(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173200
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】油中水型乳化組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20231130BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20231130BHJP
A61K 8/894 20060101ALI20231130BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20231130BHJP
A61K 31/455 20060101ALI20231130BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20231130BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20231130BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20231130BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20231130BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
A61K8/49
A61Q19/00
A61K8/894
A61K8/06
A61K31/455
A61Q19/08
A61P17/00
A61K47/34
A61K9/107
A61K47/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085286
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有賀 美沙樹
(72)【発明者】
【氏名】薮見 奈津希
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA17
4C076BB31
4C076CC18
4C076DD28Q
4C076EE27Q
4C076FF16
4C076FF17
4C076FF36
4C076FF43
4C083AA112
4C083AA162
4C083AB172
4C083AB332
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC122
4C083AC352
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD012
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD332
4C083AD352
4C083AD662
4C083CC02
4C083DD32
4C083EE01
4C083EE11
4C083EE16
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA22
4C086MA63
4C086NA03
4C086NA05
4C086ZA89
(57)【要約】
【課題】経時的な粘度の減少が抑制されたナイアシンアミドを含有する油中水型乳化組成物の提供。
【解決手段】(A)ナイアシンアミド、(B)高重合化ポリエーテル変性シリコーン、及び(C)シリコーン分岐型ポリエーテル変性シリコーンを含有し、前記成分(B)に対する前記成分(C)の含有質量比(C)/(B)が、0.3~1.8である油中水型乳化組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ナイアシンアミド、
(B)高重合化ポリエーテル変性シリコーン、及び
(C)シリコーン分岐型ポリエーテル変性シリコーンを含有し、
前記成分(B)に対する前記成分(C)の含有質量比(C)/(B)が、0.3~1.8である油中水型乳化組成物。
【請求項2】
前記成分(A)の含有量が1~15質量%である、請求項1に記載の油中水型乳化組成物。
【請求項3】
前記成分(B)及び(C)のHLBが5以下である、請求項1又は2に記載の油中水型乳化組成物。
【請求項4】
前記成分(B)がPEG/PPG-19/19ジメチコン、及び/又はPEG/PPG-18/18ジメチコンである、請求項1又は2に記載の油中水型乳化組成物。
【請求項5】
前記成分(C)がPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンである、請求項1又は2に記載の油中水型乳化組成物。
【請求項6】
さらに、電解質を含有する、請求項1又は2に記載の油中水型乳化組成物。
【請求項7】
さらに、油相増粘剤を含有する、請求項1又は2に記載の油中水型乳化組成物。
【請求項8】
前記油相増粘剤が有機変性粘土鉱物、及び/又はシリコーンエラストマーである、請求項7に記載の油中水型乳化組成物。
【請求項9】
以下の(i)~(vi)の少なくとも1種の特徴を有する、請求項1に記載の組成物。
(i)前記成分(A)の含有量が1~15質量%である
(ii)前記成分(B)及び(C)のHLBが5以下である
(iii)前記成分(B)がPEG/PPG-19/19ジメチコン、及び/又はPEG/PPG-18/18ジメチコンである
(iv)前記成分(C)がPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンである
(v)さらに、電解質を含有する
(vi)さらに、油相増粘剤を含有する
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、油中水型乳化組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
ナイアシンアミドは、水溶性ビタミンであり、ビタミンB群の1種である。ナイアシンアミドは、美白効果、シワ改善効果、肌荒れ改善効果等を有することが知られており、化粧品などに一般的に配合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、ナイアシンアミドを油中水型乳化組成物に配合した場合、経時的に粘度が減少することを見出した。本開示は、経時的な粘度の減少が抑制されたナイアシンアミドを含有する油中水型乳化組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、高重合化ポリエーテル変性シリコーン、及びシリコーン分岐型ポリエーテル変性シリコーンを、特定の比率で配合することによって、経時的な粘度の減少が抑制されることを見出し、さらに改良を重ねた。
【0006】
本開示は、例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
(A)ナイアシンアミド、
(B)高重合化ポリエーテル変性シリコーン、及び
(C)シリコーン分岐型ポリエーテル変性シリコーンを含有し、
前記成分(B)に対する前記成分(C)の含有質量比(C)/(B)が、0.3~1.8である油中水型乳化組成物。
項2.
前記成分(A)の含有量が1~15質量%である、項1に記載の油中水型乳化組成物。
項3.
前記成分(B)及び(C)のHLBが5以下である、項1又は2に記載の油中水型乳化組成物。
項4.
前記成分(B)がPEG/PPG-19/19ジメチコン、及び/又はPEG/PPG-18/18ジメチコンである、項1~3のいずれか一項に記載の油中水型乳化組成物。
項5.
前記成分(C)がPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンである、項1~4のいずれか一項に記載の油中水型乳化組成物。
項6.
さらに、電解質を含有する、項1~5のいずれか一項に記載の油中水型乳化組成物。
項7.
さらに、油相増粘剤を含有する、項1~6のいずれか一項に記載の油中水型乳化組成物。
項8.
前記油相増粘剤が有機変性粘土鉱物、及び/又はシリコーンエラストマーである、項7に記載の油中水型乳化組成物。
【発明の効果】
【0007】
ナイアシンアミドを含有する油中水型乳化組成物において、経時的な粘度の減少を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示に包含される各実施形態について、さらに詳細に説明する。
本開示に包含される油中水型乳化組成物は、(A)ナイアシンアミド、(B)高重合化ポリエーテル変性シリコーン、及び(C)シリコーン分岐型ポリエーテル変性シリコーンを含有する。本明細書において、当該油中水型乳化組成物を、「本開示の油中水型乳化組成物」と表記することがある。また、前記(A)~(C)の各成分を「成分(A)」、「成分(B)」、「成分(C)」などと表記することがある。
【0009】
ナイアシンアミドは、ナイアシン(ビタミンB3)のアミドであり、ニコチン酸アミドとも称される。ナイアシンアミドは、水溶性ビタミンであり、ビタミンB群の1種である。ナイアシンアミドは、天然物であっても合成物であってもよく、天然物から精製したものや商業的に入手可能なものなど、特に限定されない。
【0010】
本開示の油中水型乳化組成物中、ナイアシンアミドは、例えば、水相中に含まれていてもよく、油相中に含まれていてもよい。中でも、水相中に含まれていることが好ましい。
【0011】
本開示の油中水型乳化組成物中、ナイアシンアミドの含有量は、例えば、1~15質量%程度とすることができる。当該範囲の上限若しくは下限は、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14質量%程度であってもよい。より具体的には、例えば、1~10質量%程度であってもよい。
【0012】
本明細書において、「高重合化ポリエーテル変性シリコーン」は、シリコーン鎖の側鎖(より具体的には、メチル基)の一部がポリエーテル基で置換された高分子量のシリコーンを指す。高重合化ポリエーテル変性シリコーンは、下記一般式(I)で表される化合物である。
【0013】
【化1】
[式中、R’は、同一又は異なって、メチル基、又はフェニル基を示す。
R’’は、同一又は異なって、メチル基、フェニル基、又は-C
3H
6O(C
2H
4O)
f(C
3H
6O)
gR’’’(R’’’は、水素原子、アシル基、又は炭素数1~4のアルキル基を示す。fは、5~50の整数を示し、gは、5~50の整数を示す。)で示されるポリオキシアルキレン基を示す。ただし、式中、R’’のうち、少なくとも1個は前記ポリオキシアルキレン基を示す。
dは、50~1000の整数を示し、eは、1~40の整数を示す。]
【0014】
一般式(I)中、R’は、メチル基であることが好ましい。
【0015】
一般式(I)中、R’’は、メチル基、又は-C3H6O(C2H4O)f(C3H6O)gR’’’で示されるポリオキシアルキレン基であることが好ましい。
【0016】
-C3H6O(C2H4O)f(C3H6O)gR’’’で示されるポリオキシアルキレン基において、fは10~30の整数であることが好ましく、15~25の整数であることがより好ましい。
【0017】
-C3H6O(C2H4O)f(C3H6O)gR’’’で示されるポリオキシアルキレン基において、gは10~30の整数であることが好ましく、15~25の整数であることがより好ましい。
【0018】
-C3H6O(C2H4O)f(C3H6O)gR’’’で示されるポリオキシアルキレン基のR’’’のアシル基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
-C3H6O(C2H4O)f(C3H6O)gR’’’で示されるポリオキシアルキレン基のR’’’の炭素数1~4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n-プロピル基、t-ブチル基、n-ブチル基等が挙げられる。
-C3H6O(C2H4O)f(C3H6O)gR’’’で示されるポリオキシアルキレン基のR’’’は水素原子であることが好ましい。
【0019】
-C3H6O(C2H4O)f(C3H6O)gR’’’で示されるポリオキシアルキレン基において、オキシエチレン基(C2H4O)及びオキシプロピレン基(C3H6O)の結合順序は、特に限定されない。
【0020】
一般式(I)中、dは、50~1000の整数を示す。例えば、dは、150~1000の整数であってもよい。
【0021】
一般式(I)中、d個の
【0022】
【0023】
【0024】
一般式(I)中、d:eは、特に限定されないが、例えば、200:1~5:1程度とすることができる。
【0025】
一般式(I)中、ポリオキシアルキレン基の含有量は、特に限定されないが、例えば、20質量%程度以上とすることができる。
【0026】
高重合化ポリエーテル変性シリコーンの質量平均分子量は、特に限定されないが、例えば、10000程度以上とすることができる。
【0027】
高重合化ポリエーテル変性シリコーンのHLBとしては、例えば、5程度以下であることが好ましい。当該範囲の上限若しくは下限は、例えば、1、2、3、又は4程度であってもよい。より具体的には、例えば、1~4程度であってもよい。
【0028】
高重合化ポリエーテル変性シリコーンとしては、例えば、PEG/PPG-19/19ジメチコン、PEG/PPG-18/18ジメチコン、PEG/PPG-30/10ジメチコン等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、PEG/PPG-19/19ジメチコン、又はPEG/PPG-18/18ジメチコンが好ましい。
【0029】
高重合化ポリエーテル変性シリコーンとしては、例えば、BY25-337、BY11-030、BY22-008M、ES-5226、ES-5227、FB-2540(東レ・ダウコーニング社製)等を用いることができる。中でも、BY25-337、BY11-030、BY22-008M、ES-5226、ES-5227(東レ・ダウコーニング社製)が好ましく、BY25-337、ES-5227がより好ましい。
【0030】
本開示の油中水型乳化組成物中、高重合化ポリエーテル変性シリコーンは、例えば、水相中に含まれていてもよく、油相中に含まれていてもよい。中でも、油相中に含まれていることが好ましい。
【0031】
本開示の油中水型乳化組成物中、高重合化ポリエーテル変性シリコーンの含有量は、例えば、0.1~5質量%程度とすることができる。当該範囲の上限若しくは下限は、例えば、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、又は4質量%程度であってもよい。より具体的には、例えば、0.2~4質量%程度であってもよい。
【0032】
本明細書において、「シリコーン分岐型ポリエーテル変性シリコーン」は、例えば、特開2013-53072号公報に記載のものを好ましく用いることができる。より具体的には、シリコーン分岐型ポリエーテル変性シリコーンは、下記一般式(II)で表され、直鎖構造のポリエーテル変性シロキサンを主鎖として、シロキサン鎖が分岐した構造を有するものであり、さらに、シロキサン主鎖に長鎖アルキル基を共変性した部分をもつものであってもよい。
【0033】
【化4】
[式中、R
2は炭素数1~30のアルキル基を示す。
mはそれぞれ独立して1~4のいずれかの整数を示す。
xは0~200の整数を示す。
yは1~30の整数を示す。
zは0~50の整数を示す。
pは1~20の整数を示す。
aは0~30の整数を示す。
bは0~30の整数を示す。
cは1~50の整数を示す。
但し、aとbが共に0は除く。
また、各シロキサン単位及び各オキシアルキレン単位は、ランダム結合でもブロック結合でもよく、任意の組み合わせで結合している。]
【0034】
また、式(II)で例示されるシリコーン分岐型ポリエーテル変性シリコーンの重量平均分子量は、特には限定されないが、例えば、500~200000が好ましく、さらに好ましくは1000~10000である。
【0035】
シリコーン分岐型ポリエーテル変性シリコーンのHLBとしては、例えば、5程度以下であることが好ましい。当該範囲の上限若しくは下限は、例えば、1、2、3、又は4程度であってもよい。より具体的には、例えば、1~4程度であってもよい。
【0036】
シリコーン分岐型ポリエーテル変性シリコーンとしては、例えば、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、セチルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンが好ましい。
【0037】
シリコーン分岐型ポリエーテル変性シリコーンとしては、例えば、KF-6028、KF-6028M、KF-6038等を用いることができる。中でも、KF-6028、KF-6028M、が好ましく、KF-6028がより好ましい。
【0038】
本開示の油中水型乳化組成物中、シリコーン分岐型ポリエーテル変性シリコーンは、例えば、水相中に含まれていてもよく、油相中に含まれていてもよい。中でも、油相中に含まれていることが好ましい。
【0039】
本開示の油中水型乳化組成物中、シリコーン分岐型ポリエーテル変性シリコーンの含有量は、例えば、0.1~5質量%程度とすることができる。当該範囲の上限若しくは下限は、例えば、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、又は4質量%程度であってもよい。より具体的には、例えば、0.2~4質量%程度であってもよい。
【0040】
本開示の油中水型乳化組成物中、成分(B)に対する成分(C)の含有質量比((C)/(B))は、0.3~1.8程度であることが好ましい。当該範囲の上限若しくは下限は、例えば、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、又は1.7程度であってもよい。より具体的には、例えば、0.3~1.7程度であってもよく、0.4~1.4程度であってもよい。
【0041】
本開示の油中水型乳化組成物中、成分(B)及び(C)の総量に対する成分(A)の含有質量比((A)/(B)+(C))は、例えば、1程度以上とすることができる。当該範囲の上限若しくは下限は、例えば、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.2、2.4、2.6、2.8、3、3.2、3.4、3.6、3.8、4、4.2、4.4、4.6、4.8、5、5.2、5.4、5.6、5.8、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、又は10程度であってもよい。より具体的には、例えば、1~10程度であってもよく、1.2~6程度であってもよい。
【0042】
本開示の油中水型乳化組成物は、電解質を含んでいてもよい。本明細書において、「電解質」は、溶媒中に溶解した際に、陽イオンと陰イオンとに電離する物質を指す。
電解質としては、例えば、酸、塩基、塩等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、塩が好ましい。
塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、無機酸塩、有機酸塩、アミノ酸塩等が挙げられる。中でも、アルカリ金属塩、又はアルカリ土類金属塩が好ましく、アルカリ金属塩がより好ましい。
アルカリ金属塩としては、例えば、塩化ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のナトリウム塩;塩化カリウム等のカリウム塩;等が挙げられる。
アルカリ土類金属塩としては、塩化カルシウム等のカルシウム塩;塩化マグネシウム等のマグネシウム塩;等が挙げられる。
【0043】
本開示の油中水型乳化組成物中、電解質は、例えば、水相中に含まれていてもよく、油相中に含まれていてもよい。中でも、水相中に含まれていることが好ましい。
【0044】
理論に拘束されることを望むものではないが、本開示の油中水型乳化組成物は、電解質を含むことにより、より経時的な粘度の減少を抑制しうることが期待される。
【0045】
本開示の油中水型乳化組成物中、電解質の含有量は、例えば、0.1~5質量%程度とすることができる。当該範囲の上限若しくは下限は、例えば、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、又は4質量%程度であってもよい。より具体的には、例えば、0.2~4質量%程度であってもよい。
【0046】
本開示の油中水型乳化組成物は、油相増粘剤を含んでいてもよい。本明細書において、「油相増粘剤」は、油相の粘度を増加することができる物質を指す。油相増粘剤としては、例えば、有機変性粘土鉱物、シリコーンエラストマー、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリル脂肪酸エステル等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、有機変性粘土鉱物、又はシリコーンエラストマーが好ましい。
有機変性粘土鉱物としては、例えば、ヘクトライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイト、スメクタイト、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト(ジステアルジモニウムヘクトライト)、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、ジオクタデシルジメチルアンモニウム塩変性モンモリロナイト、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム塩変性モンモリロナイト、ジヘキサデシルジメチルアンモニウム塩変性モンモリロナイト、ジメチルジステアリルアンモニウムスメクタイト等が挙げられる。
シリコーンエラストマーとしては、例えば、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー等が挙げられる。
【0047】
本開示の油中水型乳化組成物中、油相増粘剤は、例えば、水相中に含まれていてもよく、油相中に含まれていてもよい。中でも、油相中に含まれていることが好ましい。
【0048】
本開示の油中水型乳化組成物中、油相増粘剤の含有量は、例えば、1~30質量%程度とすることができる。当該範囲の上限若しくは下限は、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、又は25質量%程度であってもよい。より具体的には、例えば、2~9質量%程度であってもよい。
【0049】
本開示の油中水型乳化組成物は、例えば、油相中に、油性基剤を含むことが好ましい。油性基剤としては、例えば、ジメチコン、シクロペンタシロキサン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン等のシリコーン油;水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、ワセリン等の炭化水素油;パルミチン酸エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル等のエステル油;等が挙げられる。
【0050】
本開示の油中水型乳化組成物は、油性基剤の含有量は、例えば、10~90質量%程度とすることができる。当該範囲の上限若しくは下限は、例えば、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、又は85質量%程度であってもよい。より具体的には、例えば、35~65質量%程度であってもよい。
【0051】
本開示の油中水型乳化組成物は、例えば、油相中に、水を含むことが好ましい。
本開示の油中水型乳化組成物は、水の含有量は、例えば、10~90質量%程度とすることができる。当該範囲の上限若しくは下限は、例えば、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、又は85質量%程度であってもよい。より具体的には、例えば、35~65質量%程度であってもよい。
【0052】
本開示の油中水型乳化組成物は、上述した成分を含み、さらに他の成分を含むことができる。当該他の成分としては、薬理学上(食品衛生学上)許容される基剤、担体、溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、増粘剤、界面活性剤(例えば、PEG-10ジメチコン等の(B)成分、又は(C)成分以外のシリコーン系界面活性剤等)、抗酸化剤、保存剤、コーティング剤、着色料、防腐剤、香料、pH調整剤、植物エキスなどの有効成分及び/又はその他食品又は飼料として利用され得る成分・材料等が例示される。これらの成分は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本開示の油中水型乳化組成物は、酸化亜鉛、酸化チタン等の紫外線散乱剤;メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクトクリレン等の紫外線吸収剤;顔料;揮発性油剤;固形油;(B)成分、(C)成分、又はPEG-10ジメチコン以外のポリエーテル変性シリコーン乳化剤、ポリグリセリン変性シリコーン乳化剤、及び/又はシクロペンタシロキサン等の揮発性シリコーンを含んでいなくてもよい。
【0053】
本開示の油中水型乳化組成物の製造方法は、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法、任意の条件を採用し製造することができる。例えば、(B)成分及び(C)成分を含む油相と、(A)成分を含む水相とをそれぞれ調製し、水相と油相とを混合して乳化させることにより製造することができる。
【0054】
本開示の油中水型乳化組成物の形状は、特に限定されない。例えば、液体状、ゲル状、クリーム状、又は固体状等であってもよい。
【0055】
本開示の油中水型乳化組成物は、例えば、外用組成物等であってもよい。また、本開示の油中水型乳化組成物は、例えば、医薬品、医薬部外品、又は化粧品等であってもよい。
【0056】
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。また、本開示は、本明細書に説明した構成要件の任意の組み合わせを全て包含する。
【0057】
また、上述した本開示の各実施形態について説明した各種特性(性質、構造、機能等)は、本開示に包含される主題を特定するにあたり、どのように組み合わせられてもよい。すなわち、本開示には、本明細書に記載される組み合わせ可能な各特性のあらゆる組み合わせからなる主題が全て包含される。
【実施例0058】
本開示の内容を以下の実施例を用いて具体的に説明する。しかし、本開示はこれらに何ら限定されるものではない。下記において、特に言及する場合を除いて、実験は大気圧及び常温条件下で行っている。また、各表に記載される各成分の配合量値も特に断らない限り「質量%」を示す。
【0059】
製造方法
表1に示す処方に従って、油中水型乳化組成物を調製した。なお、表中、Iは油相、IIは水相に含まれる成分を示す。詳細には、以下のとおりである。
まず、ディスパーを用いて、室温で油相Iの成分を均一混合した。また、スターラーを用いて、室温で水相IIの成分を均一混合した。油相Iをディスパーで攪拌しながら、徐々に水相IIを添加し、全量添加した段階で、ディスパーの回転数を上げ、乳化を行った。最後に脱泡をして、油中水型乳化組成物を得た。なお、表中、成分(B)及び(C)のHLBは、PEG/PPG-19/19ジメチコン(BY25-337(東レ・ダウコーニング社製)))が2、PEG/PPG-18/18ジメチコン(ES-5227(東レ・ダウコーニング社製))が2、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(KF-6028(信越化学工業株式会社製))が4である。
【0060】
評価方法
1.粘度安定性評価方法
得られた油中水型乳化組成物を、空気を噛まないように50mlガラス瓶に充填したものを、測定サンプルとした。測定サンプルを55℃恒温器内に静置し、1週間後及び、4週間後の測定粘度のトルク値を以下の方法により、記録した。
【0061】
2.粘度測定方法
測定サンプルを25℃に恒温化し、B型粘度計、ローターNo.4、60秒の条件で、回転数は、製造当日粘度のトルク値が50%に最も近い条件にてロットごとに設定した。1週間後トルク値から4週間後トルク値を引いた値が4以下であるサンプルを、合格とした。結果を表1にあわせて示す。
【0062】
【0063】
比較例2~5に示すように、ナイアシンアミドを含む油中水型乳化組成物は、経時的に粘度が減少することが確認された。一方、成分(B)及び(C)を特定の比率で含む実施例1~8は、1週間後トルク値から4週間後トルク値を引いた値が4以下であることが確認された。また、比較例6~12に示すように、成分(B)や(C)を含有していても、特定の比率の範囲外である場合には、経時の減粘が抑制されなかった。また、成分(B)又は(C)に代えて、ポリシリコーン13(直鎖状ポリエーテル変性シリコーン;ポリエーテルとシリコーンとが交互に結合した直鎖状のブロック共重合体)を配合した比較例13及び14では、経時的な粘度減少の抑制効果が確認されなかった。
【0064】
表2に、本開示の油中水型乳化組成物の処方例を示す。なお、表に記載される各成分の配合量値も特に断らない限り「質量%」を示す。
【0065】