(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173356
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】傘
(51)【国際特許分類】
A45B 25/06 20060101AFI20231130BHJP
A45B 9/02 20060101ALI20231130BHJP
A45B 15/00 20060101ALI20231130BHJP
A45B 25/02 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
A45B25/06 B
A45B9/02 C
A45B15/00
A45B25/02 Z
A45B25/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085546
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】594137960
【氏名又は名称】株式会社ゴールドウイン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(72)【発明者】
【氏名】野中 研二
(72)【発明者】
【氏名】寺内 智之
【テーマコード(参考)】
3B104
【Fターム(参考)】
3B104AA01
3B104AA02
3B104AA04
3B104AA06
3B104AA07
3B104AA10
(57)【要約】
【課題】分解及び組み立てが可能な傘において、下ろくろに対して複数の受骨を着脱することを容易にすることが可能な傘を提供する。
【解決手段】傘において、複数の受骨の各々は、一方の端部に受骨係止突起部を備える。下ろくろ5は、下ろくろ本体部材5-1と、下ろくろ本体部材の下側に設けられた下ろくろ補助部材5-2と、下ろくろ本体部材と下ろくろ補助部材との連結を固定する連結固定部材5-3と、を備える。下ろくろ本体部材5-1は、その上側の端部に設けられ、複数の受骨における複数の受骨係止突起部を下から挿入可能な複数の受骨係止溝部5-1aを含んでいる。下ろくろ補助部材5-2は、その上側の端部が下ろくろ本体部材の下側の端部と重なるように連結可能である。連結固定部材5-3は、下ろくろ5に対して着脱可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中棒と、石突と、上ろくろと、下ろくろと、複数の親骨と、複数のダボと、複数の受骨と、傘生地と、を具備する分解可能な傘であり、
前記複数の受骨の各々は、一方の端部に受骨係止突起部を備え、
前記下ろくろは、
下ろくろ本体部材と、
前記下ろくろ本体部材の下側に設けられた下ろくろ補助部材と、
前記下ろくろ本体部材と前記下ろくろ補助部材との連結を固定する連結固定部材と、
を備え、
前記下ろくろ本体部材は、その上側の端部に設けられ、前記複数の受骨における複数の前記受骨係止突起部を下から挿入可能な複数の受骨係止溝部(5-1a)を含み、
前記下ろくろ補助部材は、その上側の端部が前記下ろくろ本体部材の下側の端部と重なるように連結可能であり、
前記連結固定部材は、下ろくろに対して着脱可能である、
傘。
【請求項2】
前記下ろくろ本体部材は、
下側の部分に設けられ、前記中棒側に向って貫通する本体側孔部(5-1e)と、を含み、
前記下ろくろ補助部材は、
上側の部分に設けられ、前記中棒側に向って貫通する補助側孔部(5-2e)、を含み、
前記連結固定部材は、前記下ろくろ本体部材と前記下ろくろ補助部材が連結され、前記本体側孔部と前記補助側孔部とが重なった状態で、前記本体側孔部及び前記補助側孔部の一方から他方へ挿入され連結を固定する延出部(5-3a)を含む、
請求項1に記載の傘。
【請求項3】
前記連結固定部材は、
前記下ろくろ補助部材の外周面に沿うように延在する一対の連結固定部材本体(5-3b)と、
前記一対の連結固定部材本体の一方の端部同士を連結する弾性部(5-3c)と、
を更に含み、
前記延出部(5-3a)は、前記一対の連結固定部材本体の少なくとも一方における他方の端部に位置し、前記中棒に向って延設されている、
請求項2に記載の傘。
【請求項4】
前記複数の親骨の各々は、一方の端部に親骨係止突起部を備え、
前記石突は、蓋部と、前記蓋部に延設され、先細り状の突出部と、を備え、
前記上ろくろは、
上側の端部に設けられ、前記複数の親骨における複数の前記親骨係止突起部を上から挿入可能な複数の親骨係止溝部と、
上側の端部の上面に設けられ、前記突出部が挿入されて、前記石突が結合される挿入部と、
を備え、
前記弾性部(5-3c)は、前記下ろくろ補助部材の外周面との間に隙間を形成しつつ、前記一対の連結固定部材本体の一方の端部同士を連結し、
前記突出部は、前記弾性部が前記下ろくろ補助部材の外周面との間に形成する隙間に挿入可能である、
請求項3に記載の傘。
【請求項5】
前記傘生地における前記複数のダボの各々に対向する位置に取り付けられた傘生地側係止部材を更に具備し、
前記複数のダボの各々は、前記傘生地側係止部材に対向する部分にダボ側係止部を備え、
前記ダボ側係止部と前記傘生地側係止部材とが係止又は非係止することにより、前記傘生地を前記親骨に対して着脱する、
請求項1又は2に記載の傘。
【請求項6】
中棒と、石突と、上ろくろと、下ろくろと、複数の親骨と、複数のダボと、複数の受骨と、傘生地と、を具備する分解可能な傘であり、
前記傘生地における前記複数のダボの各々に対向する部分に取り付けられた傘生地側係止部材を更に具備し、
前記複数のダボの各々は、前記傘生地に対向する部分にダボ側係止部を備え、
前記ダボ側係止部と前記傘生地側係止部材とが係止又は非係止することにより、前記傘生地を前記親骨に対して着脱する、
傘。
【請求項7】
前記ダボ側係止部は、メス型の係止部であり、
前記傘生地側係止部材は、オス型の係止部である、
請求項6に記載の傘。
【請求項8】
前記ダボ側係止部は、
当該ダボの内部に設けられた空間と、
当該ダボの表面から前記空間に貫通する開口部と、を有し、
前記開口部において、第1方向の開口部第1長さは、前記第1方向に垂直な第2方向の開口部第2長さよりも長く、
前記空間において、前記第1方向及び第2方向の空間第1長さ及び空間第2長さは、前記開口部第1長さよりも長く、
前記傘生地側係止部材は、
前記傘生地に回転自在に接合される接合部と、
前記接合部に連結された細長部と、を含み、
前記細長部の長手方向の長さは、前記開口部第1長さよりも短く、前記開口部第2長さよりも長い、
請求項6又は7に記載の傘。
【請求項9】
前記複数の受骨の各々は、一方の端部に受骨係止突起部を備え、
前記下ろくろは、
下ろくろ本体部材と、
前記下ろくろ本体部材の下側に設けられ、上側の端部が前記下ろくろ本体部材の下側の端部と重なるように連結可能な下ろくろ補助部材と、
前記下ろくろ本体部材と前記下ろくろ補助部材との連結を固定する、前記下ろくろに対して着脱可能な連結固定部材と、
を備える、
請求項6又は7に記載の傘。
【請求項10】
前記傘は、折り畳み傘である、
請求項1又は6に記載の傘。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傘に関し、特に分解可能な傘に関する。
【背景技術】
【0002】
分解及び組み立てが可能な傘が知られている。例えば、特許文献1には、中棒と、上ろくろと、石突と、下ろくろと、上ろくろ側端部に係止突起を備えた親骨と、下ろくろ側端部に係止突起を備えた受骨と、傘生地と、からなる分解組立自在傘が開示されている。この分解組立自在傘では、上ろくろは、石突側を上にした状態で、親骨の端部の係止突起を上から挿入して下から支え端部を含む親骨が回動自在となるよう係止する親骨係止溝と、親骨係止溝から親骨端部が上抜けすることを防止するために親骨係止溝の上に端部を含む親骨を回動自在にふさぐねじ込み着脱自在な親骨抜抑止部と、を有している。下ろくろは、石突側を下にした状態で、受骨の端部の係止突起を上から挿入して下から支え端部を含む受骨が回動自在となるよう係止する受骨係止溝と、受骨係止溝から受骨端部が上抜けすることを防止するために受骨係止溝の上に端部を含む受骨を回動自在にふさぐねじ込み着脱自在な受骨抜抑止部と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
分解組み立てが可能な傘は、一部の部品が破損しても、その部品を自分で交換することができる。それゆえ、そのような傘は、末永く使用されることになるので、結果として、廃棄される傘の本数の低減に貢献でき、持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)にも合致する。
【0005】
特許文献1では、中棒を囲む円環状の下ろくろには、その周面に沿って複数の受骨係止溝が等間隔に配置されている。下ろくろに複数の受骨を取り付けるときには、まず、複数の受骨係止溝の各々に、複数の受骨の各々の端部を差し込む。そして、複数の受骨係止溝の上を円環状の受骨抜抑止部で覆う。これらの工程により、複数の受骨の各々の端部が複数の受骨係止溝の各々に回動自在に固定され、下ろくろに複数の受骨が取り付けられる。一方、下ろくろから複数の受骨を取り外すときには、取り付けの工程を逆に行えばよい。
【0006】
ここで、複数の受骨係止溝の上を受骨抜抑止部で覆うとき、受骨抜抑止部は下ろくろに固定されるが、その固定は、ネジ機構で行われる。すなわち、下ろくろにオネジ構造が設けられ、受骨抜抑止部にメネジ構造が設けられ、両者が螺合することで、受骨抜抑止部は、下ろくろに固定される。
【0007】
したがって、下ろくろへの複数の受骨の着脱の作業には、受骨抜抑止部を所定の向きに回転させてネジ部分を結合させたり、所定の向きと逆の向きに回転させてネジ部分を取り外したりする操作が必要となる。そのため、着脱の作業が煩雑となるおそれがある。よって、下ろくろに複数の受骨を着脱する構造には改善の余地がある。
【0008】
また、特許文献1では、傘生地の中心部を上ろくろと石突とで挟み、かつ、傘生地の端部に結合された複数の露先の各々に複数の親骨の各々を係止することで、傘生地を傘に固定している。すなわち、傘生地を親骨に縫い付けや接着などで固定していない。
【0009】
そのため、傘を閉じたときには、石突と露先との間で、傘生地が親骨から離れてしまう可能性がある。そうなると、傘が開かないようにするためのベルトを締めたとしても、石突と露先との間の傘生地が、外側に膨らんでしまい、外部のものに引っ掛かって破けたり傷ついたりするおそれがある。そうかといって、石突と露先との間で、傘生地を親骨に縫合や接着などで固定すると、傘生地を親骨から着脱し難くなるおそれがある。よって、石突と露先との間で傘生地を親骨に着脱する構造には改善の余地がある。
【0010】
本発明の目的は、分解及び組み立てが可能な傘において、下ろくろに対して複数の受骨を着脱することを容易にすることが可能な傘を提供することにある。また、本発明の別の目的は、分解及び組み立てが可能な傘において、石突と露先との間で傘生地を親骨に対して着脱することを容易にすることが可能な傘を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様の傘は、中棒と、石突と、上ろくろと、下ろくろと、複数の親骨と、複数のダボと、複数の受骨と、傘生地と、を具備する分解可能な傘であり、前記複数の受骨の各々は、一方の端部に受骨係止突起部を備え、前記下ろくろは、下ろくろ本体部材と、前記下ろくろ本体部材の下側に設けられた下ろくろ補助部材と、前記下ろくろ本体部材と前記下ろくろ補助部材との連結を固定する連結固定部材と、を備え、前記下ろくろ本体部材は、その上側の端部に設けられ、前記複数の受骨における複数の前記受骨係止突起部を下から挿入可能な複数の受骨係止溝部を含み、前記下ろくろ補助部材は、その上側の端部が前記下ろくろ本体部材の下側の端部と重なるように連結可能であり、前記連結固定部材は、下ろくろに対して着脱可能である、傘、である。
【0012】
本発明の他の態様の傘は、中棒と、石突と、上ろくろと、下ろくろと、複数の親骨と、複数のダボと、複数の受骨と、傘生地と、を具備する分解可能な傘であり、前記傘生地における前記複数のダボの各々に対向する部分に取り付けられた傘生地側係止部材を更に具備し、前記複数のダボの各々は、前記傘生地に対向する部分にダボ側係止部を備え、前記ダボ側係止部と前記傘生地側係止部材とが係止又は非係止することにより、前記傘生地を前記親骨に対して着脱する、傘、である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、分解及び組み立てが可能な傘において、下ろくろに対して複数の受骨を着脱することを容易にすることが可能な傘を提供することができる。また、本発明によれば、分解及び組み立てが可能な傘において、石突と露先との間で傘生地を親骨に対して着脱することを容易にすることが可能な傘を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る傘の構成例を示す模式図である。
【
図2】実施形態に係る傘の石突の構成例を示す上面図及び正面図である。
【
図3】実施形態に係る傘の上ろくろの構成例を示す斜視図である。
【
図4】実施形態に係る傘の下ろくろの構成例を示す斜視図である。
【
図5】実施形態に係る下ろくろの連結固定部材の構成例を示す上面図である。
【
図6】実施形態に係る傘のダボの構成例を示す斜視図である。
【
図7】実施形態に係る傘の傘生地側係止部材の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の開示は、具体的には以下の態様に関する。
[態様1]
中棒と、石突と、上ろくろと、下ろくろと、複数の親骨と、複数のダボと、複数の受骨と、傘生地と、を具備する分解可能な傘であり、前記複数の受骨の各々は、一方の端部に受骨係止突起部を備え、前記下ろくろは、下ろくろ本体部材と、前記下ろくろ本体部材の下側に設けられた下ろくろ補助部材と、前記下ろくろ本体部材と前記下ろくろ補助部材との連結を固定する連結固定部材と、を備え、前記下ろくろ本体部材は、その上側の端部に設けられ、前記複数の受骨における複数の前記受骨係止突起部を下から挿入可能な複数の受骨係止溝部を含み、前記下ろくろ補助部材は、その上側の端部が前記下ろくろ本体部材の下側の端部と重なるように連結可能であり、前記連結固定部材は、下ろくろに対して着脱可能である、傘。
【0016】
本態様の傘は、上記構成を有している。そのため、以下のような工程により、下ろくろに対して受骨を容易に着脱できる。
下ろくろから受骨を取り外す工程としては、まず、下ろくろから連結固定部材を取り外す。それにより、下ろくろ本体部と下ろくろ補助部との連結の固定を開放できる。次いで、下ろくろ補助部材を下側に移動させて、下ろくろ本体部材から下ろくろ補助部材を取り外す。それにより、下ろくろの複数の受骨係止溝部が下ろくろ補助部材で覆われなくなるので、複数の受骨係止溝部に挿入された複数の受骨における複数の受骨係止突起部を下方に取り外すことができる。
一方、下ろくろに受骨を取り付ける工程としては、まず、下ろくろの複数の受骨係止溝部に、複数の受骨における複数の受骨係止突起部を挿入して、下ろくろ本体部材の下側の端部に下ろくろ補助部材の上側の端部を連結する。それにより、下ろくろの複数の受骨係止溝部を下ろくろ補助部材で覆うことができる。次いで、連結固定部材を下ろくろに取り付ける。それにより、下ろくろ本体部材と下ろくろ補助部材との連結が固定される。そのとき、複数の受骨係止溝部が下ろくろ補助部材で覆われるので、複数の受骨係止溝部に挿入された複数の受骨係止突起部が下方に外れないようにすることができる。
【0017】
[態様2]
前記下ろくろ本体部材は、下側の部分に設けられ、前記中棒側に向って貫通する本体側孔部と、を含み、前記下ろくろ補助部材は、上側の部分に設けられ、前記中棒側に向って貫通する補助側孔部、を含み、前記連結固定部材は、前記下ろくろ本体部材と前記下ろくろ補助部材が連結され、前記本体側孔部と前記補助側孔部とが重なった状態で、前記本体側孔部及び前記補助側孔部の一方から他方へ挿入され連結を固定する延出部を含む、態様1に記載の傘。
【0018】
本態様の傘は、上記構成を有している。そのため、下ろくろから受骨を取り外す工程において、下ろくろの連結固定部材を取り外すとき、本体側孔部及び補助側孔部へ延出していた連結固定部材の延出部を、本体側孔部及び補助側孔部から引き抜く。それにより、下ろくろ本体部と下ろくろ補助部との連結の固定を容易に開放できる。
一方、下ろくろに受骨を取り付ける工程において、下ろくろ本体部材の下側の端部に、下ろくろ補助部材の上側の端部を連結した後、連結固定部材を下ろくろ補助部材に取り付けるとき、連結固定部材の延出部を、本体側孔部及び補助側孔に挿入し貫通させる。それにより、下ろくろ本体部と下ろくろ補助部との連結を容易に固定できる。
【0019】
[態様3]
前記連結固定部材は、前記下ろくろ補助部材の外周面に沿うように延在する一対の連結固定部材本体と、前記一対の連結固定部材本体の一方の端部同士を連結する弾性部と、を更に含み、前記延出部は、前記一対の連結固定部材本体の少なくとも一方における他方の端部に位置し、前記中棒に向って延設されている、態様2に記載の傘。
【0020】
本態様の傘は、上記構成を有している。そのため、下ろくろから受骨を取り外す工程において、一対の連結固定部材本体を互いに遠ざかるように主に弾性部材を変形させることで、より容易に、本体側孔部及び補助側孔部へ延出していた延出部を、本体側孔部及び補助側孔部から引き抜くことができる。
一方、下ろくろに受骨を取り付ける工程において、下ろくろ本体部材の下側の端部に、下ろくろ補助部材の上側の端部を連結した後、一対の連結固定部材本体を互いに遠ざかるように主に弾性部材を変形させつつ、連結固定部材を下ろくろ補助部材の外周面に配置することで、より容易に、連結固定部材の延出部を本体側孔部及び補助側孔部に挿入することができる。
【0021】
[態様4]
前記複数の親骨の各々は、一方の端部に親骨係止突起部を備え、前記石突は、蓋部と、前記蓋部に延設され、先細り状の突出部と、を備え、前記上ろくろは、上側の端部に設けられ、前記複数の親骨における複数の前記親骨係止突起部を上から挿入可能な複数の親骨係止溝部と、上側の端部の上面に設けられ、前記突出部が挿入されて、前記石突が結合される挿入部と、を備え、前記弾性部は、前記下ろくろ補助部材の外周面との間に隙間を形成しつつ、前記一対の連結固定部材本体の一方の端部同士を連結し、前記突出部は、前記弾性部が前記下ろくろ補助部材の外周面との間に形成する隙間に挿入可能である、態様3に記載の傘。
【0022】
本態様の傘は、上記構成を有している。そのため、以下のような工程により、上ろくろに対して親骨を容易に着脱できる。
上ろくろから親骨を取り外す工程としては、上ろくろ本体部から、石突を取り外す。それにより、上ろくろの複数の親骨係止溝部が石突の蓋部で覆われなくなるので、複数の親骨係止溝部に挿入された複数の親骨における複数の親骨係止突起部を上方に取り外すことができる。
一方、上ろくろに親骨を取り付ける工程としては、上ろくろの複数の親骨係止溝部に、複数の親骨における複数の親骨係止突起部を挿入する。そして、上ろくろ本体部の結合孔部に、石突の突起部を挿入して、上ろくろと石突を結合させる。それにより、石突が上ろくろの上に装着される。そのとき、複数の親骨係止溝部が石突の蓋部で覆われるので、複数の親骨係止溝部に挿入された複数の親骨係止突起部が上方に外れないようにすることができる。
また、本態様の傘は、上記構成を有している。そのため、下ろくろから受骨を取り外す工程において、取り外された石突の突出部の先端を、下ろくろの弾性部が下ろくろ補助部材の外周面との間に形成する隙間に挿入し、弾性部を変形させることができる。それにより、一対の連結固定部材本体を互いに遠ざかるように変形させて、本体側孔部及び補助側孔部に挿入されていた延出部を、より容易に、本体側孔部及び補助側孔部から引き抜くことができる。
【0023】
[態様5]
前記傘生地における前記複数のダボの各々に対向する位置に取り付けられた傘生地側係止部材を更に具備し、前記複数のダボの各々は、前記傘生地側係止部材に対向する部分にダボ側係止部を備え、前記ダボ側係止部と前記傘生地側係止部材とが係止又は非係止することにより、前記傘生地を前記親骨に対して着脱する、態様1又は2に記載の傘。
【0024】
本態様の傘は、上記構成を有している。そのため、下ろくろに対して受骨を容易に着脱でき、上ろくに対して親骨を容易に着脱できると共に、以下のような工程により、石突と露先との間で傘生地を親骨に対して容易に着脱できる。
傘生地をダボから取り外す工程としては、ダボを固定しつつ、傘生地の傘生地側係止部材とダボのダボ側係止部とを離解させる(非係止させる)。それにより、傘生地(傘生地側係止部材)をダボ(ダボ側係止部)から取り外すことができる。
傘生地をダボに取り付ける工程としては、ダボを固定しつつ、傘生地の傘生地側係止部材とダボのダボ側係止部とを係止させる(係止させる)。それにより、傘生地(傘生地側係止部材)をダボ(ダボ側係止部)に取り付けることができる。
【0025】
[態様6]
中棒と、石突と、上ろくろと、下ろくろと、複数の親骨と、複数のダボと、複数の受骨と、傘生地と、を具備する分解可能な傘であり、前記傘生地における前記複数のダボの各々に対向する部分に取り付けられた傘生地側係止部材を更に具備し、前記複数のダボの各々は、前記傘生地に対向する部分にダボ側係止部を備え、前記ダボ側係止部と前記傘生地側係止部材とが係止又は非係止することにより、前記傘生地を前記親骨に対して着脱する、傘。
【0026】
本態様の傘は、上記構成を有している。そのため、以下のような工程により、石突と露先との間で傘生地を親骨に対して容易に着脱できる。
傘生地をダボから取り外す工程としては、ダボを固定しつつ、傘生地の傘生地側係止部材とダボのダボ側係止部とを離解させる(非係止させる)。それにより、傘生地(傘生地側係止部材)をダボ(ダボ側係止部)から取り外すことができる。
傘生地をダボに取り付ける工程としては、ダボを固定しつつ、傘生地の傘生地側係止部材とダボのダボ側係止部とを係止させる(係止させる)。それにより、傘生地(傘生地側係止部材)をダボ(ダボ側係止部)に取り付けることができる。
【0027】
[態様7]
前記ダボ側係止部は、メス型の係止部であり、前記傘生地側係止部材は、オス型の係止部である、態様6に記載の傘。
【0028】
本態様の傘において、ダボ側係止部がオス型の係止部である場合、係止部のオス部分(突出部分)が、ダボに接する傘生地に引っ掛かってしまい、傘生地を傷つけたり破いたりするおそれがある。そこで、本傘では、ダボ側係止部をメス型の係止部としている。それにより、傘生地を、より損傷させ難くしながら、傘生地を親骨に対して容易に着脱させることができる。
【0029】
[態様8]
前記ダボ側係止部は、当該ダボの内部に設けられた空間と、当該ダボの表面から前記空間に貫通する開口部と、を有し、前記開口部において、第1方向の開口部第1長さは、前記第1方向に垂直な第2方向の開口部第2長さよりも長く、前記空間において、前記第1方向及び第2方向の空間第1長さ及び空間第2長さは、前記開口部第1長さよりも長く、前記傘生地側係止部材は、前記傘生地に回転自在に接合される接合部と、前記接合部に連結された細長部と、を含み、前記細長部の長手方向の長さは、前記開口部第1長さよりも短く、前記開口部第2長さよりも長い、態様6又は7に記載の傘。
【0030】
本態様の傘は、上記構成を有している。そのため、以下のような工程により、より容易に、石突と露先との間で傘生地を親骨に対して着脱できる。
傘生地を親骨のダボから取り外す工程としては、親骨のダボを固定しつつ、傘生地側係止部材の接合部をつまんで適当な角度回転させて、傘生地側係止部材の細長部の長手方向を、ダボ側係止部の開口部の第1方向に合致させる。そして、長手方向の長さが開口部第1長さよりも短い細長部を、開口部から引き抜く。それにより、傘生地(傘生地側係止部材)を親骨のダボ(ダボ側係止部)から取り外すことができる。
傘生地を親骨のダボに取り付ける工程としては、親骨のダボを固定しつつ、傘生地側係止部材の接合部をつまんで適当な角度回転させて、傘生地側係止部材の細長部の長手方向を、ダボ側係止部の開口部の第1方向に合致させる。次いで、長手方向の長さが開口部第1長さよりも短い細長部を、開口部に挿入する。そして、接合部を再び適当な角度回転させて、傘生地側係止部材の細長部の長手方向を、ダボ側係止部の開口部の第1方向からずらして、細長部を開口部から引き抜けない状態にする。それにより、傘生地(傘生地側係止部材)を親骨のダボ(ダボ側係止部)に取り付けることができる。
【0031】
[態様9]
前記複数の受骨の各々は、一方の端部に受骨係止突起部を備え、前記下ろくろは、下ろくろ本体部材と、前記下ろくろ本体部材の下側に設けられ、上側の端部が前記下ろくろ本体部材の下側の端部と重なるように連結可能な下ろくろ補助部材と、前記下ろくろ本体部材と前記下ろくろ補助部材との連結を固定する、前記下ろくろに対して着脱可能な連結固定部材と、を備える、態様6又は7に記載の傘。
【0032】
本態様の傘は、上記構成を有している。そのため、石突と露先との間で傘生地を親骨に対して容易に着脱できると共に、以下のような工程により、下ろくろに対して受骨を容易に着脱できる。
下ろくろから受骨を取り外す工程としては、まず、下ろくろから連結固定部材を取り外す。それにより、下ろくろ本体部と下ろくろ補助部との連結の固定を開放できる。次いで、下ろくろ補助部材を下側に移動させて、下ろくろ本体部材から下ろくろ補助部材を取り外す。それにより、下ろくろの複数の受骨係止溝部が下ろくろ補助部材で覆われなくなるので、複数の受骨係止溝部に挿入された複数の受骨における複数の受骨係止突起部を下方に取り外すことができる。
一方、下ろくろに受骨を取り付ける工程としては、まず、下ろくろの複数の受骨係止溝部に、複数の受骨における複数の受骨係止突起部を挿入して、下ろくろ本体部材の下側の端部に下ろくろ補助部材の上側の端部を連結する。それにより、下ろくろの複数の受骨係止溝部を下ろくろ補助部材で覆うことができる。次いで、連結固定部材を下ろくろに取り付ける。それにより、下ろくろ本体部材と下ろくろ補助部材との連結が固定される。そのとき、複数の受骨係止溝部が下ろくろ補助部材で覆われるので、複数の受骨係止溝部に挿入された複数の受骨係止突起部が下方に外れないようにすることができる。
【0033】
[態様10]
前記傘は、折り畳み傘である、態様1又は6に記載の傘。
【0034】
折り畳み傘は、使用の前後で、開いた状態から折り畳んだり、折り畳んだ状態から開いたりするプロセスが必要であるため、通常の傘と比較して部品が壊れる可能性が高い。そこで、本態様の傘は、折り畳み傘であるが、上記のように、下ろくろ又はダボが特定の構成を有している。それにより、下ろくろに対して複数の受骨を容易に着脱でき、又は、石突と露先との間で傘生地を親骨に対して容易に着脱できる。
【0035】
以下、実施形態に係る分解可能な傘1について、図面を参照して説明する。ただし、本発明の傘1は、下記の実施形態の構成に制限されることはなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜他の技術に対する組み合わせや代替、変更等が可能である。なお、傘1の種類は特に限定されず、折り畳み傘であってもよい。
【0036】
まず、傘1の全体的な構成について説明する。
図1は、実施形態に係る分解可能な傘1の構成例を示す模式図である。傘1は、中棒2と、石突3と、上ろくろ4と、下ろくろ5と、複数の親骨6と、複数のダボ7と、複数の受骨8と、傘生地9と、とを具備しており、本実施形態では、傘生地側係止部材10と、上はじき11と、露先12と、下はじき13と、玉留14と、手先15とを更に具備している。なお、傘1において、「上下方向V」とは、中棒2の中心軸と同じ方向とし、「周方向H」とは、上下方向Vに垂直、かつ、中棒2と中心軸を同じにする円筒における周面に沿った方向とし、「径方向R」とは、上下方向Vに垂直、かつ、中棒2と中心軸を同じにする円筒における径の方向とする。「平面視」とは、対象物を上下方向Vの上側から見ることをいう。上下方向Vの上方/上側とは、手先15から石突3へ向かう方向/側であり、下方/下側とは、石突3から手先15へ向かう方向/側である。「側面視」とは、対象物を径方向Rの外側から見ることをいう。径方向Rの内方/内側とは、相対的に中棒2(の中心軸)に向う方向/側であり、外方/外側とは、相対的に中棒2(の中心軸)と反対に向かう方向/側である。これら各方向は、傘1全体だけでなく、傘1が具備する各構成についても同様に適用する。
【0037】
傘1における上記の各構成のうち、中棒2、複数の親骨6、複数の受骨8、傘生地9と、上はじき11、露先12、下はじき13、玉留14、及び手先15の構成については、特に制限はなく、従来知られた構成を用いることができる。
【0038】
図2は実施形態に係る傘1の石突3の構成例を示す図であり、
図2(a)は上面図、
図2(b)は正面図である。石突3は、傘生地9の中心を上ろくろ4に固定すると共に、上ろくろ4に設置された複数の親骨6が上ろくろ4から外れないようにする治具である。石突3は、上下方向Vの上側に設けられた蓋部3aと、下側に設けられた突出部3bとを備えている。
【0039】
蓋部3aは、例えば、略円板の形状を有している。ただし、蓋部3aの形状は、この例に限定されるものではなく、略円錐形、略円錐台形、略紡錘形、略球形など、任意の他の形状を有していてもよい。
【0040】
突出部3bは、蓋部3aにおける上下方向Vの下側の面に、下側に向かう方向に延設されており、先細りの形状を有している。本実施形態では、突出部3bは、上下方向Vの上側の部分が、蓋部3aよりも小さな半径を有する円柱状であり、その外周面にネジが切ってあり、オネジとして機能し、下側の部分が、下側に尖った円錐状である。
【0041】
図3は実施形態に係る傘1の上ろくろ4の構成例を示す斜視図である。上ろくろ4は、中棒2の上下方向Vの上端に位置し、複数の親骨6の一方の端部を回転自在に保持すると共に、傘生地9の中心を石突3と共に挟持し、固定する治具である。上ろくろ4は、上下方向Vの上側に設けられた上側部分4cと、下側に設けられた下側部分4dとを備えている。
【0042】
上側部分4cは、略円板又は略円柱の形状を有している。下側部分4dは、上側部分4cよりも径の小さな略円板又は略円柱の形状を有し、中棒2が挿入される断面円形の凹部4fが下側に設けられている。上側部分4cと下側部分4dと凹部とは中心軸が重なっている(同軸である)。上ろくろ4は、上側部分4c(上ろくろ4の上側の端部)に設けられた複数の親骨係止溝部4aと、上側部分4c(上ろくろ4の上側の端部)の上面に設けられた挿入部4bと、を備えている。
【0043】
複数の親骨係止溝部4aは、複数の親骨6と同じ数だけ、上側部分4cにおける外周面に沿って(周方向Hに沿って)間隔を空けて形成されている。各親骨係止溝部4aは、複数の親骨6の各々における一方の端部に備えられた親骨係止突起部(図示されず)を、上下方向Vの上側から挿入可能な溝である。各親骨係止溝部4aは、挿入された各親骨6の親骨係止突起部を、回転自在に保持する。
【0044】
挿入部4bは、上側部分4cの上面の中心に一つ形成された。石突3の突出部3bが挿入可能な孔部である。挿入部4bに突出部3bが挿入され、結合することで、石突3が上ろくろ4に結合される。挿入部4bと突出部3bとの結合の仕方には、特に制限はないが、例えば、突出部3bが挿入部4bに篏合される篏合構造や、係止される係止構造や、螺合される螺合構造が挙げあれる。本実施形態では、挿入部4bが円形断面を有し、その内周面には、ネジが切ってあり、メネジとして機能する。それゆえ、突出部3bのオネジとして機能する部分と、挿入部4bのメネジとして機能する部分とが螺合して、結合する。
【0045】
ここで、親骨6を上ろくろ4に固定するには、まず、親骨6の親骨係止突起部を親骨係止溝部4a内に挿入する。次いで、上ろくろ4に傘生地9を被せ、石突3の突出部3bを上ろくろ4の挿入部4bに挿入し、石突3を上ろくろ4に結合する。その結果、親骨係止溝部4aを蓋部3aで覆うことができる。それにより、親骨6の親骨係止突起部を、親骨係止溝部4a内に、回転自在な状況を維持しつつ、閉じ込めることができる。すなわち、親骨係止突起部が親骨係止溝部4aから抜けないようにすることができ、親骨6を上ろくろ4に固定できる。親骨6を上ろくろ4から取り外すときには、上記工程を逆に行う。
【0046】
なお、親骨6を上ろくろ4に固定する際、傘生地9の中心部の孔部(図示されず)を石突3の突出部3bで貫通し、石突3を上ろくろ4に結合することで、傘生地9を上ろくろ4と石突3とで挟持して、傘生地9の位置を固定できる。
【0047】
図4及び
図5は実施形態に係る傘1の下ろくろ5の構成例を示す斜視図である。
図4が下ろくろ本体部材5-1及び下ろくろ補助部材5-2(後述)を示し、
図5が連結固定部材5-3(後述)を示す。下ろくろ5は、中棒2の外周面の一部を囲みつつ、その外周面上を上下方向Vにスライド可能に保持され、複数の受骨8の一方の端部を回転自在に保持する治具である。下ろくろ5は、下ろくろ5の上下方向Vの上側の位置する下ろくろ本体部材5-1と、下ろくろ本体部材5-1の上下方向Vの下側に設けられた下ろくろ補助部材5-2と、下ろくろ本体部材5-1と下ろくろ補助部材5-2との連結を固定する連結固定部材5-3と、を備えている。
【0048】
図4を参照して、下ろくろ本体部材5-1は、上下方向Vの上側に設けられた本体上側部分5-1cと、下側に設けられた本体下側部分5-1dと、を含んでいる。本体上側部分5-1cは、略円板又は略円柱の形状を有する。本体下側部分5-1dは、本体上側部分5-1cよりも径の小さな略円板又は略円柱の形状を有している。本体上側部分5-1c及び本体下側部分5-1dは、中棒2が挿入される断面円形の貫通孔5-1fを有している。本体上側部分5-1cと本体下側部分5-1dと貫通孔5-1fとは中心軸が重なっている(同軸である)。
【0049】
下ろくろ本体部材5-1は、本体上側部分5-1c(下ろくろ本体部材5-1の上側の端部)に設けられた複数の受骨係止溝部5-1aと、本体下側部分5-1d(下ろくろ本体部材5-1の下側の部分)に設けられ、その外周面から中棒2側に向って貫通する本体側孔部5-1eと、を含んでいる。本体側孔部5-1eは、一つでもよいし、複数でもよい。本実施形態では二個であり、中棒2を挟んで互いに反対側の位置に設けられている。
【0050】
複数の受骨係止溝部5-1aは、複数の受骨8と同じ数だけ、本体上側部分5-1cにおける外周面に沿って(周方向Hに沿って)間隔を空けて形成されている。各受骨係止溝部5-1aは、複数の受骨8の各々における一方の端部に備えられた受骨係止突起部(図示されず)を、上下方向Vの下側から挿入可能な溝である。各受骨係止溝部5-1aは、挿入された各受骨8の受骨係止突起部を、回転自在に保持する。
【0051】
下ろくろ補助部材5-2は、上下方向Vの上側の端部に設けられた補助上側部分5-2cと、その下側に設けられた補助下側部分5-2dと、を含んでいる。補助上側部分5-2cは、略円板又は略円柱の形状を有する。補助下側部分5-2dは、補助上側部分5-2cよりも径の小さな略円板又は略円柱の形状を有する部分と、その下側の部分とを有している。補助上側部分5-2c及び補助下側部分5-2dは、中棒2が挿入される断面円形の貫通孔5-2fを有している。補助上側部分5-2cと補助下側部分5-2dと貫通孔5-2fとは中心軸が重なっている(同軸である)。
【0052】
下ろくろ補助部材5-2は、その上側の端部(補助上側部分5-2c及び補助下側部分5-2dの上側の部分)が下ろくろ本体部材5-1の下側の端部(本体下側部分5-1d)と重なるように連結可能である。本実施形態では、補助上側部分5-2c及び補助下側部分5-2dの上側の部分が外側に、本体下側部分5-1dが内側に位置して、補助上側部分5-2c及び補助下側部分5-2dの上側の部分が本体下側部分5-1dの外側に重なるように連結されている。ただし、その逆に、本体下側部分5-1dが補助上側部分5-2c及び補助下側部分5-2dの上側の部分の外側に重なるように連結されてもよい(その場合、連結固定部材5-3は補助下側部分5-2dではなく本体下側部分5-1dに結合される)。
【0053】
下ろくろ補助部材5-2は、補助下側部分5-2d(下ろくろ補助部材5-2の上側の部分)に設けられ、その外周面から中棒2側に向って貫通する補助側孔部5-2eを含んでいる。補助側孔部5-2eは、本体側孔部5-1eと同数であれば、一つでもよいし、複数でもよい。本実施形態では二個であり、中棒2を挟んで互いに反対側の位置に設けられている。補助側孔部5-2eは、下ろくろ本体部材5-1と下ろくろ補助部材5-2とが連結されたとき、径方向Rに、本体側孔部5-1eと重なる位置に形成されている。
【0054】
図5を参照して、連結固定部材5-3は、下ろくろ5(の下ろくろ補助部材5-2)に対して着脱可能である。本実施形態では、連結固定部材5-3は、延出部5-3aと、一対の連結固定部材本体5-3bと、弾性部5-3cと、を含んでいる。
【0055】
一対の連結固定部材本体5-3bは、連結固定部材5-3が下ろくろ補助部材5-2(補助下側部分5-2dの上側の部分)に取り付けられたとき、下ろくろ補助部材5-2の外周面に沿うように延在する。
【0056】
弾性部5-3cは、一対の連結固定部材本体5-3bの一方の端部同士を連結する。本実施形態では、弾性部5-3cは、下ろくろ補助部材5-2(補助下側部分5-2dの上側の部分)の外周面との間に隙間5-3dを形成しつつ、一対の連結固定部材本体5-3bの一方の端部同士を連結する。その弾性部5-3cが下ろくろ補助部材5-2(補助下側部分5-2dの上側の部分)の外周面との間に形成する隙間5-3dには、石突3の突出部3bを挿入可能である。
【0057】
延出部5-3aは、一対の連結固定部材本体5-3bの少なくとも一方における他方の端部に位置し、中棒2に向って(径方向Rに)延設されている。本実施形態では、延出部5-3aは、一対の連結固定部材本体5-3bの両方における他方の端部に位置している。すなわち、二個形成されている。
【0058】
連結固定部材5-3は、下ろくろ本体部材5-1と下ろくろ補助部材5-2とを以下のようにして固定する。まず、下ろくろ本体部材5-1と下ろくろ補助部材5-2とを連結して、本体側孔部5-1eと補助側孔部5-2eとが(径方向Rに)重なった状態にする。次いで、一対の連結固定部材本体5-3bの他方の端部同士を互いに離間しつつ、一対の連結固定部材本体5-3bを補助下側部分5-2dの上側の部分に、その外周面に沿って配置する。それにより、一対の連結固定部材本体5-3bの他方の端部の延出部5-3aが補助側孔部5-2e側から補助側孔部5-2e及び本体側孔部5-1eへ挿入される。それにより、下ろくろ本体部材5-1と下ろくろ補助部材5-2との連結が固定される。なお、これは補助上側部分5-2cが外側に、本体下側部分5-1dが内側に位置する場合であるが、本体下側部分5-1dが外側に、補助上側部分5-2cが内側に位置する場合には、延出部5-3aは、本体側孔部5-1e側から挿入される。
【0059】
ここで、受骨8を下ろくろ5に固定するには、まず、受骨8の受骨係止突起部を、下ろくろ本体部材5-1の受骨係止溝部5-1a内に挿入する。次いで、下ろくろ補助部材5-2の上側の端部(補助上側部分5-2c及び補助下側部分5-2dの上側の部分)を下ろくろ本体部材5-1の下側の端部(本体下側部分5-1d)に重なるように連結する。そして、連結固定部材5-3の延出部5-3aを補助側孔部5-2e及び本体側孔部5-1eへ挿入することにより、その下ろくろ補助部材5-2と下ろくろ本体部材5-1との連結を固定する。その結果、受骨係止溝部5-1aを補助上側部分5-2cで覆うことができる。それにより、受骨8の受骨係止突起部を、受骨係止溝部5-1a内に、回転自在な状況を維持しつつ、閉じ込めることができる。すなわち、受骨係止溝部5-1aから受骨係止突起部が抜けないようにすることができ、受骨8を下ろくろ5に固定できる。
【0060】
一方、受骨8を下ろくろ5から取り外すときには、まず、石突3を上ろくろ4から取り外す。次いで、連結固定部材5-3の弾性部5-3cと下ろくろ補助部材5-2(補助下側部分5-2dの上側の部分)の外周面との間に形成された隙間5-3dに、石突3の突出部3bを押し込む。その結果、弾性部5-3cが径方向Rの外側に押し出され、下ろくろ補助部材5-2から離間されて、延出部5-3aが補助側孔部5-2e及び本体側孔部5-1eから引き抜かれる。すなわち、連結固定部材5-3が下ろくろ補助部材5-2から取り外される。それにより、下ろくろ補助部材5-2と下ろくろ本体部材5-1との連結の固定が解消される。次いで、下ろくろ補助部材5-2の上側の端部(補助上側部分5-2c及び補助下側部分5-2dの上側の部分)と、下ろくろ本体部材5-1の下側の端部(本体下側部分5-1d)とを離間させる。そして、受骨8の受骨係止突起部を、下ろくろ本体部材5-1の受骨係止溝部5-1aから取り外す。なお、連結固定部材5-3を下ろくろ補助部材5-2から取り外すとき、石突3を用いず、他の細長い部材を用いてもよいし、弾性部5-3cが十分に大きければ、手を用いてもよい。
【0061】
図6は、実施形態に係る傘1のダボの構成例を示す斜視図である。複数のダボ7の各々は、複数の親骨6の各々に対応して設けられている。ダボ7は、親骨6の途中に位置し、親骨6と受骨8とを結合させつつ、傘生地9を固定する治具である。ダボ7は、ダボ側係止部7aと、親骨結合部7d、7fと、受骨結合部7eと、を備えている。
【0062】
ダボ側係止部7aは、傘生地に対向する部分に設けられており、傘生地9に取り付けられた傘生地側係止部材10(後述)と係止可能である。本実施形態では、ダボ側係止部7aは、メス型の係止部であり、ダボ7の内部に設けられた空間7cと、ダボ7の表面から空間7cに貫通する開口部7bと、を有している。したがって、空間7cは、開口部7bを介して、傘生地側係止部材10を受け入れ可能になっている。ただし、メス型の係止部とは、オス型の係止部を挿入された後、メス型の係止部とオス型の係止部とが何らかの手段で係止される構造をいう。
【0063】
ここで、開口部7bにおいて、
図6の第1方向X1の開口部第1長さは、第1方向X1に垂直な第2方向X2の開口部第2長さよりも長い。すなわち、開口部7bは、第1方向X1に長い形状を有している。また、空間7cにおいて、第1方向X1及び第2方向の空間第1長さ及び空間第2長さは、開口部第1長さよりも長い。なお、第1方向X1及び第2方向X2は任意の方向であるが、本実施形態では、第1方向X1はダボ7の長手方向である。
【0064】
親骨結合部7fは、親骨6の先端側(又は石突側)が回転可能に結合される。親骨結合部7dは、親骨6の石突側(又は先端側)が結合される。受骨結合部7eは、受骨8が回転可能に結合される。
【0065】
図7は、実施形態に係る傘1の傘生地側係止部材10の構成例を示す斜視図である。傘生地側係止部材10は、傘生地9における複数のダボ7の各々に対向する部分に取り付けられ、傘生地9をダボ7に固定する治具である。傘生地側係止部材10は、細長部10aと、接合部10bと、を備えている。
【0066】
細長部10aは、接合部10bに連結されており、ダボ側係止部7aと係止可能である。本実施形態では、細長部10aは、オス型の係止部であり、細長い円筒形状を有している。したがって、空間7cは、長手方向に長い形状を有している。細長部10aの長手方向の長さは、開口部7bの第1方向X1の開口部第1長さよりも短く、第2方向X2の開口部第2長さよりも長い。
【0067】
接合部10bは、環状の構造を有しており、その環の内側に紐などの部材を通しつつ、その紐などの部材を傘生地9に接合することにより、傘生地側係止部材10を傘生地9に取り付けることができる。そのような取り付け方法としては、例えば、接合部10bの環に糸などを通しつつ傘生地9と縫合する方法や、接合部10bの環を通した紐などの部材を傘生地9へ結合させる方法などが挙げられ、その結合の方法としては、例えば、接着剤による接着や、面ファスナーによる結合などが挙げられる。
【0068】
ここで、傘生地9(傘生地側係止部材10)をダボ7に取り付けるときには、傘生地側係止部材10の細長部10aの長手方向を第1方向X1と略平行にする。それにより、細長部10aをダボ7の開口部7bに挿入可能な状態にできる。次いで、細長部10aを開口部7b介して空間7cに挿入する。そして、細長部10aを略90°回転させて、第2方向X2と略平行にする。それにより、細長部10aを開口部7bから引き抜けない状態にできる。その結果、ダボ側係止部7aと傘生地側係止部材10とを係止された状態にすることができる。すなわち、傘生地9(傘生地側係止部材10)をダボ7に取り付けることができる。ダボ7から傘生地9(傘生地側係止部材10)を外すには、上記工程を逆に行う。
【0069】
なお、傘1の各構成に用いる部材は、特に制限されるものではなく、傘に使用可能な公知の材料から適宜選択して用いることができる。
【0070】
本実施形態の傘は、中棒2と、石突3と、上ろくろ4と、下ろくろ5と、複数の親骨6と、複数のダボ7と、複数の受骨8と、傘生地9と、とを具備する分解可能な傘であり、前記複数の受骨8の各々は、一方の端部に受骨係止突起部を備え、前記下ろくろ5は、下ろくろ本体部材5-1と、前記下ろくろ本体部材5-1の下側に設けられた下ろくろ補助部材5-2と、前記下ろくろ本体部材5-1と前記下ろくろ補助部材5-2との連結を固定する連結固定部材5-3と、を備え、前記下ろくろ本体部材5-1は、その上側の端部に設けられ、前記複数の受骨8における複数の前記受骨係止突起部を下から挿入可能な複数の受骨係止溝部5-1aを含み、前記下ろくろ補助部材5-2は、その上側の端部が前記下ろくろ本体部材5-1の下側の端部と重なるように連結可能であり、前記連結固定部材5-3は、下ろくろ5に対して着脱可能である。
【0071】
その場合、以下のような工程により、下ろくろ5に対して受骨8を容易に着脱できる。すなわち、下ろくろ5から受骨8を取り外す工程としては、まず、下ろくろ5から連結固定部材5-3を取り外す。それにより、下ろくろ本体部材5-1と下ろくろ補助部材5-2との連結の固定を開放できる。次いで、下ろくろ補助部材5-2を下側に移動させて、下ろくろ本体部材5-1から下ろくろ補助部材5-2を取り外す。それにより、下ろくろ5の複数の受骨係止溝部5-1aが下ろくろ補助部材5-2で覆われなくなるので、複数の受骨係止溝部5-1aに挿入された複数の受骨8における複数の受骨係止突起部を下方に取り外すことができる。
【0072】
一方、下ろくろ5に受骨8を取り付ける工程としては、まず、下ろくろ5の複数の受骨係止溝部5-1aに、複数の受骨8における複数の受骨係止突起部を挿入して、下ろくろ本体部材5-1の下側の端部に下ろくろ補助部材5-2の上側の端部を連結する。それにより、下ろくろ5の複数の受骨係止溝部5-1aを下ろくろ補助部材5-2で覆うことができる。次いで、連結固定部材5-3を下ろくろ5に取り付ける。それにより、下ろくろ本体部材5-1と下ろくろ補助部材5-2との連結が固定される。そのとき、複数の受骨係止溝部5-1aが下ろくろ補助部材5-2で覆われるので、複数の受骨係止溝部5-1aに挿入された複数の受骨係止突起部が下方に外れないようにすることができる。
【0073】
本実施形態では、前記下ろくろ本体部材5-1は、下側の部分に設けられ、前記中棒2側に向って貫通する本体側孔部5-1eと、を含み、前記下ろくろ補助部材5-2は、上側の部分に設けられ、前記中棒2側に向って貫通する補助側孔部5-2e、を含み、前記連結固定部材5-3は、前記下ろくろ本体部材5-1と前記下ろくろ補助部材5-2が連結され、前記本体側孔部5-1eと前記補助側孔部5-2eとが重なった状態で、前記本体側孔部5-1e及び前記補助側孔部5-2eの一方から他方へ挿入され連結を固定する延出部5-3aを含んでいてもよい。
【0074】
その場合、下ろくろ5から受骨8を取り外す工程において、下ろくろ5の連結固定部材5-3を取り外すとき、本体側孔部5-1e及び補助側孔部5-2eへ延出していた連結固定部材5-3の延出部5-3aを、本体側孔部5-1e及び補助側孔部5-2eから引き抜く。それにより、それにより、下ろくろ本体部材5-1と下ろくろ補助部材5-2との連結の固定を容易に開放できる。一方、下ろくろ5に受骨8を取り付ける工程において、下ろくろ本体部材5-1の下側の端部に、下ろくろ補助部材5-2の上側の端部を連結した後、連結固定部材5-3を下ろくろ補助部材5-2に取り付けるとき、連結固定部材5-3の延出部5-3aを、本体側孔部5-1e及び補助側孔部5-2eに挿入し貫通させる。それにより、下ろくろ本体部材5-1と下ろくろ補助部材5-2との連結を容易に固定できる。
【0075】
本実施形態では、前記連結固定部材5-3は、前記下ろくろ補助部材5-2の外周面に沿うように延在する一対の連結固定部材本体5-3bと、前記一対の連結固定部材本体5-3bの一方の端部同士を連結する弾性部5-3cと、を更に含み、前記延出部5-3aは、前記一対の連結固定部材本体5-3bの少なくとも一方における他方の端部に位置し、前記中棒2に向って延設されていてもよい。
【0076】
その場合、下ろくろ5から受骨8を取り外す工程において、一対の連結固定部材本体5-3bを互いに遠ざかるように主に弾性部5-3cを変形させることで、より容易に、本体側孔部5-1e及び補助側孔部5-2eへ延出していた延出部5-3aを、本体側孔部5-1e及び補助側孔部5-2eから引き抜くことができる。一方、下ろくろ5に受骨8を取り付ける工程において、下ろくろ本体部材5-1の下側の端部に、下ろくろ補助部材5-2の上側の端部を連結した後、一対の連結固定部材本体5-3bを互いに遠ざかるように主に弾性部5-3cを変形させつつ、連結固定部材5-3を下ろくろ補助部材5-2の外周面に配置することで、より容易に、連結固定部材5-3の延出部5-3aを本体側孔部5-1e及び補助側孔部5-2eに挿入することができる。
【0077】
本実施形態では、前記複数の親骨6の各々は、一方の端部に親骨係止突起部を備え、前記石突3は、蓋部3aと、前記蓋部3aに延設され、先細り状の突出部3bと、を備え、前記上ろくろ4は、上側の端部に設けられ、前記複数の親骨6における複数の前記親骨係止突起部を上から挿入可能な複数の親骨係止溝部4aと、上側の端部の上面に設けられ、前記突出部3bが挿入されて、前記石突3が結合される挿入部4bと、を備え、前記弾性部5-3cは、前記下ろくろ補助部材5-2の外周面との間に隙間を形成しつつ、前記一対の連結固定部材本体5-3bの一方の端部同士を連結し、前記突出部3bは、前記弾性部5-3cが前記下ろくろ補助部材5-2の外周面との間に形成する隙間に挿入可能であってもよい。
【0078】
その場合、上記構成を有している。そのため、以下のような工程により、上ろくろに対して親骨6を容易に着脱できる。上ろくろ4から親骨6を取り外す工程としては、上ろくろ本体部から、石突3を取り外す。それにより、上ろくろ4の複数の親骨係止溝部4aが石突3の蓋部3aで覆われなくなるので、複数の親骨係止溝部4aに挿入された複数の親骨6における複数の親骨係止突起部を上方に取り外すことができる。
【0079】
一方、上ろくろ4に親骨6を取り付ける工程としては、上ろくろ4の複数の親骨係止溝部4aに、複数の親骨6における複数の親骨係止突起部を挿入する。そして、上ろくろ本体部の結合孔部に、石突3の突起部を挿入して、上ろくろ4と石突3を結合させる。それにより、石突3が上ろくろ4の上に装着される。そのとき、複数の親骨係止溝部4aが石突3の蓋部3aで覆われるので、複数の親骨係止溝部4aに挿入された複数の親骨係止突起部が上方に外れないようにすることができる。
【0080】
また、本態様の傘は、上記構成を有している。そのため、下ろくろ5から受骨8を取り外す工程において、取り外された石突3の突出部3bの先端を、下ろくろ5の弾性部5-3cが下ろくろ補助部材5-2の外周面との間に形成する隙間に挿入し、弾性部5-3cを変形させることができる。それにより、一対の連結固定部材本体5-3bを互いに遠ざかるように変形させて、本体側孔部5-1e及び補助側孔部5-2eに挿入されていた延出部5-3aを、より容易に、本体側孔部5-1e及び補助側孔部5-2eから引き抜くことができる。
【0081】
本実施形態では、前記傘生地9における前記複数のダボ7の各々に対向する位置に取り付けられた傘生地側係止部材10を更に具備し、前記複数のダボ7の各々は、前記傘生地側係止部材10に対向する部分にダボ側係止部7aを備え、前記ダボ側係止部7aと前記傘生地側係止部材10とが係止又は非係止することにより、前記傘生地9を前記親骨6に対して着脱してもよい。
【0082】
その場合、下ろくろ5に対して受骨8を容易に着脱でき、上ろくろに対して親骨6を容易に着脱できると共に、以下のような工程により、石突3と露先との間で傘生地9を親骨6に対して容易に着脱できる。傘生地9を親骨6のダボ7から取り外す工程としては、親骨6のダボ7を固定しつつ、傘生地9の傘生地側係止部材10とダボ7のダボ側係止部7aとを離解させる非係止させる。それにより、傘生地側係止部材10を親骨6のダボ側係止部7aから取り外すことができる。傘生地9を親骨6のダボ7に取り付ける工程としては、親骨6のダボ7を固定しつつ、傘生地9の傘生地側係止部材10とダボ7のダボ側係止部7aとを係止させる係止させる。それにより、傘生地側係止部材10を親骨6のダボ側係止部7aに取り付けることができる。
【0083】
本実施形態では、中棒2と、石突3と、上ろくろ4と、下ろくろ5と、複数の親骨6と、複数のダボ7と、複数の受骨8と、傘生地9と、とを具備する分解可能な傘であり、前記傘生地9における前記複数のダボ7の各々に対向する部分に取り付けられた傘生地側係止部材10を更に具備し、前記複数のダボ7の各々は、前記傘生地9に対向する部分にダボ側係止部7aを備え、前記ダボ側係止部7aと前記傘生地側係止部材10とが係止又は非係止することにより、前記傘生地9を前記親骨6に対して着脱してもよい。
【0084】
その場合、以下のような工程により、石突3と露先との間で傘生地9を親骨6に対して容易に着脱できる。傘生地9を親骨6のダボ7から取り外す工程としては、親骨6のダボ7を固定しつつ、傘生地9の傘生地側係止部材10とダボ7のダボ側係止部7aとを離解させる非係止させる。それにより、傘生地側係止部材10を親骨6のダボ側係止部7aから取り外すことができる。傘生地9を親骨6のダボ7に取り付ける工程としては、親骨6のダボ7を固定しつつ、傘生地9の傘生地側係止部材10とダボ7のダボ側係止部7aとを係止させる係止させる。それにより、傘生地側係止部材10を親骨6のダボ側係止部7aに取り付けることができる。
【0085】
本実施形態では、前記ダボ側係止部7aは、メス型の係止部であり、前記傘生地側係止部材10は、オス型の係止部であってもよい。
ダボ側係止部7aがオス型の係止部である場合、係止部のオス部分(突出部分)が、ダボ7に接する傘生地9に引っ掛かってしまい、傘生地9を傷つけたり破いたりするおそれがある。そこで、本傘では、ダボ側係止部7aをメス型の係止部としている。それにより、傘生地9を、より損傷させ難くしながら、傘生地9を親骨6に対して容易に着脱させることができる。
【0086】
本実施形態では、前記ダボ側係止部7aは、当該ダボ7の内部に設けられた空間7cと、当該ダボ7の表面から前記空間7cに貫通する開口部7bと、を有し、前記開口部7bにおいて、第1方向X1の開口部第1長さは、前記第1方向X1に垂直な第2方向X2の開口部第2長さよりも長く、前記空間7cにおいて、前記第1方向X1及び第2方向X2の空間第1長さ及び空間第2長さは、前記開口部第1長さよりも長く、前記傘生地側係止部材10は、前記傘生地9に回転自在に接合される接合部10bと、前記接合部10bに連結された細長部10aと、を含み、前記細長部10aの長手方向の長さは、前記開口部第1長さよりも短く、前記開口部第2長さよりも長くてもよい。
【0087】
その場合、以下のような工程により、より容易に、石突3と露先との間で傘生地9を親骨6に対して着脱できる。傘生地9を親骨6のダボ7から取り外す工程としては、親骨6のダボ7を固定しつつ、傘生地側係止部材10の接合部10bをつまんで適当な角度回転させて、傘生地側係止部材10の細長部10aの長手方向を、ダボ側係止部7aの開口部7bの第1方向X1に合致させる。そして、長手方向の長さが開口部第1長さよりも短い細長部10aを、開口部7bから引き抜く。それにより、傘生地側係止部材10を親骨6のダボ側係止部7aから取り外すことができる。傘生地9を親骨6のダボ7に取り付ける工程としては、親骨6のダボ7を固定しつつ、傘生地側係止部材10の接合部10bをつまんで適当な角度回転させて、傘生地側係止部材10の細長部10aの長手方向を、ダボ側係止部7aの開口部7bの第1方向X1に合致させる。次いで、長手方向の長さが開口部第1長さよりも短い細長部10aを、開口部7bに挿入する。そして、接合部10bを再び適当な角度回転させて、傘生地側係止部材10の細長部10aの長手方向を、ダボ側係止部7aの開口部7bの第1方向X1からずらして、細長部10aを開口部7bから引き抜けない状態にする。それにより、傘生地側係止部材10を親骨6のダボ側係止部7aに取り付けることができる。
【0088】
本実施形態では、前記複数の受骨8の各々は、一方の端部に受骨係止突起部を備え、
前記下ろくろ5は、下ろくろ本体部材5-1と、前記下ろくろ本体部材5-1の下側に設けられ、上側の端部が前記下ろくろ本体部材5-1の下側の端部と重なるように連結可能な下ろくろ補助部材5-2と、前記下ろくろ本体部材5-1と前記下ろくろ補助部材5-2との連結を固定する、前記下ろくろ5に対して着脱可能な連結固定部材5-3と、を備えてもよい。
【0089】
その場合、石突3と露先との間で傘生地9を親骨6に対して容易に着脱できると共に、以下のような工程により、下ろくろ5に対して受骨8を容易に着脱できる。下ろくろ5から受骨8を取り外す工程としては、まず、下ろくろ5から連結固定部材5-3を取り外す。それにより、下ろくろ本体部と下ろくろ補助部との連結の固定を開放できる。次いで、下ろくろ補助部材5-2を下側に移動させて、下ろくろ本体部材5-1から下ろくろ補助部材5-2を取り外す。それにより、下ろくろ5の複数の受骨係止溝部5-1aが下ろくろ補助部材5-2で覆われなくなるので、複数の受骨係止溝部5-1aに挿入された複数の受骨8における複数の受骨係止突起部を下方に取り外すことができる。一方、下ろくろ5に受骨8を取り付ける工程としては、まず、下ろくろ5の複数の受骨係止溝部5-1aに、複数の受骨8における複数の受骨係止突起部を挿入して、下ろくろ本体部材5-1の下側の端部に下ろくろ補助部材5-2の上側の端部を連結する。それにより、下ろくろ5の複数の受骨係止溝部5-1aを下ろくろ補助部材5-2で覆うことができる。次いで、連結固定部材5-3を下ろくろ5に取り付ける。それにより、下ろくろ本体部材5-1と下ろくろ補助部材5-2との連結が固定される。そのとき、複数の受骨係止溝部5-1aが下ろくろ補助部材5-2で覆われるので、複数の受骨係止溝部5-1aに挿入された複数の受骨係止突起部が下方に外れないようにすることができる。
【0090】
本実施形態では、前記傘は、折り畳み傘であってもよい。
折り畳み傘は、使用の前後で、開いた状態から折り畳んだり、折り畳んだ状態から開いたりするプロセスが必要であるため、通常の傘と比較して部品が壊れる可能性が高い。そこで、本態様の傘は、折り畳み傘であるが、上記のように、下ろくろ5又はダボ7が特定の構成を有している。それにより、下ろくろ5に対して複数の受骨8を容易に着脱でき、又は、石突3と露先との間で傘生地9を親骨6に対して容易に着脱できる。
【符号の説明】
【0091】
2 中棒
3 石突
4 上ろくろ
5 下ろくろ
5-1 下ろくろ本体部材
5-1a 受骨係止溝部
5-2 下ろくろ補助部材
5-3 連結固定部材
6 親骨
7 ダボ
8 受骨
9 傘生地