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特開2023-173344飲料ディスペンサの自動化機構及び飲料ディスペンサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173344
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】飲料ディスペンサの自動化機構及び飲料ディスペンサ
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/08 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085528
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】山下 尊史
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA04
3E082BB01
3E082BB03
3E082DD20
3E082EE02
3E082FF09
(57)【要約】
【課題】注出作業を効率化することができる飲料ディスペンサの自動化機構及び飲料ディスペンサを提供する。
【解決手段】飲料容器から飲料を供給するための吐出部26を有するタワー18と、タワー18の上方側に配置され、吐出部26を開閉するためのコック20と、を含んで構成され、飲料容器と吐出部26とは、タワー18の内部を通して配置されるホースユニット40によって接続され、タワー18は、飲料容器及び吐出部26にホースユニット40を着脱するための開口部30を上部に有する飲料ディスペンサ10に取り付けられる自動化機構12は、タワー18の開口部30よりも上方側に取り付けられ、コック20を作動させるためのコック作動部14と、タワー18の開口部30よりも下方側にコック作動部14とは別個に取り付けられ、飲用容器を載置するための受台部16と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器の上方側において上下方向に沿って延在し、上部に前記飲料容器から飲料を供給するための吐出部を有する中空のタワーと、前記タワーの上方側に配置され、前記吐出部を開閉するためのコックと、を含んで構成され、
前記飲料容器と前記吐出部とは、前記タワーの内部を通して配置されるホースユニットによって接続され、前記タワーは、前記飲料容器及び前記吐出部に前記ホースユニットを着脱するための開口部を上部に有することを特徴とする飲料ディスペンサに取り付けられる自動化機構であって、
前記タワーの前記開口部よりも上方側に取り付けられ、前記コックを作動させるためのコック作動部と、
前記タワーの前記開口部よりも下方側に前記コック作動部とは別個に取り付けられ、前記飲料を注入するための飲用容器を載置するための受台部と、
を備える飲料ディスペンサの自動化機構。
【請求項2】
前記受台部は傾動可能に構成される、請求項1に記載の飲料ディスペンサの自動化機構。
【請求項3】
前記コック作動部と前記受台部とを連動させる制御部を備える、請求項2に記載の飲料ディスペンサの自動化機構。
【請求項4】
前記コック作動部は、
前記コックの側へ向けて水平方向に沿って延在する板状に形成され、一方の端部において前記コックの上部に嵌めるための挿通穴が形成されたスライド部と、
前記スライド部の他方の端部とヒンジ連結された連結部と、
前記連結部を水平方向に沿ってスライドさせる駆動機構と、
を備える、請求項3に記載の飲料ディスペンサの自動化機構。
【請求項5】
前記タワーは、天面側が開閉可能に構成されており、前記コック作動部は、該天面側に取り付けられている、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の飲料ディスペンサの自動化機構。
【請求項6】
飲料容器の上方側において上下方向に沿って延在し、上部に飲料容器から飲料を供給するための吐出部を有する中空のタワーと、
前記タワーの上方側に配置され、前記吐出部を開閉するためのコックと、
前記タワーの内部を通して配置され、前記飲料容器と前記吐出部とを接続するホースユニットと、
前記タワーの上部に形成され、前記飲料容器及び前記吐出部に前記ホースユニットを着脱するための開口部と、
前記タワーの前記開口部よりも上方側に取り付けられ、前記コックを作動させるためのコック作動部と、
前記タワーの前記開口部よりも下方側に前記コック作動部とは別個に取り付けられ、前記飲料を注入するための飲用容器を載置するための受台部と、
を備える飲料ディスペンサ。
【請求項7】
前記受台部は傾動可能に構成される、請求項6に記載の飲料ディスペンサ。
【請求項8】
前記コック作動部と前記受台部とを連動させる制御部を備える、請求項7に記載の飲料ディスペンサ。
【請求項9】
前記コック作動部は、
前記コックの側へ向けて水平方向に沿って延在する板状に形成され、一方の端部において前記コックの上部に嵌めるための挿通穴が形成されたスライド部と、
前記スライド部の他方の端部とヒンジ連結された連結部と、
前記連結部を水平方向に沿ってスライドさせる駆動機構と、
を備える、請求項8に記載の飲料ディスペンサ。
【請求項10】
前記タワーは、天面側が開閉可能に構成されており、前記コック作動部は、該天面側に取り付けられている、請求項6から請求項9の何れか1項に記載の飲料ディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、飲料ディスペンサの自動化機構及び飲料ディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、飲料容器に貯留された飲料を供給するための空冷式の飲料サーバーであって、飲料容器を収容し冷却するための冷蔵庫と、冷蔵庫から上方に突出し、且つ、飲料を供給するための吐出部を上部に有する中空のタワーと、を備え、飲料容器と吐出部とは、タワーの内部を通して配置されるホースユニットによって接続されるように構成されており、タワーは、ホースユニットを取り出すための開口を上部に有する、飲料サーバーが開示されている。
【0003】
特許文献1に示されるような、いわゆるタワー型の飲料サーバーによれば、定期的にホースユニットを交換することによって飲料サーバーを清潔に保つことができ、毎日の配管の洗浄や定期的な大がかりの洗浄を必要としないため飲料サーバーの洗浄に係る作業工数を大幅に低減することができる。しかしながら、飲料の注出は手動で行わなければならず、飲食店等において大量に飲料を消費するような場合には、作業工数が増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-100426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような課題を考慮して、注出作業を効率化することができる飲料ディスペンサの自動化機構及び飲料ディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、飲料容器の上方側において上下方向に沿って延在し、上部に飲料容器から飲料を供給するための吐出部を有する中空のタワーと、タワーの上方側に配置され、吐出部を開閉するためのコックと、を含んで構成され、飲料容器と吐出部とは、タワーの内部を通して配置されるホースユニットによって接続され、タワーは、飲料容器及び吐出部にホースユニットを着脱するための開口部を上部に有することを特徴とする飲料ディスペンサに取り付けられる自動化機構であって、タワーの開口部よりも上方側に取り付けられ、コックを作動させるためのコック作動部と、タワーの開口部よりも下方側にコック作動部とは別個に取り付けられ、飲料を注入するための飲用容器を載置するための受台部と、を備える飲料ディスペンサの自動化機構である。
【0007】
さらに、本開示の他の態様として、飲料ディスペンサの自動化機構の受台部は傾動可能に構成されてもよい。
【0008】
また、本開示の他の態様として、飲料ディスペンサの自動化機構はコック作動部と受台部とを連動させる制御部を備えてもよい。
【0009】
さらに、本開示の他の態様として、飲料ディスペンサの自動化機構のコック作動部は、コックの側へ向けて水平方向に沿って延在する板状に形成され、一方の端部においてコックの上部に嵌めるための挿通穴が形成されたスライド部と、スライド部の他方の端部とヒンジ連結された連結部と、連結部を水平方向に沿ってスライドさせる駆動機構と、を備えてもよい。
【0010】
また、本開示の他の態様として、飲料ディスペンサの自動化機構のタワーは、天面側が開閉可能に構成されており、コック作動部は、天面側に取り付けられてもよい。
【0011】
また、本開示の他の態様は、飲料容器の上方側において上下方向に沿って延在し、上部に飲料容器から飲料を供給するための吐出部を有する中空のタワーと、タワーの上方側に配置され、吐出部を開閉するためのコックと、タワーの内部を通して配置され、飲料容器と吐出部とを接続するホースユニットと、タワーの上部に形成され、飲料容器及び吐出部にホースユニットを着脱するための開口部と、タワーの開口部よりも上方側に取り付けられ、コックを作動させるためのコック作動部と、タワーの開口部よりも下方側にコック作動部とは別個に取り付けられ、飲料を注入するための飲用容器を載置するための受台部と、を備える飲料ディスペンサである。
【0012】
さらに、本開示の他の態様として、飲料ディスペンサの受台部は傾動可能に構成されてもよい。
【0013】
また、本開示の他の態様として、飲料ディスペンサはコック作動部と受台部とを連動させる制御部を備えてもよい。
【0014】
さらに、本開示の他の態様として、飲料ディスペンサのコック作動部は、コックの側へ向けて水平方向に沿って延在する板状に形成され、一方の端部においてコックの上部に嵌めるための挿通穴が形成されたスライド部と、スライド部の他方の端部とヒンジ連結された連結部と、連結部を水平方向に沿ってスライドさせる駆動機構と、を備えてもよい。
【0015】
また、本開示の他の態様として、飲料ディスペンサのタワーは、天面側が開閉可能に構成されており、コック作動部は、天面側に取り付けられてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本開示の一態様によれば、コック作動部によって、コックを作動させ、受台部に載置された飲用容器に飲料を注入することができる。このため、ユーザが自らコックを作動することなく飲用容器に飲料を注入することができ、ユーザの作業工数を低減することができる。これによって、飲料の注出作業を効率化することができる。また、飲料ディスペンサのコックを作動させるための自動化機構のコック作動部は、タワーの開口部よりも上方側において飲料ディスペンサに取り付けられている。さらに、飲料を注入するために飲用容器を載置する自動化機構の受台部は、タワーの開口部よりも下方側にコック作動部とは別個に飲料ディスペンサに取り付けられている。このため、タワーの開口部を塞ぐ、又は、遮ることなく自動化機構を飲料ディスペンサに取り付けることができる。これによって、自動化機構が取り付けられた状態であっても、タワーの内部を通して配置され、飲料容器と吐出部を接続するホースユニットをタワーの開口部を通じて着脱することができる。これによって、飲料ディスペンサの洗浄に係る作業工数を低減した上で、飲料の注出作業を効率化することができる。
【0017】
また、本開示の一態様によれば、飲料ディスペンサの受台部は傾動可能に構成されている。このため、飲料を注出するときに飲用容器が載置された受台部を傾斜させることができ、注入される飲料に与える衝撃を抑制して飲料の風味を維持することができる。このように、ユーザが飲料を飲用容器に注入する際に行う調整作業を自動化機構によって行うことができ、飲料の注出作業を効率化することができる。
【0018】
さらに、本開示の一態様によれば、自動化機構はコック作動部と受台部とを連動させる制御部を備える。このため、コック作動部によって飲用容器に飲料を注入するタイミングに合わせて受台部を傾動させることができ、飲料に衝撃を与えることを抑制して飲料の風味を維持することができる。このように、ユーザが飲料を飲用容器に注入する際に行う調整作業を自動化機構によって行うことができ、飲料の注出作業を効率化することができる。
【0019】
また、本開示の一態様によれば、板形状のスライド部の一方の端部に形成された挿通穴にコックの上部を嵌めることができる。スライド部の他方の端部は連結部とヒンジ連結され、連結部は駆動機構によって水平方向に沿ってスライドさせることができる。このため、スライド部のスライドに合わせてコックを傾斜させることができる。これによって、吐出部を開閉して飲用容器に飲料を注入することができるため、飲料の注出作業を効率化することができる。
【0020】
さらに、本開示の一態様によれば、飲料ディスペンサのタワーは、天面側が開閉可能に構成されているため、天面側からホースユニットを取り出すことができる。また、コック作動部は、タワーの天面側に取り付けられている。このため、自動化機構が取り付けられた状態であっても、タワーの天面側を開けてホースユニットを着脱することができる。これによって、飲料ディスペンサの洗浄に係る作業工数を低減した上で、飲料の注出作業を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本実施形態に係る飲料ディスペンサの斜視図を示す。
図2図2は、飲料ディスペンサの側面図を示す。
図3図3は、タワーの斜視図を示す。
図4図4は、飲料ディスペンサから取り除かれたホースユニットの斜視図を示す。
図5図5は、コック作動部の内部の斜視図を示す。
図6図6は、タワーの蓋部に取り付けられたコック作動部の斜視図を示す。
図7図7は、サドル部の斜視図を示す。
図8図8は、制御部の斜視図を示す。
図9図9は、受台部の斜視図を示す。
図10図10はコック作動部の作動状態を示す斜視図であって、(a)は、泡注出状態を示し、(b)は、スタンバイ状態を示し、(c)は、飲料注出状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係る飲料ディスペンサ及びその自動化機構(以下、自動化機構と称する)を説明する。同様な又は対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。理解を容易にするために、図の縮尺を変更して説明する場合がある。
【0023】
図1及び図2には、本実施形態に係る自動化機構12が取り付けられた飲料ディスペンサ10を示す。自動化機構12は、コック作動部14と、受台部16と、を含んで構成されており、これらは別個に飲料ディスペンサ10に取り付けられている。具体的には、飲料ディスペンサ10のタワー18の上部に形成された開口部30(図4参照)の上方側には、飲料ディスペンサ10の蛇口であるコック20を作動させるためのコック作動部14が取り付けられ、開口部30の下方側には、飲料を注入するための飲用容器(図示省略)を載置するための受台部16がコック作動部14とは別個に取り付けられている。
【0024】
図3には、自動化機構12を取り外した飲料ディスペンサ10の斜視図を示す。飲料ディスペンサ10は、飲料容器(図示省略)の上方側において上下方向に沿って延在する筒形状、ここでは、円筒形状の本体部22を有するタワー18を含んで構成されている。飲料ディスペンサ10のタワー18は、飲料容器を収容して冷蔵するための冷蔵庫24の上部の天井壁24aから上方側へ向けて延在する。タワー18の内部は、冷蔵庫24内部と連通しており、飲料ディスペンサ10のコック20は、後述するホースユニット40によって飲料容器と接続されている。なお、ここでは、タワー18は冷蔵庫24の天井壁24aから上方側へ向けて延在するとして説明するが、これに限らず、例えば、タワーは冷却機構と一体で構成された飲料容器又は十分に冷却された飲料容器と直接連結される等、他の態様で設けられてもよい。
【0025】
ここで言う飲料容器とは、例えば、ビール樽である。なお、以下において、飲料容器はビール樽であるとして説明するが、これに限らず、飲料容器は、例えば、ビール、ビール以外のアルコール炭酸飲料、すなわち、発泡酒、麦芽以外の原料から製造された別のアルコール飲料が注入されたビール風味の発泡アルコール飲料(いわゆる第三のビール)、チューハイ、若しくは、ハイボール、又は、非アルコール炭酸飲料、すなわち、ノンアルコールビール若しくは炭酸ジュース等の様々な飲料が収容された容器であってもよい。
【0026】
また、飲料ディスペンサ10は、ガス、例えば、炭酸ガスを飲料容器に供給するためのガスボンベと、ガスボンベからのガスの供給を制御すると共に冷蔵庫24内の温度管理をするための温度制御装置とを備える(いずれも図示省略)。なお、これに限らず、例えば、飲料容器内の飲料に予め炭酸ガス等のガスを注入し、ガスボンベを設けなくてもよい。
【0027】
タワー18は、円筒形状の本体部22と、本体部22の上部に形成され、飲料容器の飲料を吐出する吐出部26と、本体部22の上方側に配置され、開閉可能な蓋部28とを有する。蓋部28は天面(タワーキャップ28a)を有し、前方側には、吐出部26を開閉するためのコック20が配置されている。
【0028】
図4に示すように、筒形状の本体部22の上端には開口部30が形成され、本体部22の外側に対して開放されている。蓋部28は、閉じたときに、開口部30及び吐出部26を上方側から塞ぐように形成されている。
【0029】
蓋部28は、例えば、ヒンジ32等の連結部材を介して、本体部22に対して回動可能に取り付けられることによってタワー18の本体部22の内部を開閉可能にする。また、蓋部28の上端部は、着脱可能なタワーキャップ28aとされており、その下方側の蓋部本体28bと蝶ネジ34(図7参照)によって連結されている。さらに、蓋部28には、蓋部28が不用意に開くことを防止するためのボタン36が配置されている。このため、ボタン36が押されているときに限り、蓋部28を開くことができる。
【0030】
タワー18の本体部22の内部には、その軸方向、すなわち上下方向に沿ってホースユニット40が配置される。これによって、飲料容器とタワー18の吐出部26とを接続することができる。ホースユニット40は、可撓性材料によって製造された中空形状のホース42と、プローブ44と、タップノズル46と、を含んで構成されており、ホース42の一方の端部にはプローブ44が取り付けられ、他方の端部にはタップノズル46が取り付けられている。
【0031】
ホース42は、例えば、ポリエチレン製とされている。なお、これに限らず、合成樹脂等、他の可撓性材料で製造されてもよい。プローブ44は、その外径がホース42の外径よりも大きい円筒又は円錐状に形成され、飲料容器、又は、飲料容器に取り付けられたディスペンスヘッド(図示省略)と接続される。
【0032】
ホースユニット40は、定期的に、所定、又は、任意のタイミングで交換することを容易にするために、本体部22の開口部30から出し入れできるように構成されている。このため、ホース42及びプローブ44の外径は、タワー18の本体部22の内径よりも小さく形成されている。なお、ホースユニットは、使い捨てとされてもよい。
【0033】
タップノズル46は、筒状に形成された吐出部26に取り付け可能、すなわち先端が吐出部26から突き出すように嵌め込み可能に形成されている。これによって、タップノズル46が、飲料ディスペンサ10における飲料の出口となるように構成されている。タップノズル46は、合成樹脂又は金属等、様々な材料で構成されてもよい。なお、このようなホースユニット40は、例えば、商業的に販売されているものを用いることができる。
【0034】
タップノズル46の内部には図示しない開閉弁が取り付けられており、蓋部28を閉じたときに、コック20の下端部が当該開閉弁と接続するように構成されている。このため、コック20を傾動させることによって、タップノズル46の開閉弁を開閉することができる。これによって、ホースユニット40と接続された飲料容器内の飲料を吐出部26から吐出させることができる。
【0035】
このように、飲料容器から下流側における飲料の流路の全てが、容易に交換可能なホースユニット40によって構成されている。このため、飲料の流路の洗浄をすること無しに、飲料の流路を清潔に保つことができる。これによって、飲料ディスペンサ10の洗浄に係るユーザの作業工数を軽減することができる。
【0036】
図5には、タワー18の蓋部28側に取り付けられたコック作動部14の内部の斜視図を示す。コック作動部14は、コック20を作動させる、すなわち傾動させる(図2参照)ためのスライド部50と、スライド部50をスライドさせるための駆動機構52と、スライド部50と駆動機構52とを連結するための連結部54とを備える。また、コック作動部14は、スライド部50を作動させる際に、スライド部50及びコック20を上方側から覆うように形成された安全カバー56を備える。よって、図5は、コック作動部14の駆動機構52のカバー52aの上部及び安全カバー56(図1及び図2参照)を取り外した内部の構造を示す。
【0037】
タワーキャップ28aを取り外したあとに、駆動機構52が配置されている。駆動機構52は、モータ58と、モータ58の回転軸に取り付けられたギア60と、コック20の側へ向けて水平方向に延在し、ギア60と噛み合うように、側部において長手方向に沿って歯が形成された、すなわち歯切りされたラック部62と、を有する。このため、モータ58が作動されて、ギア60が回転することによって、ギア60が噛み合ったラック部62をコック20の側へ向けて、又は、コック20から遠ざかる側へ向けて水平方向に沿ってスライドさせることができる。
【0038】
駆動機構52のラック部62のコック20側端部には、連結部54がラック部62と一体で形成されている。連結部54は、ラック部62と連結され、上下方向に沿って延在する第1部材54aと、第1部材54aの下端からコック20の側へ向けて水平方向に沿って延在する第2部材54bと、を有し、側面視でL字状又は逆L字状に形成されている。
【0039】
連結部54が第1部材54aを有することによって、ラック部62を第2部材54bよりも上方側に配置することができる。このため、ラック部62の下方側において、第2部材54bとの上下差、すなわち高低差によって生じた空間にモータ58を配置することができる。これによって、モータ58を配置する部分を下方側に突出させることなく、駆動機構52の底部がタワー18の開口部30よりも上方側に位置するように、駆動機構52を構成することができる。
【0040】
第2部材54bは、ラック部62がスライドすることによって、水平方向に沿ってスライド可能に構成されている。また、第2部材54bは、駆動機構52のコック20側の端部に形成された穴部64にガイドされてスライドするように構成されている。このため、上下方向に傾かないように第2部材54bを安定させることができる。
【0041】
第2部材54bのコック20側の端部には、スライド部50がヒンジ連結具66を介してヒンジ連結されている。スライド部50は、第2部材54bからコック20の側へ向けて水平方向に沿って延在して形成されている。スライド部50のコック20側の端部には、コック20の上部に嵌めるための挿通穴68が貫通形成されている。このため、ヒンジ連結されたスライド部50を上方側へ向けて回動させる、すなわち上方側へ持ち上げて、スライド部50をコック20に上方側から嵌めることによって、コック20にスライド部50を取り付けることができる。
【0042】
スライド部50は、ヒンジ連結された連結部54のスライドに合わせて、出入りする穴部64にガイドされながら水平方向に沿ってスライドする。このため、スライド部50が嵌められたコック20には、スライド部50によってモーメントが作用し、傾動される。これによって、図2に示すように、コック20をスタンバイ状態SB、飲料注出状態DS及び泡注出状態FSの3状態に傾けることができる。なお、ここでは、コック20は、上記3状態に傾けられるとして説明するが、これに限らず、2状態又は4以上の状態で傾けられるように構成されてもよい。
【0043】
図6に示すように、スライド部50が嵌められたコック20の上方側には、これらを覆うように安全カバー56が配置される。安全カバー56は、上面においてカバー側連結具70(図1参照)を介して駆動機構52とヒンジ連結されており、これを回転中心として駆動機構52の上面側へ回動可能に構成されている。このため、安全カバー56を外す、すなわち駆動機構52側へ回動させることによって、スライド部50とコック20とを露出させることができる。これによって、スライド部50の取り付け及び取り外しを容易にすることができる。
【0044】
安全カバー56のカバー側連結具70の近傍には図示しないセンサが取り付けられており、後述する制御部78と電気的に接続されている。このため、安全カバー56が駆動機構52側へ回動されて、スライド部50とコック20とが露出しているときは、センサがこれを検知して、コック作動部14の作動を停止するように構成されている。これによって、コック作動部14を安全に作動させることができる。
【0045】
安全カバー56の内側には、コック20とスライド部50とを覆ったときに、これらの両側に位置し、スライド部50のスライド方向に沿って延在する一対のガイド板72が配置されている。また、両方のガイド板72の下方側には、スライド方向に沿って複数、ここでは3つのローラ74が回転可能にそれぞれ取り付けられている。ローラ74は、安全カバー56でコック20とスライド部50とを覆ったときに、スライド部50の上面と当接する位置に配置されている。このため、スライド部50のスライドを促進することができると共に、コック20が傾動することによって、スライド部50が回動する、すなわち上方側へ反り上がることを抑制することができる。
【0046】
コック作動部14は、タワーキャップ28aが取り外された蓋部28の蓋部本体28bに蝶ネジ34を介して連結される。このため、コック作動部14をタワー18に簡便に取り付けることができる。また、コック作動部14は、蓋部28の上方側、すなわち開口部30の上方側に取り付けることができる。このため、コック作動部14をタワー18に取り付けた場合であっても、開口部30を通じてホースユニット40を着脱することができる。これによって、飲料ディスペンサ10の洗浄に係る作業工数を低減した上で、飲料の注出作業を効率化することができる。
【0047】
図7には、制御部78及び受台部16を取り付けるためのサドル部80の斜視図を示す。サドル部80は、タワー18の外周形状に沿って形成されたサドル82と上下方向に沿って延在する板状に形成され、上端及び下端に上側フランジ85及び下側フランジ86を有するブラケットサドル84とをビス88で固定することによって、タワー18の開口部30の下方側に固定されている。
【0048】
図8に示すように、ブラケットサドル84の上側フランジ85と下側フランジ86との間には、制御部78が配置される。このように、制御部78及びサドル部80をタワー18に簡便に取り付けることができる。制御部78はケーブル90(図1及び図2参照)を介してコック作動部14と電気的に接続されている。このため、制御部78は、駆動機構52のモータ58を作動させ、スライド部50をスライドさせることができる。また、先に説明したように、安全カバー56のセンサと接続されており、安全カバー56が駆動機構52側へ回動されて、スライド部50とコック20とが露出していることをセンサ検知したときは、コック作動部14の作動を停止するように構成されている。さらに、制御部78は、図示しない音源を備えており、コック作動部14の動作途中に安全カバー56が外れ、スライド部50とコック20とが露出したときは、コック作動部14を停止させると共に、音源から警報を発出させるように構成されている。
【0049】
制御部78は、前方側、すなわち吐出部26側に傾斜ユニット92を備える。傾斜ユニット92は、制御部78の上面に配置され、溝94aが形成された一対の引掛部94を備える。また、図2に示すように、傾斜ユニット92は、引掛部94の下方側に回動可能に取り付けられた回動レバー96を備える。回動レバー96は、上下方向に延在する板状に形成されており、下端部が前方側へ向けて屈曲されている。また、回動レバー96は、上端部が制御部78内部に配置された図示しないモータと連結されている。このため、制御部78によってモータが作動され、回動レバー96を前方側、すなわち吐出部26の側へ向けて回動させることができる。また、制御部78は、このような回動レバー96の回動とコック作動部14のスライド部50のスライドとを連動させることができる。
【0050】
図9に示すように、傾斜ユニット92の前方側には、受台部16が取り付けられている。受台部16は、上下方向に沿って延在する板形状の縦板部98と、縦板部98の両側において一体で形成され、上下方向に沿って延在する一対のガイド部材100と、縦板部98の下方側において一対のガイド部材100に取り付けられ、飲用容器を載置する載置部102とを有する。載置部102は、水平方向に沿って延在する板状に形成され、飲用容器を載置する受皿104と、ガイド部材100の側で上下方向に沿って延在し、受皿104と一体で形成される縦部材106とを有する。載置部102は、ガイド部材100と縦部材106とに形成された穴に第1ピン108を差し込むことによって、ガイド部材100に対して固定することができる。このため、飲用容器の大きさに応じて載置部102の高さ位置を簡単に調節することができる。
【0051】
一対のガイド部材100は、上端に第2ピン110が取り付けられている。このため、ピン110を引掛部94の溝94aに引掛けることによって、受台部16を傾斜ユニット92に対して回動可能に取り付けることができる。このように、受台部16を制御部78に簡便に取り付けることができる。また、回動レバー96の下端部は、受台部16が傾斜ユニット92に取り付けられたときに縦板部98と当接するように形成されている。このため、回動レバー96を回動させることによって、引掛部94に取り付けられた受台部16を傾動させることができる。
【0052】
続いて、自動化機構12によるコック20の作動方法の説明を通じて、本実施形態に係る飲料ディスペンサ10の自動化機構12の作用及び効果を以下に説明する。
【0053】
図10(a)から図10(c)には、泡注出状態FS、スタンバイ状態SB、飲料注出状態DSにおけるコック20及びスライド部50の作動状態を示す。なお、説明のために、これらの図面において安全カバー56の描画を省略しているが、コック20は安全カバー56の内側で作動される。はじめに、図10(b)に示す飲料が注出されていないスタンバイ状態SBにおいて、ユーザが受皿104(図9参照)に飲用容器を載置し、自動化機構12を作動させる。つぎに、図10(c)に示すように、自動化機構12の制御部78は、コック作動部14を作動させて、コック20を飲料注出状態DSへと傾動させる。これによって、ホースユニット40から飲料が注出される。このとき、制御部78は、飲料に与える衝撃を抑制するために所定の角度だけ受台部16を傾ける。さらに、飲料が飲用容器に所定の量だけ注入されると、図10(a)に示すように、自動化機構12の制御部78は、コック作動部14を作動させて、コック20を泡注出状態FSへと傾動させる。これによって、ホースユニット40から泡が注出される。このとき、制御部78は、飲料に与える衝撃を抑制するために受台部16を飲料注出状態DSとは異なる角度に傾ける。ここで、所定の角度及び所定の量とは、飲料の成分及び温度並びに飲用容器のサイズ等によって最適値が決定される角度及び量をいう。
【0054】
本実施形態に係る飲料ディスペンサ10及び自動化機構12によれば、コック作動部14によって、コック20を作動させ、受台部16に載置された飲用容器に飲料を注入することができる。このため、ユーザがコック20を自ら作動することなく飲用容器に飲料を注入することができ、ユーザの作業工数を低減することができる。これによって、飲料の注出作業を効率化することができる。また、コック20を作動させるための自動化機構12のコック作動部14は、タワー18の開口部30よりも上方側において飲料ディスペンサ10に取り付けられている。さらに、飲料を注入するために飲用容器を載置する受台部16は、タワー18の開口部30よりも下方側にコック作動部14とは別個に飲料ディスペン10サに取り付けられている。このため、タワー18の開口部30を塞ぐ、又は、遮ることなく自動化機構12を飲料ディスペンサ10に取り付けることができる。これによって、自動化機構12が取り付けられた状態であっても、タワー18の内部を通して配置され、飲料容器と吐出部26とを接続するホースユニット40をタワー18の開口部30を通じて着脱することができる。これによって、飲料ディスペンサ10の洗浄に係る作業工数を低減した上で、飲料の注出作業を効率化することができる。
【0055】
また、本実施形態に係る飲料ディスペンサ10及び自動化機構12によれば、飲料ディスペンサ10の受台部16は傾動可能に構成されている。このため、飲料や泡を注出するときに飲用容器が載置された受台部16を傾斜させることができ、飲料に与える衝撃を抑制して飲料の風味を維持することができる。このように、ユーザが飲料を飲用容器に注入する際に行う調整作業を自動化機構12によって行うことができ、飲料の注出作業を効率化することができる。
【0056】
さらに、本実施形態に係る飲料ディスペンサ10及び自動化機構12によれば、自動化機構はコック作動部14と受台部16とを連動させる制御部78を備える。このため、コック作動部14によって飲用容器に飲料や泡を注入するタイミングに合わせて受台部16を傾動させることができ、飲料に与える衝撃を抑制して飲料の風味を維持することができる。このように、ユーザが飲料を飲用容器に注入する際に行う調整作業を自動化機構12によって行うことができ、飲料の注出作業を効率化することができる。
【0057】
また、本実施形態に係る飲料ディスペンサ10及び自動化機構12によれば、板形状のスライド部50の一方の端部に形成された挿通穴68にコック20の上部を嵌めることができる。スライド部50の他方の端部は連結部54とヒンジ連結され、連結部54は駆動機構52によって水平方向に沿ってスライドさせることができる。このため、スライド部50のスライドに合わせてコック20を傾斜させることができる。これによって、吐出部26を開閉して飲用容器に飲料を注入することができるため、飲料の注出作業を効率化することができる。
【0058】
さらに、本実施形態に係る飲料ディスペンサ10及び自動化機構12によれば、飲料ディスペンサ10のタワー18は、蓋部28側が開閉可能に構成されているため、開口部30からホースユニット40を取り出すことができる。また、コック作動部14は、タワー18の蓋部28側に取り付けられている。このため、自動化機構12が取り付けられた状態であっても、タワー18の開口部30を開けてホースユニット40を着脱することができる。これによって、飲料ディスペンサ10の洗浄に係る作業工数を低減した上で、飲料の注出作業を効率化することができる。
【0059】
以上の説明のとおり、本実施形態に係る飲料ディスペンサ10及び自動化機構12によって、飲料容器の飲料を飲用容器に注出する注出作業を効率化することができる。
【0060】
以上、飲料ディスペンサ10及び自動化機構12の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。当業者であれば、上記の実施形態の様々な変形が可能であることを理解できると考えられる。
【符号の説明】
【0061】
10 飲料ディスペンサ
12 自動化機構
14 コック作動部
16 受台部
18 タワー
20 コック
26 吐出部
28 蓋部(天面)
30 開口部
40 ホースユニット
50 スライド部
52 駆動機構
54 連結部
66 ヒンジ連結具(ヒンジ連結)
78 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10