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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001734
(43)【公開日】2023-01-06
(54)【発明の名称】積層布地製造方法
(51)【国際特許分類】
   D06M 17/00 20060101AFI20221226BHJP
   A41D 31/02 20190101ALI20221226BHJP
   A41D 31/06 20190101ALI20221226BHJP
   A41D 31/24 20190101ALI20221226BHJP
   A41D 31/04 20190101ALI20221226BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20221226BHJP
   B32B 7/14 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
D06M17/00 B
A41D31/02 A
A41D31/06
A41D31/24 100
A41D31/04 C
B32B5/26
B32B7/14
D06M17/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102639
(22)【出願日】2021-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】517170052
【氏名又は名称】デサントジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 満
(72)【発明者】
【氏名】今橋 剛大
(72)【発明者】
【氏名】大田 晃輝
(72)【発明者】
【氏名】西崎 啓
(72)【発明者】
【氏名】松井 玄太
(72)【発明者】
【氏名】島田 幸一
(72)【発明者】
【氏名】猪俣 竜一
【テーマコード(参考)】
4F100
4L032
【Fターム(参考)】
4F100AK01A
4F100AK01C
4F100CB03B
4F100DC21B
4F100DG11A
4F100DG11C
4F100DG12A
4F100EJ33A
4F100EJ33B
4F100EJ91D
4F100GB72
4F100JB06A
4F100JD02A
4F100JD15A
4F100JJ02A
4F100JJ06A
4L032AB03
4L032AC01
4L032BA09
4L032BB03
4L032BD01
4L032BD03
4L032DA01
4L032EA03
4L032EA06
(57)【要約】
【課題】所定領域と、この所定領域とは異なる領域とで異なる特性を有することができる積層布地の製造方法を提供する。
【解決手段】第1布地および第2布地を有する積層布地を製造する方法であって、第1ホットメルト接着剤層を含む第1接着シートを準備する第1接着シート準備工程と、第2ホットメルト接着剤層を含み、単位面積あたりのホットメルト接着剤の付着面積が第1接着シートよりも大きい第2接着シートを準備する第2接着シート準備工程と、第1布地の一方面の所定領域に第1接着シートの第1ホットメルト接着剤層を配置し、第1布地の一方面の所定領域とは異なる領域に第2接着シートの第2ホットメルト接着剤層を配置する第1布地接着工程と、第2接着シートが存在している領域において、第1布地および第2接着シートに貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、第1ホットメルト接着剤層および第2ホットメルト接着剤層に第2布地の一方面を接合する第2布地接着工程と、を含むことを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1布地および第2布地を有する積層布地を製造する方法であって、
第1ホットメルト接着剤層を含む第1接着シートを準備する第1接着シート準備工程と、
第2ホットメルト接着剤層を含み、単位面積あたりのホットメルト接着剤の付着面積が前記第1接着シートよりも大きい第2接着シートを準備する第2接着シート準備工程と、
前記第1布地の一方面の所定領域に前記第1接着シートの前記第1ホットメルト接着剤層を配置し、前記第1布地の一方面の前記所定領域とは異なる領域に前記第2接着シートの前記第2ホットメルト接着剤層を配置する第1布地接着工程と、
前記第2接着シートが存在している領域において、前記第1布地および前記第2接着シートに貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記第1ホットメルト接着剤層および前記第2ホットメルト接着剤層に前記第2布地の一方面を接合する第2布地接着工程と、を含むことを特徴とする積層布地製造方法。
【請求項2】
前記第2接着シートは、前記第2ホットメルト接着剤層に積層されている離型シートを有しており、
前記貫通孔形成工程は、前記離型シートを下面、前記第1布地を上面に配置し、前記第1布地の上面からレーザーを照射することによって前記貫通孔を形成する請求項1に記載の積層布地製造方法。
【請求項3】
第1布地および第2布地を有する積層布地を製造する方法であって、
第1ホットメルト接着剤層を含む第1接着シートを準備する第1接着シート準備工程と、
第2ホットメルト接着剤層を含み、単位面積あたりのホットメルト接着剤の付着面積が前記第1接着シートよりも大きい第2接着シートを準備する第2接着シート準備工程と、
前記第1布地の一方面の所定領域に前記第1接着シートの前記第1ホットメルト接着剤層を配置し、前記第1布地の一方面の前記所定領域とは異なる領域に前記第2接着シートの前記第2ホットメルト接着剤層を配置する第1布地接着工程と、
前記第1ホットメルト接着剤層および前記第2ホットメルト接着剤層に前記第2布地の一方面を接合する第2布地接着工程と、
前記第2接着シートが存在している領域において、前記第1布地、前記第2接着シート、および前記第2布地に貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、を含むことを特徴とする積層布地製造方法。
【請求項4】
前記貫通孔形成工程の後、前記第1布地と前記第2接着シートとが互いに重なり合っている部分における前記貫通孔の開口率は、10%以上90%以下である請求項1~3のいずれか一項に記載の積層布地製造方法。
【請求項5】
前記第1布地および前記第2布地のいずれか一方は、下記条件1を満たす伸縮性布地であり、
前記第1布地および前記第2布地のいずれか他方は、下記条件1を満たさない布地である請求項1~4のいずれか一項に記載の積層布地製造方法。
(条件1)
JIS L1096 B-1 定荷重法に基づいて測定される伸長率が5%以上である。
【請求項6】
前記第1布地および前記第2布地のいずれか一方は、下記条件2を満たす遮熱性布地であり、
前記第1布地および前記第2布地のいずれか他方は、下記条件3を満たす蓄熱性布地である請求項1~5のいずれか一項に記載の積層布地製造方法。
(条件2)
試料を装着した熱線受光体と対照品を装着した熱線受光体にレフランプによって光を15分照射し、それぞれの熱線受光体の上昇温度をサーモカメラによって測定し、試料を装着した熱線受光体は対象品を装着した熱線受光体よりも温度が1℃以上低い。
(条件3)
試料と対照品の裏面中央部にそれぞれ熱電対温度センサーを取り付け、表面にレフランプによって光を10分照射し、それぞれの熱電対温度センサーの温度を測定し、試料に取り付けた熱電対温度センサーは対象品に取り付けた熱電対温度センサーよりも温度が1℃以上高い。
【請求項7】
前記第1布地および前記第2布地のいずれか一方は、下記条件4を満たす耐摩耗性布地であり、
前記第1布地および前記第2布地のいずれか他方は、下記条件4を満たさない布地である請求項1~6のいずれか一項に記載の積層布地製造方法。
(条件4)
JIS L1056 C法に基づいて測定される耐摩耗性が650rpm以上である。
【請求項8】
前記第1布地および前記第2布地のいずれか一方は、下記条件5を満たす防風性布地であり、
前記第1布地および前記第2布地のいずれか他方は、下記条件5を満たさない布地である請求項1~7のいずれか一項に記載の積層布地製造方法。
(条件5)
JIS L1096 A法に基づいて測定される通気度が、織物である場合は10cm/cm・s以下であり、編物である場合は50cm/cm・s以下である。
【請求項9】
前記第1布地および前記第2布地のいずれか一方は、下記条件6を満たす吸水性布地であり、
前記第1布地および前記第2布地のいずれか他方は、下記条件7を満たす撥水性布地である請求項1~8のいずれか一項に記載の積層布地製造方法。
(条件6)
JIS L1907 滴下法に基づいて測定される吸水性が、初期は5秒以下である。
(条件7)
JIS L1092 スプレー法に基づいて測定される撥水性が、初期は3級以上である。
【請求項10】
前記第1布地および前記第2布地のいずれか一方は、下記条件8を満たす吸湿発熱性布地であり、
前記第1布地および前記第2布地のいずれか他方は、下記条件8を満たさない布地である請求項1~9のいずれか一項に記載の積層布地製造方法。
(条件8)
試料と対照品において、環境温度20℃で相対湿度40%から90%に変化させた時のそれぞれの布地の表面温度を継続測定し、相対湿度90%状況下の温度変化において、試料の最大上昇温度は対象品の最大上昇温度よりも0.5℃以上高い。
【請求項11】
前記第1布地および前記第2布地のいずれか一方は、下記条件9を満たす接触冷感性布地であり、
前記第1布地および前記第2布地のいずれか他方は、下記条件9を満たさない布地である請求項1~10のいずれか一項に記載の積層布地製造方法。
(条件9)
JIS L1927に基づいて測定される環境温度20℃、ΔT=10℃での接触冷感性がqmax 0.100W/cm以上である。
【請求項12】
前記第1布地および前記第2布地のいずれか一方は、合成繊維で構成されており、
前記第1布地および前記第2布地のいずれか他方は、合成繊維で構成されていない請求項1~11のいずれか一項に記載の積層布地製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1布地および第2布地を有する積層布地を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣服等に様々な機能を付与することや着心地を向上させることを目的として、複数の布地を積層させた積層布地を用いて衣服を構成することが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、トリコット編機によって編成されたハーフ編の編組織を含む第1の経編地と、ラッシェル編機によって編成されたサテン編の編組織を含み第1の経編地に積層された第2の経編地とを有し、第1の経編地と第2の経編地とがホットメルト接着剤によって接合されている層状編地複合材が記載されている。特許文献2には、シート状に形成された中わた部材と、予めホットメルト樹脂が布帛全面にドット状に付与された布帛基布とが、該ホットメルト樹脂が付与された側の面と該中わた部材とを対向させて接着された積層布帛が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-24956号公報
【特許文献2】特開2018-65385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、特にスポーツウェア等の運動時に着用する衣服において、さらなる高機能化が求められている。具体的には、衣服の各部位においてそれぞれ求められている特性を有する衣服等が望まれている。しかし、特許文献1及び2に記載されているような積層布地を用いた衣服では機能が十分ではなく、改善の余地があると考えられる。
【0006】
そこで本発明は、所定領域と、この所定領域とは異なる領域とで異なる特性を有することができる積層布地の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決することができた本発明の第1の積層布地製造方法は、第1布地および第2布地を有する積層布地を製造する方法であって、第1ホットメルト接着剤層を含む第1接着シートを準備する第1接着シート準備工程と、第2ホットメルト接着剤層を含み、単位面積あたりのホットメルト接着剤の付着面積が第1接着シートよりも大きい第2接着シートを準備する第2接着シート準備工程と、第1布地の一方面の所定領域に第1接着シートの第1ホットメルト接着剤層を配置し、第1布地の一方面の所定領域とは異なる領域に第2接着シートの第2ホットメルト接着剤層を配置する第1布地接着工程と、第2接着シートが存在している領域において、第1布地および第2接着シートに貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、第1ホットメルト接着剤層および第2ホットメルト接着剤層に第2布地の一方面を接合する第2布地接着工程と、を含むことを特徴とするものである。
【0008】
上記の第1の積層布地製造方法において、第2接着シートは、第2ホットメルト接着剤層に積層されている離型シートを有しており、貫通孔形成工程は、離型シートを下面、第1布地を上面に配置し、第1布地の上面からレーザーを照射することによって貫通孔を形成することが好ましい。
【0009】
前記課題を解決することができた本発明の第2の積層布地製造方法は、第1布地および第2布地を有する積層布地を製造する方法であって、第1ホットメルト接着剤層を含む第1接着シートを準備する第1接着シート準備工程と、第2ホットメルト接着剤層を含み、単位面積あたりのホットメルト接着剤の付着面積が第1接着シートよりも大きい第2接着シートを準備する第2接着シート準備工程と、第1布地の一方面の所定領域に第1接着シートの第1ホットメルト接着剤層を配置し、第1布地の一方面の所定領域とは異なる領域に第2接着シートの第2ホットメルト接着剤層を配置する第1布地接着工程と、第1ホットメルト接着剤層および第2ホットメルト接着剤層に第2布地の一方面を接合する第2布地接着工程と、第2接着シートが存在している領域において、第1布地、第2接着シート、および第2布地に貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、を含むことを特徴とするものである。
【0010】
上記の積層布地製造方法において、貫通孔形成工程の後、第1布地と第2接着シートとが互いに重なり合っている部分における貫通孔の開口率は、10%以上90%以下であることが好ましい。
【0011】
上記の積層布地製造方法において、第1布地および第2布地のいずれか一方は、下記条件1を満たす伸縮性布地であり、第1布地および第2布地のいずれか他方は、下記条件1を満たさない布地であることが好ましい。
(条件1)JIS L1096 B-1 定荷重法に基づいて測定される伸長率が5%以上である。
【0012】
上記の積層布地製造方法において、第1布地および第2布地のいずれか一方は、下記条件2を満たす遮熱性布地であり、第1布地および第2布地のいずれか他方は、下記条件3を満たす蓄熱性布地であることが好ましい。
(条件2)試料を装着した熱線受光体と対照品を装着した熱線受光体にレフランプによって光を15分照射し、それぞれの熱線受光体の上昇温度をサーモカメラによって測定し、試料を装着した熱線受光体は対象品を装着した熱線受光体よりも温度が1℃以上低い。
(条件3)試料と対照品の裏面中央部にそれぞれ熱電対温度センサーを取り付け、表面にレフランプによって光を10分照射し、それぞれの熱電対温度センサーの温度を測定し、試料に取り付けた熱電対温度センサーは対象品に取り付けた熱電対温度センサーよりも温度が1℃以上高い。
【0013】
上記の積層布地製造方法において、第1布地および第2布地のいずれか一方は、下記条件4を満たす耐摩耗性布地であり、第1布地および第2布地のいずれか他方は、下記条件4を満たさない布地であることが好ましい。
(条件4)JIS L1056 C法に基づいて測定される耐摩耗性が650rpm以上である。
【0014】
上記の積層布地製造方法において、第1布地および第2布地のいずれか一方は、下記条件5を満たす防風性布地であり、第1布地および第2布地のいずれか他方は、下記条件5を満たさない布地であることが好ましい。
(条件5)JIS L1096 A法に基づいて測定される通気度が、織物である場合は10cm/cm・s以下であり、編物である場合は50cm/cm・s以下である。
【0015】
上記の積層布地製造方法において、第1布地および第2布地のいずれか一方は、下記条件6を満たす吸水性布地であり、第1布地および第2布地のいずれか他方は、下記条件7を満たす撥水性布地であることが好ましい。
(条件6)JIS L1907 滴下法に基づいて測定される吸水性が、初期は5秒以下である。
(条件7)JIS L1092 スプレー法に基づいて測定される撥水性が、初期は3級以上である。
【0016】
上記の積層布地製造方法において、第1布地および第2布地のいずれか一方は、下記条件8を満たす吸湿発熱性布地であり、第1布地および第2布地のいずれか他方は、下記条件8を満たさない布地であることが好ましい。
(条件8)試料と対照品において、環境温度20℃で相対湿度40%から90%に変化させた時のそれぞれの布地の表面温度を継続測定し、相対湿度90%状況下の温度変化において、試料の最大上昇温度は対象品の最大上昇温度よりも0.5℃以上高い。
【0017】
上記の積層布地製造方法において、第1布地および第2布地のいずれか一方は、下記条件9を満たす接触冷感性布地であり、第1布地および第2布地のいずれか他方は、下記条件9を満たさない布地であることが好ましい。
(条件9)
JIS L1927に基づいて測定される環境温度20℃、ΔT=10℃での接触冷感性がqmax 0.100W/cm以上である。
【0018】
上記の積層布地製造方法において、第1布地および第2布地のいずれか一方は、合成繊維で構成されており、第1布地および第2布地のいずれか他方は、合成繊維で構成されていないことが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の積層布地製造方法によれば、第1ホットメルト接着剤層を含む第1接着シートと、第2ホットメルト接着剤層を含み、単位面積あたりのホットメルト接着剤の付着面積が第1接着シートよりも大きい第2接着シートと、を用い、第2接着シートが存在している領域において第1布地および第2接着シートに貫通孔を形成する貫通孔形成工程を含むことによって、第1布地の所定領域とは異なる領域に貫通孔を形成することができる。その結果、第1布地の所定領域と、第1布地の所定領域とは異なる領域とで積層布地の特性を変化させることが可能となる。具体的には、積層布地は、第1布地の所定領域とは異なる領域に貫通孔が形成されていることにより、積層布地の第1布地の所定領域とは異なる領域では、積層布地の第1布地の所定領域よりも伸びがよく、通気性を高めることができる。また、貫通孔が形成されている第1布地の所定領域とは異なる領域に、単位面積あたりのホットメルト接着剤の付着面積が第1接着シートよりも大きい第2接着シートがあることにより、積層布地に貫通孔を形成しても貫通孔の周縁部で第1布地と第2布地とが第2接着シートによって接着されるため、貫通孔の周縁部において第1布地と第2布地とが剥離しにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態に係る第1の積層布地製造方法での第1布地接着工程の断面模式図を表す。
図2】本発明の実施の形態に係る第1の積層布地製造方法での貫通孔形成工程の断面模式図を表す。
図3】本発明の実施の形態に係る第1の積層布地製造方法での第2布地接着工程の断面模式図を表す。
図4】本発明の他の実施の形態に係る第1の積層布地製造方法での貫通孔形成工程の断面模式図を表す。
図5】本発明の積層布地製造方法をジャケットに用いる場合の模式図を表す。
図6】本発明の積層布地製造方法をパンツに用いる場合の模式図を表す。
図7】本発明の実施の形態に係る第2の積層布地製造方法での第2布地接着工程の断面模式図を表す。
図8】本発明の実施の形態に係る第2の積層布地製造方法での貫通孔形成工程の断面模式図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る積層布地製造方法に関して、図面を参照しつつ具体的に説明するが、本発明はもとより図示例に限定される訳ではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0022】
まず、本発明の第1の積層布地製造方法について、図1図3を参照して説明する。
【0023】
図1は本発明の実施の形態に係る第1の積層布地製造方法での第1布地接着工程の断面模式図であり、図2は貫通孔形成工程の断面模式図であり、図3は第2布地接着工程の断面模式図である。図1図3に示すように、本発明は、第1布地10および第2布地20を有する積層布地1を製造する方法である。
【0024】
本発明の第1の積層布地製造方法は、第1ホットメルト接着剤層110を含む第1接着シート100を準備する第1接着シート準備工程と、第2ホットメルト接着剤層220を含み、単位面積あたりのホットメルト接着剤の付着面積が第1接着シート100よりも大きい第2接着シート200を準備する第2接着シート準備工程と、第1布地10の一方面の所定領域に第1接着シート100の第1ホットメルト接着剤層110を配置し、第1布地10の一方面の所定領域とは異なる領域に第2接着シート200の第2ホットメルト接着剤層220を配置する第1布地接着工程と、第2接着シート200が存在している領域において、第1布地10および第2接着シート200に貫通孔30を形成する貫通孔形成工程と、第1ホットメルト接着剤層110および第2ホットメルト接着剤層220に第2布地20の一方面を接合する第2布地接着工程と、を含む。
【0025】
図1図3に示すように、積層布地1は、第1布地10と第2布地20とが積層された布地である。積層布地1は、衣料を構成する布地であることが好ましい。本発明において、衣料とは身につけるものであり、パーカー、トレーナー、コート、ジャケット、ジャンパー等の上衣、ズボン、スカート等の下衣、ワンピース、つなぎ等の上衣と下衣が一体化したつなぎ服を含む。他にも、本発明における衣料には、水着、下着等も含まれる。また、積層布地1を含む衣料は、防寒用、防暑用、スポーツ用、アウトドア用とすることができる。
【0026】
第1布地10および第2布地20は、織物、編物、不織布等の布地や、合成樹脂のシート状物等から構成される。第1布地10および第2布地20を構成する繊維としては、例えば、ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル等の合成繊維、綿、麻、毛、絹等の天然繊維等が挙げられる。第1布地10および第2布地20である合成樹脂のシート状物を構成する材料としては、例えば、クロロプレンゴム等が挙げられる。中でも、第1布地10および第2布地20は、編物または織物であることが好ましい。第1布地10および第2布地20が編物または織物であることにより、第1布地10および第2布地20を有する積層布地1によって衣料を構成した際に、着心地がよく、かつ耐久性に優れた衣料とすることができる。
【0027】
第1接着シート準備工程において、第1ホットメルト接着剤層110を含む第1接着シート100を準備する。第2接着シート準備工程において、第2ホットメルト接着剤層220を含み、単位面積あたりのホットメルト接着剤の付着面積が第1接着シート100よりも大きい第2接着シート200を準備する。
【0028】
第2接着シート200は、第1接着シート100よりも単位面積あたりのホットメルト接着剤の付着面積が大きい。第2接着シート200の単位面積あたりのホットメルト接着剤の付着面積を第1接着シート100よりも大きくするには、例えば、第2接着シート200として、ホットメルト接着剤が面状に配置されているものを用い、第1接着シート100として、ホットメルト接着剤が部分的に配置され、ホットメルト接着剤が存在していない部分があるものを用いることが挙げられる。ホットメルト接着剤が部分的に配置され、ホットメルト接着剤が存在していない部分がある第1接着シート100としては、図示していないが、例えば、ホットメルト接着剤がメッシュ状、ドット状、格子状、ストライプ状、波線状等に配置されているものが挙げられる。
【0029】
第1接着シート100は、ホットメルト接着剤がメッシュ状に配置されており、第2接着シート200は、ホットメルト接着剤が面状に配置されていることが好ましい。ホットメルト接着剤が、第1接着シート100ではメッシュ状に配置されており、第2接着シート200では面状に配置されていることにより、積層布地1において、第1接着シート100によって第1布地10と第2布地20が接合される部分では、ホットメルト接着剤が部分的に存在し、部分的に存在していないことにより、通気性や柔軟性を高めることができ、また、第2接着シート200によって第1布地10と第2布地20が接合される部分では、第1布地10と第2布地20の接合強度が高まり、第1布地10と第2布地20とが剥離しにくくすることができる。その結果、積層布地1において、第1布地10と第2布地20の接合強度と、積層布地1の通気性や柔軟性とを両立させることができる。
【0030】
第2接着シート200の単位面積あたりのホットメルト接着剤の付着面積は、第1接着シート100の単位面積あたりのホットメルト接着剤の付着面積の1.001倍以上であることが好ましく、1.01倍以上であることがさらに好ましく、1.1倍以上であることがさらに好ましい。第2接着シート200と第1接着シート100の単位面積あたりのホットメルト接着剤の付着面積の比率の下限値を上記の範囲に設定することにより、第2接着シート200による第1布地10と第2布地20との接合強度を高めることができ、第1布地10と第2布地20とが剥離しにくくなる。また、第2接着シート200の単位面積あたりのホットメルト接着剤の付着面積は、第1接着シート100の単位面積あたりのホットメルト接着剤の付着面積の50倍以下であることが好ましく、45倍以下であることがより好ましく、40倍以下であることがさらに好ましい。第2接着シート200と第1接着シート100の単位面積あたりのホットメルト接着剤の付着面積の比率の上限値を上記の範囲に設定することにより、積層布地1中の第1接着シート100が存在している部分における通気性や柔軟性を向上させることができる。
【0031】
第1ホットメルト接着剤層110や第2ホットメルト接着剤層220が有しているホットメルト接着剤は、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合系、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系、ブチルゴムやポリイソプレン等のゴム系、ポリウレタン系を主成分として含むものが挙げられる。第1ホットメルト接着剤層110が有しているホットメルト接着剤は、第2ホットメルト接着剤層220が有しているホットメルト接着剤と異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。第1ホットメルト接着剤層110が有しているホットメルト接着剤が、第2ホットメルト接着剤層220が有しているホットメルト接着剤と同じであることにより、積層布地1の製造時に第1布地10および第2布地20の接合のために加える温度や圧力の条件を同程度とすることができ、製造の効率を高めることが可能となる。
【0032】
第1ホットメルト接着剤層110および第2ホットメルト接着剤層220が第1布地10および第2布地20を接合するには、60℃以上の加熱によって接合可能であることが好ましく、90℃以上の加熱によって接合可能であることがより好ましく、120℃以上の加熱によって接合可能であることがさらに好ましい。また、第1ホットメルト接着剤層110および第2ホットメルト接着剤層220が第1布地10および第2布地20を接合するには、190℃以下の加熱によって接合可能であることが好ましく、170℃以下の加熱によって接合可能であることがより好ましく、140℃以下の加熱によって接合可能であることがさらに好ましい。中でも、第1ホットメルト接着剤層110および第2ホットメルト接着剤層220は、120℃以上140℃以下の加熱によって第1布地10および第2布地20を接合可能となることが特に好ましい。第1布地10および第2布地20の接合のために第1ホットメルト接着剤層110および第2ホットメルト接着剤層220に必要な加熱温度を上記の範囲に設定することにより、加熱時に第1布地10や第2布地20が焦げる等の不良が発生しにくく、効率的に積層布地1の製造を行うことができる。
【0033】
図1に示すように、第1布地接着工程において、第1布地10の一方面の所定領域に第1接着シート100の第1ホットメルト接着剤層110を配置し、第1布地10の一方面の所定領域とは異なる領域に第2接着シート200の第2ホットメルト接着剤層220を配置する。
【0034】
つまり、第1布地接着工程において、第1布地10の1つの面上に第1接着シート100の第1ホットメルト接着剤層110と第2接着シート200の第2ホットメルト接着剤層220とを、第1ホットメルト接着剤層110と第2ホットメルト接着剤層220とが互いに重なり合わないように配置する。第1布地10の一方面の所定領域に第1接着シート100の第1ホットメルト接着剤層110を配置し、第1布地10の一方面の所定領域とは異なる領域に第2接着シート200の第2ホットメルト接着剤層220を配置することにより、単位面積あたりのホットメルト接着剤の付着面積が第2接着シート200よりも小さい第1接着シート100の第1ホットメルト接着剤層110と、第2接着シート200の第2ホットメルト接着剤層220とが互いに重なり合わないこととなる。第1ホットメルト接着剤層110と第2ホットメルト接着剤層220とが互いに重なり合わないことによって、積層布地1の、第2接着シート200によって接合された第1布地10と第2布地20の部分の通気性や柔軟性を確保することができる。
【0035】
図1では、第1ホットメルト接着剤層110と第2ホットメルト接着剤層220との間に隙間がないものを図示しているが、第1布地接着工程において、第1ホットメルト接着剤層110と第2ホットメルト接着剤層220との間に隙間があってもよい。第1ホットメルト接着剤層110と第2ホットメルト接着剤層220との間に隙間があることにより、第1ホットメルト接着剤層110と第2ホットメルト接着剤層220とが重なり合いにくくすることができる。
【0036】
図2に示すように、貫通孔形成工程にて、第2接着シート200が存在している領域において、第1布地10および第2接着シート200に貫通孔30を形成する。
【0037】
つまり、貫通孔形成工程は第1布地接着工程の後に行うものであって、第1布地接着工程において、第1布地10に第2接着シート200を配置した、第1布地10の所定領域とは異なる領域において、第1布地10および第2接着シート200に貫通孔30を形成する。第2接着シート200は、第1接着シート100よりも単位面積あたりのホットメルト接着剤の付着面積が大きいため、第2接着シート200に貫通孔30を形成しても第2ホットメルト接着剤層220におけるホットメルト接着剤が付着している面積を十分に確保することができる。そのため、第2ホットメルト接着剤層220による第1布地10と第2布地20との接合強度を高めることができ、特に貫通孔30の周囲で第1布地10と第2布地20とが剥離しにくくすることができる。
【0038】
貫通孔形成工程において、貫通孔30を形成する方法としては、レーザー加工、刃物による加工、パンチによる加工等が挙げられる。中でも、貫通孔形成工程は、レーザー加工によって貫通孔30を形成することが好ましい。レーザー加工によって貫通孔30を形成することにより、第1布地10および第2接着シート200に貫通孔30を素早く綺麗に形成することができ、積層布地1の製造を効率よく行うことが可能となる。
【0039】
第1布地10の上面から見た貫通孔30の形状は特に限定されず、例えば、円形状、長円形状、多角形状、またはこれらを組み合わせた形状であってもよい。
【0040】
貫通孔形成工程にて形成する貫通孔30の数は、複数であることが好ましい。貫通孔30の数が複数であることにより、積層布地1における第1布地10の所定領域とは異なる領域の全体において、物性が均一なものとなりやすくなる。
【0041】
貫通孔30の数が複数である場合、第1布地10の上面から見たそれぞれの貫通孔30の形状は、同じであってもよく、異なっていてもよい。また、貫通孔30の数が複数である場合、第1布地10の厚み方向に垂直な断面におけるそれぞれの貫通孔30の大きさは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0042】
図3に示すように、第2布地接着工程において、第1ホットメルト接着剤層110および第2ホットメルト接着剤層220に第2布地20の一方面を接合する。
【0043】
第2布地接着工程は、貫通孔形成工程の後に行う。第2布地接着工程を貫通孔形成工程の後に行うことにより、図3に示すように、貫通孔30がある部分には第1布地10と第2接着シート200が存在しないこととなる。その結果、積層布地1の所定領域とは異なる領域において、第1布地10および第2接着シート200による物性を低減することができ、積層布地1の所定領域と、所定領域とは異なる領域とで異なる物性を有するようにすることができる。
【0044】
図4は他の実施の形態に係る第1の積層布地製造方法での貫通孔形成工程の断面模式図である。図4に示すように、第2接着シート200は、第2ホットメルト接着剤層220に積層されている離型シート40を有しており、貫通孔形成工程は、離型シート40を下面、第1布地10を上面に配置し、第1布地10の上面からレーザーを照射することによって貫通孔30を形成することが好ましい。第2接着シート200が離型シート40を有していることにより、第2ホットメルト接着剤層220が意図しない他物に付着することを防止して第2接着シート200の取り扱いが容易となる効果や、第2ホットメルト接着剤層220にほこり等が付着することを防ぎ、第2ホットメルト接着剤層220による第1布地10と第2布地20との接合強度が低下することを防止できるという効果を発揮することができる。また、貫通孔形成工程において、離型シート40を下面、第1布地10を上面に配置し、第1布地10の上面からレーザーを照射して貫通孔30を形成することにより、レーザーによって離型シート40に焦げが発生することを防止することができる。従って、離型シート40に焦げが発生することによって、第1布地10が汚れて外観不良となることや、離型シート40の焦げが第2ホットメルト接着剤層220に付着して接合強度が低下することを防ぎ、積層布地1の製造効率を高めることができる。
【0045】
図4に示すように、第1接着シート100は、第1ホットメルト接着剤層110に積層されている離型シート40を有していることが好ましい。第1接着シート100が離型シート40を有していることにより、第1ホットメルト接着剤層110が意図しない他物に付着しにくくなって第1接着シート100の取り扱いが容易となり、また、第1ホットメルト接着剤層110にほこり等が付着して接合強度が低下することを防ぐことができる。
【0046】
第1接着シート100および第2接着シート200の少なくとも一方が離型シート40を有している場合、貫通孔形成工程の後であって第2布地接着工程の前に、離型シート40を除去する離型シート除去工程を有していることが好ましい。貫通孔形成工程の後かつ第2布地接着工程の前に離型シート除去工程を有していることにより、第1接着シート100と第2接着シート200の少なくとも一方から離型シート40を取り除き、第1ホットメルト接着剤層110および第2ホットメルト接着剤層220に第2布地20を接合することが可能となる。
【0047】
第2布地接着工程の後に、積層布地1の全体にホットプレスを行うホットプレス工程を有していることが好ましい。ホットプレス工程を有していることにより、積層布地1に熱と圧力を加え、積層布地1の全体が馴染みやすくなる。その結果、第1布地10と第2布地20の接合強度が増し、また、積層布地1の柔軟性を高めることができる。
【0048】
図5は本発明の積層布地製造方法をジャケットに用いる場合の模式図であり、図6は本発明の積層布地製造方法をパンツに用いる場合の模式図である。なお、図5は貫通孔形成工程の後での状態を示しており、図6は第1布地接着工程の後の状態を示している。
【0049】
図5および図6に示すように、本発明は、衣料を形成する各部材を構成するそれぞれの布地に用いられることが好ましい。具体的には、例えば、図5に示すジャケットでは、ジャケットを形成する右側の前身頃、左側の前身頃、後ろ身頃、フードを形成する3つの部材に、本発明の積層布地製造方法によって得られる積層布地1を用いることが好ましい。衣料を形成する各部材を構成するそれぞれの布地に積層布地1を用いることにより、衣料を形成する各部材において、所定領域と、所定領域とは異なる領域とで積層布地1の特性を変化させることが可能となる。
【0050】
例えば、図6に示すパンツでは、膝部分に第2接着シート200を配置し、それ以外の部分に第1接着シート100を配置している。第1布地接着工程の後、第2接着シート200が存在している領域において貫通孔30を形成する。つまり、パンツの膝部分に貫通孔30が存在することとなる。そのため、パンツの膝部分における積層布地1の伸びが向上し、着用者の膝の動きに沿って布地が伸縮し、動きやすいパンツとすることができる。また、図5に示すジャケットでは、前身頃および後ろ身頃の脇下部分、後ろ身頃の背中の中央部分に位置する箇所に貫通孔30が存在する。ジャケットの脇下部分や背中の中央部分に貫通孔30が存在することにより、脇下部分や背中の中央部分における積層布地1の伸びや通気性が高まる。そのため、ジャケットの着用者の腕の動きに合わせて布地が伸縮して動きやすく、また、脇部分や背中部分の熱を外部へ放出し、着心地を高めることができる。さらに、図5に示すジャケットはフードの耳部分に貫通孔30が存在するため、ジャケットの着用者がフードを被った状態であっても外部の音を聞き取りやすくなる。
【0051】
衣料を形成する各部材を構成するそれぞれの布地において、積層布地1が占める割合は、65%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、75%以上であることがさらに好ましい。衣料を形成する各部材の布地において積層布地1が占める割合の下限値を上記の範囲に設定することにより、衣料を形成する各部材の布地における所定領域と、所定領域とは異なる領域とでの積層布地1の特性が異なるものとなりやすくなる。なお、衣料を形成する各部材を構成するそれぞれの布地において、積層布地1が占める割合の上限値は、例えば、100%以下(100%を含む)、95%以下、90%以下とすることができる。
【0052】
図6に示すように、積層布地1全体を100%としたとき、第2接着シート200が占める面積の割合は、10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。積層布地1における第2接着シート200の割合の下限値を上記の範囲に設定することにより、積層布地1において貫通孔30の数を増やすことや貫通孔30の大きさを大きくすることができ、部分的に通気性や伸縮性を高めることができる。また、積層布地1全体を100%としたとき、第2接着シート200が占める面積の割合は、90%以下であることが好ましく、80%以下であることがより好ましく、70%以下であることがさらに好ましい。積層布地1における第2接着シート200の割合の上限値を上記の範囲に設定することにより、積層布地1中における第1接着シート100の割合を増やすことができ、積層布地1全体としての通気性や柔軟性を向上させることができる。
【0053】
次に、本発明の第2の積層布地製造方法について、図7および図8を参照して説明する。なお、下記の説明において、上記の説明と重複する部分は説明を省略する。
【0054】
図7は本発明の実施の形態に係る第2の積層布地製造方法での第2布地接着工程の断面模式図であり、図8は貫通孔形成工程の断面模式図である。
【0055】
本発明の第2の積層布地製造方法は、第1布地10および第2布地20を有する積層布地1を製造する方法であって、第1ホットメルト接着剤層110を含む第1接着シート100を準備する第1接着シート準備工程と、第2ホットメルト接着剤層220を含み、単位面積あたりのホットメルト接着剤の付着面積が第1接着シート100よりも大きい第2接着シート200を準備する第2接着シート準備工程と、第1布地10の一方面の所定領域に第1接着シート100の第1ホットメルト接着剤層110を配置し、第1布地10の一方面の所定領域とは異なる領域に第2接着シート200の第2ホットメルト接着剤層220を配置する第1布地接着工程と、第1ホットメルト接着剤層110および第2ホットメルト接着剤層220に第2布地20の一方面を接合する第2布地接着工程と、第2接着シート200が存在している領域において、第1布地10、第2接着シート200、および第2布地20に貫通孔30を形成する貫通孔形成工程と、を含む。
【0056】
図7に示すように、第2布地接着工程において、第1ホットメルト接着剤層110および第2ホットメルト接着剤層220に第2布地20の一方面を接合する。
【0057】
第1接着シート100および第2接着シート200の少なくとも一方が離型シート40を有している場合、第1布地接着工程の後であって第2布地接着工程の前に、離型シート40を除去する離型シート除去工程を有していることが好ましい。第1布地接着工程の後かつ第2布地接着工程の前に離型シート除去工程を有していることにより、第1接着シート100と第2接着シート200の少なくとも一方から離型シート40を取り除いて、第1ホットメルト接着剤層110および第2ホットメルト接着剤層220に第2布地20を接合することができる。
【0058】
図8に示すように、貫通孔形成工程にて、第2接着シート200が存在している領域において、第1布地10、第2接着シート200、および第2布地20に貫通孔30を形成する。
【0059】
貫通孔形成工程は第2布地接着工程の後に行うものである。第1布地接着工程において、第1布地10に第2接着シート200を配置した、第1布地10の所定領域とは異なる領域において、第1布地10、第2接着シート200、および第2布地20に貫通孔30を形成する。その結果、積層布地1の一方面から他方面に貫通している貫通孔30が形成され、衣料を構成する布地に積層布地1を用いた際に、貫通孔30によって通気性を高めることができ、蒸れが生じにくい衣料とすることが可能となる。
【0060】
本発明の積層布地1の第1の製造方法および第2の製造方法における好ましい態様について、以下に説明する。
【0061】
貫通孔形成工程の後、第1布地10と第2接着シート200とが互いに重なり合っている部分における貫通孔30の開口率は、10%以上90%以下であることが好ましい。第1布地10と第2接着シート200とが互いに重なり合っている部分における貫通孔30の開口率が10%以上90%以下であることにより、第1布地10と第2接着シート200とが互いに重なり合っている部分である所定領域とは異なる領域において、所定領域が有している物性とは異なる物性を発現しやすくすることができる。
【0062】
第1布地10と第2接着シート200とが互いに重なり合っている部分における貫通孔30の開口率は、10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。第1布地10と第2接着シート200とが互いに重なり合っている部分における貫通孔30の開口率の下限値を上記の範囲に設定することにより、第1布地10および第2接着シート200の存在率が低下し、所定領域との物性の差異が大きくなりやすくなる。また、第1布地10と第2接着シート200とが互いに重なり合っている部分における貫通孔30の開口率は、90%以下であることが好ましく、85%以下であることがより好ましく、80%以下であることがさらに好ましい。第1布地10と第2接着シート200とが互いに重なり合っている部分における貫通孔30の開口率の上限値を上記の範囲に設定することにより、貫通孔30の大きさが大きくなりすぎることを防ぎ、積層布地1の強度を高めることが可能となる。
【0063】
第1布地10および第2布地20のいずれか一方は、下記条件1を満たす伸縮性布地であり、第1布地10および第2布地20のいずれか他方は、下記条件1を満たさない布地であることが好ましい。
(条件1)
JIS L1096 B-1 定荷重法に基づいて測定される伸長率が5%以上である。
【0064】
例えば、第1布地10がJIS L1096 B-1 定荷重法に基づいて測定される伸長率が5%以上であるという条件1を満たす伸縮性布地である場合、第2布地20は、この条件1を満たさない布地であることが好ましい。また、第2布地20が条件1を満たす伸縮性布地である場合、第1布地10は条件1を満たさないことが好ましい。
【0065】
第1布地10および第2布地20のいずれか一方が条件1を満たす伸縮性布地であり、第1布地10および第2布地20のいずれか他方が条件1を満たさない布地であることにより、積層布地1の所定領域と、所定領域とは異なる領域において、異なる伸縮性を付与することが可能となる。
【0066】
具体例を挙げて説明すると、図3に示すような第1の積層布地製造方法によって製造された積層布地1において、第2布地20が条件1を満たす伸縮性布地であり、第1布地10が条件1を満たさない布地である場合、貫通孔30が存在している部分では第1布地10および第2ホットメルト接着剤層220が存在せず、第2布地20のみとなっている。その結果、貫通孔30が存在していない積層布地1の所定領域では、第1布地10によって第2布地20の伸縮性を抑制して過度な伸縮を防止し、貫通孔30が存在している積層布地1の所定領域とは異なる領域では、第2布地20によって伸縮性が高まる。つまり、積層布地1の所定領域は伸縮性が低く剛性の高い部分とし、所定領域とは異なる領域は伸縮性の高い部分とすることが可能となる。
【0067】
第1布地10および第2布地20のいずれか一方は、下記条件2を満たす遮熱性布地であり、第1布地10および第2布地20のいずれか他方は、下記条件3を満たす蓄熱性布地であることが好ましい。
(条件2)
試料を装着した熱線受光体と対照品を装着した熱線受光体にレフランプによって光を15分照射し、それぞれの熱線受光体の上昇温度をサーモカメラによって測定し、試料を装着した熱線受光体は対象品を装着した熱線受光体よりも温度が1℃以上低い。
(条件3)
試料と対照品の裏面中央部にそれぞれ熱電対温度センサーを取り付け、表面にレフランプによって光を10分照射し、それぞれの熱電対温度センサーの温度を測定し、試料に取り付けた熱電対温度センサーは対象品に取り付けた熱電対温度センサーよりも温度が1℃以上高い。
【0068】
第1布地10および第2布地20のいずれか一方が条件2を満たす遮熱性布地であり、第1布地10および第2布地20のいずれか他方が条件3を満たす蓄熱性布地であることにより、遮熱性と蓄熱性という、相反する特性を兼ね備えた積層布地1とすることができる。具体的には、積層布地1によって衣料を構成した場合、条件2を満たす遮熱性布地である第1布地10および第2布地20のいずれか一方を衣料の表地とすることによって、遮熱性を有する衣料となり、また、条件3を満たす蓄熱性布地である第1布地10および第2布地20のいずれか他方を衣料の表地とすることによって、蓄熱性を有する衣料とすることができる。つまり、所謂リバーシブルの衣料であって、第1布地10と第2布地20のどちらを表地とするかによって遮熱と蓄熱を切り替えることが可能となる。
【0069】
遮熱性布地の条件2について、試料を装着した熱線受光体の上昇温度は、対象品を装着した熱線受光体よりも2℃以上低いことが好ましく、2.5℃以上低いことがより好ましく、3℃以上低いことがさらに好ましい。試料と対象品との温度差の下限値を上記の範囲に設定することにより、布地の遮熱性を向上させることができる。なお、試料と対象品との温度差の上限値は特に限定されず、例えば、15℃以下、13℃以下、10℃以下とすることができる。
【0070】
蓄熱性布地の条件3について、試料に取り付けた熱電対温度センサーの温度は、対象品に取り付けた熱電対温度センサーの温度よりも2℃以上高いことが好ましく、3℃以上高いことがより好ましく、5℃以上高いことがさらに好ましい。試料と対象品との温度差の下限値を上記の範囲に設定することにより、蓄熱性の高い布地とすることができる。試料と対象品との温度差の上限値は特に限定されず、例えば、25℃以下、23℃以下、20℃以下とすることができる。
【0071】
第1布地10および第2布地20のいずれか一方は、条件2を満たす遮熱性布地であり、第1布地10および第2布地20のいずれか他方は、条件2を満たさない布地であることも好ましい。また、第1布地10および第2布地20のいずれか一方は、条件3を満たす蓄熱性布地であり、第1布地10および第2布地20のいずれか他方は、条件3を満たさない布地であることも好ましい。
【0072】
第1布地10および第2布地20のいずれか一方は、下記条件4を満たす耐摩耗性布地であり、第1布地10および第2布地20のいずれか他方は、下記条件4を満たさない布地であることが好ましい。
(条件4)
JIS L1056 C法に基づいて測定される耐摩耗性が650rpm以上である。
【0073】
第1布地10および第2布地20のいずれか一方が条件4を満たす耐摩耗性布地であり、第1布地10および第2布地20のいずれか他方が条件4を満たさない布地であることにより、積層布地1の所定領域と、所定領域とは異なる領域において、異なる耐摩耗性を付与することができる。そのため、積層布地1を用いて衣料を構成することによって、例えば、衣料の肘や膝に位置する部分等、部分的に高強度が求められる部分は他の部分よりも耐摩耗性を高めることが可能となる。
【0074】
第1布地10および第2布地20のいずれか一方は、下記条件5を満たす防風性布地であり、第1布地10および第2布地20のいずれか他方は、下記条件5を満たさない布地であることが好ましい。
(条件5)
JIS L1096 A法に基づいて測定される通気度が、織物である場合は10cm/cm・s以下であり、編物である場合は50cm/cm・s以下である。
【0075】
つまり、第1布地10が織物である場合、JIS L1096 A法に基づいて測定される通気度が10cm/cm・s以下であれば条件5を満たす防風性布地であるとし、第1布地10が編物である場合、JIS L1096 A法に基づいて測定される通気度が50cm/cm・s以下であれば条件5を満たす防風性布地であるとする。第2布地20についても同様に、第2布地20が織物である場合、JIS L1096 A法に基づいて測定される通気度が10cm/cm・s以下であれば条件5を満たす防風性布地であるとし、第2布地20が編物である場合、JIS L1096 A法に基づいて測定される通気度が50cm/cm・s以下であれば条件5を満たす防風性布地であるとする。
【0076】
第1布地10および第2布地20のいずれか一方が条件5を満たす防風性布地であり、第1布地10および第2布地20のいずれか他方が条件5を満たさない布地であることにより、積層布地1の所定領域と、所定領域とは異なる領域において、異なる通気性を付与することができる。そのため、積層布地1を用いて衣料を構成し、例えば、脇に位置する部分等、衣料の着用時に蒸れや熱のこもりを感じやすい部分には通気性を付与し、その他の部分には防風性を付与する等によって、積層布地1を含む衣料の着心地を向上させることができる。
【0077】
第1布地10および第2布地20のいずれか一方は、下記条件6を満たす吸水性布地であり、第1布地10および第2布地20のいずれか他方は、下記条件7を満たす撥水性布地であることが好ましい。
(条件6)
JIS L1907 滴下法に基づいて測定される吸水性が、初期は5秒以下である。
(条件7)
JIS L1092 スプレー法に基づいて測定される撥水性が、初期は3級以上である。
【0078】
第1布地10および第2布地20のいずれか一方が条件6を満たす吸水性布地であり、第1布地10および第2布地20のいずれか他方が条件7を満たす撥水性布地であることにより、吸水性と撥水性の両方を有する積層布地1とすることができる。具体例を挙げて説明すると、例えば、積層布地1を用いて衣料を構成し、条件6を満たす吸水性布地である第1布地10および第2布地20のいずれか一方を衣料の裏地とし、条件7を満たす撥水性布地である第1布地10および第2布地20のいずれか他方を衣料の表地とすることによって、汗は衣料の裏地が吸収しつつ雨水等は衣料の表地が弾く、着心地のよい衣料とすることができる。
【0079】
吸水性布地の条件6について、初期の吸水性は4秒以下であることが好ましく、3.5秒以下であることがより好ましく、3秒以下であることがさらに好ましい。初期の吸水性の上限値を上記の範囲に設定することにより、布地の吸水性を高めることができる。なお、初期の吸水性の下限値は特に限定されないが、例えば、0.1秒以上とすることができる。
【0080】
撥水性布地の条件7について、初期の撥水性は4級以上であることが好ましく、5級であることがより好ましい。初期の撥水性が4級以上であることにより、撥水性の高い布地とすることができる。
【0081】
第1布地10および第2布地20のいずれか一方は、下記条件8を満たす吸湿発熱性布地であり、第1布地10および第2布地20のいずれか他方は、下記条件8を満たさない布地であることが好ましい。
(条件8)
試料と対照品において、環境温度20℃で相対湿度40%から90%に変化させた時のそれぞれの布地の表面温度を継続測定し、相対湿度90%状況下の温度変化において、試料の最大上昇温度は対象品の最大上昇温度よりも0.5℃以上高い。
【0082】
第1布地10および第2布地20のいずれか一方が条件8を満たす吸湿発熱性布地であり、第1布地10および第2布地20のいずれか他方が条件8を満たさない布地であることにより、積層布地1の所定領域と、所定領域とは異なる領域において、異なる吸湿発熱性を付与することができる。その結果、例えば、積層布地1を用いて衣料を構成し、衣料の脇に位置する部分等の熱がこもりやすい部分を避けて吸湿発熱性の高い積層布地1の部分を配置することにより、吸湿発熱性があって着用時に身体が温まりやすく、かつ、熱がこもりやすい部分では熱くなりにくいという着心地のよい衣料とすることが可能となる。
【0083】
第1布地10および第2布地20のいずれか一方は、下記条件9を満たす接触冷感性布地であり、第1布地10および第2布地20のいずれか他方は、下記条件9を満たさない布地であることが好ましい。
(条件9)
JIS L1927に基づいて測定される環境温度20℃、ΔT=10℃での接触冷感性がqmax 0.100W/cm以上である。
【0084】
第1布地10および第2布地20のいずれか一方が条件9を満たす接触冷感性布地であり、第1布地10および第2布地20のいずれか他方が条件9を満たさない布地であることにより、積層布地1の表面と裏面のいずれか一方が接触冷感性を有し、表面と裏面のいずれか他方は接触冷感性を有さないこととなる。そのため、積層布地1を用いて、第1布地10および第2布地20の両方を表地とすることができる、所謂リバーシブルの衣料を作製した際に、夏季等の冷感が求められる時期には着用者の肌面側に接触冷感性布地である第1布地10および第2布地20のいずれか一方を配置することにより冷感が得られる。また、冬季等の冷感が必要ではない時期には、接触冷感性布地である第1布地10および第2布地20のいずれか一方を衣料の表地とすることによって冷たさを感じにくくなるため、夏季および冬季の両方で着用感がよく、年間を通して着用することが可能な衣料とすることができる。
【0085】
第1布地10および第2布地20のいずれか一方は、合成繊維で構成されており、第1布地10および第2布地20のいずれか他方は、合成繊維で構成されていないことが好ましい。
【0086】
つまり、第1布地10および第2布地20のいずれか一方は、合成繊維で構成されており、第1布地10および第2布地20のいずれか他方は、天然繊維で構成されていることが好ましい。第1布地10および第2布地20のいずれか一方は、合成繊維で構成されており、第1布地10および第2布地20のいずれか他方は、合成繊維で構成されていないことにより、合成繊維で構成されている布地と、非合成繊維で構成されている布地の両方の利点を生かすことができる。具体例を挙げて説明すると、例えば、第1布地10および第2布地20のいずれか一方を合成繊維で構成し、第1布地10および第2布地20のいずれか他方を天然繊維で構成した積層布地1を用いて衣料を作製し、衣料の表地側に合成繊維の布地を配置し、裏地側に天然繊維の布地を配置すると、衣料の着用者の肌面側には天然繊維が配置されているために肌当たりがよく、衣料の外面側には合成繊維が配置されているために擦れ等に強く、衣料の耐久性を高めることができる。
【0087】
以上のように、本発明の第1の積層布地製造方法は、第1布地および第2布地を有する積層布地を製造する方法であって、第1ホットメルト接着剤層を含む第1接着シートを準備する第1接着シート準備工程と、第2ホットメルト接着剤層を含み、単位面積あたりのホットメルト接着剤の付着面積が第1接着シートよりも大きい第2接着シートを準備する第2接着シート準備工程と、第1布地の一方面の所定領域に第1接着シートの第1ホットメルト接着剤層を配置し、第1布地の一方面の所定領域とは異なる領域に第2接着シートの第2ホットメルト接着剤層を配置する第1布地接着工程と、第2接着シートが存在している領域において、第1布地および第2接着シートに貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、第1ホットメルト接着剤層および第2ホットメルト接着剤層に第2布地の一方面を接合する第2布地接着工程と、を含むことを特徴とするものである。また、本発明の第2の積層布地製造方法は、第1布地および第2布地を有する積層布地を製造する方法であって、第1ホットメルト接着剤層を含む第1接着シートを準備する第1接着シート準備工程と、第2ホットメルト接着剤層を含み、単位面積あたりのホットメルト接着剤の付着面積が第1接着シートよりも大きい第2接着シートを準備する第2接着シート準備工程と、第1布地の一方面の所定領域に第1接着シートの第1ホットメルト接着剤層を配置し、第1布地の一方面の所定領域とは異なる領域に第2接着シートの第2ホットメルト接着剤層を配置する第1布地接着工程と、第1ホットメルト接着剤層および第2ホットメルト接着剤層に第2布地の一方面を接合する第2布地接着工程と、第2接着シートが存在している領域において、第1布地、第2接着シート、および第2布地に貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、を含むことを特徴とするものである。これらのような構成であることにより、第1布地の所定領域とは異なる領域に貫通孔を形成することができ、第1布地の所定領域と、第1布地の所定領域とは異なる領域とで積層布地の特性を変化させることが可能となる。
【符号の説明】
【0088】
1:積層布地
10:第1布地
20:第2布地
30:貫通孔
40:離型シート
100:第1接着シート
110:第1ホットメルト接着剤層
200:第2接着シート
220:第2ホットメルト接着剤層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1布地および第2布地を有する積層布地を製造する方法であって、
1接着シートを準備する第1接着シート準備工程と、
位面積あたりのホットメルト接着剤の付着面積が前記第1接着シートよりも大きい第2接着シートを準備する第2接着シート準備工程と、
前記第1布地の一方面の所定領域に前記第1接着シートを配置し、前記第1布地の一方面の前記所定領域とは異なる領域に前記第2接着シートを配置する第1布地接着工程と、
前記第2接着シートが存在している領域において、前記第1布地および前記第2接着シートに貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記第1接着シートおよび前記第2接着シートに前記第2布地の一方面を接合する第2布地接着工程と、を含み、
前記第1接着シートは、第1ホットメルト接着剤が層状に形成されており、
前記第2接着シートは、第2ホットメルト接着剤が層状に形成されていることを特徴とする積層布地製造方法。
【請求項2】
前記第2接着シートは、前記第2接着シートに積層されている離型シートを有しており、
前記貫通孔形成工程は、前記離型シートを下面、前記第1布地を上面に配置し、前記第1布地の上面からレーザーを照射することによって前記貫通孔を形成する請求項1に記載の積層布地製造方法。
【請求項3】
第1布地および第2布地を有する積層布地を製造する方法であって、
1接着シートを準備する第1接着シート準備工程と、
位面積あたりのホットメルト接着剤の付着面積が前記第1接着シートよりも大きい第2接着シートを準備する第2接着シート準備工程と、
前記第1布地の一方面の所定領域に前記第1接着シートを配置し、前記第1布地の一方面の前記所定領域とは異なる領域に前記第2接着シートを配置する第1布地接着工程と、
前記第1接着シートおよび前記第2接着シートに前記第2布地の一方面を接合する第2布地接着工程と、
前記第2接着シートが存在している領域において、前記第1布地、前記第2接着シート、および前記第2布地に貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、を含み、
前記第1接着シートは、第1ホットメルト接着剤が層状に形成されており、
前記第2接着シートは、第2ホットメルト接着剤が層状に形成されていることを特徴とする積層布地製造方法。
【請求項4】
前記第1接着シートは、ホットメルト接着剤がメッシュ状、ドット状、格子状、ストライプ状、および波線状よりなる群から選択される少なくとも1種の形状に配置されている請求項1~3のいずれか一項に記載の積層布地製造方法。
【請求項5】
前記貫通孔形成工程の後、前記第1布地と前記第2接着シートとが互いに重なり合っている部分における前記貫通孔の開口率は、10%以上90%以下である請求項1~のいずれか一項に記載の積層布地製造方法。
【請求項6】
前記第1布地および前記第2布地のいずれか一方は、下記条件1を満たす伸縮性布地であり、
前記第1布地および前記第2布地のいずれか他方は、下記条件1を満たさない布地である請求項1~のいずれか一項に記載の積層布地製造方法。
(条件1)
JIS L1096 B-1 定荷重法に基づいて測定される伸長率が5%以上である。
【請求項7】
前記第1布地および前記第2布地のいずれか一方は、下記条件2を満たす遮熱性布地であり、
前記第1布地および前記第2布地のいずれか他方は、下記条件3を満たす蓄熱性布地である請求項1~のいずれか一項に記載の積層布地製造方法。
(条件2)
試料を装着した熱線受光体と対照品を装着した熱線受光体にレフランプによって光を15分照射し、それぞれの熱線受光体の上昇温度をサーモカメラによって測定し、試料を装着した熱線受光体は対象品を装着した熱線受光体よりも温度が1℃以上低い。
(条件3)
試料と対照品の裏面中央部にそれぞれ熱電対温度センサーを取り付け、表面にレフランプによって光を10分照射し、それぞれの熱電対温度センサーの温度を測定し、試料に取り付けた熱電対温度センサーは対象品に取り付けた熱電対温度センサーよりも温度が1℃以上高い。
【請求項8】
前記第1布地および前記第2布地のいずれか一方は、下記条件4を満たす耐摩耗性布地であり、
前記第1布地および前記第2布地のいずれか他方は、下記条件4を満たさない布地である請求項1~のいずれか一項に記載の積層布地製造方法。
(条件4)
JIS L1056 C法に基づいて測定される耐摩耗性が650rpm以上である。
【請求項9】
前記第1布地および前記第2布地のいずれか一方は、下記条件5を満たす防風性布地であり、
前記第1布地および前記第2布地のいずれか他方は、下記条件5を満たさない布地である請求項1~のいずれか一項に記載の積層布地製造方法。
(条件5)
JIS L1096 A法に基づいて測定される通気度が、織物である場合は10cm/cm・s以下であり、編物である場合は50cm/cm・s以下である。
【請求項10】
前記第1布地および前記第2布地のいずれか一方は、下記条件6を満たす吸水性布地であり、
前記第1布地および前記第2布地のいずれか他方は、下記条件7を満たす撥水性布地である請求項1~のいずれか一項に記載の積層布地製造方法。
(条件6)
JIS L1907 滴下法に基づいて測定される吸水性が、初期は5秒以下である。(条件7)
JIS L1092 スプレー法に基づいて測定される撥水性が、初期は3級以上である。
【請求項11】
前記第1布地および前記第2布地のいずれか一方は、下記条件8を満たす吸湿発熱性布地であり、
前記第1布地および前記第2布地のいずれか他方は、下記条件8を満たさない布地である請求項1~10のいずれか一項に記載の積層布地製造方法。
(条件8)
試料と対照品において、環境温度20℃で相対湿度40%から90%に変化させた時のそれぞれの布地の表面温度を継続測定し、相対湿度90%状況下の温度変化において、試料の最大上昇温度は対象品の最大上昇温度よりも0.5℃以上高い。
【請求項12】
前記第1布地および前記第2布地のいずれか一方は、下記条件9を満たす接触冷感性布地であり、
前記第1布地および前記第2布地のいずれか他方は、下記条件9を満たさない布地である請求項1~11のいずれか一項に記載の積層布地製造方法。
(条件9)
JIS L1927に基づいて測定される環境温度20℃、ΔT=10℃での接触冷感性がqmax 0.100W/cm以上である。
【請求項13】
前記第1布地および前記第2布地のいずれか一方は、合成繊維で構成されており、
前記第1布地および前記第2布地のいずれか他方は、合成繊維で構成されていない請求項1~12のいずれか一項に記載の積層布地製造方法。