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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173282
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】ドライブトレイン
(51)【国際特許分類】
   B62M 9/00 20060101AFI20231130BHJP
   B62M 9/02 20060101ALI20231130BHJP
   B62M 11/16 20060101ALI20231130BHJP
   B62M 6/40 20100101ALI20231130BHJP
   F16G 13/02 20060101ALI20231130BHJP
   F16G 13/06 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B62M9/00 A
B62M9/00 C
B62M9/02
B62M11/16 A
B62M6/40
B62M9/00 B
F16G13/02 G
F16G13/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085436
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】矢守 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 聖
(72)【発明者】
【氏名】湯淺 浩司
(57)【要約】
【課題】チェーン保持力に優れるドライブトレインを提供する。
【解決手段】第1フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅は、ドライブチェーンの互いに対向する一対のアウターリンクプレートの間によって定義されるアウターリンクスペースよりも小さく、かつ、ドライブチェーンの互いに対向する一対のインナーリンクプレートの間によって定義されるインナーリンクスペースよりも大きく、第2フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅は、インナーリンクスペースよりも小さく、第1リアスプロケットチェーン係合軸方向幅は、アウターリンクスペースよりも小さく、かつ、インナーリンクスペースよりも大きく、第2リアスプロケットチェーン係合軸方向幅は、インナーリンクスペースよりも小さく、ドライブトレインは、別のフロントスプロケット、および、別のリアスプロケットを備えない。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用のドライブトレインであって、
単一のフロントスプロケットと、単一のリアスプロケットと、を備え、
前記単一のフロントスプロケットは、フロントスプロケット体と、前記単一のフロントスプロケットのフロントスプロケット回転中心軸心に関するフロントスプロケット径方向において、前記フロントスプロケット体から径方向外側に延びる複数のフロントスプロケット歯と、を含み、
前記複数のフロントスプロケット歯は、複数の第1フロントスプロケット歯と、複数の第2フロントスプロケット歯と、を含み、
前記複数の第1フロントスプロケット歯は、前記フロントスプロケット回転中心軸心に関する第1フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅を有し、
前記複数の第2フロントスプロケット歯は、前記フロントスプロケット回転中心軸心に関する第2フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅を有し、
前記第1フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅は、ドライブチェーンの互いに対向する一対のアウターリンクプレートの間によって定義されるアウターリンクスペースよりも小さく、かつ、前記ドライブチェーンの互いに対向する一対のインナーリンクプレートの間によって定義されるインナーリンクスペースよりも大きく、
前記第2フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅は、前記インナーリンクスペースよりも小さく、
前記単一のリアスプロケットは、リアスプロケット体と、前記単一のリアスプロケットのリアスプロケット回転中心軸心に関するリアスプロケット径方向において、前記リアスプロケット体から径方向外側に延びる複数のリアスプロケット歯と、を含み、
前記複数のリアスプロケット歯は、複数の第1リアスプロケット歯と、複数の第2リアスプロケット歯と、を含み、
前記複数の第1リアスプロケット歯は、前記リアスプロケット回転中心軸心に関する第1リアスプロケットチェーン係合軸方向幅を有し、
前記複数の第2リアスプロケット歯は、前記リアスプロケット回転中心軸心に関する第2リアスプロケットチェーン係合軸方向幅を有し、
前記第1リアスプロケットチェーン係合軸方向幅は、前記アウターリンクスペースよりも小さく、かつ、前記インナーリンクスペースよりも大きく、
前記第2リアスプロケットチェーン係合軸方向幅は、前記インナーリンクスペースよりも小さく、
前記ドライブトレインは、別のフロントスプロケット、および、別のリアスプロケットを備えない、ドライブトレイン。
【請求項2】
前記複数のフロントスプロケット歯のそれぞれは、前記フロントスプロケット回転中心軸心に関するフロントスプロケット歯底軸方向中心面を定義するフロントスプロケット歯底を有し、
前記複数のリアスプロケット歯のそれぞれは、前記リアスプロケット回転中心軸心に関するリアスプロケット歯底軸方向中心面を定義するリアスプロケット歯底を有し、
前記リアスプロケット歯底軸方向中心面は、前記リアスプロケット回転中心軸心に関するリアスプロケットの軸方向において、前記フロントスプロケット歯底軸方向中心面に対して整列する、請求項1に記載のドライブトレイン。
【請求項3】
前記複数のフロントスプロケット歯のそれぞれは、前記フロントスプロケット回転中心軸心に関するフロントスプロケット歯底軸方向中心面を定義するフロントスプロケット歯底を有し、
前記複数のリアスプロケット歯のそれぞれは、前記リアスプロケット回転中心軸心に関するリアスプロケット歯底軸方向中心面を定義するリアスプロケット歯底を有し、
前記リアスプロケット歯底軸方向中心面は、前記リアスプロケット回転中心軸心に関するリアスプロケットの軸方向において、前記フロントスプロケット歯底軸方向中心面に対してオフセットする、請求項1に記載のドライブトレイン。
【請求項4】
前記リアスプロケット歯底軸方向中心面は、1mmから10mmの範囲のオフセット距離だけ前記フロントスプロケット歯底軸方向中心面に対してオフセットする、請求項3に記載のドライブトレイン。
【請求項5】
前記複数のフロントスプロケット歯の少なくとも1つは、バナダイジング処理、および、クロマイジング処理の少なくとも一方によって形成される硬化層を有する、請求項1に記載のドライブトレイン。
【請求項6】
前記複数のリアスプロケット歯の少なくとも1つは、バナダイジング処理、および、クロマイジング処理の少なくとも一方によって形成される硬化層を有する、請求項1に記載のドライブトレイン。
【請求項7】
複数のアウターリンクプレートと、複数のインナーリンクプレートと、複数のチェーンローラと、複数のチェーンピンと、を含む前記ドライブチェーンをさらに備え、
前記複数のアウターリンクプレート、前記複数のインナーリンクプレート、前記複数のチェーンローラ、および、前記複数のチェーンピンの少なくとも1つは、バナダイジング処理、および、クロマイジング処理の少なくとも一方によって形成される硬化層を有する、請求項1に記載のドライブトレイン。
【請求項8】
複数のアウターリンクプレートと、複数のインナーリンクプレートと、を含む前記ドライブチェーンをさらに備え、
前記複数のインナーリンクプレートのそれぞれは、前記ドライブチェーンが前記複数のフロントスプロケット歯、および、前記複数のリアスプロケット歯に係合する係合状態において、前記複数の第1フロントスプロケット歯の1つ、または、前記複数の第1リアスプロケット歯の1つに対して少なくとも部分的にオーバーラップするように構成されるスプロケット歯保持縁を有する、請求項1に記載のドライブトレイン。
【請求項9】
前記単一のフロントスプロケットのフロント歯の総数と前記単一のリアスプロケットのリア歯の総数との歯数差は、3以上である、請求項1に記載のドライブトレイン。
【請求項10】
前記歯数差は、35以下である、請求項9に記載のドライブトレイン。
【請求項11】
内装変速ハブアセンブリをさらに備える、請求項1に記載のドライブトレイン。
【請求項12】
前記内装変速ハブアセンブリは遊星歯車機構を含む、請求項11に記載のドライブトレイン。
【請求項13】
人力駆動力をアシストするように構成される電動アクチュエータを含むドライブユニットをさらに備える、請求項1に記載のドライブトレイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力駆動車用のドライブトレインの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人力駆動車用のドライブトレインが知られている。例えば、特許文献1には、ドライブチェーンが巻き掛けられるフロントスプロケットを備えるドライブトレインの技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US2013/0139642A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、フロントスプロケットのスプロケット歯が、ドライブチェーンの互いに対向する一対のアウターリンクプレートの間によって定義されるアウターリンクスペースよりも小さく、かつ、ドライブチェーンの互いに対向する一対のインナーリンクプレートの間によって定義されるインナーリンクスペースよりも大きい第1グループの歯と、インナーリンクスペースよりも小さい第2グループの歯とを備えることによって、チェーン保持力が向上したフロントスプロケットが開示されている。しかしながら、特許文献1には、リアスプロケットも含めたドライブトレイン全体のチェーン保持力を向上させる思想は記載されていない。
【0005】
本開示の目的は、チェーン保持力に優れるドライブトレインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1側面に従うドライブトレインは、人力駆動車用のドライブトレインであって、単一のフロントスプロケットと、単一のリアスプロケットと、を備え、前記単一のフロントスプロケットは、フロントスプロケット体と、前記単一のフロントスプロケットのフロントスプロケット回転中心軸心に関するフロントスプロケット径方向において、前記フロントスプロケット体から径方向外側に延びる複数のフロントスプロケット歯と、を含み、前記複数のフロントスプロケット歯は、複数の第1フロントスプロケット歯と、複数の第2フロントスプロケット歯と、を含み、前記複数の第1フロントスプロケット歯は、前記フロントスプロケット回転中心軸心に関する第1フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅を有し、前記複数の第2フロントスプロケット歯は、前記フロントスプロケット回転中心軸心に関する第2フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅を有し、前記第1フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅は、ドライブチェーンの互いに対向する一対のアウターリンクプレートの間によって定義されるアウターリンクスペースよりも小さく、かつ、前記ドライブチェーンの互いに対向する一対のインナーリンクプレートの間によって定義されるインナーリンクスペースよりも大きく、前記第2フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅は、前記インナーリンクスペースよりも小さく、前記単一のリアスプロケットは、リアスプロケット体と、前記単一のリアスプロケットのリアスプロケット回転中心軸心に関するリアスプロケット径方向において、前記リアスプロケット体から径方向外側に延びる複数のリアスプロケット歯と、を含み、前記複数のリアスプロケット歯は、複数の第1リアスプロケット歯と、複数の第2リアスプロケット歯と、を含み、前記複数の第1リアスプロケット歯は、前記リアスプロケット回転中心軸心に関する第1リアスプロケットチェーン係合軸方向幅を有し、前記複数の第2リアスプロケット歯は、前記リアスプロケット回転中心軸心に関する第2リアスプロケットチェーン係合軸方向幅を有し、前記第1リアスプロケットチェーン係合軸方向幅は、前記アウターリンクスペースよりも小さく、かつ、前記インナーリンクスペースよりも大きく、前記第2リアスプロケットチェーン係合軸方向幅は、前記インナーリンクスペースよりも小さく、前記ドライブトレインは、別のフロントスプロケット、および、別のリアスプロケットを備えない。
第1側面のドライブトレインによれば、第1フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅、および、第2フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅によって、フロントスプロケットにおけるチェーン保持力を向上できる。第1リアスプロケットチェーン係合軸方向幅、および、第2リアスプロケットチェーン係合軸方向幅によって、リアスプロケットにおけるチェーン保持力を向上できる。フロントスプロケットにおけるチェーン保持力、および、リアスプロケットにおけるチェーン保持力を向上できることによって、ドライブトレイン全体がチェーン保持力に優れる。ドライブトレイン全体がチェーン保持力に優れるため、例えば、人力駆動車がオフロードを走行してもドライブチェーンが外れ難い。
【0007】
第1側面に従う第2側面のドライブトレインにおいて、前記複数のフロントスプロケット歯のそれぞれは、前記フロントスプロケット回転中心軸心に関するフロントスプロケット歯底軸方向中心面を定義するフロントスプロケット歯底を有し、前記複数のリアスプロケット歯のそれぞれは、前記リアスプロケット回転中心軸心に関するリアスプロケット歯底軸方向中心面を定義するリアスプロケット歯底を有し、前記リアスプロケット歯底軸方向中心面は、前記リアスプロケット回転中心軸心に関するリアスプロケットの軸方向において、前記フロントスプロケット歯底軸方向中心面に対して整列する。
第2側面のドライブトレインによれば、チェーンラインが傾斜していないため、さらにチェーン保持力に優れる。
【0008】
第1側面に従う第3側面のドライブトレインにおいて、前記複数のフロントスプロケット歯のそれぞれは、前記フロントスプロケット回転中心軸心に関するフロントスプロケット歯底軸方向中心面を定義するフロントスプロケット歯底を有し、前記複数のリアスプロケット歯のそれぞれは、前記リアスプロケット回転中心軸心に関するリアスプロケット歯底軸方向中心面を定義するリアスプロケット歯底を有し、前記リアスプロケット歯底軸方向中心面は、前記リアスプロケット回転中心軸心に関するリアスプロケットの軸方向において、前記フロントスプロケット歯底軸方向中心面に対してオフセットする。
第3側面のドライブトレインによれば、必要充分なチェーン保持力を有しつつ、様々な仕様のフレームに適用できる。
【0009】
第3側面に従う第4側面のドライブトレインにおいて、前記リアスプロケット歯底軸方向中心面は、1mmから10mmの範囲のオフセット距離だけ前記フロントスプロケット歯底軸方向中心面に対してオフセットする。
第4側面のドライブトレインによれば、必要充分なチェーン保持力を有しつつ、様々な仕様のフレームに適用できる。
【0010】
第1側面に従う第5側面のドライブトレインにおいて、前記複数のフロントスプロケット歯の少なくとも1つは、バナダイジング処理、および、クロマイジング処理の少なくとも一方によって形成される硬化層を有する。
第5側面のドライブトレインによれば、硬化層によってフロントスプロケット歯の耐摩耗性を向上できるため、ドライブトレインの長寿命化を図れる。
【0011】
第1側面に従う第6側面のドライブトレインにおいて、前記複数のリアスプロケット歯の少なくとも1つは、バナダイジング処理、および、クロマイジング処理の少なくとも一方によって形成される硬化層を有する。
第6側面のドライブトレインによれば、硬化層によってリアスプロケット歯の耐摩耗性を向上できるため、ドライブトレインの長寿命化を図れる。
【0012】
第1側面に従う第7側面のドライブトレインにおいて、複数のアウターリンクプレートと、複数のインナーリンクプレートと、複数のチェーンローラと、複数のチェーンピンと、を含む前記ドライブチェーンをさらに備え、前記複数のアウターリンクプレート、前記複数のインナーリンクプレート、前記複数のチェーンローラ、および、前記複数のチェーンピンの少なくとも1つは、バナダイジング処理、および、クロマイジング処理の少なくとも一方によって形成される硬化層を有する。
第7側面のドライブトレインによれば、硬化層によってドライブチェーンの耐摩耗性を向上できるため、ドライブトレインの長寿命化を図れる。
【0013】
第1側面に従う第8側面のドライブトレインにおいて、複数のアウターリンクプレートと、複数のインナーリンクプレートと、を含む前記ドライブチェーンをさらに備え、前記複数のインナーリンクプレートのそれぞれは、前記ドライブチェーンが前記複数のフロントスプロケット歯、および、前記複数のリアスプロケット歯に係合する係合状態において、前記複数の第1フロントスプロケット歯の1つ、または、前記複数の第1リアスプロケット歯の1つに対して少なくとも部分的にオーバーラップするように構成されるスプロケット歯保持縁を有する。
第8側面のドライブトレインによれば、インナーリンクプレートによって第1フロントスプロケット歯、または、第1リアスプロケット歯を保持できるため、チェーン保持力を効果的に向上でき、ドライブチェーンがさらに外れ難い。
【0014】
第1側面に従う第9側面のドライブトレインにおいて、前記単一のフロントスプロケットのフロント歯の総数と前記単一のリアスプロケットのリア歯の総数との歯数差は、3以上である。
第9側面のドライブトレインによれば、歯数差が3以上であるため、人力駆動車の高速走行が可能となる。
【0015】
第9側面に従う第10側面のドライブトレインにおいて、前記歯数差は、35以下である。
第10側面のドライブトレインによれば、歯数差が35以下であるため、人力駆動車が上り坂でも走行し易くなる。
【0016】
第1側面に従う第11側面のドライブトレインにおいて、内装変速ハブアセンブリをさらに備える。
第11側面のドライブトレインによれば、チェーンラインを動かさずに変速できる。
【0017】
第11側面に従う第12側面のドライブトレインにおいて、前記内装変速ハブアセンブリは遊星歯車機構を含む。
第12側面のドライブトレインによれば、チェーンラインを動かさずに変速できる。
【0018】
第1側面に従う第13側面のドライブトレインにおいて、人力駆動力をアシストするように構成される電動アクチュエータを含むドライブユニットをさらに備える。
第13側面のドライブトレインによれば、電動アクチュエータによって人力駆動力をアシストするため、ライダーが快適に人力駆動車を走行できる。
【発明の効果】
【0019】
本開示のドライブトレインによれば、チェーン保持力に優れるドライブトレインを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態に係るドライブトレインを示す側面図。
図2】フロントスプロケット、および、ドライブチェーンを示す側面図。
図3】(a)は図2に示される方向VD1から見た場合のフロントスプロケット、および、ドライブチェーンを示す図、(b)は図2に示される方向VD1から見た場合のフロントスプロケット歯を示す図。
図4】フロントスプロケット、および、ドライブチェーンの平面断面図。
図5】(a)はフロントスプロケット、および、ドライブチェーンを示す拡大側面図、(b)はフロントスプロケット歯を示す拡大側面図。
図6】フロントスプロケット、および、ドライブチェーンを示す側面断面図。
図7】インナーリンクプレート、および、フロントスプロケットを示す拡大側面図。
図8】リアスプロケット、および、ドライブチェーンを示す側面図。
図9】(a)は図8に示される方向VD2から見た場合のリアスプロケット、および、ドライブチェーンを示す図、(b)は図8に示される方向VD2から見た場合のリアスプロケット歯を示す図。
図10】リアスプロケット、および、ドライブチェーンを示す平面断面図。
図11】リアスプロケット、および、ドライブチェーンを示す側面断面図。
図12】(a)はフロントスプロケット、および、リアスプロケットの位置関係を示す図、(b)はチェーンラインを示す図。
図13】(a)は第2実施形態に係るフロントスプロケット、および、リアスプロケットの位置関係を示す図、(b)はチェーンラインを示す図。
図14】第3実施形態に係るフロントスプロケットを示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
第1実施形態に係るドライブトレイン1が説明される。以下の説明において、前後、および、左右の各方向を表す用語は、ライダーが人力駆動車のシートに着座した状態における方向を基準として用いられる。第1実施形態に係るドライブトレイン1の説明には、図1から図12が用いられる。図1に示されるドライブトレイン1は、人力駆動車に設けられる。
【0022】
人力駆動車は、少なくとも1つの車輪を有し、少なくとも人力駆動力によって駆動できる乗り物である。人力駆動車は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、ハンドバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車が有する車輪の数は限定されない。人力駆動車は、例えば1輪車、および、2輪以上の車輪を有する乗り物を含む。人力駆動車は、人力駆動力のみによって駆動できる乗り物に限定されない。人力駆動車は、人力駆動力だけではなく、電動アクチュエータ51の駆動力を推進に利用するE-bikeを含む。E-bikeは、電動アクチュエータ51によって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。
【0023】
図1に示されるドライブトレイン1は、人力駆動力を車輪に伝達するように構成される。本実施形態では、ドライブトレイン1は、人力駆動車用のドライブトレイン1であって、単一のフロントスプロケット10と、単一のリアスプロケット20と、を備える。ドライブトレイン1は、内装変速ハブアセンブリ40をさらに備える。ドライブトレイン1は、人力駆動力をアシストするように構成される電動アクチュエータ51を含むドライブユニット50をさらに備える。
【0024】
図1には、ドライブトレイン1の一例が示される。図1に示されるドライブトレイン1は、単一のフロントスプロケット10、単一のリアスプロケット20、ドライブチェーン30、内装変速ハブアセンブリ40、および、ドライブユニット50を含む。
【0025】
図1から図3に示される単一のフロントスプロケット10は、ドライブユニット50の駆動力伝達部52を介して人力駆動車のクランク軸に連結される。フロントスプロケット10は、フロントスプロケット回転中心軸心CA1を有する。フロントスプロケット回転中心軸心CA1は、クランク軸の回転中心軸心と一致する。フロントスプロケット10は、人力駆動車のフレームに対してフロントスプロケット回転中心軸心CA1まわりに相対回転するように構成される。本実施形態では、フロントスプロケット回転中心軸心CA1に関するフロントスプロケット軸方向AD1は、人力駆動車の左右方向を向く。
【0026】
単一のフロントスプロケット10は、フロントスプロケット体11と、単一のフロントスプロケット10のフロントスプロケット回転中心軸心CA1に関するフロントスプロケット径方向において、フロントスプロケット体11から径方向外側に延びる複数のフロントスプロケット歯16と、を含む。
【0027】
図2に示されるフロントスプロケット体11は、外周部12、および、内周部13を有する円環状に形成される。内周部13は、複数の連結部13aを有する。複数の連結部13aは、フロントスプロケット回転中心軸心CA1に向かって突出するように形成される。フロントスプロケット体11は、複数の連結部13aを介してドライブユニット50の駆動力伝達部52に連結される。
【0028】
複数のフロントスプロケット歯16は、フロントスプロケット回転中心軸心CA1に関するフロントスプロケット径方向において、フロントスプロケット体11の外周部12から径方向外側に突出するように形成される。複数のフロントスプロケット歯16は、フロントスプロケット周方向CD1に連続するように設けられる。複数のフロントスプロケット歯16は、複数の第1フロントスプロケット歯17と、複数の第2フロントスプロケット歯18と、を含む。
【0029】
第1フロントスプロケット歯17、および、第2フロントスプロケット歯18は、フロントスプロケット周方向CD1に交互に配置される。図3(b)、および、図5(b)に示されるように、第1フロントスプロケット歯17、および、第2フロントスプロケット歯18の間には、フロント歯底16aが形成される。
【0030】
図2から図6を用いて、本実施形態の第1フロントスプロケット歯17、および、第2フロントスプロケット歯18が説明される。複数の第1フロントスプロケット歯17のそれぞれには、第1フロント歯先端17a、第1フロント歯接続部17b、および、第1フロント歯軸方向面17cが形成される。
【0031】
図3(b)、および、図5(b)に示される第1フロント歯先端17aは、第1フロントスプロケット歯17のうち、フロントスプロケット体11の外周部12に対して、最も突出する部分を示す。
【0032】
第1フロント歯接続部17bは、フロント歯底16a、および、第1フロント歯先端17aを接続するように形成される。第1フロント歯接続部17bは、フロントスプロケット周方向CD1において、第1フロントスプロケット歯17の一側、および、他側にそれぞれ形成される。
【0033】
第1フロント歯軸方向面17cは、フロントスプロケット軸方向AD1を向くように形成される。本実施形態では、第1フロント歯軸方向面17cの少なくとも一部は、フロントスプロケット軸方向AD1において、第1フロントスプロケット歯17の最も外側に形成される。本明細書においては、第1フロント歯軸方向面17cの最も外側に形成される部分を、第1フロント歯軸方向面17cの外側端部と記載する。第1フロント歯軸方向面17cは、第1フロントスプロケット歯17の、フロントスプロケット軸方向AD1における一側、および、他側にそれぞれ形成される。
【0034】
図3に示されるように、複数の第1フロントスプロケット歯17は、フロントスプロケット回転中心軸心CA1に関する第1フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅AW1を有する。第1フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅AW1は、フロントスプロケット軸方向AD1における、第1フロントスプロケット歯17の一端部から他端部までの幅を示す。本実施形態では、第1フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅AW1は、一方の第1フロント歯軸方向面17cの外側端部から他方の第1フロント歯軸方向面17cの外側端部までの幅を示す。
【0035】
図2に示される複数の第2フロントスプロケット歯18は、第1フロントスプロケット歯17とは異なる形状に形成される。複数の第2フロントスプロケット歯18は、複数の第1フロントスプロケット歯17と同数設けられる。複数の第2フロントスプロケット歯18のそれぞれには、第2フロント歯先端18a、第2フロント歯接続部18b、および、第2フロント歯軸方向面18cが形成される。
【0036】
図3(b)、および、図5(b)に示される第2フロント歯先端18aは、第2フロントスプロケット歯18のうち、フロントスプロケット体11の外周部12に対して、最も突出する部分を示す。第2フロント歯先端18aからフロントスプロケット回転中心軸心CA1までの距離は、第1フロント歯先端17aからフロントスプロケット回転中心軸心CA1までの距離よりも短い。
【0037】
第2フロント歯接続部18bは、フロント歯底16a、および、第2フロント歯先端18aを接続するように形成される。第2フロント歯接続部18bは、フロントスプロケット周方向CD1において、第2フロントスプロケット歯18の一側、および、他側にそれぞれ形成される。
【0038】
第2フロント歯軸方向面18cは、フロントスプロケット軸方向AD1を向くように形成される。本実施形態では、第2フロント歯軸方向面18cの少なくとも一部は、フロントスプロケット軸方向AD1において、第2フロントスプロケット歯18の最も外側に形成される。本明細書においては、第2フロント歯軸方向面18cの最も外側に形成される部分を、第2フロント歯軸方向面18cの外側端部と記載する。第2フロント歯軸方向面18cは、第2フロントスプロケット歯18の、フロントスプロケット軸方向AD1における一側、および、他側にそれぞれ形成される。
【0039】
図3に示されるように、複数の第2フロントスプロケット歯18は、フロントスプロケット回転中心軸心CA1に関する第2フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅AW2を有する。第2フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅AW2は、フロントスプロケット軸方向AD1における、第2フロントスプロケット歯18の一端部から他端部までの幅を示す。本実施形態では、第2フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅AW2は、一方の第2フロント歯軸方向面18cの外側端部から他方の第2フロント歯軸方向面18cの外側端部までの幅を示す。
【0040】
複数のフロントスプロケット歯16のそれぞれは、フロントスプロケット回転中心軸心CA1に関するフロントスプロケット歯底軸方向中心面CP1を定義するフロントスプロケット歯底を有する。本実施形態では、フロントスプロケット歯底は、図3(b)、および、図5(b)に示されるフロント歯底16aを含む。図3、および、図4に示されるフロントスプロケット歯底軸方向中心面CP1は、フロントスプロケット軸方向AD1において、フロント歯底16aの中央部を通って、フロントスプロケット10を2つに分けるような仮想面として形成される。フロントスプロケット歯底軸方向中心面CP1は、フロントスプロケット軸方向AD1を向く。本実施形態では、フロントスプロケット歯底軸方向中心面CP1は、フロントスプロケット軸方向AD1に対して直交する。
【0041】
複数のフロントスプロケット歯16の少なくとも1つは、バナダイジング処理、および、クロマイジング処理の少なくとも一方によって形成される硬化層を有する。本実施形態では、全てのフロントスプロケット歯16は、硬化層を有する。硬化層は、図4、および、図6に示されるフロント歯硬化層16bを含む。
【0042】
フロント歯硬化層16bは、フロント歯底16a、第1フロント歯先端17a、第1フロント歯接続部17b、第2フロント歯先端18a、および、第2フロント歯接続部18bに形成される。フロント歯硬化層16bが形成される部分は、本実施形態に限定されない。フロント歯硬化層16bは、例えば、第1フロント歯軸方向面17cに形成されてもよい。フロントスプロケット歯16は、フロント歯硬化層16bを有することによって耐摩耗性を向上できる。
【0043】
図1、および、図8に示される単一のリアスプロケット20は、内装変速ハブアセンブリ40を介して人力駆動車のハブ軸HSに連結される。リアスプロケット20は、リアスプロケット回転中心軸心CA2を有する。リアスプロケット回転中心軸心CA2は、ハブ軸HSの回転中心軸心と一致する。リアスプロケット20は、フレームに対してリアスプロケット回転中心軸心CA2まわりに相対回転するように構成される。本実施形態では、リアスプロケット回転中心軸心CA2に関するリアスプロケット軸方向AD2は、人力駆動車の左右方向を向く。
【0044】
単一のリアスプロケット20は、リアスプロケット体21と、単一のリアスプロケット20のリアスプロケット回転中心軸心CA2に関するリアスプロケット径方向において、リアスプロケット体21から径方向外側に延びる複数のリアスプロケット歯26と、を含む。図8に示されるリアスプロケット体21は、外周部22、および、内周部23を有する円環状に形成される。内周部23は、内装変速ハブアセンブリ40に連結される。
【0045】
複数のリアスプロケット歯26は、リアスプロケット回転中心軸心CA2に関するリアスプロケット径方向において、リアスプロケット体21の外周部22から径方向外側に突出するように形成される。複数のリアスプロケット歯26は、リアスプロケット周方向CD2に連続するように設けられる。複数のリアスプロケット歯26は、複数の第1リアスプロケット歯27と、複数の第2リアスプロケット歯28と、を含む。
【0046】
図9(b)、および、図11に示される第1リアスプロケット歯27は、第1フロントスプロケット歯17と同様に形成される。第1リアスプロケット歯27には、第1リア歯先端27a、第1リア歯接続部27b、および、第1リア歯軸方向面27cが形成される。
【0047】
第1リア歯先端27aは、図6に示される第1フロントスプロケット歯17の第1フロント歯先端17aと同様に形成される。第1リア歯接続部27bは、第1フロントスプロケット歯17の第1フロント歯接続部17bと同様に形成される。第1リア歯軸方向面27cは、第1フロントスプロケット歯17の第1フロント歯軸方向面17cと同様に形成される。
【0048】
図9に示されるように、複数の第1リアスプロケット歯27は、リアスプロケット回転中心軸心CA2に関する第1リアスプロケットチェーン係合軸方向幅AW3を有する。第1リアスプロケットチェーン係合軸方向幅AW3は、リアスプロケット軸方向AD2における、第1リアスプロケット歯27の一端部から他端部までの幅を示す。本実施形態では、第1リアスプロケットチェーン係合軸方向幅AW3は、一方の第1リア歯軸方向面27cの外側端部から他方の第1リア歯軸方向面27cの外側端部までの幅を示す。
【0049】
図9(b)、および、図11に示される第2リアスプロケット歯28は、第2フロントスプロケット歯18と同様に形成される。第2リアスプロケット歯28には、第2リア歯先端28a、第2リア歯接続部28b、および、第2リア歯軸方向面28cが形成される。
【0050】
第2リア歯先端28aは、図6に示される第2フロントスプロケット歯18の第2フロント歯先端18aと同様に形成される。第2リア歯接続部28bは、第2フロントスプロケット歯18の第2フロント歯接続部18bと同様に形成される。第2リア歯軸方向面28cは、第2フロントスプロケット歯18の第2フロント歯軸方向面18cと同様に形成される。
【0051】
図9に示されるように、複数の第2リアスプロケット歯28は、リアスプロケット回転中心軸心CA2に関する第2リアスプロケットチェーン係合軸方向幅AW4を有する。第2リアスプロケットチェーン係合軸方向幅AW4は、リアスプロケット軸方向AD2における、第2リアスプロケット歯28の一端部から他端部までの幅を示す。本実施形態では、第2リアスプロケットチェーン係合軸方向幅AW4は、一方の第2リア歯軸方向面28cの外側端部から他方の第2リア歯軸方向面28cの外側端部までの幅を示す。
【0052】
複数のリアスプロケット歯26のそれぞれは、リアスプロケット回転中心軸心CA2に関するリアスプロケット歯底軸方向中心面CP2を定義するリアスプロケット歯底を有する。本実施形態では、リアスプロケット歯底は、図9(b)、および、図11に示されるリア歯底26aを含む。図9、および、図10に示されるリアスプロケット歯底軸方向中心面CP2は、リアスプロケット軸方向AD2において、リア歯底26aの中央部を通って、リアスプロケット20を2つに分けるような仮想面として形成される。リアスプロケット歯底軸方向中心面CP2は、リアスプロケット軸方向AD2を向く。本実施形態では、リアスプロケット歯底軸方向中心面CP2は、リアスプロケット軸方向AD2に対して直交する。
【0053】
図12に示されるように、リアスプロケット歯底軸方向中心面CP2は、リアスプロケット回転中心軸心CA2に関するリアスプロケット軸方向AD2において、フロントスプロケット歯底軸方向中心面CP1に対して整列する。リアスプロケット歯底軸方向中心面CP2がフロントスプロケット歯底軸方向中心面CP1に対して整列することによって、本実施形態では、複数のリアスプロケット歯26は、前方向、または、後方向からドライブトレイン1を見た場合に、複数のフロントスプロケット歯16に対して全体が重複するように配置される。
【0054】
図12(b)に示されるように、ドライブチェーン30の軌道を示すチェーンラインL1は、平面視において、前後方向に平行に延びる直線状に形成される。図12(a)に示されるフロントスプロケット歯底軸方向中心面CP1、および、リアスプロケット歯底軸方向中心面CP2は、チェーンラインL1に対して平行に延びる。
【0055】
複数のリアスプロケット歯26の少なくとも1つは、バナダイジング処理、および、クロマイジング処理の少なくとも一方によって形成される硬化層を有する。本実施形態では、全てのリアスプロケット歯26は、硬化層を有する。硬化層は、図10、および、図11に示されるリア歯硬化層26bを含む。リア歯硬化層26bは、フロント歯硬化層16bと同様に形成される。リアスプロケット歯26は、リア歯硬化層26bを有することによって耐摩耗性を向上できる。
【0056】
図1に示されるように、本実施形態では、リアスプロケット歯26の総数は、フロントスプロケット歯16の総数よりも少ない。本明細書において、リアスプロケット歯26の総数をリア歯の総数と記載する場合がある。本明細書において、フロントスプロケット歯16の総数をフロント歯の総数と記載する場合がある。
【0057】
本実施形態では、単一のフロントスプロケット10のフロント歯の総数と単一のリアスプロケット20のリア歯の総数との歯数差は、3以上である。図1における歯数差は、13である。歯数差は、13に限定されない。歯数差は、14以上、または、12以下であってよい。歯数差が3以上であることによって、フロント歯の総数に対するリア歯の総数の比率が低くなり過ぎるのを抑制し、人力駆動車の高速走行が可能となる。
【0058】
本実施形態では、歯数差は、35以下である。歯数差が35以下であることによって、フロント歯の総数に対するリア歯の総数の比率が大きくなり過ぎるのを抑制し、人力駆動車が上り坂でも走行し易くなる。
【0059】
図1に示されるドライブチェーン30は、単一のフロントスプロケット10から単一のリアスプロケット20に駆動力を伝達するように構成される。図2図3(a)、および、図5(a)に示されるように、ドライブチェーン30は、複数のアウターリンクプレート31と、複数のインナーリンクプレート32と、複数のチェーンローラ33と、複数のチェーンピン34と、を含む。
【0060】
アウターリンクプレート31は、互いに対向するように一対設けられる。一対のアウターリンクプレート31は、チェーン駆動方向DDに複数配置される。図3、および、図5に示されるように、単一のフロントスプロケット10の周辺に位置する一対のアウターリンクプレート31は、フロントスプロケット歯16の第1フロントスプロケット歯17と係合する。図9に示されるように、単一のリアスプロケット20の周辺に位置する一対のアウターリンクプレート31は、リアスプロケット歯26の第1リアスプロケット歯27と係合する。複数のアウターリンクプレート31のそれぞれには、第1アウター面31a、第2アウター面31b、および、アウターリンク孔31cが形成される。
【0061】
図3に示されるように、第1アウター面31aは、フロントスプロケット歯底軸方向中心面CP1を向く。第2アウター面31bは、第1アウター面31aとは反対方向を向く。図4から図6に示されるように、アウターリンク孔31cは、アウターリンクプレート31の厚み方向に沿ってアウターリンクプレート31を貫通するように設けられる。アウターリンク孔31cは、1つのアウターリンクプレート31において、チェーン駆動方向DDに間隔をあけて2つ設けられる。
【0062】
インナーリンクプレート32は、互いに対向するように一対設けられる。一対のインナーリンクプレート32は、チェーン駆動方向DDに複数配置される。一対のインナーリンクプレート32は、一対のアウターリンクプレート31の内側に配置される。一対のインナーリンクプレート32は、一対のアウターリンクプレート31に対してチェーン駆動方向DDにオフセットする。
【0063】
図3、および、図5に示されるように、単一のフロントスプロケット10の周辺に位置する一対のインナーリンクプレート32は、フロントスプロケット歯16の第2フロントスプロケット歯18と係合する。図9に示されるように、単一のリアスプロケット20の周辺に位置する一対のインナーリンクプレート32は、リアスプロケット歯26の第2リアスプロケット歯28と係合する。
【0064】
複数のインナーリンクプレート32のそれぞれは、ドライブチェーン30が複数のフロントスプロケット歯16、および、複数のリアスプロケット歯26に係合する係合状態において、複数の第1フロントスプロケット歯17の1つ、または、複数の第1リアスプロケット歯27の1つに対して少なくとも部分的にオーバーラップするように構成されるスプロケット歯保持縁32eを有する。図2から図7には、インナーリンクプレート32の一例が示される。図2から図7に示される複数のインナーリンクプレート32は、第1インナー面32a、第2インナー面32b、インナーリンク孔32c、筒状部32d、および、スプロケット歯保持縁32eを有する。
【0065】
図3に示されるように、第1インナー面32aは、フロントスプロケット歯底軸方向中心面CP1を向く。第2インナー面32bは、第1インナー面32aとは反対方向を向く。図4から図6に示されるように、インナーリンク孔32cは、インナーリンクプレート32の厚み方向に沿ってインナーリンクプレート32を貫通するように設けられる。インナーリンク孔32cは、1つのインナーリンクプレート32において、チェーン駆動方向DDに間隔をあけて2つ設けられる。インナーリンク孔32cは、側面視においてアウターリンク孔31cと重複する。
【0066】
筒状部32dは、アウターリンク孔31cを囲むように形成される。筒状部32dは、第2インナー面32bから、一対のインナーリンクプレート32の左右内側に向けて突出する。
【0067】
図3、および、図7に示されるスプロケット歯保持縁32eは、チェーン駆動方向DD、および、チェーン駆動方向DDとは反対方向におけるインナーリンクプレート32の端部にそれぞれ形成される。図3に示されるように、スプロケット歯保持縁32eは、フロントスプロケット回転中心軸心CA1に関する径方向から単一のフロントスプロケット10を見た場合に、第1フロントスプロケット歯17に対してオーバーラップする。図7に示されるように、スプロケット歯保持縁32eは、側面視において、第1フロントスプロケット歯17に対してオーバーラップする。第1フロントスプロケット歯17に対してスプロケット歯保持縁32eがオーバーラップすることによって、インナーリンクプレート32のスプロケット歯保持縁32eは、第1フロントスプロケット歯17を保持できる。
【0068】
図9に示されるように、スプロケット歯保持縁32eは、リアスプロケット回転中心軸心CA2に関する径方向から単一のリアスプロケット20を見た場合に、第1リアスプロケット歯27に対してオーバーラップする。スプロケット歯保持縁32eは、第1フロントスプロケット歯17と同様に、側面視において、第1リアスプロケット歯27に対してオーバーラップする。第1リアスプロケット歯27に対してスプロケット歯保持縁32eがオーバーラップすることによって、インナーリンクプレート32のスプロケット歯保持縁32eは、第1リアスプロケット歯27を保持できる。インナーリンクプレート32には、スプロケット歯保持縁32eが形成されなくてもよい。
【0069】
図3図4、および、図6に示されるチェーンローラ33は、一対のインナーリンクプレート32の筒状部32dに回転可能に支持される。チェーンローラ33は、チェーン駆動方向DDに間隔をあけて多数設けられる。ドライブチェーン30が駆動されると、チェーンローラ33は、フロントスプロケット歯16、および、リアスプロケット歯26に接触して回転する。チェーンローラ33は、回転する際にインナーリンクプレート32の第1インナー面32a、および、筒状部32dに対して摺動する。
【0070】
図4から図6に示されるチェーンピン34は、円柱状に形成される。チェーンピン34は、軸方向を左右方向に向けて配置される。チェーンピン34は、アウターリンク孔31c、および、インナーリンク孔32cに挿通されることによって、一対のアウターリンクプレート31、および、一対のインナーリンクプレート32を互いに相対回転可能に連結する。アウターリンク孔31cの内径は、チェーンピン34の外径よりも小さく形成されるため、チェーンピン34は、アウターリンク孔31cに固定される。ドライブチェーン30が駆動されるとアウターリンクプレート31、および、インナーリンクプレート32が互いに相対回転し、インナーリンク孔32cの内径は、チェーンピン34の外径よりも大きく形成されるため、チェーンピン34は、インナーリンク孔32cの内周面に対して摺動する。
【0071】
複数のアウターリンクプレート31、複数のインナーリンクプレート32、複数のチェーンローラ33、および、複数のチェーンピン34の少なくとも1つは、バナダイジング処理、および、クロマイジング処理の少なくとも一方によって形成される硬化層を有する。本実施形態では、複数のアウターリンクプレート31、複数のインナーリンクプレート32、複数のチェーンローラ33、および、複数のチェーンピン34のそれぞれは、硬化層を有する。硬化層は、アウター硬化層31d、インナー硬化層32f、ローラ硬化層33a、および、ピン硬化層34aを含む。
【0072】
図4に示されるアウター硬化層31dは、少なくとも1つのアウターリンクプレート31に形成される。本実施形態では、アウター硬化層31dは、全てのアウターリンクプレート31に形成される。アウター硬化層31dは、アウターリンクプレート31とアウターリンクプレート31とは異なる部材とが摺動する部分に形成される。本実施形態では、アウター硬化層31dは、アウターリンク孔31cの内周面に形成される。アウター硬化層31dが形成される部分は、本実施形態に限定されない。
【0073】
インナー硬化層32fは、少なくとも1つのインナーリンクプレート32に形成される。本実施形態では、インナー硬化層32fは、全てのインナーリンクプレート32に形成される。インナー硬化層32fは、インナーリンクプレート32とインナーリンクプレート32とは異なる部材とが摺動する部分に形成される。本実施形態では、インナー硬化層32fは、インナーリンク孔32cの内周面、筒状部32dの外周面、および、第1インナー面32aの筒状部32dの周辺に形成される。インナー硬化層32fが形成される部分は、本実施形態に限定されない。
【0074】
図4、および、図6に示されるローラ硬化層33aは、少なくとも1つのチェーンローラ33に形成される。本実施形態では、ローラ硬化層33aは、全てのチェーンローラ33に形成される。ローラ硬化層33aは、チェーンローラ33の全域に形成される。ローラ硬化層33aが形成される部分は、本実施形態に限定されない。
【0075】
ピン硬化層34aは、少なくとも1つのチェーンピン34に形成される。本実施形態では、ピン硬化層34aは、全てのチェーンピン34に形成される。ピン硬化層34aは、チェーンピン34の外周面に形成される。ピン硬化層34aが形成される部分は、本実施形態に限定されない。
【0076】
図3(a)に示されるように、本実施形態では、ドライブチェーン30によって複数のスペースが定義される。複数のスペースは、アウターリンクスペースS1、および、インナーリンクスペースS2を含む。アウターリンクスペースS1は、互いに対向する一対のアウターリンクプレート31の間によって定義される。本実施形態では、アウターリンクスペースS1は、一対のアウターリンクプレート31の第1アウター面31a、インナーリンクプレート32、および、チェーンローラ33の間に形成される。
【0077】
インナーリンクスペースS2は、互いに対向する一対のインナーリンクプレート32の間によって定義される。本実施形態では、インナーリンクスペースS2は、一対のインナーリンクプレート32の第1インナー面32a、および、チェーンローラ33の間に形成される。
【0078】
第1フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅AW1は、ドライブチェーン30の互いに対向する一対のアウターリンクプレート31の間によって定義されるアウターリンクスペースS1よりも小さく、かつ、ドライブチェーン30の互いに対向する一対のインナーリンクプレート32の間によって定義されるインナーリンクスペースS2よりも大きい。第2フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅AW2は、インナーリンクスペースS2よりも小さい。
【0079】
本実施形態では、第1フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅AW1を有する第1フロントスプロケット歯17は、アウターリンクスペースS1の内側に配置される。第2フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅AW2を有する第2フロントスプロケット歯18は、インナーリンクスペースS2の内側に配置される。第1フロントスプロケット歯17、および、第2フロントスプロケット歯18の配置によって、アウターリンクスペースS1、および、インナーリンクスペースS2に対する単一のフロントスプロケット10の隙間を小さくできる。隙間を小さくできることによって、フロントスプロケット10のチェーン保持力を向上できる。
【0080】
図9に示される第1リアスプロケットチェーン係合軸方向幅AW3は、アウターリンクスペースS1よりも小さく、かつ、インナーリンクスペースS2よりも大きい。第2リアスプロケットチェーン係合軸方向幅AW4は、インナーリンクスペースS2よりも小さい。
【0081】
本実施形態では、第1リアスプロケットチェーン係合軸方向幅AW3を有する第1リアスプロケット歯27は、アウターリンクスペースS1の内側に配置される。第2リアスプロケットチェーン係合軸方向幅AW4を有する第2リアスプロケット歯28は、インナーリンクスペースS2の内側に配置される。第1リアスプロケット歯27、および、第2リアスプロケット歯28の配置によって、アウターリンクスペースS1、および、インナーリンクスペースS2に対する単一のリアスプロケット20の隙間を小さくできる。隙間を小さくできることによって、リアスプロケット20のチェーン保持力を向上できる。
【0082】
本実施形態では、ドライブトレイン1は、単一のフロントスプロケット10、および、単一のリアスプロケット20を備える。ドライブトレイン1は、別のフロントスプロケット、および、別のリアスプロケットを備えない。ドライブトレイン1は、フロントスプロケット10、および、リアスプロケット20のいずれにおいてもドライブチェーン30の掛け替えが行われないため、チェーン保持力に優れる。チェーン保持力に優れるドライブトレイン1によって、人力駆動車がオフロードを走行してもドライブチェーン30が外れ難い。
【0083】
図1に示される内装変速ハブアセンブリ40は、人力駆動車の変速比を変更するように構成される。本実施形態では、内装変速ハブアセンブリ40は、単一のリアスプロケット20に連結され、人力駆動車のリアハブに設けられる。内装変速ハブアセンブリ40は、人力駆動車のクランク周辺に設けられてもよい。内装変速ハブアセンブリ40には、リアスプロケット20を介して駆動力が入力される。内装変速ハブアセンブリ40は、入力された駆動力を変速して人力駆動車の車輪に伝達する。
【0084】
内装変速ハブアセンブリ40は遊星歯車機構41を含む。本実施形態では、内装変速ハブアセンブリ40は、ハブシェル42をさらに含む。遊星歯車機構41は、複数の太陽ギア、複数の遊星ギア、遊星ギアキャリア、および、リングギアを含む。複数の太陽ギア、複数の遊星ギア、および、リングギアによって、リアスプロケット20からハブシェル42まで動力を伝達する複数の経路が形成される。遊星歯車機構41は、動力を伝達する経路を変更することによって、人力駆動車の変速比を変更する。
【0085】
ハブシェル42は、人力駆動車のフレームに対してハブ軸HSの回転中心軸心まわりに相対回転するように構成される。ハブシェル42は、人力駆動車の車輪と接続される。ハブシェル42には、遊星歯車機構41によって変速された駆動力が伝達される。ハブシェル42に駆動力が伝達されることによって、人力駆動車の車輪が回転する。
【0086】
内装変速ハブアセンブリ40によって、単一のフロントスプロケット10、および、単一のリアスプロケット20を備えるドライブトレイン1において、人力駆動車の変速比を変更できる。内装変速ハブアセンブリ40は、遊星歯車機構41とは異なる機構を含んでもよい。内装変速ハブアセンブリ40は、例えば、無段変速機構を含んでもよい。
【0087】
ドライブユニット50は、人力駆動車の推進を補助するように構成される。ドライブユニット50は、人力駆動車のクランク周辺に設けられる。ドライブユニット50は、人力駆動車のリアハブ、または、フロントハブに設けられてもよい。ドライブユニット50は、人力駆動車のリアハブ、および、フロントハブの両方に設けられてもよい。ドライブユニット50は、電動アクチュエータ51、および、駆動力伝達部52を含む。
【0088】
本実施形態において、電動アクチュエータ51は、人力駆動車のペダルから後輪までの人力駆動力の動力伝達経路に回転を伝達するように設けられる。本実施形態では、電動アクチュエータ51は、人力駆動車のクランク軸から単一のフロントスプロケット10までの動力伝達経路に回転を伝達するように設けられる。電動アクチュエータ51は、電動モータを含む。電動アクチュエータ51は、例えば、人力駆動力に応じて動作する。ドライブユニット50は、電動アクチュエータ51に加えて、電動モータの回転軸の回転速度を減速するように構成される減速機を含んでもよい。
【0089】
駆動力伝達部52は、人力駆動車のフレームに対して、図2に示されるフロントスプロケット回転中心軸心CA1まわりに相対回転するように構成される。駆動力伝達部52は、フロントスプロケット10のフロントスプロケット体11と連結される。駆動力伝達部52には、人力駆動力、および、電動アクチュエータ51の駆動力が伝達される。駆動力伝達部52は、人力駆動力等が伝達されることによって回転する。駆動力伝達部52の回転に伴ってフロントスプロケット10は回転する。
【0090】
(第2実施形態)
第2実施形態のドライブトレイン61が説明される。第2実施形態のドライブトレイン1の説明には、図13が用いられる。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号が付され、重複する説明が省略される。
【0091】
図13(a)に示されるように、ドライブトレイン61は、単一のフロントスプロケット70、単一のリアスプロケット80、および、ドライブチェーン30を含む。フロントスプロケット70は、第1実施形態のフロントスプロケット10と同一形状に形成される。フロントスプロケット70のフロントスプロケット歯底は、フロントスプロケット歯底軸方向中心面CP11を定義する。
【0092】
単一のリアスプロケット80は、第1実施形態のリアスプロケット20と同一形状に形成される。リアスプロケット80のリアスプロケット歯底は、リアスプロケット歯底軸方向中心面CP12を定義する。
【0093】
本実施形態では、リアスプロケット歯底軸方向中心面CP12は、リアスプロケット回転中心軸心CA2に関するリアスプロケット軸方向AD2において、フロントスプロケット歯底軸方向中心面CP11に対してオフセットする。リアスプロケット歯底軸方向中心面CP12は、フロントスプロケット歯底軸方向中心面CP11よりも人力駆動車のフレームの内側に位置する。リアスプロケット歯底軸方向中心面CP12は、1mmから10mmの範囲のオフセット距離D1だけフロントスプロケット歯底軸方向中心面CP11に対してオフセットする。
【0094】
図13(b)に示されるように、リアスプロケット歯底軸方向中心面CP12がフロントスプロケット歯底軸方向中心面CP11に対してオフセットする場合、ドライブチェーン30の軌道を示すチェーンラインL11は、平面視において、単一のリアスプロケット80から単一のフロントスプロケット70に向かうにつれて、左右方向における一側に傾斜する。
【0095】
ドライブトレイン61は、フロントスプロケット70、および、リアスプロケット80が第1実施形態と同様に形成され、かつ、ドライブチェーン30の掛け替えが行われないため、チェーン保持力に優れる。ドライブトレイン61がチェーン保持力に優れるため、チェーンラインL11が傾斜していてもドライブチェーン30が外れ難い。
【0096】
リアスプロケット歯底軸方向中心面CP12は、フロントスプロケット歯底軸方向中心面CP11に対して、フレームの内側ではなく、外側にオフセットしてもよい。リアスプロケット歯底軸方向中心面CP12がフロントスプロケット歯底軸方向中心面CP11に対してオフセットするドライブトレイン61は、様々な仕様のフレームに適用できる。
【0097】
(第3実施形態)
第3実施形態のフロントスプロケット91が説明される。第3実施形態のフロントスプロケット91の説明には、図3、および、図14が用いられる。第1実施形態、および、第2実施形態と共通する構成については、第1実施形態、および、第2実施形態と同一の符号が付され、重複する説明が省略される。
【0098】
図14には、フロントスプロケット回転中心軸心CA1に関する径方向から見た単一のフロントスプロケット91が示される。単一のフロントスプロケット91は、複数のフロントスプロケット歯92を含む。複数のフロントスプロケット歯92は、第1フロントスプロケット歯93、および、図3に示される第2フロントスプロケット歯18を含む。第1フロントスプロケット歯93は、フロントスプロケット歯底軸方向中心面CP1に対して傾斜するように形成される。図14を用いて、第1フロントスプロケット歯93が説明される。
【0099】
第1フロントスプロケット歯93は、第1端部93a、および、第2端部93bを含む。第1端部93aは、フロントスプロケット周方向CD1における一端部に形成される。第2端部93bは、フロントスプロケット周方向CD1における他端部に形成される。第2端部93bは、フロントスプロケット軸方向AD1において、第1端部93aに対してオフセットする。
【0100】
本実施形態では、第1端部93aのフロントスプロケット軸方向AD1における中央部、および、第2端部93bのフロントスプロケット軸方向AD1における中央部によって、第1フロント歯中心線CL1が定義される。第1フロント歯中心線CL1は、第1端部93aのフロントスプロケット軸方向AD1における中央部、および、第2端部93bのフロントスプロケット軸方向AD1における中央部を通るように形成される。
【0101】
第1フロント歯中心線CL1は、平面視において、フロントスプロケット歯底軸方向中心面CP1に対して傾斜する。第1フロント歯中心線CL1がフロントスプロケット歯底軸方向中心面CP1に対して傾斜することによって、第1フロントスプロケット歯93は、フロントスプロケット歯底軸方向中心面CP1に対して傾斜するように形成される。
【0102】
第1フロントスプロケット歯93は、第1フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅AW11を有する。第1フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅AW11は、第1端部93aのフロントスプロケット軸方向AD1における一端部から、第2端部93bのフロントスプロケット軸方向AD1における他端部までの、フロントスプロケット軸方向AD1に沿った幅を示す。第1フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅AW11は、図3に示される第1実施形態の第1フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅AW1よりも長い。第1フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅AW11によって、アウターリンクスペースS1に対する第1フロントスプロケット歯93の隙間をより小さくできるため、フロントスプロケット91のチェーン保持力を向上できる。
【0103】
単一のフロントスプロケット90は、第2フロントスプロケット歯18にかえて、フロントスプロケット歯底軸方向中心面CP1に対して傾斜する第2フロントスプロケット歯を含んでよい。
【0104】
(変形例)
各実施形態に関する説明は、本発明が取り得る形態の例示であり、本発明を制限することを意図していない。本発明は、例えば以下に示す各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わされた形態を取り得る。
【0105】
例えば、各実施形態におけるドライブトレイン1の構成は一例であり、ドライブトレイン1は、各実施形態において示されない各種装置を含んでいてもよく、各実施形態において示す各種装置のうち一部を含まない構成としてもよい。例えば、ドライブトレイン1は、ドライブユニット50を含まない構成としてもよい。
【0106】
各実施形態において例示される各種の数値は限定されず、任意に設定されてもよい。例えば、第2実施形態におけるオフセット距離D1は、1mm未満でもよく、10mmより大きくてもよい。
【0107】
各実施形態において例示される構成は、相互に矛盾しない範囲において互いに組み合わせられてもよい。第1実施形態のリアスプロケット20は、第3実施形態の第1フロントスプロケット歯93と同様に形成される第1リアスプロケット歯を含んでよい。
【0108】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」、または、「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」、または、「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0109】
1…ドライブトレイン、10…単一のフロントスプロケット、11…フロントスプロケット体、16…フロントスプロケット歯、16a…フロント歯底、16b,26a,31d,32e,33a,34a…硬化層、17…第1フロントスプロケット歯、18…第2フロントスプロケット歯、20…単一のリアスプロケット、21…リアスプロケット体、26…リアスプロケット歯、26a…リア歯底、27…第1リアスプロケット歯、28…第2リアスプロケット歯、30…ドライブチェーン、31…アウターリンクプレート、32…インナーリンクプレート、32e…スプロケット歯保持縁、33…チェーンローラ、34…チェーンピン、40…内装変速ハブアセンブリ、41…遊星歯車機構、50…ドライブユニット、51…電動アクチュエータ、AW1…第1フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅、AW2…第2フロントスプロケットチェーン係合軸方向幅、AW3…第1リアスプロケットチェーン係合軸方向幅、AW4…第2リアスプロケットチェーン係合軸方向幅、CA1…フロントスプロケット回転中心軸心、CA2…リアスプロケット回転中心軸心、CP1…フロントスプロケット歯底軸方向中心面、CP2…リアスプロケット歯底軸方向中心面、D1…オフセット距離、S1…アウターリンクスペース、S2…インナーリンクスペース
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