(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173211
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20231130BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G03G21/16 109
G03G15/00 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085300
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】森田 直哉
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 貴志
【テーマコード(参考)】
2H171
【Fターム(参考)】
2H171FA01
2H171FA02
2H171FA03
2H171FA28
2H171GA12
2H171GA13
2H171HA05
2H171HA06
2H171HA08
2H171HA17
2H171HA19
2H171HA22
2H171HA23
2H171HA24
2H171HA27
2H171HA33
2H171JA23
2H171JA27
2H171JA29
2H171JA31
2H171KA02
2H171KA03
2H171KA04
2H171KA17
2H171KA22
2H171KA23
2H171KA24
2H171QA02
2H171QA08
2H171QB03
2H171QB16
2H171QB32
2H171QC03
2H171QC22
2H171SA09
2H171SA14
2H171SA18
2H171SA22
2H171SA26
2H171WA02
2H171WA21
(57)【要約】
【課題】装置本体から取り外した画像形成ユニットを安定させて保持することができるだけでなく、像担持体が損傷するのを防止することができるようにする。
【解決手段】頂壁Wt及び壁から成る筐体Csと、筐体Cs内に形成された装置本体と、装置本体に対して着脱自在に配設された画像形成ユニット20とを有する。画像形成ユニット20の所定の箇所に係合部が形成され、頂壁Wtの所定の箇所に被係合部が形成され、係合部と被係合部とを係合させることによって、画像形成ユニット20が筐体Csに係止させられる。画像形成装置のメンテナンスを行ったり、媒体詰まりを発生させた媒体を除去したりする作業を行う際に、画像形成ユニット20を載置する場所を確保する必要がない。像担持体が損傷するのを防止することができる。像担持体が光を受けるのを抑制することができ、像担持体が劣化するのを抑制することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)頂壁、及び垂直方向に延び、平坦な壁面を備えた壁から成る筐体と、
(b)該筐体内に形成された装置本体と、
(c)該装置本体に対して着脱自在に配設された画像形成ユニットとを有するとともに、
(d)該画像形成ユニットの所定の箇所に係合部が形成され、
(e)前記頂壁の所定の箇所に被係合部が形成され、
(f)前記係合部と被係合部とを係合させることによって、前記画像形成ユニットが筐体に係止させられることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
(a)前記画像形成ユニットは、像担持体の両端を支持し、媒体の搬送方向に延在させて配設されたサイドパネルを備え、
(b)前記係合部は、サイドパネルの下縁の、前記媒体の搬送方向における一方の端部において、下方に向けて突出させて形成される請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
(a)前記サイドパネルの下縁の、前記媒体の搬送方向における他方の端部において、支持部が下方に向けて突出させて形成され、
(b)該支持部は、画像形成ユニットが筐体に係止させられたときに、前記壁の壁面に当接させられ、画像形成ユニットを支持する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記支持部の高さをHLとし、前記係合部と被係合部とが係合する係合点と、頂壁と壁面を備えた壁とが交差する壁交差点との間の距離をL1とし、前記係合点と、壁面に像担持体を仮想的に接触させたときの壁面上の仮想接点との間の距離をL2とし、前記仮想接点と、前記画像形成ユニットを筐体に係止させたときの前記支持部の根元部によって形成されるユニット支持点との間の距離をL3としたとき、前記支持部の高さHLは、
HL>L1・L3/L2
にされる請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
(a)前記画像形成ユニットは、像担持体の両端を支持し、媒体の搬送方向に延在させて配設されたサイドパネルを備え、
(b)該サイドパネルの下縁の、前記媒体の搬送方向における他方の端部において、支持部が下方に向けて突出させて形成され、
(c)該支持部の高さをHLとし、前記係合部と被係合部とが係合する係合点と、頂壁と壁面を備えた壁とが交差する壁交差点との間の距離をL1とし、前記係合点と、壁面に像担持体を仮想的に接触させたときの壁面上の仮想接点との間の距離をL2とし、前記仮想接点と、前記画像形成ユニットを筐体に係止させたときの前記支持部の根元部によって形成されるユニット支持点との間の距離をL3としたとき、前記支持部の高さHLは、
HL>L1・L3/L2
にされる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
(a)前記サイドパネルの下縁における像担持体の近傍に、突起部が下方に向けて突出させて形成され、
(b)該突起部は、像担持体が異物と当たって損傷するのを防止する請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像形成ユニットが装置本体に取り付けられる際に、前記係合部は装置本体に形成された係合孔と係合させられる請求項1~6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置、例えば、プリンタは画像形成部を備え、該画像形成部に、画像形成ユニット、LEDヘッド、転写ローラ等が配設されるようになっている。そして、前記画像形成ユニットにおいて、帯電ローラによって帯電させられた像担持体としての感光体ドラムの表面が前記LEDヘッドによって露光されて静電潜像が形成され、該静電潜像が現像されて感光体ドラム上にトナー像が形成される。
【0003】
また、前記プリンタにおいては、用紙カセットから給紙された用紙が用紙搬送路を搬送されて画像形成部に供給され、前記トナー像が、画像形成部において前記転写ローラによって用紙に転写され、定着器において用紙に定着させられる。
【0004】
ところで、前記プリンタにおいては、前記画像形成ユニットが、プリンタの本体、すなわち、装置本体に対して着脱自在に配設され、操作者が、プリンタのメンテナンスを行ったり、用紙搬送路を搬送される間に紙詰まりを発生させた用紙を除去したりする際に、画像形成ユニットを取り外すことができるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来のプリンタにおいては、操作者が、プリンタのメンテナンスを行ったり、紙詰まりを発生させた用紙を除去したりする作業を行う際に、装置本体から取り外した画像形成ユニットを一時的に載置する場所を確保する必要がある。
【0007】
プリンタの周辺に画像形成ユニットを載置する場所がない場合、操作者は画像形成ユニットをプリンタから離れた場所に載置しなければならず、そのための作業が煩わしい。また、載置する場所が平坦でない場合、画像形成ユニットを安定させて載置することができず、感光体ドラムが異物に当たって損傷してしまうことがある。
【0008】
本発明は、従来のプリンタの問題点を解決して、装置本体から取り外した画像形成ユニットを安定させて保持することができるだけでなく、像担持体が損傷するのを防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのために、本発明の画像形成装置においては、頂壁、及び垂直方向に延び、平坦な壁面を備えた壁から成る筐体と、該筐体内に形成された装置本体と、該装置本体に対して着脱自在に配設された画像形成ユニットとを有する。
【0010】
そして、該画像形成ユニットの所定の箇所に係合部が形成される。
【0011】
また、前記頂壁の所定の箇所に被係合部が形成される。
【0012】
そして、前記係合部と被係合部とを係合させることによって、前記画像形成ユニットが筐体に係止させられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、画像形成装置においては、頂壁、及び垂直方向に延び、平坦な壁面を備えた壁から成る筐体と、該筐体内に形成された装置本体と、該装置本体に対して着脱自在に配設された画像形成ユニットとを有する。
【0014】
そして、該画像形成ユニットの所定の箇所に係合部が形成される。
【0015】
また、前記頂壁の所定の箇所に被係合部が形成される。
【0016】
そして、前記係合部と被係合部とを係合させることによって、前記画像形成ユニットが筐体に係止させられる。
【0017】
この場合、画像形成ユニットの所定の箇所に係合部が形成され、筐体における頂壁の所定の箇所に被係合部が形成され、前記係合部と被係合部とを係合させることによって、前記画像形成ユニットが筐体に係止させられるので、画像形成装置のメンテナンスを行ったり、媒体詰まりを発生させた媒体を除去したりする作業を行う際に、装置本体から取り外した画像形成ユニットを載置する場所を確保する必要がない。
【0018】
また、画像形成ユニットを安定させて筐体に係止させることができるので、像担持体が異物に当たって損傷するのを防止することができる。
【0019】
しかも、画像形成ユニットが筐体に係止させられている間、像担持体が画像形成ユニットによって包囲されるので、像担持体が光を受けるのを抑制することができる。したがって、像担持体が劣化するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施の形態における画像形成ユニットが筐体に係止させられた状態を示すプリンタの要部拡大図である。
【
図2】本発明の実施の形態におけるプリンタの概念図である。
【
図3】本発明の実施の形態におけるフロントカバーを開いたときのプリンタの状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態における画像形成ユニットが装置本体から取り外された状態を示すプリンタの斜視図である。
【
図5】本発明の実施の形態における画像形成ユニットが装置本体から取り外された状態を示すプリンタの要部拡大図である。
【
図6】本発明の実施の形態における画像形成ユニットの斜視図である。
【
図7】本発明の実施の形態における画像形成ユニットの断面図である。
【
図8】本発明の実施の形態における画像形成ユニットの平面図である。
【
図9】本発明の実施の形態における画像形成ユニットの底面面である。
【
図10】本発明の実施の形態における画像形成ユニットを筐体に係止させる手順を説明するための図である。
【
図11】本発明の実施の形態における画像形成ユニットを筐体に係止させた状態を示すプリンタの斜視図である。
【
図12】本発明の実施の形態における画像形成ユニットの前方支持脚の長さの設定方法を説明するための概念図である。
【
図13】本発明の実施の形態におけるフック形状脚と係合孔とを係合させた状態を示す図である。
【
図14】本発明の実施の形態における画像形成ユニットを装置本体に取り付けた状態の第1の例を示す図である。
【
図15】本発明の実施の形態における画像形成ユニットを装置本体に取り付けた状態の第2の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのプリンタについて説明する。
【0022】
図2は本発明の実施の形態におけるプリンタの概念図、
図3は本発明の実施の形態におけるフロントカバーを開いたときのプリンタの状態を示す斜視図である。なお、図において、X軸正方向はプリンタ10における後方向であり、X軸負方向はプリンタ10における前方向であり、Y軸正方向はプリンタ10における左方向であり、Y軸負方向はプリンタ10における右方向であり、Z軸正方向はプリンタ10における上方向であり、Z軸負方向はプリンタ10における下方向である。
【0023】
図において、10はプリンタ、Bdは該プリンタ10の本体、すなわち、装置本体、Csは、プリンタ10の装置外装としての、装置本体Bdを包囲する筐体である。該筐体Csは、第1の壁としての前壁Wf、第2の壁としての背壁Wr、前壁Wfの正面から見て左側に配設された第3の壁としての、かつ、第1の側壁としての左側壁Ws1、前壁Wfの正面から見て右側に配設された第4の壁としての、かつ、第2の側壁としての右側壁Ws2、第5の壁としての頂壁Wt及び第6の壁としての底壁Wbを備える。前記背壁Wr、左側壁Ws1及び右側壁Ws2は、垂直方向(Z軸方向)に延び、凹凸のない平坦な壁面Saを有する。
【0024】
前記前壁Wfの上半部Wftから頂壁Wtの前半部Wtfにかけてカバー部材としてのフロントカバーCfが
図2の矢印方向に開閉自在に配設され、該フロントカバーCfを開くことによって、プリンタ10の操作者が、装置本体Bdにアクセスし、画像形成ユニット20を装置本体Bdに対して装脱することができる。そのために、画像形成ユニット20のハウジングHzの所定の箇所、本実施の形態においては、トップパネルptに、操作者が把持するための持ち手部pn1が形成される。
【0025】
前記頂壁Wtにおける前壁Wf及び右側壁Ws2に隣接する部分には操作パネル45が配設される。該操作パネル45は、プリンタ10の状態を表示するためのLED画面等から成る表示部46、及び操作者がプリンタ10への指示を入力するためのスイッチ、キー等から成る操作部47を備える。また、頂壁Wtにおける中央部から背壁Wrにかけて、第1の媒体積載部としてのスタッカsk1が形成され、筐体Csに、前記スタッカsk1に臨ませて、画像が形成された媒体としての用紙Pを排出するための排出口h1が形成される。
【0026】
装置本体Bd内の下部には媒体収容部としての用紙カセット11が配設され、該用紙カセット11の第2の媒体積載部としてのスタッカsk2に、用紙Pが積載された状態で収容される。そして、前記用紙カセット11の前端に隣接させて給紙装置e1が配設され、該給紙装置e1は、回転自在に配設され、回転に伴って用紙カセット11から用紙Pを繰り出す繰出部材としてのピックアップローラ12、該ピックアップローラ12によって矢印方向に繰り出された用紙Pを媒体搬送路としての用紙搬送路Rt1に送るフィードローラ13、及び該フィードローラ13に当接させて配設され、用紙Pを1枚ずつ分離させるための分離部材としてのリタードローラ14を備える。
【0027】
前記用紙搬送路Rt1には、給紙装置e1より下流側に第1の搬送部材としての搬送ローラ対m1が、該搬送ローラ対m1より下流側に第2の搬送部材としてのレジストローラ対m2が、該レジストローラ対m2より下流側に第1の媒体検出部としての書出しセンサs1が配設される。前記給紙装置e1によって給紙された用紙Pは、搬送ローラ対m1によって搬送され、レジストローラ対m2によって斜行が矯正され、書出しセンサs1によって用紙Pの有無が検出された後、画像形成部Q1に送られる。
【0028】
該画像形成部Q1は、装置本体Bdに対して着脱自在に配設された前記画像形成ユニット20、露光装置としてのLEDヘッドHd、転写装置としての、かつ、転写部材としての転写ローラ21等を備える。
【0029】
前記画像形成ユニット20は、本体部22、及び該本体部22に対して一体に、又は着脱自在に配設された現像剤収容部としてのトナーカートリッジCtを備え、前記本体部22内に、回転自在に配設された像担持体としての感光体ドラム23、該感光体ドラム23に当接させて回転自在に配設された帯電装置としての帯電ローラ24、前記感光体ドラム23に当接させて回転自在に配設された現像剤担持体としての現像ローラ25、該現像ローラ25に当接させて回転自在に配設された現像剤供給部材としての図示されない供給ローラ、転写後に感光体ドラム23上に残留した現像剤としてのトナーを除去する図示されないクリーニング装置等を有する。
【0030】
感光体ドラム23の表面が、帯電ローラ24によって一様に帯電させられた後、前記LEDヘッドHdによって画像データに基づいて露光されると、感光体ドラム23の表面に潜像としての静電潜像が形成される。続いて、現像ローラ25によってトナーが静電潜像に付着させられて静電潜像が現像され、感光体ドラム23の表面に現像剤像としてのトナー像が形成される。また、前記供給ローラは、現像ローラ25と同じ方向に回転させられ、前記トナーカートリッジCtから本体部22内に供給されたトナーを現像ローラ25に供給するとともに、トナーを摩擦帯電させる。
【0031】
前記用紙カセット11から用紙搬送路Rt1を搬送され、画像形成部Q1に供給された用紙Pは、感光体ドラム23と転写ローラ21との間の転写ニップ部を通過する際に、前記転写ローラ21によって、感光体ドラム23上に形成されたトナー像が転写される。
【0032】
前記用紙搬送路Rt1における画像形成部Q1より下流側に、定着装置としての定着器31が装置本体Bdに対して着脱自在に配設される。転写ニップ部を通過した用紙Pは、矢印方向に搬送され、定着器31に送られる。
【0033】
該定着器31は、第1の定着部材としてのヒートローラ(加熱ローラ)32、及び第2の定着部材としてのバックアップローラ(加圧ローラ)33を備え、ヒートローラ32内に加熱源としてのハロゲンランプHtが配設される。
【0034】
ヒートローラ32とバックアップローラ33との間に定着ニップ部が形成され、定着器31に供給された用紙Pが定着ニップ部を通過する際に、用紙P上のトナー像が、ヒートローラ32によって加熱され、溶融させられ、バックアップローラ33によって加圧されて用紙Pに定着させられる。これにより、用紙Pに画像が形成される。
【0035】
用紙搬送路Rt1における定着器31より下流側には、定着器31の出口に隣接させて第2の媒体検出部としての出口センサs2が、該出口センサs2より下流側に第3の搬送部材としての搬送ローラ対m3が、該搬送ローラ対m3より下流側に第4の搬送部材としての排出ローラ対m4が配設される。
【0036】
定着器31において画像が形成された用紙Pは、出口センサs2によって用紙Pの有無が検出された後、搬送ローラ対m3によって搬送され、排出ローラ対m4によって排出口h1から装置本体Bd外に矢印方向に排出され、前記スタッカsk1に積載される。
【0037】
ところで、前記プリンタ10においては、前述されたように、前記画像形成ユニット20が、装置本体Bdに対して装脱自在に配設され、操作者が、プリンタ10のメンテナンスを行ったり、用紙搬送路Rt1を搬送される間に媒体詰まり、すなわち、紙詰まりを発生させた用紙Pを除去したりする際に、画像形成ユニット20を取り外すことができるようになっている。
【0038】
ところが、プリンタ10のメンテナンスを行ったり、紙詰まりを発生させた用紙Pを除去したりする作業を行う際に、プリンタ10の周辺に装置本体Bdから取り外した画像形成ユニット20を一時的に載置する場所がない場合、操作者は画像形成ユニット20をプリンタ10から離れた場所に載置しなければならず、そのための作業が煩わしい。また、載置する場所が平坦でない場合、画像形成ユニット20を安定させて載置することができず、感光体ドラム23が異物に当たって損傷してしまうことがある。
【0039】
そこで、本実施の形態においては、装置本体Bdから取り外した画像形成ユニット20をプリンタ10の筐体Csによって保持することができるようになっている。
【0040】
図4は本発明の実施の形態における画像形成ユニットが装置本体から取り外された状態を示すプリンタの斜視図、
図5は本発明の実施の形態における画像形成ユニットが装置本体から取り外された状態を示すプリンタの要部拡大図である。なお、図において、X軸正方向はプリンタ10における後方向であり、X軸負方向はプリンタ10における前方向であり、Y軸正方向はプリンタ10における左方向であり、Y軸負方向はプリンタ10における右方向であり、Z軸正方向はプリンタ10における上方向であり、Z軸負方向はプリンタ10における下方向である。
【0041】
図において、10はプリンタ、Csは筐体、Wfは前壁、Wrは背壁、Ws1は左側壁、Ws2は右側壁、Wtは頂壁、Bdは装置本体、Cfはフロントカバー、Rt1は用紙搬送路である。
【0042】
図に示されるように、フロントカバーCfを開き、画像形成ユニット20(
図2)を装置本体Bdから取り外すと、用紙搬送路Rt1が露出するので、操作者は、プリンタ10のメンテナンスを行ったり、画像形成ユニット20の下部で用紙詰まりを発生させた用紙Pを除去したりすることができる。
【0043】
また、Ar1は用紙搬送路Rt1における用紙Pの搬送領域であり、該搬送領域Ar1外、すなわち、搬送領域Ar1と左側壁Ws1及び右側壁Ws2との間の所定の箇所、本実施の形態においては、フレーム部St1に、装置本体Bd内の被係合部としての係合孔62が形成される。該係合孔62は、画像形成ユニット20を装置本体Bdに取り付けたときに、画像形成ユニット20の所定の箇所に形成された係合部としての後述される一対のフック形状脚63(
図1)と係合させられる。
【0044】
そして、筐体Csの所定の箇所、本実施の形態においては、頂壁Wtにおける所定の壁である右側壁Ws2に隣接する箇所に、装置本体Bd外の被係合部としての一対の係合凹部65が形成される。該係合凹部65は、画像形成ユニット20を装置本体Bdから取り外したときに、前記フック形状脚63と係合させられる。
【0045】
なお、本実施の形態において、係合凹部65は、
図4に示されるように、頂壁Wtにおける背壁Wr及び右側壁Ws2に隣接する角部、及び頂壁Wtにおける前壁Wf及び右側壁Ws2に隣接する角部に形成されるが、画像形成ユニット20の幅寸法に応じて、頂壁Wtにおける右側壁Ws2側の縁部上の任意の2箇所に形成したり、頂壁Wtにおける所定の壁である左側壁Ws1又は背壁Wrに隣接する箇所に形成したりすることもできる。
【0046】
次に、画像形成ユニット20のハウジングHzについて説明する。
【0047】
図6は本発明の実施の形態における画像形成ユニットの斜視図、
図7は本発明の実施の形態における画像形成ユニットの断面図、
図8は本発明の実施の形態における画像形成ユニットの平面図、
図9は本発明の実施の形態における画像形成ユニットの底面面である。なお、
図8及び9において、X軸正方向はプリンタ10における後方向であり、X軸負方向はプリンタ10における前方向であり、Y軸正方向はプリンタ10における左方向であり、Y軸負方向はプリンタ10における右方向であり、Z軸正方向はプリンタ10における上方向であり、Z軸負方向はプリンタ10における下方向である。
【0048】
図において、20は画像形成ユニット、Hzはハウジング、22は本体部、23は感光体ドラム、Ctはトナーカートリッジ、Rmは、トナーカートリッジCt内に形成され、廃棄現像剤としての廃トナーを回収する廃棄現像剤回収室としての廃トナー回収室、68は、感光体ドラム23上から前記クリーニング装置によって除去された廃トナーを前記廃トナー回収室Rmに搬送する廃棄現像剤搬送路としての廃トナー搬送路、69は、本体部22においてLEDヘッドHdと対向する箇所に配設され、感光体ドラム23を保護するフィルムである。
【0049】
前記ハウジングHzは、トップパネルpt、用紙Pの搬送方向に延在させて配設され、用紙Pの搬送方向における上流側から画像形成ユニット20を見たときの左側に形成された第1のサイドパネルとしての左サイドパネルps1、及び用紙Pの搬送方向における上流側から画像形成ユニット20を見たときの右側に形成された第2のサイドパネルとしての右サイドパネルps2を有する。
【0050】
前記トップパネルptに前記持ち手部pn1が形成され、前記左サイドパネルps1と右サイドパネルps2との間に、本体部22及びトナーカートリッジCtが配設され、左サイドパネルps1及び右サイドパネルps2によって感光体ドラム23の両端が支持される。
【0051】
前記ハウジングHzの下端(画像形成ユニット20を装置本体Bdに取り付けた状態におけるZ軸正方向の端部)が開放されているので、感光体ドラム23は、画像形成ユニット20が装置本体Bdに取り付けられたときに、転写ローラ21(
図2)との間に転写ニップ部を形成することができるように、むき出しの状態でハウジングHzの下端に臨ませて配設される。
【0052】
そして、前記左サイドパネルps1及び右サイドパネルps2の下縁において、用紙Pの搬送方向における一方の端部、本実施の形態においては、上流側の端部に、「L」字状の形状を有するフック形状脚63が、前記左サイドパネルps1及び右サイドパネルps2の下縁における感光体ドラム23の近傍に、突起部としてのドラム部突起71が、左サイドパネルps1及び右サイドパネルps2の下縁において、用紙Pの搬送方向における他方の端部、本実施の形態においては、下流側の端部に、支持部としての前方支持脚72が、いずれも下方(画像形成ユニット20を装置本体Bdに取り付けた状態におけるZ軸正方向)に向けて突出させて形成される。
【0053】
前記ドラム部突起71は、画像形成ユニット20が筐体Csに係止させられたときに、感光体ドラム23が異物と当たって損傷するのを防止する。また、前方支持脚72は、画像形成ユニット20が筐体に係止させられたときに、右側壁Ws2(
図3)の壁面Saに当接させられ、画像形成ユニット20を支持する。
【0054】
なお、
図9において、Ar2は、感光体ドラム23の両端間の領域、すなわち、ドラム領域であり、該ドラム領域Ar2外に前記フック形状脚63、ドラム部突起71及び前方支持脚72が形成される。
【0055】
次に、装置本体Bdから取り外した画像形成ユニット20を筐体Csに係止させる方法について説明する。
【0056】
図1は本発明の実施の形態における画像形成ユニットが筐体に係止させられた状態を示すプリンタの要部拡大図、
図10は本発明の実施の形態における画像形成ユニットを筐体に係止させる手順を説明するための図、
図11は本発明の実施の形態における画像形成ユニットを筐体に係止させた状態を示すプリンタの斜視図、
図12は本発明の実施の形態における画像形成ユニットの前方支持脚の長さの設定方法を説明するための概念図である。なお、
図1、10及び11において、X軸正方向はプリンタ10における後方向であり、X軸負方向はプリンタ10における前方向であり、Y軸正方向はプリンタ10における左方向であり、Y軸負方向はプリンタ10における右方向であり、Z軸正方向はプリンタ10における上方向であり、Z軸負方向はプリンタ10における下方向である。
【0057】
図において、10はプリンタ、Csは筐体、Bdは装置本体、Cfはフロントカバー、Ws1は左側壁、Ws2は右側壁である。
【0058】
また、20は画像形成ユニット、22は本体部、Ctはトナーカートリッジ、Hzはハウジング、pn1は持ち手部、23は感光体ドラム、ps1は左サイドパネル、ps2は右サイドパネル、63はフック形状脚、65は係合凹部、71はドラム部突起、72は前方支持脚である。
【0059】
操作者は、まず、フロントカバーCfを開き、持ち手部pn1に手をかけて画像形成ユニット20を装置本体Bdから取り外す。次に、操作者は、
図10に示されるように、トナーカートリッジCt側を上に、本体部22側を下にして画像形成ユニット20を持ち、右側壁Ws2に沿ってドラム部突起71及び前方支持脚72を滑らせ、フック形状脚63と係合凹部65とを係合させる。これにより、
図11に示されるように、画像形成ユニット20が筐体Csに係止させられる。
【0060】
このとき、感光体ドラム23が右側壁Ws2の壁面Saに当接しないように、前記前方支持脚72の高さHLが設定される。
【0061】
すなわち、
図1において、画像形成ユニット20を筐体Csに係止させたときにフック形状脚63の内側先端部が位置する点、すなわち、フック形状脚63と係合凹部65とが係合する点を係合点q1とし、画像形成ユニット20を筐体Csに係止させたときにフック形状脚63の内側根元部が位置する点、すなわち、頂壁Wtと右側壁Ws2とが交差する点を壁交差点q2とし、前記右側壁Ws2の壁面Saに感光体ドラム23を仮想的に接触させたときの壁面Sa上の点を仮想接点q3とし、画像形成ユニット20を筐体Csに係止させたときに前方支持脚72が当接させられる壁面Sa上の点を支持部当接点q4とし、画像形成ユニット20を筐体Csに係止させたときに前方支持脚72の根元部によって形成される点をユニット支持点q5としたとき、前方支持脚72の高さHLは、前記係合点q1と壁交差点q2との間の距離L1、係合点q1と仮想接点q3との間の距離L2、及び前記仮想接点q3とユニット支持点q5との間の距離L3に基づいて設定される。
【0062】
すなわち、前記前方支持脚72の高さHLは、前記支持部当接点q4とユニット支持点q5との間の距離であるので、各距離L1~L3及び高さHLは、
L2:L3=L1:HL
の関係にあり、高さHLは、
HL=L1・L3/L2
になる。
【0063】
この場合、前記壁面Saに感光体ドラム23を仮想的に接触させたときの仮想接点q3と感光体ドラム23との間の距離LXは0であるので、壁面Saと感光体ドラム23とが接触することがないようにするために、高さHLは、
HL>L1・L3/L2
にされる。
【0064】
なお、ドラム部突起71の高さをHMとしたとき、前方支持脚72の高さHL及びドラム部突起71の高さHMの関係は、
0<HM<HL
にされる。
【0065】
次に、画像形成ユニット20を装置本体Bdに取り付けた状態について説明する。
【0066】
図13は本発明の実施の形態におけるフック形状脚と係合孔とを係合させた状態を示す図、
図14は本発明の実施の形態における画像形成ユニットを装置本体に取り付けた状態の第1の例を示す図、
図15は本発明の実施の形態における画像形成ユニットを装置本体に取り付けた状態の第2の例を示す図である。なお、図において、X軸正方向はプリンタ10における後方向であり、X軸負方向はプリンタ10における前方向であり、Y軸正方向はプリンタ10における左方向であり、Y軸負方向はプリンタ10における右方向であり、Z軸正方向はプリンタ10における上方向であり、Z軸負方向はプリンタ10における下方向である。
【0067】
図において、Ws1は左側壁、Rt1は用紙搬送路、Ar1は搬送領域、St1はフレーム部、62は係合孔、20は画像形成ユニット、ps1は左サイドパネル、63はフック形状脚である。
【0068】
画像形成ユニット20を装置本体Bdに取り付ける場合、画像形成ユニット20の左サイドパネルps1及び右サイドパネルps2に形成されたフック形状脚63を用紙Pの搬送領域Ar1外に形成された係合孔62に係合させる必要がある。
【0069】
この場合、
図14及び15に示されるように、装置本体Bdに取り付けられる画像形成ユニット20の仕様(搬送領域Ar1と左側壁Ws1との間の矢印で示される距離)に対応させて、前記係合孔62の位置が設定されるので、画像形成ユニット20を、適合しないプリンタ10の装置本体Bdに誤って取り付けることによって感光体ドラム23が損傷するのを防止することができる。
【0070】
このように、本実施の形態においては、画像形成ユニット20の所定の箇所にフック形状脚63が形成され、筐体Csにおける頂壁Wtの所定の箇所に係合凹部65部が形成され、前記フック形状脚63と係合凹部65とを係合させることによって、前記画像形成ユニット20が筐体Csに係止させられるので、操作者は、プリンタ10のメンテナンスを行ったり、紙詰まりを発生させた用紙Pを除去したりする作業を行う際に、装置本体Bdから取り外した画像形成ユニット20を載置する場所を確保する必要がない。
【0071】
また、画像形成ユニット20を安定させて筐体Csに係止させることができるので、感光体ドラム23が異物に当たって損傷するのを防止することができる。
【0072】
しかも、画像形成ユニット20が筐体Csに係止させられている間、感光体ドラム23が画像形成ユニット20のハウジングHzによって包囲されるので、感光体ドラム23が光を受けるのを抑制することができる。したがって、感光体ドラム23が劣化するのを抑制することができる。
【0073】
本実施の形態においては、係合凹部65が頂壁Wtにおける右側壁Ws2に隣接する箇所に形成されるようになっているが、係合凹部65を、頂壁Wtにおける背壁Wrに隣接する箇所、左側壁Ws1に隣接する箇所等に形成することもできる。
【0074】
本実施の形態においては、プリンタ10について説明したが、本発明を複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置に適用することができる。
【0075】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0076】
10 プリンタ
20 画像形成ユニット
63 フック形状脚
65 係合凹部
Bd 装置本体
Cs 筐体
Sa 壁面
Wr 背壁
Ws1 左側壁
Ws2 右側壁
Wt 頂壁