(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173295
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】部品実装システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
H05K13/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085454
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】金子 康弘
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC04
5E353CC18
5E353EE02
5E353EE51
5E353EE62
5E353JJ02
5E353JJ28
5E353JJ44
5E353KK03
5E353KK11
5E353MM04
5E353MM08
5E353QQ11
(57)【要約】
【課題】基板上の搭載目標位置に対して適正な押込み量で部品を搭載することが可能な部品実装システムを提供する。
【解決手段】印刷機1では、印刷材料621の印刷前の基板5について、部品搭載領域6内の搭載目標位置61に対応した印刷前搭載高さH1と、部品搭載領域6外の基準位置64に対応した印刷前基準高さH2とが測定される。部品実装機2では、印刷材料621の印刷後の基板5について、基準位置64に対応した印刷後基準高さH3が測定される。そして、部品実装機2において実装制御ユニット30は、印刷前搭載高さH1、印刷前基準高さH2、及び印刷後基準高さH3に基づいて、印刷材料621の印刷後の基板5における搭載目標位置61に対応した印刷後搭載高さH4を算出し、その算出結果に基づき搭載ヘッド251の部品搭載動作を制御する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上面における部品の搭載の目標位置を示す搭載目標位置を含む部品搭載領域内の複数の印刷目標点に印刷材料を印刷する印刷ヘッドを有する印刷機と、
前記印刷材料の印刷後の前記基板の上面における前記搭載目標位置に、部品を搭載する部品搭載動作を行う搭載ヘッドを有する部品実装機と、を備え、
前記印刷機は、
前記印刷ヘッドによる前記印刷材料の印刷前の前記基板の上面において、前記部品搭載領域内の前記搭載目標位置の基板上面高さを示す印刷前搭載高さと、前記部品搭載領域外の所定の基準位置の基板上面高さを示す印刷前基準高さと、を測定する印刷側測定ユニットを、更に有し、
前記部品実装機は、
前記印刷材料の印刷後の前記基板の上面において前記基準位置の基板上面高さを示す印刷後基準高さを測定する実装側測定ユニットと、
前記印刷前搭載高さ、前記印刷前基準高さ、及び前記印刷後基準高さに基づいて、前記印刷材料の印刷後の前記基板の上面において前記搭載目標位置の基板上面高さを示す印刷後搭載高さを算出し、当該印刷後搭載高さに基づいて、前記搭載ヘッドの前記部品搭載動作を制御する制御ユニットと、を更に有する、部品実装システム。
【請求項2】
前記部品実装機は、前記印刷前搭載高さ及び前記印刷前基準高さに関する情報を取得する通信ユニットを、更に有する、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項3】
前記制御ユニットは、前記印刷前搭載高さと前記印刷前基準高さとの差分と、前記印刷後基準高さとに基づいて、前記印刷後搭載高さを算出する、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項4】
前記印刷側測定ユニットは、前記印刷前基準高さとして、前記印刷材料の印刷前の前記基板の上面において、前記部品搭載領域を挟んで両側に位置する第1基準位置及び第2基準位置の基板上面高さをそれぞれ示す第1印刷前基準高さ及び第2印刷前基準高さを測定し、
前記実装側測定ユニットは、前記印刷後基準高さとして、前記印刷材料の印刷後の前記基板の上面において、前記第1基準位置及び前記第2基準位置の基板上面高さをそれぞれ示す第1印刷後基準高さ及び第2印刷後基準高さを測定し、
前記制御ユニットは、前記印刷前搭載高さ、前記第1印刷前基準高さ、前記第2印刷前基準高さ、前記第1印刷後基準高さ、及び前記第2印刷後基準高さに基づいて、前記印刷材料の印刷後の前記基板の上面における前記印刷後搭載高さを算出し、当該印刷後搭載高さに基づいて、前記搭載ヘッドの前記部品搭載動作を制御する、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項5】
前記印刷側測定ユニット及び前記実装側測定ユニットは、前記基板の上面にレーザー光を照射するレーザー測長器であり、
前記基板の上面において前記部品搭載領域内の前記搭載目標位置は、2つの前記印刷目標点の間に位置しており、
2つの前記印刷目標点の間の間隔は、前記基板の上面において前記レーザー光によって形成されるスポットのスポット径よりも小さい、請求項1~4のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に部品を搭載する部品実装機を備えた部品実装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント基板等の基板上に電子部品(以下、単に「部品」という)を搭載して部品搭載基板を生産する部品実装機を備えた部品実装システムが知られている。この種の部品実装システムにおける部品実装機は、部品を保持し、その保持した部品を基板に搭載する搭載ヘッドを備える。搭載ヘッドは、予め設定された高さ位置まで下方向に移動することにより、保持した部品を基板上の搭載目標位置に搭載する部品搭載動作を行う。
【0003】
基板に反りや傾きなどの変形が生じた場合、基板の上面における搭載目標位置の高さ位置が、搭載目標位置ごとに異なることがある。例えば、基板上において基準よりも上方の高さ位置にある搭載目標位置に対応して搭載ヘッドの部品搭載動作が行われる場合、下方向に移動する搭載ヘッドに保持された部品が基板に対して過度に押し付けられて破損する虞がある。そこで、部品搭載動作が行われる前に、基板上面高さを測定し、その測定結果に基づいて、基板に対して適正な押込み量で部品を搭載するように搭載ヘッドの部品搭載動作を制御することが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、部品実装機において部品を搭載する対象の基板には、半田ペーストなどの印刷材料が印刷されている。つまり、部品実装機において搭載ヘッドは、印刷材料が印刷された基板上の搭載目標位置に部品を搭載する。この場合、基板上の搭載目標位置に対して適正な押込み量で部品を搭載するためには、基板上において印刷材料が近くに存在する搭載目標位置の上面高さに基づいて、搭載ヘッドの部品搭載動作を制御する必要がある。しかしながら、基板上において印刷材料が近くに存在する搭載目標位置の上面高さを正確に測定することは困難である。このため、基板上の搭載目標位置に対して適正な押込み量で部品を搭載することは困難である。
【0006】
本発明の目的は、基板上の搭載目標位置に対して適正な押込み量で部品を搭載することが可能な部品実装システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る部品実装システムは、基板の上面における部品の搭載の目標位置を示す搭載目標位置を含む部品搭載領域内の複数の印刷目標点に印刷材料を印刷する印刷ヘッドを有する印刷機と、前記印刷材料の印刷後の前記基板の上面における前記搭載目標位置に、部品を搭載する部品搭載動作を行う搭載ヘッドを有する部品実装機と、を備える。前記印刷機は、前記印刷ヘッドによる前記印刷材料の印刷前の前記基板の上面において、前記部品搭載領域内の前記搭載目標位置の基板上面高さを示す印刷前搭載高さと、前記部品搭載領域外の所定の基準位置の基板上面高さを示す印刷前基準高さと、を測定する印刷側測定ユニットを、更に有している。前記部品実装機は、前記印刷材料の印刷後の前記基板の上面において前記基準位置の基板上面高さを示す印刷後基準高さを測定する実装側測定ユニットと、前記印刷前搭載高さ、前記印刷前基準高さ、及び前記印刷後基準高さに基づいて、前記印刷材料の印刷後の前記基板の上面において前記搭載目標位置の基板上面高さを示す印刷後搭載高さを算出し、当該印刷後搭載高さに基づいて、前記搭載ヘッドの前記部品搭載動作を制御する制御ユニットと、を更に有している。
【0008】
この部品実装システムによれば、部品実装機において搭載ヘッドは、印刷機において印刷材料が印刷された基板上の搭載目標位置に部品を搭載する。印刷機では、印刷材料の印刷前の基板について、部品搭載領域内の搭載目標位置に対応した印刷前搭載高さと、部品搭載領域外の基準位置に対応した印刷前基準高さとが、印刷側測定ユニットによって測定される。一方、部品実装機では、印刷材料の印刷後の基板について、部品搭載領域外の基準位置に対応した印刷後基準高さが、実装側測定ユニットによって測定される。そして、部品実装機において制御ユニットは、印刷前搭載高さ、印刷前基準高さ、及び印刷後基準高さに基づいて、印刷材料の印刷後の基板における搭載目標位置に対応した印刷後搭載高さを算出し、当該印刷後搭載高さに基づき搭載ヘッドの部品搭載動作を制御する。
【0009】
印刷後搭載高さは、印刷材料の印刷前の基板を対象に測定された印刷前搭載高さ及び印刷前基準高さと、印刷材料の印刷後の基板を対象に測定された印刷後基準高さとに基づいて算出される。このため、印刷後搭載高さは、印刷材料の印刷後の基板における搭載目標位置に対応した基板上面高さを的確に示す指標となる。したがって、制御ユニットが印刷後搭載高さに基づき搭載ヘッドの部品搭載動作を制御することにより、印刷材料が近くに存在する基板上の搭載目標位置に対して適正な押込み量で部品を搭載することができる。
【0010】
上記の部品実装システムにおいて、前記部品実装機は、前記印刷前搭載高さ及び前記印刷前基準高さに関する情報を取得する通信ユニットを、更に有してもよい。
【0011】
この態様では、部品実装機において制御ユニットが印刷後搭載高さを算出する際に用いる印刷前搭載高さ及び印刷前基準高さは、通信ユニットにより取得することができる。
【0012】
上記の部品実装システムにおいて、前記制御ユニットは、前記印刷前搭載高さと前記印刷前基準高さとの差分と、前記印刷後基準高さとに基づいて、前記印刷後搭載高さを算出してもよい。
【0013】
この態様では、部品実装機において制御ユニットは、印刷材料の印刷前の基板を対象に測定された印刷前搭載高さと印刷前基準高さとの差分と、印刷材料の印刷後の基板を対象に測定された印刷後基準高さとに基づいて、印刷後搭載高さを簡単に算出することができる。
【0014】
上記の部品実装システムにおいて、前記印刷側測定ユニットは、前記印刷前基準高さとして、前記印刷材料の印刷前の前記基板の上面において、前記部品搭載領域を挟んで両側に位置する第1基準位置及び第2基準位置の基板上面高さをそれぞれ示す第1印刷前基準高さ及び第2印刷前基準高さを測定してもよい。この場合、前記実装側測定ユニットは、前記印刷後基準高さとして、前記印刷材料の印刷後の前記基板の上面において、前記第1基準位置及び前記第2基準位置の基板上面高さをそれぞれ示す第1印刷後基準高さ及び第2印刷後基準高さを測定する。そして、前記制御ユニットは、前記印刷前搭載高さ、前記第1印刷前基準高さ、前記第2印刷前基準高さ、前記第1印刷後基準高さ、及び前記第2印刷後基準高さに基づいて、前記印刷材料の印刷後の前記基板の上面における前記印刷後搭載高さを算出し、当該印刷後搭載高さに基づいて、前記搭載ヘッドの前記部品搭載動作を制御する。
【0015】
この態様では、印刷機において印刷側測定ユニットは、印刷材料の印刷前の基板について、部品搭載領域内の搭載目標位置に対応した印刷前搭載高さと、部品搭載領域を挟んで両側に位置する第1基準位置及び第2基準位置にそれぞれ対応した第1印刷前基準高さ及び第2印刷前基準高さと、を測定する。一方、部品実装機において実装側測定ユニットは、印刷材料の印刷後の基板について、部品搭載領域を挟んで両側に位置する第1基準位置及び第2基準位置にそれぞれ対応した第1印刷後基準高さ及び第2印刷後基準高さを測定する。そして、部品実装機において制御ユニットは、印刷前搭載高さ、第1印刷前基準高さ、第2印刷前基準高さ、第1印刷後基準高さ、及び第2印刷後基準高さに基づいて、印刷材料の印刷後の基板における搭載目標位置に対応した印刷後搭載高さを算出し、当該印刷後搭載高さに基づき搭載ヘッドの部品搭載動作を制御する。
【0016】
印刷後搭載高さは、印刷材料の印刷前の基板を対象に測定された印刷前搭載高さ、第1印刷前基準高さ及び第2印刷前基準高さと、印刷材料の印刷後の基板を対象に測定された第1印刷後基準高さ及び第2印刷後基準高さと、に基づいて算出される。このため、印刷後搭載高さは、印刷材料の印刷後の基板における搭載目標位置に対応した基板上面高さを、より的確に示す指標となる。したがって、制御ユニットが印刷後搭載高さに基づき搭載ヘッドの部品搭載動作を制御することにより、印刷材料が近くに存在する基板上の搭載目標位置に対してより適正な押込み量で部品を搭載することができる。
【0017】
上記の部品実装システムにおいて、前記印刷側測定ユニット及び前記実装側測定ユニットは、前記基板の上面にレーザー光を照射するレーザー測長器であってもよい。そして、前記基板の上面において前記部品搭載領域内の前記搭載目標位置は、2つの前記印刷目標点の間に位置しており、2つの前記印刷目標点の間の間隔は、前記基板の上面において前記レーザー光によって形成されるスポットのスポット径よりも小さい。
【0018】
基板上において部品搭載領域内の搭載目標位置を挟む2つの印刷目標点の間の間隔が、レーザー測長器から照射されるレーザー光のスポットのスポット径よりも小さい場合、印刷目標点に印刷材料が印刷された状態では、レーザー光の光路上に印刷材料が存在するなどして、搭載目標位置に対応した搭載高さをレーザー測長器を用いて正確に測定することは困難であると考えられる。そこで、印刷材料の印刷前の基板については、部品搭載領域内の搭載目標位置及び部品搭載領域外の基準位置を印刷側測定ユニットの測定対象とし、印刷材料の印刷後の基板については、搭載目標位置を実装側測定ユニットの測定対象とはせずに基準位置のみを測定対象とする。この場合、印刷材料の印刷後の基板における搭載目標位置に対応した印刷後搭載高さは、印刷側測定ユニットにより測定された印刷前搭載高さ及び印刷前基準高さと、実装側測定ユニットにより測定された印刷後基準高さとに基づいて、算出することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、基板上の搭載目標位置に対して適正な押込み量で部品を搭載することが可能な部品実装システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る部品実装システムの構成を概略的に示す図である。
【
図2】部品実装システムに備えられる印刷機の構成を示す平面図である。
【
図3】印刷機の印刷制御ユニットにより行われる処理を説明する図である。
【
図4】部品実装システムに備えられる部品実装機の構成を示す平面図である。
【
図5】部品実装機の実装ヘッドユニットを拡大して示す図である。
【
図6】部品実装機の実装制御ユニットにより行われる処理を説明する図である。
【
図7】印刷機の印刷制御ユニットにより行われる処理の変形例を説明する図である。
【
図8】部品実装機の実装制御ユニットにより行われる処理の変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る部品実装システムについて、図面に基づいて説明する。なお、以下では、方向関係については水平面上において互いに直交するXY直交座標を用いて説明する。また、X軸方向及びY軸方向と直交する鉛直上下方向をY軸方向とする。
【0022】
[部品実装システムの全体構成]
図1に示されるように、本実施形態に係る部品実装システム100は、ライン状に連結された印刷機1及び部品実装機2と、管理装置MUとを備える。管理装置MUは、例えばパーソナルコンピュータによって構成され、印刷機1及び部品実装機2とデータ通信可能に接続される。管理装置MUは、印刷機1から出力された情報を受信し、その受信した情報を部品実装機2へ送信する。
【0023】
なお、部品実装システム100は、管理装置MUを備えていなくてもよい。この場合、印刷機1と部品実装機2とがデータ通信可能に接続される。また、部品実装システム100では、部品実装機2の設置台数は特に限定されず、1台の部品実装機2が設置されてもよいし、2台以上の複数台の部品実装機2が設置されてもよい。また、部品実装システム100では、印刷機1の下流側に印刷検査装置、印刷検査装置の下流側に塗布装置、塗布装置の下流側に塗布検査装置、部品実装機2の下流側に実装検査装置、実装検査装置の下流側にリフロー装置、リフロー装置の下流側にリフロー検査装置がそれぞれ設置されていてもよい。
【0024】
[印刷機について]
部品実装システム100に備えられる印刷機1について、
図2及び
図3を参照しながら説明する。印刷機1は、基板5の上面における部品搭載領域6内の複数の印刷目標点62に印刷材料621を印刷する装置である。印刷機1は、基板5上の印刷目標点62に印刷材料621を印刷することが可能であれば、その構造は特に限定されない。印刷機1は、例えば、印刷パターン孔が形成されたマスクを用いて基板5上の印刷目標点62に印刷材料621を印刷するスクリーン印刷機である。なお、
図2及び
図3では、マスクの図示が省略されている。印刷材料621は、基板5上の印刷目標点62に部品を固定するためのものであり、例えば半田ペーストなどの導電性のペーストが挙げられる。また、印刷機1の下流側であり、且つ、部品実装機2の上流側に塗布装置が設置されている場合には、塗布装置は、基板5上の部品搭載領域6内に、部品を固定するための接着剤などの塗布物を塗布する。基板5の上面における部品搭載領域6は、複数の搭載目標位置61を囲んだ領域であり、当該部品搭載領域6内には、複数の搭載目標位置61、複数の印刷目標点62、シルク部63などが設定されている。各搭載目標位置61は、基板5の上面における部品の搭載の目標位置を示す。各搭載目標位置61を挟むように印刷目標点62が設定される。つまり、各搭載目標位置61は、2つの印刷目標点62の間に位置している。印刷目標点62は、印刷材料621が印刷される位置を示し、例えば、部品の端子電極が接続される銅箔などのランドである。シルク部63は、シルク印刷により形成された部分である。
【0025】
図2に示されるように、印刷機1は、本体フレーム11と、コンベア12と、印刷ヘッドユニット13と、印刷制御ユニット17と、印刷通信ユニット18と、を備える。
【0026】
本体フレーム11は、印刷機1を構成する各部が配置される構造体であり、Z軸方向から見た平面視で略矩形状に形成されている。コンベア12は、X軸方向に延び、本体フレーム11に配置される。コンベア12は、X軸方向に沿った搬送方向に基板5を搬送する搬送部である。基板5は、コンベア12上を搬送されて、所定の作業位置(基板5上の各印刷目標点62に印刷材料621が印刷される印刷位置)に位置決めされる。コンベア12は、基板5が前記印刷位置に位置決めされるように当該基板5を搬送する。
【0027】
印刷ヘッドユニット13は、移動フレーム14に配設されている。移動フレーム14は、X軸方向に延び、Y軸方向に移動可能となるように本体フレーム11に支持される。移動フレーム14は、第1駆動機構15によってY軸方向に移動される。第1駆動機構15は、例えば、駆動モータと、Y軸方向に延び、駆動モータに連結されるボールねじ軸と、移動フレーム14に配設されてボールねじ軸と螺合するボールナットと、を含んで構成される。このような構成の第1駆動機構15は、駆動モータによるボールねじ軸の回転駆動に伴ってボールナットがボールねじ軸に沿って進退することにより、移動フレーム14をY軸方向に移動させる。
【0028】
印刷ヘッドユニット13は、X軸方向に移動可能となるように、移動フレーム14に配設される。つまり、印刷ヘッドユニット13は、移動フレーム14の移動に伴ってY軸方向に移動可能であり、且つ、移動フレーム14に沿ってX軸方向に移動可能である。印刷ヘッドユニット13は、第2駆動機構16によって移動フレーム14に沿って移動される。第2駆動機構16は、第1駆動機構15と同様に、例えば、駆動モータと、X軸方向に延び、駆動モータに連結されるボールねじ軸と、印刷ヘッドユニット13に配設されてボールねじ軸と螺合するボールナットと、を含んで構成される。このような構成の第2駆動機構16は、駆動モータによるボールねじ軸の回転駆動に伴ってボールナットがボールねじ軸に沿って進退することにより、印刷ヘッドユニット13をX軸方向に移動させる。
【0029】
印刷ヘッドユニット13は、基板5上の各印刷目標点62に移動することにより、各印刷目標点62に印刷材料621を印刷する印刷動作を行う。印刷ヘッドユニット13は、印刷ヘッド131を備えている。印刷ヘッド131は、その先端側の部分(下部)に設けられたスキージ1311を有する。印刷ヘッド131は、印刷材料621を吐出することにより、基板5の上方に配置された不図示のマスクの上面に印刷材料621を供給する。印刷ヘッドユニット13は、マスクの上面に印刷材料621が供給された状態で、印刷ヘッド131に設けられたスキージ1311がマスクの上面に摺動するように移動する。これにより、印刷ヘッド131からマスクの上面に供給された印刷材料621が、マスクの印刷パターン孔を通って基板5上の印刷目標点62に印刷される。つまり、印刷ヘッドユニット13において、印刷ヘッド131は、印刷材料621を吐出することにより、マスクの印刷パターン孔を介して基板5上の印刷目標点62に印刷材料621を印刷する。印刷ヘッド131は、印刷ヘッドユニット13のフレームに対してZ軸方向に移動可能である。印刷ヘッド131は、基板5上の印刷目標点62の上方に位置する印刷基準位置に配置された状態で、スキージ1311の先端が所定の高さ位置に到達するまで下方向に移動して印刷材料621を吐出し、印刷目標点62に印刷材料621を印刷する印刷動作を行う。印刷材料621の印刷後の印刷ヘッド131は、印刷基準位置に向かって上方向に移動する。
【0030】
印刷ヘッドユニット13には、印刷側測定ユニット132が取り付けられている。
図3に示されるように、印刷側測定ユニット132は、印刷ヘッド131による印刷材料621の印刷前の基板5の上面において、印刷前搭載高さH1と印刷前基準高さH2とを測定する。印刷前搭載高さH1は、印刷材料621の印刷前の基板5上における部品搭載領域6内の搭載目標位置61の基板上面高さを示す。印刷前搭載高さH1は、印刷側測定ユニット132が基板5上の搭載目標位置61の上方に位置するように印刷ヘッド131が印刷基準位置に配置された状態で、印刷ヘッド131の基準高さ部位A1から基板5上の搭載目標位置61までの間のZ軸方向に沿った間隔を示す測定値である。印刷前基準高さH2は、印刷材料621の印刷前の基板5上における部品搭載領域6外の所定の基準位置64の基板上面高さを示す。印刷前基準高さH2は、印刷側測定ユニット132が基板5上の基準位置64の上方に位置するように印刷ヘッド131が印刷基準位置に配置された状態で、印刷ヘッド131の基準高さ部位A1から基板5上の基準位置64までの間のZ軸方向に沿った間隔を示す測定値である。
【0031】
本実施形態では、印刷側測定ユニット132は、基板5の上面にレーザー光LBを照射することにより印刷前搭載高さH1及び印刷前基準高さH2を測定するレーザー測長器である。この場合、印刷側測定ユニット132は、基板5の上面にレーザー光LBを照射し、基板5の上面から反射された反射光を受光することにより、印刷前搭載高さH1及び印刷前基準高さH2を測定する。
【0032】
基板5上において部品搭載領域6内の搭載目標位置61を挟む2つの印刷目標点62の間の間隔は、印刷側測定ユニット132から照射されるレーザー光LBによって基板5上に形成されるスポットSPのスポット径よりも小さい。この場合、印刷目標点62に印刷材料621が印刷された状態では、レーザー光LBの光路上に印刷材料621が存在するなどして、搭載目標位置61に対応した搭載高さを印刷側測定ユニット132を用いて正確に測定することは困難であると考えられる。そこで、印刷側測定ユニット132は、印刷材料621の印刷前の基板5における部品搭載領域6内の搭載目標位置61及び部品搭載領域6外の基準位置64を測定対象とする。
【0033】
印刷通信ユニット18は、印刷側測定ユニット132により測定された印刷前搭載高さH1及び印刷前基準高さH2に関する情報を部品実装機2に向けて送信する。
【0034】
印刷制御ユニット17は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶領域、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。印刷制御ユニット17は、CPUがHDDやフラッシュメモリに記憶された制御プログラムを実行することにより、
図3に示される高さ測定処理と印刷処理とを行う。
【0035】
印刷制御ユニット17は、印刷側測定ユニット132が印刷前搭載高さH1及び印刷前基準高さH2を測定する際に高さ測定処理を行う。印刷側測定ユニット132が印刷前搭載高さH1を測定する場合、印刷制御ユニット17は、印刷材料621の印刷前の基板5における部品搭載領域6内の搭載目標位置61に向けて印刷ヘッドユニット13が移動するように、印刷ヘッドユニット13の移動動作を制御する。印刷側測定ユニット132が基板5上の搭載目標位置61の上方に位置するように印刷ヘッド131が印刷基準位置に配置されると、印刷制御ユニット17は、印刷前搭載高さH1を測定するように印刷側測定ユニット132を制御する。同様に、印刷側測定ユニット132が印刷前基準高さH2を測定する場合、印刷制御ユニット17は、印刷材料621の印刷前の基板5における部品搭載領域6外の基準位置64に向けて印刷ヘッドユニット13が移動するように、印刷ヘッドユニット13の移動動作を制御する。印刷側測定ユニット132が基板5上の基準位置64の上方に位置するように印刷ヘッド131が印刷基準位置に配置されると、印刷制御ユニット17は、印刷前基準高さH2を測定するように印刷側測定ユニット132を制御する。
【0036】
印刷制御ユニット17は、印刷ヘッド131が印刷材料621を吐出し、マスクの印刷パターン孔を介して基板5上の印刷目標点62に印刷材料621を印刷する際に印刷処理を行う。なお、
図3では、マスクの図示が省略されている。印刷制御ユニット17は、印刷材料621の印刷前の基板5における部品搭載領域6内の印刷目標点62に向けて印刷ヘッドユニット13が移動するように、印刷ヘッドユニット13の移動動作を制御する。印刷ヘッド131が基板5の上方に配置された不図示のマスクよりも上方に位置する印刷基準位置に配置されると、印刷制御ユニット17は、印刷前搭載高さH1に基づきスキージ1311の先端が所定の高さ位置に到達するまで印刷ヘッド131を下方向に移動させる。スキージ1311の先端が所定の高さ位置に到達すると、印刷制御ユニット17は、印刷ヘッド131から印刷材料621をマスクに向けて吐出させ、スキージ1311がマスクの上面に摺動するように印刷ヘッドユニット13を移動させる。これにより、印刷ヘッド131から吐出されてマスクの上面に供給された印刷材料621が、マスクの印刷パターン孔を介して基板5上の印刷目標点62に印刷される。基板5上の印刷目標点62に印刷材料621が印刷されると、印刷制御ユニット17は、印刷基準位置に向かって印刷ヘッド131を上方向に移動させる。
【0037】
[部品実装機について]
印刷機1において印刷材料621が印刷された基板5は、部品実装機2に搬入される。この部品実装機2について、
図4~
図6を参照しながら説明する。部品実装機2は、印刷材料621の印刷後の基板5の上面における部品搭載領域6内の搭載目標位置61に部品7を搭載して部品搭載基板を生産する装置である。なお、印刷機1の下流側に塗布装置が設置されている場合には、部品実装機2は、印刷材料621の印刷後であり、且つ塗布装置による接着剤などの塗布物の塗布後の基板5の上面における部品搭載領域6内の搭載目標位置61に部品7を搭載して部品搭載基板を生産する。
図4に示されるように、部品実装機2は、本体フレーム21と、コンベア23と、部品供給ユニット24と、実装ヘッドユニット25と、基板支持ユニット28と、実装制御ユニット30と、実装通信ユニット31とを備える。
【0038】
本体フレーム21は、部品実装機2を構成する各部が配置される構造体であり、Z軸方向から見た平面視で略矩形状に形成されている。コンベア23は、X軸方向に延び、本体フレーム21に配置される。コンベア23は、印刷材料621の印刷後の基板5をX軸方向に搬送する。コンベア23上を搬送される基板5は、所定の作業位置(基板5上に部品7が搭載される部品搭載位置)に停止し、基板支持ユニット28によって位置決めされる。基板支持ユニット28は、基板5を下方側から支持することによって、当該基板5をコンベア23上において位置決めする。
【0039】
部品供給ユニット24は、本体フレーム21におけるY軸方向の両端部のそれぞれの領域部分に、コンベア23を挟んで配置される。部品供給ユニット24は、本体フレーム21において、フィーダー24Fが複数並設された状態で装着される領域であって、後述の実装ヘッドユニット25に備えられる搭載ヘッド251による保持対象の部品7ごとに、各フィーダー24Fのセット位置が区画されている。フィーダー24Fは、部品供給ユニット24に着脱自在に装着される。フィーダー24Fは、複数の部品7を保持し、その保持した部品7をフィーダー内に設定された所定の部品供給位置に供給する。フィーダー24Fは、部品7を供給可能に構成されていれば、その部品供給方式は特に限定されない。フィーダー24Fとしては、例えば、テープを担体として部品7を供給する方式のテープフィーダー、部品7が載置されたトレイを移動させることにより部品7を供給する方式のトレイフィーダー、筒状のスティックに収納された部品7を当該スティックから押し出しながら供給する方式のスティックフィーダーなどを採用することができる。
【0040】
実装ヘッドユニット25は、移動フレーム27に保持されている。本体フレーム21上には、Y軸方向に延びる固定レール261と、Y軸サーボモータ263により回転駆動されるボールねじ軸262とが配設されている。移動フレーム27は固定レール261上に配置され、この移動フレーム27に設けられたナット部分271がボールねじ軸262に螺合している。また、移動フレーム27には、X軸方向に延びるガイド部材272と、X軸サーボモータ274により駆動されるボールねじ軸273とが配設されている。このガイド部材272に実装ヘッドユニット25が移動可能に保持され、この実装ヘッドユニット25に設けられたナット部分がボールねじ軸273に螺合している。そして、Y軸サーボモータ263の作動により移動フレーム27がY軸方向に移動するとともに、X軸サーボモータ274の作動により実装ヘッドユニット25が移動フレーム27に対してX軸方向に移動する。つまり、実装ヘッドユニット25は、移動フレーム27の移動に伴ってY軸方向に移動可能であり、且つ、移動フレーム27に沿ってX軸方向に移動可能である。実装ヘッドユニット25は、部品供給ユニット24と基板支持ユニット28に支持された基板5との間で移動可能である。実装ヘッドユニット25は、部品供給ユニット24と基板5との間で移動することにより、部品7を基板5に搭載する部品搭載動作を実行する。
【0041】
図5に示されるように、実装ヘッドユニット25は、複数の搭載ヘッド251を備えている。各搭載ヘッド251は、その先端(下端)に装着された保持ノズル2511を有する。保持ノズル2511は、フィーダー24Fにより供給された部品7を保持する。保持ノズル2511は、フィーダー24Fにより供給された部品7の吸着保持が可能なノズルである。保持ノズル2511は、部品7を吸着する部品吸着動作を行う。保持ノズル2511は、電動切替弁を介して負圧発生装置、正圧発生装置及び大気の何れかに連通可能とされている。つまり、保持ノズル2511に負圧が供給されることで当該保持ノズル2511による部品7の吸着保持が可能となり、その後、正圧が供給されることで当該部品7の吸着保持が解除される。各搭載ヘッド251は、保持ノズル2511により吸着保持された部品7を基板5に搭載する部品搭載動作を、基板5上における部品搭載領域6内の複数の搭載目標位置61の各々に対応して行う。各搭載ヘッド251は、基板5に対する部品搭載動作を行うことにより部品搭載基板を得る。
【0042】
搭載ヘッド251は、実装ヘッドユニット25のフレームに対してZ軸方向に移動可能である。搭載ヘッド251は、印刷材料621の印刷後の基板5上の搭載目標位置61の上方に位置する搭載基準位置に配置された状態で下方向に移動することにより、保持ノズル2511に保持された部品7を基板5上の搭載目標位置61に搭載する部品搭載動作を行う。部品7の搭載後の搭載ヘッド251は、搭載基準位置に向かって上方向に移動する。
【0043】
図4に示されるように、本体フレーム21上において部品供給ユニット24とコンベア23との間に第1撮像部291が設置され、実装ヘッドユニット25に第2撮像部292が設置されている。第1撮像部291及び第2撮像部292は、例えばCMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)やCCD(Charged-coupled device)等の撮像素子を備えた撮像カメラである。第1撮像部291は、部品供給ユニット24から基板支持ユニット28により支持された基板5へ向かって実装ヘッドユニット25が移動している間において、搭載ヘッド251の保持ノズル2511によって保持された部品7を、下方側から撮像して部品認識画像を取得する。部品認識画像は、保持ノズル2511に保持された部品7の姿勢、保持ノズル2511に対する部品7の保持位置のずれ量などを画像認識する際に利用される。第2撮像部292は、搭載ヘッド251が部品搭載動作を行う前に、基板支持ユニット28により支持された基板5の上面に付設されている各種マークを認識するために、当該マークを上方側から撮像する。第2撮像部292による基板5上のマークの認識によって、基板5の原点座標に対する位置ずれ量が検知される。
【0044】
また、実装ヘッドユニット25には、実装側測定ユニット293が取り付けられている。
図6に示されるように、実装側測定ユニット293は、印刷材料621の印刷後の基板5の上面において、印刷後基準高さH3を測定する。印刷後基準高さH3は、印刷材料621の印刷後の基板5上における部品搭載領域6外の所定の基準位置64の基板上面高さを示す。印刷後基準高さH3は、実装側測定ユニット293が基板5上の基準位置64の上方に位置するように搭載ヘッド251が搭載基準位置に配置された状態で、搭載ヘッド251の基準高さ部位A2から基板5上の基準位置64までの間のZ軸方向に沿った間隔を示す測定値である。
【0045】
本実施形態では、実装側測定ユニット293は、基板5の上面にレーザー光LBを照射することにより印刷後基準高さH3を測定するレーザー測長器である。この場合、実装側測定ユニット293は、基板5の上面にレーザー光LBを照射し、基板5の上面から反射された反射光を受光することにより、印刷後基準高さH3を測定する。
【0046】
既述の通り、基板5上において部品搭載領域6内の搭載目標位置61を挟む2つの印刷目標点62の間の間隔は、実装側測定ユニット293から照射されるレーザー光LBによって基板5上に形成されるスポットSPのスポット径よりも小さい。この場合、印刷目標点62に印刷材料621が印刷された状態では、レーザー光LBの光路上に印刷材料621が存在するなどして、搭載目標位置61に対応した搭載高さを実装側測定ユニット293を用いて正確に測定することは困難であると考えられる。そこで、実装側測定ユニット293は、印刷材料621の印刷後の基板5について、部品搭載領域6内の搭載目標位置61を測定対象とはせずに、部品搭載領域6外の基準位置64のみを測定対象とする。
【0047】
実装通信ユニット31は、印刷機1の印刷通信ユニット18から送信された印刷前搭載高さH1及び印刷前基準高さH2に関する情報を受信して取得する。
【0048】
実装制御ユニット30は、CPU、制御プログラムを記憶するHDDやフラッシュメモリなどの記憶領域、CPUの作業領域として使用されるRAM等から構成されている。実装制御ユニット30は、CPUがHDDやフラッシュメモリに記憶された制御プログラムを実行することにより、
図6に示される高さ測定処理と部品搭載処理とを行う。
【0049】
実装制御ユニット30は、実装側測定ユニット293が印刷後基準高さH3を測定する際に高さ測定処理を行う。実装側測定ユニット293が印刷後基準高さH3を測定する場合、実装制御ユニット30は、印刷材料621の印刷後の基板5における部品搭載領域6外の基準位置64に向けて実装ヘッドユニット25が移動するように、実装ヘッドユニット25の移動動作を制御する。実装側測定ユニット293が基板5上の基準位置64の上方に位置するように搭載ヘッド251が搭載基準位置に配置されると、実装制御ユニット30は、印刷後基準高さH3を測定するように実装側測定ユニット293を制御する。
【0050】
実装制御ユニット30は、搭載ヘッド251が基板5上の搭載目標位置61に部品7を搭載する際に部品搭載処理を行う。この場合、基板5上の搭載目標位置61に対して適正な押込み量で部品7を搭載するためには、基板5上において印刷材料621が近くに存在する搭載目標位置61の上面高さに基づいて、搭載ヘッド251の部品搭載動作を制御する必要がある。しかしながら、基板5上において印刷材料621が近くに存在する搭載目標位置61の上面高さを正確に測定することは困難である。例えば、基板5上において部品搭載領域6内の搭載目標位置61を挟む2つの印刷目標点62の間の間隔が、実装側測定ユニット293から照射されるレーザー光LBのスポットSPのスポット径よりも小さい場合、印刷目標点62に印刷材料621が印刷された状態では、レーザー光LBの基板5に向かう照射光路及び基板5からの反射光路の光路上に印刷材料621が存在するなどして、搭載目標位置61に対応した搭載高さを、実装側測定ユニット293を用いて正確に測定することは困難であると考えられる。このため、基板5上の搭載目標位置61に対して適正な押込み量で部品7を搭載することは困難である。
【0051】
そこで、実装制御ユニット30は、実装通信ユニット31により取得された印刷前搭載高さH1及び印刷前基準高さH2と、実装側測定ユニット293により測定された印刷後基準高さH3とに基づいて、印刷後搭載高さH4を算出する。印刷後搭載高さH4は、印刷材料621の印刷後の基板5上における部品搭載領域6内の搭載目標位置61の基板上面高さを示す。印刷後搭載高さH4は、搭載ヘッド251の基準高さ部位A2から基板5上の搭載目標位置61までの間のZ軸方向に沿った間隔を示す算出値である。印刷材料621の印刷後の基板5における搭載目標位置61に対応した印刷後搭載高さH4は、印刷側測定ユニット132により測定された印刷前搭載高さH1及び印刷前基準高さH2と、実装側測定ユニット293により測定された印刷後基準高さH3とに基づいて、算出することができる。
【0052】
具体的には、実装制御ユニット30は、下記式(1)に従って、印刷前搭載高さH1と印刷前基準高さH2との差分と、印刷後基準高さH3とに基づいて、印刷後搭載高さH4を算出する。
H4=H3-(H2-H1) ・・・(1)
【0053】
これにより、実装制御ユニット30は、印刷材料621の印刷前の基板5を対象に測定された印刷前搭載高さH1と印刷前基準高さH2との差分と、印刷材料621の印刷後の基板5を対象に測定された印刷後基準高さH3とに基づいて、印刷後搭載高さH4を簡単に算出することができる。
【0054】
印刷後搭載高さH4は、印刷材料621の印刷前の基板5を対象に測定された印刷前搭載高さH1及び印刷前基準高さH2と、印刷材料621の印刷後の基板5を対象に測定された印刷後基準高さH3とに基づいて算出される。このため、印刷後搭載高さH4は、印刷材料621の印刷後の基板5における搭載目標位置61に対応した基板上面高さを的確に示す指標となる。
【0055】
印刷後搭載高さH4が算出されると、実装制御ユニット30は、印刷材料621の印刷後の基板5における部品搭載領域6内の搭載目標位置61に向けて実装ヘッドユニット25が移動するように、実装ヘッドユニット25の移動動作を制御する。部品7を保持した保持ノズル2511が基板5上の搭載目標位置61の上方に位置するように搭載ヘッド251が搭載基準位置に配置されると、実装制御ユニット30は、算出した印刷後搭載高さH4に基づいて搭載ヘッド251の部品搭載動作を制御し、保持ノズル2511に保持された部品7が基板5上の搭載目標位置61に搭載されるように、搭載ヘッド251を下方向に移動させる。基板5上の搭載目標位置61に部品7が搭載されると、実装制御ユニット30は、搭載基準位置に向かって搭載ヘッド251を上方向に移動させる。
【0056】
実装制御ユニット30は、印刷材料621の印刷後の基板5における搭載目標位置61に対応した基板上面高さを的確に示す指標となる印刷後搭載高さH4に基づいて、搭載ヘッド251の部品搭載動作を制御する。これにより、搭載ヘッド251は、印刷材料621が近くに存在する基板5上の搭載目標位置61に対して適正な押込み量で部品7を搭載することができる。このため、部品搭載動作において下方向に移動する搭載ヘッド251に保持された部品7が基板5に対して過度に押し付けられて破損することが防止される。
【0057】
以上、本発明の実施形態に係る部品実装システム100について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採用することができる。
【0058】
上記の実施形態では、基板5上における部品搭載領域6外の1つの基準位置64に対応して、印刷機1において印刷側測定ユニット132が印刷前基準高さH2を測定し、部品実装機2において実装側測定ユニット293が印刷後基準高さH3を測定する構成について説明した。しかしながら、このような構成に限定されない。
【0059】
変形実施形態について、
図7及び
図8を参照しながら説明する。変形実施形態では、
図7に示されるように、印刷機1において印刷側測定ユニット132は、印刷材料621の印刷前の基板5について、部品搭載領域6内の搭載目標位置61に対応した印刷前搭載高さH1と、印刷前基準高さH2としての第1印刷前基準高さH21及び第2印刷前基準高さH22と、を測定する。第1印刷前基準高さH21及び第2印刷前基準高さH22は、印刷材料621の印刷前の基板5上において部品搭載領域6を挟んで両側に位置する第1基準位置641及び第2基準位置642の基板上面高さをそれぞれ示す。第1印刷前基準高さH21が第1基準位置641に対応した基板上面高さを示し、第2印刷前基準高さH22が第2基準位置642に対応した基板上面高さを示す。
【0060】
一方、
図8に示されるように、部品実装機2において実装側測定ユニット293は、印刷材料621の印刷後の基板5について、印刷後基準高さH3としての第1印刷後基準高さH31及び第2印刷後基準高さH32を測定する。第1印刷後基準高さH31及び第2印刷後基準高さH32は、印刷材料621の印刷後の基板5上において部品搭載領域6を挟んで両側に位置する第1基準位置641及び第2基準位置642の基板上面高さをそれぞれ示す。第1印刷後基準高さH31が第1基準位置641に対応した基板上面高さを示し、第2印刷後基準高さH32が第2基準位置642に対応した基板上面高さを示す。
【0061】
そして、部品実装機2において実装制御ユニット30は、印刷側測定ユニット132により測定された印刷前搭載高さH1、第1印刷前基準高さH21及び第2印刷前基準高さH22と、実装側測定ユニット293により測定された第1印刷後基準高さH31及び第2印刷後基準高さH32とに基づいて、印刷材料621の印刷後の基板5における搭載目標位置61に対応した印刷後搭載高さH4を算出する。
【0062】
具体的には、実装制御ユニット30は、下記式(2)に従って、印刷前搭載高さH1、第1印刷前基準高さH21、第2印刷前基準高さH22、第1印刷後基準高さH31、及び第2印刷後基準高さH32に基づいて、印刷後搭載高さH4を算出する。
H4=H31+(H32-H31)×(H1-H21)/(H22-H21)
・・・(2)
【0063】
印刷後搭載高さH4は、印刷材料621の印刷後の基板5における搭載目標位置61に対応した基板上面高さを、より的確に示す指標となる。
【0064】
そして、実装制御ユニット30は、算出した印刷後搭載高さH4に基づいて搭載ヘッド251の部品搭載動作を制御し、保持ノズル2511に保持された部品7が基板5上の搭載目標位置61に搭載されるように、搭載ヘッド251を下方向に移動させる。
【0065】
実装制御ユニット30は、印刷材料621の印刷後の基板5における搭載目標位置61に対応した基板上面高さを的確に示す指標となる印刷後搭載高さH4に基づいて、搭載ヘッド251の部品搭載動作を制御する。これにより、搭載ヘッド251は、印刷材料621が近くに存在する基板5上の搭載目標位置61に対して適正な押込み量で部品7を搭載することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 印刷機
13 印刷ヘッドユニット
131 印刷ヘッド
132 印刷側測定ユニット
2 部品実装機
25 実装ヘッドユニット
251 搭載ヘッド
293 実装側測定ユニット
30 実装制御ユニット
31 実装通信ユニット
5 基板
6 部品搭載領域
61 搭載目標位置
62 印刷目標点
621 印刷材料
64 基準位置
641 第1基準位置
642 第2基準位置
7 部品
100 部品実装システム
H1 印刷前搭載高さ
H2 印刷前基準高さ
H21 第1印刷前基準高さ
H22 第2印刷前基準高さ
H3 印刷後基準高さ
H31 第1印刷後基準高さ
H32 第2印刷後基準高さ
H4 印刷後搭載高さ