(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173365
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】スピーカ装置及びスピーカシステム
(51)【国際特許分類】
H04R 3/02 20060101AFI20231130BHJP
H04R 3/04 20060101ALI20231130BHJP
H04R 1/46 20060101ALI20231130BHJP
A61B 7/04 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
H04R3/02
H04R3/04
H04R1/46
A61B7/04 N
A61B7/04 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085560
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000112565
【氏名又は名称】フォスター電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榎森 直樹
(72)【発明者】
【氏名】近藤 淳一
【テーマコード(参考)】
5D017
5D220
【Fターム(参考)】
5D017BF02
5D220AB01
5D220CC03
(57)【要約】
【課題】本発明は、電子聴診器を用いる際に、ハウリングを抑制することができるスピーカ装置及びスピーカシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】スピーカ装置は、電子聴診器から聴診音を表す信号を受信する受信部と、前記受信部により受信した前記信号を、信号レベルが所定値以下では信号レベルを抑制するように補正する補正部と、補正された前記信号が表す聴診音を出力する出力部と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子聴診器から聴診音を表す信号を受信する受信部と、
前記受信部により受信した前記信号を、信号レベルが所定値以下では信号レベルを抑制するように補正する補正部と、
補正された前記信号が表す聴診音を出力する出力部と、
を含むスピーカ装置。
【請求項2】
前記補正部は、
前記受信部により受信した前記信号を、複数の信号帯域の信号に分割し、
前記複数の信号帯域の各々に対し、前記信号帯域の信号を、信号レベルが所定値以下では信号レベルを抑制するように補正し、
前記出力部は、前記複数の信号帯域の各々に対して補正された信号を加算して得られた信号が表す聴診音を出力する請求項1記載のスピーカ装置。
【請求項3】
前記補正部は、
更に、前記複数の信号帯域の各々に対し、人の聴覚特性に応じて前記信号帯域の信号を補正する請求項2記載のスピーカ装置。
【請求項4】
前記補正部は、
前記受信部により受信した前記信号を、複数の信号帯域の信号に分割し、
複数の信号帯域の各々に対し、人の聴覚特性に応じて前記信号帯域の信号を補正し、
前記出力部は、前記複数の信号帯域の各々に対して補正された信号を加算して得られた信号が表す聴診音を出力する請求項1記載のスピーカ装置。
【請求項5】
聴診音を表す信号を送信する電子聴診器と、
請求項1~請求項4の何れか1項記載のスピーカ装置と、
を含むスピーカシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカ装置及びスピーカシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、イコライザーにより、心音と呼吸音のみを選別することができる電子聴診器が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、電子聴診器は、患者の聴診音をデジタルデータ化しデジタル無線伝送により、患者から離れた場所で診断が行えることを特徴としている。また、データ化された聴診音から受信端末側でデータ分析を容易に行うことが出来ることから、次世代の聴診器として注目されている。
【0005】
ここで、電子聴診器でデータ化された聴診音を複数人で聞くために、電子聴診器を使ったモニタースピーカを用いることが考えられる。聴診音をモニタースピーカで再生した場合、スピーカ出力音声がチェストピース側にフィードバックされ、ハウリングを引き起こすため、充分な再生出力を得ることが難しい。
【0006】
本発明は上記事実を考慮して、電子聴診器を用いる際に、ハウリングを抑制することができるスピーカ装置及びスピーカシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るスピーカ装置は、電子聴診器から聴診音を表す信号を受信する受信部と、前記受信部により受信した前記信号を、信号レベルが所定値以下では信号レベルを抑制するように補正する補正部と、補正された前記信号が表す聴診音を出力する出力部と、を含んで構成されている。
【0008】
本発明によれば、受信部によって、電子聴診器から聴診音を表す信号を受信する。補正部によって、前記受信部により受信した前記信号を、信号レベルが所定値以下では信号レベルを抑制するように補正する。そして、出力部によって、補正された前記信号が表す聴診音を出力する。
【0009】
このように、電子聴診器から受信した、聴診音を表す信号を、信号レベルが所定値以下では信号レベルを抑制するように補正する。これにより、電子聴診器を用いる際に、ハウリングを抑制することができる。
【0010】
本発明に係る前記補正部は、前記受信部により受信した前記信号を、複数の信号帯域の信号に分割し、前記複数の信号帯域の各々に対し、前記信号帯域の信号を、信号レベルが所定値以下では信号レベルを抑制するように補正し、前記出力部は、前記複数の信号帯域の各々に対して補正された信号を加算して得られた信号が表す聴診音を出力することができる。
【0011】
本発明に係る前記補正部は、更に、前記複数の信号帯域の各々に対し、人の聴覚特性に応じて前記信号帯域の信号を補正することができる。
【0012】
本発明に係る前記補正部は、前記受信部により受信した前記信号を、複数の信号帯域の信号に分割し、複数の信号帯域の各々に対し、人の聴覚特性に応じて前記信号帯域の信号を補正し、前記出力部は、前記複数の信号帯域の各々に対して補正された信号を加算して得られた信号が表す聴診音を出力することができる。
【0013】
本発明に係るスピーカシステムは、聴診音を表す信号を送信する電子聴診器と、上記のスピーカ装置と、を含んで構成されている。
【0014】
本発明によれば、電子聴診器によって、聴診音を表す信号を無線通信により送信する。受信部によって、電子聴診器から聴診音を表す信号を受信する。補正部によって、前記受信部により受信した前記信号を、信号レベルが所定値以下では信号レベルを抑制するように補正する。そして、出力部によって、補正された前記信号が表す聴診音を出力する。
【0015】
このように、電子聴診器から受信した、聴診音を表す信号を、信号レベルが所定値以下では信号レベルを抑制するように補正する。これにより、電子聴診器を用いる際に、ハウリングを抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、電子聴診器を用いる際に、ハウリングを抑制することができるスピーカ装置及びスピーカシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態に係るスピーカシステムの概略図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る電子聴診器の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るスピーカ装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】複数の信号帯域の各々に対し、人の聴覚特性に応じて信号帯域の信号を補正する方法を説明するための図である。
【
図6】複数の信号帯域の各々に対し、人の聴覚特性に応じて信号帯域の信号を補正し、かつ、信号帯域の信号を、信号レベルが所定値以下では信号レベルを抑制するように補正する方法を説明するための図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係るスピーカ装置のサブハーモニック発生部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0019】
<本発明の実施の形態の概要>
電子聴診器を用いたスピーカシステムは、設置環境を踏まえ、できる限り小型であることが求められる。
【0020】
また、心音などの聴診音には、20Hzからの低音が含まれるため、再生帯域の広いスピーカ装置であることが求められる。
【0021】
また、電子聴診器側に音量調整用ボリュームが存在するため、スピーカ装置側で適切なラウドネス等化を得るためには、電子聴診器側とスピーカ装置側で、音量の調整がそれぞれ必要となり、適切な音質での音響出力を得ることが難しい。ここで、ラウドネス等化とは、周波数によらず同じ音圧で聞こえるようにすることである。
【0022】
従来のオーディオシステムにおけるラウドネス等化のために、接続される音響機器間の基準レベルを規定する事により出力レベルに応じたフィルター特性を得ていたが、前述の通り、音響機器間にボリュームが介在した場合、適切なラウドネス等化を得ることは出来ない。
【0023】
そこで、本実施の形態では、スピーカシステムに入力される音源信号について、等ラウドネス曲線とスピーカシステム自体の特性から、感度の低い帯域、感度が比較的にリニアな帯域、感度が高い帯域にバンドパスフィルターを使い帯域分割し、それぞれの帯域の信号レベルをダイナミックに伸長圧縮する方法を使い、出力音響レベルに応じたラウドネスカーブを得る方法をとる。これにより、電子聴診器側とスピーカ装置側のそれぞれの音量調整レベルに応じたラウドネス等化をもつ音響出力を得ることができる。ここで、等ラウドネス曲線とは、等しい音の大きさと感じる周波数と音圧のマップを等高線として結んだものである。
【0024】
また、ハウリング対策として、放送設備等で利用されるハウリングサプレッサーを用いることが考えられるが、この方法ではハウリング周波数を検出し、その周波数をノッチフィルターで減衰させる方式をとるため、減衰させた周波数帯域の聴診音の情報を欠落させてしまう。
【0025】
そこで、本実施の形態では、チェストピースを身体から離した状態と密着させた時の耳に伝わる音の大きさの差に注目する。聴診器は、聴診したい位置にチェストピースのダイヤフラムを一定の力で密着させる事でダイヤフラムの振動を、ゴム管を通じ耳に伝える原理のため、密着させていない時の聴診音は小さい。一方で、チェストピースのダイヤフラムを身体より離した状態では音は小さいがダイヤフラムからハウリング径路を形成する。これらの条件から、チェストピースのダイヤフラムを身体より離した状態と身体に密着させた時の音量差から音量閾値を決め、音量閾値以下の場合に信号レベルを抑制する方法で、ハウリングを抑制する。
【0026】
また、ダイヤフラムを身体より離した状態で、電子聴診器の聴診音から音量閾値を決めた場合、チェストピースを触れる音や衣服に触れる音など様々な帯域ノイズにより閾値を高く設定しなければならず、身体にチェストピースをつけた場合においても信号レベルを抑制してしまうことがあった。そこで、本実施の形態では、ダイナミックラウドネスによる周波数帯域別の信号レベル補正を利用し、帯域毎にハウリングを抑制するための信号レベルの抑制を行う。その結果、閾値を低く抑えた実用性のあるハウリング抑制が可能となる。
【0027】
また、電子聴診器のモニターに要求される心音として、20Hz近い低調の音まで要求される。しかし、人の耳では200Hz以下の音が急激に聞こえにくくなるうえに、小型スピーカシステムにおける低音の再生は部屋の環境、試聴距離などによっても大きく影響を受けてしまう。そこで、本実施の形態では、高調波を用いた低音再生技術を応用する。スピーカシステムとしての再生限界の低音帯域の信号をバンドパスフィルターにより抽出し、抽出した低音帯域の信号から2次及び3次にあたる高調波帯域をバンドパスフィルターにより抽出し、聴診音として再生する。このように、周波数シフトさせた違和感の少ない聴診音として再生される。2次及び3次高調波を使う理由は、音の性質として完全5度上の協和音にあたり、オクターブの関係に次ぐ協和性を持つ音の関係となり、音程感を持った低音再生が可能になるためである。
【0028】
<本発明の実施の形態のスピーカシステムの構成>
図1は、本発明の実施の形態に係るスピーカシステム100の概略図を示している。
【0029】
図1に示すように、スピーカシステム100は、電子聴診器10と、スピーカ装置20とを備えている。
【0030】
電子聴診器10は、
図2に示すように、チェストピース部30と、音声増幅器32と、音質補正部34と、音量調整部36と、無線通信部38とを備えている。
【0031】
チェストピース部30は、被験者の聴診したい部位に配置され、チェストピース部30のダイヤフラム(図示省略)が、一定の力で、被験者の部位に密着される。
【0032】
音声増幅器32は、チェストピース部30のダイヤフラムの振動を入力として受け付け、ダイヤフラムの振動を表す音源信号を増幅して出力する。
【0033】
音質補正部34は、音声増幅器32から出力された音源信号に対して、音質を補正するように補正処理を行う。
【0034】
音量調整部36は、音質補正部34から出力された音源信号に対して、電子聴診器10側の音量調整用ボリュームに対する操作に応じて音量を調整するように調整処理を行う。
【0035】
無線通信部38は、音量調整部36から出力された音源信号を、無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標))によりスピーカ装置20へ送信する。
【0036】
スピーカ装置20は、
図3に示すように、受信部としての無線通信部40と、音質調整部42と、音量調整部44と、補正部46と、サブハーモニック発生部48と、加算部49と、パワーアンプ部51と、出力部としてのスピーカ部53とを備えている。
【0037】
無線通信部40は、電子聴診器10から音源信号を受信する。音質調整部42は、受信した音源信号に対して、音質を調整(補正)するように調整処理を行う。音量調整部44は、音質調整部42から出力された音源信号に対して、スピーカ装置20側の音量調整用ボリュームに対する操作に応じて音量を調整するように調整処理を行う。
【0038】
補正部46は、音量調整部44から出力された音源信号に対して、信号レベルが所定値以下では、信号レベルを抑制するように補正する。
【0039】
具体的には、補正部46は、音源信号を、複数の信号帯域の信号に分割し、複数の信号帯域の各々に対し、当該信号帯域の信号レベルが所定値以下では、信号レベルを抑制するように補正し、更に、複数の信号帯域の各々に対し、人の聴覚特性に応じて当該信号帯域の信号を補正する。
【0040】
より具体的には、音源信号を、感度の低い帯域Low、感度が比較的にリニアな帯域Mid-Low、感度が高い帯域Mid-Hi、更に高域な帯域Hiに、バンドパスフィルターを使い帯域分割する(
図4参照)。
【0041】
それぞれの信号帯域に対し、人の聴覚特性に応じて当該信号帯域の信号レベルを補正する。例えば、
図5に示すように、感度の低い帯域Lowでは、信号レベルが低いほど信号レベルを高くするように補正し、感度が比較的にリニアな帯域Mid-Lowでは、補正をしない。また、感度が高い帯域Mid-Hiでは、信号レベルが高いほど信号レベルを抑えるように補正し、高域な帯域Hiでは、信号レベルが低いほど信号レベルを高くするように補正する。
【0042】
また、補正部46は、それぞれの信号帯域に対して信号レベルを補正する際に、
図6に示すように、それぞれの信号帯域に対し、信号レベルが閾値以下では信号レベルを抑制するように補正する。
【0043】
サブハーモニック発生部48は、スピーカ装置20の再生限界の低音帯域から、周波数シフトさせた聴診音として再生するための音源信号を発生させる。
【0044】
具体的には、
図7に示すように、サブハーモニック発生部48は、再生外低域帯抽出部50と、高調波発生部52と、2次及び3次高調波抽出部54と、効果レベル調整部56とを備えている。
【0045】
再生外低域帯抽出部50は、音量調整部44から出力された音源信号から、スピーカ装置20の再生限界の低音帯域の信号をバンドパスフィルターにより抽出する。
【0046】
高調波発生部52は、再生外低域帯抽出部50によって抽出された低音帯域の信号から、高調波帯域の信号を発生させる。
【0047】
2次及び3次高調波抽出部54は、高調波発生部52から出力された高調波帯域の信号から、2次及び3次にあたる高調波帯域の信号をバンドパスフィルターにより抽出する。
【0048】
効果レベル調整部56は、2次及び3次高調波抽出部54から出力された、2次及び3次にあたる高調波帯域の信号について、信号レベルを調整し、周波数シフトさせた聴診音として再生するための音源信号を出力する。
【0049】
加算部49は、補正部46により複数の信号帯域の各々に対して補正された信号と、サブハーモニック発生部48により出力された、周波数シフトさせた聴診音として再生するための音源信号とを加算して出力する。
【0050】
パワーアンプ部51は、加算部49の出力を、スピーカ部53へ出力する。
【0051】
スピーカ部53は、パワーアンプ部51の出力から、聴診音を出力する。具体的には、スピーカ部53は、音源信号に基づいてドライバの振動板(図示省略)を振動させる制御信号を出力する駆動回路と、駆動回路の出力に応じて振動板を振動させる駆動部とを備えている。ここで、ドライバは、ボイスコイル及び磁気回路を含む。駆動回路は、入力された音源信号に応じた制御信号をボイスコイルに出力し、磁気回路によりドライバの振動板を振動させる。
【0052】
<本発明の実施の形態のスピーカシステムの動作>
ユーザが、電子聴診器10のチェストピース部30を把持して、チェストピース部30のダイヤフラムを、被験者の部位に密着させる。
【0053】
電子聴診器10の音声増幅器32は、チェストピース部30のダイヤフラムの振動を入力として受け付け、ダイヤフラムの振動を表す音源信号を増幅して出力する。音質補正部34は、音声増幅器32から出力された音源信号に対して、音質を補正するように補正処理を行う。音量調整部36は、音質補正部34から出力された音源信号に対して、電子聴診器10側の音量調整用ボリュームに対する操作に応じて音量を調整するように調整処理を行う。
【0054】
そして、電子聴診器10の無線通信部38は、音量調整部36から出力された音源信号を、無線通信によりスピーカ装置20へ送信する。
【0055】
次に、スピーカ装置20の無線通信部40は、電子聴診器10から音源信号を受信する。音質調整部42は、受信した音源信号に対して、音質を補正するように補正処理を行う。音量調整部44は、音質調整部42から出力された音源信号に対して、スピーカ装置20側の音量調整用ボリュームに対する操作に応じて音量を調整するように調整処理を行う。
【0056】
そして、スピーカ装置20の補正部46は、音源信号を、複数の信号帯域の信号に分割し、複数の信号帯域の各々に対し、当該信号帯域の信号の信号レベルが所定値以下では、信号レベルを抑制するように補正し、更に、複数の信号帯域の各々に対し、人の聴覚特性に応じて当該信号帯域の信号を補正する。また、サブハーモニック発生部48は、スピーカ装置20の再生限界の低音帯域から、周波数シフトさせた聴診音として再生するための音源信号を発生させる。
【0057】
そして、スピーカ装置20の加算部49は、補正部46により複数の信号帯域の各々に対して補正された信号と、サブハーモニック発生部48により出力された、周波数シフトさせた聴診音として再生するための音源信号とを加算して得られた信号を出力する。パワーアンプ部51は、加算部49の出力を、スピーカ部53へ出力する。スピーカ部53は、パワーアンプ部51の出力から、聴診音を出力する。
【0058】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係るスピーカシステムによれば、電子聴診器から受信した、聴診音を表す信号を、信号レベルが所定値以下では信号レベルを抑制するように補正することにより、電子聴診器を用いる際に、ハウリングを抑制することができる。
【0059】
チェストピースを身体に当てた時の音量と、身体から離したときの音量とに基づいて決定された音量閾値より信号レベルが低い場合に、信号レベルを抑制するように補正することにより、音声情報を欠落させることなくハウリングを抑制することができる。このとき、帯域分割をして、ハウリングを抑制するように信号レベルを補正するため、心音以外を聴診してしまうことを防止することができる。
【0060】
また、等ラウドネス曲線(人間の感度)に基づいて、帯域分割をし、分割された各帯域において、聴診音を表す信号を補正することにより、適切なラウドネスカーブを得て、小さい音であっても、聴診音(再生周波数の広い帯域)を再生できる。
【0061】
また、人間が聞き取り難い低音域(例えば、20Hz)の高調波(倍音)を生成して再生することにより、低音域を再生することができ、聴診音としてあってはいけない低い周波数の雑音を再生することができる。
【0062】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
例えば、聴診音を表す信号は、有線通信により、電子聴診器に送信されてもよい
【符号の説明】
【0063】
10 電子聴診器
20 スピーカ装置
30 チェストピース部
32 音声増幅器
34 音質補正部
36 音量調整部
38 無線通信部
40 無線通信部
42 音質調整部
44 音量調整部
46 補正部
48 サブハーモニック発生部
49 加算部
50 再生外低域帯抽出部
51 パワーアンプ部
52 高調波発生部
53 スピーカ部
54 2次及び3次高調波抽出部
56 効果レベル調整部
100 スピーカシステム