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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173364
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】アクチュエータ及び釣りシステム
(51)【国際特許分類】
   A01K 87/00 20060101AFI20231130BHJP
   B06B 1/04 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
A01K87/00 640Z
B06B1/04 Z
A01K87/00 620Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085559
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000112565
【氏名又は名称】フォスター電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 淳一
【テーマコード(参考)】
2B019
5D107
【Fターム(参考)】
2B019AA14
2B019AF03
2B019AF10
5D107CC09
(57)【要約】
【課題】釣竿本体のグリップを握る釣り人に対して触覚により様々な情報を伝えることができるアクチュエータ及び釣りシステムを提供する。
【解決手段】アクチュエータ10は、釣具20を構成する釣竿本体22の一端側22Aに設けられたグリップに取り付けられ、グリップ24に振動を与える。釣りシステム1は、制御信号に応じてグリップ24に振動を与えるアクチュエータ10と、釣具20の他端側に設けられ、少なくとも水面Wに対する上下方向の動きを取得するセンサ部34を備えた浮き30と、センサ部34により取得された動きを表す制御信号をアクチュエータ10に出力する制御部12と、を含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣具を構成する釣竿本体の一端側に設けられたグリップに取り付けられ、前記グリップに振動を与えるアクチュエータ。
【請求項2】
ケースと、
該ケースの内部に設けられたコイルと、
該コイルにより前記ケースの振動軸線に沿って振動する可動子と、
前記可動子に固定される板ばねと、
該板ばねを前記ケースに固定する枠部と、を含む請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記可動子は、マグネットと、ポールピースと、錘と、
を含む請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
入力された波形である制御信号に応じて制御される請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
釣具を構成する釣竿本体の一端側に設けられたグリップに取り付けられ、制御信号に応じて前記グリップに振動を与えるアクチュエータと、
前記釣具の他端側に設けられ、少なくとも水面に対する上下方向の動きを取得するセンサ部を備えた浮きと、
前記センサ部により取得された動きを表す制御信号を前記アクチュエータに出力する制御部と、
を含む釣りシステム。
【請求項6】
釣具を構成する釣竿本体の一端側に設けられたグリップに取り付けられ、制御信号に応じて前記グリップに振動を与えるアクチュエータと、
前記グリップに設けられ、該グリップの動きを表す動きデータを記憶する記憶部と、
該記憶部に記憶された前記動きデータが表す制御信号を前記アクチュエータに出力する制御部と、
を含む釣りシステム。
【請求項7】
前記グリップに設けられ、該グリップの動きを取得するセンサ部を備え、
前記記憶部は、前記センサ部により取得された動きを表す動きデータを記憶する請求項6に記載の釣りシステム。
【請求項8】
前記記憶部は、複数の人物による前記グリップの動きを各々表す複数の前記動きデータを記憶し、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された複数の前記動きデータから1つの前記動きデータを選択して、選択された該動きデータが表す制御信号を前記アクチュエータに出力する請求項6に記載の釣りシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ、及びこのアクチュエータを備えた釣りシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、グリップに電磁誘導装置が設けられた釣竿が開示されている。この電磁誘導装置は、コイル、コイル近傍に配置された細長棒状の磁石、及びコイルが接続された外部出力端子を備えており、コイルはグリップに固定され、磁石はグリップの振動に伴って振動するようにグリップに支持されている。これにより、実釣時において、釣り人が釣竿を操作した場合に、磁石が振動してコイルに誘導電流が発生し、外部出力端子から外部へ取り出される。特許文献1においては、外部出力端子に、アンプやスピーカ等を接続しておくことにより、釣竿の振動に起因した誘導電流によって、実釣時において音声等を発生させ、釣り人がよりエキサイティングな釣りを実現できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4184198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の釣竿においては、音声等の発生によってよりエキサイティングな釣りを実現しているが、例えば波の音等、周囲の音の大きさによっては、音声が聞き取り難い場合があり、エキサイティングな釣りを実現する方法については改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、釣竿本体のグリップを握る釣り人に対して触覚により様々な情報を伝えることができるアクチュエータ及び釣りシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様のアクチュエータは、釣具を構成する釣竿本体の一端側に設けられたグリップに取り付けられ、前記グリップに振動を与える。
【0007】
本発明の第1の態様のアクチュエータでは、釣具を構成する釣竿本体の一端側に設けられたグリップに取り付けられたアクチュエータが、グリップに振動を与えるので、釣竿本体のグリップを握る釣り人に対して触覚により様々な情報を伝えることができる。
【0008】
本発明の第2の態様のアクチュエータは、第1の態様において、ケースと、該ケースの内部に設けられたコイルと、該コイルにより前記ケースの振動軸線に沿って振動する可動子と、前記可動子に固定される板ばねと、該板ばねを前記ケースに固定する枠部と、を含む。
【0009】
本発明の第2の態様のアクチュエータでは、ケースの内部に設けられたコイルと、このコイルによりケースの振動軸線に沿って振動する可動子とを備えているので、コイルに交流を通電することにより、可動子をケースの振動軸線に沿って振動させることができる。また、アクチュエータは、可動子に固定される板ばねを含んでいるので、可動子の振動に伴い板ばねも振動する。さらに、アクチュエータは、板ばねをケースに固定する枠部を含んでいるので、板ばねの振動により、枠部を介してケースも振動する。このように、ケースを振動させることにより、ケースの振動をグリップに伝達することにより、グリップに振動を与えることができる。
【0010】
本発明の第3の態様のアクチュエータは、第2の態様において、前記可動子が、マグネットと、ポールピースと、錘と、を含む。
【0011】
ところで、可動子に発生する推力は、基本的にはフレミングの左手の法則に基づいて与えられる推力に準じられる。本発明の第3の態様のアクチュエータでは、可動子にコイルに発生する力の反力としての推力が発生する。本発明の第3の態様のアクチュエータでは、推力に寄与するのは、可動子のマグネットの磁束の水平成分(マグネットの軸方向に直交する成分)となり、マグネットの磁束によって推力を増減することができる。また、可動子がマグネットと錘を備えているので、アクチュエータは、好適な磁束、重さが得られて、最適な振動が得られる。
【0012】
本発明の第4の態様のアクチュエータは、第1の態様において、入力された波形である制御信号に応じて制御される。
【0013】
本発明の第4の態様のアクチュエータは、入力された波形である制御信号に応じて制御されるので、例えば振動モータ等では提示できない多彩な振動をグリップに与えることができる。
【0014】
本発明の第5の態様の釣りシステムは、釣具を構成する釣竿本体の一端側に設けられたグリップに取り付けられ、制御信号に応じて前記グリップに振動を与えるアクチュエータと、前記釣具の他端側に設けられ、少なくとも水面に対する上下方向の動きを取得するセンサ部を備えた浮きと、前記センサ部により取得された動きを表す制御信号を前記アクチュエータに出力する制御部と、を含む。
【0015】
本発明の第5の態様の釣りシステムでは、浮きに備えられたセンサ部により取得された動きを表す制御信号が、制御部によりアクチュエータに出力されるので、浮きの動きに応じた振動をグリップに伝達することができる。これにより、釣り人は釣竿本体のグリップを握ることで、浮きが捉える水面の揺らぎや、魚が餌に触れたり釣針に掛かったりした場合の浮きの動きをアクチュエータの振動により感じることができるので、釣り場の水面の状況を視覚及び聴覚に加えて触覚でも把握することができる。
【0016】
本発明の第6の態様の釣りシステムは、釣具を構成する釣竿本体の一端側に設けられたグリップに取り付けられ、制御信号に応じて前記グリップに振動を与えるアクチュエータと、前記グリップに設けられ、該グリップの動きを表す動きデータを記憶する記憶部と、該記憶部に記憶された前記動きデータが表す制御信号を前記アクチュエータに出力する制御部と、を含む。
【0017】
本発明の第6の態様の釣りシステムでは、記憶部に記憶されたグリップの動きデータを表す制御信号が、制御部によりアクチュエータに出力されるので、グリップの動きに応じた振動をグリップに伝達することができる。これにより、例えば記憶部にプロの釣り人や釣り名人等の釣竿本体の動きデータが記憶されている場合には、釣り人は釣竿本体のグリップを握ることで、プロの釣り人のグリップ操作をアクチュエータの振動により感じることができるので、より釣れる可能性のある釣竿本体の操作の学習に役立てることができる。
【0018】
本発明の第7の態様の釣りシステムは、第6の態様において、前記グリップに設けられ、該グリップの動きを取得するセンサ部を備え、前記記憶部は、前記センサ部により取得された動きを表す動きデータを記憶する。
【0019】
釣りをする際に、ルアーや餌に魚を誘う動きを付与するために、グリップを小刻みに震わすシェイキングと言われる操作を行うことがある。また、釣りの対象となる魚の種類や、釣り場の状況により、グリップの動かし方には一定の効果的なパターン(リズム)が存在する場合がある。
【0020】
本発明の第7の態様の釣りシステムでは、グリップに、グリップの動きを取得するセンサ部を備え、センサ部により取得された動きを表す動きデータを記憶部が記憶するので、例えば魚が釣れた際のシェイキング動作や、効果的なグリップの動かし方のパターンを記憶部に記憶することができる。そのため、釣りを再開する際に、記憶部に記憶されたシェイキング動作や上記パターンを読み出して、これらに対応するグリップの動きに応じた振動をアクチュエータによってグリップに伝達することにより、魚が釣れた際のグリップの動きを再現することができる。
【0021】
本発明の第8の態様の釣りシステムは、第6の態様において、前記記憶部は、複数の人物による前記グリップの動きを各々表す複数の前記動きデータを記憶し、前記制御部は、前記記憶部に記憶された複数の前記動きデータから1つの前記動きデータを選択して、選択された該動きデータが表す制御信号を前記アクチュエータに出力する。
【0022】
本発明の第8の態様の釣りシステムでは、記憶部に記憶された複数の人物によるグリップの動きを各々表す複数の動きデータから1つの動きデータを選択して、選択された動きデータが表す制御信号をアクチュエータに出力している。そのため、例えば記憶部に複数のプロの釣り人や釣り名人等のグリップの動きデータが記憶されている場合には、釣り人は憧れの釣り人のグリップの動きを選んで再現することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明のアクチュエータ及び釣りシステムによれば、釣竿本体のグリップを握る釣り人に対して触覚により様々な情報を伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施形態に係るアクチュエータを搭載した釣竿本体の斜視図である。
図2図1の釣竿本体のグリップの内部の構成を示す拡大断面図である。
図3図2の制御部の構成を示すブロック図である。
図4図2のアクチュエータの全体構成を示す断面斜視図である。
図5図4のアクチュエータの動きを説明する説明図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る釣りシステムの構成を示す模式図である。
図7図2の制御部が出力する波形の一例を示す図である。
図8】第2実施形態の制御部の構成を示すブロック図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る釣りシステムの構成を示す模式図である。
図10図8の制御部が出力する波形の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の第1実施形態を詳細に説明する。
【0026】
<第1実施形態の釣具の構成>
図1は本発明の第1実施形態に係るアクチュエータ10を搭載した釣竿本体22の斜視図を示している。図1に示されるように、釣具20は、釣竿本体22、釣竿本体22の一端側22Aに設けられた筒状のグリップ24、先端側が釣竿本体22の他端側22Bから延出し、後端側が後述するリール28に巻き取られる釣糸26、及びグリップ24に配設され、釣糸26を巻き取るリール28を備えている。
【0027】
釣竿本体22は、一端側22Aから他端側22Bに向かって少しずつ細くなるように形成されており、弾力性を有している。釣竿本体22の材質は、釣りの対象となる魚の種類や釣り場の環境、釣りの方法等によって異なっており、特に限定されず、公知の材質が使用される。
【0028】
グリップ24は、釣り人が釣りを行う際に把持する部分である。グリップ24は、釣り人が把持し易いように円筒状に形成されており、比較的滑り難い樹脂、発泡樹脂、及びコルク等により形成されている。また、グリップ24の外径は、釣り人が把持し易い寸法で形成されている。グリップ24の釣竿本体22側には、釣竿本体22の一端側22Aが挿通され、グリップ24内部において釣竿本体22の一端側22Aが支持されている。また、グリップ24の釣竿本体22とは反対側、すなわち釣り人側は、蓋部材(図示省略)により開閉可能にされている。
【0029】
図2図1の釣竿本体22のグリップ24の点線Aの内部の構成を示す拡大断面図である。図2に示されるように、グリップ24の釣り人側には、ボイスコイル型のアクチュエータ10、アクチュエータ10を駆動制御する制御部12、及びアクチュエータ10を駆動させるための電源部14が内蔵されている。
【0030】
図3は制御部12の構成を示すブロック図である。図3に示されるように、制御部12は、制御回路12A、通信回路12B、及び記憶素子12Cを備えている。制御回路12Aは、アクチュエータ10を振動させるための制御信号をアクチュエータ10に出力する。通信回路12Bは一例としてBluetooth(登録商標)等により構成されており、後述する浮き30から出力される動きデータを取得する。記憶素子12Cは、各種データが記憶される。
【0031】
<第1実施形態のアクチュエータ10の構成>
ボイスコイル型のアクチュエータ10は、制御回路12Aから出力される制御信号に応じて振動する。図4はアクチュエータ10の全体構成を示す断面斜視図である。図4に示されるように、アクチュエータ10は、外殻をなす筒状のケース102と、ケース102の内部に設けられたコイル104と、ケース102の振動軸線Oに沿って振動する可動子106と、内周部が可動子106に固定される板ばね108と、板ばね108をケース102に固定する枠部110を備えている。
【0032】
ケース102は、筒状のケース本体102Aと、その両端開口を閉じるカバーケース102Bを備えている。本実施形態において、ケース本体102A及びカバーケース102Bは、それぞれABS等の樹脂材料からなるが、樹脂材料に限定されるものでない。
【0033】
ケース102には、コイル104とヨーク112が挿入される。図4に示されるように、ケース本体102Aには、その内周に沿うように形成された筒状の軟磁性材料でなるヨーク112が配置される。ヨーク112の内周にヨーク112と電気的に絶縁された状態で取り付けられたコイル104が設けられる。
【0034】
コイル104はボビン114の外周側凹部に沿って巻回され、可動子106の外周部に対して所定の間隔を保って配置されている。ボビン114は、振動時における可動子106とコイル104との接触を防止するため、コイル104の可動子106側の表面を覆うように、ケース本体102Aの内周に内周壁を有し、ボビン114の内周壁と可動子106の外周面に隙間が設けられている。コイル104はターミナルからの通電により磁場を発生可能である。コイル104は組み立てに際して、接着剤等によりヨーク112やボビン114に仮止めしてもよい。
【0035】
可動子106は、コイル104に包囲され、振動軸線Oに沿って振動するよう配置されている。可動子106は、円板状のマグネット116と、マグネット116を挟むように配置された一対の円板状のポールピース118と、マグネット116及び一対のポールピース118を挟むように配置される一対の錘(ウエイト)120と、から構成されている。
【0036】
マグネット116は着磁方向が振動軸線O方向である。ポールピース118は、軟磁性材料でなり、マグネット116の磁気吸着力及び接着剤等により、マグネット116に取り付けられている。ポールピース118には、中央部に振動軸線Oに沿った凸部118Aが形成されており、対応する錘120には中央部に振動軸線Oに沿った凹部120Aが形成されている。ポールピース118の凸部118Aと錘120の凹部120Aが係合することで、ポールピース118と錘120が一体化されている。
【0037】
なお、この一体化とは、ポールピース118の凸部118Aと錘120の凹部120Aの間が隙間なく係合されている必要はなく、両者の間に隙間がある状態で緩く係合されていているものも含み、係合の程度を問わない。マグネット116、ポールピース118、及び錘120の一体化は、磁気吸着力や接着剤による取り付けに限定されるものではなく、圧入、ねじ止め等の機械的手段やその他の手段により固定することにより、一体化してもよい。
【0038】
可動子106において、マグネット116の外形は、ポールピース118、錘120の外形よりも径方向に小さい。つまり、ポールピース118と錘120の外周が可動子106において最も外周側に位置しており、ボビン114の内周壁と最も接近している。
【0039】
錘120は非磁性体からなり、ポールピース118との当接面が平坦に形成されているが、この当接面と逆側の面の中央部には、振動軸線O方向に突出した中心軸120Bが設けられる。例えば、錘120の中心軸120Bは、円形であり、板ばね108の軸穴108Aに挿入され、板ばね108と錘120が固定される。
【0040】
板ばね108は、金属の一枚ないし複数枚の板ばねで構成されており、例えば本実施形態ではステンレスの薄板を加工したものを使用している。板ばね108の材料は、金属に限らず樹脂や繊維を含む複合素材であってもよい。また、板ばね108の材料は、耐久性及び可撓性に優れた材料が望ましい。
【0041】
上述したように、板ばね108の内周部中心には、錘120の中心軸120Bが嵌合される円形の軸穴108Aが設けられている。この軸穴108Aを利用して、板ばね108は錘120と連結されている。板ばね108の表面から突出した中心軸120Bが治具によって加熱・加圧されて押し潰されることで、錘120の表面と板ばね108が重ね合わされた状態で加締められている。板ばね108と錘120との固定手段は加締めに限定されるものではなく、円形の中心軸120Bと軸穴108Aを備えていれば、ねじ止めや接着等の他の方法により固定(連結)することもできる。
【0042】
板ばね108は、可動子106が取り付けられる環状の内周部108B、枠部110に取り付けられる外周部108C、内周部108Bと外周部108Cとを接続する複数の渦巻き状の腕部108Dを有している。各腕部108Dは振動軸線Oの回りに120度間隔で等間隔に設けられている。各腕部108Dの外周部108Cは、板ばね108をケース本体102Aに固定する枠部110に連結されている。
【0043】
枠部110は、ケース本体102Aの内面に沿った環状に形成されており、振動軸線Oの周りに120度間隔の位置にて、ケース本体102Aの内面の3か所にて径方向内側に突出しているフランジ部(図示省略)にて連結されている。
【0044】
本実施形態においては、一例として、枠部110と板ばね108とはモールド成形により一体化される。すなわち、金型内に板ばね108を配置して樹脂を流し込んで成形することで、板ばね108の上下両面に枠部110がオーバーモールド成形されるため、枠部110の上部と下部で板ばね108を挟み込んだ状態で、枠部110と板ばね108とが一体に成形される。
【0045】
このように構成された板ばね108は、振動軸線O方向及び振動軸線Oに直交する垂直な径方向Sを含む交差方向において所定の範囲で弾性変形可能である。なお、この所定の範囲は、ボイスコイル型のアクチュエータ10として通常に使用した場合の可動子106の振幅範囲に相当する。従って、所定の範囲は、少なくとも板ばね108がケース102に接触しない範囲であり、板ばね108の弾性変形の限界を超えない範囲である。
【0046】
可動子106を振動させる際には、コイル104に、交互に逆極性の磁界を発生する向きに交流を通電させる。即ち、コイル104の隣り合う部分に同極が発生するようになっている。
【0047】
例えば図5に示す極性の場合、可動子106には実線矢印Aで示す振動軸線O方向の他側(図5における右方)への推力が発生し、コイル104へ流す電流を反転させれば、可動子106には点線矢印Bで示す振動軸線O方向の一側(図5における左方)への推力が発生する。
【0048】
このように、コイル104に交流を通電させれば、可動子106は板ばね108による付勢力を両側から受けながら、振動軸線Oに沿って振動する。アクチュエータ10は、内周部が可動子106に固定される板ばね108を含んでいるので、可動子106の振動に伴い板ばね108も振動する。さらに、アクチュエータ10は、板ばね108をケース102に固定する枠部110を含んでいるので、板ばね108の振動により、枠部110を介してケース102も振動する。このように、ケース102を振動させることにより、ケース102の振動がグリップ24に伝達されるので、グリップ24に振動を与えることができる。
【0049】
<本発明の第1実施形態の釣りシステム1の構成>
第1実施形態の釣りシステム1は、浮き30を備えた釣具20を使用した釣りの手法において採用される。図6は第1実施形態に係る釣りシステム1の構成を示す模式図である。図6に示されるように、釣具20には、釣糸26の先端に釣針29が設けられており、釣糸26の途中であって、釣竿本体22よりも釣針29側には浮き30が設けられている。浮き30は、釣針29を一定の水深に保つとともに、魚40が釣針29に取り付けた餌を食べていることや魚40が釣針29に掛かったこと、すなわち魚40のアタリを釣り人に伝えるために用いられる。
【0050】
浮き30は、内部に内部空間30Aを有し、一例として樹脂材料で形成された略長円形の浮き本体32を備えている。本実施形態において、浮き30は、内部空間30Aに、センサ部34と、制御部36と、通信部38と、電源部39とを備えている。
【0051】
通信部38は、一例としてBluetooth(登録商標)等により構成されており、上述したグリップ24の制御部12の通信回路12Bと同様の構成とされる。通信部38は、制御部36から出力された波形データを取得し、グリップ24の制御部12の通信回路12Bに対して出力する。
【0052】
電源部39は、バッテリーで構成されており、センサ部34、制御部36、及び通信部38に電力を供給する。
【0053】
センサ部34は、加速度センサを有しており、加速度センサは検出した加速度を出力する。
【0054】
制御部36は、センサ部34から出力された加速度データを取得する。制御部36は、センサ部34により検出された加速度を、水面Wに対する浮き30の動きとして検出する。
【0055】
本実施形態においては、一例として、センサ部34から出力された加速度で示される波形データを通信部38に出力する。
【0056】
通信部38は、図2及び図3に示される、制御部12の通信回路12Bに上記波形データを出力する。
【0057】
図3に示されるように、制御部12の制御回路12Aは、水面Wに対する浮き30の動きを表す制御信号である動きデータを、浮き30の動きを表す加速度の波形に基づいて生成する。
【0058】
具体的には、魚40のアタリがない状態、すなわち浮き30が水面Wの揺らぎに合わせて浮き沈みする浮き30(波)の上下振動に合わせて、制御信号を入力することができる。例えば、水面Wの上下の揺らぎにおいて、上端で「トン」という感触を与える制御信号、下端で「トン」という感触を与える制御信号を入力できる。この波形を制御信号としてアクチュエータ10に入力した場合に、釣竿本体22のグリップ24を把持する釣り人に、浮き30が捉える水面Wの揺らぎを感じさせることができる。
【0059】
具体的には、図7に示されるように、水面Wの揺らぎは、ランダムな波形で表すことができ、制御部12の制御回路12Aは、図7に示されるような波形をアクチュエータ10に出力する。ここで、アクチュエータ10の振動周波数には、下限があるので、振動時には周波数変換等の調整がされる。
【0060】
また、魚40のアタリが有る状態、すなわち浮き30が水面Wに対して異なる動きをした場合は、一例として浮き30の動きは、100msec程度の動きとなる。そこで、このような瞬間的な動きすなわち振動を表す波形は、浮き30の上下方向の動きを表す加速度の波形と、上記基準波形とを組み合わせて生成する。例えば魚40にアタリが有り浮き30が引き込まれる場合に、加速度が上昇するのであれば、その加速度のカーブに合わせて基準波形を一例として60~100Hz程度の周波数帯域で変形させる。これにより、この波形を制御信号としてアクチュエータ10に入力した場合に、グリップ24を把持する釣り人に、浮き30が大きく動く魚40のアタリの状態を感じさせることができる。
【0061】
なお、本実施形態において釣りシステム1は、アクチュエータ10と、センサ部34を備えた浮き30と、センサ部34により取得された動きを表す制御信号をアクチュエータ10に出力する制御部12と、を含んでいる。
【0062】
<第1実施形態のアクチュエータ10及び釣りシステム1による作用、効果>
第1実施形態のアクチュエータ10では、釣竿本体22の一端側に設けられた筒状のグリップ24の内部に配設されたアクチュエータ10が、グリップ24に振動を与えるので、グリップ24を握る釣り人に対して触覚により様々な情報を伝えることができる。
【0063】
また、第1実施形態のアクチュエータ10では、ケース102の内部に設けられたコイル104と、このコイル104によりケース102の振動軸線Oに沿って振動する可動子106とを備えているので、コイル104に交流を通電することにより、可動子106をケース102の振動軸線Oに沿って振動させることができる。また、アクチュエータ10は、内周部が可動子106に固定される板ばね108を含んでいるので、可動子106の振動に伴い板ばね108も振動する。さらに、アクチュエータ10は、板ばね108をケース102に固定する枠部110を含んでいるので、板ばね108の振動により、枠部110を介してケース102も振動する。このように、ケース102を振動させることにより、ケース102の振動がグリップ24に伝達され、グリップ24に振動を与えることができる。
【0064】
ところで、可動子106に発生する推力は、基本的にはフレミングの左手の法則に基づいて与えられる推力に準じられる。本実施形態のアクチュエータ10では、可動子106にコイル104に発生する力の反力としての推力が発生する。本実施形態のアクチュエータ10では、推力に寄与するのは、可動子106のマグネット116の磁束の水平成分(マグネット116の軸方向に直交する成分)となり、マグネット116の磁束によって推力を増減することができる。
【0065】
また、第1実施形態のアクチュエータ10は、入力された波形である制御信号に応じて制御されるので、例えば振動モータ等では提示できない多彩な振動をグリップ24に与えることができる。
【0066】
また、第1実施形態の釣りシステム1では、浮き30に備えられたセンサ部34により取得された動きを表す制御信号が、制御部12によりアクチュエータ10に出力されるので、浮き30の動きに応じた振動をグリップ24に伝達することができる。これにより、釣り人は釣竿本体22のグリップ24を握ることで、浮き30が捉える水面Wの揺らぎや、魚40が餌に触れたり釣針29に掛かったりした場合の浮き30の動きをアクチュエータ10の振動により感じることができるので、釣り場の水面Wの状況を視覚及び聴覚に加えて触覚でも把握することができる。
【0067】
このように、釣り人が、浮き30が捉える水面Wの揺らぎをアクチュエータ10の振動により感じることができるので、海風を感じるなど、あたかも自分が水面Wに浮かぶ浮きになったような気分で釣り場の雰囲気に一層没入することができる。また、魚40が餌に触れたり釣針29に掛かったりした場合には、浮き30が水面Wの揺らぎを捉えている場合よりも浮き30の動きが大きくなるので、アクチュエータ10の振動も大きくなる。従って、グリップ24への振動も大きくなるので、釣り人は、魚40が釣れる状況が感知し易い。これにより、浮き30から目をそらしていた場合等のアワセ遅れを防止することができ、魚40を釣針29に掛ける可能性を高めることができる。
【0068】
浮き30が水面Wの揺らぎを捉えている場合と、魚40のアタリが有る場合とでは、グリップ24に伝わる振動が異なるので、振動の原因が風であるのか、魚40のアタリであるのかを触覚により感じることができる。これにより、視覚だけの場合よりも浮き30の動きの違いが分かり易い。
【0069】
なお、上記実施形態においては、アクチュエータ10に入力される制御信号としての波形を上記のようにして形成したが、本発明はこれに限られない。アクチュエータ10の振動可能な領域に対応していればよく、例えば、センサ部34により取得された加速度データをそのまま制御信号として使用してもよいし、センサ部34により取得された加速度データを予め定められたアルゴリズムで変換して制御信号として使用してもよい。
【0070】
以下、図面を参照して本発明の第2実施形態を詳細に説明する。
【0071】
<第2実施形態の釣具の構成>
第2実施形態の釣具20-2は、図1に示される第1実施形態の釣具20に設けられた浮き30を有しておらず、その他の構成については概略同様である。そのため、同様の構成については同符号で示して詳細な説明は省略し、異なる箇所についてのみ詳細に説明する。
【0072】
第2実施形態の釣具20-2は、グリップ24内に制御部12-2が設けられている。図8は制御部12-2の構成を示すブロック図である。図8に示されるように、制御部12-2は、制御回路12A、記憶部としての記憶素子12C、及びセンサ部12Dを備えている。記憶素子12Cは、各種データが記憶され、本実施形態においてはセンサ部12Dにより取得されたグリップ24の動きを表す動きデータが記憶される。制御回路12Aは、記憶素子12Cに記憶された動きデータが表す制御信号をアクチュエータ10に出力する。
【0073】
センサ部12Dは、加速度センサを有しており、加速度を出力する。本実施形態においてセンサ部12Dは、グリップ24の動きを取得する。
【0074】
<本発明の第2実施形態の釣りシステム1-2の構成>
第2実施形態の釣りシステム1-2は、ルアー29Aを備えた釣具20-2を使用した、いわゆるルアーフィッシングにおいて採用される。図9は第2実施形態に係る釣りシステム1-2の構成を示す模式図である。図9に示されるように、釣具20には、釣糸26の先端に釣針29を有するルアー29Aが設けられている。
【0075】
ルアー29Aは、「擬餌針」であり、回転翼をもつスピナー、スプーン、ミノー等のハードルアー、ワームのようなソフトルアー等により、水面Wや水中で引いて魚40を誘う。
【0076】
一般的にルアー29Aに魚40を誘う動きをさせるために、グリップ24を小刻みに震わす、いわゆるシェイキングやトゥイッチングと呼ばれる操作を行うことがある。図9において点線で示される釣具20は、シェイキング動作された際の釣具20の動きを示している。釣りの対象となる魚40の種類や、釣り場の状況等により、グリップ24の動かし方すなわちシェイキング及びトゥイッチングには一定の効果的なパターン(リズム)が存在する場合がある。本実施形態においては、センサ部12Dにより、このグリップ24の動きを継続的に取得して記憶素子12Cに記憶させ、魚40がルアー29Aに掛かった際に、掛かる直前の一例として30秒程度のグリップ24の動きをヒットパターンとして記憶素子12Cに記憶させる。
【0077】
そして、魚40が掛かった後で、釣りを再開する際に、制御回路12Aが記憶素子12Cに記憶されたヒットパターンを読み出して、グリップ24に内蔵されたアクチュエータ10によりこのヒットパターンの動き(振動)をグリップ24に再現させる。
【0078】
具体的には、制御回路12Aは、一例としてセンサ部12Dにより出力された加速度をグリップ24の動きを表す動きデータとして取得する。具体的には、グリップ24のシェイキング動作時の動きは、図10に示されるようなリズミカルな加速度波形となる。図10のS1~S5で示される範囲が、特に、シェイキング動作の動きの波形を表している。制御部12-2の制御回路12Aは、図10に示されるような波形をアクチュエータ10に出力する。
【0079】
<第2実施形態の釣りシステム1-2による作用、効果>
第2実施形態の釣りシステム1-2では、記憶素子12Cに記憶されたグリップ24の動きデータを表す制御信号が、制御回路12Aによりアクチュエータ10に出力されるので、グリップ24の動きに応じた振動をグリップ24に伝達することができる。
【0080】
第2実施形態の釣りシステム1-2では、グリップ24に、グリップ24の動きを取得するセンサ部12Dを備え、センサ部12Dにより取得された動きを表す動きデータを記憶素子12Cが記憶するので、例えば魚40が釣れた際のシェイキング動作や、効果的なグリップ24の動かし方のパターンを記憶素子12Cに記憶することができる。そのため、釣りを再開する際に、記憶素子12Cに記憶されたシェイキング動作や上記パターンを読み出して、これらに対応するグリップ24の動きに応じた振動をアクチュエータ10によってグリップ24に伝達することにより、魚40が釣れた際のグリップ24の動きを再現することができる。
【0081】
これにより、釣り人は、魚40が釣れた際のグリップ24を操作するタイミングや強弱を手で感じることができ、魚40が釣れた際のグリップ24の動き方で、再度釣りを行うことができるので、魚40を釣り上げる可能性を高めることができる。また、釣り人は、触覚を利用しているため、釣り場に目を向けながらでも手でグリップ24操作のパターンを感じることができ、より集中して釣りを行うことができる。
【0082】
また、魚40が釣れた際のシェイキング動作や、効果的なグリップ24の動かし方のパターンを記憶素子12Cに複数保存しておく。この際に、記憶素子12Cに複数保存される動きデータは、複数の釣り人の動作であってもよい。この場合、制御回路12Aは、記憶素子12Cに記憶された複数の釣り人(人物)によるグリップ24の動きを各々表す複数の動きデータから1つの動きデータを選択して、選択された動きデータが表す制御信号をアクチュエータ10に出力する。これにより、例えば記憶素子12Cに複数のプロの釣り人や釣り名人等のグリップ24の動きデータが記憶されている場合には、釣り人は憧れの釣り人のグリップ24の動きを選んで再現することができる。また、釣り人は釣竿本体22のグリップ24を握ることで、プロの釣り人のグリップ操作をアクチュエータ10の振動により感じることができるので、より釣れる可能性がある釣竿本体22の操作の学習に役立てることができる。
【0083】
なお、本実施形態の釣具20-2は、他の釣具を使用して取得した動きデータを記憶素子12Cに記憶させて使用することもできる。この場合、釣具20-2は、センサ部12Dは特に備えていなくてもよい。
【0084】
また、本実施形態の釣りシステム1-2によれば、例えば、釣り人目線での釣り場の映像を、グリップ24の動きと同期させて取得しておくことにより、一例として自宅で、画面に映った映像を見ながらグリップ24の動きを再現することもできる。これにより、自宅で、魚40が釣れた際のグリップ24の動きを学習することができる。この際に、再現するグリップ24の動きが他人の動きである場合には、他人の釣り体験を類似体験することができる。
【0085】
また、本実施形態の釣りシステム1-2に、さらに、アプリケーションを組み合わせてもよい。このアプリケーションは、例えば、スマートフォンやタブレット等の携帯端末で使用されるアプリケーションであり、制御部12と通信可能とされている。このアプリケーションにおいては、プロの釣り人を含む複数の釣り人(人物)によるグリップ24の動きを各々表す複数の動きデータを記憶しておき、複数の動きデータから1つの動きデータを選択可能にされている。そして、アプリケーションにおいて選択された動きデータを制御部12に出力して記憶素子12Cに記憶させることにより、釣り人はプロの釣り人のグリップ24の動きを選んで再現することができる。
【0086】
また、第1実施形態及び第2実施形態の釣りシステム1、1-2は、ゲーム機器と連動させることもできる。例えば釣りシステム1をゲーム機器と連動させる場合には、画面に映る波の揺らぎ又は浮き30の動きを波形で表し、通信回路12Bを介して、記憶素子12Cに記憶させる。これにより、画面に映る浮き30の動きに応じて、グリップ24に振動を与えることができるので、ゲームにおいて本格的な釣り体験をすることができる。
【0087】
また、例えば釣りシステム1-2をゲーム機器と連動させる場合には、予めプロの釣り人を含む複数の釣り人(人物)のグリップ24操作により魚40が掛かった際の波の画像と、プロの釣り人を含む複数の釣り人(人物)によるグリップ24の動きとを関連付けて複数保存しておく。これにより、ゲームにおいて、様々なグリップ操作により魚40を釣り上げることができる。
【0088】
以上説明したように、本発明の上記実施形態では、ボイスコイル型アクチュエータを用いるため、広い周波数帯域での制御が可能である。また、同時に複数の周波数帯域で制御が可能である。そのため、周波数帯域を複合した制御信号で振動を与えることにより、グリップ24に同時に異なる振動を与えることができる。
【0089】
また、制御信号には、加速度センサで計測した波形をそのまま入力波形とすることも可能である。また、制御信号は、矩形波やサイン波のみでも使用可能である。
【0090】
また、上記実施形態に係るボイスコイル型のアクチュエータ10において、板ばね108が対に設けられている。これにより、振動の差を生みやすい、つまり前進・後進振動の制御がし易い。
【0091】
また、上記実施形態に係るボイスコイル型のアクチュエータ10は、シリンダ型(柱型)で構成されている。これにより、アクチュエータ10は、大きい振動において好適な形状となる。
【0092】
また、上記実施形態に係るボイスコイル型のアクチュエータ10の可動子106には、マグネット116、ヨーク112、錘120が設けられている。これにより、好適な磁束、重さが得られて、最適な振動が得られる。
【0093】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0094】
例えば、上記の実施形態では、アクチュエータとして、ボイスコイル型アクチュエータを用いた場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、ボイスコイル型アクチュエータ以外のアクチュエータを用いてもよい。例えば、ソレノイドや、リニアアクチュエータ等が含まれる。
【0095】
また、上記の実施形態では、アクチュエータ10は、筒状のグリップ24の内部に設けられているが、本発明はこれに限られない。グリップ24は筒状でなくてもよいし、アクチュエータ10は、例えばグリップに対して着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0096】
また、上記の実施形態では、一例として図4に記載の構造のアクチュエータ10を使用したが、本発明はこれに限られない。例えば、特願2021-178095に記載されているような、マグネットが複数配置されている構成の筒状アクチュエータを使用してもよい。また、筒状アクチュエータに限られず、例えば、国際公開第2020/1844439号公報に記載されているような、平坦な形状のアクチュエータを使用してもよい。なお、アクチュエータは、ポールピース及び錘がマグネットを挟むように配設された形状でなくてもよい。
【0097】
本発明は、釣具20を使用したゲーム機にも用いることもできる。
【符号の説明】
【0098】
10 アクチュエータ
12A 制御回路(制御部)
12C 記憶素子(記憶部)
12D センサ部
102 ケース
104 コイル
106 可動子
108 板ばね
110 枠部
116 マグネット
118 ポールピース
120 錘
20 釣具
22 釣竿本体
22A 一端側
24 グリップ
30 浮き
34 センサ部
O 振動軸線
W 水面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10