(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173214
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】下水汚泥処理設備
(51)【国際特許分類】
C02F 11/06 20060101AFI20231130BHJP
B01D 53/50 20060101ALI20231130BHJP
B01D 53/64 20060101ALI20231130BHJP
B01D 53/70 20060101ALI20231130BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
C02F11/06
B01D53/50 200
B01D53/64 ZAB
B01D53/70 200
B01D53/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085314
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000133032
【氏名又は名称】株式会社タクマ
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(72)【発明者】
【氏名】水野 孝昭
(72)【発明者】
【氏名】宮川 透
(72)【発明者】
【氏名】水澤 幸太
【テーマコード(参考)】
4D002
4D059
【Fターム(参考)】
4D002AA02
4D002AA21
4D002AA28
4D002AB01
4D002AC10
4D002BA02
4D002BA14
4D002DA35
4D002EA01
4D002HA01
4D059AA03
4D059AA19
4D059BB01
4D059BB11
4D059BB13
4D059CA14
(57)【要約】
【課題】汚泥焼却灰(主灰)をろ過助剤として利用することで、バグフィルタの圧力損失の上昇を防ぐことができる下水汚泥処理設備を提供する。
【解決手段】リン成分を含む下水汚泥を処理する下水汚泥処理設備1Aであって、下水汚泥を焼却する焼却炉10と、焼却炉10から排気される排ガスに含まれる飛灰を捕集するバグフィルタ21と、焼却炉10から排出される主灰を粉砕する粉砕機40とを備え、粉砕機40で粉砕した主灰の粉砕物がバグフィルタ21の前段に供給されるものとする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン成分を含む下水汚泥を処理する下水汚泥処理設備であって、
前記下水汚泥を焼却する焼却炉と、
前記焼却炉から排気される排ガスに含まれる飛灰を捕集するバグフィルタと、
前記焼却炉から排出される主灰を粉砕する粉砕機と、
を備え、
前記粉砕機で粉砕した前記主灰の粉砕物が前記バグフィルタの前段に供給される下水汚泥処理設備。
【請求項2】
前記粉砕物は、供給装置により前記バグフィルタの前段に供給される請求項1に記載の下水汚泥処理設備。
【請求項3】
前記粉砕物は、前記バグフィルタにおいて発生する負圧を利用して前記バグフィルタの前段に供給される請求項1に記載の下水汚泥処理設備。
【請求項4】
前記排ガスを湿式処理する排ガス洗浄装置をさらに備える請求項1~3の何れか一項に記載の下水汚泥処理設備。
【請求項5】
前記バグフィルタの前段に供給される主灰の粉砕物の粒径が5~100μmとなるように、前記粉砕機で粉砕した前記主灰の粉砕物を分級する分級機をさらに備える請求項1~3の何れか一項に記載の下水汚泥処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リン成分を含む下水汚泥を処理する下水汚泥処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下水汚泥を焼却した際に発生する排ガスに含まれる飛灰を、バグフィルタのろ布で捕集するようにした設備において、飛灰中に含まれるリン酸塩等の潮解性物質がろ布上で潮解を起こすと、ろ布が目詰まりしてバグフィルタの圧力損失が上昇し、正常な運転が続けられない場合がある。
【0003】
そこで、排ガス中にろ過助剤(パーライト)を添加して飛灰と共にろ布で捕集することで逆洗パルス時にろ布からの飛灰の剥離性を向上させたり(特許文献1参照)、汚泥焼却灰をろ過助剤(剥離助剤)として用いたり(特許文献2参照)することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-103404号公報
【特許文献2】特開平4-74506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で提案されたろ過助剤を用いるものでは、ろ過助剤を別途購入しなければならないため、処理コストが嵩むという問題がある。一方、特許文献2の方法は、処理中に発生する汚泥焼却灰をろ過助剤として用いるため、ろ過助剤を別途購入する必要はない。しかしながら、汚泥焼却灰は、排ガスの流れに乗せるには無理があるような塊状のものが含まれていることがあり、この場合、汚泥焼却灰に対し何らの前処理も行わなければ、汚泥焼却灰を排ガスの流れに乗せてバグフィルタへと供給することができず、汚泥焼却灰をろ過助剤として利用することができないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、汚泥焼却灰(主灰)をろ過助剤として利用することで、バグフィルタの圧力損失の上昇を防ぐことができる下水汚泥処理設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明に係る下水汚泥処理設備の特徴構成は、
リン成分を含む下水汚泥を処理する下水汚泥処理設備であって、
前記下水汚泥を焼却する焼却炉と、
前記焼却炉から排気される排ガスに含まれる飛灰を捕集するバグフィルタと、
前記焼却炉から排出される主灰を粉砕する粉砕機と、
を備え、
前記粉砕機で粉砕した前記主灰の粉砕物が前記バグフィルタの前段に供給されることにある。
【0008】
本構成の下水汚泥処理設備によれば、下水汚泥を焼却する焼却炉から排出された主灰(汚泥焼却灰)が粉砕機で粉砕される。これにより、排ガスの流れに乗せるには無理があるような塊状のものが主灰に含まれていたとしても、主灰の粉砕物の粒径を、排ガスの流れに乗せてバグフィルタに供給するのに適した大きさにすることができる。粉砕機での粉砕によって前処理が施された主灰の粉砕物がバグフィルタの前段に供給されると、主灰の粉砕物は、排ガスの流れに乗ってバグフィルタのろ布表面に付着する。これにより、バグフィルタのろ布表面に主灰の粉砕物からなる主灰層が形成される。このような主灰層が形成されたろ布を通して排ガスが処理されると、排ガス中の飛灰が主灰層上で捕捉されることになり、ろ布に直接接触させることなく飛灰を捕集することができる。このため、飛灰中に含まれるリン酸塩等の潮解性物質が潮解を起こしたとしても、ろ布がその潮解性物質を含んだ飛灰によって目詰まりするようなことがなく、例えば、ろ布への圧縮空気の噴射による逆洗パルスにより、ろ布表面に形成された主灰層を飛灰と共にろ布から容易に剥離させることができる。こうして、汚泥焼却灰(主灰)をろ過助剤として利用することができ、これによってバグフィルタの圧力損失の上昇を防ぐことができる。
【0009】
本発明に係る下水汚泥処理設備において、
前記粉砕物は、供給装置により前記バグフィルタの前段に供給されることが好ましい。
【0010】
本構成の下水汚泥処理設備によれば、供給装置によって主灰の粉砕物の供給量を調整することが可能となり、主灰の粉砕物をろ過助剤として利用するのに適した供給量で主灰の粉砕物をバグフィルタの前段に供給することができる。
【0011】
本発明に係る下水汚泥処理設備において、
前記粉砕物は、前記バグフィルタにおいて発生する負圧を利用して前記バグフィルタの前段に供給されることが好ましい。
【0012】
本構成の下水汚泥処理設備によれば、バグフィルタにおいて発生する負圧を利用することにより、バグフィルタの前段に粉砕物を供給するための特別な動力装置を別途設ける必要がなく、設備のイニシャルコスト及びランニングコストを共に抑えることができる。
【0013】
本発明に係る下水汚泥処理設備において、
前記排ガスを湿式処理する排ガス洗浄装置をさらに備えることが好ましい。
【0014】
本構成の下水汚泥処理設備によれば、排ガスを湿式処理する排ガス洗浄装置によって排ガス中の硫黄酸化物や酸性ガス成分等の有害物を除去して排ガスを洗浄することができる。
【0015】
本発明に係る下水汚泥処理設備において、
前記バグフィルタの前段に供給される前記主灰の粉砕物の粒径が5~100μmとなるように、前記粉砕機で粉砕した前記主灰の粉砕物を分級する分級機をさらに備えることが好ましい。
【0016】
主灰は、粒子が細かいほど排ガスの流れに乗り易いが、粒径が小さ過ぎると、主灰がろ布に目詰まりしたり、ろ布を通過して内部に滞留したりしてしまい、バグフィルタの圧力損失の上昇を招く虞がある。一方、粒径が大きすぎると、排ガスの流れに乗せるのが難しくなる。そこで、バグフィルタの前段に供給される主灰の粉砕物の粒径が5~100μmとなるように、粉砕機で粉砕した主灰の粉砕物を分級機によって分級することにより、主灰がろ布に目詰まりすることに起因するバグフィルタの圧力損失の上昇を防ぎつつ、排ガスの流れに乗せて主灰を確実にバグフィルタのろ布へと供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施形態に係る下水汚泥処理設備の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の第二実施形態に係る下水汚泥処理設備の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の別実施形態に係る下水汚泥処理設備の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることは意図しない。
【0019】
〔第一実施形態〕
図1は、本発明の第一実施形態に係る下水汚泥処理設備1Aの概略構成を示すブロック図である。
【0020】
<全体構成>
図1に示す下水汚泥処理設備1Aは、リン成分を含む下水汚泥を処理する設備であって、下水汚泥を焼却する焼却炉10と、焼却炉10からボイラ15を介して排気される排ガスを処理する排ガス処理手段20とを備えている。
【0021】
<焼却炉>
焼却炉10としては、例えば、砂層の下から高圧、高温の空気を吹き込んで砂と汚泥とを流動させながら燃焼させる流動床式焼却炉や、ストーカ上に供給された汚泥に対しストーカ下部から空気を供給して緩やかに燃焼させるストーカ式焼却炉などを用いることができる。焼却炉10において、汚泥焼却灰の大部分は主灰として後述する排出ライン31を介して排出され、残部の微細な灰は飛灰として後述するバグフィルタ21において捕集される。
【0022】
ここで、下水汚泥に含まれるリン成分の形態及び挙動について説明する。下水汚泥を焼却した場合、下水汚泥に含まれるリン成分は飛灰に含まれやすい。例えば、ストーカ式焼却炉から排出される汚泥焼却灰の数%が飛灰であるが、飛灰に含まれるリン成分の濃度は、主灰に含まれるリン成分の濃度の5倍程度である。主灰に含まれるリン成分は、主にリン酸塩(例えば、リン酸アルミニウム、リン酸ナトリウム、リン酸マグネシウムなど)として存在する。このため、ストーカ式焼却炉から排出される灰の大半が主灰であるが、リン成分は安定なリン酸塩として固定化されており、リン成分が溶出する虞は小さい。一方、飛灰に含まれるリン成分は、反応性に富むリン酸(無水リン酸、強リン酸、リン酸等)として存在し、さらにリン成分の濃度が高いため、潮解性や反応性を示しやすい。
【0023】
<排ガス処理手段>
排ガス処理手段20は、バグフィルタ21、排ガス洗浄装置23、誘引通風機25及び煙突29を含む。排ガス処理手段20においては、焼却炉10からボイラ15を介して排気された排ガスが、誘引通風機25の作動による誘引作用により、バグフィルタ21に導入され、その後、排ガス洗浄装置23で浄化された後に煙突29を介して外部へと排気される。
【0024】
<バグフィルタ>
バグフィルタ21は、ケーシングの内部に、所要のろ布が組み込まれてなるものである。ケーシングの内部には、ろ過処理前排ガス室及びろ過処理後排ガス室がそれぞれ区画形成され、ろ過処理前排ガス室内にろ布が配されるように吊り下げ支持されている。バグフィルタ21において、ろ過処理前排ガス室がボイラ15に連通され、ろ過処理後排ガス室が排ガス洗浄装置23に連通されている。そして、ボイラ15からの排ガスが、ろ過処理前排ガス室内に導入され、導入された排ガスがろ布を通過することでろ過されて排ガス中のダストが除去され、個々のろ布でダストが除去されたろ過処理後の排ガスが一旦、ろ過処理後排ガス室内に集められた後に、ろ過処理後排ガス室から誘引通風機25により引き抜かれて排ガス洗浄装置23へと送られる。
【0025】
<排ガス洗浄装置>
排ガス洗浄装置23は、洗浄水供給ラインから薬剤を添加した洗浄水が供給される吸収塔を備え、吸収塔において排ガスと洗浄水との気液接触により、排ガスを湿式処理にて洗浄するように構成されている。排ガス洗浄装置23において、排ガス中の硫黄酸化物や酸性ガス成分、ダイオキシン、重金属類等の有害物質の殆どは、洗浄水によって排ガスから分離・除去される。
【0026】
下水汚泥処理設備1Aは、粉砕機40及び供給装置50をさらに備えている。下水汚泥処理設備1Aにおいては、焼却炉10の主灰排出口から系外に主灰を排出する排出ライン31が設けられるとともに、供給装置50に主灰を搬送する搬送ライン33が排出ライン31から分岐する形態で設けられ、搬送ライン33の途中に粉砕機40が介設されている。
【0027】
<粉砕機>
例えば、下水汚泥処理設備1Aにおいてストーカ式焼却炉が用いられている場合、焼却炉10から排出される主灰は、高温で半溶融して数十mm程度の塊状となっているため、粉砕機40で粉砕する。粉砕機40は、搬送ライン33において、例えば、ベルトコンベヤ等の搬送装置によって送られてくる粒径が数十mm程度の主灰を、圧縮、衝撃、摩砕等の作用で数百μm以下(例えば、200μm以下)にまで粉砕する。粉砕機40としては、例えば、2個のロールを互いに噛み合うように回転させ、その間で主灰を圧縮粉砕するロールクラッシャーや、セラミックなどの硬質のボールと、主灰とを円筒形の容器に入れて回転させることによって主灰をすり潰すボールミル、多数のハンマーを外周に取り付けた円筒を回転させて衝撃や摩擦により主灰を粉砕するハンマーミルなどが挙げられる。粉砕機40で粉砕された主灰は、供給装置50へと送られる。
【0028】
<供給装置>
粉砕機40で粉砕された主灰の粉砕物は、供給装置50によってバグフィルタ21の前段、すなわちボイラ15とバグフィルタ21とを接続するダクト35に供給される。供給装置50としては、例えば、押込み気流を発生させるブロワ51と、粉砕機40から送られてくる主灰の粉砕物を貯留するサイロ53と、ブロワ51とダクト35とを接続するように配設される粉体輸送管55と、サイロ53に貯留されている主灰の粉砕物を粉体輸送管55内へと供給可能にそれらサイロ53と粉体輸送管55との間に介設されるフィーダ57とを備え、ブロワ51の作動によってダクト35へと向かう押込み気流を粉体輸送管55内に発生させながらサイロ53内に貯留されている主灰の粉砕物をフィーダ57によって粉体輸送管55内へと切出し供給することにより、主灰の粉砕物が粉体輸送管55内の押込み気流によって運ばれてダクト35内に吹き込むことができる構成のものを用いることができる。なお、供給装置50としては、上記のブロワ51等を用いる形態に限定されるものではなく、例えば、ベルトコンベヤ等の機械式搬送装置を用いてダクト35内に主灰の粉砕物を送り込むような構成のものも用いることができる。
【0029】
上記のような供給装置50によれば、フィーダ57の切出し量の調整によって主灰の粉砕物の供給量を調整することができるので、主灰の粉砕物をろ過助剤として利用するのに適した供給量で主灰の粉砕物をバグフィルタ21の前段に供給することができる。
【0030】
以上に述べたように構成される下水汚泥処理設備1Aにおいては、焼却炉10から排出ライン31を介して排出された主灰(汚泥焼却灰)の一部が粉砕機40に導入される。粉砕機40に導入された主灰は、粉砕機40で粉砕されることにより、排ガスの流れに乗せるには無理があるような塊状のものが主灰に含まれていたとしても、主灰の粉砕物の粒径を、排ガスの流れに乗せてバグフィルタ21のろ布へと供給するのに適した大きさ(例えば、200μm以下)にすることができる。
【0031】
粉砕機40での粉砕によって前処理が施された主灰の粉砕物が供給装置50によってバグフィルタ21の前段に供給されると、主灰の粉砕物は、排ガスの流れに乗ってバグフィルタ21のろ布表面に付着する。これにより、バグフィルタ21のろ布表面に主灰の粉砕物からなる主灰層が形成される。
【0032】
このような主灰層が形成されたろ布を通して排ガスが処理されると、排ガス中の飛灰が主灰層上で捕捉されることになり、ろ布に直接接触させることなく飛灰を捕集することができる。このため、飛灰中に含まれるリン酸等の潮解性物質が潮解を起こしたとしても、ろ布がその潮解性物質を含んだ飛灰によって目詰まりするようなことがなく、例えば、ろ布への圧縮空気の噴射による逆洗パルスにより、ろ布表面に形成された主灰層を飛灰と共にろ布から容易に剥離させることができる。こうして、汚泥焼却灰(主灰)をろ過助剤として利用することができ、飛灰の過剰な堆積を防止してバグフィルタの圧力損失の上昇を防ぐことができる。
【0033】
〔第二実施形態〕
図2は、本発明の第二実施形態に係る下水汚泥処理設備1Bの概略構成を示すブロック図である。第二実施形態において、第一実施形態と同一又は同様のものについては、図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとし、以下においては、第二実施形態に特有の部分を中心に説明することとする(後述する別実施形態についても同様)。
【0034】
図2に示すように、第二実施形態の下水汚泥処理設備1Bにおいては、粉砕機40での粉砕によって前処理が施された主灰の粉砕物をバグフィルタ21の前段に供給する供給ライン60が、搬送ライン33とダクト35とを接続する形態で設けられている。供給ライン60としては、例えば、ダクトによって構成することができる。このような形態では、誘引通風機25の作動による誘引作用によってバグフィルタ21において負圧が発生する。これにより、搬送ライン33を介して供給ライン60に導入された主灰の粉砕物がダクト35内に吸い込まれる。ダクト35内に吸い込まれた主灰の粉砕物は、排ガスの流れに乗ってバグフィルタ21のろ布表面に付着して、バグフィルタ21のろ布表面に主灰の粉砕物からなる主灰層が形成される。
【0035】
第二実施形態によっても、第一実施形態と同様の作用効果を得ることができる。さらに、第二実施形態によれば、バグフィルタ21において発生する負圧を利用して主灰の粉砕物をバグフィルタ21の前段に供給するようにされているため、バグフィルタ21の前段に粉砕物を供給するための特別な動力装置を別途設ける必要がなく、設備のイニシャルコスト及びランニングコストを共に抑えることができる。
【0036】
以上、本発明の下水汚泥処理設備について、複数の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【0037】
(別実施形態)
図3は、本発明の別実施形態に係る下水汚泥処理設備1C,1Dの概略構成を示すブロック図である。
図3(a)は、粉砕機40と供給装置50との間における搬送ライン33の途中に分級機70を配設した態様例である。
図3(b)は、粉砕機40と供給ライン60との間における搬送ライン33の途中に分級機70を配設した態様例である。
【0038】
図3(a)及び(b)に示す分級機70は、バグフィルタ21の前段に供給される主灰の粉砕物を分級する。主灰は、粒子が細かいほど排ガスの流れに乗り易いが、粒径が小さ過ぎると、主灰がろ布に目詰まりしたり、ろ布を通過して内部に滞留したりしてしまい、バグフィルタ21の圧力損失の上昇を招く虞がある。一方、粒径が大きすぎると、排ガスの流れに乗せるのが難しくなる。そこで、粉砕機40で粉砕された粒径が数百μm(例えば、200μm程度)の主灰の粉砕物を分級機70によって、例えば、5~100μm、好ましくは10~30μmに分級し、これをバグフィルタ21の前段に供給することにより、主灰がろ布に目詰まりすることに起因するバグフィルタ21の圧力損失の上昇を防ぎつつ、排ガスの流れに乗せて主灰をより確実にバグフィルタ21のろ布へと供給することができる。
【0039】
分級機70としては、例えば公知のスクリーン分級機や風力分級機を採用することができる。スクリーン分級機としては、例えば、振動源を用いて共振により直進振動を発生させ、主灰の粉砕物を重力で網を通過させる振動スクリーン式のものや、下部モータの偏心振動により主灰の粉砕物を流動させ、重力で網を通過させる振動篩式のもの、3又は4の偏心軸を付けて同調回転させ、円周運動により主灰の粉砕物を流動させて網を通過させるロータリシフタ式のもの、内部の撹拌羽根の押出しにより、強制的に網を通過させる撹拌篩式のものなどが挙げられる。一方、風力分級機としては、例えば、内部ロータにより遠心力を発生させ、微粉のみ外部ブロアにより吸引させて分級する強制遠心分離式のものや、内部ロータにより風を循環させ、主灰の粉砕物の比重差によって分級する比重選別式のもの、主灰の粉砕物を気流に乗せて管内に投入し、慣性と気流の抵抗を利用して、主灰の粉砕物の飛行軌跡の違いにより分級する重力慣性分離式のものなどが挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の下水汚泥処理設備は、リン成分を含む下水汚泥を処理する用途において利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1A~1D 下水汚泥処理設備
10 焼却炉
21 バグフィルタ
23 排ガス洗浄装置
50 供給装置
70 分級機