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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173235
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】光学式センサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/47 20060101AFI20231130BHJP
   H01L 31/12 20060101ALI20231130BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G01N21/47 F
H01L31/12 E
G03G15/00 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085353
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】犬塚 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】神川 和也
(72)【発明者】
【氏名】大湊 寛之
(72)【発明者】
【氏名】横井 淳一
【テーマコード(参考)】
2G059
2H270
5F889
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB09
2G059BB10
2G059DD12
2G059DD13
2G059EE02
2G059GG02
2G059KK01
2G059LL01
2G059NN06
2H270LD02
2H270LD03
2H270MD05
5F889BA05
5F889BB02
5F889BB06
5F889BC02
5F889BC11
5F889BC15
5F889BC23
5F889BC24
5F889BC25
5F889CA04
5F889CA06
5F889CA21
5F889DA17
5F889EA01
5F889EA08
(57)【要約】
【課題】発光素子とレンズを高い精度で位置合わせすることができる光学式センサを提供することを目的とする。
【解決手段】光学式センサ100は、トナーからなるパッチPを検出するセンサであって、基板110と、光を出射する発光素子120と、パッチPで反射された光の正反射成分を受光する第1受光素子130と、パッチPで反射された光の拡散反射成分を受光する第2受光素子140と、発光素子120から出射された光が通る発光用レンズ150を備える。発光素子120は、基板110の表面111に位置する。発光用レンズ150は、発光素子120が嵌まる嵌合部151を有する。嵌合部151は、表面111に沿った方向において発光素子120と接触する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーからなるパッチを検出する光学式センサであって、
表面と裏面を有する基板と、
光を出射する発光素子であって、前記基板の前記表面に位置する発光素子と、
前記パッチで反射された前記発光素子の光の正反射成分を受光する第1受光素子と、
前記パッチで反射された前記発光素子の光の拡散反射成分を受光する第2受光素子と、
前記発光素子から出射された光が通る発光用レンズであって、
前記発光素子が嵌まる嵌合部であって、前記基板の前記表面に沿った方向において前記発光素子と接触する嵌合部を有する発光用レンズと、を備えることを特徴とする光学式センサ。
【請求項2】
前記発光用レンズは、さらに、
前記基板の前記表面と接触する基板接触面を備えることを特徴とする請求項1に記載の光学式センサ。
【請求項3】
前記基板を保持するホルダをさらに備え、
前記ホルダは、
前記発光素子と前記第1受光素子の間に位置する第1遮光壁と、
前記発光素子と前記第2受光素子の間に位置する第2遮光壁と、を有することを特徴とする請求項1に記載の光学式センサ。
【請求項4】
前記ホルダは、
前記発光素子から出射される光が通る発光用孔と、
前記パッチで反射された前記発光素子の光の正反射成分を前記第1受光素子に導くための第1受光用孔と、
前記パッチで反射された前記発光素子の光の拡散反射成分を前記第2受光素子に導くための第2受光用孔と、を有することを特徴とする請求項3に記載の光学式センサ。
【請求項5】
前記基板は、第1孔と第2孔を有し、
前記第1遮光壁は、前記第1孔に入る第1脚部を有し、
前記第2遮光壁は、前記第2孔に入る第2脚部を有することを特徴とする請求項3に記載の光学式センサ。
【請求項6】
前記パッチで反射された前記発光素子の光の正反射成分を前記第1受光素子に導くための第1受光用レンズをさらに備え、
前記第1受光素子は、前記基板の前記表面に位置し、
前記第1受光用レンズは、
前記第1受光素子が嵌まる第1嵌合部であって、前記基板の前記表面に沿った方向において前記第1受光素子と接触する第1嵌合部を有することを特徴とする請求項1に記載の光学式センサ。
【請求項7】
前記パッチで反射された前記発光素子の光の拡散反射成分を前記第2受光素子に導くための第2受光用レンズをさらに備え、
前記第2受光素子は、前記基板の前記表面に位置し、
前記第2受光用レンズは、
前記第2受光素子が嵌まる第2嵌合部であって、前記基板の前記表面に沿った方向において前記第2受光素子と接触する第2嵌合部を有することを特徴とする請求項6に記載の光学式センサ。
【請求項8】
前記パッチで反射された前記発光素子の光の正反射成分を前記第1受光素子に導くための第1受光用レンズと、
前記パッチで反射された前記発光素子の光の拡散反射成分を前記第2受光素子に導くための第2受光用レンズをさらに備え、
前記発光用レンズ、前記第1受光用レンズおよび前記第2受光用レンズは、一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学式センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーからなるパッチを検出する光学式センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学式センサとして、発光素子と、2つの受光素子と、基板と、レンズと、ケースとを備えるものが知られている(特許文献1参照)。発光素子および各受光素子は、基板にはんだ付けされている。レンズは、ケースに保持されている。基板は、孔を有する。ケースは、基板の孔に嵌合する凸部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-195066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、発光素子とレンズの間に、はんだ、基板およびケースの3部品が介在するため、発光素子とレンズの位置合わせの精度が悪いという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、発光素子とレンズを高い精度で位置合わせすることができる光学式センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る光学式センサは、トナーからなるパッチを検出するセンサであって、基板と、発光素子と、第1受光素子と、第2受光素子と、発光用レンズと、を備える。
基板は、表面と裏面を有する。
発光素子は、光を出射する素子である。発光素子は、基板の表面に位置する。
第1受光素子は、パッチで反射された発光素子の光の正反射成分を受光する。
第2受光素子は、パッチで反射された発光素子の光の拡散反射成分を受光する。
発光用レンズは、発光素子から出射された光が通るレンズである。発光用レンズは、嵌合部を有する。
嵌合部には、発光素子が嵌まる。嵌合部は、基板の表面に沿った方向において発光素子と接触する。
【0007】
この構成によれば、発光用レンズの嵌合部が発光素子に嵌まるので、発光用レンズと発光素子を基板の表面に沿う方向において高い精度で位置合わせすることができる。
【0008】
また、発光用レンズは、さらに、基板の表面と接触する基板接触面を備えていてもよい。
【0009】
この構成によれば、発光用レンズの基板接触面が基板の表面に接触するので、発光用レンズと発光素子を基板の表面に垂直な方向において高い精度で位置合わせすることができる。
【0010】
また、光学式センサは、基板を保持するホルダをさらに備えていてもよい。ホルダは、発光素子と第1受光素子の間に位置する第1遮光壁と、発光素子と第2受光素子の間に位置する第2遮光壁と、を有していてもよい。
【0011】
この構成によれば、発光素子が出射する光が直接に第1受光素子および第2受光素子に向かうのを、第1遮光壁および第2遮光壁によって抑えることができる。
【0012】
また、ホルダは、発光素子から出射される光が通る発光用孔と、パッチで反射された発光素子の光の正反射成分を第1受光素子に導くための第1受光用孔と、パッチで反射された発光素子の光の拡散反射成分を第2受光素子に導くための第2受光用孔と、を有していてもよい。
【0013】
また、基板は、第1孔と第2孔を有し、第1遮光壁は、第1孔に入る第1脚部を有し、第2遮光壁は、第2孔に入る第2脚部を有していてもよい。
【0014】
また、光学式センサは、パッチで反射された発光素子の光の正反射成分を第1受光素子に導くための第1受光用レンズをさらに備えていてもよい。第1受光素子は、基板の表面に位置し、第1受光用レンズは、第1受光素子が嵌まる第1嵌合部であって、基板の表面に沿った方向において第1受光素子と接触する第1嵌合部を有していてもよい。
【0015】
この構成によれば、第1受光用レンズが第1受光素子に嵌まるので、第1受光用レンズと第1受光素子を高い精度で位置合わせすることができる。
【0016】
また、光学式センサは、パッチで反射された発光素子の光の拡散反射成分を第2受光素子に導くための第2受光用レンズをさらに備えていてもよい。第2受光素子は、基板の表面に位置し、第2受光用レンズは、第2受光素子が嵌まる第2嵌合部であって、基板の表面に沿った方向において第2受光素子と接触する第2嵌合部を有していてもよい。
【0017】
この構成によれば、第2受光用レンズが第2受光素子に嵌まるので、第2受光用レンズと第2受光素子を高い精度で位置合わせすることができる。
【0018】
また、光学式センサは、パッチで反射された発光素子の光の正反射成分を第1受光素子に導くための第1受光用レンズと、パッチで反射された発光素子の光の拡散反射成分を第2受光素子に導くための第2受光用レンズをさらに備えていてもよい。発光用レンズ、第1受光用レンズおよび第2受光用レンズは、一体に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、発光素子と発光用レンズを高い精度で位置合わせすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態に係る光学式センサを備えたカラープリンタの断面図である。
図2】ベルトユニットと光学式センサの関係を示す斜視図である。
図3】光学式センサを示す斜視図(a)と、光学式センサを分解して示す斜視図(b)である。
図4】光学式センサを示す断面図である。
図5】第2実施形態に係る光学式センサを示す断面図(a)と、第3実施形態に係る光学式センサを示す断面図(b)である。
図6】第4実施形態に係る光学式センサを示す断面図(a)と、図6(a)のI-I断面図(b)である。
図7】第5実施形態に係る光学式センサの発光用レンズを示す断面図である。
図8】第6実施形態に係る光学式センサを示す断面図(a)と、図8(a)のII-II断面図(b)である。
図9】第7実施形態に係る光学式センサの嵌合部を示す図(a)と、図9(a)の形態の変形例を示す図(b)~(e)と、第1実施形態の変形例を示す(f)である。
図10】第8実施形態に係る光学式センサのレンズを示す断面図である。
図11】第9実施形態に係る光学式センサの発光用レンズを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、カラープリンタ1は、本体筐体10と、供給部20と、画像形成部30と、排出部90とを備えている。
【0022】
供給部20は、供給トレイ21と、シート供給装置22とを備えている。供給トレイ21は、シートSを収容するトレイである。シート供給装置22は、供給トレイ21内のシートSを画像形成部30に向けて搬送する。
【0023】
画像形成部30は、4つのLEDユニット40と、4つのプロセスカートリッジ50と、ベルトユニット70と、定着装置80とを備えている。
【0024】
LEDユニット40は、複数のLEDを有する。LEDユニット40は、後述する感光ドラム51を露光する。
【0025】
プロセスカートリッジ50は、感光ドラム51、帯電器52、符号を省略して示す現像ローラ、トナー収容室などを備えている。プロセスカートリッジ50は、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの各色のトナーが入った50K,50C,50M,50Yの符号で示すものがシートSの搬送方向において、下流側から上流側に向けて、50K,50C,50M,50Yの順で並んで配置されている。
【0026】
ベルトユニット70は、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、搬送ベルト73と、4つの転写ローラ74とを備えている。
【0027】
駆動ローラ71および従動ローラ72は、搬送ベルト73を回転させるローラである。駆動ローラ71および従動ローラ72は、搬送ベルト73の内周面に接触する。
【0028】
搬送ベルト73は、各感光ドラム51との間でシートSを搬送するベルトである。搬送ベルト73の外周面は、各感光ドラム51と接触している。転写ローラ74は、感光ドラム51との間で搬送ベルト73を挟んでいる。
【0029】
定着装置80は、加熱ローラ81と、加圧ローラ82とを備えている。加熱ローラ81は、ハロゲンヒータ81Aを内部に備える。加圧ローラ82は、加熱ローラ81との間でシートSを挟む。
【0030】
画像形成部30では、まず、感光ドラム51の表面が、帯電器52により帯電された後、LEDユニット40で露光される。これにより、感光ドラム51上に静電潜像が形成される。その後、静電潜像に現像ローラからトナーが供給されることで、感光ドラム51上にトナー像が形成される。
【0031】
次に、搬送ベルト73上に供給されたシートSが感光ドラム51と転写ローラ74との間を通過することで、感光ドラム51上に形成されたトナー像がシートS上に転写される。そして、シートSが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過することで、シートS上に転写されたトナー像が熱定着される。
【0032】
排出部90は、定着装置80から排出されたシートSを本体筐体10の外に向けて搬送するように構成されている。排出部90は、搬送ローラ91と、排出ローラ92とを備えている。定着装置80から排出されたシートSは、搬送ローラ91により排出ローラ92に搬送され、排出ローラ92によって排出トレイ11に排出される。
【0033】
図1および図2に示すように、画像形成部30は、光学式センサ100と、レジセンサRSとをさらに備えている。光学式センサ100およびレジセンサRSは、搬送ベルト73の駆動ローラ71側の端部に対向して配置されている。
【0034】
レジセンサRSは、搬送ベルト73上に形成された、トナーからなるパッチPの位置を検出するセンサである。ここで、パッチPは、トナーの色ずれや濃度の補正などを行うためのテスト用のトナー像である。パッチPは、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの各色に対応したパッチPK,PC,PM,PYとして搬送ベルト73に形成される。パッチPは、トナーの色ずれや濃度の補正などを行う際に、各感光ドラム51から搬送ベルト73に転写される。レジセンサRSは、図示せぬ発光素子と受光素子をそれぞれ1つずつ有する。
【0035】
光学式センサ100は、搬送ベルト73上に形成された、トナーからなるパッチPの位置および濃度を検出するセンサである。図3(a),(b)に示すように、光学式センサ100は、基板110と、発光素子120と、第1受光素子130と、第2受光素子140と、発光用レンズ150と、ホルダ160とを備えている。
【0036】
基板110は、表面111と、裏面112とを有する。表面111には、銅箔などからなる配線パターンが形成されている。発光素子120、第1受光素子130および第2受光素子140は、基板110の表面111に位置している。発光素子120、第1受光素子130および第2受光素子140は、第1方向に間隔を空けて並んでいる。なお、本実施形態では、第1方向は、基板110の長手方向と一致している。第1方向において、発光素子120と第1受光素子130の間隔は、発光素子120と第2受光素子140の間隔よりも小さい。
【0037】
基板110は、第1孔H1と、第2孔H2とを有する。第1孔H1および第2孔H2は、第1方向に直交する第2方向に長い長孔である。なお、本実施形態では、第2方向は、基板110の短手方向と一致している。第1孔H1および第2孔H2は、第1方向および第2方向に直交する第3方向において、基板110を貫通する。発光素子120、第1受光素子130および第2受光素子140は、第2方向において、第1孔H1および第2孔H2の範囲内、詳しくは中央に位置する。
【0038】
第1孔H1は、第1方向において、発光素子120と第1受光素子130の間に位置する。第2孔H2は、第1方向において、発光素子120と第2受光素子140の間に位置する。
【0039】
図4に示すように、発光素子120は、光を出射する機能を有する。発光素子120は、例えばLEDである。発光素子120は、本体部121と、素子レンズ122とを有する。本体部121は、光を出射する発光部121Aを有する。発光部121Aの光は、素子レンズ122を通して出射される。本体部121は、発光部121Aに電気を供給するための図示せぬ端子を有する。本体部121の端子は、はんだ付けにより、基板110の表面111の配線パターンに接合されている。これにより、本体部121は、はんだ付け材料からなる接合部Jを介して基板110の表面111に固定されている。
【0040】
第1受光素子130および第2受光素子140は、例えば、発光素子120から出射される光の波長に対して感度があるフォトダイオードである。第1受光素子130は、パッチPで反射された光の正反射成分が入射する位置、つまり発光素子120からパッチPに照射された光のうち入射角と反射角が等しい光が入射する位置に配置される。このように配置されることで、第1受光素子130は、パッチPで反射された発光素子120の光の正反射成分を受光する。
【0041】
第1受光素子130は、本体部131と、カバー132とを有する。本体部131は、光を受光する受光部131Aを有する。カバー132は、透明な樹脂などからなり、受光部131Aを覆う。本体部131は、受光部131Aに電気を供給するための図示せぬ端子を有する。本体部131の端子は、はんだ付けにより、基板110の表面111の配線パターンに接合されている。これにより、本体部131は、はんだ付け材料からなる接合部Jを介して基板110の表面111に固定されている。
【0042】
第2受光素子140は、パッチPで反射された光の拡散反射成分が入射する位置、つまり発光素子120からパッチPに照射された光のうち正反射成分ではない成分の光が入射する位置に配置される。これにより、第2受光素子140は、パッチPで反射された発光素子120の光の拡散反射成分を受光する。
【0043】
第2受光素子140は、第1受光素子130と同様の構造である。第2受光素子140は、第1受光素子130の本体部131およびカバー132と同様の構造となる本体部141およびカバー142を有する。本体部141は、はんだ付け材料からなる接合部Jを介して基板110の表面111に固定されている。
【0044】
発光用レンズ150は、発光素子120から出射された光が通るレンズである。発光用レンズ150は、発光素子120から出射された光をパッチPに向けて屈折させる。発光用レンズ150は、嵌合部151と、基板接触面152と、傾斜面153とを有する。
【0045】
嵌合部151は、発光素子120が嵌まる凹部であり、基板110に向けて開口する。嵌合部151は、表面111に沿った方向、つまり第1方向および第2方向において発光素子120と接触する。
【0046】
基板接触面152は、表面111と接触する面である。基板接触面152は、嵌合部151を囲う環状に形成されている。
【0047】
傾斜面153は、発光用レンズ150が発光素子120の接合部Jと干渉するのを抑制するための面である。傾斜面153は、基板接触面152から嵌合部151に向けて表面111に対して斜めに延びている。傾斜面153は、接合部Jから離れている。傾斜面153は、嵌合部151を囲う環状に形成されている。
【0048】
発光用レンズ150は、基板接触面152が表面111に接触し、発光素子120が嵌合部151に嵌まることで、発光素子120に対して位置合わせされている。
【0049】
図3および図4に示すように、ホルダ160は、基板110を保持する樹脂製の部材である。ホルダ160は、発光素子120、第1受光素子130および第2受光素子140を覆うように、基板110の表面111に取り付けられている。
【0050】
ホルダ160は、第1壁161と、第2壁162と、第3壁163と、第4壁164と、第5壁165と、第1遮光壁W1と、第2遮光壁W2とを有する。
【0051】
第1壁161は、基板110の表面111と対向する壁であり、表面111から離れている。第1壁161は、発光用孔H10と、第1受光用孔H11と、第2受光用孔H12とを有する。
【0052】
発光用孔H10は、発光素子120から出射される光が通る孔である。第1受光用孔H11は、パッチPで反射された発光素子120の光の正反射成分を第1受光素子130に導くための孔である。第2受光用孔H12は、パッチPで反射された発光素子120の光の拡散反射成分を第2受光素子140に導くための孔である。
【0053】
第2壁162、第3壁163、第4壁164、第5壁165、第1遮光壁W1および第2遮光壁W2は、第1壁161から基板110に向けて延びている。第2壁162は、第1壁161の第1方向の一端に位置する。第3壁163は、第1壁161の第1方向の他端に位置する。発光素子120、第1受光素子130および第2受光素子140は、第1方向において、第2壁162と第3壁163の間に位置する。
【0054】
第4壁164は、第1壁161の第2方向の一端に位置する。第4壁164は、第2壁162から第3壁163まで延びている。
【0055】
第5壁165は、第1壁161の第2方向の他端に位置する。第5壁165は、第2壁162から第3壁163まで延びている。発光素子120、第1受光素子130および第2受光素子140は、第2方向において、第4壁164と第5壁165の間に位置する。
【0056】
第2壁162、第3壁163、第4壁164および第5壁165の基板110側の各端面Fは、連続した面一の面となっている。端面Fは、基板110の表面111と接触する。
【0057】
第1遮光壁W1は、発光素子120から出射される光のうちホルダ160の発光用孔H10を通る向き以外に出射される光が第1受光素子130に向かうのを遮る壁である。第1遮光壁W1は、第1方向において、発光素子120と第1受光素子130の間に位置する。第1遮光壁W1は、第4壁164から第5壁165まで延びている。第1遮光壁W1は、基板110の第1孔H1に入る第1脚部W11を有する。
【0058】
第1脚部W11は、第1遮光壁W1のうち端面Fから突出する部分である。第1脚部W11は、端面Fが基板110の表面111に接触した状態で、第1孔H1に入る。本実施形態では、第1脚部W11は、第1孔H1との間に隙間を空けた状態で、第1孔H1に入っている。
【0059】
第2遮光壁W2は、発光素子120から出射される光のうちホルダ160の発光用孔H10を通る向き以外に出射される光が第2受光素子140に向かうのを遮る壁である。第2遮光壁W2は、第1方向において、発光素子120と第2受光素子140の間に位置する。第2遮光壁W2は、第4壁164から第5壁165まで延びている。第2遮光壁W2は、基板110の第2孔H2に入る第2脚部W21を有する。
【0060】
第2脚部W21は、第2遮光壁W2のうち端面Fから突出する部分である。第2脚部W21は、端面Fが基板110の表面111に接触した状態で、第2孔H2に入る。本実施形態では、第2脚部W21は、第2孔H2に嵌合している。
【0061】
なお、本実施形態では、第1脚部を1つの板状の部位としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、複数の突起としてもよい。この場合、複数の第1脚部が入る孔を基板に形成すればよい。なお、第2脚部についても同様である。
【0062】
以上、第1実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
発光用レンズ150の嵌合部151が発光素子120に嵌まるので、発光用レンズ150と発光素子120を高い精度で位置合わせすることができる。
【0063】
発光用レンズ150の基板接触面152が基板110の表面111に接触するので、発光用レンズ150と発光素子120を基板110の表面111に垂直な方向において高い精度で位置合わせすることができる。
【0064】
発光素子120と第1受光素子130の間に第1遮光壁W1を配置し、発光素子120と第2受光素子140の間に第2遮光壁W2を配置したので、発光素子120からホルダ160の発光用孔H10を通る向き以外に出射される光のうち、直接にあるいはホルダ160に反射されて第1受光素子130および第2受光素子140に向かう光を、第1遮光壁W1および第2遮光壁W2によって遮ることができる。
【0065】
さらに、基板110の第1孔H1に入る第1脚部W11と基板110の第2孔H2に入る第2脚部W21を設けたため、発光素子120から出射される光のうち基板110内を通って第1受光素子130および第2受光素子140に向かう光を第1脚部W11と第2脚部W21により遮ることができる。
【0066】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下に説明する各実施形態においては、他の実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0067】
[第2実施形態]
図5(a)に示すように、第2実施形態に係る光学式センサ100Aは、第1実施形態の構造に加え、第1受光用レンズ170および第2受光用レンズ180をさらに備えている。
【0068】
第1受光用レンズ170は、パッチPで反射された発光素子120の光の正反射成分を第1受光素子130に導くためのレンズである。第1受光用レンズ170は、第1嵌合部171と、基板接触面172と、傾斜面173とを有する。
【0069】
第1嵌合部171は、第1受光素子130が嵌まる凹部であり、基板110に向けて開口する。第1嵌合部171は、表面111に沿った方向、つまり第1方向および第2方向において第1受光素子130と接触する。
【0070】
基板接触面172は、表面111と接触する面である。基板接触面172は、第1嵌合部171を囲う環状に形成されている。
【0071】
傾斜面173は、第1受光用レンズ170が第1受光素子130の接合部Jと干渉するのを抑制するための面である。傾斜面173は、基板接触面172から第1嵌合部171に向けて基板接触面172に対して斜めに延びている。傾斜面173は、接合部Jから離れている。傾斜面173は、第1嵌合部171を囲う環状に形成されている。
【0072】
第1受光用レンズ170は、基板接触面172が表面111に接触し、第1受光素子130が第1嵌合部171に嵌まることで、第1受光素子130に対して位置合わせされている。
【0073】
第2受光用レンズ180は、パッチPで反射された発光素子120の光の拡散反射成分を第2受光素子140に導くためのレンズである。第2受光用レンズ180は、第2嵌合部181と、基板接触面182と、傾斜面183とを有する。
【0074】
第2嵌合部181は、第2受光素子140が嵌まる凹部であり、基板110に向けて開口する。第2嵌合部181は、表面111に沿った方向、つまり第1方向および第2方向において第2受光素子140と接触する。
【0075】
基板接触面182は、表面111と接触する面である。基板接触面182は、第2嵌合部181を囲う環状に形成されている。
【0076】
傾斜面183は、第2受光用レンズ180が第2受光素子140の接合部Jと干渉するのを抑制するための面である。傾斜面183は、基板接触面182から第2嵌合部181に向けて基板接触面182に対して斜めに延びている。傾斜面183は、接合部Jから離れている。傾斜面183は、第2嵌合部181を囲う環状に形成されている。
【0077】
第2受光用レンズ180は、基板接触面182が表面111に接触し、第2受光素子140が第2嵌合部181に嵌まることで、第2受光素子140に対して位置合わせされている。
【0078】
第2実施形態によれば、第1受光用レンズ170が第1受光素子130に嵌まるので、第1受光用レンズ170と第1受光素子130を高い精度で位置合わせすることができる。また、第2受光用レンズ180が第2受光素子140に嵌まるので、第2受光用レンズ180と第2受光素子140を高い精度で位置合わせすることができる。
【0079】
なお、発光用レンズ、第1受光用レンズおよび第2受光用レンズは、一体に形成されて1つのレンズを構成してもよい。この場合、一体化されたレンズに、嵌合部、第1嵌合部および第2嵌合部のうちいずれか1つを形成すればよい。以下、レンズの一例を、第3実施形態として説明する。
【0080】
[第3実施形態]
図5(b)に示すように、第3実施形態に係るレンズ300は、第1実施形態と同様の発光用レンズ150と、第2実施形態とは異なる第1受光用レンズ370および第2受光用レンズ380を有する。発光用レンズ150、第1受光用レンズ370および第2受光用レンズ380は、一体に形成されている。
【0081】
発光用レンズ150は、第1実施形態と同様の嵌合部151を有する。
第1受光用レンズ370は、パッチPで反射された発光素子120の光の正反射成分を第1受光素子130に導くためのレンズである。第1受光用レンズ370は、第1受光素子130が入る第1凹部371を有する。第1凹部371の内面と第1受光素子130の間には、隙間が形成されている。
【0082】
第2受光用レンズ380は、パッチPで反射された発光素子120の光の拡散反射成分を第2受光素子140に導くためのレンズである。第2受光用レンズ380は、第2受光素子140が入る第2凹部381を有する。第2凹部381の内面と第2受光素子140の間には、隙間が形成されている。
【0083】
第3実施形態によれば、嵌合部151が発光素子120に嵌まることで、発光素子120に対するレンズ300の位置を高い精度で位置合わせすることができる。
【0084】
[第4実施形態]
図6(a),(b)に示すように、第4実施形態に係る発光用レンズ450は、発光素子120が入る穴H40と、第1実施形態とは異なる嵌合部451とを有する。図6(b)に示すように、嵌合部451は、4つの突起451Aからなる。各突起451Aは、穴H40の内周面から発光素子120に向けて突出する。各突起451Aは、第3方向に直交する面で切った断面の形状が、三角形状に形成され、先端が尖っている。なお、以下の説明では、第3方向に直交する面で切った断面を、「横断面」ともいう。4つのうち2つの突起451Aは、第1方向において発光素子120を挟み、残りの2つの突起451Aは、第2方向において発光素子120を挟む。
【0085】
図6(a)に示すように、各突起451Aは、第3方向に延びている。各突起451Aの基板110側の端面は、傾斜面453となっている。傾斜面453は、発光用レンズ450が発光素子120の接合部Jと干渉するのを抑制するための面である。傾斜面453は、基板接触面152から突起451Aの先端に向けて表面111に対して斜めに延びている。傾斜面453は、接合部Jから離れている。第4実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0086】
[第5実施形態]
図7に示すように、第5実施形態に係る発光用レンズ550は、第1実施形態とは異なる嵌合部551を有する。嵌合部551は、横断面の形状がD字形状となる穴である。嵌合部551は、平面551Aと、曲面551Bとを有する。
【0087】
平面551Aは、発光素子120の第1方向における一端に位置する側面F1に接触する。曲面551Bは、発光素子120の第1方向における他端に位置する側面F2に接触する。詳しくは、曲面551Bは、側面F2の第2方向における一端と他端に接触する。第5実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0088】
[第6実施形態]
図8(a),(b)に示すように、第6実施形態に係る発光用レンズ650は、第1実施形態とは異なる嵌合部651と、突起654とを有する。嵌合部651は、横断面の形状が円形となる穴である。嵌合部651は、横断面の形状が矩形となる発光素子120の4つの角に接触する。突起654は、基板接触面152から突出する。
【0089】
第6実施形態に係る基板610は、突起654が入る長孔H60を有する。長孔H60は、円形の嵌合部651の中心に向けて延びる。突起654が長孔H60に入ることにより、発光用レンズ650が嵌合部651を中心に回動することが規制される。第6実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0090】
[第7実施形態]
図9(a)に示すように、第7実施形態に係る嵌合部751は、2つの脚部Lからなる。各脚部Lは、横断面の形状がL字形状である。各脚部Lは、横断面の形状が矩形となる発光素子120の角部を挟むように角部に接触する。各脚部Lは、第1部位L1と、第1部位L1から突出する第2部位L2とを有する。第1部位L1は、発光素子120の一の側面の一部に接触する。第2部位L2は、発光素子120の一の側面に直交する他の側面の一部に接触する。2つの脚部Lは、発光素子120の対角線上に位置する。第7実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0091】
なお、嵌合部751は、図9(b)に示すように、3つの脚部Lを有していてもよいし、図9(c)に示すように、4つの脚部Lを有していてもよい。また、図9(d)に示すように、嵌合部751は、前述した脚部Lと、脚部Lとは異なる第2脚部L20とを有していてもよい。
【0092】
第2脚部L20は、横断面の形状がL字形状である。第2脚部L20は、発光素子120の角部を挟むように角部に接触する。第2脚部L20は、第3部位L23と、第3部位L23から突出する第4部位L24とを有する。第3部位L23は、発光素子120の一の側面の全体に接触する。第4部位L24は、発光素子120の一の側面に直交する他の側面の一部に接触する。
【0093】
また、図9(e)に示すように、嵌合部751は、脚部Lとは異なる2つの第3脚部L30を有していてもよい。各第3脚部L30は、横断面の形状がU字形状である。各第3脚部L30は、発光素子120の第2方向における一端と他端にそれぞれ配置される。各第3脚部L30は、発光素子120の第2方向における端部が嵌まる凹形状を有する。各第3脚部L30は、第1方向に延びる第5部位L35と、第5部位L35の第1方向の一端から突出する第6部位L36と、第5部位L35の第1方向の他端から突出する第7部位L37とを有する。
【0094】
第5部位L35は、発光素子120の一の側面の全体に接触する。第6部位L36は、発光素子120の一の側面の第1方向における一端に接続される側面の一部に接触する。第7部位L37は、発光素子120の一の側面の第1方向における他端に接続される側面の一部に接触する。
【0095】
図9(f)は、第1実施形態の変形例を示す図である。図9(f)に示すように、発光素子220の側面221が第3方向に対して傾斜している場合には、発光用レンズ150Aの嵌合部151Aは、発光素子220の側面221と接触する傾斜面F10を有していてもよい。
【0096】
[第8実施形態]
図10に示すように、第7実施形態に係るレンズ800は、図示せぬ発光用レンズ、第1受光用レンズおよび第2受光用レンズを一体に有するレンズである。レンズ800は、3つの穴H81,H82,H83と、嵌合部851と、第1嵌合部871と、第2嵌合部881とを有する。
【0097】
嵌合部851は、2つの突起851Aからなる。各突起851Aは、穴H81の内面から発光素子120に向けて突出する。各突起851Aは、横断面の形状が、三角形状に形成され、先端が尖っている。各突起851Aは、第1方向において発光素子120を挟む。穴H81の内面は、発光素子120から離れている。
【0098】
第1嵌合部871は、2つの突起871Aからなる。各突起871Aは、穴H82の内面から第1受光素子130に向けて突出する。各突起871Aは、横断面の形状が、三角形状に形成され、先端が尖っている。各突起871Aは、第2方向において第1受光素子130を挟む。穴H82の内面は、第1受光素子130から離れている。
【0099】
第2嵌合部881は、2つの突起881Aからなる。各突起881Aは、穴H83の内面から第2受光素子140に向けて突出する。各突起881Aは、横断面の形状が、三角形状に形成され、先端が尖っている。各突起881Aは、第2方向において第2受光素子140を挟む。穴H83の内面は、第2受光素子140から離れている。第8実施形態によれば、発光素子120、第1受光素子130および第2受光素子140に対してレンズ800を高精度に位置合わせすることができる。
【0100】
[第9実施形態]
図11に示すように、第9実施形態に係る発光用レンズ950は、第1実施形態の発光用レンズ150の構成に加え、複数の突起954を有している。各突起954は、基板接触面152から突出している。
【0101】
第9実施形態に係る基板910は、突起954が嵌合する孔H90を複数有する。各突起954は、孔H90を通り、基板910の裏面112から突出している。裏面112から突出した各突起954の先端は、基板910の裏面112に溶着されている。第9実施形態によれば、発光用レンズ950を基板910に強固に固定することができる。
【0102】
前記実施形態では、第1受光素子および第2受光素子を基板の表面に配置したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1受光素子および第2受光素子の少なくとも一方は、基板の裏面に配置されていてもよい。この場合、パッチから反射された光を受光素子に導くための孔を、基板に形成すればよい。
【0103】
発光素子および受光素子の構造は、前記実施形態に限定されない。例えば、発光素子は、発光部を有する本体部と、発光部を覆う樹脂製のカバーとを有していてもよい。この場合、発光用レンズの嵌合部は、カバーに嵌合してもよい。また、受光素子は、受光部を有する本体部が、受光部を囲う筒状の壁を有する構造であってもよい。この場合、受光用レンズの嵌合部は、本体部に嵌合してもよい。
【0104】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0105】
100 光学式センサ
110 基板
111 表面
112 裏面
120 発光素子
130 第1受光素子
140 第2受光素子
150 発光用レンズ
151 嵌合部
152 基板接触面
P パッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11