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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173190
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
H01L29/78 301P
H01L29/78 301S
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085271
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 洋太郎
【テーマコード(参考)】
5F140
【Fターム(参考)】
5F140AC21
5F140BA01
5F140BA16
5F140BD05
5F140BF04
5F140BF18
5F140BF53
5F140BG08
5F140BG12
5F140BH07
5F140BH30
5F140BJ08
5F140BJ15
5F140BJ17
5F140BJ27
5F140BK09
5F140BK13
5F140BK34
5F140CA03
5F140CB01
5F140CB04
5F140CC03
5F140CC08
5F140CE07
5F140CF04
(57)【要約】
【課題】半導体装置の性能を向上させる。
【解決手段】半導体基板SBにn型ソース領域SRと、n型ドレイン領域DRと、p型半導体領域PRと、n型ソース領域SRおよびp型半導体領域PRを囲むp型半導体領域PBとが形成されている。n型ソース領域SRとn型ドレイン領域DRとの間の半導体基板SB上に絶縁膜GFを介してゲート電極GEが形成されている。半導体基板SBに、n型ソース領域SRを貫通するように窪み部KBが形成されており、窪み部KBの下にp型半導体領域PRが形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板に互いに離間して形成された、MISFETの第1導電型のソース領域および前記MISFETの前記第1導電型のドレイン領域と、
前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の前記半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成された、前記MISFETのゲート電極と、
前記ソース領域を貫通する、前記半導体基板に形成された窪み部と、
前記窪み部の下に設けられた前記第1導電型とは反対の第2導電型の第1半導体領域と、
前記半導体基板中に、前記ソース領域および前記第1半導体領域を囲むように形成された、前記第2導電型の第2半導体領域と、を備えた半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置は、
前記第2半導体領域が、前記第1半導体領域の底面と側面と接し、さらに、前記第2半導体領域は、前記ソース領域の底面と前記窪み部側以外の側面と接する、半導体装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置において、
平面視において、前記窪み部は前記ソース領域に囲まれている、半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記ゲート電極のゲート幅方向において、前記ソース領域の幅と、前記ゲート電極の幅とが同じ幅である、半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1半導体領域の上面は、前記半導体基板の中の前記ソース領域の底面よりも下に位置する、半導体装置。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置において、
前記ゲート電極のゲート長方向における、前記第1半導体領域の長さは、前記窪み部の長さよりも長い、半導体装置。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体装置において、
平面視において、前記第1半導体領域は、前記第2半導体領域にアイランド状に配置されている、半導体装置。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置において、
前記第1半導体領域は、前記第2半導体領域中に複数設けられている、半導体装置。
【請求項9】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記半導体基板上に設けられた層間絶縁膜と、
前記第1半導体領域と電気的に接続された第1コンタクトプラグと、
前記窪み部の側面に形成された側壁絶縁膜と、
をさらに備え、
前記第1コンタクトプラグは、前記層間絶縁膜を貫通し、前記側壁絶縁膜の間を通り抜け、前記第1半導体領域の上面に達する、半導体装置。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置において、
前記層間絶縁膜を貫通し、かつ、前記ソース領域と電気的に接続された第2コンタクトプラグを更に備え、
前記第1コンタクトプラグと前記第2コンタクトプラグとは、平面視においてゲート幅方向に一直線上に並び、前記窪み部と前記ソース領域との境界が前記第1コンタクトプラグと前記第2コンタクトプラグとの間に挟まれる、半導体装置。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置において、
前記第1コンタクトプラグから前記第1半導体領域に供給される電位と、前記第2コンタクトプラグから前記ソース領域に供給される電位とが同じである、半導体装置。
【請求項12】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の前記第2半導体領域の上部が、前記MISFETのチャネル形成領域であり、
前記第1半導体領域の不純物濃度は、前記第2半導体領域の不純物濃度よりも高い、半導体装置。
【請求項13】
請求項1記載の半導体装置において、
前記ゲート電極のゲート長方向において、前記第1半導体領域と前記ドレイン領域との間に介在する前記第1導電型の第3半導体領域を更に有し、
前記第3半導体領域の不純物濃度は、前記ドレイン領域の不純物濃度よりも低い、半導体装置。
【請求項14】
請求項12に記載の半導体装置において、
前記第2半導体領域は、前記第1半導体領域を囲む前記第2導電型の第4半導体領域と、前記第4半導体領域に隣接する前記第2導電型の第5半導体領域とを有し、
前記第4半導体領域の不純物濃度は、前記第5半導体領域の不純物濃度よりも高く、
前記チャネル形成領域は、前記第5半導体領域に位置している、半導体装置。
【請求項15】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記半導体基板に、前記窪み部とその下の前記第1半導体領域との組は複数設けられており、
前記複数の組は、前記ゲート電極のゲート幅方向に互いに離間して並んでいる、半導体装置。
【請求項16】
以下の工程を有する、MISFETを備える半導体装置の製造方法:
(a)半導体基板を用意する工程、
(b)前記半導体基板上にゲート絶縁膜を介して導電膜を形成する工程、
(c)前記(b)工程後、前記導電膜をエッチングすることにより、前記導電膜からなる第1パターンを形成する工程、
(d)前記(c)工程後、前記第1パターンに覆われていない前記半導体基板に前記MISFETの第1導電型のソース領域を、イオン注入法を用いて形成する工程、
(e)前記(d)工程後、前記半導体基板をエッチングすることにより、前記ソース領域を貫通する窪み部を形成する工程、
(f)前記(e)工程後、前記半導体基板中に、前記窪み部の下に、前記第1導電型とは反対の第2導電型の第1半導体領域を、イオン注入法を用いて形成する工程。
【請求項17】
請求項16に記載の半導体装置の製造方法において、
(b1)前記(b)工程後で、前記(c)工程前に、前記導電膜上に第1レジストパターンを形成する工程、
を更に有し、
前記(c)工程では、前記第1レジストパターンをエッチングマスクとして用いて前記導電膜をエッチングすることにより、第1開口部を有する前記第1パターンを形成し、
前記(d)工程では、前記第1レジストパターンをマスクとして用いて前記第1開口部からイオン注入を行うことにより、前記半導体基板に前記ソース領域を形成し、
(d1)前記(d)工程後で、前記(e)工程前に、前記第1レジストパターンを除去する工程、
を更に有する、半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の半導体装置の製造方法において、
(e1)前記(d1)工程後で、前記(e)工程前に、前記半導体基板上に、ゲート電極となる部分の前記第1パターンの一部を覆いながら第2レジストパターンを形成する工程、
を更に有し、
前記(e)工程では、前記第2レジストパターンをエッチングマスクとして用いて前記半導体基板をエッチングすることにより、前記ソース領域を貫通するように前記窪み部を形成し、
(e2)前記(e)工程後で、前記(f)工程前に、前記第2レジストパターンを除去する工程、
を更に有する、半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2レジストパターンは、平面視において前記ソース領域に内包される第2開口部を有し、
前記(e)工程では、前記第2開口部の底部で前記半導体基板をエッチングすることにより、前記窪み部を形成する、半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項18に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(e)工程では、前記第2レジストパターンをエッチングマスクとして用いて前記半導体基板をエッチングすることにより、前記ソース領域を貫通するように前記窪み部を形成し、かつ、前記第2レジストパターンをエッチングマスクとして用いて前記導電膜をエッチングすることにより、前記ゲート電極を形成する、半導体装置の製造方法。
【請求項21】
請求項20に記載の半導体装置の製造方法において、
(f1)前記(e2)工程後で、前記(f)工程前に、前記半導体基板上に、前記ゲート電極を覆うように、第3レジストパターンを形成する工程、
を更に有し、
前記第3レジストパターンは、平面視において前記窪み部と重なる位置に第3開口部を有し、
前記(f)工程では、前記第3レジストパターンをマスクとして用いたイオン注入により、前記窪み部の下に前記第1半導体領域を形成する、半導体装置の製造方法。
【請求項22】
請求項18に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2レジストパターンは、平面視において前記第1開口部を露出する第2開口部を有し、
前記ゲート電極のゲート長方向において、前記第2開口部の長さは、前記第1開口部の長さよりも小さい、半導体装置の製造方法。
【請求項23】
請求項18に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2レジストパターンは、前記導電膜上および前記ソース領域の一部上に形成される、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、例えば、LDMOSFETを有する半導体装置およびその製造方法に好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)として、LDMOSFET(Laterally Diffused Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor、横方向拡散MOSFET)がある。LDMOSFETは、高いドレイン耐圧を有している。
【0003】
特開2021-190548号公報(特許文献1)には、LDMOSFETを有する半導体装置に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-190548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
MISFETを有する半導体装置において、できるだけ性能を向上させることが望まれる。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態によれば、半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板に互いに離間して形成された第1導電型のソース領域および前記第1導電型のドレイン領域と、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の前記半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記ソース領域を貫通するように前記半導体基板に形成された窪み部と、を備える。半導体装置は、更に、前記窪み部の下に設けられた第2導電型の第1半導体領域と、前記ソース領域および前記第1半導体領域を囲むように形成された前記第2導電型の第2半導体領域と、を備える。
【0008】
一実施の形態によれば、半導体装置の製造方法は、(a)半導体基板を用意する工程、(b)前記半導体基板上にゲート絶縁膜を介してゲート電極用の導電膜を形成する工程、(c)前記(b)工程後、前記導電膜をエッチングすることにより、前記導電膜からなる第1パターンを形成するとともに前記半導体基板の第1上面を露出させる工程、を有する。半導体装置の製造方法は、更に、(d)前記(c)工程後、前記第1上面に第1導電型のソース領域をイオン注入法を用いて形成する工程、(e)前記(d)工程後、前記第1上面をエッチングすることにより、前記ソース領域を貫通するように窪み部を形成する工程、(f)前記(e)工程後、前記半導体基板における前記窪み部の下に、第2導電型の第1半導体領域をイオン注入法を用いて形成する工程、を有する。
【発明の効果】
【0009】
一実施の形態によれば、半導体装置の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
図2】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
図3】一実施の形態の半導体装置の要部平面図である。
図4】変形例の半導体装置の要部断面図である。
図5】一実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図6図5に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図7図6に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図8図7に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図9図8に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図10図9に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図11図10に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図12図11に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図13図12に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図14図13に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図15図14に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図16図15に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図17図16に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図18図17に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図19図18に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図20図19に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図21】検討例の半導体装置の要部断面図である。
図22】検討例の半導体装置の要部平面図である。
図23】検討例の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図24図23に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図25図24に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図26図25に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図27図26に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図28図27に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図29図28に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図30図29に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図31】検討例の半導体装置の要部断面図である。
図32】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
図33】他の実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
図34】他の実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0012】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0013】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0014】
(実施の形態1)
<半導体装置の構造について>
本発明の一実施の形態の半導体装置を図面を参照して説明する。図1および図2は、本実施の形態の半導体装置の要部断面図であり、図3は、本実施の形態の半導体装置の要部平面図である。図1および図2には、ゲート長方向に略平行な断面が示されているが、図3のA1-A1線の断面図が図1にほぼ対応し、図3のA2-A2線の断面図が図2にほぼ対応している。図1図3には、n型ソース領域SRおよびp型半導体領域PRを共有する2つのLDMOSFETが示されている。
【0015】
また、図3には、X方向およびY方向が示されている。X方向は、ゲート電極GEのゲート長方向に沿った方向であり、従って、チャネル長方向に沿った方向である。Y方向は、ゲート電極GEのゲート幅方向である。Y方向は、X方向に交差する方向であり、より特定的には、X方向に直交する方向である。なお、以下では、ゲート電極GEのゲート長方向を、単に「ゲート長方向」と称し、ゲート電極GEのゲート幅方向を、単に「ゲート幅方向」と称する。
【0016】
本実施の形態の半導体装置は、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を有する半導体装置であり、ここでは、MISFETとしてLDMOSFET(Laterally Diffused Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)を有する半導体装置である。
【0017】
なお、本願において、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)またはLDMOSFETというときは、ゲート絶縁膜に酸化膜(酸化シリコン膜)を用いたMISFETだけでなく、酸化膜(酸化シリコン膜)以外の絶縁膜をゲート絶縁膜に用いたMISFETも含むものとする。また、LDMOSFETは、MISFET素子の一種である。
【0018】
以下、本実施の形態の半導体装置の構造について、図1図3を参照して具体的に説明する。
【0019】
図1図3に示されるように、MISFETとして、LDMOSFETが、半導体基板SBの主面に形成されている。半導体基板SBは、例えばホウ素(B)などのp型不純物が導入されたp型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板である基板本体SB1と、基板本体SB1上に形成されたn型の埋込層(半導体層)NBLと、埋込層NBL上に形成された、p型の単結晶シリコンなどからなるエピタキシャル層(半導体層)EPと、を有している。このため、半導体基板SBは、いわゆるエピタキシャルウエハである。基板本体SB1の不純物濃度(p型不純物濃度)は、エピタキシャル層EPの不純物濃度(p型不純物濃度)よりも高い。エピタキシャル層EPおよび埋込層NBLも、半導体基板SBの一部とみなすことができる。
【0020】
半導体基板SBの主面には、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法またはLOCOS(Local Oxidization of Silicon)法などを用いて絶縁体(絶縁膜)からなる素子分離領域(図示せず)が形成されている。
【0021】
図1および図2を参照する。半導体基板SBの上部(上層部)、すなわちエピタキシャル層EPの上部(上層部)には、n型半導体領域(n型ドリフト層、n型ウエル)NDとp型半導体領域(p型ボディ領域、p型ウエル)PBとが形成されている。n型半導体領域NDは、n型の半導体領域である。
【0022】
<<p型半導体領域PB>>
p型半導体領域PBは、p型の半導体領域である。n型半導体領域NDとp型半導体領域PBとは、互いに隣接している。p型ボディ領域PBの不純物濃度(p型不純物濃度)は、エピタキシャル層EPの不純物濃度(p型不純物濃度)よりも高い。p型半導体領域PBは、後述するn型ソース領域SRとp型半導体領域PRとを囲むように形成されている。より具体的には、p型半導体領域PBが、p型半導体領域PRの底面と側面と接している。さらに、p型半導体領域PBは、n型ソース領域SRの底面と後述する窪み部KB側以外の側面と接する。
【0023】
p型半導体領域PBは、バックゲートとして機能することができる。p型半導体領域PBは、LDMOSFETのドレインからソースへの空乏層の延びを抑えるパンチスルーストッパとしての機能も有することができる。n型ソース領域SRとn型ドレイン領域DRとの間において、ゲート電極GEの下に位置する部分のp型半導体領域PBの上部(上層部)が、LDMOSFETのチャネル形成領域となる。
【0024】
<<n型ソース領域SR>>
p型半導体領域PB内に、n型ソース領域(n型半導体領域)SRが形成されている。n型ソース領域SRは、LDMOSFETのソース領域として機能するn型半導体領域である。n型ソース領域SRは、後述する窪み部KBと隣接している。本実施の形態では、図1を参照すると、断面において窪み部KBの左右にn型ソース領域SRが配置されている。そのため、n型ソース領域SRの側面の一つは窪み部KBと接している。n型ソースPRは、半導体基板SBの中に形成されている。n型ソース領域PRの上面は、半導体基板SBの上面と同じ高さにある。
【0025】
<<窪み部KB>>
半導体基板SBの主面(上面)には、すなわちエピタキシャル層EPの主面(上面)には、窪み部KBが形成されている。窪み部KBは半導体基板SBの厚さ方向にえぐられた凹部形状である。窪み部KBは、n型ソース領域SRの上面から下面にその内部を貫く空間によって構成される。図1では、窪み部KBは、n型ソース領域SRの中央を貫通している。窪み部KBは、さらにn型ソース領域SRの下のp型半導体領域PB内に達する空間を形成している。
【0026】
ここで図3を参照する。平面視において、窪み部KBは、n型ソース領域SRに内包されている。すなわち、平面視において、窪み部KBはn型ソース領域SRで囲まれている。n型ソース領域SRは、窪み部KBを取り囲むように窪み部KBと接している。図1で示されるように、n型ソース領域SRの一つの側面、すなわち、窪み部KBと隣接する側面以外の側面、とn型ソース領域SRの底面とは、p型半導体領域PBで覆われている。
【0027】
<<p型半導体領域PR>>
p型半導体領域PB内には、p型半導体領域PRも形成されている。p型半導体領域PRは、窪み部KBの底部(底面)の下に形成されている。p型半導体領域PRの不純物濃度(p型不純物濃度)は、p型半導体領域PBの不純物濃度(p型不純物濃度)よりも高い。p型半導体領域PRの側面と底面とは、p型半導体領域PBに接している。p型半導体領域PRは、その上面を除きp型半導体領域PBで覆われている。したがって、p型半導体領域PBは、n型ソース領域SRと合わせてp型半導体領域PRを囲むように形成されている。p型半導体領域PRは、p型半導体領域PBのコンタクトとして機能することができる。
【0028】
本実施の形態では、p型半導体領域PRの上面は、n型ソース領域SRの底面よりも下に位置している。言い換えると、p型半導体領域PRの上面の高さ位置は、n型ソース領域SRの底面の高さ位置よりも低い。p型半導体領域PRの側面は、窪み部KBの側面と同じ平面に収まる。同じく、p型半導体領域PRの側面は、n型ソース領域SRの側面とも同じ平面に収まっている。ゲート長方向におけるp型半導体領域PRの長さは、窪み部KBの長さと同じである。ここで、図32も参照すると、p型半導体領域PRの長さは幅L1と表示される。また、図11も参照すると、窪み部KBの長さは幅L3と表示される。
【0029】
なお、変形例として、図4に示されるように、p型半導体領域PRの長さは、窪み部KBの長さよりも広くすることもできる。これによりp型半導体領域PRとp型半導体領域PBのコンタクト領域を広くすることができる。ここで、図4は、本実施の半導体装置の変形例を示す要部断面図であり、図1に相当する断面が示されている。図4には、ゲート長方向におけるp型半導体領域PRの長さが、ゲート長方向における窪み部KBの長さよりも長い場合が示されている。
【0030】
また、図3において、平面視するとp型半導体領域PRは、p型半導体領域PBの中にアイランド状に配置されている。p型半導体領域PRは、p型半導体領域PBの中に複数アイランド状に配置することができる。
【0031】
<<n型半導体領域ND>>
再び図1を参照する。ゲート長方向(X方向)において、n型半導体領域NDは、p型半導体領域PBと隣接している。n型半導体領域NDとp型半導体領域PBのうち、n型半導体領域NDがドレイン側に位置し、p型半導体領域PBがソース側に位置している。n型半導体領域NDとp型半導体領域PBとの境界は、ゲート電極GEの下方に位置するとともに、ゲート電極GEのゲート幅方向(Y方向)に延在している。
【0032】
<<n型ドレイン領域DR>>
n型半導体領域ND内に、n型ドレイン領域(n型半導体領域)DRが形成されている。n型半導体領域NDは、n型ドレイン領域DRを囲むように形成されている。言い換えると、n型ドレイン領域DRの底面および側面は、n型半導体領域NDで覆われている。n型ドレイン領域DRは、LDMOSFETのドレイン領域として機能するn型半導体領域である。n型ドレイン領域DRの不純物濃度(n型不純物濃度)は、n型半導体領域NDの不純物濃度(n型不純物濃度)よりも高い。n型ドレイン領域DRとn型ソース領域SRとは、ゲート電極GEのゲート長方向(X方向)において、互いに離間している。
【0033】
ゲート電極GEのゲート長方向(X方向)において、p型半導体領域PBとn型ドレイン領域DRとの間には、n型ドレイン領域DRよりも不純物濃度(n型不純物濃度)が低いn型半導体領域NDが介在している。このため、LDMOSFETのチャネル形成領域とn型ドレイン領域DRとの間には、n型ドレイン領域DRよりも低不純物濃度のn型半導体領域NDが存在し、そのn型半導体領域NDは、n型ドリフト領域として機能することができる。従って、ゲート電極GEのゲート長方向(X方向)において、n型ソース領域SRとn型ドレイン領域DRとの間には、チャネル形成領域とn型半導体領域ND(n型ドリフト領域)とが存在し、n型ソース領域SR側にチャネル形成領域が位置し、n型ドレイン領域DR側にn型半導体領域NDが位置している。チャネル形成領域は、n型ソース領域SRとn型半導体領域NDとに隣接しており、X方向においてn型ソース領域SRとn型半導体領域NDとの間に介在している。また、n型半導体領域NDおよびp型半導体領域PBの下に残存するp型のエピタキシャル層EPは、リサーフ層(リサーフ領域)として機能することができる。なお、本実施形態では、エピタキシャル層が用いられているが、これに限定されず、イオン注入によって形成された層を用いることもできる。
【0034】
<<ゲート電極GE>>
半導体基板SBの主面(上面)には、すなわちエピタキシャル層EPの主面(上面)には、絶縁膜(ゲート絶縁膜)GFを介して、LDMOSFETのゲート電極GEが形成されている。半導体基板SBのエピタキシャル層EPには、n型ソース領域SRとn型ドレイン領域DRとが形成されている。n型ソース領域SRとn型ドレイン領域DRとの間のエピタキシャル層EP上に、絶縁膜GFを介してゲート電極GEが形成されている。絶縁膜GFは、LDMOSFETのゲート絶縁膜である。なお、n型ソース領域SRの幅は、ゲート電極GEのゲート幅に対して同じ幅になる。すなわち、Y方向において、ソース領域SRの幅とゲート電極GEの幅とは同じになる。
【0035】
ゲート電極GEは、例えば、多結晶シリコン膜(ドープトポリシリコン膜)の単体膜あるいは多結晶シリコン膜と金属シリサイド層との積層膜などからなる。絶縁膜GFは、例えば酸化シリコン膜などからなる。ゲート電極GEの両側面(側壁)上には、絶縁膜(例えば酸化シリコン膜)からなるサイドウォールスペーサ(側壁絶縁膜)SW1が形成されている。
【0036】
ゲート電極GEはn型ソース領域SRとn型ドレイン領域DRとの間に配置されている。ゲート電極GEに閾値電圧以上の電圧が印加されると、ゲート電極GEの下に位置する部分のp型半導体領域PBの上部(上層部)にn型反転層が形成される。n型反転層はチャネルとなる。n型ソース領域SRとn型ドレイン領域DRとが、チャネルおよびn型半導体領域NDを通じて導通する。
【0037】
p型半導体領域PBの一部はゲート電極GEの下方に位置し、n型半導体領域NDの一部はゲート電極GEの下方に位置している。p型半導体領域PBとn型半導体領域NDとの境界は、PN接合面を構成する。この境界は、X方向におけるゲート電極GEの途中に位置している。
【0038】
<<側壁絶縁膜SW2>>
窪み部KBの側面上には、絶縁膜からなる側壁絶縁膜SW2が形成されている。例えば、側壁絶縁膜SW2は、酸化シリコン膜からなる。側壁絶縁膜SW2は、サイドウォールスペーサ状である。図1を参照すると、側壁絶縁膜SW2は、半導体の厚さ方向(図の高さ方向)において、n型ソース領域SR上の金属シリサイドSLの位置の高さから始まり、窪み部KBの底、すなわち第1半導体領域PRの上面に至るまで、窪み部KBの側面を覆うように設けられている。側壁絶縁膜SW2は、窪み部KBに面するn型ソース領域SRと第2半導体領域PBを覆っている。
【0039】
<<金属シリサイド層SL>>
n型ドレイン領域DR、n型ソース領域SR、p型半導体領域PRおよびゲート電極GEの各上部(上層部)に、それぞれ金属シリサイド層SLが形成されてる。金属シリサイド層SLは、例えばコバルトシリサイド層、ニッケルシリサイド層、または白金添加ニッケルシリサイド層などからなり、サリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)技術を用いて形成することができる。金属シリサイド層SLは、形成することが好ましいが、不要であれば、省略することもできる。
【0040】
<<層間絶縁膜IL>>
半導体基板SBの主面(上面)上には、すなわちエピタキシャル層EPの主面(上面)上には、ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSW1を覆うように、絶縁膜として層間絶縁膜ILが形成されている。層間絶縁膜ILは、例えば酸化シリコン膜からなる。相対的に薄い窒化シリコン膜と、該窒化シリコン上の相対的に厚い酸化シリコン膜との積層膜により、層間絶縁膜ILを形成することもできる。層間絶縁膜ILの上面は平坦化されている。層間絶縁膜ILは、窪み部KB内にも形成されている。すなわち、層間絶縁膜ILは、半導体基板SB(エピタキシャル層EP)の主面上に、ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSW1を覆うように、かつ、窪み部KB内を埋め込むように、形成されている。
【0041】
層間絶縁膜ILには、コンタクトホール(貫通孔)が形成され、コンタクトホール内には、タングステン(W)膜を主体とする導電性のプラグ(コンタクトプラグ)PGが埋め込まれている。プラグPGは、層間絶縁膜ILを貫通している。プラグPGは、n型ソース領域SR、n型ドレイン領域DRおよびp型半導体領域PRのそれぞれ上に形成されている。
【0042】
<<プラグPG>>
ここで、n型ソース領域SR上に形成されてそのn型ソース領域SRと電気的に接続されたプラグPGを、プラグPGSと称することとする。また、n型ドレイン領域DR上に形成されてそのn型ドレイン領域DRと電気的に接続されたプラグPGを、プラグPGDと称することとする。また、p型半導体領域PR上に形成されてそのp型半導体領域PRと電気的に接続されたプラグPGを、プラグPGPと称することとする。プラグPGは、ゲート電極GE上にも形成され得るが、図1および図2の断面図では、ゲート電極GE上のプラグPGは図示されない。
【0043】
プラグPGPは、p型半導体領域PRと電気的に接続する。プラグPGPは、層間絶縁膜ILを貫通し、窪み部KBの間を通り抜けてその底面に達する。この際、プラグPGPは窪み部KBに設けられた側壁絶縁膜SW2の間を通り抜ける。プラグPGPは、窪み部KBの底部、言い換えるとp型半導体領域PRの上面に達する。
【0044】
プラグPGPは、p型半導体領域PRの上部に形成された金属シリサイド層SLと接しており、その金属シリサイド層SLと電気的に接続されている。これにより、プラグPGPは、p型半導体領域PRの上部に形成された金属シリサイド層SLを介して、p型半導体領域PRと電気的に接続されている。更に、プラグPGPは、そのp型半導体領域PRを介してp型半導体領域PBと電気的に接続されている。p型半導体領域PRの上部に金属シリサイド層SLを形成していない場合は、プラグPGPは、p型半導体領域PRと直接接して、そのp型半導体領域PRと電気的に接続される。
【0045】
図2を参照する。プラグPGSは、n型ソース領域SRと電気的に接続する。プラグPGSは、層間絶縁膜ILを貫通し、n型ソース領域SRの上面に達する。本実施の形態では、プラグPGSは、n型ソース領域SRの上部に形成された金属シリサイド層SLと接しており、その金属シリサイド層SLと電気的に接続されている。プラグPGSは、金属シリサイド層SLを介して、n型ソース領域SRと電気的に接続されている。n型ソース領域SRの上部に金属シリサイド層SLを形成していない場合は、プラグPGSは、n型ソース領域SRと直接接して、n型ソース領域SRと電気的に接続される。
【0046】
図3を参照する。平面視において、プラグPGPは、窪み部KBに内包されている。プラグPGPの下部は、窪み部KB内に位置している。窪み部KB内においても、プラグPGPの側面(周囲)は層間絶縁膜ILで囲まれ(覆われ)ている。プラグPGPとプラグPGSとは、ゲート幅方向に一直線上に並ぶ。この直線上で、窪み部KBとソース領域SRとの境界がプラグPGPとプラグPGSとに挟まれる箇所がある。本実施形態では、平面視にてプラグPGを一直線上に観察すると、一つのプラグPGSと次に二つのプラグPGPとが並んでいる。このプラグPGSとプラグPGPの配列パターンが一直線上に繰り返されていてもよい。プラグPGSとプラグPGPとの本数は必要に応じて変更できる。
【0047】
また、上述の通り、窪み部KBの側面には、サイドウォールスペーサ状の側壁絶縁膜SW2が形成されている。プラグPGPは、窪み部KBの側面には接していない。側壁絶縁膜SW2により、プラグPGPが窪み部KBの側面から露出するエピタキシャル層EPと接触するのをより効果的に防ぐことができる。プラグPGPは、側壁絶縁膜SW2によりソース領域SRと電気的に絶縁される。
【0048】
プラグPGが埋め込まれた層間絶縁膜IL上には、アルミニウム(Al)またはアルミニウム合金などを主体とする導電膜からなる配線(第1層配線)M1が形成されている。配線M1は、アルミニウム配線が好適であるが、他の金属材料を用いた配線、例えばタングステン配線または銅配線とすることもできる。
【0049】
配線M1は、プラグPGSを介してn型ソース領域SRに電気的に接続するソース配線M1Sと、プラグPGDを介してn型ドレイン領域DRに電気的に接続するドレイン配線M1Dと、を有している。また、ソース配線M1Sは、プラグPGPを介してp型半導体領域PRと電気的に接続されている。すなわち、ソース配線M1Sは、プラグPGSとプラグPGDの両方に電気的に接続されている。このため、プラグPGSからn型ソース領域SRに供給される電位と、プラグPGPを介してp型半導体領域PRに供給される電位とは、互いに同じである。従って、ソース配線M1SからプラグPGSを介してn型ソース領域SRに供給される電位(ソース電位)と同じ電位が、ソース配線M1SからプラグPGPを介してp型半導体領域PRに供給され、更にp型半導体領域PRからp型半導体領域PBに供給される。配線M1は、プラグPGを介してゲート電極GEに電気的に接続するゲート配線を更に有することができるが、図1および図2の断面図では、ゲート配線は図示されない。
【0050】
層間絶縁膜ILおよび配線M1よりも上層の構造については、ここではその図示および説明は省略する。
【0051】
ゲート電極GEに閾値電圧以上の電圧(電位)が印加されると、ゲート電極GEの下に位置する部分のp型半導体領域PBの上部(上層部)にチャネル(n型反転層)が形成される。チャネルが形成されると、n型ソース領域SRとn型ドレイン領域DRとが、チャネルおよびn型半導体領域NDを通じて導通する。この状態で、n型ソース領域SRとn型ドレイン領域DRとの間に大電流を流すと、n型ソース領域SRがp型半導体領域PBよりも高電位になって、寄生バイポーラトランジスタが動作する(オン状態となる)虞がある。しかしながら、プラグPGSからn型ソース領域SRに供給される電位と同じ電位を、プラグPGDからp型半導体領域PRを介してp型半導体領域PBに供給することで、n型ソース領域SRとn型ドレイン領域DRとの間に大電流を流したときに、n型ソース領域SRがp型半導体領域PBよりも高電位になるのを抑制でき、寄生バイポーラトランジスタが動作するのを防ぐことができる。なお、寄生バイポーラトランジスタは、n型半導体領域NDとp型半導体領域PBとn型ソース領域SRとで形成されるNPNバイポーラトランジスタである。
【0052】
n型ソース領域SRとn型ドレイン領域DRとの間にどの程度の電圧を印加したときまで寄生バイポーラトランジスタが動作しないかが、オン耐圧である。p型半導体領域PRを設けて、ソース領域SRに供給される電位と同じ電位をp型半導体領域PRを介してp型半導体領域PBに供給することにより、LDMOSFETのオン耐圧を大きくすることができる。
【0053】
<<窪み部KBとp型半導体領域PRの組合せ>>
図3から分かるように、半導体基板SBのエピタキシャル層EPにおいて、窪み部KBとその下のp型半導体領域PRとの組は複数設けられている。それら複数の組は、Y方向(ゲート幅方向)に互いに離間して並んでいる。すなわち、ひとつのn型ソース領域SRを貫通するように複数の窪み部KBが形成され、それら複数の窪み部KBはY方向(ゲート幅方向)に互いに離間して並んでいる。各窪み部KBの下にp型半導体領域PRが形成されている。これにより、Y方向に隣り合う窪み部KBの間には、n型ソース領域SRが存在する。このため、Y方向に隣り合う窪み部KBの間のn型ソース領域SR上にプラグPGSを配置できる。そのプラグPGSはn型ソース領域SRと電気的に接続することができる。各窪み部KBに対して、少なくとも1つのプラグPGPが配置される。図3の場合は、各窪み部KBに対して2つのプラグPGPが配置されている。各窪み部KBに対して配置するプラグPGPの数は、1つでもよく、また、3つ以上でもよい。
【0054】
<半導体装置の製造工程について>
次に、本実施の形態の半導体装置の製造工程を図面を参照して説明する。図5図20は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図であり、上記図1に対応する断面が示されている。
【0055】
半導体装置を製造するには、まず、半導体基板SBを準備する。例えば、図5に示されるように、p型の単結晶シリコンなどからなる基板本体SB1と、基板本体SB1の主面(上面)上に形成されたn型の埋込層(半導体層)NBLと、埋込層NBLの主面(上面)上に形成されたp型の単結晶シリコンなどからなるエピタキシャル層EPと、を有する半導体基板SBを準備する。この場合、半導体基板SBの主面(上面)と、エピタキシャル層EPの主面(上面)とは同義となるため、以下では、「半導体基板SBの主面」を「エピタキシャル層EPの主面」と読み替えることもでき、また、「エピタキシャル層EPの主面」を「半導体基板SBの主面」と読み替えることもできる。
【0056】
次に、半導体基板SBの主面に、例えばSTI法またはLOCOS法などを用いて素子分離領域(図示せず)を形成する。
【0057】
次に、図6に示されるように、半導体基板SBのエピタキシャル層EPの上部(上層部)に、イオン注入法などを用いてn型不純物を導入することにより、n型半導体領域NDを形成する。n型半導体領域NDは、エピタキシャル層EPの主面(上面)から所定の深さにわたって形成される。
【0058】
次に、半導体基板SBの主面を清浄化した後、図7に示されるように、半導体基板SBの主面上に、絶縁膜GFを形成する。絶縁膜GFは、酸化シリコン膜などからなり、熱酸化法などを用いて形成することができる。
【0059】
次に、図7に示されるように、半導体基板SBの主面上に、従って絶縁膜GF上に、ゲート電極GE用の導電膜(導体膜)として、シリコン膜PSを形成する。シリコン膜PSは、例えばポリシリコン膜からなり、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法などを用いて形成することができる。
【0060】
次に、図8に示されるように、シリコン膜PS上にフォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジストパターン(レジストパターン)RP1を形成する。それから、フォトレジストパターンRP1をエッチングマスクとして用いて、シリコン膜PSをエッチングする。これにより、ソース側のシリコン膜PSが除去されて、シリコン膜PSからなるパターンが形成される。シリコン膜PSからなるパターンには開口部OPSが形成される。そのパターンの側面として、シリコン膜PSに側面(側壁)GEaが形成される。この側面GEaは、ゲート電極GEのソース側の側面(側壁)となる。図8には、この段階が示されている。シリコン膜PSの開口部OPSは、平面視において、フォトレジストパターンRP1の開口部とほぼ一致している。エッチングによりシリコン膜PSが除去された領域では、絶縁膜GFが露出される。シリコン膜PSのエッチングの後、シリコン膜PSで覆われずに露出される絶縁膜GFを更にエッチングして除去した場合には、半導体基板SBの主面(上面)が露出される。
【0061】
次に、図9に示されるように、フォトレジストパターンRP1およびシリコン膜PSをマスク(イオン注入素子マスク)として用いて、半導体基板SBのエピタキシャル層EPにイオン注入法によりp型不純物を導入することにより、半導体基板SBのエピタキシャル層EPにp型半導体領域PBを形成する。p型半導体領域PBを形成するためのイオン注入としては、斜めイオン注入を用いる。これにより、p型半導体領域PBの一部は、ゲート電極GEと平面視で重なる。従って、p型半導体領域PBの一部は、ゲート電極GEの下方に存在する。p型半導体領域PBは、エピタキシャル層EPの主面(上面)から所定の深さにわたって形成される。p型半導体領域PBを形成すると、p型半導体領域PBはn型半導体領域NDと隣接した状態となる。
【0062】
次に、図9に示されるように、フォトレジストパターンRP1およびシリコン膜PSをマスク(イオン注入素子マスク)として用いて、半導体基板SBのエピタキシャル層EPにイオン注入法によりn型不純物を導入することにより、半導体基板SBのエピタキシャル層EPにn型ソース領域SRを形成する。n型ソース領域SRは、シリコン膜PSからなるパターンの開口部OPSから半導体基板SBにn型不純物がイオン注入されることにより、形成される。n型ソース領域SRを形成するためのイオン注入としては、垂直イオン注入を用いる。これにより、n型ソース領域SRは、シリコン膜PSの側面GEaと自己整合して形成される。すなわち、n型ソース領域SRは、シリコン膜PSに覆われていない部分の半導体基板SBに形成される。n型ソース領域SRは、エピタキシャル層EPの主面(上面)から所定の深さにわたって形成される。半導体基板SBのエピタキシャル層EPにおいて、n型ソース領域SRはp型半導体領域PB内に形成される。n型ソース領域SRの深さは、p型半導体領域PBの深さよりも浅い。形成されたn型ソース領域SRの底面および側面は、p型半導体領域PBで覆われる。その後、フォトレジストパターンRP1を、アッシングなどにより除去する。
【0063】
次に、図10に示されるように、半導体基板SBの主面上に、ゲート電極GEとなるべき部分のシリコン膜PSとn型ソース領域SRの一部とを覆うように、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジストパターン(レジストパターン)RP2を形成する。フォトレジストパターンRP2は、n型ソース領域SRの一部(窪み部KB形成予定領域)を露出する開口部OP1を有している。フォトレジストパターンRP2の開口部OP1は、窪み部KB形成用の開口部である。フォトレジストパターンRP2の開口部OP1は、平面視においてn型ソース領域SRに内包されている。また、フォトレジストパターンRP2の開口部OP1は、平面視において、シリコン膜PSからなるパターンの開口部OPSに内包されている。このため、フォトレジストパターンRP2の開口部OP1は、平面視において、シリコン膜PSからなるパターンの開口部OPSの一部を露出する。窪み部KB形成予定領域以外のn型ソース領域SRは、フォトレジストパターンRP2で覆われる。本実施の形態では、ゲート長方向において、フォトレジストパターンPR2の開口部OP1がn型ソース領域SRの中央部に設けられる。開口部OP1を挟んだフォトレジストパターンPR2の両側では、n型ソース領域SRを覆っている。また、ゲート電極GEとなる部分のシリコン膜PSはフォトレジストパターンRP2で覆われる。ゲート電極GEとならない部分のシリコン膜PSは、フォトレジストパターンRP2で覆われずに露出される。ゲート長方向において、フォトレジストパターンPR2の開口部OP1の長さ(幅L2)は、フォトレジストパターンRP1の開口部の長さよりも小さい。また、ゲート長方向において、フォトレジストパターンPR2の開口部OP1の長さは、シリコン膜PSからなるパターンの開口部OPSの長さよりも小さい。
【0064】
次に、図11に示されるように、フォトレジストパターンRP2をエッチングマスクとして用いたエッチングにより、シリコン膜PSのエッチングおよびエピタキシャル層EPのエッチングを行う。これにより、フォトレジストパターンRP2で覆われずに露出する部分のシリコン膜PSをエッチングすることにより、ドレイン側のシリコン膜PSが除去されて、シリコン膜PSに側面(側壁)GEbが形成される。この側面GEbは、ゲート電極GEのドレイン側の側面(側壁)となる。また、フォトレジストパターンRP2の開口部OP1の底部で露出する絶縁膜GFとその下の半導体基板SB(エピタキシャル層EP)とをエッチングすることにより、半導体基板SB(エピタキシャル層EP)に窪み部KBが形成される。窪み部KBの深さは、p型半導体領域PBの深さよりも浅く、窪み部KBの底面の下には、p型半導体領域PBが存在している。その後、図12に示されるように、フォトレジストパターンRP2をアッシングなどにより除去する。
【0065】
フォトレジストパターンRP1を用いたエッチング(図8のエッチング)と、フォトレジストパターンRP2を用いたエッチング(図11のエッチング)とにより、シリコン膜PSがパターニングされて、ゲート電極GEが形成される。ゲート電極GEは、パターニングされたシリコン膜PSからなり、ゲート電極GEのソース側の側面は、フォトレジストパターンRP1を用いたエッチングにより形成された側面GEaであり、ゲート電極GEのドレイン側の側面は、フォトレジストパターンRP2を用いたエッチングにより形成された側面GEbである。ゲート電極GEの下に残存する絶縁膜GFが、LDMOSFETのゲート絶縁膜となる。ゲート電極GEは、半導体基板SBのエピタキシャル層EP上に、絶縁膜GFを介して形成される。
【0066】
また、フォトレジストパターンRP2の開口部OP1の底部で絶縁膜GFと半導体基板SB(エピタキシャル層EP)をエッチングすることにより、窪み部KBが形成されるため、窪み部KBはフォトレジストパターンRP2の開口部OP1に整合して形成される。窪み部KBの深さはn型ソース領域SRの深さよりも深く(すなわち窪み部KBの底面はn型ソース領域SRの底面よりも深い位置にあり)、窪み部KBは、n型ソース領域SRを貫通するように形成される。形成された窪み部KBは、平面視において、n型ソース領域SRに内包されており、周囲をn型ソース領域SRで囲まれている。フォトレジストパターンRP2は、シリコン膜PSをパターニングするためのエッチングマスクと、窪み部KBを形成するためのエッチングマスクとを、兼ねている。
【0067】
次に、図13に示されるように、ゲート電極GEの両側面(GEa,GEb)上にサイドウォールスペーサSW1を形成する。例えば、半導体基板SBの主面(窪み部KBの底面および側面上を含む)上に、ゲート電極GEを覆うように、サイドウォールスペーサ形成用の絶縁膜(例えば酸化シリコン膜)をCVD法などを用いて形成した後、その絶縁膜を異方性エッチング技術を用いてエッチバックすることにより、サイドウォールスペーサSW1を形成することができる。ゲート電極GEの両側面上にサイドウォールスペーサSW1を形成する際に、窪み部KBの側面(側壁)上にサイドウォールスペーサ状の側壁絶縁膜SW2が形成され得る。サイドウォールスペーサSW1と側壁絶縁膜SW2とは、同工程で形成される。
【0068】
次に、図14に示されるように、半導体基板SBの主面上に、ゲート電極GE、サイドウォールスペーサSW1、n型ソース領域SRおよび窪み部KBを覆うように、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジストパターン(レジストパターン)RP3を形成する。n型ドレイン領域DR形成予定領域は、フォトレジストパターンRP3で覆われない。
【0069】
次に、図14に示されるように、フォトレジストパターンRP3をマスク(イオン注入素子マスク)として用いて、半導体基板SBのエピタキシャル層EPにイオン注入法によりn型不純物を導入することにより、半導体基板SBのエピタキシャル層EPにn型ドレイン領域DRを形成する。半導体基板SBのエピタキシャル層EPにおいて、n型ドレイン領域DRはn型半導体領域ND内に形成される。図14には、この段階が示されている。その後、フォトレジストパターンRP3は、アッシングなどにより除去される。
【0070】
次に、図15に示されるように、半導体基板SBの主面上に、ゲート電極GE、サイドウォールスペーサSW1およびn型ドレイン領域DRを覆うように、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジストパターン(レジストパターン)RP4を形成する。フォトレジストパターンRP4は、p型半導体領域PR形成用の開口部OP2を有している。フォトレジストパターンRP4の開口部OP2は、平面視において窪み部KBと重なっている。このため、フォトレジストパターンRP4の開口部OP2から、半導体基板SB(エピタキシャル層EP)の窪み部KBの少なくとも一部が露出される。
【0071】
次に、図15に示されるように、フォトレジストパターンRP4をマスク(イオン注入素子マスク)として用いて、半導体基板SBのエピタキシャル層EPにイオン注入法によりp型不純物を導入することにより、半導体基板SBのエピタキシャル層EPにp型半導体領域PRを形成する。このイオン注入では、フォトレジストパターンRP4の開口部OP2から露出する部分の半導体基板SB(エピタキシャル層EP)にp型不純物が注入されるため、p型半導体領域PRは、窪み部KBの下に形成される。半導体基板SBのエピタキシャル層EPにおいて、p型半導体領域PRは、窪み部KBの底面から所定の深さにわたって形成される。p型半導体領域PRの底面と側面とは、p型半導体領域PBで覆われる。p型半導体領域PRの不純物濃度(p型不純物濃度)は、p型半導体領域PBの不純物濃度(p型不純物濃度)よりも高い。その後、図16に示されるように、フォトレジストパターンRP4を、アッシングなどにより除去する。
【0072】
平面視において、フォトレジストパターンRP4の開口部OP2が窪み部KBに内包されている場合(フォトレジストパターンRP4の開口部OP2が窪み部KBと一致している場合も含む)は、フォトレジストパターンRP4の開口部OP2からn型ソース領域SRは露出しない。この場合、フォトレジストパターンRP4を用いたイオン注入(p型半導体領域PR形成用のイオン注入)の際に、窪み部KB近傍のn型ソース領域SRに、p型不純物はほとんど注入されない。
【0073】
また、平面視において、フォトレジストパターンRP4の開口部OP2の一部が窪み部KBからはみ出している場合もあり得る。この場合は、フォトレジストパターンRP4を用いたイオン注入(p型半導体領域PR形成用のイオン注入)の際に、窪み部KB近傍において、フォトレジストパターンRP4の開口部OP2から露出する部分のn型ソース領域SRに、p型不純物が注入されることになる。この場合は、フォトレジストパターンRP4を用いたイオン注入(p型半導体領域PR形成用のイオン注入)により、窪み部KB近傍において、n型ソース領域SRの実効的なn型不純物濃度が部分的に低下する可能性があるが、n型ソース領域SRのソース領域としての機能に特に問題は生じない。
【0074】
このため、平面視において、フォトレジストパターンRP4の開口部OP2が窪み部KBに内包されている場合だけでなく、フォトレジストパターンRP4の開口部OP2の一部が窪み部KBからはみ出している場合も許容できるため、フォトレジストパターンRP4の開口部OP2の形成位置のマージンを確保することができる。このため、フォトレジストパターンRP4を形成しやすくなり、フォトレジストパターンRP4形成工程を管理しやすくなる。
【0075】
次に、これまでに導入(注入)された不純物を活性化するための熱処理である活性化アニールを行う。
【0076】
次に、金属シリサイド層SLを形成する。金属シリサイド層SLは、具体的には次のようにして形成することができる。
【0077】
まず、図17に示されるように、金属シリサイド層SLの形成を防ぐための絶縁膜(シリサイドブロック膜)ZMを形成する。この絶縁膜ZMは、例えば、半導体基板SBの主面上に、ゲート電極GE、サイドウォールスペーサSW1および側壁絶縁膜SW2を覆うように絶縁膜を形成した後、その絶縁膜をパターニングすることにより、形成することができる。
【0078】
それから、n型ドレイン領域DR、n型ソース領域SR、p型半導体領域PRおよびゲート電極GEの上面(表面)上を含む半導体基板SBの主面全面上に、ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSW1を覆うように、金属膜(金属シリサイド層SL形成用の金属膜)を形成する。金属シリサイド層SL形成用の金属膜は、例えば、コバルト(Co)膜、ニッケル(Ni)膜、またはニッケル白金合金膜などからなり、スパッタリング法などを用いて形成することができる。それから、半導体基板SBに対して熱処理を施すことによって、n型ドレイン領域DR、n型ソース領域SR、p型半導体領域PRおよびゲート電極GEの各上層部分(表層部分)を、金属シリサイド層SL形成用の金属膜と反応させる。これにより、図18に示されるように、n型ドレイン領域DR、n型ソース領域SR、p型半導体領域PRおよびゲート電極GEの各上部(上面、表面、上層部)に、それぞれ金属シリサイド層SLが形成される。金属シリサイド層SLは、例えばコバルトシリサイド層、ニッケルシリサイド層、または、白金添加ニッケルシリサイド層などからなる。その後、未反応の金属膜(金属シリサイド層SL形成用の金属膜)をウェットエッチングなどにより除去する。図18にはこの段階が示されている。また、未反応の金属膜を除去した後に、更に熱処理を行うこともできる。
【0079】
このように、いわゆるサリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)プロセスを行うことによって、n型ドレイン領域DR、n型ソース領域SR、p型半導体領域PRおよびゲート電極GEの上部に金属シリサイド層SLを形成し、それによって、拡散抵抗やコンタクト抵抗を低減することができる。サリサイドプロセスを用いることにより、n型ドレイン領域DR、n型ソース領域SR、p型半導体領域PRおよびゲート電極GE上に、それぞれ金属シリサイド層SLを自己整合的に形成することができる。なお、金属シリサイド層SLは、その形成を省略することもできる。
【0080】
次に、図19に示されるように、半導体基板SBの主面上に、すなわちエピタキシャル層EP上に、ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSW1を覆うように、層間絶縁膜ILをCVD法などを用いて形成する。層間絶縁膜ILは、窪み部KB内にも形成される。層間絶縁膜ILの形成後、層間絶縁膜ILの上面をCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)法などを用いて研磨して平坦化することもできる。
【0081】
次に、図20に示されるように、層間絶縁膜IL上に形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして層間絶縁膜ILをエッチングすることにより、層間絶縁膜ILにコンタクトホール(貫通孔)を形成してから、コンタクトホール内に、接続用の導電体部として、導電性のプラグPGを形成する。
【0082】
例えば、コンタクトホールの底面および側面上を含む層間絶縁膜IL上にバリア導体膜を形成してから、そのバリア導体膜上に主導体膜(例えばタングステン膜)をコンタクトホール内を埋めるように形成し、その後、コンタクトホールの外部の不要な主導体膜およびバリア導体膜をCMP法などによって除去する。これにより、プラグPGを形成することができる。
【0083】
プラグPGには、n型ソース領域SRに電気的に接続されたプラグPGSと、n型ドレイン領域DRに電気的に接続されたプラグPGDと、p型半導体領域PRに電気的に接続されたプラグPGPと、ゲート電極GEに電気的に接続されたプラグ(図示せず)とがある。
【0084】
プラグPGSは、n型ソース領域SRの上部に形成された金属シリサイド層SLと接しており、その金属シリサイド層SLと電気的に接続され、その金属シリサイド層SLを介して、n型ソース領域SRと電気的に接続される。プラグPGDは、n型ドレイン領域DRの上部に形成された金属シリサイド層SLと接しており、その金属シリサイド層SLと電気的に接続され、その金属シリサイド層SLを介して、n型ドレイン領域DRと電気的に接続される。
【0085】
プラグPGP用のコンタクトホールは、窪み部KBに内包されるように形成される。このため、プラグPGP用のコンタクトホールの底部では、p型半導体領域PRの上部に形成された金属シリサイド層SLが露出される。プラグPGP用のコンタクトホール内に埋め込まれたプラグPGPは、層間絶縁膜ILを貫通し、窪み部KBに設けられた側壁絶縁膜SW2の間を通り抜けて、窪み部KBの底面に達する。プラグPGPは、p型半導体領域PRの上部に形成された金属シリサイド層SLと接して電気的に接続される。これにより、プラグPGPは、p型半導体領域PRの上部に形成された金属シリサイド層SLを介して、p型半導体領域PRと電気的に接続され、更に、そのp型半導体領域PRを介してp型半導体領域PBと電気的に接続される。
【0086】
次に、上記図1および図2に示されるように、プラグPGが埋め込まれた層間絶縁膜IL上に配線M1を形成する。例えば、プラグPGが埋め込まれた層間絶縁膜IL上に、配線M1形成用の導電膜(金属膜)を形成してから、この導電膜をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターニングすることにより、パターニングされた導電膜からなる配線M1を形成することができる。配線M1として、ダマシン配線を用いることもできる。
【0087】
以降の工程については、ここではその図示および説明を省略する。
【0088】
<検討例について>
図21は、本発明者が検討した検討例の半導体装置の要部断面図であり、図22は、本発明者が検討した検討例の半導体装置の要部平面図である。図21には、ゲート長方向に略平行な断面が示されており、図22のB1-B1線の断面図が図21にほぼ対応している。
【0089】
図21および図22に示される検討例の半導体装置の構造が、本実施の形態1の半導体装置(図1図3)の構造と相違する点について、以下に説明する。
【0090】
図21および図22に示される検討例の半導体装置においては、上記窪み部KBおよび上記側壁絶縁膜SW2に相当するものは形成されていない。そして、上記p型半導体領域PRに相当するp型半導体領域PR101は、半導体基板SB(エピタキシャル層EP)の上部(表層部)に、n型ソース領域SR101とゲート長方向(X方向)に隣接するように形成されている。n型ソース領域SR101とp型半導体領域PR101とは、それぞれY方向に延在している。半導体基板SBの厚さ方向において、n型ソース領域SR101とp型半導体領域PR101とは、ほぼ位置にある。
【0091】
また、n型ソース領域SR101は、上記n型ソース領域SRに相当するものであるが、n型ソース領域SR101は、低濃度半導体領域SR101aと高濃度半導体領域SR101bとからなる。高濃度半導体領域SR101bは、低濃度半導体領域SR101aよりも、n型不純物濃度が高い。ゲート長方向(X方向)において、低濃度半導体領域SR101aは、高濃度半導体領域SR101bとチャネル形成領域との間に配置されている。低濃度半導体領域SR101aは、ゲート電極GEのソース側の側面上に形成されたサイドウォールスペーサSW101の下方に位置している。
【0092】
n型ソース領域SR101の高濃度領域SR101bの上部と、p型半導体領域PR101の上部とには、上記金属シリサイド層SLに相当する金属シリサイド層SL101が形成されて、その金属シリサイド層SL101同士は互いにつながっている。上記プラグPGPに相当するプラグPGP101は、p型半導体領域PR101上に位置して、金属シリサイド層SL101を介してp型半導体領域PR101と電気的に接続され、更にそのp型半導体領域PR101を介して、上記p型半導体領域PBに相当するp型半導体領域PB101と電気的に接続されている。また、プラグPGP101は、金属シリサイド層SL101を介してn型ソース領域SR101の高濃度領域SR101bと電気的に接続されている。
【0093】
その他については、図21および図22の検討例の半導体装置の構造も、本実施の形態1の半導体装置(図1図3)の構造と類似しているので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0094】
次に、検討例の半導体装置の製造工程を、図23図30を参照して説明する。図23図30は、検討例の半導体装置の製造工程中の要部断面図であり、上記図21に対応する断面が示されている。
【0095】
検討例の場合は、上述のようにして上記図7の構造を得た後、図23に示されるように、シリコン膜PS上にフォトレジストパターンRP101を形成してから、フォトレジストパターンRP101をエッチングマスクとして用いて、シリコン膜PSをエッチングする。これにより、ソース側のシリコン膜PSが除去される。
【0096】
次に、図24に示されるように、フォトレジストパターンRP101およびシリコン膜PSをイオン注入素子マスクとして用いて、p型不純物の斜めイオン注入を行うことにより、半導体基板SBのエピタキシャル層EPにp型半導体領域PB101を形成する。
【0097】
次に、図24に示されるように、フォトレジストパターンRP101およびシリコン膜PSをイオン注入素子マスクとして用いてn型不純物をイオン注入することにより、半導体基板SBのエピタキシャル層EPに低濃度半導体領域SR101aを形成する。低濃度半導体領域SR101aのn型不純物濃度は、上記n型ソース領域SR101のn型不純物濃度よりも低い。その後、フォトレジストパターンRP101を除去する。
【0098】
次に、図25に示されるように、シリコン膜PS上にフォトレジストパターンRP102を形成する。フォトレジストパターンRP102は、上記フォトレジストパターンRP2の上記開口部OP1に相当する開口部は有しておらず、低濃度半導体領域SR101a全体がフォトレジストパターンRP102で覆われる。また、ゲート電極GE101となる部分のシリコン膜PSはフォトレジストパターンRP102で覆われるが、ゲート電極GE101とならない部分のシリコン膜PSは、フォトレジストパターンRP102で覆われずに露出される。
【0099】
次に、図26に示されるように、フォトレジストパターンRP102をエッチングマスクとして用いて、シリコン膜PSをエッチングする。これにより、ドレイン側のシリコン膜PSが除去される。検討例の場合は、上記窪み部KBに相当するものは、形成されない。その後、フォトレジストパターンRP102を除去する。
【0100】
フォトレジストパターンRP101を用いたエッチングと、フォトレジストパターンRP102を用いたエッチングとにより、シリコン膜PSがパターニングされて、ゲート電極GE101が形成される。
【0101】
次に、図27に示されるように、ゲート電極GE101の両側面上にサイドウォールスペーサSW1を形成する。検討例の場合は、上記窪み部KBに相当するものは形成されていないため、上記側壁絶縁膜SW2に相当するものも形成されない。
【0102】
次に、図27に示されるように、半導体基板SBの主面上にフォトレジストパターンRP103を形成する。p型半導体領域PR101形成予定領域はフォトレジストパターンRP103で覆われるが、n型ドレイン領域DR101形成予定領域と高濃度半導体領域SR101b形成予定領域とは、フォトレジストパターンRP103で覆われない。
【0103】
次に、図27に示されるように、フォトレジストパターンRP103をイオン注入素子マスクとして用いてn型不純物をイオン注入することにより、半導体基板SBのエピタキシャル層EPにn型ドレイン領域DR101と高濃度半導体領域SR101bとを形成する。図27には、この段階が示されている。その後、フォトレジストパターンRP103を除去する。
【0104】
次に、図28に示されるように、半導体基板SBの主面上にフォトレジストパターンRP104を形成する。ゲート電極GE101、n型ドレイン領域DR101および高濃度半導体領域SR101bはフォトレジストパターンRP104で覆われる。p型半導体領域PR101形成予定領域は、フォトレジストパターンRP104で覆われない。
【0105】
次に、図28に示されるように、フォトレジストパターンRP104をイオン注入素子マスクとして用いてp型不純物をイオン注入することにより、半導体基板SBのエピタキシャル層EPにp型半導体領域PR101を形成する。その後、図29に示されるように、フォトレジストパターンRP104を除去する。
【0106】
次に、これまでに導入(注入)された不純物を活性化するための熱処理である活性化アニールを行う。
【0107】
次に、図30に示されるように、金属シリサイド層SL101の形成を防ぐための絶縁膜(シリサイドブロック膜)ZMを形成してから、サリサイド技術を用いて金属シリサイド層SL101を形成する。
【0108】
その後、上記図21に示されるように、半導体基板SBの主面上に層間絶縁膜ILを形成し、層間絶縁膜ILにコンタクトホールを形成し、コンタクトホール内にプラグPG101を形成し、プラグPG101が埋め込まれた層間絶縁膜IL101上に配線M101を形成する。
【0109】
図31は、検討例の半導体装置の要部断面図であり、上記図21の一部を拡大して示してある。本発明者の検討によれば、検討例の場合は以下のような課題が生じることが分かった。
【0110】
ゲート電極GE101に閾値電圧以上の電圧が印加されると、ゲート電極GE101の下に位置する部分のp型半導体領域PB101の上部にチャネル(n型反転層)が形成される。チャネルが形成されると、n型ソース領域SR101とn型ドレイン領域DR101とが、チャネルおよびn型半導体領域NDを通じて導通する。
【0111】
n型ソース領域SR101とn型ドレイン領域DR101との間に電流を流すと、図31に模式的に示す位置で、ホール(正孔)HL101が蓄積されやすい。すなわち、p型半導体領域PB101の上部のチャネル形成領域から、n型ソース領域SR101とp型半導体領域PB101との間のPN接合面の近傍にかけて、ホールHL101が蓄積されやすい。n型ソース領域SR101とp型半導体領域PB101との間のPN接合面の近傍でホールの蓄積量が多くなることは、n型ソース領域SR101とp型半導体領域PB101との間に電位差を生じやすくし、その電位差を大きくするように作用する。その結果、n型ソース領域SR101とn型ドレイン領域DR101との間に大電流を流したときに、寄生バイポーラトランジスタが動作しやくなり、LDMOSFETのオン耐圧が低下する。これは、半導体装置の製造の低下につながる。半導体装置の性能を向上させるためには、寄生バイポーラトランジスタが動作するのをできるだけ防ぎ、LDMOSFETのオン耐圧を向上させることが望まれる。
【0112】
また、検討例の場合は、ゲート長方向(X方向)におけるp型半導体領域PR101の幅(寸法)L101(図21図28参照)を抑制することが難しい。これは、半導体装置の小型化に不利となる。p型半導体領域PR101の幅L101を抑制することが難しい理由について、以下に説明する。
【0113】
検討例の場合は、図23の工程でn型ソース領域SR101用の低濃度半導体領域SR101aを形成し、図27の工程でn型ソース領域SR101用の高濃度半導体領域SR101bを形成し、図28の工程でp型半導体領域PR101を形成している。図27の工程でソース領域SR101用の高濃度半導体領域SR101bを形成する際には、フォトレジストパターンRP103をマスクとして用いるが、フォトレジストパターンRP103は、p型半導体領域PR101形成予定領域を覆うフォトレジストパターンRP103aを含んでいる。フォトレジストパターンRP103aは、ソース領域SR101用の高濃度半導体領域SR101bを形成するイオン注入工程で、p型半導体領域PR101形成予定領域にn型不純物が注入されるのを防止するために、設けられている。ゲート長方向(X方向)におけるフォトレジストパターンRP103aの幅(寸法)L102(図27参照)は、図28の工程で形成されるp型半導体領域PR101の幅L101とほぼ同じに設定される。
【0114】
ここで、図27の工程において、フォトレジストパターンRP103がフォトレジストパターンRP103aを有していない場合を仮定する。この場合、ソース領域SR101用の高濃度半導体領域SR101bを形成するイオン注入工程で、p型半導体領域PR101形成予定領域にもn型不純物が高濃度で注入されることになる。p型半導体領域PR101形成予定領域にn型不純物が高濃度で注入されてしまうと、図28の工程でp型半導体領域PR101をp型不純物のイオン注入により形成した際に、形成されたp型半導体領域PR101の実効的なp型不純物濃度を制御することが難しくなり、所望の不純物濃度のp型半導体領域PR101を形成するのが難しくなる。このため、図27の工程では、フォトレジストパターンRP103は、p型半導体領域PR101形成予定領域にn型不純物が注入されるのを防ぐためのフォトレジストパターンRP103aを有する必要がある。
【0115】
しかしながら、フォトレジストパターンRP103aの幅L102を小さくするには限界がある。なぜなら、フォトレジストパターンRP103aの幅L102を小さくすると、フォトレジストパターンRP103aは幅が細いパターンとなるため、安定性が低下し、途中でフォトレジストパターンRP103aが倒れやすくなる。このため、フォトレジストパターンRP103aの幅L102はある程度大きくする必要があり、その結果、p型半導体領域PR101の幅L101をある程度大きくする必要がある。このため、p型半導体領域PR101の幅L101を抑制することは難しい。
【0116】
また、高濃度半導体領域SR101bを形成しない場合を仮定する。この場合は、フォトレジストパターンRP103は、低濃度半導体領域SR101a全体を覆うことができるため、フォトレジストパターンRP103は、フォトレジストパターンRP103aを有さないものとなる。しかしながら、この場合は、ソース領域SR101は低濃度半導体領域SR101aで構成されることになるため、低濃度半導体領域SR101aのn型不純物濃度は、ソース領域SR101として相応しい高いn型不純物濃度に設定する必要がある。すなわち、図24の工程でフォトレジストパターンRP101を用いたイオン注入で低濃度半導体領域SR101aを形成する際に、低濃度半導体領域SR101aのn型不純物濃度を、高濃度半導体領域SR101bと同程度の高いn型不純物濃度に設定する必要がある。この場合は、p型半導体領域PR101形成予定領域にn型不純物が高濃度で注入されるのを防ぐために、フォトレジストパターンRP101が、p型半導体領域PR101形成予定領域を覆うフォトレジストパターンRP103aを有する必要がある。フォトレジストパターンRP101が有するフォトレジストパターンRP103aの幅L102はある程度大きくする必要があるため、やはりp型半導体領域PR101の幅L101を抑制することは難しい。
【0117】
<主要な特徴と効果について>
図32は、本実施の形態の半導体装置の要部断面図であり、上記図1の一部を拡大して示してある。
【0118】
n型ソース領域SRとn型ドレイン領域DRとの間に電流を流すと、図32に模式的に示す位置で、ホール(正孔)HLが蓄積されやすい。すなわち、p型半導体領域PBの上部のチャネル形成領域から窪み部KBの下のp型半導体領域PRにかけてホールHLが蓄積されやすい。
【0119】
本実施の形態では、半導体基板SBに窪み部KBを設けて、窪み部KBの下にp型半導体領域PRを形成している。このため、n型ソース領域SRとp型半導体領域PRとは、平面視では隣り合っているが、半導体基板SBの厚さ方向では、互いにずれており、p型半導体領域PRは、n型ソース領域SRよりも深い位置に形成されている。これを反映して、ホールHLの蓄積位置は、n型ソース領域SRとp型半導体領域PBとの間のPN接合面からある程度離れることになり、n型ソース領域SRとp型半導体領域PBとの間のPN接合面の近傍でのホールの蓄積量を抑制することができる。すなわち、検討例(図31)の場合は、n型ソース領域SR101とp型半導体領域PB101との間のPN接合面の近傍でホールの蓄積量が多くなるが、それに比べると本実施の形態(図32)の場合は、n型ソース領域SRとp型半導体領域PBとの間のPN接合面の近傍でのホールの蓄積量を抑制することができる。
【0120】
n型ソース領域SRとp型半導体領域PBとの間のPN接合面の近傍でホールの蓄積量が多くなることは、n型ソース領域SRとp型半導体領域PBとの間に電位差を生じやすくし、その電位差を大きくするように作用する。本実施の形態では、半導体基板SBに窪み部KBを設けて窪み部KBの下にp型半導体領域PRを形成したことで、n型ソース領域SRとn型ドレイン領域DRとの間に大電流を流したときに、n型ソース領域SRとp型半導体領域PBとの間のPN接合面の近傍でのホールの蓄積量を抑制することができる。その結果、n型ソース領域SRとn型ドレイン領域DRとの間に大電流を流したときに、n型ソース領域SRとp型半導体領域PBとの間の電位差を抑制し、寄生バイポーラトランジスタが動作するのを防ぐことができる。このため、LDMOSFETのオン耐圧を向上させることができる。従って、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0121】
また、本実施の形態では、半導体基板SBに窪み部KBを設けて、窪み部KBの下にp型半導体領域PRを形成していることで、ゲート長方向(X方向)におけるp型半導体領域PRの幅(寸法)L1(図32参照)が小さくなるように抑制することが可能となる。そのため、半導体装置の小型化(小面積化)を図ることができる。セルサイズが小さくなることにより半導体の低抵抗化を図ることもできる。
【0122】
p型半導体領域PRの幅L1を抑制することができる理由について、以下に説明する。
【0123】
上述のように、本実施の形態の半導体装置では、半導体基板SBに窪み部KBが形成され、窪み部KBの下にp型半導体領域PRが形成されている。これを反映して、本実施の形態の半導体装置の製造工程は、半導体基板SBにn型ソース領域SRをイオン注入法を用いて形成する工程と、その後、半導体基板SBをエッチングすることにより、n型ソース領域SRを貫通するように、窪み部KBを形成する工程と、その後、半導体基板SB中に窪み部KBの下にp型半導体領域PRをイオン注入法を用いて形成する工程と、を有している。
【0124】
半導体基板SBにn型ソース領域SRをイオン注入で形成した後(図9参照)、半導体基板SBをエッチングすることにより、窪み部KBを形成する(図11参照)。窪み部KBは、n型ソース領域SRを貫通するように形成されるため、n型ソース領域SRの一部がエッチングにより除去されることで、窪み部KBが形成される。このため、窪み部KBを形成すると、半導体基板SBにおける窪み部KBの下の領域は、n型ソース領域SRをイオン注入で形成する際にn型不純物がほとんど注入されていない領域となっている。そして、窪み部KBの下にp型半導体領域PRをイオン注入で形成すると(図15参照)、n型ソース領域SRをイオン注入で形成する際にn型不純物がほとんど注入されていない領域に、p型半導体領域PRを形成することができる。これにより、n型ソース領域SRのn型不純物濃度を、LDMOSFETのソース領域として相応しい不純物濃度に設定することができるとともに、n型ソース領域SRを形成する際に注入されたn型不純物が、p型半導体領域PRの実効的な不純物濃度に影響を与えるのを抑制または防止することができる。従って、形成されたp型半導体領域PR101の実効的なp型不純物濃度を的確に制御することができ、所望の不純物濃度のp型半導体領域PR101を的確に形成することができる。
【0125】
本実施の形態では、n型ソース領域SRをイオン注入で形成した後に、窪み部KBをエッチングで形成し、その後で、窪み部KBの下にp型半導体領域PRをイオン注入で形成しているため、n型ソース領域SRをイオン注入で形成する際に用いるフォトレジストパターンRP1は、p型半導体領域PR形成予定領域を覆う必要は無い(図8参照)。このため、p型半導体領域PR形成予定領域がフォトレジストパターンRP1で覆われずにフォトレジストパターンRP1から露出された状態で、n型ソース領域SRを形成するためのイオン注入を行うことができる。従って、n型ソース領域SRを形成する際に用いるフォトレジストパターンRP1は、上記フォトレジストパターンRP103aに相当するもの(p型半導体領域PR形成予定領域を覆うフォトレジストパターン)を有していない。
【0126】
また、窪み部KBを形成する際に用いられるフォトレジストパターンRP2は、窪み部KB形成予定領域を露出する開口部OP1を有しており、フォトレジストパターンRP2の開口部OP1の底部で半導体基板SBをエッチングすることにより、窪み部KBを形成することができる。また、p型半導体領域PRを形成する際に用いられるフォトレジストパターンRP4は、p型半導体領域PR形成予定領域を露出する開口部OP2を有しており、フォトレジストパターンRP2の開口部OP2を通じて半導体基板SBにp型不純物をイオン注入することにより、p型半導体領域PRを形成することができる。ゲート長方向(X方向)における開口部OP1の幅(寸法)L2(図10参照)を小さくしても、フォトレジストパターンRP2の安定性に問題は生じず、途中でフォトレジストパターンRP2が倒れることはない。また、ゲート長方向(X方向)における開口部OP2の幅(寸法)L4(図15参照)を小さくしても、フォトレジストパターンRP4の安定性に問題は生じず、途中でフォトレジストパターンRP4が倒れることはない。このため、開口部OP1の幅L2と開口部OP2の幅L4を小さくすることができるため、ゲート長方向(X方向)における窪み部KBの幅(寸法)L3(図11参照)を小さくすることが可能となり、また、ゲート長(X方向)におけるp型半導体領域PRの幅L1(図32参照)を小さくすることが可能となる。上記フォトレジストパターンRP103aは、幅L102をある程度大きくする必要があり、それがp型半導体領域PR101の幅L101の抑制を難しくしていたが、本実施の形態では、そのような制限は生じずに済む。
【0127】
このように、本実施の形態では、ゲート長方向におけるp型半導体領域PRの幅L1を小さく抑制することが可能となるため、半導体装置の小型化(小面積化)を図ることができる。
【0128】
一例を挙げれば、検討例(図21図31)の場合は、ゲート長方向におけるp型半導体領域PR101の幅L101は例えば0.5μm程度であるが、本実施の形態(図1図20図32)の場合は、ゲート長方向における窪み部KBの幅L3およびp型半導体領域PRの幅L1は、例えば0.2~0.3μm程度とすることができる。また、n型ソース領域SRのn型不純物濃度は、例えば1E19~1E21/cm程度とすることができる。
【0129】
また、複数のプラグPGP,PGSをゲート幅方向に一直線上に並べることができるため、プラグPGP,PGSを効率的に配置することができる。そのため、この観点でもゲート長方向に半導体装置を小型化でき、半導体装置の小面積化を図ることができる。さらに、n型ソース領域SRにp型半導体領域PR、p型半導体領域PB、プラグPGPが内包される形になっているので、ゲート電極GEのゲート幅に対してn型ソース領域SRを全幅に渡り配置することが可能である。そのため有効ゲート幅領域比率を大きく確保できる。
【0130】
(実施の形態2)
図33および図34は、本実施の形態2の半導体装置の要部断面図である。図33は、上記図1に対応する断面が示され、図34は、上記図2に対応する断面が示されている。
【0131】
図33および図34に示される本実施の形態2の半導体装置が、上記実施の形態1の半導体装置(図1図3)と相違しているのは、以下の点である。
【0132】
すなわち、本実施の形態2では、p型半導体領域PBが、p型半導体領域PBaとp型半導体領域PBaよりも不純物濃度(p型不純物濃度)が高いp型半導体領域PBbとからなる。窪み部KBの下に形成されたp型半導体領域PRは、p型半導体領域PBbに囲まれている。すなわち、p型半導体領域PRの底面および側面は、p型半導体領域PBbで覆われている。p型半導体領域PRは、p型半導体領域PBbよりも、不純物濃度(p型不純物濃度)が高い。p型半導体領域PBbは、p型半導体領域PRの下とn型ソース領域SRの下とに存在している。p型半導体領域PBaは、p型半導体領域PBbに隣接(より特定的にはX方向に隣接)しており、LDMOSFETのチャネルは、p型半導体領域PBaに形成される。すなわち、LDMOSFETのチャネル形成領域は、p型半導体領域PBa内に位置している。
【0133】
それ以外については、本実施の形態2の半導体装置も上記実施の形態1の半導体装置とほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0134】
また、本実施の形態2の半導体装置の製造工程が上記実施の形態1の半導体装置の製造工程と相違しているのは、上記図9のp型半導体領域PB形成工程である。すなわち、本実施の形態2の場合は、p型半導体領域PB形成工程は、p型不純物のイオン注入によりp型半導体領域PBaを形成する工程と、p型不純物のイオン注入によりp型半導体領域PBbを形成する工程とを有しており、いずれも、フォトレジストパターンRP1をイオン注入素子マスクとして用いて行うことができる。p型半導体領域PBaを形成するためのイオン注入よりも、p型半導体領域PBbを形成するためのイオン注入の方が、注入深さが深く、かつ、ドーズ量が大きい。また、p型半導体領域PBaを形成するためのイオン注入は斜めイオン注入を用いるが、p型半導体領域PBbを形成するためのイオン注入は、垂直イオン注入であってもよい。p型半導体領域PR形成工程では、p型半導体領域PRはp型半導体領域PBb内に形成される。
【0135】
本実施の形態2では、p型半導体領域PBを、p型半導体領域PRを囲む高不純物濃度のp型半導体領域PBbと、p型半導体領域PBbに隣接しかつp型半導体領域PBbよりもp型不純物濃度が低いp型半導体領域PBaとにより構成している。これにより、窪み部KBの下に高不純物濃度のp型半導体領域PRを形成しやすくなる。また、p型半導体領域PRとp型半導体領域PBとを、より低い抵抗で電気的に接続することができる。また、p型半導体領域PBbの不純物濃度とは独立してp型半導体領域PBaを設定することができ、そのp型半導体領域PBaにLDMOSFETのチャネルが形成されるため、p型半導体領域PBbの不純物濃度を高くしても、LDMOSFETの特性が低下することはない。
【0136】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
付記1:
以上のように説明されるMISFETを備える半導体装置の製造方法は、次のようにまとめることができる。
【0137】
(a)半導体基板を用意する工程、
(b)前記半導体基板上にゲート絶縁膜を介して前記MISFETのゲート電極用の導電膜を形成する工程、
(c)前記(b)工程後、前記導電膜上に第1レジストパターンを形成する工程、
(d)前記(c)工程後、前記第1レジストパターンをエッチングマスクとして用いて前記導電膜をエッチングすることにより、前記ゲート電極のソース側の側面を形成する工程、
(e)前記(d)工程後、前記第1レジストパターンをマスクとして用いてイオン注入を行うことにより、前記半導体基板に前記MISFET用の第1導電型のソース領域を形成する工程、
(f)前記(e)工程後、前記第1レジストパターンを除去する工程、
(g)前記(f)工程後、前記半導体基板上に、前記導電膜の一部を覆うように、第2レジストパターンを形成する工程、
ここで、前記第2レジストパターンは、平面視において前記ソース領域に内包される第1開口部を有し、
(h)前記(g)工程後、前記第2レジストパターンをエッチングマスクとして用いて前記半導体基板をエッチングすることにより、前記ソース領域を貫通するように窪み部を形成し、かつ、前記第2レジストパターンをエッチングマスクとして用いて前記導電膜をエッチングすることにより、前記ゲート電極のドレイン側の側面を形成して前記ゲート電極を形成する工程、
(i)前記(h)工程後、前記第2レジストパターンを除去する工程、
(j)前記(i)工程後、前記半導体基板上に、前記ゲート電極を覆うように、第3レジストパターンを形成する工程、
(k)前記(j)工程後、前記第3レジストパターンをマスクとして用いたイオン注入により、前記半導体基板に前記MISFET用の前記第1導電型のドレイン領域を形成する工程、
(l)前記(k)工程後、前記第3レジストパターンを除去する工程、
(m)前記(i)工程後、前記半導体基板上に、前記ゲート電極を覆うように、第4レジストパターンを形成する工程、
ここで、前記第4レジストパターンは、平面視において前記窪み部と重なる位置に第2開口部を有し、
(n)前記(m)工程後、前記第4レジストパターンをマスクとして用いたイオン注入により、前記窪み部の下に前記第1導電型とは反対の第2導電型の第1半導体領域を形成する工程、
(o)前記(n)工程後、前記第4レジストパターンを除去する工程。
【符号の説明】
【0138】
DR,DR101 n型ドレイン領域
EP エピタキシャル層
GE,GE101 ゲート電極
GF 絶縁膜
IL,IL101 絶縁膜
KB 窪み部
M1,M101 配線
M1D ドレイン配線
M1S ソース配線
NBL 埋込層
ND n型半導体領域
OP1,OP2 開口部
PB,PB101 p型半導体領域
PG,PG101,PGD,PGP,PGP101,PGS プラグ
PR,PR101 p型半導体領域
SB1 基板本体
SL,SL101 金属シリサイド層
SR,SR101 n型ソース領域
SR101a 低濃度半導体領域
SR101b 高濃度半導体領域
SB 半導体基板
SW1,SW101 サイドウォールスペーサ
SW2 側壁絶縁膜
ZM,ZM101 絶縁膜
図1
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