(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173194
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】加熱装置
(51)【国際特許分類】
H05B 3/74 20060101AFI20231130BHJP
H05B 3/06 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
H05B3/74
H05B3/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085275
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 貴雄
【テーマコード(参考)】
3K092
【Fターム(参考)】
3K092PP20
3K092QA05
3K092RF03
3K092RF11
3K092RF18
3K092RF27
3K092TT40
3K092VV22
(57)【要約】
【課題】均熱性の向上を図ること。
【解決手段】加熱装置は、加熱プレートと、複数のヒータと、一対の棒状部材とを備える。加熱プレートは、加熱面と、加熱面とは反対の裏面に位置する複数の凹部とを有する。複数のヒータは、複数の凹部にそれぞれに位置している。一対の棒状部材は、複数のヒータのうち、棒状部材の長手方向に配列されたヒータ群を保持する。ヒータは、ヒータ本体と、ヒータ本体の外周面を囲むカバー部材とを有する。一対の棒状部材は、配列されたヒータ群が有するヒータのカバー部材を挟んで向かい合う。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱プレートと、
複数のヒータと、
一対の棒状部材と
を備え、
前記加熱プレートは、加熱面と、前記加熱面とは反対の裏面に位置する複数の凹部とを有し、
前記複数のヒータは、前記複数の凹部にそれぞれに位置しており、
前記一対の棒状部材は、前記複数のヒータのうち、前記棒状部材の長手方向に配列されたヒータ群を保持し、
前記ヒータは、ヒータ本体と、前記ヒータ本体の外周面を囲むカバー部材とを有し、
前記一対の棒状部材は、配列された前記ヒータ群が有する前記ヒータの前記カバー部材を挟んで向かい合う
加熱装置。
【請求項2】
前記ヒータは、前記ヒータ本体に接続された一対のリード端子を有し、
前記棒状部材は、前記ヒータ本体の先端部とは反対側に、前記一対のリード端子が挿通される開口を有する
請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記一対の棒状部材は、前記ヒータの長さ方向に向かい合っている
請求項1に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記一対の棒状部材は、接触している
請求項3に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記ヒータの長さ方向において向かい合う前記カバー部材と前記棒状部材との間に空隙を有する
請求項3に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記カバー部材の周面と前記棒状部材との間に空隙を有する
請求項3に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記ヒータは、前記ヒータ本体に接続された一対のリード端子を有し、
前記一対のリード端子は、前記棒状部材を厚み方向に貫通する開口から引き出される
請求項1に記載の加熱装置。
【請求項8】
前記ヒータは、前記ヒータ本体に接続された一対のリード端子を有し、
前記一対のリード端子は、前記リード端子間に絶縁部材を有する
請求項1に記載の加熱装置。
【請求項9】
前記カバー部材は、前記ヒータの長さ方向から見た平面視において楕円形または小判形の外形を有し、
前記棒状部材は、前記カバー部材の前記外形に対応する収容部を有する
請求項1に記載の加熱装置。
【請求項10】
前記ヒータは、前記ヒータ本体に接続された一対のリード端子を有し、
前記カバー部材は、前記ヒータ本体が引き出される第1開口と前記一対のリード端子が引き出される第2開口とを有し、
前記第1開口は、前記第2開口よりも前記ヒータの長さ方向から平面視した面積が小さい
請求項1~9のいずれか1つに記載の加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱面の反対側に位置する裏面に形成された複数の凹部に複数のカートリッジヒータがそれぞれ挿入された加熱板を有し、かかる加熱板に対象物を接触させることによって対象物を加熱する加熱装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術では、複数のカートリッジヒータにおいて発生した熱がバラバラに散逸することで、加熱板の温度が不均一化するおそれがあった。
【0005】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、均熱性の向上を図ることができる加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る加熱装置は、加熱プレートと、複数のヒータと、一対の棒状部材とを備える。加熱プレートは、加熱面と、加熱面とは反対の裏面に位置する複数の凹部とを有する。複数のヒータは、複数の凹部にそれぞれに位置している。一対の棒状部材は、複数のヒータのうち、棒状部材の長手方向に配列されたヒータ群を保持する。ヒータは、ヒータ本体と、ヒータ本体の外周面を囲むカバー部材とを有する。一対の棒状部材は、配列されたヒータ群が有するヒータのカバー部材を挟んで向かい合う。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、均熱性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る加熱装置をY軸負方向から見た側面図である。
【
図2B】
図2Bは、実施形態に係るヒータをZ軸正方向から見た平面図である。
【
図2C】
図2Cは、実施形態に係るヒータをZ軸負方向から見た平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る加熱装置をZ軸正方向から見た平面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示すIV-IV線における断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る加熱装置をX軸負方向から見た側面図である。
【
図7】
図7は、
図6に示すVII-VII線矢視における断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るヒータおよび一対の棒状部材の断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係るヒータ群をZ軸正方向から見た平面図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係るヒータ群をZ軸負方向から見た平面図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係るヒータ群を示す断面図である。
【
図12】
図12は、実施形態の第1変形例に係るヒータ群を示す断面図である。
【
図13】
図13は、実施形態の第2変形例に係るヒータ群を示す断面図である。
【
図14】
図14は、実施形態の第3変形例に係るヒータ群を示す断面図である。
【
図15】
図15は、実施形態の第4変形例に係るヒータ群をZ軸負方向から見た平面図である。
【
図16】
図16は、実施形態の第4変形例に係るヒータ群を示す断面図である。
【
図17】
図17は、実施形態の第5変形例に係るヒータを示す断面図である。
【
図18】
図18は、実施形態の第6変形例に係るヒータを示す断面図である。
【
図19】
図19は、実施形態の第6変形例に係るヒータ群をZ軸正方向から見た平面図である。
【
図20】
図20は、実施形態の第6変形例に係るヒータ群をZ軸負方向から見た平面図である。
【
図21】
図21は、実施形態の第7変形例に係るヒータをZ軸正方向から見た平面図である。
【
図22】
図22は、実施形態の第7変形例に係るヒータをZ軸負方向から見た平面図である。
【
図23】
図23は、実施形態の第8変形例に係るヒータ群をZ軸負方向から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示による加熱装置を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示による加熱装置が限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
また、以下に示す実施形態では、「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」といった表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密に「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」であることを要しない。すなわち、上記した各表現は、たとえば製造精度、設置精度などのずれを許容するものとする。
【0011】
また、以下で参照する各図は、説明の便宜上の模式的なものである。したがって、細部は省略されることがあり、また、寸法比率は必ずしも現実のものとは一致していない。
【0012】
また、以下参照する各図面では、説明を分かりやすくするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする直交座標系を示す場合がある。
【0013】
図1は、実施形態に係る加熱装置100をY軸負方向から見た側面図である。以下では、加熱装置100を加熱対象物に接触させる際に加熱対象物側に位置する面が「上面」であり、加熱対象物とは反対側に位置する面が「下面」であるものとする。なお、これに限らず、加熱装置100は、例えば上下反転して使用されてもよく、任意の姿勢で使用されてよい。
【0014】
図1に示す加熱装置100は、加熱プレート110、固定具120、複数のヒータ130、および支持プレート150を有する。また、加熱装置100は、複数の陽極側集合電極160と、複数の陰極側集合電極170と、複数の絶縁部材180とを有する。
【0015】
加熱プレート110は、例えば金属製の板状部材である。加熱プレート110は、加熱対象物と接触可能な上面110aを有する。すなわち、加熱プレート110の上面110aが加熱対象物を加熱する加熱面となる。上面110aは、例えば、加熱対象物の一例としての金型の加熱に用いられる。加熱プレート110の加熱面とは反対側の下面110bには、複数のヒータ130がそれぞれ挿入される複数の凹部113(
図3、
図5等参照)が形成されている。
【0016】
複数のヒータ130は、複数の凹部113にそれぞれ挿入される。これにより、複数のヒータ130は、加熱面である加熱プレート110の上面110aに対して垂直となるように配置される。このように、複数のヒータ130を加熱プレート110の加熱面に対して垂直に配置することにより、複数のヒータ130と加熱面との間の距離のばらつきが低減されることから、加熱面の面内での均熱性を向上させることができる。また、ヒータ130は、長手方向に温度分布が生じる。これに対し、複数のヒータ130を加熱プレート110の加熱面に対して垂直に配置することにより、上面110aの中央部と外周部とで、ヒータ130の温度分布に起因する温度差が生じることを低減することができる。
【0017】
ここで、ヒータ130の構成について
図2A~
図2Cを参照して説明する。
図2Aは、実施形態に係るヒータ130の断面図である。
図2Bは、実施形態に係るヒータ130をZ軸正方向から見た平面図である。
図2Cは、実施形態に係るヒータ130をZ軸負方向から見た平面図である。
【0018】
図2Aに示すように、実施形態に係るヒータ130は、ヒータ本体131と、カバー部材132と、陽極側リード電極133と、陰極側リード電極134とを有する。
【0019】
ヒータ本体131は、セラミックヒータである。ヒータ本体131は、X軸方向に垂直な断面視において、矩形板状であり、先端部130aおよび基端部130bを有する。ヒータ本体131は、先端部130a側から凹部113に挿入される。
【0020】
ヒータ本体131は、セラミック体の内部に発熱抵抗体131aおよび配線131b、131cを有する。ヒータ本体131をセラミックヒータとすることにより、金属製である加熱プレート110とヒータ本体131との間の焼き付きを低減することができる。したがって、たとえば、ヒータ本体131が加熱プレート110に焼き付くことでヒータ130が交換できなくなるといった不具合が生じにくい。
【0021】
ヒータ本体131の長さ、すなわちセラミック体の長さは、例えば、1mm以上200mm以下程度とすることができる。また、セラミック体の外寸は、例えば、0.5mm以上100mm以下程度とすることができる。
【0022】
ヒータ本体131の形状、すなわちセラミック体の形状は、たとえば角柱状である。なお、ヒータ本体131の形状は、角柱状に限らず、例えば円柱状または楕円柱状であってもよい。セラミック体の材料は、例えば、絶縁性を有するセラミックである。セラミック体の材料としては、例えば、酸化物セラミックス、窒化物セラミックスまたは炭化物セラミックス等を使用することができる。
【0023】
発熱抵抗体131aは、電流が流れることによって発熱する部材である。発熱抵抗体131aは、一方の端部において配線131bを介して後述する陽極側リード電極133のパッド部133aに接続される。また、発熱抵抗体131aは、他方の端部において配線131cを介して後述する陰極側リード電極134のパッド部134aに接続される。
【0024】
発熱抵抗体131aは、例えば、タングステン、モリブデンなどを含む高抵抗の導体を含んでよい。発熱抵抗体131aの寸法は、例えば幅を0.1mm以上5mm以下に、厚みを0.05mm以上0.3mm以下に、全長を1mm以上500mm以下にすることができる。また、発熱抵抗体131aは、例えばタングステンカーバイドを含む導電性セラミックスであってもよい。この場合は、セラミック体と発熱抵抗体131aとの熱膨張差を低減できる。これにより、セラミック体と発熱抵抗体131aとの間の熱応力を低減できる。その結果、ヒータ本体131の耐久性を高めることができる。
【0025】
配線131bは、発熱抵抗体131aの一方の端部と陽極側リード電極133のパッド部133aとを繋いでいる。配線131cは、発熱抵抗体131aの他方の端部と陰極側リード電極134のパッド部134aとを繋いでいる。
【0026】
配線131b、131cは、発熱抵抗体131aと同様に、例えば、タングステン、モリブデンなどを含む高抵抗の導体を含んでよい。また、配線131b、131cは、例えばタングステンカーバイドを含む導電性セラミックスであってもよい。配線131b、131cは、発熱抵抗体131aよりも幅が大きい。これにより、配線131b、131cの電気抵抗値を発熱抵抗体131aの電気抵抗値よりも小さくすることができる。その結果、配線131b、131cにおける発熱量を低減することができる。
【0027】
カバー部材132は、ヒータ本体131の外周面を囲む筒状をなしている。カバー部材132は、ヒータ本体131の長手方向において陽極側リード電極133のパッド部133aおよび陰極側リード電極134のパッド部134aに対応する位置に位置している。カバー部材132は、陽極側リード電極133のパッド部133aおよび陰極側リード電極134のパッド部134aを覆っている。カバー部材132の内周面によって形成される空間には、カバー部材132とヒータ本体131とを接合するための接合材132aが充填されている。
【0028】
カバー部材132は、例えば、絶縁性を有するセラミックである。カバー部材132の材料としては、例えば、アルミナ、窒化ケイ素等であってよい。
【0029】
陽極側リード電極133および陰極側リード電極134は、ヒータ本体131の一方の端部(基端部130b)側に固定されている。陽極側リード電極133は、一端が後述する陽極側集合電極160を介して外部電源に接続され、他端が配線131bを介して発熱抵抗体131aに電気的に接続される。また、陰極側リード電極134は、一端が後述する陰極側集合電極170を介して外部電源に接続され、他端が配線131cを介して発熱抵抗体131aに電気的に接続される。
【0030】
陽極側リード電極133および陰極側リード電極134は、例えば、ニッケル、鉄またはニッケル系耐熱合金等の金属材料を含む線材である。
【0031】
陽極側リード電極133は、パッド部133aと端子部133bとを有する。パッド部133aは、ヒータ本体131の表面に位置する面状の部分であり、発熱抵抗体131aの一方の端部に配線131bを介して電気的に接続されている。端子部133bは、パッド部133aに電気的に接続され、ヒータ本体131の基端部130bからヒータ本体131の長手方向外方(ここでは、Z軸負方向)に延びている。端子部133bの断面は、例えば円形状であってもよく、楕円形状、矩形状であってもよい。端子部133bの外径は、例えば0.5以上2.0mm以下であってもよい。
【0032】
陰極側リード電極134は、パッド部134aと端子部134bとを有する。パッド部134aは、ヒータ本体131の表面に位置する面状の部分であり、発熱抵抗体131aの他方の端部に配線131cを介して電気的に接続されている。端子部134bは、パッド部134aに電気的に接続され、ヒータ本体131の基端部130bからヒータ本体131の長手方向外方(ここでは、Z軸負方向)に延びている。端子部134bの断面は、例えば円形状であってもよく、楕円形状、矩形状であってもよい。端子部134bの外径は、例えば0.5以上2.0mm以下であってもよい。
【0033】
このように、ヒータ130が有する一対のリード電極(陽極側リード電極133および陰極側リード電極134)は、ヒータ本体131の表面に位置するパッド部133a、134aと、パッド部133a、134aに接続された端子部133b、134bとを有する。このように構成されたヒータ130は、パッド部133a、134aが緩衝部材として機能することで、応力が集中しにくい。したがって、このように構成されたヒータ130は、耐久性が高い。
【0034】
また、
図2B、
図2Cに示すように、カバー部材132は、ヒータ130の長さ方向(Z軸方向)から見た平面視において、Y軸方向に長い小判形の外形を有している。「小判型」とは、円形をX軸方向につぶして略平行に向かい合わせたような形状である。例えば、X軸方向における2つの直線状の外側面のY軸方向における両端が凸曲面(例えば、半円状の湾曲面)で繋がった形状である。また、カバー部材132は、第1開口132cと第2開口132dとを有する。第1開口132cは、カバー部材132をZ軸方向に貫通する貫通孔のうち、Z軸正方向側に位置しており、ヒータ本体131が引き出される開口である。第2開口132dは、カバー部材132をZ軸方向に貫通する貫通孔のうち、Z軸負方向側に位置しており、一対のリード電極(陽極側リード電極133および陰極側リード電極134)のリード端子(端子部133b、134b)が引き出される開口である。
【0035】
第1開口132cは、ヒータ130の長さ方向(Z軸方向)から平面視した形状が、Y軸方向に長い矩形状を有している。これにより、カバー部材132に対するヒータ本体131の位置決めが容易になる。
【0036】
また、第1開口132cは、第2開口132dよりもヒータ130の長さ方向(Z軸方向)から平面視した面積が小さくてもよい。カバー部材132の内部で発生した熱は、第1開口132cおよび第2開口132dから放出される。ヒータ本体131側の開口面積をリード端子(端子部133b、134b)側の開口面積よりも小さくすることにより、カバー部材132の内部の熱がリード端子(端子部133b、134b)側から逃げやすくなる。したがって、このように構成されたヒータ130は、耐久性が高い。
【0037】
加熱装置100が有する複数のヒータ130は、加熱プレート110の下面110bに形成された複数の凹部113に挿入される。
図3は、実施形態に係る加熱装置100をZ軸正方向から見た平面図である。
【0038】
図3には、加熱面である加熱プレート110の上面110aが矩形板状に示されるとともに、複数の凹部113の位置が破線で示されている。一例として、
図3に示す複数の凹部113は、6行6列で配置されている。すなわち、実施形態に係る加熱プレート110は、合計36個の凹部113を有している。なお、複数の凹部113の配置や数は、図示の例に限定されない。
【0039】
図1に戻り、固定具120について説明する。固定具120は、加熱プレート110から離隔して配置されている。固定具120には、複数の凹部113にそれぞれ挿入される複数のヒータ130が固定されている。固定具120に対するヒータ130の固定態様については、後述する。
【0040】
支持プレート150は、固定具120から離れた状態で、複数の柱状部材151によって固定具120に固定されている。支持プレート150が固定具120から離れて位置することにより、各ヒータ130の端子部133b、134bを配置するための空間、言い換えれば、後述する陽極側集合電極160および陰極側集合電極170を配置するための空間を支持プレート150と固定具120との間に確保することが可能となる。なお、支持プレート150および複数の柱状部材151は、必要に応じて省略されてもよい。
【0041】
図4は、
図3に示すIV-IV線における断面図である。また、
図5は、
図3に示すV-V線における断面図である。なお、
図4および
図5では、支持プレート150および複数の柱状部材151の図示が省略されている。
【0042】
図4および
図5に示すように、加熱装置100は、複数のヒータ130が固定具120に固定されるとともに加熱プレート110の複数の凹部113にそれぞれ挿入されて構成される。
【0043】
加熱プレート110は、第1のプレート部材111および第2のプレート部材112を有する。
【0044】
第1のプレート部材111は、加熱面である加熱プレート110の上面110aを有する板状部材である。第1のプレート部材111は、例えばボルト等の固定部材114によって第2のプレート部材112に接合されている。すなわち、第1のプレート部材111の上面110aとは反対側の下面111aは、第2のプレート部材112に接合される接合面である。
【0045】
第2のプレート部材112は、第1のプレート部材111の接合面に接合される被接合面となる上面112aと、上面112aの反対側に位置する下面110bとを有する板状部材である。下面110bには、複数の貫通孔112bが形成されており、複数の貫通孔112bの各々から第1のプレート部材111の下面111aが露出する。
【0046】
複数の凹部113の各々は、複数の貫通孔112bの各々と複数の貫通孔112bの各々から露出する第1のプレート部材111の下面111aとによって形成されている。すなわち、各貫通孔112bの内壁面が各凹部113の内側面を形成し、第1のプレート部材111の下面111aが各凹部113の底面(
図5に示す姿勢においては天井面)を形成している。そして、複数のヒータ130の先端部130aは、複数のヒータ130が複数の凹部113にそれぞれ挿入された状態で、複数の凹部113内に位置する。また、加熱プレート110は、第1のプレート部材111および第2のプレート部材112の2つの部材に分かれていなくてもよい。加熱プレート110は、第1のプレート部材111および第2のプレート部材112に相当する部分が、金属製の板状部材で一体的に形成されていてもよい。加熱プレート110は、一体的に形成された板状部材の加熱面とは反対に位置する裏面に複数の凹部113を有することになる。加熱プレート110を一体的に形成することにより、加熱装置100の製造工程を簡素化することができる。
【0047】
なお、複数のヒータ130の各先端部130aは、各凹部113の底面に接触していてもよく、接触していなくてもよい。
【0048】
固定具120は、固定プレート121と、複数の保持バー122、123とを有する。
【0049】
固定プレート121は、例えば金属製の板状部材である。固定プレート121は、固定プレート121と加熱プレート110との間に隙間が形成された状態で、例えばボルト等の連結部材124によって加熱プレート110に連結されることにより、加熱プレート110から離隔して配置されている。固定プレート121を加熱プレート110から離隔して配置させることにより、固定具120に対する複数のヒータ130の固定部分(たとえば、保持バー122、123)の昇温を低減することができる。一方で、固定プレート121によって加熱プレート110から奪われる熱が低減するため、加熱プレート110の昇温を促進することができる。
【0050】
固定プレート121は、複数の凹部113に対応する位置に複数の貫通孔121aを有する。複数の貫通孔121aには、複数のヒータ130がそれぞれ挿通される。以下では、説明の便宜上、特に区別する必要がない場合には、複数の凹部113、複数の貫通孔121aおよび複数のヒータ130をそれぞれ単に「凹部113」、「固定孔120a」および「ヒータ130」と呼ぶ。
【0051】
ヒータ130のヒータ本体131は、貫通孔121aを貫通しており、その先端部130aが凹部113に挿入されている。ヒータ本体131の基端部130bは、固定プレート121の下面よりも加熱面である加熱プレート110の上面110aから離れる方向に突出している。ヒータ本体131の基端部130bには、上述した陽極側リード電極133および陰極側リード電極134が位置している。加熱面である加熱プレート110の上面110aから離れる方向に突出するヒータ本体131の基端部130bに陽極側リード電極133および陰極側リード電極134を設けることにより、加熱面から陽極側リード電極133および陰極側リード電極134を遠ざけることができる。したがって、かかる構成によれば、陽極側リード電極133および陰極側リード電極134への熱伝達を低減することができる。
【0052】
保持バー122、123は、例えば、金属製の棒状部材である。保持バー122、123は、複数のヒータ130のカバー部材132を挟み込むとともに、例えばボルト等の連結部材125によって固定プレート121に連結されている。これにより、保持バー122、123は、複数のヒータ130を保持するとともに、固定プレート121に固定することができる。実施形態において、加熱装置100は、36個のヒータ130を有しており、一対の保持バー122、123は、これら36個のヒータ130のうち一列に並んだ6個のヒータ130のカバー部材132を挟み込んでいる。これにより、一対の保持バー122、123は、保持バー122、123の長手方向(X軸方向)に一列に並んだ6個のヒータ130を保持し、固定することができる。加熱装置100は、合計で6対の保持バー122、123を有している(
図6参照)。以下、一対の保持バー122、123で保持された6個のヒータ130をヒータ群30(
図9、
図10参照)と称する場合がある。
【0053】
加熱プレート110と固定具120との間には、スペーサ部材140が配置されている。スペーサ部材140は、筒状をなし、連結部材124を挿通させている。加熱プレート110と固定具120との間にスペーサ部材140を設けることにより、加熱プレート110と固定具120とが離隔した状態を保つことができるとともに、加熱プレート110と固定具120との距離を保つことができる。したがって、かかる構成によれば、加熱プレート110からの伝熱に伴う固定具120の温度上昇を継続的に抑えることができる。
【0054】
スペーサ部材140の材料は、例えば、耐熱性を有するセラミックであることが好ましい。スペーサ部材140の材料としては、例えば、酸化物セラミックス、窒化物セラミックスまたは炭化物セラミックス等を使用することができる。これにより、スペーサ部材140の熱膨張および熱収縮を低減することができることから、スペーサ部材140の消耗を低減することができる。
【0055】
図1に戻る。陽極側集合電極160は、複数のヒータ130の陽極側リード電極133に電気的に接続されている。実施形態において、加熱装置100は、36個のヒータ130を有しており、陽極側集合電極160は、これら36個のヒータ130のうち一列に並んで一対の保持バー122、123に保持された6個のヒータ130の陽極側リード電極133に電気的に接続されている。加熱装置100は、合計で6個の陽極側集合電極160を有している(
図6参照)。
【0056】
また、陰極側集合電極170は、複数のヒータ130の陰極側リード電極134に電気的に接続されている。実施形態において、加熱装置100は、36個のヒータ130を有しており、陰極側集合電極170は、これら36個のヒータ130のうち一列に並んで一対の保持バー122、123に固定された6個のヒータ130の陰極側リード電極134に電気的に接続されている。加熱装置100は、合計で6個の陰極側集合電極170を有している(
図7参照)。
【0057】
絶縁部材180は、例えば、絶縁性を有するセラミックで形成された板状の部材であり、陽極側集合電極160と陰極側集合電極170とに挟まれて位置している。実施形態において、加熱装置100は、陽極側集合電極160および陰極側集合電極170の組みごとに、2個の絶縁部材180を有しており、これら2個の絶縁部材180が1組の陽極側集合電極160および陰極側集合電極170に挟まれて位置している。
【0058】
このように、実施形態に係る加熱装置100は、加熱装置100が有する複数のヒータ130のうち2以上のヒータ130が有する2以上の陽極側リード電極133に接続された陽極側集合電極160を有する。また、実施形態に係る加熱装置100は、加熱装置100が有する複数のヒータ130のうち2以上のヒータ130が有する2以上の陰極側リード電極134に接続された陰極側集合電極170を有する。また、実施形態に係る加熱装置100は、陽極側集合電極160と陰極側集合電極170とに挟まれて位置する絶縁部材180を有する。
【0059】
複数(ここでは、6個)のヒータ130で発生した熱は、極性が異なるリード電極(陽極側リード電極133および陰極側リード電極134)を介して各極性に対応する2つの集合電極(陽極側集合電極160および陰極側集合電極170)に伝えられる。そして、各極性に対応する2つの集合電極(陽極側集合電極160および陰極側集合電極170)に伝えられた熱は、2つの集合電極に挟まれて位置する絶縁部材180に伝えられる。これにより、各ヒータ130で発生した熱が各ヒータ130の極性が異なるリード電極からバラバラに散逸することを低減することができる。したがって、実施形態に係る加熱装置100によれば、均熱性の向上を図ることができる。
【0060】
なお、1組の陽極側集合電極160および陰極側集合電極170に挟まれる絶縁部材180の数は、図示の例に限定されない。
【0061】
以下、陽極側集合電極160、陰極側集合電極170および絶縁部材180の構成について
図6および
図7を参照してより具体的に説明する。
図6は、実施形態に係る加熱装置100をX軸負方向から見た側面図である。
図7は、
図6に示すVII-VII線矢視における断面図である。
【0062】
図6および
図7に示すように、陽極側集合電極160は、第1金属板161と、第2金属板162と、複数の第1固定部材163とを有する。第1金属板161および第2金属板162は、断面視矩形状の金属製の板材である。第1固定部材163は、第1金属板161と第2金属板162とを着脱自在に固定する。第1固定部材163は、たとえばボルトである。
【0063】
陽極側集合電極160は、第1金属板161と第2金属板162とで複数の陽極側リード電極133の端子部133bを挟み込むことにより、複数の陽極側リード電極133と電気的に接続される。具体的には、実施形態において、第1金属板161および第2金属板162は、X軸方向に沿って延在しており、X軸方向に沿って並べられた複数(ここでは、6個)の端子部133bを挟み込んでいる。
【0064】
かかる構成とすることにより、複数の陽極側リード電極133を一直線に接続することができるため、複数の陽極側リード電極133を最短で接続することができる。また、端子部133bの長さにバラツキがある場合であっても、接続が容易である。
【0065】
また、第1金属板161および第2金属板162は、複数(ここでは、6個)の陽極側リード電極133の端子部133bの間に隙間を設けた状態で、複数の陽極側リード電極133の端子部133bを挟み込んでいる。かかる構成とすることにより、第1金属板161および第2金属板162をバネとして機能させることができる。したがって、実施形態に係る加熱装置100によれば、端子部133bを挟む力を長期間にわたって維持することができる。また、第1金属板161および第2金属板162と絶縁部材180との熱膨張収縮差に起因する応力がバネとしての第1金属板161および第2金属板162によって緩和されることから、絶縁部材180の破損が低減される。
【0066】
また、第1固定部材163は、複数(ここでは、6個)の陽極側リード電極133の端子部133bの間の隙間に対応する位置で第1金属板161と第2金属板162とを固定している。かかる構成とすることにより、第1金属板161および第2金属板162を互いに近づく方向に撓ませて第2金属板162と絶縁部材180との接触面積を減らすことができる。したがって、実施形態に係る加熱装置100によれば、第1金属板161および第2金属板162と絶縁部材180との熱膨張収縮差に起因する応力の発生が抑制され、絶縁部材180の破損がより低減される。
【0067】
また、第2金属板162は、絶縁部材180に接している。そして、第2金属板162の厚みは、第1金属板161の厚みよりも薄い。このように、第2金属板162の厚みを薄くすることで、第2金属板162の熱伝達性が向上することから、各ヒータ130の端子部133bから第2金属板162を介した絶縁部材180への熱の移動を促進することができる。したがって、実施形態に係る加熱装置100によれば、均熱性をさらに高めることができる。また、第2金属板162が弾性的に変形し易くなることから、第2金属板162から絶縁部材180へ作用する熱応力を緩和することができる。
【0068】
図7に示すように、複数(ここでは、6個)の陽極側集合電極160は、Y軸方向に沿って並べられている。
図7に示すように、加熱プレート110の加熱面である上面110aと垂直な方向から見た平面視において、各陽極側集合電極160と端子部133bとの接続位置は、加熱プレート110の上面110aと重複している。このように、加熱領域の範囲内において陽極側集合電極160と端子部133bとを接続することで、たとえば、加熱領域の外方において陽極側集合電極160と端子部133bとを接続する場合と比較して、各ヒータ130から加熱装置100の外方への熱の散逸を低減することができる。したがって、実施形態に係る加熱装置100によれば、均熱性をさらに高めることができる。
【0069】
図6および
図7に示すように、陰極側集合電極170は、第3金属板171と、第4金属板172と、複数の第2固定部材173とを有する。第3金属板171および第4金属板172は、断面視矩形状の金属製の板材である。第2固定部材173は、第3金属板171と第4金属板172とを着脱自在に固定する。第2固定部材173は、たとえばボルトである。
【0070】
陰極側集合電極170は、第3金属板171と第4金属板172とで複数の陰極側リード電極134の端子部134bを挟み込むことにより、複数の陰極側リード電極134と電気的に接続される。具体的には、実施形態において、第3金属板171および第4金属板172は、X軸方向に沿って延在しており、X軸方向に沿って並べられた複数(ここでは、6個)の端子部134bを挟み込んでいる。
【0071】
かかる構成とすることにより、複数の陰極側リード電極134を一直線に接続することができるため、複数の陰極側リード電極134を最短で接続することができる。また、端子部134bの長さにバラツキがある場合であっても、接続が容易である。
【0072】
また、第3金属板171および第4金属板172は、複数(ここでは、6個)の陰極側リード電極134の端子部134bの間に隙間を設けた状態で、複数の陰極側リード電極134の端子部134bを挟み込んでいる。かかる構成とすることにより、第3金属板171および第4金属板172をバネとして機能させることができる。したがって、実施形態に係る加熱装置100によれば、端子部134bを挟む力を長期間にわたって維持することができる。また、第3金属板171および第4金属板172と絶縁部材180との熱膨張収縮差に起因する応力がバネとしての第3金属板171および第4金属板172によって緩和されることから、絶縁部材180の破損が低減される。
【0073】
また、第2固定部材173は、複数(ここでは、6個)の陰極側リード電極134の端子部134bの間の隙間に対応する位置で第3金属板171と第4金属板172とを固定している。かかる構成とすることにより、第3金属板171および第4金属板172を互いに近づく方向に撓ませて第4金属板172と絶縁部材180との接触面積を減らすことができる。したがって、実施形態に係る加熱装置100によれば、第3金属板171および第4金属板172と絶縁部材180との熱膨張収縮差に起因する応力の発生が低減され、絶縁部材180の破損がより低減される。
【0074】
また、第4金属板172は、絶縁部材180に接している。そして、第4金属板172の厚みは、第3金属板171の厚みよりも薄い。このように、第4金属板172の厚みを薄くすることで、第4金属板172の熱伝達性が向上することから、各ヒータ130の端子部133bから第4金属板172を介した絶縁部材180への熱の移動を促進することができる。したがって、実施形態に係る加熱装置100によれば、均熱性をさらに高めることができる。また、第4金属板172が弾性的に変形し易くなることから、第4金属板172から絶縁部材180へ作用する熱応力を緩和することができる。
【0075】
また、
図7に示すように、隣り合う陽極側リード電極133の端子部133bと隣り合う陰極側リード電極134の端子部134bとは、絶縁部材180を挟んで互いに反対側に位置している。そして、第1固定部材163は、隣り合う陽極側リード電極133のうちの一方の陽極側リード電極よりも他方の陽極側リード電極に近い位置で第1金属板161と第2金属板162とを固定している。また、第2固定部材173は、隣り合う陰極側リード電極134のうちの上記他方の陽極側リード電極に対応する一方の陰極側リード電極よりも他方の陰極側リード電極に近い位置で第3金属板171と第4金属板172とを固定している。かかる構成とすることで、第1固定部材163による第1金属板161と第2金属板162との固定位置と、第2固定部材173による第3金属板171と第4金属板172との固定位置とがずれるため、金属板(第2金属板162および第4金属板172)と絶縁部材180との接触部位がずれる。したがって、実施形態に係る加熱装置100によれば、第2金属板162および第4金属板172と絶縁部材180との熱膨張収縮差に起因する応力の発生が低減され、絶縁部材180の破損がより低減される。
【0076】
また、
図6および
図7に示すように、絶縁部材180は、陽極側集合電極160および陰極側集合電極170のうち一方に、例えばボルト等の固定部材181によって固定されている。たとえば、
図7に示すように、陽極側集合電極160および陰極側集合電極170は、加熱プレート110の加熱面である上面110aに平行なX軸方向に沿って延在している。そして、絶縁部材180は、陽極側集合電極160および陰極側集合電極170のうち一方の延在方向(ここでは、X軸方向)における一方の端部に固定部材181によって片持ち状態で固定されている。具体的には、陽極側集合電極160および陰極側集合電極170に挟まれた2個の絶縁部材180のうち一方は、陽極側集合電極160の第2金属板162のX軸方向負側における端部に固定部材181によって片持ち状態で固定されている。また、陽極側集合電極160および陰極側集合電極170に挟まれた2個の絶縁部材180のうち他方は、陰極側集合電極170の第4金属板172のX軸方向正側の端部に固定部材181によって片持ち状態で固定されている。
【0077】
このように、絶縁部材180を陽極側集合電極160および陰極側集合電極170の一方に固定することで、絶縁部材180を陽極側集合電極160および陰極側集合電極170の両方に固定する場合と比較して、絶縁部材180に作用する熱応力を軽減できる。したがって、実施形態に係る加熱装置100によれば、絶縁部材180の破損がより低減される。また、絶縁部材180が陽極側集合電極160および陰極側集合電極170のうち一方の延在方向(ここでは、X軸方向)における一方の端部に片持ち状態で固定されることから、絶縁部材180に作用する熱応力をさらに軽減できる。
【0078】
また、
図7に示すように、陽極側集合電極160および陰極側集合電極170に挟まれた2個の絶縁部材180は、陽極側集合電極160と陰極側集合電極170との間で加熱プレート110の加熱面である上面110aと平行な方向(X軸方向)に並んで位置する。このように、陽極側集合電極160と陰極側集合電極170との間に2個の絶縁部材180が並んで位置することで、陽極側集合電極160と陰極側集合電極170との間に1個の絶縁部材180が位置する場合と比較して、各絶縁部材180への熱応力を軽減できる。したがって、実施形態に係る加熱装置100によれば、絶縁部材180の破損がより低減される。
【0079】
なお、上述の説明では、2個の絶縁部材180が陽極側集合電極160と陰極側集合電極170との間で加熱プレート110の加熱面である上面110aと平行な方向(X軸方向)に並んで位置する場合を例に示したが、絶縁部材180の配置はこれに限られない。たとえば、2個の絶縁部材180は、陽極側集合電極160と陰極側集合電極170との間で加熱プレート110の加熱面である上面110aと垂直な方向(Z軸方向)に並んで位置してもよい。また、絶縁部材180は、有さなくてもよい。
【0080】
以下、一対の棒状部材(保持バー122、123)および複数のヒータ130を有するヒータ群30の構成について、
図8~
図11を参照してより具体的に説明する。
【0081】
図8は、実施形態に係るヒータおよび一対の棒状部材の断面図である。
図9は、実施形態に係るヒータ群をZ軸正方向から見た平面図である。
図10は、実施形態に係るヒータ群をZ軸負方向から見た平面図である。
図11は、実施形態に係るヒータ群を示す断面図である。なお、
図8および後述する他の図面では、ヒータ130の一部構成が省略され、単純化されて図示している。
【0082】
図8~
図11に示すように、一対の棒状部材を構成する保持バー122、123は、ヒータ130のカバー部材132を上下方向(Z軸方向)から挟んで向かい合っている。保持バー122は、ヒータ本体131が位置するZ軸正方向寄りに位置しており、保持バー123は、一対のリード電極(陽極側リード電極133および陰極側リード電極134)の一対のリード端子(端子部133b、134b)が位置するZ軸負方向寄りに位置している。
【0083】
保持バー122は、第1面122aと、第2面122bと、収容部122cと、開口122dとを有している。第1面122aは、Z軸正方向側の端部に位置する外面(上面)である。第2面122bは、Z軸負方向側の端部に位置する内面であり、保持バー123と向かい合うように位置している。収容部122cは、カバー部材132の一部を収容するための空間であり、一端が第2面122bに位置している。開口122dは、第1面122aと収容部122cの他端とを連通させる貫通孔であり、ヒータ本体131が挿通される。
【0084】
保持バー123は、第1面123aと、第2面123bと、収容部123cと、開口123dとを有している。第1面123aは、Z軸負方向側の端部に位置する外面(下面)である。第2面123bは、Z軸正方向側の端部に位置する内面であり、保持バー122と向かい合うように位置している。収容部123cは、カバー部材132の一部を収容するための空間であり、一端が第2面123bに位置している。開口123dは、第1面123aと収容部123cの他端とを連通させる貫通孔であり、一対のリード電極(陽極側リード電極133および陰極側リード電極134)の一対のリード端子(端子部133b、134b)が挿通される。
【0085】
保持バー122、123は、カバー部材132を介してヒータ130を保持することで、ヒータ130と加熱装置100とが絶縁されている。このため、加熱時に、加熱装置100自体に通電することが無く、金属部位が通電により加熱されることも無いので、加熱プレート110の均熱性が向上する。また、ヒータ130は保持バー122、123で挟みこむように保持されているので、ヒータ本体131の先端部130aがぐらつきにくく、ヒータ本体131の先端部130aを所定の位置に配置しやすくなる。
【0086】
また、上記したように、保持バー122、123は、ヒータ130の長さ方向(Z軸方向)に向かい合い、カバー部材132を上下方向(Z軸方向)に挟んでいる。カバー部材132は、ヒータ130の通電によりヒータ本体131側とリード端子(端子部133b、134b)側とで温度が異なる場合がある。ヒータ群30を構成する複数のヒータ130がそれぞれ有するカバー部材132をまとめて保持する保持バー122、123がヒータ本体131側とリード端子(端子部133b、134b)側とに分かれていることで、保持バー122、123のそれぞれで温度が一定になりやすい。これにより、加熱プレート110の加熱面の面内での均熱性を向上させることができる。
【0087】
また、一対のリード端子(端子部133b、134b)は、ヒータ本体131の先端部130aとは反対側に位置する開口123dに挿通されている。このため、一対のリード電極(陽極側リード電極133および陰極側リード電極134)および一対のリード端子(端子部133b、134b)は、抵抗変化が生じにくくなり、複数のヒータ130に対して長期間にわたり安定した電力を供給することができることから、均熱性が向上する。
【0088】
また、
図9および
図10に示すように、保持バー122、123は、カバー部材132の外形に対応するようにZ方向から見たときにY軸方向に長い小判形の収容部122c、123cを有している。また、保持バー122には、ヒータ本体131に対応するようにZ方向から見たときにY軸方向に長い小判形の開口122dを有している。一対の保持バー122、123には、かかる収容部122c、123cおよび開口122dがX軸方向に沿って複数位置していることから、保持バー122、123は、ヒータ群30が有するヒータ130の向きを揃えることができる。ヒータ130は、配置される向きによって温度にばらつきが生じることがあるため、ヒータ130の配列方向を揃えることで、加熱プレート110の加熱面の面内での均熱性を向上させることができる。
【0089】
また、
図10に示すように、保持バー123が有する開口123dは、Z軸負方向側から平面視したときに収容部123cよりも小さくすることができる。これにより、
図8に示すように、収容部123cと開口123dとの間に段差が生じ、カバー部材132が収容部123c内の所定の位置に固定されやすくなる。このため、
図11に示すように、一対の棒状部材を構成する保持バー122、123で保持されたヒータ群30は、ヒータ130が所定の位置に配置されやすくなる。
【0090】
また、一対のリード端子(端子部133b、134b)は、保持バー123を厚み方向に貫通する開口123dから引き出されている。
図10に示すように、1つのヒータ130に対して1つの開口123dを有する保持バー123では、リード端子(端子部133b、134b)の間に金属(保持バー123)を有さないため、リード端子(端子部133b、134b)が冷却されやすくなり、耐久性が向上する。
【0091】
また、開口122dは、Z軸正方向側から平面視したときに収容部122cよりも小さくすることができる。これにより、
図8に示すように、収容部122cと開口122dとの間に段差が生じる。かかる構成により、カバー部材132から周囲の外気へ熱が散逸しにくくなり、隣り合ったヒータ130同士の温度を、保持バー122、123を介して均熱化することができる。例えば、ヒータ130のリード端子(端子部133b、134b)の周辺に空冷の送風を行う構成を有する場合には特に効果的である。また、ヒータ130のリード端子(端子部133b、134b)が引き出される開口123dのZ軸負方向側から見た形状は、収容部123cの外形よりも小さくなるように図示したが、同じであってもよい。カバー部材132の周面を保持する保持バー122、123によれば、開口123dの形状が収容部123cの外形と同じであっても、カバー部材132を適切に保持することができる。
【0092】
(第1変形例)
図12は、実施形態の第1変形例に係るヒータ群を示す断面図である。
図12に示すように、ヒータ群30を保持する一対の保持バー122、123は、接触していてもよい。かかる構成により、カバー部材132は、一対の保持バー122、123同士に囲まれることとなり、一対の保持バー122、123で保持された複数のカバー部材132の温度も一定になりやすい。また、保持バー122、123の接触面が同じ温度になるため、保持バー122、123間で熱膨張差が生じず、保持バー122、123の接触面に応力が生じにくい。これにより、保持バー122、123の耐久性が向上する。
【0093】
(第2変形例)
図13は、実施形態の第2変形例に係るヒータ群を示す断面図である。
図13に示すように、ヒータ130の長さ方向(Z軸方向)において向かい合うカバー部材132と保持バー122、123との間に空隙g1、g2を有してもよい。
【0094】
カバー部材132は、Z軸正方向側に位置するヒータ本体131側がZ軸負方向側に位置するリード端子(端子部133b、134b)よりも温度が高くなり、上下方向(Z軸方向)で熱膨張に差が生じやすい。上下方向に空隙g1、g2を有することで、応力を緩和することができる。これにより、カバー部材132の耐久性が向上する。なお、カバー部材132と保持バー122との間に位置する空隙g1、カバー部材132と保持バー123との間に位置する空隙g2は、両方を有してもよく、一方のみを有してもよい。
【0095】
(第3変形例)
図14は、実施形態の第3変形例に係るヒータ群を示す断面図である。
図14に示すように、カバー部材132の周面と保持バー122、123との間に空隙g3、g4を有してもよい。
【0096】
図14に示すように、ヒータ130は、加熱前にはZ軸に沿うように配列されている一方、加熱時には保持バー122、123が熱膨張して平面方向(X軸方向および/またはY軸方向)に大きくなり、収容部122c、123cの位置も外側にずれる場合がある。カバー部材132の周面と保持バー122、123との間に空隙g3、g4を有することで、ヒータ本体131を固定するカバー部材132に集中する応力を緩和することができ、長期間にわたり均熱性を維持することができる。
【0097】
(第4変形例)
図15は、実施形態の第4変形例に係るヒータ群をZ軸負方向から見た平面図である。
図16は、実施形態の第4変形例に係るヒータ群を示す断面図である。
図15および
図16に示すように、一対のリード端子(端子部133b、134b)は、リード端子(端子部133b、134b)の間に絶縁部材135を有してもよい。絶縁部材135は、例えば、絶縁性を有するセラミックで形成された板状の部材である。極性が異なるリード端子(端子部133b、134b)間に絶縁部材135を有することにより、リード端子(端子部133b、134b)間の絶縁が取れるとともに、リード端子(端子部133b、134b)間に温度差を生じにくくすることで、均熱性を向上することができる。
【0098】
絶縁部材135は、保持バー123とは離間していてもよい。絶縁部材135と保持バー123とが離間していると、例えば、保持バー123の温度変化に伴う絶縁部材135の応力が生じにくくなり、絶縁部材135の耐久性が向上する。なお、絶縁部材135は、保持バー123に接触していてもよい。これにより、例えば、絶縁部材135の位置決めが容易になる。
【0099】
(第5変形例)
図17は、実施形態の第5変形例に係るヒータを示す断面図である。
図17に示すように、保持バー123は、例えば、
図8に示す開口123dを有さなくてもよい。かかる場合、リード端子(端子部133b、134b)は、保持バー122、123の隙間から引き出すことができる。
【0100】
(第6変形例)
図18は、実施形態の第6変形例に係るヒータを示す断面図である。
図19は、実施形態の第6変形例に係るヒータ群をZ軸正方向から見た平面図である。
図20は、実施形態の第6変形例に係るヒータ群をZ軸負方向から見た平面図である。
【0101】
図18~
図20に示すように、一対の棒状部材を構成する保持バー126、127は、ヒータ130のカバー部材132を水平方向(Y軸方向)から挟んで向かい合っている点で上記した実施形態および各変形例と相違する。
【0102】
保持バー126は、第1面126aと、第2面126bと、第3面126cと、第4面126dと、収容部126eとを有している。第1面126aは、Z軸正方向側の端部に位置する外面(上面)であり、第2面126bは、Z軸負方向側の端部に位置する外面(下面)であり、第3面126cは、Y軸正方向側の端部に位置する外面(側面)である。第4面126dは、Y軸負方向側の端部に位置する内面であり、保持バー127と向かい合うように位置している。収容部126eは、カバー部材132の一部を収容するための空間であり、一端が第4面126dに位置している。
【0103】
保持バー127は、第1面127aと、第2面127bと、第3面127cと、第4面127dと、収容部127eとを有している。第1面127aは、Z軸正方向側の端部に位置する外面(上面)であり、第2面127bは、Z軸負方向側の端部に位置する外面(下面)であり、第3面125cは、Y軸正方向側の端部に位置する外面(側面)である。第4面127dは、Y軸正方向側の端部に位置する内面であり、保持バー126と向かい合うように位置している。収容部127eは、カバー部材132の一部を収容するための空間であり、一端が第4面127dに位置している。
【0104】
保持バー126、127は、カバー部材132の周面を挟むようにヒータ130を保持する。ヒータ本体131は、保持バー126、127の隙間からZ軸正方向側に引き出され、リード端子(端子部133b、134b)は、保持バー126、127の隙間からZ軸負方向側に引き出される。
【0105】
本変形例では、保持バー126、127は、互いに離間しているとして図示したが、接触していてもよい。
【0106】
また、本変形例では、ヒータ本体131が引き出される開口部分のZ軸正方向側から見た形状は、収容部126e、127eの外形よりも小さくなるように図示したが、同じであってもよい。カバー部材132の周面を保持する保持バー126、127によれば、ヒータ本体131が引き出される開口部分の形状が収容部126e、127eの外形と同じであっても、カバー部材132を適切に保持することができる。
【0107】
(第7変形例)
図21は、実施形態の第7変形例に係るヒータをZ軸正方向から見た平面図である。
図22は、実施形態の第7変形例に係るヒータをZ軸負方向から見た平面図である。
【0108】
図21、
図22に示すように、本変形例に係るカバー部材132は、ヒータ130の長さ方向(Z軸方向)から見た平面視において、Y軸方向に長い楕円形の外形を有していてもよい。また、カバー部材132は、外形に対応するようにY軸方向に長い楕円形の第1開口132cと第2開口132dとを有してもよい。かかる場合、例えば
図9に示す収容部122cおよび開口122d、
図10に示す収容部123cおよび開口123dの形状は、例えば、カバー部材132の外形に対応する楕円形とすることができる。
【0109】
(第8変形例)
図23は、実施形態の第8変形例に係るヒータ群をZ軸負方向から見た平面図である。本変形例に係るヒータ群30を保持する保持バー123は、厚み方向に貫通する開口123d1、123d2を有している。端子部133bは、開口123d1から引き出され、端子部134bは、開口123d2から引き出される。このように、1つのヒータ130に対応する一対のリード端子(端子部133b、134b)が異なる開口123d1、123d2からそれぞれ引き出される構成としてもよい。
【0110】
さらなる効果や他の態様は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本開示のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0111】
100 加熱装置
110 加熱プレート
110a 上面
110b 下面
111 第1のプレート部材
111a 下面
112 第2のプレート部材
112a 上面
112b 貫通孔
113 凹部
114 固定部材
120 固定具
120a 固定孔
121 固定プレート
121a 貫通孔
122 保持バー
123 保持バー
124 連結部材
125 連結部材
130 ヒータ
130a 先端部
130b 基端部
131 ヒータ本体
131a 発熱抵抗体
131b 配線
131c 配線
132 カバー部材
132a 接合材
133 陽極側リード電極
133a パッド部
133b 端子部
134 陰極側リード電極
134a パッド部
134b 端子部
140 スペーサ部材
150 支持プレート
151 柱状部材
160 陽極側集合電極
161 第1金属板
162 第2金属板
163 第1固定部材
170 陰極側集合電極
171 第3金属板
172 第4金属板
173 第2固定部材
180 絶縁部材
181 固定部材