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  • 特開-コネクタ付きケーブル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173332
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】コネクタ付きケーブル
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/56 20060101AFI20231130BHJP
   H02G 15/02 20060101ALI20231130BHJP
   H02G 1/14 20060101ALI20231130BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20231130BHJP
   H01R 13/6581 20110101ALI20231130BHJP
【FI】
H01R13/56
H02G15/02
H02G1/14
H01B7/00 306
H01R13/6581
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085508
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】桜井 渉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 昌輝
(72)【発明者】
【氏名】山崎 信之
【テーマコード(参考)】
5E021
5G309
5G355
5G375
【Fターム(参考)】
5E021FB07
5E021FC02
5E021FC21
5E021LA09
5E021LA15
5G309FA05
5G355AA03
5G355BA04
5G355BA08
5G355CA06
5G375AA02
5G375AA12
5G375BA21
5G375CA03
5G375CA13
5G375CC07
5G375DA08
5G375DA36
5G375DB16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ケーブルとコネクタの接続強度をさらに高めることができるコネクタ付きケーブルを提供する。
【解決手段】コネクタ付きケーブルは、基板と、ケーブルと、シェルと、を有し、シェルには、ケーブルをかしめるかしめ部が設けられており、かしめ部は、第一かしめ部と、第一かしめ部よりもケーブルの断面視において小さい第二かしめ部と、を有し、第一かしめ部は第二かしめ部よりも外側に位置し、第二かしめ部には、ケーブルの長手方向に沿ったスリットを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ付ケーブルであって、
基板と、
ケーブルと、
シェルと、を有し、
前記シェルには、前記ケーブルをかしめるかしめ部が設けられており、
前記かしめ部は、第一かしめ部と第二かしめ部と、を有し、
前記第一かしめ部の幅が前記ケーブルの幅よりも広く、
前記第二かしめ部の幅が前記ケーブルの幅以下であり、
前記第一かしめ部の幅方向の両端が、前記ケーブルと前記第二かしめ部を抱え込むように曲げられてケーブルをかしめていて、
前記第二かしめ部には、前記ケーブルの長手方向に沿ったスリットが設けられている、
コネクタ付きケーブル。
【請求項2】
前記ケーブルは複数の支線が束ねられたものであり、前記複数の支線がまとめて前記かしめ部によってかしめられている、請求項1に記載のコネクタ付きケーブル。
【請求項3】
前記シェルは、
前記基板の第一面の少なくとも一部を覆う第一シェルと、
前記基板の前記第一面と反対の第二面の少なくとも一部を覆う第二シェルと、
を有し、
前記第一かしめ部は、前記第一シェルに設けられ、
前記第二かしめ部は、前記第二シェルに設けられている、
請求項2に記載のコネクタ付きケーブル。
【請求項4】
前記第一かしめ部と前記第二かしめ部は互いにかしめられており、
前記第二かしめ部のスリットが、前記第一かしめ部の幅方向の両端部の間と向かい合う部位に設けられている、
請求項1から請求項3に記載のコネクタ付きケーブル。
【請求項5】
前記スリットは、前記ケーブルの軸方向と直交方向に0.3mm以上、0.5mm以下の幅で設けられている、請求項1から請求項3に記載のコネクタ付きケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ付きケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、多芯ケーブルの端末に基板が付けられ、ケーブル端部と基板がシェルで覆われるコネクタ付きケーブルを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/153347号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、ケーブルとコネクタの接続強度をさらに高めることができるコネクタ付きケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係るコネクタ付きケーブルは
基板と、
ケーブルと、
シェルと、を有し、
前記シェルには、前記ケーブルをかしめるかしめ部が設けられており、
前記かしめ部は、第一かしめ部と第二かしめ部と、を有し、
前記第一かしめ部の幅が前記ケーブルの幅よりも広く、
前記第二かしめ部の幅が前記ケーブルの幅以下であり、
前記第一かしめ部の幅方向の両端が、前記ケーブルと前記第二かしめ部を抱え込むように曲げられてケーブルをかしめていて、
前記第二かしめ部には、前記ケーブルの長手方向に沿ったスリットが設けられている。
【発明の効果】
【0006】
上記によれば、ケーブルとコネクタの接続強度をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示に係るコネクタ付きケーブルの一例を示す概略図である。
図2図2は、実施例に係るコネクタ付きケーブルの分解図である。
図3図3は、図1に示すコネクタ付きケーブルのA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示の一態様に係るコネクタ付きケーブルは、
(1)基板と、
ケーブルと、
シェルと、を有し、
前記シェルには、前記ケーブルをかしめるかしめ部が設けられており、
前記かしめ部は、第一かしめ部と第二かしめ部と、を有し、
前記第一かしめ部の幅が前記ケーブルの幅よりも広く、
前記第二かしめ部の幅が前記ケーブルの幅以下であり、
前記第一かしめ部の幅方向の両端が、前記ケーブルと前記第二かしめ部を抱え込むように曲げられてケーブルをかしめていて、
前記第二かしめ部には、前記ケーブルの長手方向に沿ったスリットが設けられている。
この構成によれば、ケーブルを固定するかしめ部の第二かしめ部にスリットが設けられていることにより、第二かしめ部におけるスリットをまたぐそれぞれの部分が互いに干渉することなく、ケーブルに食い込むので、ケーブルをより強固にかしめ固定可能である。そのため、ケーブルとシェルとの接続強度をさらに高めることができる。
【0009】
(2)上記(1)において、前記ケーブルは複数の支線が束ねられたものであり、前記複数の支線がまとめて前記かしめ部によってかしめられていてもよい。
この構成によれば、スリットが設けられているため、ケーブルが複数設けられる場合においても、良好なかしめ力を提供することができる。
【0010】
(3)上記(1)または(2)において前記シェルは、
前記基板の第一面の少なくとも一部を覆う第一シェルと、
前記基板の前記第一面と反対の第二面の少なくとも一部を覆う第二シェルと、
を有し、
前記第一かしめ部は、前記第一シェルに設けられ、
前記第二かしめ部は、前記第二シェルに設けられていてもよい。
この構成によれば、かしめ部を、相対する第一シェルと第二シェルにそれぞれ設けることにより、かしめ部をケーブルにより密着させることができる。そのため、ケーブルとシェルとの接続強度を高めることができる。
【0011】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記第一かしめ部と前記第二かしめ部は互いにかしめられており、前記第二かしめ部のスリットが第一かしめ部の幅方向の両端部の間と向かい合う部位に設けられていてもよい。
この構成によれば、第一かしめ部の一端と他端が第二かしめ部のスリットを挟んで別の部位とかしめられるため、かしめ部がケーブルにより密着し、かしめ力が高くなる。そのため、ケーブルとシェルとの接続強度を高めることができる。
【0012】
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記スリットは、ケーブル軸方向と直交方向に0.3mm以上、0.5mm以下の幅で設けられていてもよい。
この構成によれば、第二かしめ部の接触面積の低下や、第二かしめ部のスリットをまたいだそれぞれの部分の干渉を防ぐことができる。
【0013】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係るコネクタ付きケーブル1の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0014】
なお、図1等に示すU、D、F、B、R、Lはコネクタ付きケーブル1における方向を示すものであり、Uは上方、Dは下方、Fは前方、Bは後方、Rは右方、Lは左方である。なお、図1は上面視による上面図である。
【0015】
図1は、本開示の実施形態に係るコネクタ付きケーブル1の一例を示す概略図である。本実施形態に係るコネクタ付きケーブル1は、例えば、電子機器(図示省略)同士を接続するのに用いることができる。コネクタ付きケーブル1は、ケーブル10の端部にコネクタが設けられている。
コネクタ付きケーブル1は、図1に示したように、ケーブル10と、コネクタ2とを有している。コネクタ2は、シェル20と、後述するシェル20内部に設けられた基板30を有している。図1では、ケーブル10は二本の支線として表される。
【0016】
本開示において、ケーブル10は二束の支線11と、シールド層13と、外被14を有している。シールド層13は例えば金属線が編組されたもの(金属編組)である。二束の支線は第一支線15と第二支線16を有する。第一支線15は2本の導体17Aと第一支線絶縁層12Aを有する。第二支線16は複数の導体17Bと、複数の被覆支線18と、介在19と、第二支線絶縁層12Bを有する。ケーブル10のシールド層13と外被14は、第一支線15と第二支線16を覆うように設けられている。また、ケーブルの断面視で、二束の支線15,16の境界部分に相当する外皮14の表面には、溝部100が設けられている。
【0017】
シェル20は金属で構成された部品である。シェル20は、端部に開口部を有する例えば角筒状の部品である。シェル20の内部には基板30が収容されている。接続部31がシェル20の端部の開口部に位置している。
図1において、説明の都合上、シェル20の中央部からケーブル10が接続されている方向を前方Fと呼ぶ。シェル20の前部はかしめ部22とされている。かしめ部22は、ケーブル10をコネクタ2に固定するための部位である。
【0018】
次に図2を参照して、かしめ部を詳細に説明する。図2は実施形態に係るコネクタ付きケーブル1の分解斜視図である。
【0019】
図2に示したように、シェル20は第一シェル23と第二シェル24を有している。第一シェル23及び第二シェル24はいずれも上面視で矩形状の部材である。第一シェル23及び第二シェル24は、例えば、金属板の打ち抜き加工及び曲げ加工により形成されている。第一シェル23と第二シェル24は互いに連結され、第一シェル23と第二シェル24との間に基板30が収容されている。図2において、説明の都合上、第一シェル23に対して第二シェル24が位置する方向を上方Uと呼ぶ。第一シェル23の上方Uに第二シェル24が設けられている。
【0020】
第一シェル23は、第一かしめ部25を備えている。第二シェル24は第二かしめ部26を備えている。本開示では、第一かしめ部25と第二かしめ部26を総称して「かしめ部22」と呼称することがある。第一かしめ部25は第一シェル23の前方端部に、第二かしめ部26は第二シェル24の前方端部に、それぞれ設けられている。
第一かしめ部25の大きさは、固定するケーブル10に応じて適宜決定される。第一かしめ部25は第二かしめ部26よりも大きい。第一かしめ部25は第二かしめ部26に比べ、ケーブル10表面のより広い範囲を覆うことができる。
第二かしめ部26の大きさは、固定するケーブル10に応じて適宜決定される。第二かしめ部26には、第二かしめ部26の第二シェル24側の端部から前方Fに向かって延びるスリット27が設けられている。スリット27の左右方向の幅は固定するケーブル10に応じて適宜決定されるが、0.3mm以上、0.5mm以下であることが望ましい。
【0021】
次に、図3を参照し、ケーブル10がシェル20にかしめられている状態を説明する。図3図1におけるコネクタ付きケーブル1のA-A断面図である。
【0022】
図3に示したように、ケーブル10がかしめ固定された状態において、第二かしめ部26は、スリット27がケーブル10の溝部100に位置するようにケーブル10に密着される。第一かしめ部25は、第一かしめ部25の左右方向LRの端部が溝部100に位置するようにケーブル10の周囲に倣ってケーブル10の略全周を覆い、ケーブル10に密着される。第二かしめ部26の左右方向の端部は、第一かしめ部25よりも内側に位置し、スリット27によって隔たれたそれぞれの部分が、第一かしめ部25の左右方向LRのそれぞれの端部と密着する。この時、第一かしめ部25の左右LR方向の端部同士、及び第二かしめ部26のスリット27によって隔てられたそれぞれの部分は、互いに干渉しないようにかしめられることが望ましい。
【0023】
図3に示したケーブル10においては、第一支線15は第二支線16と比べ細径である。図3に示すケーブル10のように第一支線15と第二支線16の径が異なる場合、溝部100は必ずしもケーブル10の左右方向(LR方向)の幅方向の中央に位置しなくともよい。例えば、図3に示したケーブル10においては、溝部100はケーブル10のLR方向において、中央よりも第一支線15寄り(左方L寄り)に位置していてもよい。溝部100は、複数の支線の境界部分に存在していてもよい。
【0024】
溝部100と同様に、第二かしめ部26に設けられるスリット27も第二かしめ部26の左右LR方向の幅の中央に位置しなくともよい。第二かしめ部26は、溝部100に対応する位置に設けられていてもよい。第一支線15が第二支線16と比べ細径である場合、図2におけるスリット27は、第二かしめ部26の左右方向の幅の中央から第一支線15寄りに位置していてもよい。
【0025】
本開示におけるコネクタ付きケーブル1によれば、第二かしめ部26にはスリット27が設けられているため、かしめ固定された際、第二かしめ部26におけるスリット27を跨ぐそれぞれの部分が互いに干渉することなく、ケーブル10に食い込むことができる。結果として、第二かしめ部26にスリット27が無い場合と比べ、第二かしめ部26がケーブル10により密着することができるので、良好なかしめ力を得ることができる。このため、ケーブル10とコネクタ20の接続強度が高められている。
【0026】
また、本開示におけるコネクタ付きケーブル1によれば、第一かしめ部25の一端と他端が第二かしめ部26のスリット27を挟んで別の部位とかしめられるため、かしめ部22がケーブル10により密着し、かしめ力が高くなる。そのため、ケーブル10とシェル20との接続強度を高めることができる。
【0027】
また、第二かしめ部26において、スリット27を跨ぐそれぞれの部分が近すぎると、それぞれの部分が互いに干渉してしまい、かしめ力が低下することがある。また、第二かしめ部26においてスリット27が大きすぎると、ケーブル10をかしめる部分の大きさが断面視で小さくなり、第二かしめ部26のケーブル10への接触面積が低下し、かしめ力が低下することがある。本開示におけるコネクタ付きケーブル1によれば、スリット27は第二かしめ部26のケーブル10軸方向と直交方向に0.3mm以上、0.5mm以下の幅で設けられているため、これらの問題を防ぐことができる。
【0028】
また、本開示におけるコネクタ付きケーブル1によれば、第二かしめ部26にスリット27が設けられているため、ケーブル10が複数設けられる場合においても、それぞれのケーブル10に対して第二かしめ部26を利用して良好なかしめ力を提供することができる。
【0029】
以上、本開示の実施形態について説明をしたが、本開示の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本開示の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0030】
1:コネクタ付きケーブル
2:コネクタ
10:ケーブル
11:支線
12:絶縁層
13:シールド層
14:外被
15:第一支線
16:第二支線
17A、17B:導体
18:被服支線
19:介在物
20:シェル
21:開口部
22:かしめ部
23:第一シェル
24:第二シェル
25:第一かしめ部
26:第二かしめ部
27:スリット
30:基板
31:接続部
100:溝部
図1
図2
図3