみ受感部SS、SSB1、SSB2よりも先端側に位置するように取り付けられている。第1起歪面131~第4起歪面134の先端側に取り付けられたひずみゲージSSGは、接続タブTT1~TT3がひずみ受感部SS、SSB1、SSB2よりも基端側に位置するように取り付けられている。8個のひずみゲージSSGの各々の接続タブTT1~TT3は、径方向にみて凹溝Gの内部に配置されている。
【0079】
第3起歪面133の基端側に取り付けられたひずみゲージSSGのひずみ受感部SS、SSB1、SSB2をそれぞれひずみ受感部SS11、SS131、SS132とし、第1起歪面131の基端側に取り付けられたひずみゲージSSGのひずみ受感部SS、SSB1、SSB2をそれぞれひずみ受感部SS14、SS121、SS122とする。この時、これらのひずみ受感部をFPC40により接続して図10(a)に示すホイートストンブリッジWSB5を構成し得る。
【0080】
第2起歪面132の基端側に取り付けられたひずみゲージSSGのひずみ受感部SS、SSB1、SSB2をそれぞれひずみ受感部SS21、SS231、SS232とし、第4起歪面134の基端側に取り付けられたひずみゲージSSGのひずみ受感部SS、SSB1、SSB2をそれぞれひずみ受感部SS24、SS221、SS222とする。この時、これらのひずみ受感部をFPC40により接続して図10(b)に示すホイートストンブリッジWSB6を構成し得る。
【0081】
第3起歪面133の先端側に取り付けられたひずみゲージSSGのひずみ受感部SS、SSB1、SSB2をそれぞれひずみ受感部SS31、SS331、SS332とし、第1起歪面131の先端側に取り付けられたひずみゲージSSGのひずみ受感部SS、SSB1、SSB2をそれぞれひずみ受感部SS34、SS321、SS322とする。この時、これらのひずみ受感部をFPC40により接続して図10(c)に示すホイートストンブリッジWSB7を構成し得る。
【0082】
第2起歪面132の先端側に取り付けられたひずみゲージSSGのひずみ受感部SS、SSB1、SSB2をそれぞれひずみ受感部SS41、SS431、SS432とし、第4起歪面134の先端側に取り付けられたひずみゲージSSGのひずみ受感部SS、SSB1、SSB2をそれぞれひずみ受感部SS44、SS421、SS422とする。この時、これらのひずみ受感部をFPC40により接続して図10(d)に示すホイートストンブリッジWSB8を構成し得る。
【0083】
このように、ハーフブリッジが形成されたひずみゲージSSGを用いることで、内部配線長による温度特性の低下を減らすことができる。より詳細には、ホイートストンブリッジWSB5~WSB8を構成する配線の全部又は大部分をFPC40ではなくひずみゲージSSGに形成できるため、ひずみゲージの配線パターン(例えば銅パターン)とFPC40の配線パターンとの間の抵抗差による温度特性変化が抑制される。したがって、温度変化に起因する検知誤差を抑制することが出来る。
【0084】
また、本変形例では、単一の基材BBMの上に複数のひずみ受感部が形成されたひずみゲージSSGを用いている。したがって、ひずみゲージをより小さい領域に配置して、第1起歪面131~第4起歪面134、ひいてはペダル軸100を小型化することが出来る。また、ひずみゲージSSG上でひずみ受感部同士の接続を行うため、1つのホイートストンブリッジの形成に必要な接続タブの数を6つに減らすことが出来る。ホイートストンブリッジの形成に必要な接続タブの数が減るため、接続タブのサイズを大きくして、FPC40との電気的接続に関する作業性を向上させることが出来る。
【0085】
ひずみゲージSSGを、2つの分離したひずみゲージ、即ち、ひずみ受感部SSを有するひずみゲージ、及びひずみ受感部SSB1、SSB2を有するひずみゲージを一体に組み合わせた構造と捉えることもできる。また、ひずみゲージSSGに変えて、2つの分離したひずみゲージ、即ち、ひずみ受感部SSAを有するひずみゲージ、及びひずみ受感部SSB1、SSB2を有するひずみゲージを用いてもよい。
【0086】
上記実施形態のペダル軸100においては、中空軸10のゲージ取付部13に第1起歪面131~第4起歪面134が設けられているが、これには限られない。ゲージ取付部13に設けられる径方向に直交する平坦な起歪面の数は任意である。複数の起歪面を有する場合は、互いに同一形状として周方向に等間隔で配置することで、中空軸10に生じるひずみを周方向で均一化し得る。径方向に直交する平坦な起歪面を設けず、中空軸10の外周面10OUT(例えば円柱面である)にひずみゲージを取り付けてもよい。この場合、外周面10OUTが実質的な起歪面となる。
【0087】
上記実施形態のペダル軸100においては、中空軸10は貫通孔THを有し、中空軸10の内部に貫通孔THにより内部空間ISが画定されているが、これには限られない。中空軸10は、貫通孔THに代えて、基端側の端部及び/又は先端側の端部において貫通孔THが閉塞された構成の中心孔(軸方向に延びる凹孔)を有してもよい。この場合、内部空間ISは、当該中心孔により画定される。
【0088】
本発明においては、「中空軸」とは、軸状であり、且つ内部に空間を有する任意の部材を意味する。また本発明において「中空軸の内部空間」とは、中空軸の内部に画定された任意の空間を意味する。当該空間は、中空軸の外側と連通していてもよく、中空軸の内部に画定された密封空間であってもよい。
【0089】
上記実施形態のペダル軸100においては、中空軸10は略円筒形状であるがこれには限られない。中空軸10の軸方向に直交する面による断面の形状は任意である。
【0090】
上記実施形態のペダル軸100においては、中空軸10に16個のひずみゲージSGを取り付けているがこれには限られない。中空軸10に取り付けるひずみゲージに数は任意である。
【0091】
上記実施形態のペダル軸100においては、中空軸10に、各々が軸方向を長手方向とする長孔である4つの接続孔CHを、周方向に等間隔に配置しているが、これには限られない。接続孔CHの形状、数、配置は任意である。
【0092】
具体的には例えば、FPC40を外周面10OUTから内部空間ISに延ばすために必要な単一の接続孔CHのみを設けてもよい。また、接続孔CHの各々の径方向に直交する面による断面の形状は、円形、四角形等であってもよい。
【0093】
接続孔CHを周方向に等間隔に複数設ける場合、複数の接続孔CHの径方向に直交する面による断面の形状は必ずしも同一でなくてもよい。この場合も、接続孔CHを周方向に等間隔に設けることで、中空軸10に生じるひずみを周方向で均一化し得る。
【0094】
上記実施形態のペダル軸100においては、16個のひずみゲージSG等と回路基板20との接続をFPC40により行っているが、これには限られない。16個のひずみゲージSG等と回路基板20との接続は、リード線等の任意の配線構造により行い得る。また、FPC40の第1配線基板41のスロットSLは、中空軸10の軸方向に直交する任意の方向に延びてもよい。
【0095】
上記実施形態のペダル軸100において、中空軸10のゲージ取付部13の凹溝G内に(即ち基材BMと底面Gbの間に)、接着力の小さい接着剤を配置してもよい。接着力の小さい接着剤とは、受感部SSを有する領域において用いる接着剤よりも接着力が弱く、中空軸10にひずみが生じた場合に該ひずみに応じたひずみが接続タブT1、T2に生じない程度の接着力を有する接着剤を意味する。接着力の小さい接着剤により基材BMが中空軸10に接着された態様も、ひずみゲージが中空軸10に固定されていない態様に含まれる。また、凹溝Gを設けることなく、基材BMの接続タブT1、T2を中空軸10に接着しない態様、或いは接着力の小さい接着剤で接着する態様としてもよい。
【0096】
このような構造によっても、中空軸10のひずみに応じた接続タブT1、T2のひずみ発生を抑制することができ、ひいては接続タブT1、T2とFPC40との接続の損傷を抑制することが出来る。
【0097】
本発明の特徴を維持する限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0098】
10 中空軸; 11 クランク用ネジ部; 12 ボルトヘッド部; 13 ゲージ取付部; 14 中径部; 15 小径部; 16 ペダル用ネジ部; 20 回路基板; 30 電源部; 40 FPC; 100 ペダル軸; PM ペダルメータ; SG、SSG ひずみゲージ
図1
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