(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173325
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】ヒンジ開閉構造及びこれを具えた調理器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
A47J27/00 103P
A47J27/00 101D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085492
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】北浦 駿人
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA01
4B055BA16
4B055CA36
4B055CA83
4B055CC44
(57)【要約】
【課題】本発明は、劣化や損傷を抑えつつ、ヒンジ軸よりも前側に配管類を配設できるヒンジ開閉構造を提供する。
【解決手段】本発明に係るヒンジ開閉構造10は、ヒンジ軸11が後端に形成された第1部材22と、後端にヒンジ軸に軸支されるヒンジ軸受13を有し、第1部材に対して開閉方向に弧回動する第2部材40と、第1部材と第2部材とを繋ぐように配設される配管類64と、を具えるヒンジ開閉構造であって、第1部材は、ヒンジ軸の前方に、ヒンジ軸を円弧中心とする円弧状のヒンジカバー14を有し、ヒンジカバーの外周側に配置され、ヒンジ軸を円弧中心とするシャッター板16と、シャッター板の側方を覆い、ヒンジ軸に軸支される側板17を含み、第2部材を開き方向に弧回動させたときに、第2部材に連動して開き方向に回動するシャッター15と、を有し、配管類は、ヒンジ軸とヒンジカバーの間に形成される配管経路36に配設される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジ軸が後端に形成された第1部材と、
後端に前記ヒンジ軸に軸支されるヒンジ軸受を有し、前記第1部材に対して開閉方向に弧回動する第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材とを繋ぐように配設される配管類と、
を具えるヒンジ開閉構造であって、
前記第1部材は、前記ヒンジ軸の前方に、前記ヒンジ軸を円弧中心とする円弧状のヒンジカバーを有し、
前記ヒンジカバーの外周側に配置され、前記ヒンジ軸を円弧中心とするシャッター板と、前記シャッター板の側方を覆い、前記ヒンジ軸に軸支される側板を含み、前記第2部材を開き方向に弧回動させたときに、前記第2部材に連動して開き方向に回動するシャッターと、
を有し、
前記配管類は、前記ヒンジ軸と前記ヒンジカバーの間に形成される配管経路に配設される、
ヒンジ開閉構造。
【請求項2】
前記シャッターは、前記第2部材が閉じた状態で、前記シャッター板が前記ヒンジカバーに重なっており、
前記第2部材は、開き方向に弧回動したときに、前記シャッターと係合し、前記シャッターを開き方向に引き上げる引上げ部を有し、
前記シャッターは、前記引上げ部と係合可能な係合部を有する、
請求項1に記載のヒンジ開閉構造。
【請求項3】
前記シャッターは、前記第2部材に引き上げられた状態で、少なくとも一部が前記ヒンジカバーと重なっている、
請求項2に記載のヒンジ開閉構造。
【請求項4】
前記第1部材は、前記配管経路の下方に前記配管類を左右に分離させる仕切部材が設けられる、
請求項1に記載の開閉構造。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のヒンジ開閉構造を具える調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジ軸で回動可能に接続されるヒンジ開閉構造に関するものであり、より具体的には、配管や配線を覆うヒンジカバーを具えるヒンジ開閉構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
保温ジャーや炊飯器などの調理器では、本体容器にヒンジ軸を具え、蓋体をヒンジ軸に連繋したヒンジ開閉構造を具え、蓋体を本体容器に対して弧回動させて開閉可能としている。
【0003】
たとえば、ご飯の保温機能を有する保温釜の場合、保温時にご飯の酸化や黄ばみ、乾燥、においを抑えることが求められる。このため、保温時には、蓋体に装着された内蓋で開口する樹脂製の可撓性チューブを通じ、真空ポンプによって内釜内の空気を排出する減圧機構を具備している(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
真空ポンプは重量があり嵩高であるから、開閉操作される蓋体ではなく、本体容器に設置している。このため、可撓性チューブは蓋体と本体容器間を繋ぐように配設する必要がある。特許文献1では、可撓性チューブを外部に露出した状態としている。
【0005】
また、可撓性チューブ以外にも、保温釜には、蓋体のスイッチやボタン、減圧機構の電磁弁などに通電、制御信号を送信する配線が、蓋体から本体容器の制御装置に延びるよう配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
可撓性チューブを外部露出させると、劣化や損傷を受け易く、また、見栄えもよくない。このため、発明者らは、ヒンジ開閉構造の近傍に可撓性チューブや配線(以下、適宜「配管類」という)を挿通させることを検討した。この場合、ヒンジ軸よりも後ろ側に配管類を通すと、保温釜の後方に配管類を通すスペースが必要になり、ヒンジ開閉構造の大型化、ひいては保温釜の大型化を招く。また、蓋体を開閉した際に、配管類の曲がり角度が大きくなって、配管類が折れ曲がり、劣化や故障が生じ易い。
【0008】
そこで、ヒンジ軸の前側に配管類の配設を検討した。しかしながら、蓋体を開いたときに配管類が露出してしまい、配管類が劣化や損傷を受け易い問題があった。
【0009】
本発明の目的は、劣化や損傷を抑えつつ、ヒンジ軸よりも前側に配管類を配設できるヒンジ開閉構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るヒンジ開閉構造は、
ヒンジ軸が後端に形成された第1部材と、
後端に前記ヒンジ軸に軸支されるヒンジ軸受を有し、前記第1部材に対して開閉方向に弧回動する第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材とを繋ぐように配設される配管類と、
を具えるヒンジ開閉構造であって、
前記第1部材は、前記ヒンジ軸の前方に、前記ヒンジ軸を円弧中心とする円弧状のヒンジカバーを有し、
前記ヒンジカバーの外周側に配置され、前記ヒンジ軸を円弧中心とするシャッター板と、前記シャッター板の側方を覆い、前記ヒンジ軸に軸支される側板を含み、前記第2部材を開き方向に弧回動させたときに、前記第2部材に連動して開き方向に回動するシャッターと、
を有し、
前記配管類は、前記ヒンジ軸と前記ヒンジカバーの間に形成される配管経路に配設される。
【0011】
前記シャッターは、前記第2部材が閉じた状態で、前記シャッター板が前記ヒンジカバーに重なっており、
前記第2部材は、開き方向に弧回動したときに、前記シャッターと係合し、前記シャッターを開き方向に引き上げる引上げ部を有し、
前記シャッターは、前記引上げ部と係合可能な係合部を有する構成とすることができる。
【0012】
前記シャッターは、前記第2部材に引き上げられた状態で、少なくとも一部が前記ヒンジカバーと重なっていることが望ましい。
【0013】
前記第1部材は、前記配管経路の下方に前記配管類を左右に分離させる仕切部材を設けることができる。
【0014】
上記ヒンジ開閉構造は、調理器に適用できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のヒンジ開閉構造は、ヒンジ軸の前方の配管経路に配管類を通すことができるから、ヒンジ軸よりも後方側のスペースを小さくすることができ、製品奥行方向にコンパクトな構造とすることができる。また、配管類は大きく曲げることなく配設できるから、第2部材の開閉時によって配管類が折れ曲がってしまうことも防止できる。
【0016】
また、配管類は、第2部材を開き方向に回動させたときに、ヒンジカバーと、第2部材に連動して開き方向に回動するシャッターによって覆うことができるから、配管類は露出せず、劣化や損傷を抑え、また、見栄えも低下することはない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る保温釜の斜視図であって、蓋体側カバーを取り外した状態を示している。
【
図2】
図2は、蓋体閉状態の保温釜の縦断面図である。
【
図3】
図3は、蓋体開状態の保温釜の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のヒンジ開閉構造10は、ヒンジ接続された第1部材と第2部材であって、第1部材と第2部材との間に配管や配線を配設する種々の機器に適用することができる。
【0019】
以下では、本発明のヒンジ開閉構造10を保温釜20に適用した実施形態について説明する。なお、ヒンジ開閉構造10は、保温釜20に限らず、保温ジャーや炊飯器などにも適用できる。また、本発明のヒンジ開閉構造10は、ヒンジ部による開閉構造を有するスープジャーや電子レンジなどの調理器、その他の電気機器にも適用可能である。
【0020】
保温釜20とは、少なくとも保温機能と減圧機能を有する保温ジャーである。保温釜2
0には、保温機能、減圧機能以外の炊飯機能等を有する炊飯器を含む。保温釜20は、業務用、家庭用の何れであってもよい。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る保温釜20であって、蓋体カバー51を取り外した状態の斜視図、
図2及び
図3は、保温釜20の外観斜視図である。本明細書では、説明のため、蓋体40を開く際にユーザーが操作するレバー41側(たとえば、
図2の左側)を前、蓋体40の回動中心となるヒンジ部11側(同右側)を後ろと称する。
【0022】
本発明の保温釜20は、図に示すように、本体容器21と、本体容器21に開閉可能に取り付けられた蓋体40を具える。本体容器21は、本発明の第1部材、蓋体40は、第2部材に相当する。
【0023】
本体容器21は、
図2、
図3に示すように、内部に内釜26が収容可能な内容器23を有する。内釜26には保温すべきご飯が収容される。内容器23には、内釜26の加熱手段となる肩ヒーター24と、内釜26の温度を測定する温度センサー25が配置される。本体容器21の前端には、蓋体40を係止するレバー受け22が設けられる。
【0024】
本体容器21の後端側には、後方に向けて外側に突出した本体側外殻突出部30を有する。本体側外殻突出部30は、本体カバー31によって覆われており、内部に保温釜20の制御装置60と、減圧機構の真空ポンプ62等が収容される。
【0025】
蓋体40には、
図2及び
図3に示すように、内釜26を加熱する蓋ヒーター42と、蓋ヒーター42の直下に放熱板43が配置される。また、放熱板43には、内蓋44が着脱可能となっており、内蓋44は、放熱板43から突設された蓋体側係合部材52に装着可能となっている。蓋体側、先端が拡大した抜止めを有する軸状の所謂ワンタッチピンである。
【0026】
内蓋44は、内釜26を気密に封止する円板である。内蓋44には、放熱板43の蓋体側係合部材52に装着される内蓋側係合部材53を具える。図示の内蓋側係合部材53は、ワンタッチピンが嵌まる係合孔が貫通開設された環状の部材である。内蓋44の外周には、蓋パッキン45が嵌められており、
図2に示すように、蓋体40を閉じたときに、内釜26のフランジ部27に密着して、内蓋44を内釜26に気密に当接させる。
【0027】
保温釜20には、保温中に内釜26内を減圧し、ご飯の酸化等を防止する減圧機構が配備される。減圧機構は、蓋体に配置され、内釜26に連通する空気通路63と、本体容器21に配置され、空気を吸引、排出する真空ポンプ62の如き減圧手段とを、樹脂製の可撓性チューブ65の如き配管により接続したものであり、真空ポンプ62の作動によって内釜26内の空気を吸引し、内釜26内を減圧する。
【0028】
本実施形態では、空気通路63は、蓋体側係合部材52に貫通開設している。もちろん、蓋体側係合部材52とは異なる位置に配置することもできる。空気通路63は、蓋体40を閉じることで、
図2に示すように、内蓋44から内釜26に臨出する。空気通路63は、可撓性チューブ65に連繋されており、可撓性チューブ65は、蓋体40から本体容器21側に延びている。可撓性チューブ65の経路中には、減圧機構を構成する電磁弁67やトラップ68が配置されている。トラップ68は、内釜減圧時に内釜26から吸引された蒸気を含む空気から蒸気を結露させて捕集する装置である。なお、トラップ68は図示を一部省略している。
【0029】
電磁弁67やトラップ68は、
図1に示すように、蓋体40の中央よりやや後ろ後側から後端に突出した蓋体側外殻突出部50に配置される。蓋体側外殻突出部50は、
図2に示すように、蓋体カバー51で覆われる。
【0030】
上記したとおり、蓋体40から本体容器21には、可撓性チューブ65が配設される。また、蓋体40に配置された蓋ヒーター42や電磁弁67は、本体容器21の制御装置60にリード線、フレキシブルプリント配線板や電気ケーブルなどの配線66で電気的に接続される。可撓性チューブ65(
図4、
図5)や配線66(
図6参照)をまとめて適宜配管類64とする。
【0031】
本体容器21と蓋体40は、後端側に配置されたヒンジ部11により弧回動可能に接続される。蓋体40は、本体容器21に対して、
図2及び丸囲み部Aの拡大
図4に示す閉じた状態から、
図3及び丸囲み部Bの拡大
図5に示すように、開き角度α(図示では約100°)まで開くことができる。
【0032】
ヒンジ部11は、本体容器21に設けられたヒンジ軸12と、蓋体40に設けられ、ヒンジ軸12に軸支されたヒンジ軸受13を具える。
【0033】
具体的実施形態として、ヒンジ軸12は、本体容器21の後端から突出した本体側外殻突出部30に配置される。本体カバー31は、
図4に示すように、上縁側が、一旦内向きに凹んだ凹み部32を有し、凹み部32の上端は上斜め後方に向かう傾斜部33を有する。傾斜部33の先端は下向きに屈曲して、ユーザーが指を差し込んで本体容器21を持ち上げるときに掴むグリップ34となっている。本体カバー31の側面は、
図1に示すように本体容器21に向けて延びる横板35を有する。図示の実施形態では、ヒンジ軸12は、
図4に示すように、横板35の上縁近傍、すなわち、傾斜部33とグリップ34の間を通るように配置される。そして、本体容器21と本体カバー31との間には、ヒンジ軸12よりも前方側に配管類64が挿通可能な本体側配管経路36が形成されている。
【0034】
一方、蓋体40は、蓋体側外殻突出部50に蓋体40側から延びる蓋体フレーム46を有し、蓋体フレーム46の後端に、ヒンジ軸12に軸支されるヒンジ軸受13が設けられる。ヒンジ軸受13は、蓋体40の中央よりやや後ろ後側から後端に突出した蓋体側外殻突出部50内に収容される。蓋体フレーム46と蓋体カバー51との間には、本体側配管経路36に連通する蓋体側配管経路54が形成される。
【0035】
また、蓋体フレーム46には、蓋体40を開いたときに、後述するシャッター15と係合し、シャッター15を引き上げる引上げ部47が形成される。引上げ部47は、
図4、
図5に示すように、シャッター15の外周面に接近した位置に配置された爪片とすることができる。
【0036】
配管類64は、
図4及び
図5に示すように、ヒンジ軸12の前側に設けられた配管経路36,54を通るように配設される。これは、ヒンジ軸12よりも後方側のスペースを小さくすることで、本体側外殻突出部30を小さくし、製品奥行方向にコンパクトな構造とすることができる。また、可撓性チューブ65を大きく曲げることなく配設できるから、蓋体40の開閉時に可撓性チューブ65が折れ曲がってしまうこともない。
【0037】
一方、ヒンジ軸12の前側に配管類64を通すと、蓋体40を開いたときに、蓋体40の開き角度α(
図5)に相当する隙間が生じ、配管類64が露出することになる。露出した配管類64は、劣化や損傷を受け易く、また、見栄えもよくない。このため、本発明では、ヒンジ部11の前方にヒンジカバー14と蓋体40の開閉に連動して回動するシャッター15を設け、配管類64が露出しないようにしている。
【0038】
具体的実施形態として、本体側外殻突出部30の上端には、
図4及び
図5に示すように、本体側配管経路36の前端壁を構成するヒンジカバー14を配置している。ヒンジカバー14は、ヒンジ軸12の前方から後方斜め上側に向けて突設された円弧状の部材である。ヒンジカバー14の円弧中心は、ヒンジ軸12の軸芯Oである。なお、ヒンジ軸12の軸芯Oからヒンジカバー14の外周までの円弧半径はr1とする。
【0039】
また、
図4に示すように、ヒンジカバー14の外側には、ヒンジカバー14にスライド回動可能に配置されたシャッター15を具える。シャッター15は、円弧状のシャッター板16と、シャッター板16の側方を覆いヒンジ軸12に軸支される側板17を具える。
図1にもシャッター15が蓋体側配管経路54から視認される。
【0040】
シャッター板16は、ヒンジ軸12の軸芯Oからシャッター板16の内周までの円弧半径をr2としたときに、円弧半径r2は、
図4に示すように、ヒンジカバー14の外周までの円弧半径r1以上、望ましくは、円弧半径r1よりもやや大きい寸法とする。これにより、シャッター板16は、
図4、
図5に示すように、軸芯Oを中心としてヒンジカバー14にスライド回動可能とすることができる。
【0041】
また、シャッター板16の外周面には、
図1、
図4、
図5に示すように、蓋体40の引上げ部47の移行路上に、引上げ部47と係合する係合部18が設けられている。図示では、係合部18は、シャッター板16の上縁に外向きに突出する爪片である。
【0042】
ヒンジカバー14とシャッター板16は、
図5に示すように、ヒンジカバー14の仰角をβ、シャッター板16の仰角をγとしたときに、蓋体40が開いた状態で、本体容器21と蓋体40との間に隙間ができないようにするために、仰角βとγの和が、蓋体40の開き角度α以上となるように設定することが好適である。
【0043】
望ましくは、シャッター15が蓋体40に連動して蓋体40の開き方向に回動したときに。シャッター板16の少なくとも一部がヒンジカバー14と重なって、シャッター板16とヒンジカバー14との間に隙間ができないようにするために、仰角βとγの和は、蓋体40の開き角度αよりも5°~45°程度大きくなるようにすることが望ましい。図示では、ヒンジカバー14の仰角βは約50°、シャッター板16の仰角γは約70°である。
【0044】
上記したヒンジ軸12とヒンジ軸受13を含むヒンジ部11と、ヒンジカバー14、シャッター15により、ヒンジ開閉構造10が構成される。配管類64は、
図4に示すように、蓋体カバー51とヒンジカバー14、シャッター板16との間の配管経路36,54を通るように配設される。
【0045】
然して、本発明のヒンジ開閉構造10は、シャッター板16は、
図2に示すように蓋体40を閉じた状態では、
図4に示すように、自重や可撓性チューブ65に押されて、ヒンジカバー14と重なった状態で待機する。図示のように、可撓性チューブ65は、本体容器21側から見たときに、蓋体カバー51とヒンジカバー14との間の本体側配管経路36を通り、シャッター15の先端を通って僅かに屈曲し、蓋体側配管経路54へ向かっている。
【0046】
そして、レバー41を掴んで、蓋体40を開き方向に押し上げると、
図3に示すように、蓋体40が開き状態になる。この蓋体40の開き過程で、
図5に示すように、蓋体40の引上げ部47は、蓋体40と共にシャッター板16の外周に接近したまま矢印C方向に弧回動し、シャッター15の係合部18と係合する。そして、この状態からさらに引上げ部47が弧回動することで、係合部18が引上げ部47に当接したまま、シャッター15を引き上げる。これにより、本体容器21と蓋体40との間には、本体容器21から延びるヒンジカバー14と、ヒンジカバー14をスライド回動したシャッター板16が壁となって、配管経路36,54を塞ぐ。従って、配管経路36,54は露出しないから、配管類64の劣化や損傷を抑え、また、見栄えも維持できる。
【0047】
蓋体40が開状態(
図3、
図5)から、蓋体40を本体容器21側に押し下げると、蓋体40が閉じる。この蓋体40の閉じ過程で、蓋体40は、係合部18が
図5の矢印D方向に弧回動し、シャッター板16の係合部18から離れる。係合部18によって引き上げられていたシャッター15は、自重や蓋体40の閉じ方向の弧回動によって引っ張られる可撓性チューブ65に押され、
図4に示すように、ヒンジカバー14と重なった状態に戻る。シャッター15が常時引き上げ状態になく、ヒンジカバー14側に戻ることで、
図4に示すように、可撓性チューブ65は配管経路36,54内で大きく曲がってしまうこともない。
【0048】
上記のように、本発明では、シャッター15は、別途閉じ方向に付勢等する手段を設けることなく、蓋体40の閉止に連動して閉じ方向に弧回動できるから、構成の簡素化を図ることができる。
【0049】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0050】
たとえば、本体側外殻突出部30には、本体カバー31に、
図6に示すように、ヒンジ開閉構造10の本体側配管経路36を通って、本体容器21内に延びる配管類64のうち、リード線等の配線66を左右に仕切る仕切部材37を設けることができる。仕切部材37は、図示では2つの傾斜面38,38を頂部で突き合わせた形状である。仕切部材37によって、配線66は、左右に分離して、交差しないように配設できるから、直流配線と交流配線を配設する必要がある場合であっても、直流配線に交流配線のノイズの影響を低減でき、誤作動や動作不良などを防止できる。
【符号の説明】
【0051】
10 ヒンジ開閉構造
11 ヒンジ部
12 ヒンジ軸
13 ヒンジ軸受け
14 ヒンジカバー
15 シャッター
16 シャッター板
18 係合部
20 保温釜
22 本体容器(第1部材)
40 蓋体(第2部材)
47 引上げ部