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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173349
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】フック掛かり検知装置およびフック
(51)【国際特許分類】
   B66C 15/00 20060101AFI20231130BHJP
   B66C 1/36 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B66C15/00 M
B66C1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085536
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】河北 侑也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 尚希
(72)【発明者】
【氏名】市川 登志雄
【テーマコード(参考)】
3F004
3F204
【Fターム(参考)】
3F004AG09
3F004DA02
3F204AA01
3F204BA02
3F204CA05
3F204FA02
3F204FB01
3F204FC04
3F204FC05
3F204FC08
(57)【要約】
【課題】フック本体に簡易に取り付けることができ、フック本体への玉掛け用具の掛かり状態を適正に検知して、警報を発報することができるフック掛かり検知装置およびフックを提供する。
【解決手段】実施の形態によるフック掛かり検知装置は、フックのフック本体に着脱可能に取り付けられ、フック本体への玉掛け用具の掛かり状態を検知する。フック掛かり検知装置は、フック本体の先端部までの距離を測定する測距センサと、警報を発報可能な警報装置と、測距センサの測定値に基づいて、警報装置を制御する制御装置と、を備える。制御装置は、測距センサの測定値が閾値よりも小さい場合、警報を発報するように警報装置を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フックのフック本体に着脱可能に取り付けられ、前記フック本体への玉掛け用具の掛かり状態を検知するフック掛かり検知装置であって、
前記フック本体の先端部までの距離を測定する測距センサと、
警報を発報可能な警報装置と、
前記測距センサの測定値に基づいて、前記警報装置を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記測距センサの測定値が閾値よりも小さい場合、前記警報を発報するように前記警報装置を制御する、フック掛かり検知装置。
【請求項2】
前記測距センサは、超音波センサである、請求項1に記載のフック掛かり検知装置。
【請求項3】
前記測距センサは、光電センサである、請求項1に記載のフック掛かり検知装置。
【請求項4】
前記測距センサは、ミリ波センサである、請求項1に記載のフック掛かり検知装置。
【請求項5】
前記フック本体に対する前記フック掛かり検知装置の角度を調整可能な角度調整部材を備える、請求項1に記載のフック掛かり検知装置。
【請求項6】
前記フックは、クレーンに取り付けられるクレーンフックであり、
前記クレーンは、クレーン制御盤により制御され、
前記制御装置は、前記測距センサの前記測定値が閾値よりも小さい場合、前記クレーンの動作を停止させる指令信号を無線で送信する無線送信機を有し、
前記クレーン制御盤は、前記無線送信機により送信された前記指令信号を無線で受信する無線受信機を有し、
前記クレーン制御盤は、前記無線受信機で受信した前記指令信号に基づいて、前記クレーンの動作を停止するように前記クレーンを制御する、請求項1から5のいずれか一項に記載のフック掛かり検知装置。
【請求項7】
フック本体と、
前記フック本体に取り付けられた、請求項1に記載のフック掛かり検知装置と、を備える、フック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、フック掛かり検知装置およびフックに関する。
【背景技術】
【0002】
発電プラント等では、一般に、大型機器の搬入および搬出ができるように天井クレーンが設置されている。天井クレーンを用いて吊り荷を吊る際は、天井クレーンフックにワイヤロープやベルトスリング等の玉掛け用具を掛けて吊り荷を吊る。
【0003】
ここで、一般的な天井クレーンフックについて説明する。図10に示すように、天井クレーン101には、天井クレーンフック102が取り付けられている。天井クレーンフック102は、フック本体110と、外れ止め金具120と、を有する。フック本体110には、天井クレーン101を用いて吊り荷を吊る際に、ワイヤロープ103(玉掛け用具の一例)が掛けられる。外れ止め金具120は、ワイヤロープ103がフック本体110の先端部を乗り越えて外れてしまうことを防止する。通常、天井クレーン101を用いて吊り荷を吊る際は、ワイヤロープ103がフック本体110に正常に掛かっていることを目視で確認してから、クレーン作業(吊り作業)を実施する。
【0004】
しかしながら、この場合、目視確認の確認漏れが発生し、ワイヤロープ103が脱落するおそれがある。また、取付時にワイヤロープ103がフック本体110に正常に掛かっていた場合でも、ワイヤロープ103がフック本体110の先端部を乗り越えて脱落する知恵の輪現象という現象が知られている。知恵の輪現象とは、ワイヤロープ103に荷重が掛かっていないときにワイヤロープ103が立ち上がり、外れ止め金具120の上側に折り返された状態となり、この状態でワイヤロープ103に荷重が掛かることで、外れ止め金具120を押し開いてワイヤロープ103が外れてしまう現象である。
【0005】
このような知恵の輪現象によるワイヤロープの脱落を防止するために、外れ止め金具を押し開ける方向に力が加わった場合でも、外れ止め金具が開かないような機構を適用する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-34846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような外れ止め金具の適用は、既存の天井クレーンフックの改造を要し、コストの増大を招くおそれがある。
【0008】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、フック本体に簡易に取り付けることができ、フック本体への玉掛け用具の掛かり状態を適正に検知して、警報を発報することができるフック掛かり検知装置およびフックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施の形態によるフック掛かり検知装置は、フックのフック本体に着脱可能に取り付けられ、フック本体への玉掛け用具の掛かり状態を検知する。フック掛かり検知装置は、フック本体の先端部までの距離を測定する測距センサと、警報を発報可能な警報装置と、測距センサの測定値に基づいて、警報装置を制御する制御装置と、を備える。制御装置は、測距センサの測定値が閾値よりも小さい場合、警報を発報するように警報装置を制御する。
【0010】
また、実施の形態によるフックは、フック本体と、フック本体に取り付けられた、上述したフック掛かり検知装置と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フック本体に簡易に取り付けることができ、フック本体への玉掛け用具の掛かり状態を適正に検知して、警報を発報することができるフック掛かり検知装置およびフックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1の実施の形態による天井クレーンフックを示す側面図である。
図2図2は、図1に含まれる、第1の実施の形態によるフック掛かり検知装置を示す側面断面図である。
図3図3は、図1の天井クレーンフックにおいて、ワイヤロープの掛かり状態が正常でない状態を示す側面断面図である。
図4図4は、図1の正面図である。
図5図5は、図1の背面図である。
図6図6は、図5のフック掛かり検知装置を拡大して示す拡大背面図である。
図7図7は、第1の実施の形態による天井クレーンフックを用いて吊り作業を行う方法を説明するフローチャートである。
図8図8は、第2の実施の形態によるフック掛かり検知装置を示す側面断面図である。
図9図9は、第2の実施の形態による天井クレーンフックを用いて吊り作業を行う方法を説明するフローチャートである。
図10図10は、一般的な天井クレーンフックを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態によるフック掛かり検知装置およびフックについて説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
まず、図1図7を参照して、第1の実施の形態によるフック掛かり検知装置およびフックについて説明する。
【0015】
本実施の形態によるフックは、天井クレーン1に取り付けられる天井クレーンフック2である。天井クレーン1は、不図示のクレーン制御盤により制御されて、動作を行う。図1に示すように、天井クレーンフック2は、フック本体10と、外れ止め防止金具20と、フック掛かり検知装置30と、を備えていてもよい。
【0016】
フック本体10は、吊り荷を吊る際に、ワイヤロープ3やベルトスリング等の玉掛け用具が掛けられる部材である。図1に示す例においては、フック本体10にワイヤロープ3が掛けられている。図1に示すように、フック本体10は、かぎ形状を有している。フック本体10は、基端部11と、受部12と、先端部13と、を有している。基端部11は、天井クレーン1に取り付けられ、天井クレーン1から延び出た部分である。先端部13は、基端部11とは反対側に位置する端部である。先端部13は、先細状に形成されている。フック本体10は、基端部11から先端部13まで湾曲して延びており、側面視で斜め上方に開口している。受部12は、基端部11と先端部13との間に位置している。受部12は、U字状あるいはC字状に形成されている。この受部12に、玉掛け用具が掛けられる。
【0017】
図1に示すように、外れ止め防止金具20は、フック本体10の基端部11に揺動可能に軸支されている。より具体的には、外れ止め防止金具20の一端21(基端)が、フック本体10の基端部11に軸支ピン22によって軸支され、外れ止め防止金具20の他端23(先端)が、フック本体10の基端部11の側(右側)の内縁と先端部13の側(左側)の内縁との間で揺動するようになっている。軸支ピン22には、ねじりコイルばねが設けられている。ねじりコイルばねは、外れ止め防止金具20の他端23を先端部13の側に向けて付勢し、先端部13の内縁に押し当てている。これにより、外れ止め防止金具20に外力が加わっていない状態において、フック本体10の開口が外れ止め防止金具20によって塞がれ、玉掛け用具がフック本体10の先端部を乗り越えて外れてしまうことを防止することができる。また、フック本体10に玉掛け用具を掛けるときは、ねじりコイルばねの付勢力に抗して外れ止め防止金具20の他端23を基端部11の側に揺動させることで、フック本体10の開口から玉掛け用具を通過させることができる。
【0018】
図1図4および図5に示すように、フック掛かり検知装置30は、フック本体10に取り付けられている。フック掛かり検知装置30のフック本体10への取付構造については後述する。フック掛かり検知装置30は、フック本体10への玉掛け用具の掛かり状態を検知するように構成されている。図2に示すように、フック掛かり検知装置30は、筐体31と、測距センサ32と、警報装置33と、制御装置34と、バッテリー35と、を備えていてもよい。
【0019】
筐体31は、測距センサ32、警報装置33、制御装置34およびバッテリー35を格納するように構成されている。図2に示すように、筐体31は、中空の略直方体形状を有していてもよい。筐体31の測距センサ32が配置される側(図2における左側)の側面には、後述する送波器32aからの超音波の発信および後述する受波器32bによる超音波の受信ならびに後述するガイド用レーザ装置32cからのレーザ光の照射が可能なように、開口31aが設けられていてもよい。また、筐体31の後述する光発生装置33bに対向する部分(図2における中央部)には、光発生装置33bからの光が透過可能なように、透過性材料で構成された窓31bが設けられていてもよい。窓31bは、筐体31の短手方向における全周にわたって設けられていてもよい。
【0020】
測距センサ32は、フック本体10の先端部13までの距離を測定するように構成されている。図2に示す例においては、測距センサ32は、筐体31内の長手方向における一側(図2における左側)に配置されている。本実施の形態においては、測距センサ32は、超音波センサである。超音波センサは、超音波の発信および受信を行うことで距離を測定するセンサである。測距センサ32は、送波器32aと、受波器32bと、を有している。送波器32aは、超音波を発信するように構成されている。送波器32aの超音波発信口は、フック本体10の先端部13の側を向いている。送波器32aは、フック本体10の先端部13に向けて超音波を発信する。フック本体10の先端部13に到達した超音波は、フック本体10の先端部13で反射する。受波器32bは、超音波を受信するように構成されている。受波器32bの超音波受信口は、フック本体10の先端部13の側を向いている。受波器32bは、フック本体10の先端部13で反射した超音波を受信する。測距センサ32は、送波器32aから発信された超音波が受波器32bで受信されるまでの時間に基づいて、フック本体10の先端部13までの距離を測定してもよい。測距センサ32の測定値(取得時間および測定距離)は、後述する制御装置34に送信されてもよい。
【0021】
図2に示すように、測距センサ32に、ガイド用レーザ装置32cが設けられていてもよい。ガイド用レーザ装置32cは、レーザ光を照射するように構成されている。フック掛かり検知装置30のフック本体10への取付時には、ガイド用レーザ装置32cからレーザ光をフック本体10の先端部13に照射して、その反射光を視認することで、フック本体10に対するフック掛かり検知装置30の取付角度を調整してもよい。
【0022】
警報装置33は、警報を発報可能に構成されている。図2に示す例においては、警報装置33は、筐体31内の長手方向における中央部に配置されている。警報装置33は、音発生装置33aと、光発生装置33bと、を有していてもよい。音発生装置33aは、ブザー等の音を発生させるように構成されている。光発生装置33bは、点滅光や点灯光等の光を発生させるように構成されている。光発生装置33bからの光は、窓31bを介して外部から視認することができる。警報装置33は、音発生装置33aにより音を発生させるとともに、光発生装置33bにより光を発生させることで、警報を発報してもよい。
【0023】
制御装置34は、測距センサ32の測定値に基づいて、警報装置33を制御するように構成されている。図2に示す例においては、制御装置34は、筐体31内の長手方向において測距センサ32と警報装置33との間に配置されている。制御装置34は、少なくとも警報装置33を制御する。制御装置34は、測距センサ32も制御してもよい。制御装置34は、測距センサ32の動作および警報装置33の動作を制御してもよい。また、制御装置34は、測距センサ32の測定値(取得時間あるいは測定距離)が閾値よりも小さい場合、警報を発するように警報装置33を制御する。
【0024】
例えば、図1に示すように、フック本体10へのワイヤロープ3の掛かり状態が正常である場合、すなわちワイヤロープ3がフック本体10の受部12に正常に掛かっている場合、測距センサ32は、送波器32aから発信された超音波がフック本体10の先端部13で反射して受波器32bで受信されるまでの時間を正常に取得することができる。このため、測距センサ32は、フック本体10の先端部13までの距離を測定することができる。このときの取得時間あるいは測定距離を閾値に設定してもよい。
【0025】
一方、図3に示すように、フック本体10へのワイヤロープ3の掛かり状態が正常でない(異常である)場合もある。図3に示す例においては、ワイヤロープ3がフック本体10の受部12から離間して浮き上がっている。この場合、送波器32aから発信された超音波は、フック本体10の先端部13に到達する前に、ワイヤロープ3で反射して、受波器32bで受信され得る。このときの測距センサ32の取得時間は、ワイヤロープ3の掛かり状態が正常である場合の測距センサ32の取得時間よりも小さくなる。また、測定距離も、ワイヤロープ3の掛かり状態が正常である場合の測距センサ32の測定距離よりも小さくなる。このため、制御装置34は、測距センサ32の測定値(取得時間あるいは測定距離)が閾値よりも小さい場合、ワイヤロープ3の掛かり状態が異常であると判断することができ、警報装置33により警報を発報して異常を知らせることができる。
【0026】
また、図2に示すように、制御装置34を操作するための操作部36が設けられていてもよい。操作部36は、指令信号を制御装置34に無線で送信するように構成されている。操作部36は、電源スイッチ36aと、警報停止スイッチ36bと、を有していてもよい。
【0027】
電源スイッチ36aは、フック掛かり検知装置30を起動または停止するための操作ボタンである。フック掛かり検知装置30の停止時に電源スイッチ36aが操作された場合、操作部36は、フック掛かり検知装置30を起動させる指令信号を制御装置34に無線で送信する。制御装置34は、操作部36からの指令信号を受信し、その指令信号に基づいて、フック掛かり検知装置30を起動させて、測距センサ32および警報装置33を動作可能な状態にする。また、フック掛かり検知装置30の起動時に電源スイッチ36aが押された場合、操作部36は、フック掛かり検知装置30を停止させる指令信号を制御装置34に無線で送信する。制御装置34は、操作部36からの指令信号を受信し、その指令信号に基づいて、フック掛かり検知装置30を停止させて、測距センサ32および警報装置33を休止状態にする。
【0028】
警報停止スイッチ36bは、警報装置33の警報の発報を停止するための操作ボタンである。警報装置33の警報発報時に警報停止スイッチ36bが操作された場合、操作部36は、警報装置33の警報の発報を停止させる指令信号を制御装置34に無線で送信する。制御装置34は、操作部36からの指令信号を受信し、その指令信号に基づいて、警報装置33の警報の発報を停止させる。なお、警報装置33は、タイマー式であってもよく、警報の発報開始時から所定時間経過後に自動的に警報の発報が停止するようになっていてもよい。
【0029】
バッテリー35は、測距センサ32、警報装置33および制御装置34に電力を供給するように構成されている。図2に示す例においては、バッテリー35は、筐体31内の長手方向における他側(図2における右側)に配置されている。なお、フック掛かり検知装置30は、バッテリー35を備えていなくてもよく、外部電源から有線により電力が供給されてもよい。
【0030】
次に、図1図4図6を用いて、フック掛かり検知装置30のフック本体10への取付構造について説明する。
【0031】
フック掛かり検知装置30は、フック本体10に着脱可能に取り付けられる。図1図4および図5に示すように、フック掛かり検知装置30は、フック本体10の側面に取り付けられてもよい。フック掛かり検知装置30は、フック本体10の受部12中心(ワイヤロープ3が掛かる部分)よりも基端部11の側の位置に取り付けられる。
【0032】
図1図4図6に示すように、フック掛かり検知装置30は、サポート40により支持されてもよく、サポート40は、フック本体10に巻き付けられたバンド4によりフック本体10に取り付けられてもよい。サポート40は、金属材料で構成されていてもよい。なお、サポート40のうちフック掛かり検知装置30の筐体31の窓31bに対向する部分は、光発生装置33bからの光が透過可能なように、メッシュ材等で構成されていてもよい。バンド4は、伸縮性を有する弾性材料で構成されていてもよい。あるいは、バンド4は、伸縮性を有する弾性部を一部に有する繊維材料で構成されていてもよい。これにより、バンド4を伸長させた状態でフック本体10に巻き付けることができる。
【0033】
図6に示すように、サポート40には、取付リング41が設けられていてもよい。取付リング41にバンド4を挿通させることで、バンド4によりサポート40をフック本体10に固定することができる。また、フック掛かり検知装置30の筐体31の底面の四隅に、それぞれ脚部42が設けられていてもよく、サポート40の各脚部42に対応する位置に、脚部42を支持する支持部43が設けられていてもよい。各脚部42は、筐体31に対して取付ビス42aによりビス留めされて固定されてもよく、各支持部43は、サポート40に対して取付ビス42aによりビス留めされて固定されてもよい。
【0034】
また、図6に示すように、脚部42と支持部43との間に、角度調整部材44が設けられていてもよい。角度調整部材44は、フック本体10およびサポート40に対するフック掛かり検知装置30の角度を調整可能な部材である。角度調整部材44は、フック掛かり検知装置30を水平方向および垂直方向に角度調整することができる。フック掛かり検知装置30の取付時、ガイド用レーザ装置32cからのレーザ光がフック本体10の先端部13に照射されるように、角度調整部材44によりフック掛かり検知装置30の角度調整が行われる。そして、不図示の回り留めを締めて、フック掛かり検知装置30の角度を固定する。これにより、測距センサ32の送波器32aの超音波発信口および受波器32bの超音波受信口を、フック本体10の先端部13の側に向けることができる。
【0035】
次に、図7を用いて、上述したフック掛かり検知装置30を備える天井クレーンフック2を用いて吊り作業(クレーン作業)を行う方法について説明する。
【0036】
図7に示すように、まず、ステップS1において、操作部36の電源スイッチ36aを操作して、フック掛かり検知装置30を起動させる。これにより、測距センサ32の送波器32aから超音波が発信され、発信された超音波はフック本体10の先端部13で反射し、測距センサ32の受波器32bで受信される。これにより、送波器32aから発信された超音波が受波器32bで受信されるまでの時間tを取得することができる。この時間tは、測距センサ32により断続的に取得されてもよい。測距センサ32により取得された取得時間tは、随時、制御装置34に送信されてもよい。制御装置34は、フック掛かり検知装置30の起動時に取得したこの取得時間tを閾値αとして設定することができる。
【0037】
次に、ステップS2において、玉掛け作業を実施する。この玉掛け作業では、フック本体10に、吊り荷を吊るためのワイヤロープ3を掛ける。フック本体10にワイヤロープ3を掛ける際、外れ止め防止金具20の他端23を基端部11の側に揺動させ、フック本体10の開口からワイヤロープ3を通過させる。ここで、送波器32aから発信された超音波は、ワイヤロープ3で反射して、受波器32bで受信される。このときの測距センサ32の取得時間tは、閾値αよりも小さくなる。このため、ステップS3において、制御装置34により警報装置33が制御されて、警報が発報される。次に、ステップS4において、操作部36の警報停止スイッチ36bを操作して、警報装置33の警報の発報を停止させる。このステップS2およびステップS3の工程を実施することにより、フック掛かり検知装置30が正常に動作することを確認することができる。
【0038】
次に、ステップS5において、吊り操作(クレーン操作)を実施する。吊り操作では、不図示のクレーン制御盤により天井クレーン1を制御して、天井クレーン1を動作させる。これにより、天井クレーンフック2にワイヤロープ3を介して吊るされた吊り荷を移動させることができる。ここで、この吊り作業の間にも、測距センサ32により取得時間tが取得され、制御装置34に送信され続ける。
【0039】
次に、ステップS6において、制御装置34により、測距センサ32により取得された取得時間tが閾値αよりも小さいか否かが判定される。取得時間tが閾値αよりも小さいと判定された場合(ステップS6におけるYes)、ワイヤロープ3の掛かり状態が異常であると判断され、ステップS7において、制御装置34により警報装置33が制御されて、警報が発報される。次に、ステップS8において、ワイヤロープ3の掛かり状態を確認する。ここで、ワイヤロープ3の掛かり状態が異常であった場合は、フック本体10にワイヤロープ3を掛け直し、ワイヤロープ3の掛かり状態を正常にする。この際、不図示のクレーン制御盤により天井クレーン1を制御して、天井クレーン1の動作を停止させてもよい。次に、ステップS9において、操作部36の警報停止スイッチ36bを操作して、警報装置33の警報の発報を停止させる。その後、再びステップS5において、吊り操作を実施する。
【0040】
ステップS6において、取得時間tが閾値α以上であると判定された場合(ステップS6におけるNo)、ステップS10において、吊り操作を継続する。ここでも、測距センサ32による時間tの取得および取得時間tの制御装置34への送信は継続され、ステップS5~ステップS9の工程が繰り返し実施される。その後、吊り荷の所望の場所への移動が完了した場合、ステップS11において、吊り作業を終了する。
【0041】
なお、上述した例においては、ステップS6において、測距センサ32により取得された取得時間tが閾値αよりも小さいか否かが判定されているが、このことに限られることはなく、例えば、測距センサ32により測定された測定距離が閾値よりも小さいか否かが判定されてもよい。この場合、閾値として、フック掛かり検知装置30の起動時に測定された測定距離が設定されてもよい。
【0042】
このように本実施の形態によれば、制御装置34は、測距センサ32の測定値が閾値よりも小さい場合、警報を発するように警報装置33を制御する。このことにより、フック本体10へのワイヤロープ3の掛かり状態が異常である場合、その異常を検知することができ、警報装置33により警報を発報してその異常を知らせることができる。また、フック掛かり検知装置30は、フック本体10に着脱可能に取り付けられるため、天井クレーンフック2の改造は不要であり、コストの増大も抑制することができる。このように本実施の形態によれば、フック本体10に簡易に取り付けることができ、フック本体10への玉掛け用具の掛かり状態を適正に検知して、警報を発報することができるフック掛かり検知装置30およびフックを提供することができる。
【0043】
また、本実施の形態によれば、測距センサ32は、超音波センサである。超音波センサの超音波は、ある程度の広がりを持ってフック本体10の先端部13に照射されることができる。このことにより、フック掛かり検知装置30のフック本体10への取付時、超音波センサの超音波発信口および超音波受信口をフック本体10の先端部13の側に向ける際、フック掛かり検知装置30の厳密な位置合わせを不要にすることができる。このため、フック掛かり検知装置30のフック本体10への取り付けを容易化することができる。
【0044】
また、本実施の形態によれば、フック本体10に対するフック掛かり検知装置30の角度を調整可能な角度調整部材44を備えている。このことにより、フック掛かり検知装置30のフック本体10への取付時、角度調整部材44によりフック掛かり検知装置30の角度を調整することで、超音波センサの超音波発信口および超音波受信口をフック本体10の先端部13の側に容易に向けることができる。このため、フック掛かり検知装置30のフック本体10への取り付けを容易化することができる。
【0045】
(第2の実施の形態)
次に、図8および図9を参照して、第2の実施の形態によるフック掛かり検知装置およびフックについて説明する。
【0046】
図8および図9に示す第2の実施の形態においては、制御装置は、測距センサの測定値が閾値よりも小さい場合、クレーンの動作を停止させる指令信号を無線で送信する無線送信機を有し、クレーン制御盤は、無線送信機により送信された指令信号を無線で受信する無線受信機を有し、クレーン制御盤は、無線受信機で受信した指令信号に基づいて、クレーンの動作を停止するようにクレーンを制御する点が主に異なり、他の構成は、図1図7に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図8および図9において、図1図7に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0047】
本実施の形態においては、図8に示すように、制御装置34は、無線送信機34aを有している。無線送信機34aは、測距センサ32の測定値に基づいて、天井クレーン1の動作を停止させる指令信号を無線で送信する。より具体的には、無線送信機34aは、測距センサ32の測定値(取得時間あるいは測定距離)が閾値よりも小さい場合、天井クレーン1の動作を停止させる指令信号を無線で送信する。この閾値は、制御装置34が警報を発報するように警報装置33を制御する際の閾値と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0048】
また、本実施の形態においては、図8に示すように、クレーン制御盤50は、無線受信機50aを有している。無線受信機50aは、無線送信機34aにより送信された指令信号を無線で受信する。すなわち、測距センサ32の測定値が閾値よりも小さい場合、制御装置34の無線送信機34aにより天井クレーン1の動作を停止させる指令信号が無線で送信され、無線受信機50aは、その指令信号を受信する。クレーン制御盤50は、無線受信機50aで受信した指令信号に基づいて、天井クレーン1の動作を停止するように天井クレーン1を制御する。
【0049】
本実施の形態による天井クレーンフック2を用いて吊り作業を行う方法においては、図9に示すように、ステップS6において、取得時間tが閾値αよりも小さいと判定された場合(ステップS6におけるYes)、ステップS7において、制御装置34により警報装置33が制御されて警報が発報されるとともに、ステップS20において、クレーン制御盤50により天井クレーン1が制御されて天井クレーン1の動作が停止する。すなわち、ステップS20においては、制御装置34の無線送信機34aにより天井クレーン1の動作を停止させる指令信号が無線で送信され、クレーン制御盤50の無線受信機50aによりその指令信号が受信される。そして、クレーン制御盤50により、その受信した指令信号に基づいて、天井クレーン1の動作が停止するように天井クレーン1が制御される。
【0050】
このように本実施の形態によれば、制御装置34は、測距センサ32の測定値が閾値よりも小さい場合、天井クレーン1の動作を停止させる指令信号を無線で送信する無線送信機34aを有し、クレーン制御盤50は、無線送信機34aにより送信された指令信号を無線で受信する無線受信機50aを有し、クレーン制御盤50は、無線受信機50aで受信した指令信号に基づいて、天井クレーン1の動作を停止するように天井クレーン1を制御する。このことにより、フック本体10へのワイヤロープ3の掛かり状態が異常であると判定された場合、天井クレーン1の動作を直ちに自動的に停止させることができる。このため、フック本体10へのワイヤロープ3の掛かり状態が異常であるまま、吊り操作が継続されることを回避することができ、吊り操作の安全性を高めることができる。
【0051】
(その他の実施の形態)
上述した実施の形態においては、フックが天井クレーンフックである例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、天井クレーンフック以外のフックにも適用することができる。例えば、フックは、屋外で使用するフックであってもよく、フック掛かり検知装置30は、このような屋外で使用するフックに取り付けられてもよい。
【0052】
また、上述した実施の形態においては、測距センサ32が超音波センサである例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、分解能、周波数、強度、計測距離等の条件を満たせば、どのような測距センサを用いてもよい。
【0053】
例えば、測距センサ32は、光電センサであってもよい。光電センサは、可視光や赤外線等の光の発信および受信を行うことで距離を測定するセンサである。光電センサの光は、フック本体10の先端部13に局所的に照射されることができる。このため、フック本体10に対するフック掛かり検知装置30の正確な位置合わせを可能にし、フック本体10の先端部13までの距離を精密に測定することができる。
【0054】
また例えば、測距センサ32は、ミリ波センサであってもよい。ミリ波センサは、30GHz~300GHzの周波数帯の電磁波の発信および受信を行うことで距離を測定するセンサである。例えば、フックが屋外で使用するフックである場合、フック掛かり検知装置30の測距センサ32として、天候に左右されにくい耐環境性能に優れたミリ波センサを用いることにより、雨、雪、霧等の環境下での誤検知を防止することができる。
【0055】
以上述べた実施の形態によれば、フック本体に簡易に取り付けることができ、フック本体への玉掛け用具の掛かり状態を適正に検知して、警報を発報することができるフック掛かり検知装置およびフックを提供することができる。
【0056】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1:天井クレーン、2:天井クレーンフック、3:ワイヤロープ、10:フック本体、13:先端部、30:フック掛かり検知装置、32:測距センサ、33:警報装置、34:制御装置、34a:無線送信機、50:クレーン制御盤、50a:無線受信機
図1
図2
図3
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図5
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図10