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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173193
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】面発光レーザ素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/11 20210101AFI20231130BHJP
   H01S 5/185 20210101ALI20231130BHJP
【FI】
H01S5/11
H01S5/185
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085274
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】野田 進
(72)【発明者】
【氏名】江本 渓
(72)【発明者】
【氏名】小泉 朋朗
(72)【発明者】
【氏名】小谷 泰司
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AB52
5F173AB90
5F173AH22
5F173AP05
5F173AP33
5F173AR23
5F173AR91
(57)【要約】      (修正有)
【課題】発振波長及び出射光特性が高精度に制御されたフォトニック結晶面発光レーザの製造方法を提供する。
【解決手段】(a)透光性の基板上にフォトニック結晶層を含む第1の半導体層を形成し、(b)第1の半導体層上に結晶成長を行って活性層及び第2の半導体層をこの順で形成し、(c)第2の半導体層の表面から光を照射して、当該表面からフォトニック結晶層による照射光の反射位置までの層厚を測定する分光測定を行い、(d)分光測定により得られた当該層厚に対応する光路長に基づいて算出された層厚を有する透光性電極を第2の半導体層上に形成し、(e)透光性電極上に光反射層を形成し、透光性電極の層厚は、フォトニック結晶層から放射され基板の裏面から出射された直接回折光と、フォトニック結晶層から放射され光反射層によって反射された反射回折光との干渉光の光強度が直接回折光の光強度よりも大きくなるように定められている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)透光性の基板上にフォトニック結晶層を含む第1導電型の第1の半導体層を形成し、
(b)前記第1の半導体層上に結晶成長を行って活性層及び第2導電型の第2の半導体層をこの順で形成し、
(c)前記第2の半導体層の表面から光を照射して、前記表面から前記フォトニック結晶層による照射光の反射位置までの層厚を測定する分光測定を行い、
(d)前記分光測定により得られた前記層厚に対応する光路長に基づいて算出された層厚を有する透光性電極を前記第2の半導体層上に形成し、
(e)前記透光性電極上に光反射層を形成し、
前記透光性電極の層厚は、前記フォトニック結晶層から放射され前記基板の裏面から出射された直接回折光と、前記フォトニック結晶層から放射され前記光反射層によって反射された反射回折光との干渉光の光強度が前記直接回折光の光強度よりも大きくなるように定められている、面発光レーザ素子の製造方法。
【請求項2】
前記分光測定は分光エリプソメータを用いて行われる請求項1に記載の面発光レーザ素子の製造方法。
【請求項3】
前記フォトニック結晶層は多重格子構造を有している請求項1に記載の面発光レーザ素子の製造方法。
【請求項4】
前記活性層及び前記第2の半導体層は、MOVPE法によって結晶成長される請求項1に記載の面発光レーザ素子の製造方法。
【請求項5】
前記透光性電極の層厚は、前記直接回折光及び前記反射回折光の位相が一致するように定められている請求項1ないし4のいずれか一項に記載の面発光レーザ素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面発光レーザ素子の製造方法、特にフォトニック結晶を有する面発光レーザ素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フォトニック結晶(PC:Photonic Crystal)を用いた、フォトニック結晶面発光レーザ(PCSEL:Photonic-Crystal Surface-Emitting Laser)の開発が進められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、反射面として機能するp側電極を備え、主ビームと副ビームとを出射できるフォトニック結晶面発光レーザが開示されている。
【0004】
非特許文献1には、半導体DBRをp側反射構造として用いたフォトニック結晶面発光レーザが開示されている。また、非特許文献2には、反射面として機能するp側電極を備えた、高出力のフォトニック結晶面発光レーザが開示されている。
【0005】
また、非特許文献3には、フォトニック結晶面発光レーザの回折光の定式化と、フォトニック結晶層において回折されてフォトニック結晶層に垂直な方向に発せられる回折放射波プロファイルなどが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-149403号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Yoshida, M. et al., Double-lattice photonic-crystal resonators enabling high-brightness semiconductor lasers with symmetric narrow-divergence beams. Nat. Mater. 18, 121 (2019).
【非特許文献2】Hirose, K. et al. Watt-class high-power, high-beam-quality photonic-crystal lasers. Nat. Photon. 8, 406-411 (2014).
【非特許文献3】Y. Liang et al.: Phys.Rev. B vol.84, 195119 (2011)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
フォトニック結晶面発光レーザ(PCSEL)においては、フォトニック結晶層における2次元面内共振によって発振した光を面垂直方向に回折させ、基板側から出射光が取り出される。
【0009】
その際、フォトニック結晶層から基板側に回折された光(直接回折光)と、反対方向に回折され、反射面で反射された光(反射回折光)とが干渉する。この干渉により出射光のスロープ効率等の特性は大きく変化する。
【0010】
直接回折光と反射回折光との干渉は、フォトニック結晶層及び反射面間の半導体層の光路長によって決定されるが、当該光路長を決定可能な程度に層厚を高精度に制御して当該半導体層を成長することは非常に困難である。したがって、出射光の特性が高精度に制御されたフォトニック結晶面発光レーザを製造するには困難があった。
【0011】
本発明は、上記点に着目してなされたものであり、発振波長及び出射光特性が高精度に制御されたフォトニック結晶面発光レーザの製造方法を提供することを目的としている。また、高スロープ効率などの高性能な出射光特性を有するフォトニック結晶面発光レーザ、及び当該フォトニック結晶面発光レーザを歩留まりよく製造する製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1実施態様による面発光レーザ素子の製造方法は、
(a)透光性の基板上にフォトニック結晶層を含む第1導電型の第1の半導体層を形成し、
(b)前記第1の半導体層上に結晶成長を行って活性層及び第2導電型の第2の半導体層をこの順で形成し、
(c)前記第2の半導体層の表面から光を照射して、前記表面から前記フォトニック結晶層による照射光の反射位置までの層厚を測定する分光測定を行い、
(d)前記分光測定により得られた前記層厚に対応する光路長に基づいて算出された層厚を有する透光性電極を前記第2の半導体層上に形成し、
(e)前記透光性電極上に光反射層を形成し、
前記透光性電極の層厚は、前記フォトニック結晶層から放射され前記基板の裏面から出射された直接回折光と、前記フォトニック結晶層から放射され前記光反射層によって反射された反射回折光との干渉光の光強度が前記直接回折光の光強度よりも大きくなるように定められている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】本発明の実施形態によるフォトニック結晶面発光レーザ素子10の構造の一例を模式的に示す断面図である。
図1B図1Aの空孔層14P(フォトニック結晶層)及び空孔層14P中に配列された空孔(air hole)14Kを模式的に示す部分拡大断面図である。
図2A】PCSEL素子10の上面(パッド電極33を取り除いた状態)を模式的に示す平面図である。
図2B】空孔層14Pのn側ガイド層14に平行な面における断面を模式的に示す断面図である。
図2C】PCSEL素子10の下面を模式的に示す平面図である。
図3】フォトニック結晶層14Pに平行な面内における空孔配列の一例を模式的に示す図である。
図4】PCSEL素子10の製造方法を示す製造工程フロー図である。
図5】結晶成長終了後のウエハWFの上面を模式的に示す図である。
図6】成長終了後のウエハWFの分光反射曲線を示すグラフである。
図7】分光反射測定装置の照射光EMをウエハWFに照射したときの表面反射光ES及びフォトニック結晶14Pによる反射光ERを模式的に示す図である。
図8】光反射層32によって反射されて光出射面から出射される反射回折光Lrと、光出射面から直接出射される回折光Ldとの干渉を模式的に示す図である。
図9A】実施例(EX)のPCSEL素子10の発振波長に対するスロープ効率をプロットしたグラフである。
図9B】比較例CMPのPCSEL素子の発振波長に対するスロープ効率をプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下においては、本発明の好適な実施形態について説明するが、これらを適宜改変し、組合せてもよい。また、以下の説明及び添付図面において、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符を付して説明する。
【0015】
[第1の実施形態]
1.フォトニック結晶面発光レーザの構造
(a)素子構造
フォトニック結晶面発光レーザ(以下、PCSELとも称する。)は、発光素子を構成する半導体発光構造層(n側ガイド層、発光層、p側ガイド層)と平行な共振器層を有し、当該共振器層に直交する方向にコヒーレントな光を放射する素子である。
【0016】
すなわち、フォトニック結晶面発光レーザ(PCSEL)では、フォトニック結晶層に平行な面内を伝搬する光波はフォトニック結晶の回折効果により回折され2次元的な共振モードを形成するとともに、当該平行面に垂直な方向にも回折される。すなわち、フォトニック結晶面発光レーザでは、共振方向(フォトニック結晶層に平行な面内)に対して、光取り出し方向が垂直方向である。
【0017】
図1Aは、本発明の実施形態によるフォトニック結晶面発光レーザ素子(以下、PCSEL素子という。)10の構造の一例を模式的に示す断面図である。また、図1Bは、図1Aのフォトニック結晶層14P及びフォトニック結晶層14P中に配列された空孔(air hole)対14Kを模式的に示す拡大断面図である。
【0018】
図1Aに示すように、半導体構造層11が透光性の基板12上に形成されている。なお、半導体構造層11の中心軸CXに垂直に半導体層が積層されている。
【0019】
また、半導体構造層11は、六方晶系の窒化物半導体からなる。本実施形態においては、半導体構造層11は、例えば、GaN系半導体からなる。
【0020】
より詳細には、基板12上に複数の半導体層からなる半導体構造層11、すなわちn-クラッド層(第1導電型の第1のクラッド層)13、n側に設けられたガイド層であるn側ガイド層(第1のガイド層)14、活性層(ACT)15、p側に設けられたガイド層であるp側ガイド層(第2のガイド層)16、電子障壁層(EBL:Electron Blocking Layer)17、p-クラッド層(第2導電型の第2のクラッド層)18、p-コンタクト層19がこの順で形成されている。
【0021】
なお、第1導電型がn型、第1導電型の反対導電型である第2導電型がp型の場合について説明するが、第1導電型及び第2導電型がそれぞれp型、n型であってもよい。
【0022】
基板12は、六方晶のGaN単結晶であり、活性層15から放射された光の透過率が高い基板である。より詳細には、基板12は、主面(結晶成長面)が、Ga原子が最表面に配列した{0001}面である+c面の六方晶のGaN単結晶基板である。裏面(光出射面)は、N原子が最表面に配列した(000-1)面である-c面である。-c面は酸化等に対して耐性があるので光出射面として適している。
【0023】
基板12はこれに限定されないが、いわゆるジャスト基板、又は、例えば、主面がm軸方向に1°程度までオフセットした基板が好ましい。例えば、m軸方向に1°程度までオフセットした基板は、広範な成長条件下にて鏡面成長を得ることができる。
【0024】
主面と対向する光出射領域20Lが設けられた基板面(裏面、光出射面)は、N原子が最表面に配列した(000-1)面である「-c」面である。-c面は酸化等に対して耐性があるので光取り出し面として適している。
【0025】
以下に各半導体層の組成、層厚等の構成について説明するが、例示に過ぎず、適宜改変して適用することができる。
【0026】
n-クラッド層13は、例えばAl組成が4%のn-Al0.04Ga0.96N層であり、層厚は2μmである。アルミニウム(Al)組成比は、活性層15側に隣接する層(すなわち、n側ガイド層14)より屈折率が小さくなる組成としている。
【0027】
n側ガイド層14は、下ガイド層14A、フォトニック結晶層(PC層)である空孔層(air-hole layer)14P及び埋込層14Bからなる。図1Bに示すように、空孔層14Pは層厚(深さ)dPCを有し、埋込層14Bは層厚dEMBを有する。
【0028】
下ガイド層14Aは、例えば層厚が20~500nmのn-GaNである。空孔層(air-hole layer)14Pは、層厚(又は空孔14Kの深さ)が60~150nmのn-GaNである。
【0029】
埋込層14Bは、n-GaN、n-InGaN、又はアンドープGaN、アンドープInGaNからなる。あるいは、これらの半導体層が積層された層であってもよい。埋込層14Bは、例えば50~150nmの層厚を有する。
【0030】
発光層である活性層15は、例えば2つの量子井戸層を有する多重量子井戸(MQW)層である。MQWのバリア層及び量子井戸層は、それぞれGaN(層厚6.0nm)及びInGaN(層厚3.0nm)である。また、活性層15の利得波長は432nmである。
【0031】
なお、活性層15は、空孔層14Pから180nm以内に配置されていることが好ましい。この場合、空孔層14Pによる高い共振効果が得られる。
【0032】
p側ガイド層16は、例えばアンドープGaN又はアンドープInGaNからなり、100~350nmの層厚を有する。なお、p側ガイド層16は、ドーパントによる光吸収を考慮してアンドープ層としたが、良好な電気伝導性を得るためにマグネシウム(Mg)等をドープしてもよい。
【0033】
または、p側ガイド層16は、アンドープ層とドープ層とを積層した構造としてもよい。また、p側ガイド層16としてInGaN層及びGaN層を積層し、InGaN層のIn組成及び層厚を適宜選択することもできる。
【0034】
電子障壁層(EBL)17は、マグネシウム(Mg)がドープされたp型のAl0.2Ga0.8N層であり、例えば。層厚15nmを有する。
【0035】
p-クラッド層18は、Mgドープのp-Al0.06Ga0.94N層であり、例えば、層厚50~600nmを有する。p-クラッド層18のAl組成は、p側ガイド層16よりも屈折率が小であるように選ばれていることが好ましい。
【0036】
また、p-コンタクト層19は、Mgドープのp-GaN層であり、例えば、層厚25nmを有する。p-コンタクト層19のキャリア密度は、その表面に設けた透光性電極31とオーミック接合できる濃度としている。p型GaNの代わりに、p型InGaNを用いてもよい。あるいは、GaN層とInGaN層を積層させた層としてもよい。
【0037】
なお、本明細書において、「n側」、「p側」は、必ずしもn型、p型を有することを意味するものではない。例えば、n側ガイド層は活性層よりもn側に設けられたガイド層を意味し、アンドープ層(又はi層)であってもよい。
【0038】
また、n-クラッド層13は単一層ではなく複数の層から構成されていてもよく、その場合、全ての層がn層(nドープ層)である必要はなく、アンドープ層(i層)を含んでいてもよい。ガイド層16、p-クラッド層18についても同様である。
【0039】
また、上記した全ての半導体層を設ける必要はなく、フォトニック結晶層を含む第1導電型の第1の半導体層、第2導電型の第2の半導体層及びこれらの層に挟まれた活性層(発光層)を有する構成であればよい。
【0040】
半導体構造層11の側面及び上面は、SiOなどの絶縁膜21で被覆されている。また、絶縁膜21には半導体構造層11の上面(すなわち、p-コンタクト層19の上面)を露出する直径がRA(中心軸CX)の開口OPが設けられている。
【0041】
絶縁膜21は保護膜としても機能し、PCSEL素子10を構成するアルミニウム(Al)を含む結晶層を腐食性ガス等から保護する。また、付着物や実装時におけるはんだの這い上がりによる短絡等を防止し、信頼性、歩留まりの向上に寄与する。絶縁膜21の材料はSiOに限らず、ZrO、HfO、TiO、Al、SiNx、Si等を選択することができる。
【0042】
当該開口OPから露出するp-コンタクト層19上には、p-コンタクト層19にオーミック接触する透光性電極31(アノード)が設けられている。より詳細には、透光性電極31は、開口OPを充填し、周縁部が絶縁膜21に乗り上げるように形成されている。なお、理解の容易さのため、透光性電極31の開口OP内の領域を開口OPの直径と同じ符号を用いてアノード領域RAとして説明する。
【0043】
透光性電極31は、透光性の導電体によって形成され、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)で形成されている。なお、透光性電極31は、ITOに限定されず、亜鉛錫酸化物(ZTO)、GZO(ZnO:Ga)、AZO(ZnO:Al)等の透光性導電体を用いることができる。
【0044】
透光性電極31上には、光反射層32として銀合金(Ag合金)層が設けられている。光反射層32は、上面視において少なくとも開口OPの全体を覆うように設けられている。また、光反射層32は、平坦で空孔層14Pに平行な表面(上面)を有している。
【0045】
また、光反射層32として、Ag、Al、Al合金、誘電体DBR(Distributed Bragg Reflector)等を用いることもできる。
【0046】
光反射層32上には、光反射層32の全体を覆うようにニッケル/パラジウム/金(Ni/Pd/Au)からなるパッド電極33が設けられている。パッド電極33には、Ni/Au、白金/金(Pt/Au)、Pt/Pd/Au、チタン/金(Ti/Au)、Ti/Pt/Au、タングステン/パラジウム/金(W/Pd/Au)、W/Au、W/Pt/Au等を用いることもできる。
【0047】
基板12の裏面には円環状のカソード電極20Aが形成されている。また、カソード電極20Aの内側には無反射(AR)コート層27が形成されている。
【0048】
カソード電極20Aは、Ti/Pt/Auからなり、基板12とオーミック接触している。電極材料は、Ti/Pu/Au以外に、Ti/Al、Ti/Rh、Ti/Al/Pt/Au、Ti/Au、バナジウム/アルミニウム(V/Al)、V/Rh、V/Al/Pt/Au、V/Pt/Auなどを選択することができる。
【0049】
活性層15からの放射光は空孔層(PC層)14Pによって回折される。空孔層14Pによって回折され、空孔層14Pから直接放出された光(直接回折光Ld:第1の回折光)と、空孔層14Pの回折によって放出され、光反射層32によって反射された光(反射回折光Lr:第2の回折光)とが基板12の裏面(出射面)12Rの光出射領域20L(図2C)から外部に出射される。
【0050】
図2Aは、PCSEL素子10の上面を模式的に示す平面図である。なお、図の明確さ及び理解の容易さのため、パッド電極33を取り除いた状態の上面を模式的に示している。
【0051】
また、図2Bは、空孔層14Pのn側ガイド層14に平行な面における断面を模式的に示す断面図であり、図2Cは、PCSEL素子10の下面を模式的に示す平面図である。
【0052】
図2Bに示すように、空孔層14Pにおいて空孔14Kは、例えば矩形の空孔形成領域14R内に周期的に配列されて設けられている。図2Cに示すように、アノード領域RAは、空孔形成領域14R内に包含されるように形成されている。
【0053】
また、カソード電極20Aは、空孔層14Pに対して垂直方向から見たときに空孔形成領域14Rに重ならないように空孔形成領域14Rの外側に環状の電極として設けられている。
【0054】
カソード電極20Aの内側の領域が光出射領域20Lである。また、カソード電極20に電気的に接続され、外部からの給電用のワイヤを接続するボンディングパッド20Cが設けられている。
【0055】
(b)フォトニック結晶層
図1A及び図1Bに示すように、フォトニック結晶層14Pは、活性層15から放射された光を水平面内で共振させる規則的に配列された空孔(air hole)を備えている。
【0056】
図3は、フォトニック結晶層14Pに平行な面内における空孔配列の一例を模式的に示す図である。すなわち、フォトニック結晶層14Pの面内で正方格子位置に配列された、主空孔14K1及び副空孔14K2からなる空孔対14K(以下、単に空孔14Kと称する場合がある。)を上面から見た場合を模式的に示す平面図である。
【0057】
すなわち、フォトニック結晶層14Pは、二重格子構造を有している。なお、図面の明確さのため、主空孔14K1及び副空孔14K2にハッチングを施して示している。
【0058】
より詳細には、主空孔14K1は、その重心CD1が互いに直交する2方向(x方向及びy方向)に周期PKで正方格子位置に配列されている。副空孔14K2も同様に、その重心CD2がx方向及びy方向に周期PKで正方格子位置に配列されている。
【0059】
主空孔14K1は、上面視(すなわち、フォトニック結晶層14Pに垂直方向から見たとき)において、{10-10}面であるm面で囲まれた長六角形形状を有している。副空孔14K2も、m面で囲まれた形状を有している。
【0060】
なお、x方向及びy方向はそれぞれ、主空孔14K1の長軸方向(<11-20>方向)及び短軸方向(<1-100>方向)に対して45°傾斜した方向である。本明細書では、x-y座標を空孔座標とも称する。
【0061】
また、副空孔14K2の重心CD2は、主空孔14K1の重心CD1に対してx方向にΔx及びy方向にΔyだけ離間している。ここでは、Δx=Δy=0.46PKとした。すなわち、副空孔14K2の重心CD2は、主空孔14K1の重心CD1から<1-100>方向に離間している。
【0062】
ここで、x方向の重心間距離Δx及びy方向の重心間距離Δyは、例えば、レーザ素子を適用するデバイスに要求される電流値や、レーザの出射強度のスロープ効率等の、レーザ特性に合わせて適宜調整することができる。
【0063】
なお、ここでは、フォトニック結晶層14Pが二重格子構造を有する場合を例に説明するが、これに限らない。フォトニック結晶層14Pは、単一格子構造又は多重格子構造を有していてもよい。
【0064】
2.PCSEL素子の製造方法
次に、PCSEL素子10の製造方法を図4に示す製造工程フローに沿って説明する。以下の実施例(EX)では発振波長が432nmのPCSEL素子10のスロープ効率を向上させることについて検討した。
【0065】
(S1:結晶成長ステップ)
MOVPE(Metalorganic Vapor Phase Epitaxy)装置を用い、+c面GaN基板12上にn-クラッド層13であるn-Al0.04Ga0.96N層を2μmの厚さで形成した。続いて、n-クラッド層13上にn-GaN層を500nmの厚さで形成した。
【0066】
(S2:パターニングステップ)
n-GaN層上に、SiNx膜をプラズマCVD法を用いて100nm程度成膜した。次に、SiNx膜上に電子線描画用レジストをスピンコートで塗布し、電子描画装置(EB装置)に入れて前述の2次元フォトニック結晶構造に対応する2次元周期パターンを形成した。
【0067】
このとき、位相の影響を調べられるように、同一の基板内に429nmから440nmの発振波長の素子が得られるよう、複数の空孔形成領域Wjにおいて異なる空孔周期PKjとなるようにレジストをパターニングした。
【0068】
パターニングしたレジストを現像後、プラズマ反応性イオンエッチング(Inductively Coupled Plasma Reactive Ion Etching : ICP-RIE) 装置を用いてSiNxを選択的にドライエッチングした。これにより正方格子状に配列された空孔がSiNx膜を貫通するように形成された。
【0069】
その後、レジストを除去し、SiNxをハードマスクとして、Cl、BCl、Arガスを用いたICP-RIE装置によりn-GaN層をドライエッチングした。このときのエッチング深さはおよそ190nmであった。その後、バッファードフッ酸(BHF)でSiNxハードマスクを除去した。
【0070】
(S3:再結晶成長ステップ)
フォトニック結晶を形成した基板を再びMOVPE装置に入れ、空孔を残すように埋め込み成長した。すなわち、アンドープGaNを70nm及びアンドープInGaNを50nmの厚さで成長して埋込層14Bを形成した。これにより、フォトニック結晶層14Pを含むn側ガイド層14が形成された。
【0071】
続いて、埋込層14B上(すなわち、n側ガイド層14上)に、2ペアのInGaN/GaN活性層15(MQW層)を成長した。続いて、活性層15に、アンドープInGaNを70nm及びアンドープGaNを180nmの厚さで成長して、p側ガイド層16を形成した。
【0072】
続いて、p-AlGaN電子障壁層17を15nmの厚さで成長し、電子障壁層17上にp-AlGaN層(p-クラッド層18)を300nmの厚さで成長した。次に、p-GaN/p-InGaN層からなるp-コンタクト層19を25nmの厚さで成長した。
【0073】
なお、これらのn側ガイド層14上に形成された半導体層の全体をガイド層上半導体層11Kと称する。
【0074】
図5は、以上のように形成した結晶成長終了後のウエハWFの上面を模式的に示す図である。具体的には、n側ガイド層14内に形成されたフォトニック結晶層14P内に、異なる空孔周期PKj(j=1~9)で空孔が配置された領域Wj(W1~W9)が設けられていることを示している。
【0075】
より詳細には、各領域W1~W9の空孔周期PKjを共振波長(λ)の整数倍としている。発振波長を429nm~440nmとするために、空孔周期PKjをPK1=172nm,PK2=173.2nm,・・・,PK9=182.8nmまで1.2nmおきに設定した。
【0076】
なお、空孔14K1、14K2は上面視において{10-10}面であるm面で囲まれた六角形形状を有している。また、フォトニック結晶層14Pの主空孔14K1の深さは90nm、副空孔14K2の深さは70nmとした。
【0077】
なお、ここでは、後述する分光反射測定による評価のために領域Wj毎に空孔周期PKjが異なるウエハWFを形成したが、実際にPCSEL素子10を製造するためのウエハWFにおいては1つの空孔周期PKのフォトニック結晶層14Pを形成すればよい。
【0078】
(S4:分光反射測定ステップ)
上記した成長済みウエハWF(以下、単にウエハWFともいう。)の成長最表面(すなわち、p-コンタクト層19の表面)から光を照射し、分光反射測定を実施した。分光反射測定結果を基に、この後成膜する透光性電極31(透光性導電体膜)の厚さを決定した。分光反射測定の方法及びその結果の詳細については後述する。
【0079】
(S5:絶縁膜形成ステップ)
成長したウエハWFに、スパッタリングによってSiOを100nmの厚さで成膜し、絶縁膜21を形成した。続いて、フォトリソグラフィによってレジストをパターニングした後、SiOをBFHで除去してp-コンタクト層19の上面が露出する直径300umの開口OPを形成した。
【0080】
(S6:透光性電極形成ステップ)
次に、スパッタリングによって、絶縁膜21の上面を覆い、開口OP内を充填するITO膜である透光性電極31を形成した。
【0081】
続いて、フォトリソグラフィによってレジストをパターニングした後、ウェットエッチングを行って不要な領域のITO膜を除去し、表面が平坦でフォトニック結晶層14Pに平行な透光性電極31を形成した。
【0082】
なお、分光反射測定の結果から、透光性電極31の層厚は実施例(EX)のウエハWFでは135nmとした。また、比較例(CMP)のウエハにおいても素子特性評価のため実施例(EX)のウエハと同じ135nmとした。
【0083】
すなわち、透光性電極31の層厚は、実施例(EX)では直接回折光Ld及び反射回折光Lrの位相が一致し、干渉によって最も強め合う条件を満たす層厚とし、比較例(CMP)では当該最も強め合う条件から外れた層厚(但し、直接回折光Ldよりも光強度は大きい)とした。
【0084】
ここで、直接回折光Ld及び反射回折光Lrの干渉光の光強度の強め合う条件(干渉条件)は、当該干渉光の光強度が直接回折光Ldの光強度よりも大きくなる条件であればよい。なお、PCSEL素子10から出射された直接回折光Ld及び反射回折光Lrの位相が一致して最も強め合う条件であることが好ましい。
【0085】
また、透光性電極31の層厚は、直接回折光Ld及び反射回折光Lrの干渉光の光強度が弱め合う条件を満たす層厚としてもよい。
【0086】
(S7:光反射層形成ステップ)
透光性電極31上に、銀(Ag)合金を150nmの厚さで成膜し、光反射層32を形成した。光反射層32の形成により、透光性電極31と光反射層32との界面に光反射面SRが形成された。
【0087】
(S8:電極及び反射防止層形成ステップ)
光反射層32上に、Ni/Pd/Auを10nm/200nm/800nmの厚さで順次成膜し、パッド電極33を形成した。
【0088】
次に、基板の裏面を研磨した後、化学機械研磨(CMP)によって鏡面仕上げを行って、厚さ170nmのウエハWFを得た。続いて、研磨した面にTi/Pt/Au(層厚:50nm/50nm/500nm)を成膜し、カソード電極20Aを形成した。
【0089】
さらに、カソード電極20Aの内側領域(すなわち、光出射領域20L)の基板裏面上にSiN/SiO(層厚:32nm/53nm)を成膜し、反射防止層である無反射コート層27を形成した。
【0090】
(S9:個片化ステップ)
最後に、レーザースクライブ装置あるいはダイヤモンドスクライブ装置を用いてスクライブし、劈開装置を用いてウエハWFを個片化し、空孔周期PK(発振波長λ)の異なる80個のPCSEL素子10を得た。
3.分光反射測定及び評価結果
上記した分光反射測定ステップ(S4)における分光反射測定の方法及びその結果について説明する。
【0091】
図6は、成長終了後のウエハWFの分光反射曲線を示すグラフである。また、図7は、分光反射測定装置の照射光EMをウエハWFに照射したときの表面反射光ES及びフォトニック結晶14Pによる反射光ERを模式的に示す図である。なお、図の明確さのため、フォトニック結晶層14Pの主空孔14K1及び副空孔14K2を空孔対14Kとして図示している。
【0092】
フォトニック結晶層14Pは空孔を含んだ層であり、その他の半導体層と比較し屈折率は低い。そのため、図6に示す観測された分光反射曲線は、図7に模式的に示すように、表面反射光ESとフォトニック結晶14Pによる反射光ERが干渉した結果である。
【0093】
GaN基板11の裏面は粗面であるため、光は散乱され、裏面反射はほぼ無視することができる。また、その他の半導体層間(たとえば、GaN/AlGaN層間)の屈折率差は10-1~10-2程度であるため、これらの界面での反射もほとんど影響しない。
【0094】
ガイド層上半導体層11Kの各半導体層がGaNとして図6に示す分光反射曲線から層厚を求めた。詳細には、ガイド層上半導体層11Kには混晶組成の層(InAlGaN層)が含まれているが、フォトニック結晶層14Pからp-コンタクト層19の表面までの光路長が重要である。したがって、ガイド層上半導体層11KがGaN層の単層であるとして計算・フィッティングし、その層厚を求めた。
【0095】
なお、ガイド層上半導体層11Kの各半導体層の層厚を分光エリプソメータで詳細に求めてもよい。層厚の求め方は、基本的なフレネル反射を基礎とした既存の技術で行うことができる。
【0096】
以上のようにして、p-コンタクト層19の表面(すなわち、ウエハWFの表面)からフォトニック結晶層14P中の照射光EMの反射位置RPまでの層厚DP(又は光路長)を求めた。その結果、実施例EXの層厚DPは735nmであった。
【0097】
また、上記した実施例EXのウエハWFと同一条件で成長したウエハを比較例CMPのウエハWCとして形成した。すなわち、比較例CMPのウエハWCは実施例EXのウエハWFと同一構造のn-ガイド層14及びフォトニック結晶14Pを有する。
【0098】
すなわち、結晶成長における層厚の再現性から、同一条件による結晶成長であっても、実施例EXのウエハWFと比較例CMPのウエハWCとでは成長層厚(ガイド層上半導体層11Kの層厚)が異なることが想定される。
【0099】
実際に、図6に示すように、実施例EXのウエハWFと比較して僅かに長波長側に分光反射曲線がシフトしていることがわかった。当該測定された分光反射曲線から、比較例CMPのウエハWCについて層厚DPを求めたところ、DP=755nmであった。したがって、ガイド層上半導体層11Kの層厚は、実施例EXのウエハWFに対して、3%程度の差異があることがわかった。
【0100】
4.PCSEL素子の特性評価
図8は、フォトニック結晶層14Pから放射され、光反射層32(光反射面SR)によって反射されて基板12の裏面(光出射面)側から出射された反射回折光Lrと、フォトニック結晶層14Pから基板12の裏面側に向けて出射された直接回折光Ldとの干渉を模式的に示している。
【0101】
直接回折光Ldと反射回折光Lrとは、層厚DPに対応した光路長差によって干渉する。図8からも明らかなように、直接回折光Ldと反射回折光Lrの光路長差は、層厚DPと透光性電極31の層厚(p-コンタクト層19表面から光反射層32までの層厚)の和である距離の2倍に等しい。このため、層厚DPを求めることで、干渉条件を満たす透光性電極31の層厚を算出できる。実施例(EX)では、直接回折光Ld及び反射回折光Lrの位相が一致するように透光性電極31の層厚が定められている。また、比較例(CMP)では直接回折光Ld及び反射回折光Lrの位相が一致する条件から外れた層厚の透光性電極31を有している。
【0102】
分光反射測定を用いているので、フォトニック結晶14P内の反射位置RPを直接測定することができる。また、非破壊的な測定であり、屈折率の異なる複数の層が積層された層であっても、光路長を高精度に算出することができる。すなわち、直接回折光Ldと反射回折光Lrとの光路長差を直接かつ高精度に測定することができる。
【0103】
具体的には、光路長差の精度は1%以内であり、これを半導体層の層厚に換算すると2-3nm以内である。
【0104】
なお、フォトニック結晶層14Pにおける回折光の回折位置(波源位置)WSは、分光測定における反射位置RPとは、発振波長と分光測定における照射光の波長との違い等に起因して僅かに異なる場合がある(図8)。
【0105】
なお、例えば非特許文献3から、結合波理論を用いて、空孔層14Pによる回折波の波源(回折面)及び回折されて空孔層14Pの垂直方向に放射される放射波を算出することができる。
【0106】
しかし、結晶成長における半導体層の層厚の制御性、再現性を考慮すれば、分光反射測定による反射位置RPによって回折位置(波源位置)WSを十分に近似することができる。
【0107】
図9Aは、ウエハWF(透光性電極31の層厚135nm)から得られた実施例(EX)のPCSEL素子10の発振波長に対するスロープ効率をプロットしたグラフである。
【0108】
また、図9Bは、ウエハWC(透光性電極31の層厚135nm)から得られた比較例CMPのPCSEL素子の発振波長に対するスロープ効率をプロットしたグラフである。
【0109】
具体的には、実施例(EX)のPCSEL素子10及び比較例CMPのPCSEL素子にパルス電流を注入し、光出力測定を行い、スロープ効率を測定した結果を示している。
【0110】
図9Aに示すように、実施例(EX)のPCSEL素子10は、目的とする発振波長である発振波長が432nm(図中、一点鎖線)付近にスロープ効率の極大が観測された。これは干渉による効果であり、発振波長が変わると光路長が変化しスロープ効率は変化する。
【0111】
一方で、図9Bに示すように、比較例CMPのPCSEL素子では、目的とする発振波長からずれた発振波長である438nm付近にスロープ効率の極大が観測された。また、スロープ効率の分布の幅も実施例(EX)のPCSEL素子10に比べて広く、所望の発振波長及びスロープ効率を有する素子の歩留まりは低い。
【0112】
すなわち、換言すれば、比較例CMPのウエハWCにおいて、実施例(EX)のウエハWFと同様に発振波長が432nmでスロープ効率の極大が得られるためには、透光性電極31の層厚を110nmにすればよい。
【0113】
なお、フォトニック結晶層14Pが多重格子構造を有している場合においても反射位置RPまでの層厚DP(又は光路長)を高精度に実測することができる。多重格子構造においては、主空孔と副空孔の相対的な大きさ、深さ方向の相対的な配置、形状によって反射位置RPが大きく変わりうるからである。
【0114】
また、MOVPE法によって結晶成長した場合について説明したが、これに限らない。例えば、MBE(分子線エピタキシ)法、ハイドライド気相成長法(HVPE法)、スパッタ法等の気相成長法、あるいは液相成長法についても適用が可能である。
【0115】
以上、説明したように、結晶成長後のウエハに対して分光反射測定を行い、半導体層の層厚を解析し、その層厚に合わせて透光性電極31の層厚を決定している。これにより、発振波長及び出射光特性が高精度に制御されたフォトニック結晶面発光レーザが得られ、また当該フォトニック結晶面発光レーザを歩留まりよく製造する製造方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0116】
10:PCSEL素子、11:半導体構造層、11K:nガイド層上半導体層、12:基板、13:第1のクラッド層、14:第1のガイド層、14A:下ガイド層、14P:フォトニック結晶層、14B:埋込層、14K:空孔、15:活性層、16:第2のガイド層、17:電子障壁層、18:第2のクラッド層、19:コンタクト層、20A:カソード電極、21:絶縁膜、31:透光性電極、32:光反射層、33:パッド電極、DP:表面・反射位置間の層厚、OP:開口、RP:反射位置、SR:反射面
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B