(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173203
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】ウレタン(メタ)アクリレート化合物、組成物及び硬化物
(51)【国際特許分類】
C07C 271/48 20060101AFI20231130BHJP
C08F 299/06 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
C07C271/48 CSP
C08F299/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085289
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000105947
【氏名又は名称】サカタインクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】武田 章宏
(72)【発明者】
【氏名】久永 佳弘
(72)【発明者】
【氏名】横山 優香
(72)【発明者】
【氏名】安井 達哉
【テーマコード(参考)】
4H006
4J127
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AB46
4H006RA22
4H006RA54
4H006RB28
4J127AA01
4J127AA04
4J127BA041
4J127BA051
4J127BB031
4J127BB091
4J127BB221
4J127BC021
4J127BC121
4J127BD421
4J127BE511
4J127BE51Y
4J127BF241
4J127BF24Y
4J127BG051
4J127BG05X
4J127BG271
4J127BG27Z
4J127EA13
4J127FA08
4J127FA11
4J127FA14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】柔軟性に優れた硬化物を得ることができるウレタン(メタ)アクリレート化合物を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるウレタン(メタ)アクリレート化合物。
(一般式(1)中、Xは炭化水素に由来する炭素数が2~10である2価の連結基であり、R
1及びR
2はそれぞれ独立して、炭素数が10~18の炭化水素基であり、Y
1及びY
2はそれぞれ独立して、(メタ)アクリロイルアルキレンカルバモイル基である。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるウレタン(メタ)アクリレート化合物。
【化1】
(一般式(1)中、Xは炭化水素に由来する炭素数が2~10である2価の連結基であり、R
1及びR
2はそれぞれ独立して、炭素数が10~18の炭化水素基であり、Y
1及びY
2はそれぞれ独立して、一般式(2)で表される置換基である。)
【化2】
(一般式(2)中、*は、O
1又はO
2との連結部を表し、R
3は、炭素数が1~15の炭化水素基であり、R
4は、水素原子又はメチル基である。)
【請求項2】
前記一般式(1)中、R1及び/又はR2は、炭素数が12~16である請求項1に記載のウレタン(メタ)アクリレート化合物。
【請求項3】
前記一般式(1)中、Xに連結する2つのアリール基は、それぞれカルダノール水素添加物に由来する請求項1又は2に記載のウレタン(メタ)アクリレート化合物。
【請求項4】
前記一般式(1)中、R1及び/又はR2は、酸素原子(O1又はO2)に対してメタ位である請求項1又は2に記載のウレタン(メタ)アクリレート化合物。
【請求項5】
前記一般式(1)中、R1及び/又はR2は、Xに対してパラ位である請求項1又は2に記載のウレタン(メタ)アクリレート化合物。
【請求項6】
前記一般式(1)中、O1及び/又はO2は、Xに対してオルト位である請求項1又は2に記載のウレタン(メタ)アクリレート化合物。
【請求項7】
前記一般式(1)中、Xは、炭素数が3~7である請求項1又は2に記載のウレタン(メタ)アクリレート化合物。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のウレタン(メタ)アクリレート化合物を含む組成物。
【請求項9】
請求項1又は2に記載のウレタン(メタ)アクリレート化合物を硬化してなる硬化物。
【請求項10】
請求項8に記載の組成物を硬化してなる硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタン(メタ)アクリレート化合物、組成物及び硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、インキ、塗料、フィルム、接着剤等を構成する材料として幅広く使用されている有用な化合物である。
【0003】
近年では、バイオマス由来(例えばカルダノール等)のビスフェノール化合物を原料として、様々な化合物を合成する研究が行われている。
【0004】
例えば、特許文献1では、特定の構造を有するビスフェノール化合物に係る発明が記載されており、上記特定の構造を有するビスフェノール化合物の原料として、カルダノールから誘導される化合物を用いることが開示されている。
また、上記ビスフェノール化合物を、ポリカーボネート、ポリアクリレート、エポキシ樹脂等の原料として用いることが開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1では、カルダノールから誘導される化合物を原料として用いたビスフェノール化合物を用いて、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を合成することや、その特性については十分に検討がされていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、柔軟性に優れた硬化物を得ることができる新規のウレタン(メタ)アクリレート化合物を提供することを目的とする。
【0008】
本発明者らが鋭意検討した結果、後述する一般式(1)で表される新規のウレタン(メタ)アクリレート化合物を作製した。本発明者らは、この新規のウレタン(メタ)アクリレート化合物が、柔軟性に優れ、上述した用途として有用であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、下記一般式(1)で表されるウレタン(メタ)アクリレート化合物である。
【化1】
(一般式(1)中、Xは炭化水素に由来する炭素数が2~10である2価の連結基であり、R
1及びR
2はそれぞれ独立して、炭素数が10~18の炭化水素基であり、Y
1及びY
2はそれぞれ独立して、一般式(2)で表される置換基である。)
【化2】
(一般式(2)中、*は、O
1又はO
2との連結部を表し、R
3は、炭素数が1~15の炭化水素基であり、R
4は、水素原子又はメチル基である。)
【0010】
本発明のウレタン(メタ)アクリレート化合物において、上記一般式(1)中、R1及び/又はR2は、炭素数が12~16であることが好ましい。
本発明のウレタン(メタ)アクリレート化合物において、Xに連結する2つのアリール基は、それぞれカルダノール水素添加物に由来することが好ましい。
本発明のウレタン(メタ)アクリレート化合物において、上記一般式(1)中、R1及び/又はR2は、酸素原子(O1又はO2)に対してメタ位であることが好ましい。
本発明のウレタン(メタ)アクリレート化合物において、上記一般式(1)中、R1及び/又はR2は、Xに対してパラ位であることが好ましい。
本発明のウレタン(メタ)アクリレート化合物において、上記一般式(1)中、O1及び/又はO2は、Xに対してオルト位であることが好ましい。
本発明のウレタン(メタ)アクリレート化合物において、上記一般式(1)中、Xは、炭素数が3~7であることが好ましい。
本発明の組成物は、上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含む組成物である。
本発明の硬化物は、上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物を硬化してなる硬化物である。
本発明の硬化物は、上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含む組成物を硬化してなる硬化物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、柔軟性に優れた硬化物を得ることができる新規のウレタン(メタ)アクリレート化合物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、3-ペンタデシルフェノールを試料として用いた赤外吸収スペクトルである。
【
図2】
図2は、実施例1で得られたビスフェノール化合物を試料として用いた赤外吸収スペクトルである。
【
図3】
図3は、実施例1で得られたウレタンアクリレート化合物を試料として用いた赤外吸収スペクトルである。
【
図4】
図4は、2-イソシアナトエチルアクリラートを試料として用いた赤外吸収スペクトルである。
【
図5】
図5は、実施例2で得られたウレタンアクリレート化合物を試料として用いた赤外吸収スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<ウレタン(メタ)アクリレート化合物>
本発明のウレタン(メタ)アクリレート化合物は、下記一般式(1)で表される。
【化3】
(一般式(1)中、Xは炭化水素に由来する炭素数が2~10である2価の連結基であり、R
1及びR
2はそれぞれ独立して、炭素数が10~18の炭化水素基であり、Y
1及びY
2はそれぞれ独立して、一般式(2)で表される置換基である。)
【化4】
(一般式(2)中、*は、O
1又はO
2との連結部を表し、R
3は、炭素数が1~15の炭化水素基であり、R
4は、水素原子又はメチル基である。)
【0014】
本明細書において、ウレタン(メタ)アクリレート化合物とは、ウレタンアクリレート化合物及び/又はウレタンメタクリレート化合物を意味する。
【0015】
上記一般式(1)中、Xは炭化水素に由来する炭素数が2~10である2価の連結基である。
上記炭素数が2~10である2価の連結基としては、直鎖であっても、分岐鎖であってもよく、また環状構造を持っていてもよい。具体的にはアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基等が挙げられる。
なかでも、対応するアルデヒドやケトンの反応性の観点から、炭素数が3~7のアルキレン基であることが好ましい。
なお、上記炭素数が2~10である2価の連結基は、連結基中に酸素原子、窒素原子等の炭素以外の分子を含んでもよい。
上記炭素数が2~10である2価の連結基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、アルコキシ置換アルキル基、カルボキシル基等が挙げられる。
【0016】
上記一般式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立して、炭素数が10~18の炭化水素基である。
上記炭素数が10~18の炭化水素基としては、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。また、上記炭素数が10~18の炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよい。なかでも、上記炭素数が10~18のアルキル基であることが好ましく、ウレタン(メタ)アクリレート化合物の硬化物の柔軟性の観点から、炭素数が11~17のアルキル基であることがより好ましく、炭素数が12~16のアルキル基であることが更に好ましい。
【0017】
なかでも、Xに連結する2つのアリール基は、ウレタン(メタ)アクリレート化合物の硬化物の柔軟性及び対応する原材料の入手可能性の観点から、それぞれカルダノール水素添加物に由来することが特に好ましい。
また、カルダノールに由来することにより、バイオマス由来の成分を含むウレタン(メタ)アクリレート化合物を得ることができるため、循環型社会の構築に好適に寄与することができる。
上記カルダノール水素添加物に由来する構造としては、例えば、R1及びR2の炭素数が15であり、水素数が25~31の炭化水素基であるカルダノール構造を有するもの等が挙げられるが、上記水素数が31のアルキル基であることが最も好ましい。
【0018】
上記一般式(1)中、R1及び/又はR2は、酸素原子(O1又はO2)に対してオルト位、メタ位又はパラ位の何れであってもよいが、対応する原材料の入手可能性の観点から、メタ位であることが好ましい。
R1は、O1に対してメタ位であり、R2は、O2に対してメタ位であることがより好ましい。
【0019】
上記一般式(1)中、R1及び/又はR2は、Xに対してオルト位、メタ位又はパラ位の何れであってもよいが、対応するアルデヒドやケトンとフェノール化合物との反応選択性を利用する観点から、パラ位であることが好ましい。
R1及びR2は、Xに対してパラ位であることがより好ましい。
【0020】
上記一般式(1)中、O1及び/又はO2は、Xに対してオルト位、メタ位又はパラ位の何れであってもよいが、対応するアルデヒドやケトンとフェノール化合物との反応選択性を利用する観点から、オルト位であることが好ましい。
O1及びO2は、Xに対してオルト位であることがより好ましい。
【0021】
上記一般式(2)中、R3は、炭素数が1~15の炭化水素基である。
上記炭化水素基としては、二価の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素原子数3~15の二価の分岐状脂肪族炭化水素基等を挙げることができる。
入手容易性や反応性の観点から、R3は、炭素数が1~5の炭化水素基であることが好ましい。
【0022】
上記一般式(2)中、R4は、水素原子又はメチル基である。
反応性の観点から、R4は、水素原子であることが好ましい。
【0023】
本発明のウレタン(メタ)アクリレート化合物は、バイオマス成分比率が20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、50%以上であることが更に好ましく、70%以上であることが特に好ましい。
上記バイオマス成分比率が20%以上であることにより、循環型社会の構築に好適に寄与することができる。
なお、上記バイオマス成分比率とは、得られたウレタン(メタ)アクリレート化合物中に含まれるバイオマス由来成分の割合をいい、次の式で表される。
バイオマス成分比率(%)=(バイオマス由来成分の質量/ウレタン(メタ)アクリレート化合物全体の質量)×100
【0024】
[ウレタン(メタ)アクリレート化合物の製造方法]
本発明のウレタン(メタ)アクリレート化合物は、例えば、下記の方法により製造することができる。
【0025】
まずは、下記一般式(3)で表される化合物を準備する。
【化5】
(一般式(3)中、R
aは、上記一般式(1)中のR
1又はR
2と同じ置換基である。)
【0026】
上記一般式(3)で表される化合物としては、例えば、カルダノールから誘導されるアルキル置換モノフェノールを水素添加したものが好ましい。
上記カルダノールは、カシューナッツ殻液由来の成分であり、廃棄物として扱われていたカシューナッツ殻を有効利用することができる。
【0027】
次いで、上記一般式(3)の二量体である下記一般式(4)で表される化合物を作成する。
【化6】
(一般式(4)中、R
aは、上記一般式(1)中のR
1又はR
2と同じ置換基であり、X
aは、上記一般式(1)中のXと同じ置換基である。)
【0028】
上記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物は、例えば、上記一般式(3)で表される化合物を触媒の存在下でアルデヒドにより架橋反応させることにより得ることができる。
【0029】
上記アルデヒド化合物としては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ペンチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、ベンズアルデヒド、p-トルアルデヒド、クミンアルデヒド、2,4-ジメチルベンズアルデヒド等が挙げられる。
上記アルデヒド化合物は、炭素数が2~10であれば直鎖であっても、分岐鎖であってもよく、また環状構造を持っていてもよい。
【0030】
上記アルデヒドの使用量は、上記一般式(3)で表される化合物1モルに対して0.15~0.35モルが好ましく、また0.20~0.35モルが更に好ましい。
【0031】
上記触媒としては、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸触媒、塩酸、硫酸等の無機酸触媒、リンタングステン酸のほかに、ケイタングステン酸、リンモリブデン酸、リンモリブデン酸ナトリウム、リンタングストモリブデン酸、リンバナドモリブデン酸等のヘテロポリ酸が好ましく挙げられる。
上記触媒は単独で使用してもよく、複数の種類を併用してもよい。
【0032】
上記触媒の使用量は、上記一般式(3)で表される化合物1モルに対して0.001~1モルであることが好ましく、0.01~0.05モルであることがより好ましい。
【0033】
上記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物を得る反応では、必要に応じて溶剤を使用することができる。
上記溶剤としては、上記一般式(3)との反応性を有するものでなければ特に制限されないが、上記一般式(3)で表される化合物を容易に溶解させる点ではアルコール類、非プロトン性極性溶媒、芳香族炭化水素類を溶剤として用いるのが好ましい。
【0034】
上記溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、塩化メチレン、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、クロロホルム、四塩化炭素等が好ましく挙げられるが、これらに限定されない。
上記溶剤は単独で使用してもよく、複数の種類を併用してもよい。
【0035】
上記溶剤を使用する場合の使用量は特に制限されないが、例えば、上記一般式(3)で表される化合物100部に対し10~500質量部を使用することができる。
【0036】
上記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物を得る反応の反応温度は、10~150℃であることが好ましく、30~130℃であることがより好ましく、50~120℃であることが更に好ましい。
【0037】
上記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物を得る反応の反応時間は、0.5~20時間であることが好ましいが、上記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物を得る反応に用いる化合物の種類によって反応性に差があるため、この限りではない。
【0038】
上記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物を得る反応終了後、公知の手法にて触媒のクエンチを行う。上記酸性触媒を用いた場合、塩基性化合物で中和してもよいし、水で洗浄してもよい。
上記塩基性化合物としては特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の金属炭酸塩、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、トリポリリン酸5ナトリウム等のリン酸塩、イオン交換樹脂、アルミナ等の塩基性固体、アンモニア等が好ましく挙げられる。
この際、上記塩基性化合物を均一に分散させるために、水溶液として徐々に滴下することが好ましい。
【0039】
上記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物を得る反応のクエンチ終了後、上記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物を取り出す場合には、水層から抽出用溶媒を用いて抽出を行う。合わせた有機層を硫酸ナトリウムにより脱水し、硫酸ナトリウムをろ過で取り除く。続いて溶媒を減圧下で留去し、粗生成物を得る。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル/ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、一般式(4)で表される化合物が得られる。
【0040】
上記抽出用溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン、エチルベンゼン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、クロロホルム、塩化メチレン等が挙げられる。
なかでも、上記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物に対する溶解能や、留去の容易さの観点から、ヘキサンが好ましい。
【0041】
その後、上記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物を、ウレタン(メタ)アクリレート化反応を行うことにより、本発明のウレタン(メタ)アクリレート化合物を得ることができる。
【0042】
上記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物をウレタン(メタ)アクリレート化する方法としては、特に限定されず、公知の方法を適宜選択して用いることができる。
例えば、触媒の存在下で、上記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物と、イソシアネート基含有ビニル化合物とを反応させればよい。
【0043】
上記イソシアネート基含有ビニル化合物としては、例えば、2-イソシアナトエチルアクリラート、2-イソシアナトエチルメタクリレート、2-(2-アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、2-(2-メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が挙げられる。
【0044】
上記イソシアネート基含有ビニル化合物は、上記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物100質量部に対して、5~70質量部程度であることが好ましい。
【0045】
上記触媒としては、例えば、エチルホスフィン、プロピルホスフィン、ブチルホスフィン、フェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の公知のリン触媒や、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド等の公知のリン酸塩を好適に用いることができる。
【0046】
また、溶媒を用いてもよく、上記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物を合成する工程で記載した溶剤を適宜選択すればよい。
また、必要に応じて重合禁止剤や、酸化防止剤等の公知の添加剤を添加してもよい。
上記触媒は、上記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物100質量部に対して、0.1~4質量部程度であることが好ましい。
上記添加剤の使用量は、上記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物100質量部に対して、0.01~3質量部程度であることが好ましい。
【0047】
上記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物をウレタン(メタ)アクリレート化する反応は、窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
また、反応温度としては、例えば、60~120℃程度である。また、反応時間としては、例えば、1~10時間程度である。
なお、目的とするウレタン(メタ)アクリレートが得られたことは、例えば、赤外吸収スペクトルを測定して、イソシアネート基含有ビニル化合物のイソシアネート基に由来する2250cm-1付近の吸収が消失していることを確認すればよい。
【0048】
また、上記反応の際に用いる装置(撹拌装置、還流装置等)は、公知のものを適宜選択すればよい。
上記反応を行った後、公知の方法により精製してもよく、精製しなくてもよい。公知の方法により精製することがより好ましい。
【0049】
<組成物>
本発明の組成物は、本発明のウレタン(メタ)アクリレート化合物を含む。
【0050】
本発明の組成物は、必要により重合開始剤、重合禁止剤、溶剤、硬化促進剤、バインダー樹脂、無機充填材及び配合剤等の添加剤を添加してもよい。
これらの添加剤については、公知のものを適宜選択すればよい。
また、本発明のウレタン(メタ)アクリレート化合物に加えて、他のウレタン(メタ)アクリレート化合物を混合してもよい。
【0051】
上記添加剤およびウレタン(メタ)アクリレートの含有量としては、本発明の効果を阻害しなければ特に限定されないが、本発明のウレタン(メタ)アクリレート化合物100質量部に対して、例えば合計0.1~500質量部程度である。
【0052】
<硬化物>
本発明の硬化物は、上記本発明のウレタン(メタ)アクリレート化合物又はそれを含む組成物を硬化してなる硬化物である。
本発明の硬化物は、従来公知の方法を用いて上記本発明のウレタン(メタ)アクリレート化合物又は本発明のウレタン(メタ)アクリレート化合物を含む組成物を硬化することにより得ることができる。
例えば、本発明のウレタン(メタ)アクリレート化合物、及び、必要により重合開始剤、重合禁止剤、溶剤、硬化促進剤、バインダー樹脂、無機充填材及び配合剤等の添加剤を、必要に応じて押出機、ニーダ、ロール等を用いて均一になるまで充分に混合して樹脂組成物を得て、その樹脂組成物をポッティング、溶融後(液状の場合は溶融無しに)注型あるいはトランスファー成型機などを用いて成型し、さらに活性エネルギー線を照射する方法等により本発明の硬化物を得ることができる。
また、本発明のウレタン(メタ)アクリレート化合物に加えて、他のウレタン(メタ)アクリレート化合物又はウレタン樹脂を混合した樹脂組成物を用いて硬化物を得てもよい。
【0053】
上記重合開始剤は、光の作用によりラジカルを発生するものであれば特に限定されず、例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピレンフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルホリノプロパン-1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3、3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、チオキサンソン、2-クロルチオキサンソン、2-メチルチオキサンソン、2、4-ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2-エチルアンスラキノン、4’、4”-ジエチルイソフタロフェノン、3、3’、4、4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、α-アシロキシムエステル、アシルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9、10-フェナンスレンキノン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、2-(3-ジメチルアミノ-2-ヒドロキシプロポキシ)-3、4-ジメチル-9H-チオキサントン-9-オンメトクロライド(オクテルケミカルズ社製、「Quantacure QTX」)等が挙げられる。
【0054】
上記重合開始剤の使用量としては、例えば、本発明のウレタン(メタ)アクリレート化合物100質量部に対して、1~30質量部である。
【0055】
上記活性エネルギー線としては特に限定されず、電子線、紫外線、或いはγ線等の公知の電離放射線等を照射して硬化させることができる。紫外線で硬化させる場合、水銀ランプ、エキシマランプ、メタルハライドランプ等を備えた公知の紫外線照射装置を使用することもできる。
上記活性エネルギー線の強度や照射時間については、硬化物の組成や厚み等に応じて適宜変更すればよい。
【0056】
[硬化物の物性]
本発明の硬化物は、切断時間が1.5sec以上であることが好ましく、2sec以上がより好ましく、2.5sec以上であることが更に好ましく、3sec以上であることが特に好ましい。
【0057】
本発明の硬化物は、切断時の力が600N以下であることが好ましく、500N以下がより好ましく、400N以下であることが更に好ましく、300N以下であることが特に好ましく、250N以下であることが最も好ましい。
【0058】
本発明の硬化物は、切断時引張強さが18MPa以下であることが好ましく、14MPa以下がより好ましく、11MPa以下であることが更に好ましく、9MPa以下であることが特に好ましく、7MPa以下であることが最も好ましい。
【0059】
本発明の硬化物は、切断時伸びが12%以上であることが好ましく、16%以上がより好ましく、20%以上であることが更に好ましい。
【0060】
本発明の硬化物の切断時間、切断時の力、切断時引張強さ、及び、切断時伸びは、以下に記載する引張試験により測定することができる。
なお、引張測定は、試験片の作製と引張試験の片方又は両方において、JIS K-6251:2017に準じて行うことができる。試験片の作製としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート化合物100質量部、重合開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Runtec社製「ランテキュア1104」)を10質量部混合し、ポリプロピレンフィルム(積水成型工業社製「ポリセームPC-8162」、縦125mm×横135mm)上に膜厚100μmで塗布する。
その後、水銀ランプ(ウシオ電機社製「ユニキュアシステムUVX-05016S1MC01」)を用い、ランプ強度120W、コンベア速度40m/分、120秒の条件で硬化物を作製する。
上記JIS規格に準拠したダンベル試験片7号形を作製し、引張試験としては、例えば、株式会社レスカ製Bonding Tester PTR1102等を用いて、標準温度下(27±2℃)、引張速度1mm/secの条件で行うことができる。
【0061】
本発明の硬化物は、鉛筆硬度が4B以下であることが好ましく、5B以下であることがより好ましく、6B以下であることが更に好ましい。
上記鉛筆硬度は、ウレタン(メタ)アクリレート化合物100質量部、重合開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Runtec社製「ランテキュア1104」)を10質量部混合し、スライドガラス(縦125mm×横135mm)上に膜厚100μmで塗布する。
その後、水銀ランプ(ウシオ電機社製「ユニキュアシステムUVX-05016S1MC01」)を用い、ランプ強度120W、コンベア速度40m/分、120秒の条件で硬化物を作製し、JIS K 5600-5-4:1999に基づいて鉛筆硬度を測定すればよい。
【0062】
本発明の硬化物は、柔軟性に優れる。
硬化物が、上記引張試験において、切断時間が1.5sec以上、切断時の力が600N以下、切断時引張強さが18MPa以下、切断時伸びが12%以上であり、かつ、鉛筆硬度が4B以下であれば柔軟性に優れると判断することができる。
【実施例0063】
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味するものである。
【0064】
(実施例1)
攪拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに窒素パージを施しながらカルダノール水素添加物(3-ペンタデシルフェノール)100質量部を量りとり、p-トルエンスルホン酸1.6質量部、プロピオンアルデヒド6質量部を加えた。その後、反応溶液を100℃に加熱し、還流しながら3時間攪拌を行い、反応混合物を得た。
次いで、反応温度を室温に戻し、得られた反応混合物を水酸化ナトリウム水溶液で中和した。水層をヘキサン(抽出用溶媒)で3回抽出した後、有機層を硫酸ナトリウムにより脱水した。その後、硫酸ナトリウムをろ過にて取り除いた後、ヘキサンをエバポレーターで留去し、粗生成物を得た。
得られた粗生成物を60℃のメタノール(再結晶用溶媒、粗生成物100質量%に対して再結晶溶媒300質量%)に溶解させ、続いて5℃に冷却して1時間静置して再結晶化を行った後、ろ過をし、上記一般式(4)においてRaが直鎖のC15H31であり、Xaが直鎖のC3H6で表されるビスフェノール化合物35質量部を得た。
【0065】
得られたビスフェノール化合物の1H-NMRスペクトルを測定した。
1H NMR(製品名「ECX300」、日本電子社製、300MHz,CDCl3):δ=7.17(d,2H),6.71(d,2H),6.58(s,2H),4.24(t,1H), 2.44(t,4H),2.13(quin,2H),1.50(quin,4H),1.25(m,48H),0.87(t+t,6H+3H)
【0066】
上記ビスフェノール化合物の合成する際に用いた3-ペンタデシルフェノールを試料とした赤外吸収スペクトルと、実施例1で得られたビスフェノール化合物を試料とした赤外吸収スペクトルをThremo Fisher Scientific社製の製品名「Nicolet iN10MX」により測定した。
図1は、3-ペンタデシルフェノールを試料として用いた赤外吸収スペクトルであり、
図2は、得られたビスフェノール化合物を試料として用いた赤外吸収スペクトルである。
図1と
図2との比較から、3-ペンタデシルフェノールの芳香族骨格に由来する1585cm
-1と786cm
-1の吸光度の減少が確認された。
1H NMRと赤外吸収スペクトルの測定結果より、得られたビスフェノール化合物の構造を特定した。
【0067】
攪拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら上記ビスフェノール型化合物100質量部を量り取り、2-イソシアナトエチルアクリラート(昭和電工社製「カレンズAOI-VM」)43質量部、ヒドロキノン0.2質量部、トリフェニルホスフィン0.8質量部を加えた。反応溶液を60℃に加熱して1時間攪拌を行うことで、ウレタンアクリレート化合物(上記一般式(1)中、Xが直鎖のC3H6、R1及びR2が直鎖のC15H31)144質量部を得た。
このウレタンアクリレート化合物のバイオマス成分比率は67.3%であった。
【0068】
得られたウレタンアクリレート化合物の1H-NMRスペクトルを測定した。
1H NMR(製品名「ECX300」、日本電子社製、300MHz,CDCl3):δ=7.04(d,2H),6.93(m,4H),6.44(dd,2H),6.13(dd, 2H), 5.85(dd, 2H), 5.79(t,2H),4.20(t,4H),4.16(t,1H),3.36(m, 4H), 2.54(t, 4H), 1.95(quin, 2H), 1.55(m,4H),1.24(m,48H),0.89(m,9H)
【0069】
図3は、得られたウレタンアクリレート化合物を試料として用いた赤外吸収スペクトルである。
図4は、2-イソシアナトエチルアクリラートを試料として用いた赤外吸収スペクトルである。
図3と
図4との比較から、2-イソシアナトエチルアクリラートのイソシアネート基に由来する2250cm
-1付近の吸収が消失していることが確認される。
【0070】
(実施例2)
プロピオンアルデヒド6質量部をn-ヘキシルアルデヒド11質量部に変更したこと以外は実施例1と同様に反応を行い、ウレタンアクリレート化合物(上記一般式(1)中、Xが直鎖のC6H12、R1及びR2が直鎖のC15H31)を得た。
このウレタンアクリレート化合物のバイオマス成分比率は64.3%であった。
【0071】
得られたウレタンアクリレート化合物の1H-NMRスペクトルを測定した。
1H NMR(製品名「ECX300」、日本電子社製、300MHz,CDCl3):δ=7.03(d,2H),6.93(m,4H),6.45(dd,2H),6.13(dd, 2H), 5.85(dd, 2H), 5.78(t,2H),4.19(m,5H),3.36(m, 4H), 2.54(t, 4H), 1.90(m, 2H), 1.56(m,4H),1.24(m,54H),0.87(m,9H)
【0072】
図5は、得られたウレタンアクリレート化合物を試料として用いた赤外吸収スペクトルである。
図4と
図5との比較から、2-イソシアナトエチルアクリラートのイソシアネート基に由来する2250cm
-1付近の吸収が消失していることが確認される。
【0073】
(比較例1)
ビスフェノール化合物を市販のビスフェノールA(富士フイルム和光純薬社製)に変更したこと以外は実施例1と同様に反応を行い、ビスフェノールAウレタンアクリレート化合物を得た。
【0074】
<硬化物の物性>
(引張試験)
実施例及び比較例で得られた試料を100質量部、重合開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Runtec社製「ランテキュア1104」)を10質量部混合し、ポリプロピレンフィルム(積水成型工業社製「ポリセームPC-8162」、縦125mm×横135mm)上に膜厚100μmで塗布した。
その後、水銀ランプ(ウシオ電機社製「ユニキュアシステムUVX-05016S1MC01」)を用い、ランプ強度120W、コンベア速度40m/分、120秒の条件で硬化物を作製した。
得られた硬化物からJIS K-6251:2017に準じてダンベル試験片7号形を作製した。
その後、株式会社レスカ製「Bonding Tester PTR1102」を用い、標準温度下(27±2℃)、引張速度1mm/secの条件で引張試験を実施した。
【0075】
(鉛筆硬度)
実施例及び比較例で得られた試料を100質量部、重合開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Runtec社製「ランテキュア1104」)を10質量部混合し、真空脱気後、スライドガラス(縦125mm×横135mm)上に膜厚100μmで塗布し、水銀ランプ(ウシオ電機社製「ユニキュアシステムUVX-05016S1MC01」)を用い、ランプ強度120W、コンベア速度40m/分、120秒の条件で硬化物を作製した。
作製した硬化物について、JIS K 5600-5-4:1999に基づいて鉛筆硬度を測定した。
【0076】
(バイオマス成分比率)
得られたウレタンアクリレート化合物のバイオマス成分比率を算出した。
ここでバイオマス成分比率とは、得られたウレタンアクリレート化合物中に含まれるバイオマス由来成分の割合をいい、次の式で表される。
バイオマス成分比率(%)=(バイオマス由来成分の質量/ウレタンアクリレート化合物全体の質量)×100
【0077】
【0078】
実施例の結果から、上記一般式(1)で表されるウレタン(メタ)アクリレート化合物が、柔軟性に優れる硬化物を得ることができることが確認された。
【0079】
本明細書には、以下の事項が開示されている。
本開示(1)は、下記一般式(1)で表されるウレタン(メタ)アクリレート化合物である。
【化7】
(一般式(1)中、Xは炭化水素に由来する炭素数が2~10である2価の連結基であり、R
1及びR
2はそれぞれ独立して、炭素数が10~18の炭化水素基であり、Y
1及びY
2はそれぞれ独立して、一般式(2)で表される置換基である。)
【化8】
(一般式(2)中、*は、O
1又はO
2との連結部を表し、R
3は、炭素数が1~15の炭化水素基であり、R
4は、水素原子又はメチル基である。)
本開示(2)は、上記一般式(1)中、R
1及び/又はR
2は、炭素数が12~16である本開示(1)に記載のウレタン(メタ)アクリレート化合物である。
本開示(3)は、Xに連結する2つのアリール基は、それぞれカルダノール水素添加物に由来する本開示(1)又は(2)に記載のウレタン(メタ)アクリレート化合物である。
本開示(4)は、上記一般式(1)中、R
1及び/又はR
2は、酸素原子(O
1又はO
2)に対してメタ位である本開示(1)~(3)の何れかに記載のウレタン(メタ)アクリレート化合物である。
本開示(5)は、上記一般式(1)中、R
1及び/又はR
2は、Xに対してパラ位である本開示(1)~(4)の何れかに記載のウレタン(メタ)アクリレート化合物である。
本開示(6)は、上記一般式(1)中、O
1及び/又はO
2は、Xに対してオルト位である本開示(1)~(5)の何れかに記載のウレタン(メタ)アクリレート化合物である。
本開示(7)は、上記一般式(1)中、Xは、炭素数が3~7である本開示(1)~(6)の何れかに記載のウレタン(メタ)アクリレート化合物である。
本開示(8)は、本開示(1)~(7)の何れかに記載のウレタン(メタ)アクリレート化合物を含む組成物である。
本開示(9)は、本開示(1)~(7)の何れかに記載のウレタン(メタ)アクリレート化合物を硬化してなる硬化物である。
本開示(10)は、本開示(8)に記載の組成物を硬化してなる硬化物である。