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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173383
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】浴室内監視装置およびふろシステム
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/00 20060101AFI20231130BHJP
   F24H 15/196 20220101ALI20231130BHJP
   G03B 35/18 20210101ALI20231130BHJP
   G02B 7/40 20210101ALI20231130BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20231130BHJP
【FI】
G01B21/00 E
F24H15/196 301Z
G03B35/18
G02B7/40
G03B13/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085607
(22)【出願日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】近藤 勲
【テーマコード(参考)】
2F069
2H011
2H059
2H151
3L024
【Fターム(参考)】
2F069AA04
2F069AA66
2F069BB40
2F069DD16
2F069DD19
2F069GG04
2F069GG07
2F069GG09
2F069HH09
2F069JJ01
2H011BA41
2H059AA07
2H059AA10
2H151BB27
2H151BB30
3L024CC10
3L024CC30
3L024DD06
3L024DD13
3L024DD17
3L024DD27
3L024EE03
3L024FF15
3L024FF17
3L024FF18
3L024GG42
3L024HH02
(57)【要約】
【課題】浴室内における浴槽の範囲を簡易かつ正確に特定することが可能な浴室内監視装置およびふろシステムを提供する。
【解決手段】浴室内監視装置20は、浴室内の3次元情報を取得する3次元センサ204と、3次元センサ204からの出力に基づいて平面視における浴槽の範囲を判別する制御部201と、を備える。ここで、制御部201は、3次元センサ204から出力される3次元情報に基づいて、所定の高さ以上変化した所定広さ以上の面を抽出し、抽出した面の範囲を浴槽の範囲と判別する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室内の3次元情報を取得する3次元センサと、
前記3次元センサからの出力に基づいて平面視における浴槽の範囲を判別する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記3次元センサから出力される前記3次元情報に基づいて、所定の高さ以上変化した所定広さ以上の面を抽出し、抽出した面の範囲を前記浴槽の範囲と判別する、
ことを特徴とする浴室内監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載の浴室内監視装置において、
前記浴槽に湯張りを行うふろ装置と通信するための通信部を備え、
前記制御部は、前記ふろ装置から湯張りを実行する旨の信号を受信したことに基づいて、前記浴槽の範囲の判別処理を実行する、
ことを特徴とする浴室内監視装置。
【請求項3】
請求項2に記載の浴室内監視装置において、
前記制御部は、前記ふろ装置から前記湯張りの開始信号を受信したときと、前記ふろ装置から前記湯張りの終了信号を受信したときに、前記3次元センサからそれぞれ出力される前記3次元情報に基づいて、前記浴槽の範囲の判別処理を実行する、
ことを特徴とする浴室内監視装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の浴室内監視装置において、
前記制御部は、前記ふろ装置から湯張りを実行する旨の前記信号とともに、試運転であることを示す信号を受信したことに基づいて、前記浴槽の範囲の判別処理を実行する、
ことを特徴とする浴室内監視装置。
【請求項5】
請求項1に記載の浴室内監視装置において、
前記制御部は、前記抽出した面以外の他の面のうち最も広い面の範囲を洗い場の範囲と判別する、
ことを特徴とする浴室内監視装置。
【請求項6】
浴室内の3次元情報を取得する3次元センサと、
前記3次元センサからの出力に基づいて平面視における浴槽の範囲を判別する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記3次元センサから出力される前記3次元情報に基づいて、所定の高さ以上変化した所定広さ以上の面を抽出し、抽出した面の範囲を前記浴槽の範囲と判別する、
ことを特徴とするふろシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室内を監視する浴室内監視装置および浴室内を監視する機能を備えたふろシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室内を監視する浴室内監視装置が知られている。この種の監視装置では、たとえば、人の動きが赤外線センサで検出され、その検出結果に基づいて、人が危険な状態にあるか否かが判定される。
【0003】
また、以下の特許文献1には、3次元センサを用いた監視装置が記載されている。この監視装置では、3次元センサによって対象領域内の高さの変化が検出され、この変化に基づいて、呼吸、体動および移動をする対象物(人)の位置が検出される。さらに、検出された高さの変化に基づいて、対象物(人)の呼吸、体動および移動が検出され、この検出結果に基づいて、対象物(人)が危険な状態にあるか否かが判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3979238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
浴室内の監視においては、一般に、人が浴槽にいる場合と洗い場にいる場合とで、判定条件が変更される。たとえば、洗い場では、人が動いていることが多いため、人が静止していること(倒れていること)が判定条件とされる。他方、浴槽では、人が静止していることが多いため、頭が水面下に入っていることが判定条件とされる。
【0006】
このように、浴槽と洗い場とでは、監視のための判定条件が異なるため、予め、浴槽の範囲と洗い場の範囲とを区別して設定しておく必要がある。しかし、このような設定には煩雑かつ面倒な作業が必要となるため、施工者に大きな負担を強いる結果となってしまう。
【0007】
かかる課題に鑑み、本発明は、浴室内における浴槽の範囲を簡易かつ正確に特定することが可能な浴室内監視装置およびふろシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、浴室内監視装置に関する。この態様に係る浴室内監視装置は、浴室内の3次元情報を取得する3次元センサと、前記3次元センサからの出力に基づいて平面視における浴槽の範囲を判別する制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記3次元センサから出力される前記3次元情報に基づいて、所定の高さ以上変化した所定広さ以上の面を抽出し、抽出した面の範囲を前記浴槽の範囲と判別する。
【0009】
本態様に係る浴室内監視装置によれば、3次元センサから出力される3次元情報に基づいて、所定の高さ以上変化した所定広さ以上の面が抽出され、抽出された面の範囲が浴槽の範囲と判別される。浴槽内の水面の高さは、湯張りや排水、汲み出し等によって変化する。このため、上記の判別処理により抽出される面は、通常、浴槽内の水面に対応し得る。よって、この面の範囲を浴槽の範囲と判別することで、浴室内における浴槽の範囲を正確に特定できる。また、施工者が、逐一、浴槽の範囲を設定しなくても、装置において自動で、浴槽の範囲が判別される。したがって、本態様に係る浴室内監視装置によれば、浴室内における浴槽の範囲を簡易かつ正確に特定することができる。
【0010】
本態様に係る浴室内監視装置は、前記浴槽に湯張りを行うふろ装置と通信するための通信部を備え得る。この場合、前記制御部は、前記ふろ装置から湯張りを実行する旨の信号を受信したことに基づいて、前記浴槽の範囲の判別処理を実行するよう構成され得る。
【0011】
この構成によれば、浴槽内の水面の高さが確実に変化し得る状態において、上記の判別処理が実行される。このため、水面の変化による浴槽の範囲の判別を円滑に行うことができる。
【0012】
この場合、前記制御部は、前記ふろ装置から前記湯張りの開始信号を受信したときと、前記ふろ装置から前記湯張りの終了信号を受信したときに、前記3次元センサからそれぞれ出力される前記3次元情報に基づいて、前記浴槽の範囲の判別処理を実行するよう構成され得る。
【0013】
この構成によれば、湯張り開始時と湯張り終了時との間で、浴槽内の水面の高さが大きく変化するため、面の高さの変化に基づく浴槽の範囲の判別処理を、適切かつ精度良く行うことができる。よって、浴室内における浴槽の範囲を精度良く判別できる。
【0014】
また、前記制御部は、前記ふろ装置から湯張りを実行する旨の前記信号とともに、試運転であることを示す信号を受信したことに基づいて、前記浴槽の範囲の判別処理を実行するよう構成され得る。
【0015】
ふろシステムの設置後に行われる試運転時には、通常、浴槽を覆うカバーが取り外されて、浴槽内が外部に露出した状態にある。このため、試運転時には、3次元センサからの3次元情報により、浴槽内の水面の変化を適正に検出できる。よって、上記構成のように、試運転時の湯張り操作時に、浴槽の範囲の判別処理が行われると、浴槽内の水面の変化を適正に検出でき、面の高さの変化に基づく上記の判別処理を、適切に行うことができる。よって、浴室内における浴槽の範囲を円滑かつ適正に判別できる。
【0016】
本態様に係る浴室内監視装置において、前記制御部は、前記抽出した面以外の他の面のうち最も広い面の範囲を洗い場の範囲と判別するよう構成され得る。
【0017】
浴室内において、浴槽の水面以外の面では、洗い場の底面が最も広い。よって、上記のように、判別処理により抽出した面(浴槽の水面)以外の他の面のうち最も広い面の範囲を洗い場の範囲と判別することにより、浴室内における洗い場の範囲を正確に特定できる。
【0018】
本発明の第2の態様は、ふろシステムに関する。本態様に係るふろシステムは、浴室内の3次元情報を取得する3次元センサと、前記3次元センサからの出力に基づいて平面視における浴槽の範囲を判別する制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記3次元センサから出力される前記3次元情報に基づいて、所定の高さ以上変化した所定広さ以上の面を抽出し、抽出した面の範囲を前記浴槽の範囲と判別する。
【0019】
本態様に係るふろシステムによれば、上記第1の態様と同様、浴室内における浴槽の範囲を簡易かつ正確に特定することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のとおり、本発明によれば、浴室内における浴槽の範囲を簡易かつ正確に特定することが可能な浴室内監視装置およびふろシステムを提供することができる。
【0021】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、実施形態に係る、ふろシステムの構成を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る、ふろシステムを構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
図3図3は、実施形態に係る、給湯器と浴槽との間の接続形態を模式的に示す図である。
図4図4は、実施形態に係る、浴室内における浴槽の範囲および洗い場の範囲を判別するための処理を示すフローチャートである。
図5図5は、実施形態に係る、浴室を側面視したときの、試運転開始時における3次元情報の取得状況を模式的に示す図である。
図6図6(a)は、実施形態に係る、浴室を平面視したときの、試運転開始時における3次元情報の取得状況を模式的に示す図である。図6(b)は、実施形態に係る、浴室を平面視したときの、湯張り開始から所定時間が経過した時点における3次元情報の取得状況を模式的に示す図である。
図7図7(a)および図7(b)は、それぞれ、実施形態に係る、浴室を平面視したときの、湯張り終了時における3次元情報の取得状況を模式的に示す図である。
図8図8は、実施形態に係る、浴室を側面視したときの、湯張り終了時における3次元情報の取得状況を模式的に示す図である。
図9図9は、実施形態に係る、浴室内監視装置の制御部において実行される浴室内の監視処理を示すフローチャートである。
図10図10は、変更例に係る、浴室内における浴槽の範囲および洗い場の範囲を判別するための処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、実施形態に係るふろシステム1の構成を示す図である。
【0025】
図1に示すように、ふろシステム1は、ふろ装置10と、浴室内監視装置20とを備える。浴室内監視装置20は、浴室3の天井に設置され、浴室3内を監視する。浴室内監視装置20は、3次元センサを有するセンサユニットと、制御部等の演算回路を有する制御ユニットとから構成されてよい。この場合、センサユニットは浴室3内の天井に設置され、制御ユニットは浴室外に設置されて、センサユニットと通信ケーブルで接続されてよい。
【0026】
浴室3内には、浴槽2の他、洗い場31が配置される。洗い場31の壁面には、置台32と、カラン33と、鏡35と、シャワー34が設置される。浴室3は、浴槽2の範囲と、洗い場31の範囲とに略2分される。浴室内監視装置20内の天井の略中央に、浴室内監視装置20が設置される。
【0027】
ふろ装置10は、給湯器11と、リモートコントローラ12、13とを備える。給湯器11は、ガスを燃料として湯を供給するガス給湯器である。給湯器11により生成された湯は、給湯口11aにそれぞれ接続された配管を介して、台所の蛇口や、浴槽2、カラン33等に供給される。給湯器11が、床暖房機能や、浴室暖房機能およびパネルヒータによる暖房機能を備える場合、これら機能を実現する機器に対して、給湯器11から湯が供給される。
【0028】
リモートコントローラ12、13は、給湯器11に接続され、ふろ装置10の各機能について種々の設定を行うために用いられる。
【0029】
リモートコントローラ12は、表示部121と、入力部122とを備える。リモートコントローラ12の前面下部には、下端を軸として開閉可能な蓋部12bが設けられている。この蓋部12bの前面に、入力部122を構成する5つの操作スイッチが配置されている。入力部122は、運転スイッチ122aとともに、湯張り(ふろ自動)や追い焚き等のための操作スイッチを含んでいる。蓋部12bが開放されると、他の機能を設定するための操作スイッチが現れる。リモートコントローラ13は、タッチパネルからなる表示入力部131と、運転スイッチ132とを備える。
【0030】
操作者は、表示部121に表示された画面に従って入力部122を操作することにより、湯張りや給湯温度調節等について、任意の設定を行うことができる。また、操作者は、表示入力部131を操作することによっても、湯張り等の設定を行える。さらに、入力部122に対して特殊操作(たとえば、2つのボタンを一定時間同時に押す操作)により、湯張りの試運転をふろ装置10に実行させることができる。
【0031】
リモートコントローラ12は、浴室に設置され、リモートコントローラ13は、キッチン等に設置される。リモートコントローラ12、13には、音声を入出力するための音声窓12a、13aが設けられている。
【0032】
以下、浴室に設置されるリモートコントローラ12を、「浴室リモコン12」と称し、キッチン等に設置されるリモートコントローラ13を、「台所リモコン13」と称する。
【0033】
給湯器11、浴室リモコン12および台所リモコン13の回路部は、2芯通信線L1、L2を介して互いに通信可能に接続されている。浴室リモコン12の入力部122または台所リモコン13の表示入力部131を介して入力されたふろ機能の設定情報は、2芯通信線L1、L2を介した通信により、給湯器11、浴室リモコン12および台所リモコン13の回路部間で共有される。
【0034】
また、後述のように、給湯器11には、浴槽内の湯水の水位を検出する水位センサが配置されている。さらに、浴室リモコン12には、浴室における人の有無を検知する人センサが配置されている。人センサは、たとえば、赤外線を用いた焦電センサである。これら水位センサおよび人センサの検知結果も、随時、2芯通信線L1、L2を介した通信により、給湯器11、浴室リモコン12および台所リモコン13の回路部間で共有される。
【0035】
さらに、台所リモコン13は、通信ケーブルC1を介して、浴室内監視装置20に接続されている。台所リモコン13は、水位センサおよび人センサの検出結果や、湯張りや試運転等の各種動作に関する情報等を、通信ケーブルC1を介して浴室内監視装置20に送信する。
【0036】
図2は、ふろシステム1を構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
【0037】
給湯器11は、制御部111と、記憶部112と、通信部113と、水位センサ114と、を備える。制御部111は、マイクロコンピュータを備え、記憶部112に記憶されたプログラムに従って、給湯器11内の各部の制御を行う。記憶部112は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。
【0038】
通信部113は、制御部111からの制御に従って、浴室リモコン12および台所リモコン13と通信を行う。通信部113は、2芯通信線L1、L2を介して、浴室リモコン12の通信部125および台所リモコン13の通信部135と接続されている。また、2芯通信線L1、L2は、通信部113の内部において、互いに接続されている。したがって、浴室リモコン12の通信部125と台所リモコン13の通信部135は、2芯通信線L1、L2によって互いに接続されている。このため、通信部113、125、135の何れかから送信された信号は、他の通信部に同時に送信される。
【0039】
水位センサ114は、後述のように、給湯器11内の管路に配置され、当該管路内の水圧に基づいて浴槽2内の水位を検出する。
【0040】
浴室リモコン12は、上述の表示部121および入力部122の他、制御部123と、記憶部124と、通信部125と、スピーカ126と、人センサ127とを備える。表示部121は、たとえば、液晶パネルにより構成される。入力部122は、上述の各種操作スイッチを備える。
【0041】
制御部123は、マイクロコンピュータを備え、記憶部124に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部124は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。通信部125は、制御部123からの制御に従って、給湯器11および台所リモコン13と通信を行う。
【0042】
スピーカ126は、制御部123により生成された音声信号に基づく音声を出力する。制御部123は、記憶部124に記憶されている音声情報を随時読み出して、音声信号を生成する。スピーカ126から出力された音声は、図1の音声窓12aから出力される。
【0043】
人センサ127は、浴室3における人の有無を検知する。人センサ127は、たとえば、赤外線を用いた焦電センサである。人センサ127の検出範囲は、浴室3内の洗い場31と浴槽2をカバーする範囲に設定される。
【0044】
台所リモコン13は、上述の表示入力部131および運転スイッチ132の他、制御部133と、記憶部134と、通信部135と、スピーカ136とを備える。
【0045】
制御部133は、マイクロコンピュータを備え、記憶部134に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部134は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。通信部135は、制御部133からの制御に従って、給湯器11および浴室リモコン12と通信を行う。また、通信部135は、制御部133からの制御に従って、浴室内監視装置20と通信を行う。
【0046】
スピーカ136は、制御部133により生成された音声信号に基づく音声を出力する。制御部133は、記憶部134に記憶されている音声情報を随時読み出して、音声信号を生成する。スピーカ136から出力された音声は、図1の音声窓13aから出力される。
【0047】
浴室内監視装置20は、制御部201と、記憶部202と、通信部203と、3次元センサ204とを備える。
【0048】
制御部201は、CPUやMPU等の演算処理回路を備え、記憶部202に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部202は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。通信部203は、制御部201からの制御に従って、台所リモコン13と通信を行う。
【0049】
3次元センサ204は、浴室3内の3次元情報を取得する。3次元情報は、浴室3内に存在する物体の高さに関する情報である。水平面に平行なX-Y座標軸上に検出対象の座標点が設定される。3次元センサ204は、各座標点における物体の高さに関する情報を、3次元情報として取得する。検出される物体は、たとえば、浴槽2の底面や浴槽2の縁の表面、洗い場31の底面および置台32の表面等である。浴槽2に水が貼られている場合、水面上の各座標点における水面の高さを示す情報が、3次元情報として取得される。
【0050】
3次元センサ204として、たとえば、超音波を用いた3次元センサが用いられる。この場合、送波器から送波された超音波が複数の受波器で受波される。複数の受波器から出力される受信信号にビームフォーミングが行われて、複数の方向に対する物体までの距離が算出される。物体までの距離は、超音波の送波タイミングから超音波の受波タイミングまでの時間差により算出される。超音波に代えて電波が送受波される3次元センサが、3次元センサ204として用いられてもよい。
【0051】
あるいは、3次元センサ204として、レーザ光を用いたTOF(Time OfFlight)方式の3次元センサが用いられる。この場合、複数の方向にレーザ光が出射され、各方向のレーザ光が光検出器で受光される。レーザ光の出射タイミングと受光タイミングの時間差から、各方向における物体までの距離が算出される。
【0052】
あるいは、3次元センサ204として、ステレオカメラを用いた3次元センサが用いられ得る。この場合、複数のカメラで取得された複数の画像の視差から三角測量法により、画像上の物体までの距離が算出される。但し、3次元センサ204として用いられるセンサは、これらに限られるものではない。上述の3次元情報を取得できる限りにおいて、他の方式の3次元センサが3次元センサ204として用いられてもよい。
【0053】
図3は、給湯器11と浴槽2との間の接続形態を模式的に示す図である。
【0054】
図3に示すように、給湯器11は、図2に示した制御部111の他、給湯部210と、追い焚き部220と、バイパス部230とを備える。
【0055】
給湯部210は、給水管路211と、給湯熱交換器212と、給湯管路213と、給湯燃焼器214と、給気ファン215とを含む。給水管路211は、水道管と給湯熱交換器212とに繋がり、給湯管路213は、給湯熱交換器212と浴室水栓4および外部水栓5とに繋がる。給湯燃焼器214には、ガス電磁弁216により開閉される給湯ガス管路217を通じてガス(燃料ガス)が供給される。給湯燃焼器214は、ガスを燃料として燃焼する。給気ファン215は、給湯燃焼器214に燃焼用の空気を供給する。
【0056】
追い焚き部220は、図2に示した水位センサ114の他、戻り管路221と、ふろ熱交換器222と、往き管路223と、ふろ燃焼器224と、循環ポンプ225とを含む。戻り管路221は、浴槽2の循環アダプタ2aとふろ熱交換器222とに繋がり、往き管路223は、ふろ熱交換器222と循環アダプタ2aとに繋がる。戻り管路221と往き管路223とによって、浴槽2とふろ熱交換器222との間で湯水を循環させる追い焚き循環路P10が構成される。
【0057】
ふろ燃焼器224には、ガス電磁弁226により開閉されるふろガス管路227を通じてガス(燃料ガス)が供給される。ふろ燃焼器224は、ガスを燃料として燃焼する。給気ファン215が給湯部210と追い焚き部220との間で共用され、給気ファン215からふろ燃焼器224に燃焼用の空気が供給される。戻り管路221に、循環ポンプ225および水位センサ114が配置される。水位センサ114は、戻り管路221内の水圧に基づいて浴槽2内の水位を検出する。
【0058】
バイパス部230は、バイパス管路231と、給湯電磁弁232とを含む。バイパス管路231は、給湯管路213と戻り管路221とに繋がる。給湯電磁弁232は、バイパス管路231を開閉する。
【0059】
制御部111は、給湯部210の給湯燃焼器214、給気ファン215およびガス電磁弁216、追い焚き部220のふろ燃焼器224、循環ポンプ225、水位センサ114およびガス電磁弁226、バイパス部230の給湯電磁弁232などを制御する。
【0060】
浴室水栓4または外部水栓5が開かれると、給湯機能が実行される。水道管からの水が給水管路211を通じて給湯熱交換器212に導入されるとともに、給湯燃焼器214が燃焼して給湯熱交換器212が加熱される。給湯熱交換器212に導入された水が加熱されて湯となり、湯が給湯管路213を通じて浴室水栓4または外部水栓5に供給される。浴室水栓4または外部水栓5が閉じられると、水道管から給水管路211への給水が停止するとともに給湯燃焼器214の燃焼が停止する。
【0061】
また、浴室リモコン12または台所リモコン13から浴槽2への湯張りの指令を受けると、制御部111は、湯張り機能(ふろ自動機能)を実行する。この場合、給湯電磁弁232が開放されるとともに、水道管からの水が給水管路211を通じて給湯熱交換器212に導入され、給湯熱交換器212で加熱される。そして、給湯熱交換器212からの湯が給湯管路213およびバイパス管路231を通じて戻り管路221に導入される。
【0062】
戻り管路221に導入された湯の一部は、戻り管路221を循環アダプタ2a側へと流れ、循環アダプタ2aから浴槽2内に注がれる。戻り管路221に導入された湯の残りは、戻り管路221をふろ熱交換器222側へと流れ、さらにふろ熱交換器222および往き管路223を流れて循環アダプタ2aから浴槽2内に注がれる。
【0063】
給湯が行われて浴槽2内に湯が溜められると、戻り管路221、ふろ熱交換器222および往き管路223が水で満たされた状態となる。これにより、水位センサ114での浴槽2内の水位検出が可能となる。浴槽2内の水位が予め設定された水位に到達したことが水位センサ114により検出されると、給湯電磁弁232が閉じられ、水道管から給水管路211への給水が停止するとともに給湯燃焼器214の燃焼が停止する。
【0064】
また、追い焚き機能の実行時には、循環ポンプ225が作動するとともにふろ燃焼器224が燃焼する。浴槽2内の湯が、戻り管路221、ふろ熱交換器222および往き管路223からなる追い焚き循環路P10と浴槽2との間で循環し、その間にふろ熱交換器222で加熱される。浴槽2内の湯温が予め設定された上限温度よりも高くなると、循環ポンプ225とふろ燃焼器224が停止する。
【0065】
足し湯機能では、湯張り機能(ふろ自動機能)と同様の制御により、所定量の湯が浴槽2に注入される。足し水機能の実行時には、給湯燃焼器214およびふろ燃焼器224を停止させた状態で、湯張り機能(ふろ自動機能)と同様の制御が実行され、所定量の水が浴槽2に注入される。
【0066】
ところで、一般に、浴室3内の監視においては、人が浴槽2にいる場合と洗い場31にいる場合とで、人が危険な状態にあるか否かの判定条件が変更される。たとえば、洗い場31では、人が動いていることが多いため、人が静止していること(倒れていること)が判定条件とされる。他方、浴槽2では、人が静止していることが多いため、頭が水面下に入っていることが判定条件とされる。
【0067】
このように、浴槽2と洗い場31とでは、監視のための判定条件が異なる。このため、予め、浴槽2の範囲と洗い場31の範囲とを区別して設定しておく必要がある。しかし、このような設定には煩雑かつ面倒な作業が必要となるため、施工者に大きな負担を強いる結果となってしまう。
【0068】
そこで、本実施形態では、浴室3内における浴槽2の範囲を簡易かつ正確に特定することが可能な構成が設けられている。具体的には、3次元センサ204からの出力に基づいて、平面視における浴槽2の範囲および洗い場31の範囲が判別される。以下、この処理について説明する。
【0069】
図4は、浴室3内における浴槽2の範囲および洗い場31の範囲を判別するための処理を示すフローチャートである。
【0070】
本実施形態では、ふろシステム1の設置後に行われる試運転の際に、浴槽2の範囲および洗い場31の範囲を判別するための処理が実行される。この処理は、浴室内監視装置20の制御部201によって行われる。
【0071】
ふろシステム1の設置後に、施工者が、浴室リモコン12に対して試運転の操作を行うと、この操作を示す信号が浴室リモコン12から給湯器11および台所リモコン13に送信される。これにより、試運転に基づく湯張りが給湯器11において実行される。また、試運転開始を示す信号と湯張りの開始を示す信号が、台所リモコン13から浴室内監視装置20に送信される。
【0072】
浴室内監視装置20の制御部201は、試運転開始を示す信号と、湯張りの開始を示す信号とを台所リモコン13から受信すると(S101:YES、S102:YES)、その時点で3次元センサ204から取得した3次元情報を、記憶部202に記憶させる(S103)。
【0073】
この時点では、浴槽2に未だ湯が供給されていないか、湯の供給が開始された直後であるため、浴槽2の範囲に含まれる各座標点の3次元情報は、実質的に浴槽2の底面の高さを示す情報となる。また、浴槽2以外の範囲の座標点については、浴槽2の縁の表面や、洗い場31の底面および置台32の表面等の高さを示す情報が、3次元情報として取得され、記憶部202に記憶される。
【0074】
図5は、浴室3を側面視したときの、試運転開始時における3次元情報の取得状況を模式的に示す図である。図6(a)は、浴室3を平面視したときの、試運転開始時における3次元情報の取得状況を模式的に示す図である。図5では、浴槽2、浴室3および浴室内監視装置20以外の構成の図示が省略されている。
【0075】
図5では、浴室内監視装置20(3次元センサ204)の中心軸A0の位置に、X-Y座標軸の原点が設定され、鉛直下方向にZ軸が設定されている。図5の破線は、検出対象の座標点の位置を示している。図6(a)の破線の交差点が、検出対象の座標点である。便宜上、図5および図6(a)では、座標点のピッチが広めに図示されているが、実際の座標点のピッチは、より小さく設定される。
【0076】
図5において、高さH11が、座標点P1における3次元情報として取得される。この場合、3次元センサ204は、方向D1における物体までの距離の算出結果に、cosθ11を乗じて高さH11を算出する。角度θ11は、中心軸A0に対する方向D1の仰角である。ここで算出される高さH11は、座標点P1における浴槽2の底面の高さである。
【0077】
また、高さH21が、座標点P2における3次元情報として取得される。この場合、3次元センサ204は、方向D2における物体までの距離の算出結果に、cosθ21を乗じて高さH21を算出する。角度θ21は、中心軸A0に対する方向D2の仰角である。ここで算出される高さH21は、座標点P2における浴槽2の底面の高さである。同様に、全ての座標点について、浴槽2内の物体の高さが、3次元情報として取得される。
【0078】
図4に戻り、制御部201は、ステップS103で湯張り開始時の3次元情報を記憶部202に記憶させた後、台所リモコン13から湯張りの終了を示す終了信号を受信するのを待つ(S104)。その後、終了信号を受信すると(S104:YES)、制御部201は、その時点で3次元センサ204から取得した3次元情報を、記憶部202に記憶させる(S105)。
【0079】
この時点では、浴槽2に湯が張られているため、浴槽2の範囲に含まれる各座標点の3次元情報は、浴槽2に張られた湯の表面の高さを示す情報となる。また、浴槽2以外の範囲の座標点については、ステップS103の場合と同様、浴槽2の縁の表面や、洗い場31の底面および置台32の表面等の高さを示す情報が、3次元情報として取得され、記憶部202に記憶される。
【0080】
図6(b)は、浴室3を平面視したときの、湯張り開始から所定時間が経過したときの3次元情報の取得状況を模式的に示す図である。図7(a)は、浴室3を平面視したときの、湯張り終了時における3次元情報の取得状況を模式的に示す図である。図8は、浴室3を側面視したときの、湯張り終了時における3次元情報の取得状況を模式的に示す図である。
【0081】
図6(b)に示すように、湯張り開始から所定時間が経過した時点では、浴槽2の底の一部に湯HWが溜まっている。このため、湯HWの範囲に含まれる座標点(黒丸)では、湯の表面までの高さが3次元情報として取得される。
【0082】
図7(a)に示すように、湯張りが終了した時点では、浴槽2全体に湯HWが溜まっている。このため、浴槽2の範囲に含まれる座標点(黒丸)では、湯の表面までの高さが3次元情報として取得される。この場合、図8に示すように、湯の表面までの高さH12が、浴槽2の範囲に含まれる座標点の3次元情報として取得される。この高さH12は、図5に示した湯張り開始時におけるこれら座標点の高さH11より差分ΔHだけ変化している。洗い場31の範囲に含まれる座標点の高さH21は、図5に示した湯張り開始時におけるこれら座標点の高さH21と同じである。
【0083】
図4に戻り、制御部201は、湯張り開始時に取得した3次元情報と湯張り終了時に取得した3次元情報とを比較して、所定高さ以上変化した面を抽出する(S106)。
【0084】
ここで、所定高さは、たとえば、湯張りによって浴槽2の水面が変化したことを検出可能な高さ(たとえば、数10cm)に設定される。また、面は、湯張り終了時の3次元情報において、高さが実質的に同じであり、且つ、互いに隣り合う座標点の高さ位置の集合である。したがって、湯張り終了時の3次元情報からは、浴室3内に存在する複数の面(浴槽2内の湯の表面、洗い場31の底面、置台32の表面等)に対応する高さ位置の集合が取得され得る。これらの高さ位置の集合のうち、湯張りの開始時と終了時とで、高さが所定量以上変化した高さ位置の集合が、ステップS106において、所定高さ以上変化した面として抽出される。
【0085】
図7(a)の例では、浴槽2の範囲に含まれる座標点群において、湯張りの開始時と終了時とで高さが所定量以上変化する。洗い場31等の浴槽2以外の範囲に含まれる座標点群では、湯張りの開始時と終了時とで高さは変わらない。したがって、図4のステップS106では、浴槽2の範囲に含まれる座標点群の高さ位置の集合が、所定高さ以上変化した面として抽出される。
【0086】
図4に戻り、所定高さ以上変化した面を抽出すると(S106)、制御部201は、抽出した面が所定広さ以上であるか否かを判定する(S107)。より詳細には、制御部201は、抽出した面を構成する高さ位置群の座標点の数が、所定の閾値Nth以上であるか否かを判定する。ここで、所定広さは、浴槽2に湯が張られた場合に想定され得る湯の表面積よりやや小さく設定される。したがって、閾値Nthは、平面視において、浴槽2に張られた湯の範囲に含まれ得ると想定される座標点の数よりもやや少ない数に設定される。
【0087】
ステップS107の判定がNOの場合、制御部201は、浴槽2に張られた湯の表面を適正に検出できなかったとして、図4の処理を終了する。この場合、制御部201は、浴槽2および洗い場31の範囲を判別できなかったことを示す信号を台所リモコン13に送信する。これにより、台所リモコン13は、たとえば、再度、試運転を実行することを設置者に促す報知を表示入力部131およびスピーカ136から出力させる。
【0088】
ステップS107の判定がYESの場合、制御部201は、平面視において、抽出した面の範囲を浴槽2の範囲と判別する(S108)。このとき、制御部201は、平面視において、抽出した面に含まれる座標点を、浴槽2の範囲の座標点として、記憶部202に記憶させる。
【0089】
さらに、制御部201は、抽出した面以外の面のうち最も広い他の面(実質的に同じ高さの座標点の集合)を抽出する(S109)。そして、制御部201は、平面視において、抽出した他の面の範囲を洗い場31の範囲と識別する(S110)。このとき、制御部201は、平面視において、抽出した他の面に含まれる座標点を、洗い場31の範囲の座標点として、記憶部202に記憶させる。制御部201は、これら座標点の3次元情報(洗い場31の底面の高さ)を、さらに、記憶部202に記憶させてよい。こうして、制御部201は、図4の処理を終了する。
【0090】
図8の例では、浴槽2の範囲の座標点において高さがΔHだけ変化しているため、図7(a)の黒丸の座標点の高さ位置の集合により構成される面が、ステップS106において抽出される。また、この面は所定広さ以上である(すなわち、この面を構成する高さ位置群の座標点の数は閾値Nthより多い)ため、ステップS107の判定はYESとなり、ステップS108では、この面の範囲、すなわち、図7(a)の黒丸の座標点の集合の範囲が浴槽2の範囲として判別される。
【0091】
また、ステップS109では、図7(b)の白丸の座標点の高さ位置の集合により構成される面が浴槽2の面以外で最も広いため、この面が他の面として抽出される。そして、ステップS110では、抽出した白丸の座標点の集合(他の面)の範囲が洗い場31の範囲として判別される。こうして、図4の処理により、平面視における浴槽2の範囲および洗い場31の範囲が特定される。
【0092】
図9は、浴室内監視装置20の制御部201において実行される浴室3内の監視処理を示すフローチャートである。
【0093】
制御部201は、3次元センサ204から出力される3次元情報のうち、浴槽2の範囲の3次元情報を参照し(S201)、浴槽2の範囲に適用される判定条件が充足されたか否かを判定する(S202)。
【0094】
たとえば、ステップS202において、制御部201は、浴槽2の範囲の3次元情報から浴槽2の湯に浸かっている人の頭の範囲を特定する。そして、制御部201は、特定した頭が湯の中に沈んだか否かを、浴槽2の範囲の3次元情報から判定する。たとえば、制御部201は、浴槽2内の人の頭頂部(最も高い位置)の高さと湯の表面の高さとの差分を算出し、この差分が、所定の閾値より小さくなったか否かを判定する。ここで、閾値は、人の鼻から頭頂部までの一般的な距離程度(たとえば20cm)に設定される。制御部201は、上記差分がこの閾値より小さくなった場合に、ステップS202の判定をYESとする。
【0095】
但し、ステップS202の判定条件は、必ずしも、上記条件に限られるものではない。たとえば、浴槽2の範囲の3次元情報をAI(Artificial Intelligence)に適用して、浴槽2内の人が溺れていることや気を失っていること等、人が危険な状態にあることが判定されてもよい。
【0096】
ステップS202の判定がYESである場合、制御部201は、そのことを示す信号を台所リモコン13に送信する(S205)。これにより、台所リモコン13は、浴室3内の人が危険な状態にあることを報知する音声をチャイム音等とともにスピーカ136から出力させる。
【0097】
他方、ステップS202の判定がNOである場合、制御部201は、3次元センサ204から出力される3次元情報のうち、洗い場31の範囲の3次元情報を参照し(S203)、洗い場31の範囲に適用される判定条件が充足されたか否かを判定する(S204)。
【0098】
たとえば、ステップS204において、制御部201は、洗い場31の範囲の3次元情報から、洗い場31にいる人が所定時間に亘って静止しているか否かを判定する。具体的には、制御部201は、洗い場31の範囲において、洗い場31の底面よりも高い位置の座標点の分布を特定し、これら座標点の分布が所定時間に亘って略変化せず、且つ、これら座標点の高さが所定時間に亘って略変化しない場合に、ステップS204の判定をYESとする。
【0099】
但し、ステップS204の判定条件は、必ずしも、上記条件に限られるものではない。たとえば、洗い場31の範囲の3次元情報をAIに適用して、洗い場31に人が倒れていること等、人が危険な状態にあることが判定されてもよい。
【0100】
ステップS204の判定がYESである場合、制御部201は、ステップS205の処理を実行する。これにより、上記と同様、台所リモコン13により、浴室3内の人が危険な状態にあること示す音声がチャイム音等とともにスピーカ136から出力される。
【0101】
ステップS202、S204の判定が何れもNOの場合、制御部201は、処理をステップS201に戻して、同様の処理を繰り返す。こうして、制御部201は、浴室3内の人が危険な状態にあるか否かの監視を続行する。
【0102】
なお、図9の処理は、たとえば、人センサ127により浴室3内に人が侵入したことにより開始され、人センサ127により浴室3から人が退出したことにより終了されてもよい。
【0103】
この場合、台所リモコン13の制御部133は、人センサ127により浴室3内に人が侵入および退出したことが検出されたことを示す信号を浴室リモコン12から受信したことに応じて、監視開始信号および監視終了信号をそれぞれ浴室内監視装置20に送信する。浴室内監視装置20の制御部201は、監視開始信号の受信に応じて3次元センサ204を動作させて図9の処理を実行し、監視終了信号の受信に応じて3次元センサ204を停止させて図9の処理を終了する。これにより、浴室3内に人がいる期間において、浴室内の人の安否を適切に監視することができる。
【0104】
<実施形態の効果>
上記実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0105】
図4に示したように、3次元センサ204から出力される3次元情報に基づいて、所定の高さ以上変化した所定広さ以上の面が抽出され(S106、S107:YES)、抽出された面の範囲が浴槽2の範囲と判別される(S108)。浴槽2内の水面の高さは、湯張りによって変化する。このため、上記の判別処理により抽出される面は、通常、浴槽2内の水面に対応する。よって、この面の範囲を浴槽2の範囲と判別することで、浴室3内における浴槽2の範囲を正確に特定できる。また、施工者が、逐一、浴槽2の範囲を設定しなくても、浴室内監視装置20において自動で、浴槽2の範囲が判別される。したがって、浴室3内における浴槽2の範囲を簡易かつ正確に特定することができる。
【0106】
図4に示したように、制御部201は、ふろ装置10から湯張りを実行する旨の信号を受信したことに基づいて(S102:YES)、浴槽2の範囲の判別処理(S103~S108)を実行する。これにより、浴槽2内の水面の高さが確実に変化し得る状態において、上記の判別処理が実行される。このため、水面の変化による浴槽2の範囲の判別を円滑に行うことができる。
【0107】
図4に示したように、制御部201は、ふろ装置10から湯張りの開始信号を受信したとき(S102:YES)と、ふろ装置10から湯張りの終了信号を受信したとき(S104:YES)に、それぞれ3次元センサ204から出力される3次元情報に基づいて(S103、S105)、浴槽2の範囲の判別処理(S106~S108)を実行する。これにより、湯張り開始時と湯張り終了時との間で、浴槽2内の水面の高さが大きく変化するため、面の高さの変化に基づく浴槽2の範囲の判別処理を、適切かつ精度良く行うことができる。よって、浴室3内における浴槽2の範囲を精度良く判別できる。
【0108】
図4に示したように、制御部201は、ふろ装置10から湯張りを実行する旨の信号(S102:YES)とともに、試運転であることを示す信号(S101:YES)を受信したことに基づいて、浴槽2の範囲の判別処理(S103~S108)を実行する。
【0109】
ふろシステム1の設置後に行われる試運転時には、通常、浴槽2を覆うカバーが取り外されて、浴槽2内が外部に露出した状態にある。このため、試運転時には、3次元センサ204からの3次元情報により、浴槽2内の水面の変化を適正に検出できる。よって、上記のように、試運転時の湯張り操作時に、浴槽2の範囲の判別処理が行われると、浴槽2内の水面の変化を適正に検出でき、面の高さの変化に基づく上記の判別処理を、適切に行うことができる。よって、浴室3内における浴槽2の範囲を円滑かつ適正に判別できる。
【0110】
図4に示したように、制御部201は、抽出した面以外の他の面のうち最も広い面の範囲(S109)を洗い場31の範囲と判別する(S110)。浴室3内において、浴槽2の水面以外の面では、洗い場31の底面が最も広い。よって、上記のように、判別処理により抽出した面(浴槽2の水面)以外の他の面のうち最も広い面の範囲を洗い場31の範囲と判別することにより、浴室3内における洗い場31の範囲を正確に判別できる。
【0111】
<変更例>
図4に示したように、上記実施形態では、所定高さ以上変化した所定広さ以上の面(S106、S107:YES)が、浴槽2に貼られた湯の表面であるとして、浴槽2の範囲の判別がなされた。しかしながら、浴槽2の範囲の判別方法はこれに限られるものではなく、さらに水位センサ114の検出結果を加味して、浴槽2の範囲が判別されてもよい。
【0112】
図10は、変更例に係る、浴室3内における浴槽2の範囲および洗い場31の範囲を判別するための処理を示すフローチャートである。
【0113】
便宜上、図10では、ステップS101~S105の図示が省略されている。図10のフローチャートでは、図4のフローチャートに比べて、ステップS107とステップS108との間にステップS111、S112が追加されている。
【0114】
制御部201は、ステップS107の判定がYESの場合、水位センサ114によって検出された湯張り終了時点の浴槽2の水位を、台所リモコン13から取得する(S111)。そして、制御部201は、ステップS106で抽出した面における湯張り前後の高さの変化が、水位センサ114で検出された水位に略一致するか否かを判定する(S112)。
【0115】
ステップS106で抽出された面が浴槽2の湯の表面である場合、湯張り前後のこの面の高さの変化は、水位センサ114で検出された水位に略一致する。したがって、この場合、ステップS112の判定はYESとなって、ステップS106で抽出された面の範囲が浴槽2の範囲と判別される。他方、ステップS106で抽出された面が浴槽2の湯の表面でない場合、湯張り前後のこの面の高さの変化は、水位センサ114で検出された水位に一致しない。したがって、この場合は、ステップS112の判定がNOとなって、浴槽2および洗い場31の範囲は判別されない。
【0116】
このように、図10の処理によれば、さらに水位センサ114の検出結果が加味されて浴槽2の範囲が識別されるため、浴槽2の範囲の判別精度をより高めることができる。
【0117】
なお、図10のフローチャートでは、ステップS111、S112がステップS107とステップS108との間に配置されたが、ステップS111、S112がステップS106とステップS107との間に配置されてもよい。また、ステップS111、S112は必ずしも連続しなくてもよく、たとえば、図10のフローチャートにおいて、ステップS111がステップS106とステップS107との間に移動されてもよい。
【0118】
<その他の変更例>
上記実施形態では、図4に示したように、湯張り開始時の3次元情報(S103)と湯張り終了時の3次元情報(S105)とを用いて、浴槽2の範囲の判別処理(S106~S108)が行われたが、浴槽2の範囲の判別処理に用いる3次元情報は、必ずしも、これに限られるものではない。
【0119】
たとえば、湯張り開始時から所定時間(たとえば、数10秒または数分)が経過した時点における3次元情報が、湯張り開始時の3次元情報に代えて用いられてもよく、あるいは、湯張り終了時から所定時間(たとえば、数秒または数10秒)が経過した時点における3次元情報が、湯張り終了時の3次元情報に代えて用いられてもよい。すなわち、2つの3次元情報をそれぞれ取得する2つの時点は、これら2つの時点間において、浴槽2の湯の表面の高さの変化を適正に判別し得る時点であればよい。また、これら2つの時点における湯の表面の変化を適正に検出可能に、ステップS106における所定の高さが設定されればよい。
【0120】
また、浴槽2の範囲の判別に用いる3次元情報を取得する際に、人センサ127が、浴室3内に人がいることを検出した場合、3次元情報の取得および判別処理が中止されてもよい。この場合、たとえば、図4のステップS103の処理タイミングでは人が検出されず、ステップS105の処理タイミングにおいて人が検出された場合、ステップS105における処理は、その後、人が検出されなくなった時点で実行されて、ステップS106以降の処理が行われてもよい。
【0121】
また、ステップS103、S105の処理タイミングにおいて、浴室3から速やかに退出することを浴室3内の人に報知する音声が、浴室リモコン12から出力されてもよい。あるいは、ステップS101の判定がYESとなった時点で、この報知がなされてもよい。また、浴室内監視装置20がスピーカを備える場合、この報知が、浴室内監視装置20においてなされてもよい。
【0122】
また、上記実施形態では、試運転時の湯張り時に浴槽2および洗い場31の範囲の判別処理が行われたが、判別処理が行われるシーンはこれに限られるものではない。たとえば、施工者または使用者が、浴室リモコン12に対し判別処理の開始操作を行った後、通常の湯張り操作を行ってもよい。この場合、開始操作を示す信号が、台所リモコン13を介して浴室内監視装置20に送信される。これにより、浴室内監視装置20の制御部201において、図4のステップS103以降の処理が行われればよい。
【0123】
あるいは、浴槽2からの排水時に判別処理が行われてもよい。たとえば、施工者または使用者は、浴室リモコン12に対し判別処理の開始操作を行った後、浴槽2の排水弁を開放させてもよい。この場合、開始操作を示す信号が、台所リモコン13を介して浴室内監視装置20に送信される。浴室内監視装置20の制御部201は、開始操作を示す信号を受信した時点の3次元情報と、その後、排水に通常要する時間が経過した時点の3次元情報とを用いて、図4のステップS106以降の処理を実行すればよい。この処理によっても、浴槽2の範囲を適正に判別することができる。
【0124】
なお、判別処理の開始時には、浴槽2から蓋を取り外して浴室外に運び出すことを施工者等に促す音声が、浴室リモコン12および台所リモコン13から出力されてもよい。浴室内監視装置20がスピーカを備える場合、この音声が浴室内監視装置20から出力されてもよい。これにより、判別処理時に浴槽2内の湯の表面の変化をより確実に検出でき、浴槽2の範囲を適正に判別することができる。
【0125】
また、図9の処理では、3次元センサ204から出力される3次元情報のみに基づいて、浴槽2または洗い場31にいる人の安否が監視されたが、人センサ127の検出結果等、さらに他の情報が加味されて、浴槽2または洗い場31にいる人の安否が監視されてもよい。
【0126】
また、図4の処理は、浴室内監視装置20の制御部201において行われたが、この処理が、浴室リモコン12の制御部123等、ふろシステム1に含まれる他の制御部によって行われてもよい。この場合、この制御部は、3次元センサ204から随時3次元情報を取得して、図4の処理を行えばよい。同様に、図9の処理も、ふろシステム1に含まれる他の制御部が行ってもよい。このようなふろシステム1においても、上記実施形態と同様の効果が奏され得る。
【0127】
また、給湯器11は、ガス燃料を用いるものに限らず、オイルを燃料とする給湯器であってもよい。あるいは、ふろ装置10は、貯留タンクを用いた貯留式のものであってもよく、燃料電池等の発電ユニットをさらに備えた構成であってもよい。
【0128】
また、上記実施形態では、所定のふろ機能を実行するふろ装置として、ふろ機能とともに給湯機能を備えたふろ装置10が例示されたが、ふろ装置は、ふろ機能のみを実行可能な装置であってもよい。たとえば、ふろ装置10は、浴槽2に溜められた水を、熱交換器に循環させて暖める機能のみを有するものであってもよい。また、給湯器11の構成も、図3に示した構成に限られるものではなく、他の構成であってもよい。
【0129】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜種々の変更可能である。
【符号の説明】
【0130】
1 ふろシステム
10 ふろ装置
20 浴室内監視装置
201 制御部
203 通信部
204 3次元センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10