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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173196
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】鳥侵入防止装置
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/32 20110101AFI20231130BHJP
【FI】
A01M29/32
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085280
(22)【出願日】2022-05-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】522208081
【氏名又は名称】株式会社千都
(74)【代理人】
【識別番号】100172225
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 宏行
(72)【発明者】
【氏名】山内 亮
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA07
2B121BB27
2B121BB32
2B121EA21
2B121FA01
(57)【要約】
【課題】網体を横崩れしない状態で巻き取っていくことができる鳥侵入防止装置を提供することを目的とする。
【解決手段】水平な軸線3J回りに回転自在に設けられた巻取体3と、巻取体3に上縁4Jが取り付けられ、自重で平面状に垂下した状態で防鳥領域RYを形成する網体4と、巻取体3を軸線3J回りに回転させて巻取体3に網体4を巻き取らせる巻取体操作部5を備える。網体4の幅方向に対向する2つの側縁4Eそれぞれの少なくとも一部は、網体4の下縁4K側に向かって拡開するように傾斜して延びた傾斜部4Saとなっている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平な軸線回りに回転自在に設けられた巻取体と、
前記巻取体に上縁が取り付けられ、自重で平面状に垂下した状態で防鳥領域を形成する網体と、
前記巻取体を前記軸線回りに回転させて前記巻取体に前記網体を巻き取らせる巻取体操作部と、を備え、
前記網体の幅方向に対向する2つの側縁それぞれの少なくとも一部は、前記網体の下縁側に向かって拡開するように傾斜して延びた傾斜部となっている、鳥侵入防止装置。
【請求項2】
前記網体の前記2つの側縁は、前記2つの側縁が平行を保った状態で前記傾斜部の下端部から垂下した垂下部を有し、
前記側縁は線材であり、
前記垂下部は前記傾斜部よりも太い、請求項1に記載の鳥侵入防止装置。
【請求項3】
前記巻取体の外周面に、外方に突出した形状の突状部を備える、請求項1または2に記載の鳥侵入防止装置。
【請求項4】
前記巻取体操作部は、前記巻取体に着脱自在に取り付けられて前記巻取体を前記軸線回りに回転させるクランクレバーから成る、請求項1乃至3の何れかに記載の鳥侵入防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、庭の菜園やマンションのベランダ等において鳥の侵入を防止する鳥侵入防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、庭の菜園やマンションのベランダ等において鳩等の鳥の侵入を防止する鳥侵入防止装置が知られている。このような鳥侵入防止装置の中には、長方形形状の網体の上縁を巻取体に取り付け、巻取体を回転させることで網体を巻き取ることができるようになっているものが知られている(例えば、下記の特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-233292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような鳥侵入防止装置では、巻取体が網体を巻き取っていくと、網体の各縦材(縦方向に延びる線材)は自身の外側に一巻きごとに重なっていく。しかしながら、巻き取り時のバランスが崩れて一部の縦材が横方向にずれる(横ずれする)と、網体はその全体が横崩れした(斜柱体になった)状態で巻取体に巻き取られていく。横崩れした状態の巻取体は幅方向(巻取体の軸方向)に延びていくので、巻取体によって最後まで巻き取られる前に他の部材(巻取体を支持するフレーム等)に引っ掛かってしまう場合もある。
【0005】
そこで本発明は、網体を横崩れしない状態で巻き取っていくことができる鳥侵入防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の鳥侵入防止装置は、水平な軸線回りに回転自在に設けられた巻取体と、前記巻取体に上縁が取り付けられ、自重で平面状に垂下した状態で防鳥領域を形成する網体と、前記巻取体を前記軸線回りに回転させて前記巻取体に前記網体を巻き取らせる巻取体操作部と、を備え、前記網体の幅方向に対向する2つの側縁それぞれの少なくとも一部は、前記網体の下縁側に向かって拡開するように傾斜して延びた傾斜部となっている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、網体を横崩れしない状態で巻き取っていくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)(b)本発明の一実施の形態における鳥侵入防止装置の網体を下した状態を示す斜視図
図2】本発明の一実施の形態における鳥侵入防止装置の網体を下した状態を示す正面図
図3】本発明の一実施の形態における鳥侵入防止装置が備える巻取体操作部の構成の一例を示す図
図4】本発明の一実施の形態における鳥侵入防止装置の網体を巻き取っている途中の状態を示す正面図
図5】本発明の一実施の形態における鳥侵入防止装置の網体を巻き取り終えた状態を示す正面図
図6】(a)(b)本発明の一実施の形態における鳥侵入防止装置の一使用例を示す図
図7】本発明の一実施の形態における変形例を示す鳥侵入防止装置の正面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1(a),(b)、図2および図3は本発明の一実施の形態における鳥侵入防止装置1を示している。鳥侵入防止装置1はフレーム2、巻取体3、網体4および巻取体操作部5を備えている。
【0010】
フレーム2は水平面(地面や床面等)に設置された状態で上方に延びる一対の垂直部11と、これら一対の垂直部11の上端同士を繋ぐように延びた水平部12とを有しており、全体が門型の形状となっている。垂直部11の下端には水平方向に延びた脚部11Sが設けられており、フレーム2を地面や床面に自立して設置することができるようになっている。すなわち本実施の形態においてフレーム2は、自立式の門型フレームとなっている。
【0011】
巻取体3は、フレーム2が備える一対の垂直部11の上端部に両端が支持されており、水平な軸線3J回りに回転自在な構成となっている。巻取体3の外周面には、外方に突出した形状の突状部としての複数の突起部3Tが設けられている。これら複数の突起部3Tは、巻取体3の軸線3Jに沿った方向に規則的あるいは不規則的に並んで設けられている。
【0012】
網体4は巻取体3に上縁4Jが取り付けられている。網体4は図1に示すように、自重で平面状に垂下した状態でフレーム2との間に防鳥領域RYを形成している。ここで「防鳥領域」とは、鳥が侵入するのを防ぐことができる領域をいう。
【0013】
図2に示すように、網体4の幅方向(巻取体3の軸方向であり、左右方向)に対向する2つの側縁4Eの一部は、下縁4K側に向かって拡開するように傾斜して延びた2つの傾斜部4Saを有している。このため網体4が自重で平面状に垂下した状態では、網体4の上下方向の中間部に、下方に向かって広がる末広がり形状部SKが形成される(図2)。なお、2つの側縁4Eを構成する縦材(縦方向に延びた線材)と下縁4Kを構成する横材(横方向に延びた線材)はそれぞれ、耐摩耗性の観点から、他の縦材および横材よりも太目に形成(或いは布材によって保護)されている。
【0014】
2つの側縁4Eの一部は、2つの側縁4Eが平行を保った状態で傾斜部4Saの下端部より垂下した垂下部4Sbを有している。垂下部4Sbとフレーム2の垂直部11とのクリアランスは、大きくても5cm程度である。本実施の形態において、線材である垂下部4Sbは、同じく線材である傾斜部4Saよりも太い。
【0015】
図1(a)および図2において、自重で平面状に垂下した状態の網体4は、その下縁4K部の側縁4E(垂下部4Sbに相当する部位)が保持具20によってフレーム2の垂直部11に連結されて保持される。保持具20には紐や金具等を用いることができる。これによりフレーム2の下部に、網体4の大きさおよび形状によって得られる本来の防鳥領域RYを確保できる。鳩等の鳥は、防鳥領域RYを通って進むことができないので、後述するネットハウス等の内部に鳥が侵入(主として歩いて侵入)するのを防止することができる。
【0016】
図3において、巻取体操作部5は巻取体3の一端側の端部に形成されたレバー取付け突起3Lに着脱自在に連結(嵌合)されるクランクレバーから成る。巻取体操作部5を巻取体3の軸線3Jまわりに回転操作することで、巻取体3を軸線3J回りに回転させることができる。
【0017】
巻取体操作部5の操作によって巻取体3が回転すると、平面状に垂下した状態の網体4は上縁4J側から巻取体3に巻き取られて(巻き上げられて)いく(図2図4図5)。巻取体3が網体4を巻き取り終えると、網体4は巻取体3にロール状に巻き付けられた格納状態となる(図1(b)および図5)。一方、巻取体3が巻き取った網体4を下すときは、巻取体操作部5を操作することによって、巻取体3を網体4の巻き取り時とは反対方向に回転させ、網体4が自重で下方に繰り出されるようにする。
【0018】
ここで、巻取体3が網体4の巻取り方向に回転されると、網体4の2つの傾斜部4Saは、左右対称的に、巻取体3によって互いに反対の方向に(軸方向の外側に向かって)螺旋状に巻き取られていく(図2図4図5)。2つの傾斜部4Saは一巻きごとに重なろうとすることなく螺旋状に巻取体3によって巻き取られるので、横ずれそのものが発生しない。また、このため2つの傾斜部4Saの間に位置する他の縦材が横ずれすることはなく、結果として網体4は横崩れすることなく巻取体3に巻き取られていく。
【0019】
網体4は横崩れしないので、ほぼ直柱状の円筒形状を維持した状態で巻取体3に巻き取られていく(図5)。このため巻き取りが完了する前に網体4の側縁4Eが他の部材(ここでは例えばフレーム2の垂直部11)に引っ掛かってしまうようなことはなく、巻取体3は網体4を最後まで(下縁4Kの近傍まで)巻き取ることができる。
【0020】
ここで、網体4が巻取体3によって巻き取られている間、2つの側縁4Eを含む各縦材は巻取体3の外周面に設けられた複数の突起部3Tのうち隣接するもの同士の間に入り込む。このうち太目に形成された側縁4Eの一部である傾斜部4Saの縦材は巻取体3に巻き取られた箇所(2つの突起部3Tの間)から横方向に大きくずれることはなく、その面でも網体4を横崩れさせることなく巻き取ることができる。
【0021】
図6(a),(b)は本実施の形態における鳥侵入防止装置1の具体的な一使用例を示している。図6(a),(b)では鳥侵入防止装置1が一定の空間を覆って設けられる覆い体30の入口用として用いられている。ここでは覆い体30は、自立式フレーム31に網32が被せられて成るネットハウスであるとし、覆い体30によって覆われる空間内には庭の菜園があるとする。
【0022】
この例では、覆い体30は一の側面に入口開口33を有しており(図6(b))、その入口開口33に鳥侵入防止装置1が設置されている。この場合、鳥侵入防止装置1は、菜園内に鳥が侵入するのを防止する防鳥機能と、菜園に人が出入する際の出入口としての機能を備えたものとなる。この点、マンションのベランダ等に設置される鳥侵入防止装置のように、出入口としての機能を有しない(あるいは機能を重要視しない)使用例とは異なる。
【0023】
このような形態で本実施の形態における鳥侵入防止装置1を使用する場合、鳥侵入防止装置1は自立式の門型のフレーム2を備えているので、覆い体30に対する設置作業が容易である。また、覆い体30からの取り外し作業も容易であるので、メンテナンスを行い易い。なお、ここでは覆い体30をネットハウスとしているが、覆い体30はビニールハウス等であってもよい。マンションのベランダ等に設置して専ら鳥の侵入を防止する形態で使用することも勿論可能である。
【0024】
以上説明したように、本実施の形態における鳥侵入防止装置1では、網体4の2つの側縁4Eそれぞれの一部が、網体4の下縁4K側に向かって拡開するように傾斜して延びた傾斜部4Saとなっており、巻取体3が回転されると、2つの傾斜部4Saは巻取体3によって互いに反対の方向に螺旋状に巻き取られていく。このため2つの傾斜部4Saは横ずれせず、網体4の全体を横崩れしない状態で巻き取ることができる。従って、巻き取りが完了する前に網体4の側縁4Eが他の部材に引っ掛かってしまうようなことがなく、網体4を最後まで巻き取ることができる。
【0025】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態では、網体4の幅方向に対向する2つの傾斜部4Saの下端は2つの側縁4Eそれぞれの中間部(網体4の上縁4Jと下縁4Kの中間部)となっていたが、傾斜部4Saの下端は網体4の下縁4Kと一致していても構わない。すなわち、網体4の幅方向に対向する2つの側縁4Eそれぞれの少なくとも一部が、網体4の下縁4K側に向かって拡開するように傾斜して延びた傾斜部4Saとなっていればよい。
【0026】
また、巻取体3の外周面に設けられる外方に突出した形状の突状部は、上述の実施の形態に示した突起部3Tに限られず、巻取体3の軸線3Jの延びる方向に沿って螺旋状に延びた(螺子における螺子山のような)螺旋形状部としてもよい。また、巻取体操作部5は、上述の実施の形態では巻取体3に着脱自在に取り付けられる手動式のクランクレバーであったが、クランクレバーは巻取体3に固定されたものであってもよい。また、巻取体操作部5はクランクレバーのような手動駆動式のものに限られず、モータ等を用いた電動(自動)式のものであってもよい。
【0027】
図7はマンションのベランダに設置される鳥侵入防止装置の変形例を示している。既に説明した本実施の形態における鳥侵入防止装置と同じ部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。図7に示す鳥侵入防止装置100はフレーム2を備えない点で鳥侵入防止装置1と相違する。巻取体3は箱状のケース101に収納されており、駆動源であるモータ102と接続されている。図示しないスイッチを操作してモータ102を駆動することで、巻取体3は正方向、若しくは正方向とは逆の方向に回転する。これにより、網体4は巻取体3に巻き取られ、若しくは巻取体3から繰り出される。変形例では、図示しないスイッチおよびモータ102が巻取体操作部として機能する。
【0028】
ケース101はブラケット103を介してマンションの構造物である天井104に固定されている。網体4の下端側は例えば、マンションの構造物である柵105に保持具20を介して固定される。
【産業上の利用可能性】
【0029】
網体を横崩れしない状態で巻き取っていくことができる鳥侵入防止装置を提供する。
【符号の説明】
【0030】
1 鳥侵入防止装置
2 フレーム
3 巻取体
3J 軸線
3T 突起部(突状部)
3L レバー取付け突起
4 網体
4J 上縁
4K 下縁
4E 側縁
4Sa 傾斜部
5 巻取体操作部
11 垂直部
11S 脚部
12 水平部
20 保持具
30 覆い体
31 自立式フレーム
32 網
33 入口開口
RY 防鳥領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-09-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平な軸線回りに回転自在に設けられた巻取体と、
前記巻取体に上縁が取り付けられ、自重で平面状に垂下した状態で防鳥領域を形成する網体と、
前記巻取体を前記軸線回りに回転させて前記巻取体に前記網体を巻き取らせる巻取体操作部と、を備え、
前記網体の幅方向に対向する2つの側縁それぞれの少なくとも一部は、前記網体の下縁側に向かって拡開するように傾斜して延びた傾斜部となっている、鳥侵入防止装置。
【請求項2】
前記網体の前記2つの側縁は、前記2つの側縁が平行を保った状態で前記傾斜部の下端部から垂下した垂下部を有し、
前記側縁は線材であり、
前記垂下部は前記傾斜部よりも太い、請求項1に記載の鳥侵入防止装置。
【請求項3】
前記巻取体の外周面に、外方に突出した形状の突状部を備える、請求項1または2に記載の鳥侵入防止装置。