(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173308
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】電力制御装置、プログラム及び電力制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20231130BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20231130BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231130BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20231130BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20231130BHJP
B60L 53/60 20190101ALI20231130BHJP
B60L 53/53 20190101ALI20231130BHJP
B60L 53/51 20190101ALI20231130BHJP
【FI】
H02J3/38 110
H02J7/35 K
H02J7/00 P
H02J3/00 170
H02J3/38 130
H02J3/32
B60L53/60
B60L53/53
B60L53/51
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085469
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村松 奈美
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G066AA03
5G066AA05
5G066AE03
5G066AE09
5G066HA17
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA05
5G066JB03
5G066KB07
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB02
5G503CA10
5G503DA04
5G503EA05
5G503FA06
5G503FA07
5G503GD03
5G503GD06
5H125AA01
5H125AC11
5H125AC24
5H125BE02
5H125EE61
(57)【要約】
【課題】定置型蓄電池及び電動車両への充電量をバランスよく制御して買電量を抑制できる電力制御装置を提供する。
【解決手段】電力制御装置(制御装置10)は基準日における電動車両の利用予定情報を取得する利用予定情報取得部11Aと、基準日の前日における電力供給システム80内の余剰電力量を予測する余剰電力量予測部11Bと、取得された利用予定情報及び予測された余剰電力量に基づいて、基準日の前日における定置型蓄電池及び電動車両への充電並びに系統電力の買電を制御する制御部11Dと、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準日における電動車両の利用予定を取得する利用予定情報取得部と、
前記基準日の前日における電力供給システム内の余剰電力量を予測する余剰電力量予測部と、
取得された利用予定及び予測された余剰電力量に基づいて、前記基準日の前日における定置型蓄電池及び前記電動車両への充電並びに系統電力の買電を制御する制御部と、
を備えた電力制御装置。
【請求項2】
前記余剰電力量予測部は、
前記基準日の前日において予測される太陽光発電装置の発電量と、
前記基準日の前日において予測される建物の電力消費量と、
を用いて前記余剰電力量を予測する、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記余剰電力量が所定値以下と予測され、かつ、前記利用予定がありの場合に、
前記基準日の前々日の夜間に買電を実施する、
請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項4】
基準日における電動車両の利用予定を取得する利用予定取得工程と、
前記基準日の前日における電力供給システム内の余剰電力量を予測する余剰電力量予測工程と、
取得された利用予定及び予測された余剰電力量に基づいて、前記基準日の前日における定置型蓄電池及び前記電動車両への充電を制御する制御工程と、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項5】
基準日における電動車両の利用予定を取得する利用予定取得工程と、
前記基準日の前日における電力供給システム内の余剰電力量を予測する余剰電力量予測工程と、
取得された利用予定及び予測された余剰電力量に基づいて、前記基準日の前日における定置型蓄電池及び前記電動車両への充電を制御する制御工程と、
を備えた電力制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力制御装置、プログラム及び電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、充電回路を備えた充電制御システムが開示されている。この充電制御システムにおける充電回路は、第1充電モード(通常充電モード)と、所定量の電荷を第1充電モードよりも短時間で蓄電池に蓄積させる第2充電モード(急速充電モード)と、を含む複数の動作モードで動作する。これにより、電動車両の所有者の生活パターン、電動車両の使用の緊急度などに応じて、電動車両への充電時間を変更できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の充電制御システムでは、制御部が、操作部への操作入力のほか、電力の料金単価が安い時間帯等を考慮して、充電回路の動作モードを決定できる。このように動作モードを決定すれば、買電量(すなわち、買電費用)を抑制することができると考えられる。
【0005】
しかしながら、電動車両は、所有者の生活パターンに応じて、利用されない日も想定される。また、電動車両を利用する場合であっても、走行距離に応じて必要とする充電量は異なる。電動車両で必要とされる電力量に比して電動車両への充電量を多くすると、電動車両の使用中は充電された電力を建物において使用することができないため、余分に買電する必要が生じることもある。
【0006】
このため、所有者の生活パターンに応じて、定置型蓄電池及び電動車両への充電量をバランスよく制御することが好ましい。
【0007】
本発明は、上記事実を考慮して、定置型蓄電池及び電動車両への充電量をバランスよく制御して買電量を抑制できる電力制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第一態様の電力制御装置は、基準日における電動車両の利用予定情報を取得する利用予定情報取得部と、前記基準日の前日における電力供給システム内の余剰電力量を予測する余剰電力量予測部と、取得された利用予定情報及び予測された余剰電力量に基づいて、前記基準日の前日における定置型蓄電池及び前記電動車両への充電並びに系統電力の買電を制御する制御部と、を備える。
【0009】
第一態様の電力制御装置では、利用予定情報取得部が、基準日における電動車両の利用予定情報を取得する。これにより、電動車両への充電の要否を把握できる。
【0010】
また、この電力制御装置では、余剰電力量予測部が、基準日の前日における電力供給システム内の余剰電力量を予測する。これにより、系統電力の買電の要否を把握できる。
【0011】
さらに、この電力制御装置では、制御部が、定置型蓄電池及び前記電動車両への充電並びに系統電力の買電を制御する。
【0012】
具体的には、例えば基準日の前日において電力供給システム内の余剰電力量が「多い」場合は、基準日の前日に買電を実施しなくても、基準日に使用する電力が定置型蓄電池及び電動車両へ充電できる。そして、基準日には、定置型蓄電池及び電動車両へ充電された電力を用いることができる。これにより、系統電力の買電量を抑制できる。
【0013】
また、例えば基準日の前日において電力供給システム内の余剰電力量が「少ない」場合は、制御部が、電動車両への充電の要否に応じて定置型蓄電池及び電動車両への充電量を決定し、必要に応じて買電する。これにより、電動車両で必要とされる電力量を確保しつつ過剰に充電することを抑制し、系統電力の買電量を抑制できる。
【0014】
さらに、例えば基準日の前日において余剰電力量がゼロの場合は、電動車両への充電の要否に応じて、定置型蓄電池及び電動車両への充電量を決定し、必要な電力量を買電する。
【0015】
このように、第一態様の電力制御装置によれば、定置型蓄電池及び電動車両への充電量をバランスよく制御して買電量を抑制できる。
【0016】
第二態様の電力制御装置は、第一態様に記載の電力制御装置において、前記余剰電力量予測部は、前記基準日の前日において予測される太陽光発電装置の発電量と、前記基準日の前日において予測される建物の電力消費量と、を用いて前記余剰電力量を予測する。
【0017】
第二態様の電力制御装置では、基準日の前日において予測される太陽光発電装置の発電量と、基準日の前日において予測される建物の電力消費量と、を用いて余剰電力量が予測される。
【0018】
太陽光発電装置の発電量は、季節や日射量等に左右される。また、建物の電力消費量は、気温や在宅人数等に左右される。このように不安定な指標のそれぞれの予測値から余剰電力量を予測することにより、太陽光発電装置の発電量又は建物の電力消費量の何れかの予測値のみみから余剰電力量を予測する場合と比較して、予測精度を向上できる。
【0019】
例えば太陽光発電装置の発電量が多く、建物の電力消費量が少ない場合は、余剰電力量を所定の第一閾値より大きいと予測できる。また、太陽光発電装置の発電量が多く、建物の電力消費量も多い場合は、余剰電力量を第一閾値以下で所定の第二閾値より大きいと予測できる。さらに、太陽光発電装置の発電量が少なく、建物の電力消費量が多い場合は、余剰電力量を第二閾値以下と予測できる。
【0020】
このように余剰電力量の予測精度が向上すれば、買電の要否や、必要な買電量の予測精度も向上し、不要な買電を抑制できる。
【0021】
第三態様の電力制御装置は、第一態様に記載の電力制御装置において、前記制御部は、前記余剰電力量が所定値以下と予測され、かつ、利用予定がありの場合に、前記基準日の前々日の夜間に買電を実施する。
【0022】
第三態様の電力制御装置では、基準日前日の余剰電力量が所定値以下と予測され、かつ、基準日における電動車両の利用予定がありの場合に、基準日の前々日の夜間に買電を実施する。
【0023】
基準日前日の余剰電力量が所定値以下と予測され、かつ、基準日における電動車両の利用予定がありの場合は、基準日前日の余剰電力のみでは、基準日に使用する電動車両の電力及び建物の電力を全て充電できない場合がある。また、基準日前日の夜間に買電しても、足りない場合がある。
【0024】
そこで制御部は、基準日の前々日の夜間に買電を実施する。これにより、日中の買電を抑制できる。また、基準日の前々日の夜間に買電を実施し、前日の夜間の買電量を調整することで、電力不足を抑制し、かつ、過剰な買電も抑制できる。
【0025】
第四態様のプログラムは、基準日における電動車両の利用予定情報を取得する利用予定情報取得工程と、前記基準日の前日における電力供給システム内の余剰電力量を予測する余剰電力量予測工程と、取得された利用予定情報及び予測された余剰電力量に基づいて、前記基準日の前日における定置型蓄電池及び前記電動車両への充電を制御する制御工程と、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0026】
第五態様の電力制御方法は、基準日における電動車両の利用予定情報を取得する利用予定情報取得工程と、前記基準日の前日における電力供給システム内の余剰電力量を予測する余剰電力量予測工程と、取得された利用予定情報及び予測された余剰電力量に基づいて、前記基準日の前日における定置型蓄電池及び前記電動車両への充電を制御する制御工程と、を備える。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、定置型蓄電池及び電動車両への充電量をバランスよく制御して買電量を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施形態に係る電力制御装置が適用された電力供給システムの全体像を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る電力制御装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る電力制御装置の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】(A)は実施形態に係る発電量データベースの構成の一例を示す模式図であり(B)は電力消費量データベースの構成の一例を示す模式図であり、(C)は制御情報データベースの構成の一例を示す模式図である。
【
図5】実施形態に係る電力制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本開示の実施形態に係る電力制御装置、プログラム及び電力制御方法について、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。但し、明細書中に特段の断りが無い限り、各構成要素は一つに限定されず、複数存在してもよい。
【0030】
また、各図面において重複する構成及び符号については、説明を省略する場合がある。なお、本開示は以下の実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において構成を省略する又は異なる構成と入れ替える等、適宜変更を加えて実施することができる。
【0031】
<電力供給システム>
(概要)
図1には、本発明の実施形態に係る電力供給システム80の全体構成が示されている。電力供給システム80は、蓄電池40及び電動車両110Aが備えられた建物100の電力供給を制御するためのシステムである。
【0032】
電力供給システム80は、蓄電池40及び電動車両110Aへの充電量をバランスよく制御して買電量を抑制することを目的とするシステムである。より具体的には、電力供給システム80は、基準日における電動車両110Aの利用の有無に基づいて、少なくとも基準日の前日における蓄電池40及び電動車両110Aへの充電量を制御して、買電量を抑制する。
【0033】
電力供給システム80は、制御装置10及び変換装置20を含んで構成されている。また、電力供給システム80は、太陽光発電装置30、蓄電池40、分電盤50及びコネクタ60を含んで構成されている。分電盤50は、電力系統70及び建物100内の負荷90に接続されている。また、コネクタ60は、電動車両110Aが備える蓄電池112Aに接続可能とされている。
【0034】
(建物)
本明細書においては、電力供給システム80が適用される建物100を、戸建て住宅として説明するが、本発明の実施形態はこれに限らない。電力供給システム80は、例えば戸建て住宅のほか集合住宅に適用できるし、事務所ビルや商業施設、病院や図書館などの非住戸系施設に適用することもできる。
【0035】
(太陽光発電装置)
太陽光発電装置30は、建物100の屋根面に設けられ、太陽光を受けて発電する太陽電池を備えている。太陽光発電装置30は、季節や日照条件などに応じて、発電電力が時間的に変動する電源である。太陽光発電装置30は変換装置20に接続され、太陽光発電装置30の発電電力は、変換装置20に供給される。また、太陽光発電装置30の発電電力の情報(例えば発電量)は、制御装置10に送信され、後述する発電量データベース13Bに記憶される。
【0036】
(蓄電池)
蓄電池40は、建物100に設けられている定置型蓄電池である。蓄電池40は、例えばリチウムイオン電池等の二次電池を備えている。蓄電池40は変換装置20に接続され、変換装置20から供給された電力により充電される。また、蓄電池40は、放電することにより変換装置20へ電力を供給することもできる。
【0037】
(分電盤)
分電盤50は、電力系統70からの交流電力を、建物100内の電気機器である負荷90に分配する。分電盤50には、電力系統70から交流電力が供給される。また、分電盤50に接続された分岐電路には負荷90が接続されている。分岐電路には、分電盤50から交流電力が供給され、負荷90は、分岐電路に供給される交流電力により動作する。さらに、分電盤50は、変換装置20に接続されており、変換装置20に交流電力を供給することができる。
【0038】
(コネクタ)
コネクタ60は、電動車両110Aの充電用のコネクタに着脱自在に接続される接続端子である。電動車両110Aは蓄電池112Aを内蔵しており、蓄電池112Aに充電された電気エネルギーを用いて走行する。コネクタ60は変換装置20に接続され、変換装置20から供給された電力により蓄電池112Aが充電される。また、蓄電池112Aは、放電することにより変換装置20へ電力を供給することもできる。
【0039】
電動車両110Aとしては、電動機の出力によって走行する電気自動車のほか、エンジンの出力と電動機の出力とを組み合わせて走行するプラグインハイブリッド車を適用することができる。
【0040】
(変換装置)
変換装置20の動作は、制御装置10よって制御される。変換装置20は、太陽光発電装置30と接続されている。変換装置20は、太陽光発電装置30からの直流電圧を昇圧することができる。
【0041】
変換装置20は、蓄電池40が出力する直流電力を所定の大きさの直流電力に変換することができる。また、変換装置20は、直流電力を所定の大きさの直流電力に変換し、変換した直流電力を蓄電池40に出力することができる。
【0042】
変換装置20は、蓄電池112Aが出力する直流電力を所定の大きさの直流電力に変換することができる。また、変換装置20は、直流電力を所定の大きさの直流電力に変換し、変換した直流電力を蓄電池112Aに出力することができる。
【0043】
変換装置20は、電力系統70と「太陽光発電装置30、蓄電池40及び蓄電池112A」との間において、直流電圧から交流電圧、又は交流電圧から直流電圧への変換を行うことができる。これにより、変換装置20は、「太陽光発電装置30、蓄電池40及び蓄電池112A」からの直流電力を交流電力に変換して「負荷90や電力系統70」へ出力する機能と、電力系統70からの交流電力を直流電力に変換して「蓄電池40及び蓄電池112A」へ出力する機能と、を有している。
【0044】
<制御装置>
本発明における電力制御装置の一例としての制御装置10は、建物100における電力管理及び制御を実施する装置であり、例えばHEMS(Home Energy Management System)等とも称される。
【0045】
制御装置10は、太陽光発電装置30の発電電力を、変換装置20を介して蓄電池40や蓄電池112Aに充電することができる。あるいは、太陽光発電装置30の発電電力を、変換装置20を介して分電盤50に接続された負荷90や電力系統70に供給することができる。
【0046】
また、制御装置10は、電力系統70から供給された電力を、変換装置20を介して蓄電池40や蓄電池112Aに充電することができる。さらに、制御装置10は、蓄電池40や蓄電池112Aに充電する順序や充電量を制御することができる。
【0047】
また、制御装置10は、蓄電池40に充電された電力を、変換装置20を介して分電盤50に接続された負荷90に供給することができる。また、制御装置10は、蓄電池112Aに充電された電力を、変換装置20を介して分電盤50に接続された負荷90や電力系統70に供給することができる。
【0048】
[制御装置の電気的な構成]
図2には、制御装置10の電気的な構成を示すブロック図が示されている。制御装置10は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)11、一時記憶領域としてのメモリ12、不揮発性の記憶部13、キーボードとマウス等の入力部14、液晶ディスプレイ等の表示部15、媒体読み書き装置(R/W)16、通信インタフェース(I/F)部18及び外部I/F部19を備えている。CPU11、メモリ12、記憶部13、入力部14、表示部15、媒体読み書き装置16、通信I/F部18及び外部I/F部19はバスB1を介して互いに接続されている。媒体読み書き装置16は、記録媒体17に書き込まれている情報の読み出し及び記録媒体17への情報の書き込みを行う。
【0049】
(記憶部)
記憶部13はHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部13には、電力制御プログラム13Aが記憶されている。電力制御プログラム13Aは、電力制御プログラム13Aが書き込まれた記録媒体17が媒体読み書き装置16にセットされ、媒体読み書き装置16が記録媒体17からの電力制御プログラム13Aの読み出しを行うことで、記憶部13へ記憶される。CPU11は、電力制御プログラム13Aを記憶部13から読み出してメモリ12に展開し、電力制御プログラム13Aが有するプロセスを順次実行する。
【0050】
記憶部13には、発電量データベース13B、電力消費量データベース13C及び制御情報データベース13Dが記憶される。発電量データベース13B、電力消費量データベース13C及び制御情報データベース13Dについては、詳細を後述する。
【0051】
(入力部)
入力部14では、ユーザによって、電力制御プログラム13Aを開始及び終了するための操作が実行される。ユーザとは、一例として、建物100の居住者であり、電力供給システム80の管理者である。
【0052】
また、入力部14では、ユーザによって、電動車両110Aの「利用予定情報」が入力される。さらに、入力部14では、ユーザによって、所定の日付における「在宅人数情報」が入力される。入力部14を介して入力された「利用予定情報」は、記憶部13における所定の領域に記憶することができる。また、「在宅人数情報」は、記憶部13における電力消費量データベース13Cに記憶される(
図4(B)参照)。
【0053】
なお、ユーザによって入力される「利用予定情報」及び「在宅人数情報」は、ユーザの携帯端末、例えばスマートフォンを介して入力してもよい。また、制御装置10とは異なるコンピュータを介して入力してもよい。ユーザの携帯端末や制御装置10とは異なるコンピュータを介して入力された個人情報は、制御装置10に送信される。
【0054】
(表示部)
表示部15には、電力制御プログラム13Aを開始及び終了するための情報、「利用予定情報」及び「在宅人数情報」を入力するための情報が表示される。また、表示部15には、ユーザが「利用予定情報」及び「在宅人数情報」を入力するためのインタフェースをタッチパネルにより構成してもよい。すなわち、表示部15と入力部14とは、タッチパネルを用いて一体的に形成することもできる。
【0055】
[制御装置の機能的な構成]
次に、
図3を参照して、本実施形態に係る制御装置10の機能的な構成について説明する。
図3に示すように、制御装置10は、利用予定情報取得部11A、余剰電力量予測部11B、接続検知部11C及び制御部11Dを含む。制御装置10のCPU11は、電力制御プログラム13Aを実行することで利用予定情報取得部11A、余剰電力量予測部11B、接続検知部11C及び制御部11Dとして機能する。
【0056】
(利用予定情報取得部)
利用予定情報取得部11Aは、基準日における電動車両110Aの利用予定情報を取得する。利用予定情報取得部11Aは、ユーザが入力部14に利用予定情報を入力することに応じて、当該利用予定情報を取得する。
【0057】
「利用予定情報」とは、少なくとも基準日における電動車両110Aの利用有無情報を含む情報である。この「利用有無情報」とは、ユーザが基準日に電動車両110Aを利用する予定か否かの情報であり、ユーザが入力部14に電動車両110Aの利用予定日を入力することで利用予定情報取得部11Aに取得される。
【0058】
また、「利用予定情報」には、走行距離情報を含むことが好ましい。「走行距離情報」とは、走行予定距離を示す情報である。走行距離情報は、ユーザが基準日に電動車両110Aを利用する予定である場合に、走行予定距離を入力することで利用予定情報取得部11Aに取得される。
【0059】
走行予定距離としては、必ずしも距離そのものを数値で入力する必要はなく、例えば目的地を入力してもよい。例えば目的地を入力すれば、CPU11が通信I/F部18を介して必要な情報を取得し、建物100から目的地までの往復距離の概算を算出することができる。
【0060】
なお、「利用有無情報」及び「走行距離情報」は必ずしもユーザが入力する必要はない。例えば制御装置10は、通信I/F部18を介して電動車両110Aが備えた通信装置と通信すれば、電動車両110Aの過去の利用日と走行距離とを取得することができる。
【0061】
そして、制御装置10は、過去の利用日と走行距離とを記憶部13に記憶しておくことで、「利用履歴データベース(不図示)」を生成することができる。利用予定情報取得部11Aは、このような利用履歴データベースから、基準日における「利用有無情報」及び「走行距離情報」を予測してもよい。
【0062】
また、利用予定情報が記憶部13に記憶されている場合は、利用予定情報取得部11Aは、記憶部13から利用予定情報を読み出して取得してもよい。
【0063】
(余剰電力量予測部)
余剰電力量予測部11Bは、制御装置10の入力部14、通信I/F部18及び記憶部13から各種情報を取得して、基準日の前日における電力供給システム80内の余剰電力量を予測する。
【0064】
余剰電力量予測部11Bは、通信I/F部18を介して、基準日の前日の「天気情報」を取得する。「天気情報」には、建物100が立地する地域において予想される日射量[kWh/m2/日]及び一日の平均気温[℃]が含まれる。
【0065】
また、余剰電力量予測部11Bは、ユーザが入力部14に基準日前日における在宅人数を入力することに応じて、「在宅人数情報」を取得する。
【0066】
そして、余剰電力量予測部11Bは、記憶部13に記憶された発電量データベース13Bを読み出して、この発電量データベース13Bに記憶された情報と「天気情報」とを用いて、基準日前日における太陽光発電装置30の「発電量」を予測する。発電量データベース13Bについては後述する。
【0067】
また、余剰電力量予測部11Bは、記憶部13に記憶された電力消費量データベース13Cを読み出して、この電力消費量データベース13Cに記憶された情報と「在宅人数情報」とを用いて、基準日前日における建物100の「電力消費量」を予測する。電力消費量データベース13Cについては後述する。
【0068】
さらに、余剰電力量予測部11Bは、基準日前日において予測される太陽光発電装置30の発電量と、基準日前日において予測される建物100の電力消費量と、を用いて、基準日前日における「余剰電力量」を予測する。
【0069】
具体的には、余剰電力量予測部11Bは、基準日前日において予測される太陽光発電装置30の発電量と、基準日前日において予測される建物100の電力消費量との差を算出することにより、基準日前日における余剰電力量を予測する。
【0070】
「基準日前日における余剰電力量」とは、太陽光発電装置30が発電する電力量から、基準日前日における建物100の電力需要を引いた値であるので、基準日に繰り越しできる電力量である。なお、この余剰電力量の算出には、基準日前々日からの繰り越し電力量や基準日前日の日中に買電した電力量を含めてもよい。
【0071】
(接続検知部)
接続検知部11Cは、ユーザがコネクタ60を電動車両110Aと接続及び接続解除することに応じて、コネクタ60が電動車両110Aに接続されているか否かを示す「接続情報」を取得する。コネクタ60が電動車両110Aに接続されているか否かは、記憶部30の所定領域に記憶される。
【0072】
(制御部)
制御部11Dは、利用予定情報取得部11Aによって取得された「利用予定情報」及び余剰電力量予測部11Bによって予測された「余剰電力量」に基づいて変換装置20を制御して、基準日前日における蓄電池40及び電動車両110Aへの充電並びに電力系統70からの買電を実施する。
【0073】
具体的には、制御部11Dは、記憶部13に記憶された制御情報データベース13Dを読み出して、この制御情報データベース13Dに記憶された情報と「利用予定情報」及び「余剰電力量」を用いて、後述する電力制御プログラム13Aを実行する。
【0074】
(発電量データベース)
図4(A)には、発電量データベース13Bの一例が示されている。発電量データベース13Bには、日付、日射量(実績値)[kWh/m
2/日]、損失係数(仮定値)[%]及び発電量(実績値)[kWh]がそれぞれ関連付けて記録されている。
【0075】
日付とは、過去の日付である。日射量とは、建物100が立地する地域における一日の日射量の実績値である。この実績値は、通信I/F部18を介して取得される。損失係数とは、太陽光発電装置30の経年劣化、メンテナンス頻度などが発電性能に与える影響を示す値であり、仮定値として予め入力されている。この損失係数は、適宜補正することもできる。発電量とは、太陽光発電装置30から取得された一日の発電量の実績値である。
【0076】
余剰電力量予測部11Bは、この発電量データベース13Bから、過去の季節、日付、日射量及び損失係数に応じた発電量の実績値を読み出すことができる。そして、余剰電力量予測部11Bは、通信I/F部18を介して取得した基準日の前日の「天気情報」に応じて、基準日前日における太陽光発電装置30の「発電量」を予測する。この発電量を予測するための演算式は、記憶部13の所定領域に記憶されている。
【0077】
(電力消費量データベース)
図4(B)には、電力消費量データベース13Cの一例が示されている。電力消費量データベース13Cには、日付、気温(実績値)[kWh/m
2/日]、在宅人数(実績値)[人]及び電力消費量(実績値)[kWh]がそれぞれ関連付けて記録されている。
【0078】
日付とは、過去の日付である。気温とは、建物100が立地する地域における気温(一日の平均気温)の実績値である。この実績値は、通信I/F部18を介して取得される。在宅人数とは、建物100に在宅していた人数示す値であり、ユーザによって入力部14を介して入力される。なお、この在宅人数は、浴室やトイレの使用回数などから制御部11Dが推測して記憶してもよい。電力消費量とは、建物100に在宅しているユーザによって使用された一日の電力消費量の実績値である。
【0079】
余剰電力量予測部11Bは、電力消費量データベース13Cから、過去の季節、日付(曜日を含んでいてもよい)及び在宅人数に応じた電力消費量の実績値を読み出すことができる。そして、余剰電力量予測部11Bは、通信I/F部18を介して取得した基準日前日の「天気情報」及び入力部14を介して取得した基準日前日の「在宅人数情報」に応じて、基準日前日における建物100の電力消費量を予測する。この電力消費量を予測するための演算式は、記憶部13の所定領域に記憶されている。
【0080】
また、余剰電力量予測部11Bは、記憶部13に記憶された電力消費量データベース13Cを読み出して、この電力消費量データベース13Cに記憶された情報と「在宅人数情報」とを用いて、基準日前日における建物100の「電力消費量」を予測する。
【0081】
(制御情報データベース)
図4(C)には、制御情報データベース13Dの一例が示されている。制御情報データベース13Dにおいては、制御部11Dが変換装置20に対して実施する制御内容が、12種類のモードに分類されて記憶されている。
【0082】
各モードは、コネクタ60が電動車両110Aに接続されているか否かを示す「接続情報」、ユーザが基準日に電動車両110Aを利用する予定か否かを示す「利用予定情報」、及び余剰電力量予測部11Bが予測した基準日前日の「余剰電力量」に基づいて、以下のように分類される。
【0083】
・モード1
接続情報:基準日前日における日中の接続あり
利用予定情報:基準日における電動車両の利用予定あり
余剰電力量:所定の閾値X1[kWh]より大きい
【0084】
モード1は、太陽光発電装置30による発電量が十分に見込め、建物100における電力消費量が少ない場合に想定される制御モードである。
【0085】
このモード1では、基準日前日の日中に、太陽光発電装置30が発電した電力を電動車両110Aの蓄電池112Aに充電する。満充電後、太陽光発電装置30が発電した電力を蓄電池40に充電する。
【0086】
また、基準日前日の夜間に、蓄電池40に充電された電力を放電して、負荷90へ供給する。蓄電池40に充電された電力を使い切った場合、蓄電池112Aに充電された電力を放電して、負荷90へ供給する。但し、利用予定情報に基づいて、基準日の走行距離に応じた必要電力は蓄電池112Aに残しておく。負荷90で使用する電力の不足分は買電する。
【0087】
・モード2
接続情報:基準日前日における日中の接続あり
利用予定情報:基準日における電動車両の利用予定なし
余剰電力量:所定の閾値X1[kWh]より大きい
【0088】
モード2は、太陽光発電装置30による発電量が十分に見込め、建物100における電力消費量が少ない場合に想定される制御モードである。
【0089】
このモード2では、基準日前日の日中に、太陽光発電装置30が発電した電力を蓄電池40に充電する。満充電後、太陽光発電装置30が発電した電力を電動車両110Aの蓄電池112Aに充電する。
また、基準日前日の夜間に、蓄電池112Aに充電された電力を放電して、負荷90へ供給する。蓄電池112Aに充電された電力を使い切った場合、蓄電池40に充電された電力を放電して、負荷90へ供給する。蓄電池40に充電された電力を使い切った場合、買電する。
【0090】
・モード3
接続情報:基準日前日における日中の接続あり
利用予定情報:基準日における電動車両の利用予定あり
余剰電力量:所定の閾値X1[kWh]以下で、閾値X2[kWh]より大きい
【0091】
モード3は、太陽光発電装置30による発電量が十分に見込めるが、建物100における電力消費量も大きい場合に想定される制御モードである。または、太陽光発電装置30による発電量が少ないが、建物100における電力消費量も少ない場合に想定される制御モードである。
【0092】
このモード3では、「基準日前々日」の夜間に買電し、電動車両110Aの蓄電池112Aに充電する。この際充電する電力量は、基準日の走行に必要な電力量と、基準日前日に蓄電池112Aに充電されることが予想される電力量との差である。
【0093】
また、基準日前日の日中に、太陽光発電装置30が発電した電力を電動車両110Aの蓄電池112Aに充電する。満充電後、太陽光発電装置30が発電した電力を蓄電池40に充電する。
【0094】
さらに、基準日前日の夜間に、蓄電池40に充電された電力を放電して、負荷90へ供給する。蓄電池40に充電された電力を使い切った場合、蓄電池112Aに充電された電力を放電して、負荷90へ供給する。但し、利用予定情報に基づいて、基準日の走行距離に応じた必要電力は蓄電池112Aに残しておく。負荷90で使用する電力の不足分は買電する。
【0095】
・モード4
接続情報:基準日前日における日中の接続あり
利用予定情報:基準日における電動車両の利用予定なし
余剰電力量:所定の閾値X1[kWh]以下で、閾値X2[kWh]より大きい
【0096】
モード4は、太陽光発電装置30による発電量が十分に見込めるが、建物100における電力消費量も大きい場合に想定される制御モードである。または、太陽光発電装置30による発電量が少ないが、建物100における電力消費量も少ない場合に想定される制御モードである。
【0097】
このモード4では、基準日前日の日中に、太陽光発電装置30が発電した電力を蓄電池40に充電する。満充電後、太陽光発電装置30が発電した電力を電動車両110Aの蓄電池112Aに充電する。
【0098】
また、基準日前日の夜間に、蓄電池112Aに充電された電力を放電して、負荷90へ供給する。蓄電池112Aに充電された電力を使い切った場合、蓄電池40に充電された電力を放電して、負荷90へ供給する。蓄電池40に充電された電力を使い切った場合、買電する。
【0099】
・モード5
接続情報:基準日前日における日中の接続あり
利用予定情報:基準日における電動車両の利用予定あり
余剰電力量:所定の閾値X2[kWh]以下
【0100】
モード5は、太陽光発電装置30による発電量が少なく、建物100における電力消費量を差し引くと余剰電力量が著しく少ない場合に想定される制御モードである。
【0101】
このモード5では、「基準日前々日」の夜間に買電し、電動車両110Aの蓄電池112Aに充電する。この際充電する電力量は、基準日の走行に必要な電力量である。
【0102】
基準日前日の日中には、太陽光発電装置30が発電した電力は、負荷90において使用され、電動車両110Aの蓄電池112A及び蓄電池40に充電することは難しい。このため負荷90で使用する電力を必要に応じて買電する。基準日前日の夜間には、負荷90で使用する電力を買電する。
【0103】
・モード6
接続情報:基準日前日における日中の接続あり
利用予定情報:基準日における電動車両の利用予定なし
余剰電力量:所定の閾値X2[kWh]以下
【0104】
モード6は、太陽光発電装置30による発電量が少なく、建物100における電力消費量を差し引くと余剰電力量が著しく少ない場合に想定される制御モードである。
【0105】
このモード6では、基準日前日の日中には、太陽光発電装置30が発電した電力は、負荷90において使用され、電動車両110Aの蓄電池112A及び蓄電池40に充電することは難しい。このため負荷90で使用する電力を必要に応じて買電する。基準日前日の夜間には、負荷90で使用する電力を買電する。
【0106】
・モード7
接続情報:基準日前日における日中の接続なし
利用予定情報:基準日における電動車両の利用予定あり
余剰電力量:所定の閾値X1[kWh]より大きい
【0107】
モード7は、太陽光発電装置30による発電量が十分に見込め、建物100における電力消費量が少ない場合に想定される制御モードである。
【0108】
このモード7では、基準日前日の日中に、太陽光発電装置30が発電した電力を蓄電池40に充電する。また、基準日前日の夜間に、蓄電池40に充電された電力を放電して、蓄電池112Aに充電する。また、負荷90へ供給する。蓄電池40に充電された電力を使い切った場合、蓄電池112Aに充電する電力及び負荷90で使用する電力の不足分は買電する。
【0109】
・モード8
接続情報:基準日前日における日中の接続なし
利用予定情報:基準日における電動車両の利用予定なし
余剰電力量:所定の閾値X1[kWh]より大きい
【0110】
モード8は、太陽光発電装置30による発電量が十分に見込め、建物100における電力消費量が少ない場合に想定される制御モードである。
【0111】
このモード8では、基準日前日の日中に、太陽光発電装置30が発電した電力を蓄電池40に充電する。また、基準日前日の夜間に、蓄電池112Aに充電された電力を放電して、負荷90へ供給する。蓄電池112Aに充電された電力を使い切った場合、買電する。
【0112】
・モード9
接続情報:基準日前日における日中の接続なし
利用予定情報:基準日における電動車両の利用予定あり
余剰電力量:所定の閾値X1[kWh]以下で、閾値X2[kWh]より大きい
【0113】
モード9は、太陽光発電装置30による発電量が十分に見込めるが、建物100における電力消費量も大きい場合に想定される制御モードである。または、太陽光発電装置30による発電量が少ないが、建物100における電力消費量も少ない場合に想定される制御モードである。
【0114】
このモード9では、「基準日前々日」の夜間に買電し、電動車両110Aの蓄電池112Aに充電する。この際充電する電力量は、「基準日の走行に必要な電力量」と「基準日前日の走行に必要な電力量」との和である。
【0115】
また、基準日前日の日中に、太陽光発電装置30が発電した電力を蓄電池40に充電する。
【0116】
さらに、基準日前日の夜間に、蓄電池40に充電された電力を放電して、負荷90へ供給する。蓄電池40に充電された電力を使い切った場合、蓄電池112Aに充電された電力を放電して、蓄電池112Aに充電する。また、負荷90へ供給する。蓄電池40に充電された電力を使い切った場合、蓄電池112Aに充電する電力及び負荷90で使用する電力の不足分は買電する。
【0117】
・モード10
接続情報:基準日前日における日中の接続なし
利用予定情報:基準日における電動車両の利用予定なし
余剰電力量:所定の閾値X1[kWh]以下で、閾値X2[kWh]より大きい
【0118】
モード10は、太陽光発電装置30による発電量が十分に見込めるが、建物100における電力消費量も大きい場合に想定される制御モードである。または、太陽光発電装置30による発電量が少ないが、建物100における電力消費量も少ない場合に想定される制御モードである。
【0119】
このモード10では、基準日前日の日中に、太陽光発電装置30が発電した電力を蓄電池40に充電する。また、基準日前日の夜間に、蓄電池40に充電された電力を放電して、負荷90へ供給する。蓄電池40に充電された電力を使い切った場合、買電する。
【0120】
・モード11
接続情報:基準日前日における日中の接続なし
利用予定情報:基準日における電動車両の利用予定あり
余剰電力量:所定の閾値X2[kWh]以下
【0121】
モード11は、太陽光発電装置30による発電量が少なく、建物100における電力消費量を差し引くと余剰電力量が著しく少ない場合に想定される制御モードである。
【0122】
このモード11では、「基準日前々日」の夜間に買電し、電動車両110Aの蓄電池112Aに充電する。この際充電する電力量は、「基準日の走行に必要な電力量」と「基準日前日の走行に必要な電力量」との和である。
【0123】
基準日前日の日中には、太陽光発電装置30が発電した電力は、負荷90において使用され、蓄電池40に充電することは難しい。このため負荷90で使用する電力を必要に応じて買電する。基準日前日の夜間には、負荷90で使用する電力を買電する。
【0124】
・モード12
接続情報:基準日前日における日中の接続なし
利用予定情報:基準日における電動車両の利用予定なし
余剰電力量:所定の閾値X2[kWh]以下
【0125】
モード12は、太陽光発電装置30による発電量が少なく、建物100における電力消費量を差し引くと余剰電力量が著しく少ない場合に想定される制御モードである。
【0126】
このモード12では、基準日前日の日中には、太陽光発電装置30が発電した電力は、負荷90において使用され、蓄電池40に充電することは難しい。このため負荷90で使用する電力を必要に応じて買電する。基準日前日の夜間には、負荷90で使用する電力を買電する。
【0127】
<作用>
次に、
図5を参照して、本実施形態に係る電力供給システム80の作用を説明する。ユーザからの入力部14を介した実行指示等に応じて、制御装置10のCPU11が電力制御プログラム13Aを実行することにより、
図5に示す電力制御処理が実行される。
【0128】
錯綜を避けるため、ここでは、発電量データベース13B、電力消費量データベース13Cが予め構築されている場合について説明する。また、利用予定情報も予め記憶部13に記憶されている場合について説明する。
【0129】
(電力制御処理)
電力制御プログラム13Aの実行が開始されると、ステップ102で、CPU11は、上記の方法に基づいて基準日前日における余剰電力量を予測し、基準日の前日及び基準日における利用予定情報を取得する。
【0130】
ステップ104で、CPU11は、基準日前日における余剰電力量が所定の閾値X1より大きいか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ106へ移行する。一方、ステップ104において否定判定となった場合はステップ204へ戻る。
【0131】
ステップ106で、CPU11は、基準日における電動車両110Aの利用予定情報の有無を判定し、肯定判定(利用予定あり)となった場合はステップ108へ移行する。ステップ108で、CPU11は、基準日前日に変換装置20を制御する制御モードをモード1又はモード7のうちの何れかであると決定する。ステップ108の後は、ステップ112へ移行する。
【0132】
一方、ステップ106において否定判定(利用予定なし)となった場合はステップ110へ移行する。ステップ110で、CPU11は、基準日前日に変換装置20を制御する制御モードをモード2又はモード8のうちの何れかであると決定する。ステップ110の後は、ステップ114へ移行する。
【0133】
ステップ112で、CPU11は、基準日前日の日中における接続情報の有無を判定し、肯定判定(コネクタ60が電動車両110Aに接続されている)となった場合はステップ116へ移行し、基準日前日に変換装置20を制御する制御モードをモード1に決定する。ステップ116の後はステップ400へ移行する。
【0134】
一方、ステップ112において否定判定となった場合はステップ118へ移行し、基準日前日に変換装置20を制御する制御モードをモード7に決定する。ステップ118の後はステップ400へ移行する。
【0135】
ステップ114で、CPU11は、基準日前日の日中における接続情報の有無を判定し、肯定判定(コネクタ60が電動車両110Aに接続されている)となった場合はステップ120へ移行し、基準日前日に変換装置20を制御する制御モードをモード2に決定する。ステップ120の後はステップ400へ移行する。
【0136】
一方、ステップ114において否定判定となった場合はステップ122へ移行し、基準日前日に変換装置20を制御する制御モードをモード8に決定する。ステップ122の後はステップ400へ移行する。
【0137】
なお、以上のステップ102~ステップ122のうち、ステップ102~ステップ110は基準日前々日に実行される。また、ステップ112~ステップ122は、基準日前日に実行される。
【0138】
ステップ204で、CPU11は、基準日前日における余剰電力量が所定の閾値X2より大きいか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ206へ移行する。一方、ステップ204において否定判定となった場合はステップ306へ戻る。
【0139】
ステップ206で、CPU11は、基準日における電動車両110Aの利用予定情報の有無を判定し、肯定判定(利用予定あり)となった場合はステップ208へ移行する。ステップ208で、CPU11は、基準日前日に変換装置20を制御する制御モードをモード3又はモード9のうちの何れかであると決定する。ステップ208の後は、ステップ211へ移行する。
【0140】
ステップ211では、基準日前々日の夜間における買電を実行する。この買電量は、基準日前日の利用予定情報が利用予定ありの場合は、モード3に基づいて決定される。一方、買電量は、基準日前日の利用予定情報が利用予定なしの場合は、モード9に基づいて決定される。ステップ211の後は、ステップ212へ移行する。
【0141】
一方、ステップ206において否定判定(利用予定なし)となった場合はステップ210へ移行する。ステップ210で、CPU11は、基準日前日に変換装置20を制御する制御モードをモード4又はモード10のうちの何れかであると決定する。ステップ210の後は、ステップ114へ移行する。
【0142】
ステップ212で、CPU11は、基準日前日の日中における接続情報の有無を判定し、肯定判定(コネクタ60が電動車両110Aに接続されている)となった場合はステップ216へ移行し、基準日前日に変換装置20を制御する制御モードをモード3に決定する。ステップ216の後はステップ400へ移行する。
【0143】
一方、ステップ212において否定判定となった場合はステップ218へ移行し、基準日前日に変換装置20を制御する制御モードをモード9に決定する。ステップ218の後はステップ400へ移行する。
【0144】
ステップ214で、CPU11は、基準日前日の日中における接続情報の有無を判定し、肯定判定(コネクタ60が電動車両110Aに接続されている)となった場合はステップ220へ移行し、基準日前日に変換装置20を制御する制御モードをモード4に決定する。ステップ220の後はステップ400へ移行する。
【0145】
一方、ステップ214において否定判定となった場合はステップ222へ移行し、基準日前日に変換装置20を制御する制御モードをモード10に決定する。ステップ222の後はステップ400へ移行する。
【0146】
なお、以上のステップ204~ステップ222のうち、ステップ204~ステップ211は基準日前々日に実行される。また、ステップ212~ステップ222は、基準日前日に実行される。ステップ216、218におけるモード決定は、ステップ211における買電処理の内容に関わらず実行される。
【0147】
ステップ306で、CPU11は、基準日における電動車両110Aの利用予定情報の有無を判定し、肯定判定(利用予定あり)となった場合はステップ308へ移行する。ステップ308で、CPU11は、基準日前日に変換装置20を制御する制御モードをモード5又はモード11のうちの何れかであると決定する。ステップ308の後は、ステップ311へ移行する。
【0148】
ステップ311では、基準日前々日の夜間における買電を実行する。この買電量は、基準日前日の利用予定情報が利用予定ありの場合は、モード5に基づいて決定される。一方、買電量は、基準日前日の利用予定情報が利用予定なしの場合は、モード11に基づいて決定される。ステップ311の後は、ステップ312へ移行する。
【0149】
一方、ステップ306において否定判定(利用予定なし)となった場合はステップ310へ移行する。ステップ310で、CPU11は、基準日前日に変換装置20を制御する制御モードをモード6又はモード12のうちの何れかであると決定する。ステップ310の後は、ステップ314へ移行する。
【0150】
ステップ312で、CPU11は、基準日前日の日中における接続情報の有無を判定し、肯定判定(コネクタ60が電動車両110Aに接続されている)となった場合はステップ316へ移行し、基準日前日に変換装置20を制御する制御モードをモード5に決定する。ステップ316の後はステップ400へ移行する。
【0151】
一方、ステップ312において否定判定となった場合はステップ318へ移行し、基準日前日に変換装置20を制御する制御モードをモード11に決定する。ステップ318の後はステップ400へ移行する。
【0152】
ステップ314で、CPU11は、基準日前日の日中における接続情報の有無を判定し、肯定判定(コネクタ60が電動車両110Aに接続されている)となった場合はステップ320へ移行し、基準日前日に変換装置20を制御する制御モードをモード6に決定する。ステップ320の後はステップ400へ移行する。
【0153】
一方、ステップ314において否定判定となった場合はステップ322へ移行し、基準日前日に変換装置20を制御する制御モードをモード12に決定する。ステップ322の後はステップ400へ移行する。
【0154】
なお、以上のステップ306~ステップ322のうち、ステップ304~ステップ311は基準日前々日に実行される。また、ステップ312~ステップ322は、基準日前日に実行される。ステップ316、318におけるモード決定は、ステップ311における買電処理の内容に関わらず実行される。
【0155】
ステップ400で、CPU11は、電力制御処理の終了タイミングが到来したか否かを判定し、肯定判定となった場合は電力制御処理を終了する。この終了タイミングは、一例として、ユーザの入力部14を介した入力によって到来する。ステップ400で否定判定となった場合はステップ102へ戻り、上記の基準日の翌日を新たな基準日とする処理を実行する。
【0156】
<効果>
以上説明したように、本発明の実施形態に係る電力制御装置の一例としての制御装置10は、利用予定情報取得部11Aが、基準日における電動車両110Aの利用予定情報を取得する。これにより、電動車両110Aへの充電の要否を把握できる。
【0157】
また、この制御装置10では、余剰電力量予測部11Bが、基準日の前日における電力供給システム80内の余剰電力量を予測する。これにより、電力系統70からの電力(系統電力)の買電の要否を把握できる。
【0158】
さらに、この制御装置10では、制御部11Dが、定置型蓄電池である蓄電池40及び電動車両110Aにおける蓄電池112Aへの充電並びに系統電力の買電を制御する。
【0159】
具体的には、例えばモード1に示されるように、基準日の前日において電力供給システム80内の余剰電力量が「多い」場合は、基準日の前日に買電を実施しなくても、基準日に使用する電力を蓄電池40及び電動車両110Aにおける蓄電池112Aへ充電できる場合がある。そして、基準日には、蓄電池40及び112Aへ充電された電力を用いることができる。これにより、系統電力の買電量を抑制できる。
【0160】
また、例えばモード3、4に示されるように、基準日の前日において電力供給システム80内の余剰電力量が「少ない」場合は、制御部11Dが、電動車両110Aへの充電の要否に応じて蓄電池40及び112Aへの充電量を決定し、必要に応じて買電する。これにより、電動車両110Aで必要とされる電力量を確保しつつ過剰に充電することを抑制し、系統電力の買電量を抑制できる。
【0161】
さらに、例えばモード5、6に示されるように、基準日の前日において余剰電力量がゼロの場合は、電動車両110Aへの充電の要否に応じて、蓄電池40及び112Aへの充電量を決定し、必要な電力量を買電する。
【0162】
このように、本発明の制御装置10によれば、蓄電池40及び112Aへの充電量をバランスよく制御して買電量を抑制できる。
【0163】
また、本発明の実施形態に係る制御装置10では、基準日の前日において予測される太陽光発電装置30の発電量と、基準日の前日において予測される建物100の電力消費量と、を用いて余剰電力量が予測される。
【0164】
太陽光発電装置30の発電量は、季節や日射量等に左右される。また、建物100の電力消費量は、気温や在宅人数等に左右される。このように不安定な指標のそれぞれの予測値から余剰電力量を予測することにより、太陽光発電装置30の発電量又は建物100の電力消費量の何れかの予測値のみみから余剰電力量を予測する場合と比較して、予測精度を向上できる。
【0165】
例えば太陽光発電装置30の発電量が多く、建物100の電力消費量が少ない場合は、余剰電力量を所定の第一閾値(例えば閾値X1)より大きいと予測できる。また、太陽光発電装置の発電量が多く、建物の電力消費量も多い場合は、余剰電力量を第一閾値以下で所定の第二閾値(例えば閾値X2)より大きいと予測できる。さらに、太陽光発電装置の発電量が少なく、建物の電力消費量が多い場合は、余剰電力量を第二閾値以下と予測できる。
【0166】
このように余剰電力量の予測精度が向上すれば、買電の要否や、必要な買電量の予測精度も向上し、不要な買電を抑制できる。
【0167】
また、本発明の実施形態に係る制御装置では、基準日前日の余剰電力量が所定値以下と予測され、かつ、基準日における電動車両の利用予定がありの場合に、基準日の前々日の夜間に買電を実施する。
【0168】
基準日前日の余剰電力量が所定値(例えば閾値X2)以下と予測され、かつ、基準日における電動車両110Aの利用予定がありの場合は、基準日前日の余剰電力のみでは、基準日に使用する電動車両110Aの電力及び建物の電力を全て充電できない場合がある。また、基準日前日の夜間に買電しても、足りない場合がある。
【0169】
そこで制御部11Dは、モード3、5、9、11に示されるように、基準日の前々日の夜間に買電を実施する。これにより、日中の買電を抑制できる。また、基準日の前々日の夜間に買電を実施し、前日の夜間の買電量を調整することで、電力不足を抑制し、かつ、過剰な買電も抑制できる。
【符号の説明】
【0170】
10 制御装置(電力制御装置)
11A 利用予定情報取得部
11B 余剰電力量予測部
11D 制御部
13A 電力制御プログラム(プログラム)
30 太陽光発電装置
40 蓄電池(定置型蓄電池)
100 建物
110A 電動車両