(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173234
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】開閉制御装置
(51)【国際特許分類】
H02P 7/06 20060101AFI20231130BHJP
A01G 9/24 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
H02P7/06 G
A01G9/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085348
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岩本 丈司
(72)【発明者】
【氏名】真野 茂
【テーマコード(参考)】
2B029
5H571
【Fターム(参考)】
2B029GA02
5H571BB07
5H571EE02
5H571HA04
5H571HA08
5H571JJ03
5H571JJ18
5H571LL22
5H571LL33
5H571LL43
5H571MM01
(57)【要約】
【課題】モータが動作していることをコントローラが認識すること。
【解決手段】開閉制御装置40は、コントローラ41と、駆動回路60と、を備える。駆動回路60は、スイッチング素子64,65と、電流検出回路70と、を備える。スイッチング素子64,65によって電源E1からモータ25に流れる電流の向きを変更することによって、ビニールハウスに設けられた開口部を開閉可能なフィルムが開方向に移動するか閉方向に移動するかが切り替えられる。電流検出回路70は、電源E1から流れる電流が閾値以上の場合に、コントローラ41に動作信号を出力する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源からモータに流れる電流の向きを変更することによって、ビニールハウスに設けられた開口部を開閉可能なフィルムが開方向に移動するか閉方向に移動するかを切り替える開閉制御装置であって、
前記モータに流れる電流の向きを変更するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子を制御するコントローラと、
前記電源から流れる電流が閾値以上の場合に、前記コントローラに動作信号を出力する電流検出回路を備える、開閉制御装置。
【請求項2】
前記電流検出回路は、
前記電流が閾値以上の場合にオンになる検出用スイッチング素子と、
前記検出用スイッチング素子がオンになることによって前記動作信号を出力する出力用スイッチング素子と、を備える、請求項1に記載の開閉制御装置。
【請求項3】
前記電流検出回路は、
オペアンプと、
前記電流が閾値以上の場合に前記オペアンプから出力される信号によってオンすることで前記動作信号を出力する出力用スイッチング素子と、を備える請求項1に記載の開閉制御装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記モータの動作開始から予め定められた動作標準時間が経過したか否かを判定し、
前記動作標準時間が経過した時点で前記動作信号が出力されている場合、前記モータを停止させる、請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載の開閉制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、開閉制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示のように、ビニールハウスは、フィルム装置を備える。特許文献1に開示のフィルム装置は、フィルムと、モータと、軸部と、コントローラと、リミットスイッチと、を備える。コントローラは、モータに電流が流れるように制御を行う。モータの動作によって軸部は、上下方向に移動する。軸部は、フィルムを巻き取りながら上方に移動することで開口部を開ける。軸部はフィルムを送り出しながら下方に移動することで開口部を閉じる。軸部が予め定められた位置に到達すると、リミットスイッチがオフすることによって、モータへの通電が遮断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、モータが動作しているか停止しているかをコントローラが認識することができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する開閉制御装置は、電源からモータに流れる電流の向きを変更することによって、ビニールハウスに設けられた開口部を開閉可能なフィルムが開方向に移動するか閉方向に移動するかを切り替える開閉制御装置であって、前記モータに流れる電流の向きを変更するスイッチング素子と、前記スイッチング素子を制御するコントローラと、前記電源から流れる電流が閾値以上の場合に、前記コントローラに動作信号を出力する電流検出回路を備える。
【0006】
上記開閉制御装置について、前記電流検出回路は、前記電流が閾値以上の場合にオンになる検出用スイッチング素子と、前記検出用スイッチング素子がオンになることによって前記動作信号を出力する出力用スイッチング素子と、を備えていてもよい。
【0007】
上記開閉制御装置について、前記電流検出回路は、オペアンプと、前記電流が閾値以上の場合に前記オペアンプから出力される信号によってオンすることで前記動作信号を出力する出力用スイッチング素子と、を備えていてもよい。
【0008】
上記開閉制御装置について、前記コントローラは、前記モータの動作開始から予め定められた動作標準時間が経過したか否かを判定し、前記動作標準時間が経過した時点で前記動作信号が出力されている場合、前記モータを停止させてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、モータが動作していることをコントローラが認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】フィルム開閉装置及び開閉制御装置の回路図である。
【
図4】フィルム装置が正常な場合の動作を示すタイミングチャートである。
【
図5】フィルム装置に異常が生じた場合の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
開閉制御装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、ビニールハウス10は、開口部11を備える。ビニールハウス10には、フィルム装置20が設けられている。フィルム装置20は、軸部21と、フィルム22と、ガイド軸23と、フィルム開閉装置24と、を備える。軸部21には、フィルム22が巻き付けられる。ガイド軸23は、ビニールハウス10に沿って設けられている。軸部21は、ガイド軸23に沿って上下方向に移動する。フィルム22は、開口部11を開閉可能に設けられている。軸部21は、フィルム22を巻き取りながら上方に移動することで開口部11を開ける。軸部21が上方に移動する方向が、開方向である。軸部21はフィルム22を送り出しながら下方に移動することで開口部11を閉じる。軸部21が下方に移動する方向が閉方向である。
【0012】
<フィルム開閉装置>
図2に示すように、フィルム開閉装置24は、モータ25と、上端リミットスイッチ26と、上端ダイオード27と、下端リミットスイッチ28と、下端ダイオード29と、を備える。フィルム開閉装置24は、例えば、軸部21とともにガイド軸23に沿って上下方向に移動するように設けられている。
【0013】
モータ25は、直流モータである。モータ25は、モータ25に流れる電流の向きによって回転方向が反転する。モータ25の回転によって軸部21は上下方向に移動する。以下の説明において、軸部21を上方に移動させる際のモータ25の回転方向を正方向、軸部21を下方に移動させる際のモータ25の回転方向を逆方向と称する。
【0014】
上端リミットスイッチ26は、モータ25に直列接続されている。上端リミットスイッチ26は、軸部21が予め定められた上端位置に到達するとオフする。上端ダイオード27は、上端リミットスイッチ26に並列接続されている。上端ダイオード27のアノードがモータ25に接続されるように上端ダイオード27は設けられている。
【0015】
下端リミットスイッチ28は、モータ25に直列接続されている。下端リミットスイッチ28は、軸部21が予め定められた下限位置に到達するとオフする。下端ダイオード29は、下端リミットスイッチ28に並列接続されている。下端ダイオード29のアノードがモータ25に接続されるように下端ダイオード29は設けられている。
【0016】
図3に示すように、フィルム装置20は、回転体30A,30Bを備える。回転体30A,30Bは、モータ25に従動して回転する。回転体30Aは、突部31Aを備える。回転体30Bは、突部31Bを備える。回転体30A,30Bは、上端リミットスイッチ26及び下端リミットスイッチ28のそれぞれに対応して1つずつ設けられている。上端リミットスイッチ26に対応する回転体30Aを上端回転体30Aとする。モータ25の正回転によって軸部21が上限位置に達すると、上端回転体30Aの突部31Aが上端リミットスイッチ26を押すことによって上端リミットスイッチ26がオフになる。下端リミットスイッチ28に対応する回転体30Bを下端回転体30Bとする。モータ25の逆回転によって軸部21が下限位置に達すると、下端回転体30Bの突部31Bが下端リミットスイッチ28を押すことによって下端リミットスイッチ28がオフになる。
【0017】
<開閉制御装置>
図2に示すように、フィルム装置20は、開閉制御装置40を備える。開閉制御装置40は、コントローラ41と、駆動回路60と、を備える。
【0018】
コントローラ41は、第1ポート42と、第2ポート43と、第3ポート44と、第4ポート45と、第5ポート46と、第1接点47と、第2接点50と、フォトカプラ53と、プロセッサ57と、を備える。
【0019】
第1接点47は、第1端部48と、第2端部49と、を備える。第2接点50は、第1端部51と、第2端部52と、を備える。第1接点47の第1端部48と第2接点50の第1端部51とは短絡されている。第1接点47の第1端部48、及び第2接点50の第1端部51とは第1ポート42に接続されている。第1接点47の第2端部49は、第2ポート43に接続されている。第2接点50の第2端部52は、第3ポート44に接続されている。
【0020】
フォトカプラ53は、フォトダイオード54と、フォトトランジスタ56と、を備える。フォトダイオード54のアノードは、抵抗素子55を介して第4ポート45に接続されている。フォトダイオード54のカソードは、第5ポート46に接続されている。フォトトランジスタ56は、フォトダイオード54が発した光を受光するとオンになる。
【0021】
プロセッサ57は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ57は、第1接点47の開閉、及び第2接点50の開閉を制御する。
駆動回路60は、フィルム開閉装置24と、コントローラ41と、の間に設けられている。
【0022】
駆動回路60は、第1接続線61と、第2接続線62と、第3接続線63と、2つのスイッチング素子64,65と、電流検出回路70と、を備える。第1接続線61は、電源E1の正極に接続されている。電源E1の負極は、第1ポート42に接続されている。第2接続線62は、第2ポート43に接続されている。第2接続線62は、下端リミットスイッチ28に接続されている。第3接続線63は、第3ポート44に接続されている。第3接続線63は、上端リミットスイッチ26に接続されている。
【0023】
2つのスイッチング素子64,65は、第1スイッチング素子64と、第2スイッチング素子65と、を含む。第1スイッチング素子64、及び第2スイッチング素子65としては、例えば、トランジスタ、及びリレーを挙げることができる。第1スイッチング素子64は、第1接続線61と第2接続線62とを接続している。第1スイッチング素子64は、第3接続線63と第1接続線61との間の電圧によってオンするように設けられている。例えば、第1スイッチング素子64がトランジスタであれば、第1接続線61と第3接続線63との間で直列接続された抵抗素子の中点を第1スイッチング素子64のベースに接続すればよい。第2スイッチング素子65は、第1接続線61と第3接続線63とを接続している。第2スイッチング素子65は、第2接続線62と第1接続線61との間の電圧によってオンするように設けられている。例えば、第2スイッチング素子65がトランジスタであれば、第1接続線61と第2接続線62との間で直列接続された抵抗素子の中点を第2スイッチング素子65のベースに接続すればよい。
【0024】
電流検出回路70は、電流検出部71と、動作信号出力部75と、を備える。電流検出部71は、検出用抵抗素子72と、ダイオード73と、検出用スイッチング素子74と、を備える。検出用抵抗素子72は、第1接続線61に設けられている。ダイオード73は、検出用抵抗素子72に並列接続されている。ダイオード73のアノードは、電源E1の正極に接続されている。
【0025】
検出用スイッチング素子74としてトランジスタを用いているが、検出用スイッチング素子74としては、任意のスイッチング素子を用いることができる。検出用スイッチング素子74は、第1接続線61に閾値以上の電流が流れた際にオンするように設けられている。検出用スイッチング素子74のエミッタとベースとの間に検出用抵抗素子72が位置するように、検出用スイッチング素子74は設けられている。検出用スイッチング素子74のエミッタ-ベース間に加わる電圧は、検出用抵抗素子72の抵抗値[Ω]によって異なる。第1接続線61に閾値以上の電流が流れた際に検出用スイッチング素子74のエミッタ-ベース間に検出用スイッチング素子74がオンになる電圧(例えば、0.7V)が加わるように検出用抵抗素子72を設定する。これによって、第1接続線61に流れる電流が閾値以上の場合に検出用スイッチング素子74はオンする。閾値としては、モータ25が動作している際に検出用スイッチング素子74がオンするように設定されている。モータ25が動作している場合、モータ25が停止している場合に比べて第1接続線61に流れる電流が大きくなる。例えば、モータ25が停止している場合には、数十[mA]の電流が第1接続線61を流れるのに対して、モータ25が動作している場合には、数百[mA]の電流が第1接続線61を流れる。モータ25が停止している場合に第1接続線61に流れる電流よりも大きく、かつ、モータ25が動作している場合に第1接続線61に流れる電流よりも小さい値を閾値として設定する。これにより、検出用スイッチング素子74は、第1接続線61に閾値以上の電流が流れた際にオンする。第1接続線61に流れる電流は、電源E1から流れる電流である。
【0026】
動作信号出力部75は、出力用スイッチング素子76と、ベース抵抗77と、抵抗素子79と、2つのダイオード78,80と、を備える。出力用スイッチング素子76としてトランジスタを用いているが、出力用スイッチング素子76としては、任意のスイッチング素子を用いることができる。出力用スイッチング素子76のベースは、ベース抵抗77を介して検出用スイッチング素子74のコレクタに接続されている。出力用スイッチング素子76のコレクタは、第5ポート46に接続されている。出力用スイッチング素子76のエミッタは、ダイオード78を介して第2接続線62に接続されている。出力用スイッチング素子76のベースとベース抵抗77との間は、抵抗素子79及びダイオード80を介して第3接続線63に接続されている。第4ポート45は、電源E1の正極に接続されている。
【0027】
動作信号出力部75は、コントローラ41に動作信号を出力する。動作信号は、モータ25の動作中に出力される信号である。検出用スイッチング素子74がオンになると、出力用スイッチング素子76のベース-エミッタ間に電圧が加わる。これによって、出力用スイッチング素子76がオンする。出力用スイッチング素子76がオンすることによって出力用スイッチング素子76からコントローラ41に電気信号が出力される。この電気信号が動作信号である。詳細にいえば、出力用スイッチング素子76がオンすると、第4ポート45に電気信号である動作信号が入力される。第4ポート45に動作信号が入力されることによってフォトダイオード54が発光する。フォトトランジスタ56は、フォトダイオード54が発した光を受光するとオンになる。フォトトランジスタ56がオンになることで、フォトトランジスタ56は、ハイレベル又はローレベルの信号をコントローラ41に出力する。フォトトランジスタ56がハイレベルの信号を出力するか、ローレベルの信号を出力するかは、プルアップ抵抗をフォトトランジスタ56に接続するか、プルダウン抵抗をフォトトランジスタ56に接続するかによって異なる。コントローラ41は、フォトトランジスタ56から入力される信号によって、動作信号の有無を認識できる。言い換えれば、コントローラ41は、モータ25が動作しているか否かを認識できる。
【0028】
<コントローラが行う制御>
コントローラ41は、開口部11の開閉に関する制御を行う。コントローラ41は、第1接点47及び第2接点50を制御することによってスイッチング素子64,65を制御する。
【0029】
図4に示すように、開口部11を開ける場合、時刻T1でコントローラ41は第1接点47をオンにする。第1接点47をオンする時刻T1は、モータ25の動作開始時刻である。第2接点50をオフである。開口部11を開ける場合、フィルム22を下端位置から上端位置に向けて開方向に移動させる。
【0030】
第1接点47がオンすると、第2スイッチング素子65がオンする。第2スイッチング素子65がオンすると、電源E1の正極→第2スイッチング素子65→上端リミットスイッチ26→モータ25→下端リミットスイッチ28又は下端ダイオード29→電源E1の負極の経路で電流が流れる。モータ25が正回転することによって軸部21は上昇していく。軸部21が上端位置まで上昇すると、上端リミットスイッチ26がオフする。上端リミットスイッチ26がオフすることによってモータ25への電流が遮断される。これによって、モータ25が停止する。コントローラ41は、モータ25が停止すると、第1接点47をオフにする。
【0031】
コントローラ41は、第1接点47をオンすると、計時を開始する。計時は、コントローラ41のタイマ機能を用いて行われる。コントローラ41は、予め定められた動作標準時間T11が経過したか否かを判定する。コントローラ41は、動作標準時間T11が経過すると、時刻T2でタイマ信号を出力する。動作標準時間T11とは、軸部21を下端位置から上端位置、あるいは、上端位置から下端位置に移動させるのに要すると想定される時間にマージンを加えた時間である。即ち、動作標準時間T11は、開口部11の開閉を行う際に、モータ25が動作すると想定される時間にマージンを加えた時間である。フィルム装置20に異常が生じていない場合、動作標準時間T11の経過時には、モータ25が停止している。コントローラ41は、動作標準時間T11の経過時に、動作信号が出力されているか否かを判定する。コントローラ41は、動作標準時間T11の経過時に、動作信号が出力されていなければ、フィルム装置20が正常に動作していると判定できる。
【0032】
図5に示すように、フィルム装置20に異常が生じている場合、タイマ信号が出力される時点であっても動作信号が出力されている場合がある。この場合、コントローラ41は、フィルム装置20に異常が生じていると判定する。そして、コントローラ41は、モータ25を停止させる。例えば、コントローラ41は、第1接点47及び第2接点50の両方をオフにする。
【0033】
図4に示すように、開口部11を閉じる場合、コントローラ41は時刻T3で第2接点50をオンにする。第2接点50をオンする時刻T3は、モータ25の動作開始時刻である。第1接点47はオフである。開口部11を閉じる場合、フィルム22を上端位置から下端位置に向けて閉方向に移動させる。
【0034】
第2接点50がオンすると、第1スイッチング素子64がオンする。第1スイッチング素子64がオンすると、電源E1の正極→第1スイッチング素子64→下端リミットスイッチ28→モータ25→上端リミットスイッチ26又は上端ダイオード27→電源E1の負極の経路で電流が流れる。モータ25が逆回転することによって軸部21は下降していく。軸部21が下端位置まで下降すると、下端リミットスイッチ28がオフする。下端リミットスイッチ28がオフすることによってモータ25への電流が遮断される。これによって、モータ25が停止する。このように、スイッチング素子64,65によって電源E1からモータ25に流れる電流の向きを変更することによって、ビニールハウス10に設けられた開口部11を開閉可能なフィルム22が開方向に移動するか閉方向に移動するかが切り替えられる。
【0035】
コントローラ41は、第2接点50をオンすると、計時を開始する。コントローラ41は、動作標準時間T11が経過する時刻T4の前に動作信号の出力が停止するか否かを判定することによってフィルム装置20に異常が生じているか否かを判定できる。
【0036】
[本実施形態の作用]
電源E1から流れる電流が閾値以上の場合に、電流検出回路70は動作信号を出力する。動作信号の有無によってコントローラ41は、モータ25が駆動しているか否かを判定できる。本実施形態であれば、動作信号の有無をフォトカプラ53によってプロセッサ57が認識することができる。
【0037】
[本実施形態の効果]
(1)モータ25が動作している場合、モータ25が停止している場合に比べて電源E1から流れる電流が大きくなる。電流検出回路70は、これを利用することによって、モータ25が動作している場合に動作信号を出力する。動作信号の有無によってコントローラ41は、モータ25が動作しているか否かを判定できる。
【0038】
(2)電流検出回路70は、検出用スイッチング素子74と、出力用スイッチング素子76と、を備える。検出用スイッチング素子74は、電源E1から流れる電流が閾値以上の場合にオンになる。出力用スイッチング素子76は、検出用スイッチング素子74がオンになることによって動作信号を出力する。これにより、コントローラ41が、モータ25が動作しているか否かを判定できる。
【0039】
(3)コントローラ41は、モータ25の動作開始から予め定められた動作標準時間T11が経過したか否かを判定している。コントローラ41は、動作標準時間T11が経過した時点で動作信号が出力されている場合、モータ25を停止させる。動作標準時間T11が経過した時点でモータ25が動作している場合、軸部21が上端位置、あるいは下端位置に到達したにも関わらず、フィルム装置20の異常によってモータ25の動作が継続している場合がある。この場合、モータ25の動作を継続させると、フィルム装置20の破損の原因になるおそれがある。動作標準時間T11が経過した時点で動作信号が出力されている場合にモータ25を停止させることによって、フィルム装置20の破損を抑制できる。
【0040】
(4)駆動回路60は、スイッチング素子64,65を備える。スイッチング素子64,65によってモータ25に流れる電流の向きを変更することができる。これによって、モータ25の正回転と逆回転との切り替えが可能である。駆動回路60を用いずに、コントローラの接点のみによってモータ25に流れる電流の向きを変更しようとすると、接点としてc接点を用いる必要があり専用のコントローラを用いる必要がある。また、接点としてa接点を用いるコントローラの場合、4つのポートを用いる必要がある。このように、コントローラの接点のみによってモータ25に流れる電流の向きを変更しようとすると、高価なコントローラを用いる必要がある。
【0041】
これに対し、駆動回路60を用いることでスイッチング素子64,65を用いてモータ25に流れる電流の向きを変更することができる。駆動回路60を用いることで、汎用のコントローラ41を用いて、モータ25に流れる電流の向きを変更することができる。
【0042】
(5)コントローラ41は、軸部21を上昇させた後には、第1接点47をオフにする。フィルム装置20に衝撃や振動が加わることによって突部31Aによって上端リミットスイッチ26がオフされなくなった場合に、軸部21が上端位置を超えて上昇することを抑制できる。コントローラ41は、軸部21を下降させた後には、第2接点50をオフにする。フィルム装置20に衝撃や振動が加わることによって突部31Bによって下端リミットスイッチ28がオフされなくなった場合に、軸部21が下端位置を超えて下降することを抑制できる。
【0043】
[変更例]
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0044】
・
図6に示すように、電流検出部71を変更してもよい。
図6に示す電流検出部71は、オペアンプ81を備える。オペアンプ81の反転入力端子は、検出用抵抗素子72とダイオード73のカソードとの接続点に接続されている。ダイオード73のアノードと検出用抵抗素子72の接続点には、2つの分圧抵抗82,83が直列接続されている。2つの分圧抵抗82,83は、ダイオード84を介して第2接続線62に接続されている。2つの分圧抵抗82,83は、ダイオード85を介して第3接続線63に接続されている。オペアンプ81の非反転入力端子は、2つの分圧抵抗82,83の接続点に接続されている。オペアンプ81の出力端子は、ベース抵抗77を介して出力用スイッチング素子76のベースに接続されている。
【0045】
オペアンプ81は、検出用抵抗素子72の両端の電位差を増幅して出力する。検出用抵抗素子72の抵抗値、及び分圧抵抗82,83の抵抗値としては、第1接続線61に流れる電流が閾値以上の場合に、オペアンプ81の出力によって出力用スイッチング素子76がオンするように設定されている。これにより、第1接続線61に閾値以上の電流が流れると、出力用スイッチング素子76は、動作信号を出力する。
【0046】
・
図7に示すように、駆動回路60を変更してもよい。
図7に示す駆動回路60は、4つのスイッチング素子91,92,93,94と、制御回路95と、を備える。4つのスイッチング素子91,92,93,94のうち2つのスイッチング素子91,92は、第1接続線61と第2接続線62との間で直列接続されている。2つのスイッチング素子91,92の接続点は、下端リミットスイッチ28に接続されている。4つのスイッチング素子91,92,93,94のうち2つのスイッチング素子93,94は、第1接続線61と第2接続線62との間で直列接続されている。2つのスイッチング素子93,94の接続点は、上端リミットスイッチ26に接続されている。制御回路95は、4つのスイッチング素子91,92,93,94を制御する。制御回路95は、第3接続線63によって第3ポート44に接続されている。
【0047】
駆動回路60では、第1接点47によってモータ25の動作が指示される。また、第2接点50によってモータ25の回転方向が指示される。例えば、第1接点47がオンであって第2接点50がオンの場合には、モータ25が正回転する。第1接点47がオンであって第2接点50がオフの場合には、モータ25が逆回転する。制御回路95は、第2接点50がオンの場合には、モータ25が正回転するようにスイッチング素子91,92,93,94を制御する。制御回路95は、第2接点50がオフの場合には、モータ25が逆回転するようにスイッチング素子91,92,93,94を制御する。
【0048】
・電流検出回路70として、第1接続線61に流れる電流を検出する電流センサを用いてもよい。この場合、電流センサから出力される信号であって第1接続線61に流れる電流が閾値以上であることを示す信号が動作信号である。
【符号の説明】
【0049】
10…ビニールハウス、11…開口部、25…モータ、40…開閉制御装置、41…コントローラ、64,65…スイッチング素子、70…電流検出回路、74…検出用スイッチング素子、76…出力用スイッチング素子、81…オペアンプ。