(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023017338
(43)【公開日】2023-02-07
(54)【発明の名称】計測装置及び計測プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/34 20130101AFI20230131BHJP
G01D 9/00 20060101ALI20230131BHJP
G06F 21/62 20130101ALI20230131BHJP
【FI】
G06F21/34
G01D9/00 A
G06F21/62 318
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021121544
(22)【出願日】2021-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000105062
【氏名又は名称】グラフテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】小間 功
(72)【発明者】
【氏名】松本 信
【テーマコード(参考)】
2F070
【Fターム(参考)】
2F070AA01
2F070BB10
2F070CC04
2F070CC11
2F070FF13
2F070GG10
2F070HH06
2F070HH08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】不特定ユーザによる操作を防止するとともに、計測記録装置に対する機能制限、及び計測データに対するアクセス制限を、より柔軟に行う計測装置及び計測プログラムを提供する。
【解決手段】計測記録装置1(計測装置)は、計測データを取得する取得部と、計測データを記録する計測データ記録部と、操作入力を受け付ける操作入力部と、操作入力部のロック状態を制御するロック制御部と、パスワードが記憶された可搬型記録媒体を装着可能な装着部と、所定の秘密情報を記憶する秘密情報記憶部と、パスワードが、秘密情報と、所定の数値又は所定の文字列からなる認証パラメータを有しているか否かを判定する認証部と、認証パラメータに基づいて、所定の機能の実行を制限する機能制限部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測データを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記計測データを記録する計測データ記録部と、
前記計測データに関する操作入力を受け付ける操作入力部と、
前記操作入力部のロック状態を制御するロック制御部と、
パスワードが記憶された可搬型記録媒体を装着可能な装着部と、
所定の秘密情報を記憶する秘密情報記憶部と、
前記パスワードが、前記秘密情報と、所定の数値又は所定の文字列からなる認証パラメータを有しているか否かを判定する認証部と、
前記認証部が、前記パスワードが前記秘密情報及び前記認証パラメータを有していると判定した場合に、前記認証パラメータに基づいて、所定の機能の実行を制限する機能制限部と、
を有することを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記認証パラメータは、前記機能制限部による制限レベルを規定するレベル情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記パスワードには、前記秘密情報のみからなる第一の形式を有するパスワードと、前記秘密情報に対して前記レベル情報が付加された第二の形式を有するパスワードと、前記秘密情報に対して前記レベル情報及び計測装置を識別可能な計測装置識別情報が付加された第三の形式を有するパスワードが含まれることを特徴とする請求項2に記載の計測装置。
【請求項4】
前記認証部は、前記パスワードが前記第一の形式と、前記第二の形式と、前記第三の形式のいずれの形式を有しているかを特定可能な形式情報を取得し、該形式情報に基づいて、前記パスワードが前記秘密情報及び前記認証パラメータを有しているか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載の計測装置。
【請求項5】
前記認証部は、前記形式情報に基づいて、前記秘密情報に対して前記認証パラメータを付加した照合用パスワードを生成し、前記パスワードと前記照合用パスワードを照合することによって前記パスワードが前記秘密情報及び前記認証パラメータを有しているか否かを判定することを特徴とする請求項4に記載の計測装置。
【請求項6】
前記認証部は、前記形式情報に基づいて、前記パスワードから照合用秘密情報及び前記認証パラメータを抽出し、前記秘密情報と前記照合用秘密情報を照合することによって前記パスワードが前記秘密情報及び前記認証パラメータを有しているか否かを判定することを特徴とする請求項4に記載の計測装置。
【請求項7】
前記計測装置は、外部の情報通信機器と通信可能な通信部を有し、
前記可搬型記録媒体は、前記取得部が取得した計測データを記録する計測データ記憶領域と、前記パスワードを記憶可能なパスワード記憶領域と、を有し、
前記機能制限部は、前記通信部を介して前記外部の情報通信機器から前記計測データ記憶領域に記録された計測データに対してアクセスする機能を制限することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の計測装置。
【請求項8】
前記機能制限部は、前記可搬型記録媒体に記憶されたパスワードの編集機能を制限することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の計測装置。
【請求項9】
計測データを取得する取得手段、
前記計測データに関する操作入力を受け付ける操作入力手段、
前記操作入力手段のロック状態を制御するロック制御手段、
装着部に装着可能な可搬型記録媒体に記憶されたパスワードが、秘密情報記憶部に記憶された秘密情報と、所定の数値又は所定の文字列からなる認証パラメータを有しているか否かを判定する認証手段、
前記認証手段が、前記パスワードが前記秘密情報及び前記認証パラメータを含んでいると判定した場合に、前記認証パラメータに基づいて、所定の機能の実行を制限する機能制限手段、
として計測装置を機能させることを特徴とする計測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置及び計測プログラムに係り、特に、可搬型記録媒体を装着可能な計測装置及び計測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
計測記録装置は、各種のセンサを介して信号を取得し、取得した信号を記録する機能を有しており、一般にデータ・ロガーとも呼ばれている。計測記録装置は、本体内に記録媒体を内蔵するとともに、可搬型の記録媒体を装着可能な装着部を有しており、センサの出力信号を内蔵記録媒体又は可搬型記録媒体に記録することができるように構成されている。
【0003】
近年、計測記録装置の普及が進み、様々な場面で利用される機会が増加している。その一方で、不特定のユーザによって計測記録装置が不用意に操作されることや、記録媒体に収録された計測データに対する不正なアクセスを防止するための対策が求められている。
【0004】
特許文献1には、測定装置の操作入力部をロック状態としたり、ロック状態を解除したりする操作ロック部が開示されている。そして、測定装置に可搬型の記録媒体が装着されると、可搬型の記録媒体に記憶された照合値と測定装置に予め記憶された情報から生成された照合値が一致するか否かを判定し、一致した場合に測定装置の操作入力部のロック状態を解除する。これにより、不特定のユーザが操作入力部を操作することを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された測定装置によれば、不特定のユーザによって測定装置が操作されてしまうことを防止することができる。またユーザは、ロック状態を解除するためにパスワードを入力する必要がないため、ロック解除のために煩わしさを感じることがない。
しかしながら、単に操作入力部をロック状態とロック解除状態との間で遷移させるだけでなく、より柔軟な機能制限とアクセス制限を可能とするための更なる改善が望まれていた。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、不特定ユーザによる操作を防止するとともに、計測装置に対する機能制限、及び計測データに対するアクセス制限を、より柔軟に行うことができる計測装置及び計測プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、本発明の計測装置によれば、計測データを取得する取得部と、前記取得部が取得した前記計測データを記録する計測データ記録部と、前記計測データに関する操作入力を受け付ける操作入力部と、前記操作入力部のロック状態を制御するロック制御部と、パスワードが記憶された可搬型記録媒体を装着可能な装着部と、所定の秘密情報を記憶する秘密情報記憶部と、前記パスワードが、前記秘密情報と、所定の数値又は所定の文字列からなる認証パラメータを有しているか否かを判定する認証部と、前記認証部が、前記パスワードが前記秘密情報及び前記認証パラメータを有していると判定した場合に、前記認証パラメータに基づいて、所定の機能の実行を制限する機能制限部と、を有することにより解決される。
【0009】
上記構成によれば、認証部は、可搬型記録媒体に格納されたパスワードが、予め記憶された秘密情報と認証パラメータを有しているか否かを判定する。そしてパスワードが、秘密情報及び認証パラメータを有していると判定された場合、機能制限部は、認証パラメータに基づいて計測装置が有する機能の制限を行う。また、ロック制御部は操作入力部のロック状態を解除する。
これにより計測装置は、不特定ユーザによる操作を防止するとともに、認証パラメータに応じて計測装置に対する機能制限、及び計測データに対するアクセス制限を柔軟に設定することができる。
また、パスワードは可搬型記録媒体に格納されているため、ユーザが計測装置に対してパスワードを入力する必要がなく、認証に係る手間を軽減することができる。
【0010】
また、前記認証パラメータは、前記機能制限部による制限レベルを規定するレベル情報を含むと好適である。
上記構成によれば、制限レベルに応じて計測装置に対する機能制限、及び計測データに対するアクセス制限を柔軟に設定することができる。
【0011】
また、前記パスワードには、前記秘密情報のみからなる第一の形式を有するパスワードと、前記秘密情報に対して前記レベル情報が付加された第二の形式を有するパスワードと、前記秘密情報に対して前記レベル情報及び計測装置を識別可能な計測装置識別情報が付加された第三の形式を有するパスワードが含まれると好適である。
上記構成によれば、パスワードが第一の形式、第二の形式、第三の形式のいずれの形式を有するかに応じて計測装置に対する機能制限、及び計測データに対するアクセス制限を柔軟に設定することができる。
【0012】
また、前記認証部は、前記パスワードが前記第一の形式と、前記第二の形式と、前記第三の形式のいずれの形式を有しているかを特定可能な形式情報を取得し、該形式情報に基づいて、前記パスワードが前記秘密情報及び前記認証パラメータを有しているか否かを判定すると好適である。
上記構成によれば、認証部は、形式情報に基づいてパスワードの照合を行うため、無用な照合を繰り返す必要がなく、効率的な認証処理が可能となる。
【0013】
また、前記認証部は、前記形式情報に基づいて、前記秘密情報に対して前記認証パラメータを付加した照合用パスワードを生成し、前記パスワードと前記照合用パスワードを照合することによって前記パスワードが前記秘密情報及び前記認証パラメータを有しているか否かを判定すると好適である。
上記構成によれば、認証部は、形式情報に基づいて照合用パスワードを生成するため、照合用パスワードの生成を無用に繰り返す必要がなく、効率的な認証処理が可能となる。
【0014】
また、前記認証部は、前記形式情報に基づいて、前記パラメータから照合用秘密情報及び前記認証パラメータを抽出し、前記秘密情報と前記照合用秘密情報を照合することによって前記パスワードが前記秘密情報及び前記認証パラメータを有しているか否かを判定すると好適である。
上記構成によれば、認証部は、形式情報に基づいて照合用秘密情報を生成するため、照合用秘密情報の生成を無用に繰り返す必要がなく、効率的な認証処理が可能となる。
【0015】
また、前記計測装置は、外部の情報通信機器と通信可能な通信部を有し、前記可搬型記録媒体は、前記取得部が取得した計測データを記録する計測データ記憶領域と、前記パスワードを記憶可能なパスワード記憶領域と、を有し、前記機能制限部は、前記通信部を介して前記外部の情報通信機器から前記計測データ記憶領域に記録された計測データに対してアクセスする機能を制限すると好適である。
上記構成によれば、可搬型記録媒体に記録された計測データに対するアクセス制限を柔軟に設定することができる。
【0016】
また、前記機能制限部は、前記可搬型記録媒体に記憶されたパスワードの編集機能を制限すると好適である。
上記構成によれば、可搬型記録媒体に記録されたパスワードに対する機能制限を柔軟に設定することができる。
【0017】
前記課題は、本発明の計測プログラムによれば、計測データを取得する取得手段、前記計測データに関する操作入力を受け付ける操作入力手段、前記操作入力手段のロック状態を制御するロック制御手段、装着部に装着可能な可搬型記録媒体に記憶されたパスワードが、秘密情報記憶部に記憶された秘密情報と、所定の数値又は所定の文字列からなる認証パラメータを有しているか否かを判定する認証手段、前記認証手段が、前記パスワードが前記秘密情報及び前記認証パラメータを含んでいると判定した場合に、前記認証パラメータに基づいて、所定の機能の実行を制限する機能制限手段、として計測装置を機能させることにより解決される。
【0018】
上記構成によれば、認証手段は、可搬型記録媒体に格納されたパスワードが、予め記憶された秘密情報と認証パラメータを有しているか否かを判定する。そしてパスワードが、秘密情報及び認証パラメータを有していると判定された場合、機能制限手段は、認証パラメータに基づいて計測装置が有する機能の制限を行う。また、ロック制御手段は操作入力手段のロック状態を解除する。
これにより計測装置は、不特定ユーザによる操作を防止するとともに、認証パラメータに応じて計測装置に対する機能制限、及び計測データに対するアクセス制限を柔軟に設定することができる。
また、パスワードは可搬型記録媒体に格納されているため、ユーザが計測装置に対してパスワードを入力する必要はなく、認証に係る手間を軽減することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の計測装置及び計測プログラムによれば、不特定ユーザによる操作入力を防止するとともに、計測装置に対する機能制限、及び計測データに対するアクセス制限を、より柔軟に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図4】パスワードの形式と機能制限テーブルの一例を示す図である。
【
図6】計測記録装置の機能構成の変形例を示す図である。
【
図7】ロック解除処理の流れの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、
図1乃至
図7を参照しながら、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)に係る計測記録装置1について説明する。本実施形態に係る計測記録装置1(計測装置)は、持ち運び可能な外形寸法及び重量を有し、温度及び湿度等の計測が可能な複数の計測チャンネルと、計測データを記録可能な記録媒体を備えている。
なお、計測記録装置1は、
図2に示すように、横置きの状態、又は後述する背面2bに配設された支持脚(不図示)によって水平面に対して若干の傾きを持たせた状態で使用される。
【0022】
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0023】
<計測記録装置1の主要構成>
本実施形態に係る計測記録装置1の主要構成について説明する。
図1及び
図2は、それぞれ計測記録装置1の外観を示す正面図、及び斜視図である。
図1及び
図2に示すように、計測記録装置1は、筐体2を有する。
本明細書において、
図2に示すように計測記録装置1を横置きにした状態において、筐体2の鉛直方向上向きに形成された面を、正面2aと呼び、鉛直方向下向きであって正面2aと反対側の面を背面2bと呼ぶ。また、計測記録装置1の正面2aに正対するユーザの右手側、左手側に形成された側面を、それぞれ筐体2の右側面2c、左側面2dと呼ぶ。そして、
図1に示すように、計測記録装置1の正面2a、右側面2c、及び左側面2dと直交する面を上面2e及び下面2fと呼ぶ。
【0024】
筐体2の上面2eには、複数のセンサを同時に接続可能な多チャンネル入力コネクタ3と、湿度センサを接続可能な湿度センサ用コネクタ4が配設されている。
多チャンネル入力コネクタ3は、20組の入力端子(入力チャンネル)から構成されており、各入力チャンネルに温度センサ(熱電対又は三線式の測温抵抗体)等を接続することにより最大で20チャンネルの計測データを同時に取得することができる。
なお、多チャンネル入力コネクタ3の入力チャンネル数は、20チャンネルに限定されない。すなわち、多チャンネル入力コネクタ3が20以上の入力チャンネルを有していてもよい。また、接続するセンサの種類は、温度センサに限定されない。電圧センサ又は電流センサを接続することも可能である。
湿度センサ用コネクタ4には、容量式湿度センサ又は抵抗式湿度センサを接続することができる。
【0025】
筐体2の右側面2cには、多目的入力コネクタ5が配設されている。多目的入力コネクタ5は、温度センサ、湿度センサの他に、照度センサ、紫外線センサ、二酸化炭素センサなど、さまざまな計測データを取得可能なセンサ・インターフェースを有している。計測記録装置1は、多目的入力コネクタ5に接続するセンサを交換することによって様々な種類の計測データを取得することができる。
なお、接続可能なセンサの種類は上述したセンサに限定されない。例えば加速度センサが接続可能であってもよい。
【0026】
筐体2の正面2aには、液晶表示装置からなる表示パネル6及び3つの発光ダイオードからなる状態表示部7が配設されている。表示パネル6には、多チャンネル入力コネクタ3、湿度センサ用コネクタ4、又は多目的入力コネクタ5から入力された計測データの経時変化を示す波形を表示する波形表示画面が表示される。
状態表示部7は、電源LED7aと、収録中LED7bと、充電中LED7cと、を有している。電源LED7aは、点灯、又は消灯することによって、計測記録装置1に対して電気エネルギーが投入された状態にあるか否かを示す。収録中LED7bは、後述する記録部26に対して計測データを記録中の状態であるか否かを示す。充電中LED7cは、後述する二次電池12が充電中の状態にあるか否かを示す。
【0027】
筐体2の正面2aには、操作キー8が配設されている。操作キー8は、計測記録装置1に対して設定入力を行い、計測データを取得し、又は予め記録された計測データを再生するために操作される。
筐体2の右側面2cには、電源投入スイッチ9が配設されており、ユーザは、電源投入スイッチ9を操作することにより、計測記録装置1に対して電気エネルギーを投入することができる。
【0028】
筐体2の右側面2cには、第一の記録媒体挿入部10Aが形成されており、可搬型記録媒体31を挿入することができる。また、筐体2の上面2eには、第二の記録媒体挿入部10Bが形成されており、可搬型記録媒体31を挿入することができる。可搬型記録媒体31は、カード型の不揮発性記録媒体であって、例えばSDカードメモリである。第一の記録媒体挿入部10A及び第二の記録媒体挿入部10Bは、装着部に相当する。
【0029】
計測記録装置1は、取得した計測データを、計測記録装置1に内蔵された本体記録部30、第一の記録媒体挿入部10Aに装着された可搬型記録媒体31、又は第二の記録媒体挿入部10Bに装着された可搬型記録媒体31に記録することができる。
図1及び
図2において、計測記録装置1は、2つの記録媒体挿入部(第一の記録媒体挿入部10Aと第二の記録媒体挿入部10B)を有しているが、記録媒体挿入部の数は1つであってもよい。第一の記録媒体挿入部10Aに装着される可搬型記録媒体31と第二の記録媒体挿入部10Bに装着される可搬型記録媒体31は、同一の記録媒体であってもよいし、互いに異なる記録媒体であってもよい。以下の説明において、第一の記録媒体挿入部10Aと第二の記録媒体挿入部10Bを特に区別する必要がない場合には、単に記録媒体挿入部10という。
【0030】
第一の記録媒体挿入部10A及び第二の記録媒体挿入部10Bを、保護カバーで被覆することによって異物が侵入することを防止してもよい。これにより、異物の侵入によって記録媒体挿入部10と可搬型記録媒体31との間の電気的な接続状態が悪化してしまうことを防止することができる。
【0031】
計測記録装置1は、左側面2dに、外部の情報通信機器と通信するための通信ケーブルを接続可能な通信コネクタ(不図示)を有している。これにより、計測記録装置1は、取得した計測データを外部の情報通信機器に送信することができるとともに、外部の情報通信機器から計測データを受信して表示パネル6に再生表示することができる。
また、筐体2の上面2eには、無線通信ユニットを装着可能な無線通信ユニット接続コネクタ11が形成されている。計測記録装置1に無線通信ユニットを装着することにより、無線通信回線を介して計測データを送受信することができる。これにより、計測記録装置1を持ち運びながら計測を行う場合であっても、通信ケーブルを引き回す必要がないため、利便性が向上する。
【0032】
筐体2の左側面2dには、電源コネクタ(不図示)が形成されており、計測記録装置1が必要とする電気エネルギーを、電源コネクタを介して外部電源から供給することができる。
また、筐体2の背面2bには、二次電池12を装着可能なバッテリー装着スロット(不図)が形成されている。計測記録装置1は、左側面2dに形成された電源コネクタを介して外部電源から電源供給されていない時には、二次電池12に蓄積された電気エネルギーを利用することができる。
【0033】
筐体2の背面2bには、支持脚(不図示)が配設されている。支持脚は、背面2bから突出した状態と突出しない状態との間で変位可能な突片である。支持脚を背面2bから突出した状態とすることにより、計測記録装置1を、横置き状態(水平状態)に対して所定の傾斜角度を有する状態に固定することができる。これにより、計測記録装置1とユーザとの相対的な位置関係に応じて計測記録装置1を適切な角度に固定して使用することが可能となり、表示パネル6の視認性及び操作キー8の操作性が向上する。
【0034】
<計測記録装置1の機能構成>
次に、計測記録装置1の機能構成について説明する。
図3は、計測記録装置1の機能構成を示す図である。
図3に示すように、計測記録装置1は、その機能構成として、取得部20と、操作入力部21と、秘密情報記憶部22と、電源部23と、表示部24と、通信部25と、記録部26と、制御部27を有している。
取得部20は、各種センサSが検出した計測データを取得する。取得部20は、各種センサSが出力する電気信号を増幅するための増幅器や、検出信号からノイズ成分を除去するためのノイズ除去フィルタや、アナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器を含んでいる。
なお、本明細書において、取得部20が取得した計測データと、予め記録部26に格納されていた計測データと、外部の情報通信機器から通信部25を介して受信した計測データを区別する必要がない場合には、単に計測データという。また、計測データは、温度や湿度等の物理量に限定されない。各種センサSが検出した信号であればよく、例えば画像データや音声データであってもよい。
【0035】
操作入力部21は、ユーザの操作入力を受け付ける操作キー8である。操作入力部21は、表示パネル6を介してユーザの操作を入力可能なタッチ式センサであってもよい。
秘密情報記憶部22は、不揮発性メモリであって、例えばフラッシュメモリである。秘密情報記憶部22には、秘密情報と形式情報が記憶されている。詳細は後述するが、秘密情報とは、可搬型記録媒体31に記憶されたパスワードと照合するための照合用パスワードを生成するための元となる情報である。秘密情報は、不特定の第三者に対して秘密の状態にされるべき任意の文字又は数字からなる文字列である。形式情報とは、パスワードが第一の形式、第二の形式、第三の形式のいずれの形式を有しているかを特定可能な情報である。照合用パスワードは、形式情報に基づいて生成することができる。
秘密情報及び形式情報が第三者に漏洩してしまうことを防止するために、秘密情報及び形式情報に対して秘匿化処理を施した状態で秘密情報記憶部22に記憶することとしてもよい。
【0036】
電源部23は、外部電源から(例えば商用電源からACアダプタを介して)電力の供給を受けることができ、計測記録装置1の各構成部品に対して電力を供給する。
電源部23はまた、二次電池12を有している。二次電池12は、リチウムイオン電池であって、電源コネクタに外部電源が接続された場合には、外部電源から供給される電気エネルギーを蓄電する。電源コネクタに外部電源が接続されていない場合には、蓄電された電気エネルギーを、計測記録装置1の各構成部品に対して供給する。二次電池12は、計測記録装置1の背面2bに着脱可能なバッテリーパックである。
【0037】
表示部24は、液晶表示装置からなり、取得部20が取得した計測データの経時的な変化を示す波形をリアルタイム表示する。また、後述する記録部26に記録された計測データを再生して表示(オフライン表示)することも可能である。
通信部25は、外部の情報通信機器との間に通信回線を確立可能な通信インターフェースである。通信回線は、有線、又は無線による通信回線であって、例えばイーサネット通信回線、USB通信回線、無線LAN通信回線が含まれる。
【0038】
記録部26は、計測記録装置1に内蔵された本体記録部30と、第一の記録媒体挿入部10Aに装着された可搬型記録媒体31と、第二の記録媒体挿入部10Bに装着された可搬型記録媒体31からなる。本体記録部30は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、あるいはフラッシュメモリ等からなる不揮発性の補助記憶装置である。
可搬型記録媒体31は、ユーザが携帯可能な記録媒体であって、SDカードメモリである。ただし、可搬型記録媒体31は、SDカードメモリに限定されない。ユーザが携帯可能な記録媒体であって、記録媒体挿入部10に装着することができればよく、例えば、USBメモリであってもよい。
【0039】
本体記録部30と可搬型記録媒体31には、取得部20が取得した計測データが記録される。本体記録部30及び可搬型記録媒体31は、計測データ記録部に相当する。
また可搬型記録媒体31には、パスワードが記録される。すなわち、可搬型記録媒体31は、計測データを記録する計測データ記憶領域と、パスワードを記憶可能なパスワード記憶領域が形成されている。後述するように、パスワードは、照合用パスワード生成部41が生成する照合用パスワードと照合される。可搬型記録媒体31に記憶されたパスワードと照合用パスワードが一致する場合には、計測記録装置1の操作キー8のロック状態が解除される。ユーザは、計測記録装置1にパスワードを入力することなく、可搬型記録媒体31を計測記録装置1に装着するだけで操作キー8のロック状態を解除することができる。
【0040】
制御部27は、CPU(コンピュータに相当)と、ROM(不揮発性メモリ)とRAM(揮発性メモリ)から構成されており、計測記録装置1全体の制御を司る。CPUは、ROMに格納されたプログラム・モジュール群のうち、必要なプログラム・モジュールをRAMにロードして順次実行する。これにより、制御部27は、認証部40、照合用パスワード生成部41、機能制限部42及びロック制御部43として機能する。
【0041】
認証部40は、可搬型記録媒体31に記憶されたパスワードと、照合用パスワード生成部41が生成する照合用パスワードとを照合することによって可搬型記録媒体31の認証を行う。
照合用パスワード生成部41は、秘密情報記憶部22に記憶された秘密情報及び形式情報を取得し、照合用パスワードを生成する。すなわち、形式情報が第一の形式を示す場合には、第一の形式を有する照合用パスワードを生成する。そして、形式情報が第二の形式を示す場合には、第二の形式を有する照合用パスワードを生成する。形式情報が第三の形式を示す場合には、第三の形式を有する照合用パスワードを生成する。
【0042】
ここで、パスワードが有する形式(フォーマット)について説明する。
図4は、パスワードの形式と機能制限テーブル44の一例を示している。
計測記録装置1の管理者は、第一の形式、第二の形式、第三の形式のいずれかの形式を選択して、秘密情報を設定することができる。すなわちパスワードには、第一の形式を有するパスワードと、第二の形式を有するパスワードと、第三の形式を有するパスワードが含まれうる。
第一の形式を有するパスワードは、従来からある一般的なパスワードと同様の目的で用いられる。すなわち、制御部27は、パスワードの照合に成功すると、ユーザを正当なユーザとみなして計測記録装置1に対する操作を許可する。一方、パスワードの照合に失敗した場合、制御部27は、ユーザを不正なユーザとみなして計測記録装置1に対する操作を許可しない。パスワードは、個人のユーザのみが把握する情報であってもよいし、複数のユーザ、例えば同一のグループに所属するユーザの間で共有する秘密情報であってもよい。
【0043】
第一の形式は、任意の文字及び数字からなる文字列であって、不特定の第三者に対して秘密の状態で管理される秘密情報からなる形式である。
図4において、第一の形式を有するパスワード「xxxxxxxx」は、計測記録装置1の管理者によって設定された秘密情報である。管理者が第一の形式のパスワードを選択した場合、管理者によって入力された秘密情報は、秘密情報記憶部22に記憶されるとともに、同一の情報が可搬型記録媒体31にパスワードとして記憶される。
【0044】
第二の形式を有するパスワードは、従来からある一般的なパスワードに対して、レベル情報が付加された形式を有している。つまり、第二の形式を有するパスワードは、ユーザを認証するだけでなく、認証されたユーザに対して、レベル情報に基づいた機能制限をかけることを目的として用いられる。パスワードは、個人のユーザのみが把握する情報であってもよいし、複数のユーザ、例えば同一のグループに所属するユーザの間で共有する秘密情報であってもよい。
ここでレベル情報とは、後述する機能制限部42による制限レベルを規定する情報である。計測記録装置1の管理者は、秘密情報とともにレベル情報を入力することによって、計測記録装置1に対する機能制限を柔軟に設定することが可能となる。レベル情報は、認証パラメータに相当する。
【0045】
第二の形式は、レベル情報と秘密情報とを連結した文字列からなる形式である。
図4において、第二の形式を有するパスワードの先頭に位置する「L」は、「0」から「5」までの数字からなるレベル情報である。「xxxxxxxx」は、上述した秘密情報である。計測記録装置1の管理者が第二の形式のパスワードを選択した場合、管理者によって設定された秘密情報とレベル情報は、秘密情報記憶部22に記憶されるとともに、秘密情報に対してレベル情報が付加されたパスワードとして可搬型記録媒体31に記憶される。
【0046】
レベル情報に基づいた機能制限は、
図4に示す機能制限テーブル44によって定義される。
図4に示すように、機能制限テーブル44には、レベル情報と、各レベルについて計測記録装置1が有する所定の機能が許可されるか否か、及び許可条件がある場合にはその許可条件が格納される。
機能制限テーブル44は、計測記録装置1の起動とともに制御部27によって読み込まれる。
【0047】
レベル情報が「0」の場合、計測記録装置1に通信接続された外部の情報通信機器から、計測データを計測記録装置1に対して転送し、又は計測記録装置1から外部の情報通信機器に対して計測データを転送する機能の実行は許可されない。すなわち外部の情報通信機器から、例えばUSB通信又はFTP(File Transfer Protocol)通信によって、計測記録装置1の本体記録部30又は可搬型記録媒体31に形成された計測データ記憶領域にアクセスする機能は制限される。
また、可搬型記録媒体31に格納されたパスワードを、管理者権限を有さない一般ユーザが編集する機能の実行は許可されない。すなわち、可搬型記録媒体31に格納されたパスワードの編集は、予め設定された管理者権限を有する者が行わなければならない。
【0048】
レベル情報が「1」の場合、計測記録装置1に通信接続された外部の情報通信機器から、計測データを計測記録装置1に対して転送し、又は計測記録装置1から外部の情報通信機器に対して計測データを転送する機能の実行は許可される。すなわち外部の情報通信機器から、例えばUSB通信又はFTP通信によって、計測記録装置1の本体記録部30又は可搬型記録媒体31に形成された計測データ記憶領域にアクセスすることができる。
また、可搬型記録媒体31に格納されたパスワードを、管理者権限を有さない一般ユーザが編集する機能の実行は許可されない。
【0049】
レベル情報が「2」の場合、計測記録装置1に通信接続された外部の情報通信機器から、計測データを計測記録装置1に対して転送し、又は計測記録装置1から外部の情報通信機器に対して計測データを転送する機能の実行は許可されない。
また、可搬型記録媒体31に格納されたパスワードを、管理者権限を有さない一般ユーザが編集する機能の実行は許可される。ただし許可条件として、可搬型記録媒体31を初期化する場合に限って編集(パスワードの消去)が許可される。
【0050】
レベル情報が「3」の場合、計測記録装置1に通信接続された外部の情報通信機器から、計測データを計測記録装置1に対して転送し、又は計測記録装置1から外部の情報通信機器に対して計測データを転送する機能の実行は許可される。
また、可搬型記録媒体31に格納されたパスワードを、管理者権限を有さない一般ユーザが編集する機能の実行は許可される。ただし許可条件として、可搬型記録媒体31を初期化する場合に限って編集(パスワードの消去)が許可される。
【0051】
レベル情報が「4」の場合、計測記録装置1に通信接続された外部の情報通信機器から、計測データを計測記録装置1に対して転送し、又は計測記録装置1から外部の情報通信機器に対して計測データを転送する機能の実行は許可されない。
また、可搬型記録媒体31に格納されたパスワードを、管理者権限を有さない一般ユーザが編集する機能の実行は、無条件に許可される。
【0052】
レベル情報が「5」の場合、計測記録装置1に通信接続された外部の情報通信機器から、計測データを計測記録装置1に対して転送し、又は計測記録装置1から外部の情報通信機器に対して計測データを転送する機能の実行は許可される。
また、可搬型記録媒体31に格納されたパスワードを、管理者権限を有さない一般ユーザが編集する機能の実行は、無条件に許可される。
【0053】
機能制限テーブル44は、
図4に示す例に限定されない。すなわち、
図4では、「0」から「5」の6つのレベル情報が規定されているが、7つ以上のレベル情報が定義されていてもよい。また、制限される機能として、計測データの転送機能とパスワード編集機能が示されているが、他の機能が規定されていてもよい。また、計測データとは異なるデータ(例えば、設定情報など)に対するアクセスが規定されていてもよい。
【0054】
最後に、第三の形式を有するパスワードについて説明する。
第三の形式を有するパスワードは、従来からある一般的なパスワードに対して、レベル情報と、例えばシリアル番号のような、計測記録装置1の各機体に固有の番号が付加された形式を有している。第三の形式を有するパスワードは、第二の形式を有するパスワードと同様に、ユーザを認証するとともに、レベル情報に基づいた機能制限をかけることができ、かつ可搬型記録媒体31ごとに、利用可能な計測記録装置1を対応付けることが可能となる。これにより、計測記録装置1に対するアクセス制限を、より柔軟に設定することを目的として用いられる。ここで機体固有の番号は、計測装置識別情報に相当する。
【0055】
第三の形式は、レベル情報と秘密情報と機体固有の番号を連結した文字列からなる形式である。
図4において、第三の形式を有するパスワードの先頭に位置する「L」は、上述したレベル情報である。「xxxxxxxx」は、上述した秘密情報である。末尾に位置する「AAA」は、可搬型記録媒体31に対応付けられる計測記録装置1の機体固有の番号である。管理者が第三の形式のパスワードを選択した場合、管理者によって設定された秘密情報とレベル情報は、秘密情報記憶部22に記憶されるとともに、秘密情報に対してレベル情報と機体固有の番号が付加されたパスワードとして可搬型記録媒体31に記憶される。
【0056】
図3に戻って、機能制限部42は、認証部40の認証結果に基づいて、計測記録装置1が有する所定の機能の実行を制限する。具体的には、認証に成功した場合、すなわちパスワードが秘密情報及びレベル情報を有していると判定した場合に、機能制限テーブル44を参照して、レベル情報に基づいて、計測データ転送機能及びパスワード編集機能に関する機能制限を行う。
機能制限は、制限される機能に関するプログラム・モジュールの実行を制限することによって行うことができる。また機能制限は、本体記録部30又は可搬型記録媒体31に対するアクセスを制限することによって行うことができる。
【0057】
ロック制御部43は、認証部40の認証結果に基づいて、操作キー8のロック状態を解除する。すなわち、認証部40がパスワードの照合に成功した場合に、操作キー8のロック状態が解除されて、ユーザによる計測記録装置1に対する操作が可能となる。逆にパスワードの照合に失敗した場合には、計測記録装置1のロック状態は維持される。
【0058】
<計測記録装置1のロック解除処理>
次に、計測記録装置1の制御部27によって実行されるロック解除処理の流れについて説明する。計測記録装置1は、可搬型記録媒体31が記録媒体挿入部10に装着されていない場合、操作キー8をロックする。すなわち、操作キー8に対する操作が無効化される。
図5は、操作キー8がロックされた状態において可搬型記録媒体31が装着されて、ロック状態が解除される処理の流れを示している。
【0059】
図5に示すように、制御部27は、記録媒体挿入部10に可搬型記録媒体31が装着されているか否かを判定する(ステップS10)。記録媒体挿入部10に可搬型記録媒体31が装着されていないと判定された場合(ステップS10:No)、記録媒体挿入部10に可搬型記録媒体31が装着されるまで待機する。
一方、記録媒体挿入部10に可搬型記録媒体31が装着されていると判定された場合(ステップS10:Yes)、制御部27は、可搬型記録媒体31に記憶されたパスワードを読み込む(ステップS11)。
【0060】
続いて制御部27は、秘密情報記憶部22に記憶された秘密情報を読み込む(ステップS12)。次に制御部27は、形式情報を取得する(ステップS13)。形式情報は、秘密情報とともに秘密情報記憶部22に格納されていてもよいし、本体記録部30に記憶されていてもよい。
そして制御部27は、照合用パスワードを生成する(ステップS14)。詳細に説明すると、照合用パスワード生成部41は、形式情報に基づいて照合用パスワードを生成する。すなわち、形式情報が第一の形式を示す場合、照合用パスワード生成部41は、秘密情報をそのまま照合用パスワードとする。形式情報が第二の形式を示す場合、照合用パスワード生成部41は、秘密情報に対してレベル情報を付加することによって照合用パスワードを生成する。ここで、レベル情報は、「0」から「5」の数値からなる情報であり、各々のレベル情報に対して秘密情報を付加することで、6つの照合用パスワードを生成する。形式情報が第三の形式を示す場合、照合用パスワード生成部41は、秘密情報に対してレベル情報と計測記録装置1の機体固有の番号を付加することによって照合用パスワードを生成する。この場合も、照合用パスワード生成部41は、各々のレベル情報に対して秘密情報と機体固有の番号を付加することで6つの照合用パスワードを生成する。
【0061】
続いて制御部27は、ステップS11で読み込んだパスワードと、ステップS14で生成した照合用パスワードが一致するか否かを判定する(ステップS15)。ステップS14で複数の照合用のパスワードを生成した場合、制御部27は、それぞれの照合用パスワードと可搬型記録媒体31に記憶されていたパスワードを比較する。全て一致しないと判定された場合(ステップS15:No)、制御部27は、計測記録装置1のロック状態を解除することなく処理を終了する。
【0062】
一方、複数の照合用パスワードのうちのいずれかが一致すると判定された場合(ステップS15:Yes)、機能制限部42は、形式情報が第一の形式を示すか否かを判定する(ステップS16)。形式情報が第一の形式を示すと判定された場合(ステップS16:Yes)、ステップS20に進む。一方、形式情報が第一の形式を示すと判定されなかった場合(ステップS16:No)、機能制限部42は、形式情報が第二の形式を示すか否かを判定する(ステップS17)。
【0063】
形式情報が第二の形式を示すと判定されなかった場合(ステップS17:No)、形式情報は第三の形式を示すことを意味する。このとき、機能制限部42は、計測記録装置1の機体固有の番号と、ステップS11で読み込んだパスワードに含まれる機体固有の番号が一致するか否かを判定する(ステップS18)。機体固有の番号が一致しないと判定された場合(ステップS18:No)、制御部27は、そのまま処理を終了する。
【0064】
機体固有の番号が一致すると判定された場合(ステップS18:Yes)、及び形式情報が第二の形式を示すと判定された場合(ステップS17:Yes)、機能制限部42は、機能制限テーブル44とレベル情報に基づいて機能制限を行う(ステップS19)。
【0065】
最後に、ロック制御部43が操作キー8のロック状態を解除して(ステップS20)、ロック解除処理を終了する。このように、正しいパスワードが記憶された可搬型記録媒体31を記録媒体挿入部10に挿入することにより、操作キー8のロック状態を解除することができる。一方、正しいパスワードが記憶された可搬型記録媒体31を所持していない不当なユーザは、計測記録装置1の操作キー8のロック状態を解除することができない。したがって、不当なユーザによる計測記録装置1の操作を防止することができる。また、レベル情報に基づいて計測記録装置1の機能制限、又はアクセス制限を行うことができる。
【0066】
<変形例>
上述した実施形態では、認証部40は、照合用パスワード生成部41を有し、照合用パスワード生成部41が生成した照合用パスワードと、可搬型記録媒体31に記憶されたパスワードとを照合することによって認証を行うこととして説明した。これに対して、認証部40aが照合用秘密情報生成部41aを有し、照合用秘密情報生成部41aが生成した照合用秘密情報と、秘密情報記憶部22に記憶された秘密情報を照合することによって認証を行うこととしてもよい。
【0067】
図6は、計測記録装置1の機能構成の変形例を示している。
図6に示すように、変形例に係る制御部27は、
図3に示した認証部40を認証部40aに変更し、照合用パスワード生成部41を照合用秘密情報生成部41aに変更したものである。それ以外の機能制限部42とロック制御部43は
図3と同様であるので、同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明を行う。
【0068】
認証部40aは、照合用秘密情報生成部41aを有している。照合用秘密情報生成部41aは、可搬型記録媒体31からパスワードを、秘密情報記憶部22から秘密情報と形式情報を取得する。そして照合用秘密情報生成部41aは、形式情報が第一の形式を示す場合には、パスワードから照合用秘密情報を取得する。形式情報が第二の形式を示す場合には、照合用秘密情報生成部41aは、パスワードから照合用秘密情報とレベル情報を取得する。形式情報が第三の形式を示す場合には、パスワードから照合用秘密情報と、レベル情報と、計測装置識別情報を抽出する。
【0069】
そして認証部40aは、照合用秘密情報と秘密情報記憶部22に記憶された秘密情報を照合することによって認証を行う。秘密情報が一致した場合、ロック制御部43がロック状態を解除するとともに、パスワードが第二の形式又は第三の形式を有するパスワードの場合に、機能制限部42は、レベル情報に基づいて計測記録装置1が有する機能を制限する。
これにより、変形例に係る認証部40aは、複数(レベル情報の数)の照合用パスワードを生成して各々の照合用パスワードをパスワードと比較する必要がないため、認証処理を効率的に行うことが可能となる。
【0070】
図7は、操作キー8がロックされた状態において可搬型記録媒体31が装着されて、ロック状態が解除されるまでの流れの変形例を示している。ステップS10からステップS13まで及びステップS16以降は、
図5のステップS10からステップS13まで及びステップS16以降と同一であるため、説明を省略する。
ステップS14aで、照合用秘密情報生成部41aは、形式情報に基づいて、パスワードから照合用秘密情報を抽出(生成)する。形式情報が第一の形式を示す場合、照合用秘密情報生成部41aは、パスワードをそのまま照合用秘密情報として取得する。形式情報が第二の形式を示す場合、照合用秘密情報生成部41aは、パスワードから照合用秘密情報とレベル情報を抽出する。形式情報が第三の形式を示す場合、照合用秘密情報生成部41aは、パスワードから照合用秘密情報とレベル情報と機体固有の番号を抽出する。
【0071】
認証部40aは、照合用秘密情報と、ステップS12で読み込んだ秘密情報とを照合し、一致するか否かを判定する(ステップS15a)。照合用秘密情報と秘密情報が一致しないと判定された場合(ステップS15a:No)、制御部27は、計測記録装置1のロック状態を解除することなく処理を終了する。
一方、照合用秘密情報と秘密情報が一致すると判定された場合(ステップS15a:Yes)、機能制限部42は、ステップS16以降の処理を行う。
【0072】
(まとめ)
計測記録装置1は、秘密情報と認証パラメータとを有するパスワードが記憶された可搬型記録媒体31を装着可能な記録媒体挿入部10を有する。パスワードが有する認証パラメータに基づいて、計測記録装置1に対する機能制限、及び可搬型記録媒体31に対するアクセス制限を、より柔軟に行うことができる。
【0073】
上述したように、計測記録装置1は、第一の形式、第二の形式、第三の形式のいずれかの形式を有するパスワードが記憶された可搬型記録媒体31を装着可能な記録媒体挿入部10を有する。パスワードが有する形式に基づいて、計測記録装置1に対する機能制限、及び可搬型記録媒体31に対するアクセス制限を、より柔軟に行うことができる。
【0074】
以上、本実施形態に係る計測記録装置1について説明した。しかし、本発明は計測記録装置に限定されるものではなく、可搬型記録媒体を装着可能な装着部を有し、不特定のユーザによる操作や、記録されたデータに対するアクセスの制限が必要な電子機器に対して適用可能である。例えば、画像等を記録する撮像装置(デジタルカメラなど)、及び音声を記録する録音装置(ICレコーダーなど)に対して適用してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 計測記録装置(計測装置)
2 筐体
2a 正面
2b 背面
2c 右側面
2d 左側面
2e 上面
2f 下面
3 多チャンネル入力コネクタ
4 湿度センサ用コネクタ
5 多目的入力コネクタ
6 表示パネル
7 状態表示部
7a 電源LED
7b 収録中LED
7c 充電中LED
8 操作キー
9 電源投入スイッチ
10 記録媒体挿入部(装着部)
10A 第一の記録媒体挿入部(装着部)
10B 第二の記録媒体挿入部(装着部)
11 無線通信ユニット接続コネクタ
12 二次電池
20 取得部(取得手段)
21 操作入力部(操作入力手段)
22 秘密情報記憶部
23 電源部
24 表示部
25 通信部
26 記録部
27 制御部
30 本体記録部(計測データ記録部)
31 可搬型記録媒体(計測データ記録部)
40、40a 認証部(認証手段)
41 照合用パスワード生成部
41a 照合用秘密情報生成部
42 機能制限部(機能制限手段)
43 ロック制御部(ロック制御手段)
44 機能制限テーブル
S センサ