IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

特開2023-173291印刷システム、印刷装置及び印刷方法
<>
  • 特開-印刷システム、印刷装置及び印刷方法 図1
  • 特開-印刷システム、印刷装置及び印刷方法 図2
  • 特開-印刷システム、印刷装置及び印刷方法 図3
  • 特開-印刷システム、印刷装置及び印刷方法 図4
  • 特開-印刷システム、印刷装置及び印刷方法 図5
  • 特開-印刷システム、印刷装置及び印刷方法 図6
  • 特開-印刷システム、印刷装置及び印刷方法 図7
  • 特開-印刷システム、印刷装置及び印刷方法 図8
  • 特開-印刷システム、印刷装置及び印刷方法 図9
  • 特開-印刷システム、印刷装置及び印刷方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173291
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】印刷システム、印刷装置及び印刷方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
H05K3/34 505D
H05K3/34 512A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085449
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 亮
(72)【発明者】
【氏名】宮原 清一
(72)【発明者】
【氏名】萬谷 正幸
(72)【発明者】
【氏名】中道 一貴
(72)【発明者】
【氏名】末安 祐介
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AC01
5E319BB05
5E319CC33
5E319CD04
5E319CD29
5E319GG03
5E319GG15
(57)【要約】
【課題】半田又はマスクの状態等に基づく現状の印刷状態を加味して印刷条件を決定でき、印刷不良の発生を抑制できる印刷システムを提供する。
【解決手段】印刷システムは、所定の開口を有するマスクを介して、複数の基板の各々に形成された電極にスキージを用いて半田を印刷する印刷装置100と、複数の基板のうち、第1の基板に印刷された第1の半田量を検査して第1の検査結果を印刷装置へ送信する検査装置と、を備える。印刷装置は、第1の検査結果に基づいて複数の印刷パラメータのうち第1の印刷パラメータを変更して、第1の基板の後に搬送された第2の基板に半田を印刷する。検査装置は、第2の基板に印刷された第2の半田量を検査して第2の検査結果を印刷装置へ送信する。印刷装置は、第2の検査結果に基づいて複数の印刷パラメータのうち第1の印刷パラメータとは異なる第2の印刷パラメータを変更する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板に半田を印刷する印刷システムであって、
所定の開口を有するマスクを介して、前記複数の基板の各々に形成された電極にスキージを用いて前記半田を印刷する印刷装置と、
前記複数の基板のうち、第1の基板に印刷された第1の半田量を検査して第1の検査結果を前記印刷装置へ送信する検査装置と、
を備え、
前記印刷装置は、前記第1の検査結果に基づいて複数の印刷パラメータのうち第1の印刷パラメータを変更して、前記第1の基板の後に搬送された第2の基板に前記半田を印刷し、
前記検査装置は、前記第2の基板に印刷された第2の半田量を検査して第2の検査結果を前記印刷装置へ送信し、
前記印刷装置は、前記第2の検査結果に基づいて複数の印刷パラメータのうち前記第1の印刷パラメータとは異なる第2の印刷パラメータを変更する、
印刷システム。
【請求項2】
前記印刷装置は、前記第1の半田量と前記第2の半田量を比較し、前記第2の半田量が前記第1の半田量よりも悪化していた場合は、前記第1の印刷パラメータを元に戻す、
請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記検査装置は、前記第1の半田量及び前記第2の半田量を、前記所定の開口に対する前記第1の基板及び前記第2の基板に対して印刷された前記半田の面積率として取得する、
請求項1または2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記検査装置は、前記第1の半田量及び前記第2の半田量を、前記所定の開口に対する前記第1の基板及び前記第2の基板に対して印刷された前記半田の体積率として取得する、
請求項1または2に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記複数の印刷パラメータは、印圧、印刷速度、及び版離れ速度のうちの少なくとも2つである、
請求項1又は2に記載の印刷システム。
【請求項6】
複数の基板に半田を印刷すると共に、印刷された前記半田について検査を行う検査装置の上流に設けられる印刷装置であって、
所定の開口を有するマスクを介して、前記複数の基板の各々に形成された電極にスキージを用いて前記半田を印刷する印刷部と、
前記検査装置から、前記複数の基板のうち、第1の基板に印刷された第1の半田量が検査された第1の検査結果を受信する通信部と、
前記第1の検査結果に基づいて、複数の印刷パラメータのうち第1の印刷パラメータを変更する制御部と、
を備え、
前記印刷部は、前記第1の印刷パラメータを用いて、前記第1の基板の後に搬送された第2の基板に前記半田を印刷し、
前記通信部は、前記検査装置から、前記複数の基板のうち、前記第2の基板に印刷された第2の半田量が検査された第2の検査結果を受信し、
前記制御部は、前記第2の検査結果に基づいて、複数の印刷パラメータのうち前記第1の印刷パラメータとは異なる第2の印刷パラメータを変更する、
印刷装置。
【請求項7】
複数の基板に半田を印刷する印刷方法であって、
所定の開口を有するマスクを介して、前記複数の基板のうち第1の基板に形成された電極にスキージを用いて前記半田を印刷するステップと、
印刷された前記半田について検査を行う検査装置から、前記第1の基板に印刷された第1の半田量が検査された第1の検査結果を受信するステップと、
前記第1の検査結果に基づいて、複数の印刷パラメータのうち第1の印刷パラメータを変更するステップと、
前記第1の印刷パラメータを用いて、前記マスクを介して、前記第1の基板の後に搬送された第2の基板に形成された電極に前記スキージを用いて前記半田を印刷するステップと、
前記検査装置から、前記第2の基板に印刷された第2の半田量が検査された第2の検査結果を受信するステップと、
前記第2の検査結果に基づいて、複数の印刷パラメータのうち前記第1の印刷パラメータとは異なる第2の印刷パラメータを変更するステップと、
を有する印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の基板に半田を印刷する印刷システム、印刷装置及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に電子部品を実装する電子部品実装システムは、印刷装置を含んで構成される。印刷装置は、所定の開口が形成されたスクリーンマスクを用いて基板にペースト状の半田を印刷する。このとき、印刷装置は、種々の印刷条件(印刷パラメータ)に基づいて半田を印刷する。
【0003】
従来の、印刷パラメータを取得する印刷パラメータ取得装置として、基板に半田を印刷するときに使用する部材を特定する印刷条件を取得する取得部と、印刷条件、印刷機の駆動の制御に用いられる印刷パラメータ及び印刷パラメータの信頼度が関連付けられて記憶されているデータベースから、取得部によって取得された印刷条件に対応する印刷条件に関連付けられている印刷パラメータであって信頼度が所定レベル以上の印刷パラメータを出力する出力部と、を備える印刷パラメータ取得装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/217510号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の特許文献1の印刷パラメータ取得装置では、印刷パラメータの信頼度は、基板に印刷された半田の面積の目標値に対する偏差(目標値に対する割合の最大値と最小値の差)によって表現される。また、時刻と、基板に印刷された半田の面積の目標値に対する偏差との情報が、データベースに記憶保持される。
【0006】
そのため、前述の特許文献1の印刷パラメータ取得装置は、データベースを参照し、第1の時間帯に第1の基板に印刷された半田の面積の目標値に対する偏差が小さい場合には、第1の時間帯に半田が印刷された第1の基板への印刷品質が良好であると判断する。その一方、印刷パラメータ取得装置は、第2の時間帯に第2の基板に印刷された半田の面積の目標値に対する偏差が小さい場合には、第2の時間帯に半田が印刷された第2の基板への印刷品質が劣化していると判断する。
【0007】
しかしながら、特許文献1の印刷パラメータ取得装置は、データベースに保持された過去の実績に基づく印刷パラメータを出力することができるが、現状の印刷状態を反映して印刷パラメータを出力することはできない。そのため、特許文献1の印刷パラメータ取得装置では、現状の印刷状態に適した印刷パラメータを選定することができず、その結果、印刷不良が生じる可能性がある。また、印刷時に用いるスクリーンマスクの状態の影響を受けて、現状の印刷状態が変化する可能性もある。例えば、スクリーンマスクに汚れが溜まっている場合、印刷された半田の半田量が過大となる場合がある。
【0008】
本開示は、半田又はマスクの状態等に基づく現状の印刷状態を加味して印刷条件を決定でき、印刷不良の発生を抑制できる印刷システム、印刷装置及び印刷方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様は、複数の基板に半田を印刷する印刷システムであって、所定の開口を有するマスクを介して、前記複数の基板の各々に形成された電極にスキージを用いて半田を印刷する印刷装置と、前記複数の基板のうち、第1の基板に印刷された第1の半田量を検査して第1の検査結果を前記印刷装置へ送信する検査装置と、を備え、前記印刷装置は、前記第1の検査結果に基づいて複数の印刷パラメータのうち第1の印刷パラメータを変更して、前記第1の基板の後に搬送された第2の基板に半田を印刷し、前記検査装置は、前記第2の基板に印刷された第2の半田量を検査して第2の検査結果を前記印刷装置へ送信し、前記印刷装置は、前記第2の検査結果に基づいて複数の印刷パラメータのうち前記第1の印刷パラメータとは異なる第2の印刷パラメータを変更する、印刷システムである。
【0010】
また、本開示の一態様は、複数の基板に半田を印刷すると共に、印刷された前記半田について検査を行う検査装置の上流に設けられる印刷装置であって、所定の開口を有するマスクを介して、前記複数の基板の各々に形成された電極にスキージを用いて半田を印刷する印刷部と、前記検査装置から、前記複数の基板のうち、第1の基板に印刷された第1の半田量が検査された第2の検査結果を受信する通信部と、前記第1の検査結果に基づいて、複数の印刷パラメータのうち第1の印刷パラメータを変更する制御部と、を備え、前記印刷部は、前記第1の印刷パラメータを用いて、前記第1の基板の後に搬送された第2の基板に半田を印刷し、前記通信部は、前記検査装置から、前記複数の基板のうち、前記第2の基板に印刷された第2の半田量が検査された第2の検査結果を受信し、前記制御部は、前記第2の検査結果に基づいて、複数の印刷パラメータのうち前記第1の印刷パラメータとは異なる第2の印刷パラメータを変更する、印刷装置である。
【0011】
また、本開示の一態様は、複数の基板に半田を印刷する印刷方法であって、所定の開口を有するマスクを介して、前記複数の基板のうち第1の基板に形成された電極にスキージを用いて半田を印刷するステップと、印刷された前記半田について検査を行う検査装置から、前記第1の基板に印刷された第1の半田量が検査された第1の検査結果を受信するステップと、前記第1の検査結果に基づいて、複数の印刷パラメータのうち第1の印刷パラメータを変更するステップと、前記第1の印刷パラメータを用いて、前記マスクを介して、前記第1の基板の後に搬送された第2の基板に形成された電極に前記スキージを用いて半田を印刷するステップと、前記検査装置から、前記第2の基板に印刷された第2の半田量が検査された第2の検査結果を受信するステップと、前記第2の検査結果に基づいて、複数の印刷パラメータのうち前記第1の印刷パラメータとは異なる第2の印刷パラメータを変更するステップと、を有する印刷方法である。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、半田又はマスクの状態等に基づく現状の印刷状態を加味して印刷条件を決定でき、印刷不良の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の第1の実施形態における電子部品実装システムの構成例を示す模式図
図2図1に示す印刷装置の構成例を基板の搬送方向に沿って示す正面図
図3】スクリーンマスクを介した基板への半田の印刷及び印刷結果を説明する図
図4】印刷検査装置によって検査された、基板に印刷された半田量の検査結果の一例を示すグラフ
図5】電子部品実装システムの機能的な構成例を示すブロック図
図6図5に示す印刷制御部が実行する動作フロー例を示すフロー図
図7図6に示すサブルーチンの動作フロー例を示すフロー図
図8図5に示す印刷制御部が印刷パラメータを変更する手順の一例を示す図
図9】印刷パラメータの変更及び調整によって半田量の検査結果が推移する様子を示す第1具体例を説明する図
図10】印刷パラメータの変更及び調整によって半田量の検査結果が推移する様子を示す第2具体例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る印刷装置及び印刷方法を具体的に開示した実施形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明または実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。また、添付図面のそれぞれは符号の向きに従って参照するものとする。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0015】
また、実施形態でいう「部」または「装置」とは単にハードウェアによって機械的に実現される物理的構成に限らず、その構成が有する機能をプログラムなどのソフトウェアにより実現されるものも含む。また、1つの構成が有する機能が2つ以上の物理的構成により実現されても、または2つ以上の構成の機能が例えば1つの物理的構成によって実現されていてもかまわない。
【0016】
また、以下、基板の搬送方向をX方向、水平面内においてX方向と直交する方向をY方向、XY平面に対して垂直な方向をZ方向とも定義する。また、Z方向を「鉛直方向」、及びZ方向の正側を「上」、Z方向の負側を「下」とも称する場合がある。
【0017】
(第1の実施形態)
図1図10に基づいて本開示に係る第1の実施形態について説明する。
【0018】
[電子部品実装システムの基本構成について]
図1を参照しながら、本実施形態に係る電子部品実装システム1の基本的な構成例を説明する。図1は、本実施形態における電子部品実装システム1の構成例を示す模式図である。
【0019】
電子部品実装システム1は、印刷装置100と、印刷検査装置200と、管理装置300と、作業コンベアM3と、実装装置M4,M5と、を含んで構成される。電子部品実装システム1は、後述するように複数の基板2のそれぞれに半田SRを印刷し、その印刷状態を検査し、複数の基板2のそれぞれに電子部品を実装する。
【0020】
印刷装置100、印刷検査装置200、作業コンベアM3、及び実装装置M4,M5は、連結されて電子部品実装ラインを構成し、管理装置300によって制御される。印刷装置100、印刷検査装置200、及び実装装置M4,M5の各装置は、通信ネットワークNTを介して管理装置300に接続される。
【0021】
印刷装置100は、例えばスクリーン印刷装置であり、順次搬送される複数の基板2のそれぞれに対し、これら複数の基板2のそれぞれに形成された電子部品接合用の電極(以下「印刷部位」ともいう。)にペースト状の半田SRをスクリーン印刷することにより、電極上に半田SRを印刷する。
【0022】
印刷検査装置200は、SPI(Solder Paste Inspection)であり、印刷装置100により半田SRが印刷された非印刷物(例えば基板2)の印刷状態を、順次搬送される複数の基板2のそれぞれに対して検査する。印刷検査装置200は、複数の基板2のそれぞれの印刷状態を取得(検査)して、その検査結果を印刷装置100へ送信する。
【0023】
この印刷状態は、例えば、被印刷物の印刷領域に印刷された半田SRの位置、高さ、面積、体積、位置ずれ、面積率及び体積率、等の状態を含む。面積率や体積率は、半田量を示す指標となる。面積率とは、印刷部位のそれぞれにおいて印刷領域のサイズに対する半田SRの占有面積の割合を示す。体積率とは、印刷部位のそれぞれにおいて印刷領域のサイズに対する半田SRの半田量の割合を示す。つまり、印刷検査装置200は、例えば、第1、第2、・・・と搬送される基板2のそれぞれに対し半田量として基板2のそれぞれに印刷された半田SRの面積率又は体積率を少なくとも取得し、データ送信する。
【0024】
なお、印刷領域は、例えば、基板2の電極の上面の領域であり、後述する基板2の上面に当接するスクリーンマスク13(マスクの一例:後述参照)のパターン孔13h(開口の一例:後述参照)である。
【0025】
作業コンベアM3は、印刷状態が良好と判定された基板2を下流の実装装置M4に搬送する。印刷状態が不良と判断された基板2は、作業コンベアM3による搬送を停止してオペレータにより取り出される。実装装置M4,M5は、電子部品装着装置であり、半田部が形成された基板2の電子部品装着位置に電子部品を装着する。
【0026】
その後、電子部品が装着された基板2はリフロー機(図示せず)に送られ、所定の温度プロファイルに従って加熱される。この加熱により半田SRに含まれる半田粒子が溶融し、電子部品と基板2とが半田接合される。管理装置300は、電子部品実装システム1内の各装置を管理する。管理装置300は、例えば任意のコンピュータやサーバであってよい。
【0027】
[印刷装置の基本構成について]
図2を参照しながら、印刷装置100のハードウェア構成について説明する。図2は、図1に示す印刷装置100の構成例を基板2の搬送方向に沿って示す正面図である。
【0028】
図2に示すように、印刷装置100は、所定のパターン孔13hが形成されるスクリーンマスク13を用いて基板2にクリーム半田又は導電性ペースト等の半田SR(半田ペースト)を印刷する機能を有する。
【0029】
印刷装置100は、基板保持テーブル4と、基板保持テーブル移動機構5と、基板搬送機構6と、を含んで構成される。
【0030】
基板搬送機構6は、印刷装置100の上流側に配置される外部装置から基板2を連続して受け取って自装置内に搬送して位置決めする。そして、基板2への印刷が行われた後、基板搬送機構6はその基板2を下流側に搬出する。
【0031】
基板保持テーブル4は、基板搬送機構6によって上流側から搬送されてきた基板2をクランプして固定し保持する。基板保持テーブル移動機構5は、X方向及びY方向に基板保持テーブル4を移動させると共に、Z方向に基板保持テーブル4を移動(昇降)させることが可能である。なお、基板保持テーブル4及び基板保持テーブル移動機構5は、基板搬送機構6の一部と一体的に動作する。
【0032】
基板保持テーブル移動機構5は、基板2が保持された状態で基板保持テーブル4を上昇させることで基板2をスクリーンマスク13に当接させる。そして、基板保持テーブル移動機構5は、その当接の状態で基板2に半田SRが印刷されると基板保持テーブル4を下降させて、スクリーンマスク13との当接を解除する。このような下降動作(解除動作)は「版離れ」動作とも呼ばれる。基板保持テーブル移動機構5は、版離れの速度(以下「版離れ速度」ともいう)を調整可能に構成される。即ち、基板保持テーブル移動機構5は、版離れ速度の大小(加減)を印刷装置100の印刷制御部152(後述参照)の指示に従って調整可能である。その結果、印刷装置100は、印刷検査装置200の検査結果に基づいて(後述参照)、搬送される基板2毎に複数の印刷パラメータのうち、例えば後で搬送される基板2に対し版離れ速度を変更して半田SRを印刷可能である(後述参照)。
【0033】
また、基板保持テーブル移動機構5は、XY平面内において基板保持テーブル4を所定の回転方向θに回転移動させることも可能である。そのため、基板保持テーブル4は、X方向(bx方向)、Y方向(by方向)、及びZ方向(bz方向)に移動自在であり且つ回転方向θ(bθ方向)に回転自在である。基板保持テーブル4は、基板保持テーブル移動機構5の駆動により、基板保持テーブル4の位置及び向き、つまり基板2の位置及び向きを調整してスクリーンマスク13(具体的にはスクリーンマスク13のパターン孔13h)に対する基板2の位置を決定し位置合わせする。
【0034】
基板2は、上流側から基板搬送機構6により搬入され所定の位置で位置決めされる。そして、基板2への印刷が行われた後、基板2は、さらに基板搬送機構6によって下流側に搬出される。
【0035】
印刷装置100は、スクリーンマスク13と、印刷ヘッド14と、印刷ヘッド移動機構15と、スキージ16と、をさらに含んで構成される。
【0036】
マスク枠13aには、可撓性を有するスクリーンマスク13が展張される。また、スクリーンマスク13には、基板2における印刷対象となる電極等の形状又は位置等に対応して、複数のパターン孔13hが形成される(例えば図3参照)。スクリーンマスク13上には、ペースト供給機構(不図示)によって半田SRが供給される。半田SRには、粘着性を有するフラックスが含まれる。スクリーンマスク13上には、印刷ヘッド14が配設される。
【0037】
印刷ヘッド14は、パターン孔13hに半田SRを充填して基板2に半田SRを印刷する。また、印刷ヘッド14は、スキージ16を昇降させるスキージ昇降機構17を有する。
【0038】
スキージ16は、Y方向に沿って2つのスキージ16が一対で設けられる。スキージ16は、X方向を長手方向として細長形状に形成される。スキージ16は、スキージ昇降機構17の駆動によってZ方向に昇降する。つまり、一方のスキージ16はa1方向に昇降し、他方のスキージ16はa2方向に昇降する。スキージ16が降下することで、スキージ16は、スクリーンマスク13の上面に当接する。スキージ16は、スクリーンマスク13に当接してスクリーンマスク13の上面を摺動することで、スクリーンマスク13のパターン孔13hを介して半田SRを基板2に印刷する。そして、スキージ16がスキージ昇降機構17によって上昇されることで、スクリーンマスク13の上面へのスキージ16の当接が解除される。
【0039】
スキージ昇降機構17は、スクリーンマスク13に対するスキージ16の押圧力、つまり印圧(印刷パラメータの一例)を調整可能に構成される。即ち、スキージ昇降機構17は、印圧の大小(加減)を印刷装置100の印刷制御部152の指示に従って調整可能である。その結果、印刷装置100は、印刷検査装置200の検査結果に基づいて、搬送される基板毎に、複数の印刷パラメータのうち、例えば、印圧を適宜変更して半田SRを印刷可能である。
【0040】
印刷ヘッド移動機構15は、印刷ヘッド14をY方向に沿って移動させる。印刷ヘッド14は、印刷ヘッド移動機構15の駆動により、Y方向(ay方向)に移動自在である。それにより、印刷ヘッド14に取り付けられたスキージ16は、Y方向に移動してスクリーンマスク13のパターン孔13hを介して半田SRを基板2に印刷する。
【0041】
印刷ヘッド移動機構15は、スキージ16の摺動速度、つまり印刷速度(印刷パラメータの一例)を調整可能に構成される。即ち、印刷ヘッド移動機構15は、印刷速度の大小(加減)を印刷装置100の印刷制御部152の指示に従って調整可能である。その結果、印刷装置100は、印刷検査装置200の検査結果に基づいて、搬送される基板毎に、複数の印刷パラメータのうち、例えば、印刷速度を適宜変更して半田SRを印刷可能である。
【0042】
[スクリーンマスクを介した基板への半田の印刷及び印刷結果について]
図3及び図4を参照しながら、スクリーンマスク13を介した基板2への半田SRの印刷及び印刷結果について説明する。図3は、スクリーンマスク13を介した基板2への半田SRの印刷及び印刷検査を説明する図である。図4は、印刷検査装置200によって検査された、基板2に印刷された半田量の検査結果の一例を示すグラフである。
【0043】
印刷装置100は、基板2上の印刷部位の情報を、例えば記憶部153(後述参照)に予め記憶保持する。印刷部位の情報は、例えば生産データに含まれる。
【0044】
印刷部位は、電子部品の端子を基板2の電極と半田接合するために、半田SRが印刷されるべき基板2上の位置にあり、部品実装位置(部品実装点)に対応する。また、印刷部位は、印刷時(スクリーンマスク13と基板2との当接時)のスクリーンマスク13のパターン孔13hの位置に対応する。そのため、スクリーンマスク13のパターン孔13hに半田SRが印刷されることで、印刷部位に半田SRが印刷されることになる。
【0045】
スクリーン印刷では、まず、印刷制御部152(後述参照)が、スクリーンマスク13の下面13cに基板2を当接させ、半田SRが供給されたスクリーンマスク13の上面でスキージ16を摺動させることにより、パターン孔13h内に半田SRが充填されるスキージング動作が実行される。このスキージング動作の後に、印刷制御部152は、基板2をスクリーンマスク13の下面13cから離す版離れ動作を実行させる。この実行により、基板2の上面の印刷部位のそれぞれには、パターン孔13hの内側形状に対応する立体形状の半田SRが印刷される。そして、半田SRが印刷された後の基板2を対象として、印刷検査装置200によって印刷検査が実行される。
【0046】
スクリーン印刷では、印刷部位のそれぞれに印刷された半田SRの平面位置や立体形状は、必ずしもパターン孔13hの位置や内側形状に厳密に合致したものであるとは限らず、各種の要因によってばらつきがある場合がある。
【0047】
例えば、スクリーンマスク13のパターン孔13hのサイズ(単に孔サイズとも称する)に対応して、パターン孔13hの内部への半田SRの進入のし易さが異なる。なお、図3では、スクリーンマスク13のパターン孔13hとして、様々なサイズのパターン孔13hが例示される。図3では、小パターン孔13h1と大パターン孔13h2とが例示される。小パターン孔13h1は、孔サイズが所定閾値未満の小さな孔である。大パターン孔13h2は、孔サイズが所定閾値以上の大きな孔である。
【0048】
スクリーンマスク13上を摺動するスキージ16の動作に係る印圧及び印刷速度は、1つの基板2の印刷中には変更されない。そのため、スクリーンマスク13が有する小パターン孔13h1においても大パターン孔13h2においてもスキージ16による印圧(押圧力)及び印刷速度(スキージング速度)は同じであるが、小パターン孔13h1よりも大パターン孔13h2の方が、半田SRが進入し易い。
【0049】
そのため、小パターン孔13h1での半田SRの体積率又は面積率は、大パターン孔13h2での半田SRの体積率又は面積率よりも大きくなる傾向にある。つまり、スキージ16に係る印圧及び印刷速度が印刷パラメータに含まれており、印刷制御部152は、印刷検査装置200の検査結果に基づいて、印刷パラメータを変更する。印刷制御部152は、その印刷パラメータの変更により、後で搬送される基板2に印刷される半田SRの体積率又は面積率を適応的に制御可能である。また、前述した版離れ速度についても同様である。つまり、版離れ速度が印刷パラメータに含まれており、印刷制御部152は、印刷検査装置200の検査結果に基づいて印刷パラメータを変更することで、後で搬送される基板2に印刷される半田SRの体積率又は面積率を適応的に制御可能である。
【0050】
また、例えば、基板2とスクリーンマスク13との位置合わせが不良である場合、基板2における半田SRの位置ずれが発生し得る。また、スキージング動作における充填不良や版離れ動作における版離れ不良などを原因として、印刷量不良が発生し得る。印刷量不良は、半田SRの立体形状が部分的に欠落して半田SRの印刷量(半田量)が規定量に満たない「欠け」と、半田量が過大であり印刷範囲からはみ出した「滲み」と、などを含む。本実施形態では、印刷量不良は、例えば、半田量として体積率又は面積率によって示される。
【0051】
このような印刷された半田SRの位置ずれ又は印刷量不良(例えば、半田量の不足又は過多)等は、電子部品が実装された後のリフローによる半田接合において接合不良の原因となる。そのため、印刷検査装置200の検査実行部253(後述参照)が、実装装置M4,M5による電子部品搭載に先立って半田SRの印刷状態を検査し、印刷状態の良否を判定する。そして、印刷検査装置200は、この良否判定とともに、印刷状態の位置ずれ又は印刷量不良などを示す検査結果のデータを、印刷装置100へフィードバックする。
印刷装置100が検査結果送信指令を印刷検査装置200に送信し、印刷検査装置200は、この検査結果送信指令に従って印刷装置100にフィードバックしてもよいし、印刷検査が完了したら順に印刷装置100にフィードバックしてもよい。検査結果のデータは、基板2毎の印刷部位毎の印刷された半田SRの位置の座標、面積、高さ、又は体積等が含まれてよい。また、検査結果のデータは、基板2毎の印刷部位毎の印刷部位に対する実際の印刷位置の位置ずれの情報、体積率又は面積率の情報等を含んでよい。
【0052】
また、印刷検査装置200は、半田SRの平面的な位置ずれを検査する場合、印刷後の基板2をカメラによって平面的に撮像し、得られた画像データを認識処理することにより、印刷形状を示す2次元データを導出し、この2次元データに基づいて半田SRの印刷位置を検査してよい。また、印刷検査装置200は、この2次元データを印刷部位の高さ方向で積分することで、3次元での半田SRの位置ずれ又は印刷量不足等の検査結果のデータを算出してよい。また、印刷検査装置200は、3次元測定器によって印刷後の基板2を3次元計測し、計測により得られた3次元データに基づいて、半田SRの位置ずれまたは印刷量不良などの検査結果を導出してもよい。3次元測定器は、印刷検査装置200に配設されてもよい。
【0053】
また、3次元測定器は、印刷後の基板2に対して移動させることにより、基板2の任意の範囲を対象として3次元形状計測してよい。そして、検査実行部253(後述参照)は、基板2を3次元測定器によって計測した計測データを処理することにより、基板2上に印刷された半田SRの形状や体積を3次元的に検出してよい。なお、半田SRの面積又は体積の導出方法は、本実施形態で記載した具体的な方法に限られず、他の公知の方法であってもよい。
【0054】
印刷装置100の印刷制御部152は、検査結果のデータのフィードバックを受け、検査結果のデータに基づいて、前述した印刷パラメータの他に、基板2とスクリーンマスク13との相対的な位置を変更する基板保持テーブル移動機構5又は印刷ヘッド14等を移動するように、印刷パラメータ(印刷条件)を変更してよい。それにより、印刷装置100は、半田SRの位置ずれを抑制可能である。
【0055】
また、印刷制御部152は、検査結果のデータのフィードバックを受け、検査結果のデータ(例えば体積率又は面積率の情報)に基づいて、印刷パラメータとしての印圧、印刷速度、及び版離れ速度等を制御する。この場合、印刷制御部152は、複数の印刷パラメータのうち1つずつ順次選択(変更)し、この印刷パラメータの大小について適応的に維持又は調整する。そして、印刷装置100は、後に搬送される基板2に対しこの印刷パラメータの条件下で半田SRを印刷する。印刷装置100は、1つずつ順次選択することで、どの印刷パラメータをどの値にすることが有効であることを明確に認識可能である。このようにして、それにより、印刷装置100は、スクリーンマスク13のパターン孔13hに印刷された半田SRの体積率又は面積率を、所望の範囲に収束するように適応的に制御可能となる。以下の説明では、半田量として主に体積率を用いて説明するが、半田量が面積率であっても同様である。
【0056】
次に、検査結果に基づく体積率の度数分布分析について説明する。
【0057】
印刷装置100は、印刷検査装置200から検査結果のデータを取得することで、基板搬送機構6によって順次搬送される基板2のそれぞれについて、半田量として体積率を基板2の印刷部位毎に複数取得する。また、その取得された検査結果に対し、印刷装置100は、事前に設定された所定の階級(体積率に応じた区域)毎に分別して度数分布分析(ヒストグラムの分析)を実行する。
【0058】
図4に示すように、印刷装置100は、この度数分布分析を、例えば、連続して搬送される所定の個数の複数の基板2(例えば連続する5個又は10個の基板2)に対して1つのグループ(分析単位)として一括して実行し、当該所定の個数に関する度数分布のグラフや表を作成してよい。この度数分布のグラフでは、検査結果(例えば体積率)に関して、OK区域と、OK区域の外側に形成される警告区域と、警告区域の外側に形成されるNG区域と、が設定されている。度数は、例えば、体積率毎に導出されてよく、その体積率となった印刷部位の個数である。なお、度数は、分析単位の基板2の各印刷部位の体積率毎の合計個数であってもよいし、基板2の1枚あたりの平均個数であってもよい。
【0059】
印刷装置100は、複数の基板2を1つのグループとして度数分布分析を実行する。この場合、印刷装置100は、次の分析対象のグループが先のグループには含まれない全くの新規の基板2のみから構成されるようにして、分析対象の基板2に対して度数分布分析してよい。また、印刷装置100は、次の分析単位(分析対象のグループ)においてその一部が先の分析単位の基板2と重複するようにして、分析対象の基板2を度数分布分析してもよい。
【0060】
OK区域とは、基板2の印刷部位のそれぞれに対し検査結果が所望の範囲にあり、パターン孔13hに対して半田SRが好適(良好)に印刷された状態を示す区域である。警告区域とは、検査結果が所望の範囲から外れており、基板2の印刷部位のそれぞれに対しパターン孔13hに対して半田SRが好適に印刷されていないが、その不適切なレベルが電子部品実装システム1の稼働上許容範囲内である状態を示す区域である。また、警告区域は、OK区域及びNG区域の間に設けられる中間区域としての意味を有する。NG区域とは、検査結果が所望の範囲から大きく外れており、パターン孔13hに対して半田SRが好適に印刷されておらず、その不適切なレベルが警告区域に比べて高い状態を示す区域である。
【0061】
印刷装置100の印刷制御部152は、検査結果として得られた、少なくとも1つの印刷部位の体積率がNG区域に含まれる場合、電子部品実装システム1の動作を停止してよい。印刷制御部152は、検査結果として得られた少なくとも1つの印刷部位の体積率が警告区域に含まれる場合、電子部品実装システム1の動作を停止しないが、所定の警告を出力させてよい。警告の出力は、例えば警告情報を提示したり送信したりすることを含んでよい。警告の出力は、例えば印刷装置100の表示部154(後述参照)やスピーカ155(後述参照)で行われてよい。これにより、印刷装置100は、オペレータ又は作業者等に印刷品質が悪いことを通知でき、電子部品実装システム1の動作が停止することを未然に防止できる。
【0062】
警告区域には、その上限側で体積率が大きい上限側警告区域と、その下限側で体積率が小さい下限側警告区域と、が設けられる。同様に、NG区域には、その上限側で体積率がさらに大きい上限側NG区域と、その下限側で体積率又は面積率がさらに小さい下限側NG区域と、が設けられる。
【0063】
例えば、上限側警告区域は、体積率が閾値TH11以上且つ閾値TH21(>TH11)未満の区域である。上限側NG区域は、体積率が閾値TH21以上の区域である。同様に、下限側警告区域は、体積率又は面積率が閾値TH12以下且つ閾値TH22(<TH12)より大きい区域である。下限側NG区域は、体積率又は面積率が閾値TH22以下の区域である。これら閾値TH11,TH12,TH21,TH22は、度数分布分析において前述した階級の境界に一致して設定されており、事前に印刷装置100の記憶部153(後述参照)により記憶保持される。
【0064】
印刷制御部152は、度数分布の分析の際、上限側警告区域、下限側警告区域、上限側NG区域及び下限側NG区域のそれぞれに属する印刷部位の個数(それぞれの区域に属する度数の合計値)を算出する。なお、分析単位の基板2における度数の合計値の代わりに、分析単位の基板2における度数の基板2毎の平均値が算出されてもよい。
【0065】
また、印刷制御部152は、上限側警告区域及び上限側NG区域に属する印刷部位の個数が下限側警告区域及び下限側NG区域の個数よりも多い場合、半田量が過大であると判別してよい。一方、下限側警告区域及び下限側NG区域に属する印刷部位の個数が上限側警告区域及び上限側NG区域に属する印刷部位の個数よりも多い場合、半田量が過小であると判別してよい。半田量が過大である場合には、印刷制御部152は、半田量を小さくするように、印刷パラメータの値を変更してよい。半田量が過小である場合には、印刷制御部152は、半田量を大きくするように、印刷パラメータの値を変更してよい。
【0066】
なお、本実施形態は、上限側警告区域、下限側警告区域、上限側NG区域及び下限側NG区域のそれぞれに属する印刷部位の印刷部位の個数が算出されることを主に例示するが、これに限定されない。例えば、上限側警告区域、下限側警告区域、上限側NG区域及び下限側NG区域のそれぞれに属する印刷部位の印刷部位の個数の割合が算出可能に構成されてもよい。
【0067】
[電子部品実装システムの機能的な構成について]
図5を参照しながら、電子部品実装システム1の機能的な構成について説明する。図5は、電子部品実装システム1の機能的な構成例を示すブロック図である。
【0068】
電子部品実装システム1は、印刷装置100と、印刷検査装置200と、印刷装置100及び印刷検査装置200に通信ネットワークNTを介して接続された管理装置300と、を有する。なお、図4では、作業コンベアM3及び実装装置M4,M5の図示は省略されている。
【0069】
印刷装置100は、通信部151と、印刷制御部152と、記憶部153と、基板保持テーブル移動機構5と、印刷ヘッド14と、印刷ヘッド移動機構15と、スキージ昇降機構17と、等を有する。また、印刷装置100は、表示部154と、スピーカ155と、操作部156と、をさらに有する。
【0070】
通信部151は、印刷装置100の外部では通信ネットワークNTと接続され、印刷装置100の内部では印刷制御部152及び記憶部153等と接続される。通信部151は、各種のデータや情報を通信する。
【0071】
印刷制御部152は、印刷装置100の各部による各種処理を統括し、例えば基板保持テーブル移動機構5、印刷ヘッド14、印刷ヘッド移動機構15、及びスキージ昇降機構17等に接続されており、これら機構を制御する。
【0072】
記憶部153は、各種のデータや情報を記憶し、例えば前述した印刷パラメータデータ153aを記憶する。印刷パラメータは、印刷装置100による印刷パラメータに係るデータ(諸元)であり、スキージ16に係る印圧及び印刷速度、並びに基板保持テーブル移動機構5に係る版離れ速度、等を含む。例えば、印圧パラメータの値を変更する際に用いられる、印圧パラメータの初期値、上限値、下限値、及び1回あたりの値の変更量(例えば5N)等のデータを保持してよい。また、記憶部153は、度数分布における区域を識別する上述の閾値TH11,TH12,TH21,TH22を保持してよい。また、記憶部153は、印刷検査装置200から得られた検査結果のデータを保持してよい。
【0073】
また、記憶部153には、印刷検査装置200から送信される検査結果が許容範囲内か否かを判定するために許容値(後述参照)も記憶保持される。許容値は、例えば度数分布分析に用いる区域毎に用意されてよい。許容値は、例えば各区域に属する印刷部位の個数(区域毎の度数)と比較される。許容値は、例えば、NG区域と警告区域とで異なってよく、NG区域の方が警告領域よりも許容値が小さくてよい。つまり、警告区域に属する印刷部位の個数が多少含まれても許容するが、NG区域に属する印刷部位の個数が含まれることは許容しない、とされてよい。また、許容値は、NG区域と警告区域とで同じでもよい。例えば、NG区域も警告区域でも許容値を0とすると、NG区域及び警告区域のいずれにも検査結果が属することが許容されず、OK区域の範囲内に全ての印刷部位の体積率が収まるように調整可能である。
【0074】
印刷制御部152は、印刷検査装置200からの検査結果のデータに基づいて、連続して搬送される複数の基板2を1つの分析単位として度数分布分析を実行する。印刷制御部152は、度数分布分析では、その度数分布を示す度数分布表に基づくOK区域、警告区域及びNG区域のそれぞれに属する印刷部位の個数(度数)を算出する。
【0075】
印刷制御部152は、複数の印刷パラメータに基づいて、印刷装置100の各部を制御することにより、スクリーンマスク13を介して作業対象の基板2へのスクリーン印刷を実行する。また、印刷制御部152は、通信部151を介して印刷検査装置200の検査結果を受信する。そして、印刷制御部152は、印刷検査装置200の検査結果に基づいて度数分布分析を行う。印刷制御部152は、度数分布分析に基づいて複数の印刷パラメータのうち1つの印刷パラメータを順次選択して印刷パラメータの値を変更し、基板2の印刷部位のそれぞれで最適な半田SRが印刷されるように制御(調整)する(後述参照)。
【0076】
表示部154は、液晶パネル等のモニタであり、印刷装置100への操作入力の入力画面等の各種の画面を表示する。表示部154は、各種データや情報を表示し、例えば、印刷パラメータ又は印刷検査装置200の検査結果等の情報を表示したり、度数分布分析に基づく警告情報の表示をしたりしてよい。
【0077】
スピーカ155は、各種の音や音声を出力し、例えば、印刷パラメータ、印刷検査装置200の検査結果又は検査結果に基づく情報を音声で出力する。また、スピーカ155は、度数分布分析に基づく警告情報の音声出力を行ってよい。各種の表示や音声出力は、オペレータ又は作業者等により確認されてよい。
【0078】
操作部156は、キー、ボタン、又はタッチパネル等で構成され、各種の操作を受け付ける。各種の操作は、オペレータ又は作業者等により行われてよい。
【0079】
印刷検査装置200は、通信部251と、検査制御部252と、検査実行部253と、記憶部254と、を有する。
【0080】
通信部251は、印刷検査装置200の外部では通信ネットワークNTと接続され、印刷検査装置200の内部では検査制御部252、検査実行部253、及び記憶部254等に接続される。通信部251は、各種のデータや情報を通信する。
【0081】
検査制御部252は、印刷検査装置200の各部による各種処理を統括し、例えば、検査実行部253を制御する。検査制御部252は、例えば、通信部251を介して、管理装置300が保持するガーバーデータ353a(後述参照)、基板データ353b及び実装データ353cを取得し、取得された各種データを記憶部254に記憶させてよい。
【0082】
ガーバーデータ353aは、スクリーンマスク13におけるパターン孔13hの形状や配置を規定するデータである。ガーバーデータ353aは、スクリーンマスク13におけるパターン孔13hのそれぞれに関する情報を含んでよい。スクリーンマスク13のパターン孔13hのそれぞれに関する情報は、スクリーンマスク13におけるパターン孔13hのそれぞれの位置、パターン孔13hのそれぞれの高さ、パターン孔13hのそれぞれの平面的な面積並びに孔サイズ(体積)、パターン孔13hのそれぞれの形状、パターン孔13hの数、その他のパターン孔13hに関する情報を含んでよい。
【0083】
基板データ353bは、基板2の形状に関するデータ、即ち電極形成面における電極パターン、レジスト及びシルクの形状や配置を規定するデータである。実装データ353cは、基板2における部品実装点の位置座標など実装動作に関連するデータである。
【0084】
記憶部254は、各種データや情報を記憶し、例えば、検査に係る検査用データ254aを記憶する。
【0085】
検査用データ254aは、検査実行部253における撮像時の照明条件、良否の判定に適用される判定閾値、及び前述した度数分布分析での閾値TH11,TH12,TH21,TH22、等を含む。また、検査用データ254aは、管理装置300から取得されたガーバーデータ353a、基板データ353b及び実装データ353cを含んでよい。
【0086】
検査実行部253は、検査制御部252による制御に従って、検査用データ254aに基づいて、作業対象の基板2に対して印刷検査を実行する。この場合、検査実行部253は、ガーバーデータ353a、基板データ353b及び実装データ353cの少なくとも1つに基づいて、印刷検査を実行してよい。検査実行部253は、印刷検査において、スクリーンマスク13の全てのパターン孔13hを介して全ての電極に印刷された半田SRの印刷状態を検査する。
【0087】
検査実行部253は、印刷検査において、印刷装置100によって印刷が行われた後の基板2をカメラによって撮像し、撮像によって取得した画像を認識処理することにより、印刷状態、例えば印刷部位のそれぞれでの体積率又は面積率を検査する。
【0088】
例えば、体積率の検査としては、検査実行部253は、パターン孔13hのそれぞれに印刷された半田SRのそれぞれの半田量(例えば体積又は面積)を導出する。この場合、検査実行部253は、前述したように印刷された半田SRの2次元データを積分したり、3次元計測器によって半田SRの3次元データを計測したりする。それにより、検査実行部253は、印刷部位のそれぞれにおいて印刷された半田SRの体積又は面積を導出してもよい。また、検査実行部253は、ガーバーデータ353aに含まれる孔サイズのそれぞれと、導出された半田SRのそれぞれの半田量と、に基づいて、印刷部位のそれぞれにおいて印刷された半田SRの体積率又は面積率を算出してよい。
【0089】
管理装置300は、通信部351と、管理制御部352と、記憶部353と、表示部355と、を有する。
【0090】
通信部351は、管理装置300の外部において、通信ネットワークNTを介して印刷装置100及び印刷検査装置200に接続されており、これら各装置との間で通信する。通信部351は、各種データや情報を通信する。例えば、通信部351は、印刷検査装置200から、印刷検査の検査結果のデータを受信する。また、通信部351は、管理装置300の内部において、管理制御部352、記憶部353及び表示部355に接続される。
【0091】
表示部355は、液晶パネルなどのモニタであり、管理装置300への操作入力の入力画面などの各種の画面を表示する。管理装置300の表示部355は、各種データや情報を表示する。管理装置300の記憶部353は、各種データや情報を記憶し、例えば、ガーバーデータ353a、基板データ353b及び実装データ353cを記憶保持する。
【0092】
管理制御部352は、管理装置300による各種処理を統括する。管理制御部352は、例えばガーバーデータ353a、基板データ353b及び実装データ353cを、通信部351を介して他の装置(例えば印刷検査装置200)に送信して提供可能である。管理制御部352は、例えば、印刷検査装置200による印刷検査の検査結果のデータを、管理装置300の通信部351を介して印刷装置100に送信する。
【0093】
なお、各種の制御部(例えば印刷制御部152、検査制御部252及び管理制御部352)は、プロセッサにより構成される。プロセッサは、例えばMPU(Micro Processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)を含む。各種の制御部は、各種の記憶部(例えば記憶部153、記憶部254、及び記憶部353)に保持されたプログラムを実行することで、各種処理又は制御等を行う。各種の記憶部は、例えばRAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)を含む。各種の記憶部は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などを含んでもよい。各種の記憶部は、光ディスクまたはSDカードなどを含んでもよい。各種の記憶部は、例えば、各種データ、各種情報又は各種プログラムを記憶保持する。
【0094】
[印刷制御部での動作フローについて]
図6及び図7を参照しながら、印刷装置100の印刷制御部152が実行する動作フローを説明する。図6は、図5に示す印刷制御部152が実行する動作フロー例を示すフロー図である。図7は、図6に示すサブルーチンSR10,SR20の動作フロー例を示すフロー図である。なお、後述するサブルーチンSR10及びサブルーチンSR20は、互いに同じ動作フローを有するので、以下の説明でサブルーチンSR20についてはその説明を省略している。
【0095】
印刷制御部152は、印刷検査装置200から検査結果のデータを、管理制御部352及び通信部151を介して順次取得(受信)する(S11)。
【0096】
印刷制御部152は、取得された検査結果に基づいて度数分布分析を行って、OK区域、上限側警告区域、下限側警告区域、上限側NG区域及び下限側NG区域のそれぞれに属する印刷部位の個数を順次導出する。印刷制御部152は、事前に設定され記憶部153に記憶保持される許容値を基準として、取得された検査結果のそれぞれが許容値の範囲内か否かを比較判定する(S12)。
【0097】
例えば、印刷制御部152は、上限側NG区域に属する印刷部位の個数が上限側NG区域の許容値(許容数)以下である場合、許容値の範囲内であると判定してよい。印刷制御部152は、上限側警告区域に属する印刷部位の個数が上限側警告区域の許容値(許容数)以下である場合、許容値の範囲内であると判定してよい。印刷制御部152は、下限側NG区域に属する印刷部位の個数が下限側NG区域の許容値(許容数)以下である場合、許容値の範囲内であると判定してよい。印刷制御部152は、下限側警告区域に属する印刷部位の個数が下限側警告区域の許容値(許容数)以下である場合、許容値の範囲内であると判定してよい。また、印刷制御部152は、これらの各区域での許容値との比較結果を組み合わせて、許容値の範囲内であるか否かを判定してもよい。例えば、印刷制御部152は、これらの各区域(例えば上記の4つの区域)の少なくとも1つにおいて許容値の範囲内でないと判定された場合、区域全体として許容値の範囲内ではないと判定してよい。一方、印刷制御部152は、これらの各区域(例えば上記の4つの区域)の全てにおいて許容値の範囲内でないと判定された場合、区域全体として許容値の範囲内であると判定してよい。
【0098】
ステップS12における比較判定の結果、区域全体として許容値範囲内であると判定される場合(ステップS12のYES)、動作フローはステップS11に戻る。
【0099】
一方、区域全体として許容値範囲内でない、つまり許容値範囲外であると判定される場合(ステップS12のNO)、印刷制御部152は、印刷パラメータの変更処理に係るサブルーチンを実行する(サブルーチンSR10)。
【0100】
図7に示すように、サブルーチンSR10では、印刷制御部152は、複数の印刷パラメータ(例えば印圧、印刷速度、又は版離れ速度)のうち、現時点で選択されている印刷パラメータを確認する(S21)。印刷制御部152は、選択されている印刷パラメータで値を変更した場合に上下限(上限又は下限)を超えるか否かを判定する(S22)。その判定の結果、上下限を超えないと判定される場合(ステップS22のNO)、印刷制御部152は、検査結果の符号が反転しているか否かを判定する(S24)。符号が反転していないと判定される場合(ステップS24のNO)、印刷制御部152は、現時点で選択されている印刷パラメータの値を調整する(S25)。
【0101】
検査結果については、以下のように評価を行う。
例えば、印刷制御部152は、各検査点について印刷された半田の体積率を取得し、閾値TH11を超えた場合は+1(警告)の点数をつける。印刷制御部152は、取得された半田の体積率が閾値TH21を超えた場合は+2(異常)の点数をつける。同様に、印刷制御部152は、取得された半田の体積率が閾値TH12を下回った場合は-1(警告)の点数をつけ、閾値TH22を下回った場合は-2(異常)の点数をつける。印刷制御部152は、全ての検査点について合計点数が「+」つまり正の値になった場合、半田量過多の状態と判断する。また。合計点数が「-」つまり負の値になった場合、半田量不足の状態と判断する。
【0102】
印刷パラメータの調整は、以下の様に行う。
例えば、印刷制御部152は、検査点の合計点数が印刷パラメータの変更前で+5、印刷パラメータの変更後で-3となった場合は、正常(±0)に近づいているので印刷結果が良化したと判断する。しかし、符号が反転したのでこれ以上同じ印刷パラメータを変更しても-の値がどんどん大きくなっていくことが予想されるため、これ以上印刷パラメータを変更しても印刷結果が良化しないと考えられる。したがって、印刷制御部152は、合計点数の符号が反転した時点で当該印刷パラメータの変更を終了し、次の印刷パラメータの変更を行うようにする。このように検査結果の符号の反転は、調整する印刷パラメータを別の印刷パラメータへ切り替える基準として用いられる。なお、印刷制御部152は、変更前の検査結果の点数が+5であり、変更後の検査結果の点数が-8になった場合は悪化していると考え、当該印刷パラメータの変更自体をキャンセルする。
【0103】
ステップS22において、選択されている印刷パラメータで値を変更した場合に上下限を超えると判定される場合(ステップS22のYES)、印刷制御部152は、現時点で選択されている印刷パラメータとは異なる印刷パラメータを選択し(S23)、その印刷パラメータの値を調整する(S25)。
【0104】
ステップS24において、検査結果の符号が判定している場合(ステップS24のYES)、印刷制御部152は、現時点で選択されている印刷パラメータとは異なる印刷パラメータを選択し(S23)、その印刷パラメータの値を調整する(S25)。例えば、ステップS22及びS24において印刷パラメータを変更した際には、変更後の印刷パラメータの値は、初期値に設定される。
【0105】
図6に戻り、印刷制御部152は、サブルーチンSR10を実行した後、印刷検査装置200による印刷検査の検査結果のデータを、管理制御部352及び通信部151を介して再度取得する(S13)。ここでの印刷検査は、サブルーチンSR10により調整された印刷パラメータを用いて印刷された基板2が検査されている。印刷制御部152は、再度取得された検査結果に基づいて、度数分布分析を再度実施し、検査結果が区域全体として許容値の範囲内か否かを比較判定する(S14)。その比較判定の結果、許容値範囲内であると判定される場合(ステップS14のYES)、印刷制御部152は、印刷パラメータをスキージ16の印圧に変更してその大小を調整する(S15)。つまり、印刷制御部152は、印刷パラメータの初期設定として、印刷パラメータとして印圧を選択し、その初期値を設定する。印刷パラメータの調整後、動作フローはステップS11に戻る。
【0106】
なお、ステップS15では、印刷制御部152は、ステップS14の比較判定の結果、取得された検査結果が区域全体として許容値範囲内となった場合には、印刷パラメータを初期設定に戻す(変更する)のではなく、許容値範囲内となった印刷パラメータの設定を維持してもよい。
【0107】
一方、ステップS14において、検査結果が区域全体として許容値範囲内ではないと判定される場合(ステップS14のNO)、印刷制御部152は、過去の検査結果の履歴に基づいて、ステップS13で取得された今回の検査結果が、過去(例えば今回の1つ前(直前))に取得された検査結果と比較して、改善したか否かを判定する。この場合、例えば、警告区域及びNG区域に属する印刷部位の総数について、過去の検査結果よりも今回の検査結果の方が減少したか否かを判定する(S16)。改善していると判定される場合(ステップS16のYES)、動作フローはステップS13に戻る。
【0108】
一方、検査結果が改善していないと判定される場合(ステップS16のNO)、印刷制御部152は、現時点の印刷パラメータの変更又は調整(直前のサブルーチンSR10又はサブルーチンSR20における印刷パラメータの変更又は調整)をキャンセルする(取り消す)(S17)。つまり、印刷制御部152は、今回の検査結果に含まれる体積率又は面積率と、その直前の過去の検査結果に含まれる体積率を比較し、今回の体積率が直前の過去のものよりも悪化していた場合は、印刷パラメータを元に戻してリセットする。ステップS17の処理後、印刷制御部152は、サブルーチンSR20を実行する。サブルーチンSR20の実行後、動作フローはステップS13に戻る。前述したように、サブルーチンSR20での動作フローはサブルーチンSR10と同じである。
【0109】
次に、図8を参照して、サブルーチンSR10(SR20も同様)における印刷パラメータの変更及び調整(ステップS23,S25)の手順とその技術的意義について説明する。図8は、印刷制御部152が印刷パラメータを変更する手順の一例を示す図である。
【0110】
複数の印刷パラメータの変更及び調整では、印刷制御部152は、例えば、印刷パラメータの第1選択肢(第1候補)として印圧を選択して変更し、その印圧の大小の調整をまず実行する。例えば、印刷制御部152は、印圧の初期値を40Nとし、1回の変更(調整)あたり5Nずつ印圧を下げていくことで、印刷状態が改善するよう試みる。
【0111】
次に、印圧の大小の変更によっても度数分布分析における警告区域及びNG区域に属する個数が増加したり不変化であったりする(つまり印刷状態が改善しない)場合、印刷制御部152は、第2選択肢(第2候補)として印刷速度を選択して変更し、その印刷速度の大小の調整を実行する。さらに、その印刷速度の大小の変更によっても印刷状態が改善しない場合、印刷制御部152は、第3選択肢(第3候補)として版離れ速度を選択して変更し、その版離れ速度の大小の調整を実行する。
【0112】
つまり、印刷制御部152は、印刷検査装置200による検査結果に基づいて印刷パラメータを変更していく際、印刷パラメータの変更を印圧、印刷速度及び版離れ速度の順で選択し、その大小を調整していく。印刷パラメータの変更について、印刷部位のそれぞれにおける半田SRの半田量(体積率又は面積率)への影響度の度合いは、最も印圧が大きく、次に印刷速度、さらにその次に版離れ速度の順で大きい。そのため、印刷制御部152は、前述したような順序で、印刷パラメータを選択して変更する。
【0113】
また、例えば、印刷制御部152は、度数分布分析によって体積率について上限側警告区域及び上限側NG区域のそれぞれに許容値以上の個数が存在する場合、体積率が高い傾向にあると判断して、印圧を順次小さくし、パターン孔13hでの半田SRの半田量を減少させるように動作する。また、それでも改善が見られない場合、具体的には変更後に下限に達した印圧を用いた場合でも上限側警告区域及び上限側NG区域のそれぞれに許容値以上の個数が存在する場合、印刷制御部152は、次に印刷速度を順次大きく(高速化)して、パターン孔13hでの半田SRの半田量を減少させるように動作する。
【0114】
例えば、印刷制御部152は、体積率について下限側警告区域及び下限側NG区域のそれぞれに許容値以上の個数が存在する場合、体積率が低い傾向にあると判断して、印圧を順次大きくし、パターン孔13hでの半田SRの半田量を増大させるように動作する。また、それでも改善が見られない場合、具体的には変更後に上限に達した印圧を用いた場合でも下限側警告区域及び下限側NG区域のそれぞれに許容値以上の個数が存在する場合、印刷制御部152は、次に印刷速度を順次小さく(低速化)して、パターン孔13hでの半田SRの半田量を増大させるように動作する。
【0115】
また、印刷パラメータのうち版離れ速度の大小について、版離れ速度の大小と半田SRの体積率の増減との因果関係は一概には決定することは困難な状況が多い。そのため、印刷制御部152は、例えば、版離れ速度がまずは順次大きく(高速に)なるように一旦調整してよい。そして、版離れ速度を高速化して上限に達した後においても体積率について改善が見られない場合、印刷制御部152は、次に、版離れ速度を順次小さく(低速に)なるように逆に調整してよい。
【0116】
また、複数の印刷パラメータのうち、基板2の印刷部位に充填される半田量の最適化に用いられる印刷パラメータは、印圧、印刷速度、及び版離れ速度のうちの少なくとも2つ(複数)でもよい。この場合でも、印刷装置100は、印刷パラメータを適応的に選択して調整することで、印刷不良の発生を抑制可能である。
【0117】
このようにして、印刷装置100は、印刷検査装置200の検査結果に基づいて複数の印刷パラメータを適応的に変更及び調整して、基板2の印刷部位のそれぞれの半田量を最適化していく。これにより、印刷装置100は、半田SR又はスクリーンマスク13の状態等に基づく現状の印刷状態を加味して印刷パラメータを適応的に変更し、その印刷パラメータの大小を調整することで、印刷不良の発生を抑制できる。
【0118】
[第1具体例について]
図9を参照しながら、第1の実施形態に係る第1具体例について説明する。図9は、印刷パラメータの変更及び調整によって半田量の検査結果が推移する様子を示す第1具体例を説明する図である。図9では、印刷パラメータとして、印圧及び印刷速度の変更で検査結果がOK区域内に収束することを例示している。
【0119】
図9では、印刷パラメータを変更しながら検査結果のデータの取得及び度数分布分析が複数回実施されており、その度数分布分析の結果が時間的に変化している様子を示している。図10についても同様である。また、図9及び図10では、上限側警告区域、下限側警告区域、上限側NG区域及び下限側NG区域の許容値は、全て0であることを例示する。つまり、上限側警告区域、下限側警告区域、上限側NG区域及び下限側NG区に属する印刷部位の個数が0となるまで、繰り返し印刷パラメータが調整されることを例示する。
【0120】
印刷制御部152は、印刷検査装置200の検査結果のデータを取得する(図6のステップS11参照)。そして、印刷制御部152は、その検査結果に基づいて、OK区域、上限側警告区域、下限側警告区域、上限側NG区域及び下限側NG区域のそれぞれに属する印刷部位の個数が許容値の範囲内か否かを適宜比較判定する(図6のステップS12参照)。
【0121】
まず、状態Aでは、上限側NG区域及び上限側NG区域に属する印刷部位の個数が許容値以上であり、許容値範囲内ではないと判定される。つまり、半田量が過多な印刷状態であるので、印刷制御部152は、複数の印刷パラメータのうち印圧を第一義的(第1候補)に選択して印圧を小さくして(下げて)調整する(図6のサブルーチンSR10参照)。
【0122】
印圧を小さくした調整後、印刷制御部152は、印刷検査装置200の検査結果のデータを再度取得して、同様に各区域に属する印刷部位の個数を再度算出し、許容値の範囲内か否かを比較判定する(図6のステップS13,S14参照)。
【0123】
印圧を小さくすることで、例えば、上限側NG区域に属する印刷部位の個数は減少することで検査結果が改善するが、許容値の範囲外である状態は継続され得る。この場合には、印刷制御部152は、印圧の下限値に至るまで印圧を順次小さくしていく。つまり、図6及び図7のステップS14,S16,サブルーチンSR20のステップS21,S22,S25、等が繰り返し実行される。
【0124】
状態Bでは、印圧が下限値である場合の検査結果のデータに基づいて、上限側NG区域に属する検査結果が不在になったが、上限側警告区域に属する検査結果が残存しており、許容値の範囲外である判定される。この場合、印圧を小さくすると印圧の下限値未満となるので、次の印刷パラメータとして印刷速度を選択し、印刷速度を初期値に設定(調整)する(図6及び図7のステップS13,S14,S16,サブルーチンSR20のステップS21,S22,S23,S25)。
【0125】
印刷制御部152は、印刷検査装置200の検査結果のデータを再度取得する。印刷制御部152は、印刷パラメータを印刷速度の初期値に変更しても、上限側警告区域に検査結果が属しており、印刷状態が改善はされているが許容値の範囲外である。この場合、半田量が未だ過多な印刷状態であるので、印圧の場合と同様に、印刷制御部152は、印刷速度を大きくして(高速化して)調整する(図6のステップS13,S14,S16,サブルーチンSR10)。
【0126】
印刷速度を大きくした調整後、印刷制御部152は、印刷検査装置200の検査結果のデータを再度取得して、同様に各区域に属する印刷部位の個数を再度算出し、許容値の範囲内か否かを比較判定する(図6のステップS13,S14参照)。
【0127】
印刷速度を大きくすることで、例えば、上限側警告区域に属する印刷部位の個数は減少することで検査結果が改善するが、許容値の範囲外である状態は継続され得る。この場合には、印刷制御部152は、印刷速度の上限値に至るまで印刷速度を順次大きくしていく。つまり、図6及び図7のステップS14,S16,サブルーチンSR20のステップS21,S22,S25、等が繰り返し実行される。
【0128】
状態Cでは、印刷速度が上限値である場合の印刷検査の検査結果のデータに基づいて、上限側警告区域に属する検査結果が残存しており、許容値の範囲外である判定される。この場合、印刷速度を大きくすると印刷速度の上限値未満となるので、次の印刷パラメータとして版離れ速度を選択し、版離れ速度を初期値に設定(調整)する(図6及び図7のステップS13,S14,S16,サブルーチンSR20のステップS21,S22,S23,S25)。
【0129】
印刷制御部152は、印刷検査装置200の検査結果のデータを再度取得する。印刷制御部152は、印刷パラメータを版離れ速度の初期値に変更しても、上限側警告区域に検査結果に属しており、印刷状態が改善はされているが許容値の範囲外である。この場合、半田量が未だ過多な印刷状態であるので、印刷制御部152は、版離れ速度を大きくして(低速化して)調整する(図6のステップS13,S14,S16,サブルーチンSR10)。
【0130】
版離れ速度を大きくした調整後、印刷制御部152は、印刷検査装置200の検査結果のデータを再度取得して、同様に各区域に属する印刷部位の個数を再度算出し、当該個数のそれぞれが許容値の範囲内か否かを比較判定する(図6のステップS13,S14参照)。
【0131】
版離れ速度を大きくすることで、例えば、上限側警告区域に属する印刷部位の個数は減少することで検査結果が改善するが、許容値の範囲外である状態は継続され得る。この場合には、印刷制御部152は、版離れ速度の上限値に至るまで版離れ速度を順次大きくしていく。つまり、図6及び図7のステップS14,S16,サブルーチンSR20のステップS21,S22,S25、等が繰り返し実行される。
【0132】
状態Dでは、版離れ速度が上限値に至る前に、上限側警告区域に属する検査結果が不在となり、許容値の範囲内である判定される。つまり、全ての非OK区域である上限側OK区域、上限側警告区域、下限側OK区域、及び下限側警告区域において許容値の範囲内となる。したがって、電子部品実装システム1は、印刷パラメータを順次変更することで、各印刷部位に対する半田量を適切に調整でき、印刷不良の発生を抑制できる。
【0133】
[第2具体例について]
図10を参照しながら、第1の実施形態に係る第2具体例について説明する。図10は、印刷パラメータの変更によって半田量の検査結果が推移する様子を示す第2具体例を説明する図である。図10では、印刷パラメータとして印圧調整では印刷状態が改善されなかったことを例示している。
【0134】
状態A2は、状態Aと同様である。つまり、上限側NG区域及び上限側NG区域に属する印刷部位の個数が許容値以上であるので、許容値範囲内ではないと判定される。つまり、半田量が過多な印刷状態であるので、印刷制御部152は、複数の印刷パラメータのうち印圧を第一義的(第1候補)に選択して印圧を小さくして(下げて)調整する(図6のサブルーチンSR10参照)。
【0135】
印圧を1回以上小さくした調整後、印刷制御部152は、印刷検査装置200の検査結果のデータを再度取得して、同様に各区域に属する印刷部位の個数を再度算出し、当該個数のそれぞれが許容値の範囲内か否かを比較判定する(図6のステップS13,S14参照)。
【0136】
印圧を1回以上小さくした調整した結果、状態B2のように、上限側ではなく、下限側NG区域及び下限側NG区域に属する印刷部位の個数が許容値以上であるので、許容値範囲内ではないと判定されるとする。この場合、印刷制御部152は、状態A2の時点での上限側NG区域及び上限側NG区域の印刷部位の個数の合計と状態B2の時点での下限側NG区域及び下限側NG区域の印刷部位の個数の合計とを比較する。この際、印刷制御部152は、状態B2の時点での個数の合計が状態A2の時点での個数の合計よりも大きく、検査結果が改善されていないと判定する(図6のステップS16のNo)。この場合、前回の印刷パラメータの変更(例えば印圧の低下)をキャンセルする(図6のステップS17)。これにより、前回の印刷パラメータがキャンセルされた状態で印刷するので、印刷状態は状態C2になり、つまり状態A2に戻る。そして、サブルーチンSR20において、検査結果の符号が反転しているので、印刷制御部152は、印刷パラメータを次の印刷パラメータ(例えば印刷速度)に変更し、印刷速度の初期値に設定する(図7のサブルーチンSR20のステップS24,S23,S25)。そして、印刷制御部152は、印刷速度を必要に応じて順次大きくしていく。
【0137】
状態D2では、印刷速度が上限値に至る前に、検査結果に含まれる体積率が上限側NG区域及び上限側警告区域に属する印刷部位が不在となり、許容値の範囲内である判定される。つまり、全ての非OK区域である上限側OK区域、上限側警告区域、下限側OK区域、及び下限側警告区域、において許容値の範囲内となる。したがって、電子部品実装システム1は、印刷パラメータを順次変更することで、各印刷部位に対する半田量を適切に調整でき、印刷不良の発生を抑制できる。
【0138】
このように、本実施形態の印刷装置100は、基板2への印刷の検査結果を取得し、印刷部位へ印刷された半田量の警告数(警告区域に属する印刷部位の個数)及びNG数(NG区域に属する印刷部位の個数)をカウントする。つまり、印刷装置100は、度数分布分析に基づいて印刷パラメータを調整することで、直行率を向上でき、ライン全体の停止率を低減できる。
【0139】
また、印刷装置100は、一度に調整(変更)する印刷パラメータを1つとし、印圧を変更したら次は印刷速度、その次は版離れ速度というように、調整対象のパラメータを順次切り替える。これにより、印刷装置100は、どの印刷パラメータの調整が有効であったかを判別ができる。印刷装置100は、度数分布分析に基づいて、変更後の印刷パラメータや印刷パラメータの値では印刷状態が悪化した場合には、変更前の印刷パラメータや印刷パラメータの値に戻すことができる。
【0140】
なお、本実施形態では、印刷パラメータの値の上限値及び下限値、又は変更一回当たりの値の変更量、等は、予め固定値で決められてもよいし、例えば操作部156を介してオペレータや作業者によって動的に変更可能でもよい。
【0141】
また、本実施形態では、印刷パラメータの変更順序が印圧、印刷速度、版離れ速度の順であることを例示したが、この他の順序であってもい。また、印刷パラメータがこれらの3つのパラメータ以外のパラメータ(例えばスキージ16のアタック角度)を含んでもよい。
【0142】
また、本実施形態では、印刷装置100の印刷制御部152は、印刷状態が改善しなかったことに対して印刷パラメータを元に戻す場合には、所定の印刷パラメータにおける値の調整後に印刷状態が改善しなかったことに対して、所定の印刷パラメータにおける調整前の値に戻してよい。また、印刷制御部152は、所定の印刷パラメータ(例えば印圧)から他の印刷パラメータ(例えば印刷速度)に変更した後に印刷状態が改善しなかったことに対して、変更前の印刷パラメータ(例えば印圧)に戻し、その後に、更に他の印刷パラメータ(例えば版離れ速度)に変更してよい。
【0143】
[第1の実施形態の概要]
以上のように、本実施形態の電子部品実装システム1(印刷システムの一例)は、複数の基板2に半田SRを印刷する。電子部品実装システム1は、所定のパターン孔13h(開口の一例)を有するスクリーンマスク13(マスクの一例)を介して、複数の基板2の各々に形成された電極にスキージ16を用いて半田SRを印刷する印刷装置100を備える。電子部品実装システム1は、複数の基板2のうち第1の基板に印刷された第1の半田量を検査して第1の検査結果を印刷装置100へ送信する印刷検査装置200(検査装置の一例)を備える。印刷装置100は、第1の検査結果に基づいて複数の印刷パラメータのうち第1の印刷パラメータを変更して、第1の基板の後に搬送された第2の基板に半田SRを印刷する。印刷検査装置200は、第2の基板に印刷された第2の半田量を検査して第2の検査結果を印刷装置100へ送信する。印刷装置100は、第2の検査結果に基づいて複数の印刷パラメータのうち第1の印刷パラメータとは異なる第2の印刷パラメータを変更する。
【0144】
本実施形態の印刷装置100は、複数の基板2に半田SRを印刷すると共に、印刷された半田SRについて検査を行う印刷検査装置200の上流に設けられる。印刷装置100は、所定のパターン孔13hを有するスクリーンマスク13を介して、複数の基板2の各々に形成された電極にスキージ16を用いて半田SRを印刷する印刷ヘッド14(印刷部の一例)を備える。印刷装置100は、印刷検査装置200から、複数の基板2のうち第1の基板に印刷された第1の半田量の検査結果を受信する通信部151を備える。印刷装置100は、第1の半田量の検査結果に基づいて、複数の印刷パラメータのうち第1の印刷パラメータを変更する印刷制御部152(制御部の一例)を備える。印刷ヘッド14は、第1の印刷パラメータを用いて、第1の基板の後に搬送された第2の基板に半田SRを印刷する。通信部151は、印刷検査装置200から、複数の基板2のうち第2の基板に印刷された第2の半田量の検査結果を受信する。印刷制御部152は、第2の基板の半田量の検査結果に基づいて、複数の印刷パラメータのうち第1の印刷パラメータとは異なる第2の印刷パラメータを変更する。
【0145】
これにより、電子部品実装システム1及び印刷装置100は、印刷検査装置200による検査結果に基づいて複数の印刷パラメータのうち、ある1つの印刷パラメータ(第1の印刷パラメータの一例)とは異なるその他の印刷パラメータ(第2の印刷パラメータの一例)を適応的に変更して調整する。これにより、電子部品実装システム1及び印刷装置100は、半田SR又はスクリーンマスク13の状態に基づく現状の印刷状態を加味して印刷パラメータを適応的に変更し、変更後の印刷パラメータの加減を調整することで、基板2の印刷部位(電極が形成される箇所に対応)のそれぞれでの半田量を最適化するように制御し、その結果、印刷不良の発生を抑制できる。
【0146】
また、印刷装置100は、第1の半田量と第2の半田量を比較し、第2の半田量が第1の半田量よりも悪化していた場合、第1の印刷パラメータを元に戻してよい。このため、印刷装置100は、第1の印刷パラメータの変更が不適切であるとして、第2の印刷パラメータに変更してその加減を調整する代わりに、又は第2の印刷パラメータの調整とともに、第1の印刷パラメータに戻してよい。これにより、印刷装置100は、第1の印刷パラメータの変更による印刷状態の悪化を抑制して、半田量の最適化を例えば異なるアプローチで再開できる。
【0147】
また、印刷検査装置200は、第1の半田量及び第2の半田量を、所定のパターン孔13hに対する第1の基板及び第2の基板に対して印刷された半田SRの面積率として取得してよい。これにより、印刷検査装置200は、基板2の印刷部位のそれぞれの半田量を平面的(2次元的)に導出でき、例えば平面的に示された画像に対する処理により容易に導出できる。
【0148】
また、印刷検査装置200は、第1の半田量及び第2の半田量を、所定のパターン孔13hに対する第1の基板及び第2の基板に対して印刷された半田SRの体積率として取得してよい。これにより、印刷検査装置200は、基板2の印刷部位のそれぞれの半田量を空間的(3次元的)に導出でき、半田量をより正確に把握できる。
【0149】
また、複数の印刷パラメータは、印圧、印刷速度、及び版離れ速度のうちの少なくとも2つでよい。これにより、印刷装置100は、少なくとも2つの印刷パラメータを第1の印刷パラメータ及び第2のパラメータとして順次変更して半田量を最適化でき、印刷状態を好適な状態に近づけることができる。
【0150】
以上、図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことはいうまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前述した実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本開示は、半田又はマスクの状態等に基づく現状の印刷状態を加味して印刷条件を決定でき、印刷不良の発生を抑制できる印刷システム、印刷装置及び印刷方法として有用である。
【符号の説明】
【0152】
1 電子部品実装システム
2 基板
4 基板保持テーブル
5 基板保持テーブル移動機構
6 基板搬送機構
13 スクリーンマスク
13a マスク枠
13c 下面
13h パターン孔
13h1 小パターン孔
13h2 大パターン孔
14 印刷ヘッド
15 印刷ヘッド移動機構
16 スキージ
17 スキージ昇降機構
100 印刷装置
151 通信部
152 印刷制御部
153 記憶部
153a 印刷パラメータデータ
154 表示部
155 スピーカ
156 操作部
200 印刷検査装置
251 通信部
252 検査制御部
253 検査実行部
254 記憶部
254a 検査用データ
300 管理装置
351 通信部
352 管理制御部
353 記憶部
353a ガーバーデータ
353b 基板データ
353c 実装データ
355 表示部
M3 作業コンベア
M4 実装装置
M5 実装装置
NT 通信ネットワーク
SR 半田
θ 回転方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10