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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173423
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】画像検査装置及び画像検査システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
H04N7/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085674
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孫 卓力
(72)【発明者】
【氏名】小布施 聡
【テーマコード(参考)】
5C054
【Fターム(参考)】
5C054FD07
5C054FE05
5C054FE11
5C054FE28
5C054HA05
(57)【要約】
【課題】複数の産業用カメラが同一の現場で使用されていても、各産業用カメラのインジケータによって各種情報を適切に通知可能にする。
【解決手段】産業用カメラは、検査対象画像に基づく、検査を実行するための検査部と、産業用カメラの本体に設けられ、検査結果又は産業用カメラの状態を所定の点灯色で示すためのインジケータと、インジケータの複数の点灯条件を含むインジケータ設定を記憶する記憶部と、インジケータ設定の入力を受け付けるインタフェース部とを有している。カメラ設定装置は、複数の産業用カメラのインタフェース部を介して産業用カメラに接続され、インジケータ設定を変更する産業用カメラの選択を受け付けるとともに、選択された産業用カメラの記憶部に記憶されたインジケータ設定を変更する。
【選択図】図31
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用カメラと、カメラ設定装置とを備えた画像検査装置であって、
前記産業用カメラは、
検査対象物を撮像し、検査対象画像を生成するための撮像部と、
前記検査対象画像に基づく、検査を実行するための検査部と、
前記産業用カメラの本体に設けられ、前記検査部による検査結果又は前記産業用カメラの状態を所定の点灯色及び/または点灯パターンで示すためのインジケータと、
前記インジケータの複数の点灯条件を含むインジケータ設定を記憶する記憶部と、
前記インジケータ設定の入力を受け付けるインタフェース部と、を有し、
前記カメラ設定装置は、
複数の前記産業用カメラの前記インタフェース部を介して前記産業用カメラに接続され、当該複数の前記産業用カメラの中から、前記インジケータ設定を変更する前記産業用カメラの選択を受け付けるとともに、選択された前記産業用カメラの前記記憶部に記憶された前記インジケータ設定を変更可能に構成されていることを特徴とする、画像検査装置。
【請求項2】
産業用カメラと、カメラ設定装置と、コントローラとを備えた画像検査システムであって、
前記コントローラは、
前記産業用カメラが有する撮像部で生成された検査対象画像に基づく、検査を実行するための検査部と、
前記産業用カメラの本体に設けられたインジケータの複数の点灯条件を含むインジケータ設定を記憶する記憶部と、を有し、
前記産業用カメラは、
前記コントローラ及び前記カメラ設定装置に接続されるインタフェース部を有し、
前記カメラ設定装置は、
複数の前記産業用カメラの中から、前記インジケータ設定を変更する前記産業用カメラの選択を受け付けるとともに、選択された前記産業用カメラに対応する前記インジケータ設定を前記コントローラの前記記憶部から読み出して変更可能に構成されていることを特徴とする、画像検査システム。
【請求項3】
請求項1に記載の画像検査装置において、
前記産業用カメラの前記インジケータ設定に追加する点灯条件を、事前に定義された点灯条件群の中から選択可能に構成されることを特徴とする、画像検査装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像検査装置において、
前記インジケータ設定は、所定の点灯条件が満たされた際の前記インジケータの点灯色を更に含むことを特徴とする、画像検査装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像検査装置において、
前記インジケータ設定の前記複数の点灯条件のうち、前記産業用カメラの故障を示す点灯色は所定の色に固定されることを特徴とする、画像検査装置。
【請求項6】
請求項1に記載の画像検査装置において、
前記インジケータ設定は、所定の点灯条件が満たされた際の前記インジケータの点灯パターンを更に含むことを特徴とする、画像検査装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像検査装置において、
前記点灯パターンは前記インジケータの点滅を含み、当該点滅における点灯間隔又は消灯間隔が設定可能なことを特徴とする画像検査装置。
【請求項8】
請求項1に記載の画像検査装置において、
前記産業用カメラは、Webサーバを更に備え、
前記画像検査装置から指定された前記産業用カメラの前記記憶部に記憶されたインジケータ設定をWebブラウザに表示可能なことを特徴とする、画像検査装置。
【請求項9】
請求項1に記載の画像検査装置において、
前記画像検査装置から指定された前記産業用カメラの前記インジケータを、前記点灯条件によらず、前記インタフェース部を介して、前記カメラ設定装置からの操作により手動点灯させることが可能に構成されていることを特徴とする、画像検査装置。
【請求項10】
請求項1に記載の画像検査装置において、
前記産業用カメラは、
検査対象物までの設置距離、及び前記産業用カメラの姿勢情報を取得する状態取得部と、
前記状態取得部により取得された、現在の前記設置距離及び前記姿勢情報を表示する本体表示部と、を更に備え、
前記インタフェース部を介して、現在の前記設置距離及び前記姿勢情報の確認が可能に構成されていることを特徴とする、画像検査装置。
【請求項11】
請求項1に記載の画像検査装置において、
ネットワークを介して前記カメラ設定装置に接続された複数の前記産業用カメラのうち、第1の産業用カメラのインジケータ設定を当該第1の産業用カメラの前記記憶部にエクスポートし、当該エクスポートされた前記インジケータ設定を第2の産業用カメラにインポートさせることが可能に構成されることを特徴とする、画像検査装置。
【請求項12】
請求項1に記載の画像検査装置において、
ネットワークを介して前記カメラ設定装置に接続された複数の前記産業用カメラのうち、第1の産業用カメラの前記記憶部に記憶されたインジケータ設定を、当該第1の産業用カメラから第2の産業用カメラに転送することにより、当該第2の産業用カメラの前記記憶部に記憶させることが可能に構成されることを特徴とする、画像検査装置。
【請求項13】
請求項1に記載の画像検査装置において、
前記産業用カメラの本体の形状が略直方体であり、
前記インジケータは、少なくとも前記本体の長手方向に延びる四面又は四辺に設けられていることを特徴とする、画像検査装置。
【請求項14】
請求項1に記載の画像検査装置において、
前記インジケータは、前記産業用カメラの本体において、当該本体の略全周囲から視認可能な位置に設けられていることを特徴とする、画像検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えばワーク等の検査対象物を撮像して得られた検査対象画像に基づいて検査を行う画像検査装置及び画像検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば特許文献1に開示されているように、検査対象物を撮像して得られた検査対象画像に基づいて、検査対象物の良否を判定するように構成された画像検査システムが知られている。特許文献1に開示された画像検査システムは、標準化規格に適合した撮像装置に対して多段階の処理を順序立てて行わせることができるようにし、撮像装置の機種選定の自由度向上と、画像検査の精度向上とを両立させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-169958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、検査対象画像は画像検査用の産業用カメラで生成される。この産業用カメラの中には、カメラ本体にインジケータが設けられているものがある。インジケータは、所定の点灯色で点灯し、検査結果やカメラ本体の動作状態等を外部に通知することができ、例えば異常をインジケータによって通知することで異常を発見し易くなるというメリットがある。
【0005】
しかしながら、1つの現場で2つ、または2つを超える多数の産業用カメラが使用される場合がある。そのような現場では、多数の産業用カメラの中から、異常が発生している産業用カメラを特定するのは困難である。
【0006】
本開示は、かかる点に鑑みたものであり、その目的とするところは、複数の産業用カメラが同一の現場で使用されていても、各産業用カメラのインジケータによって各種情報を適切に通知可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の一態様では、産業用カメラと、カメラ設定装置とを備えた画像検査装置を前提とすることができる。産業用カメラは、検査対象物を撮像し、検査対象画像を生成するための撮像部と、前記検査対象画像に基づく、検査を実行するための検査部と、前記産業用カメラの本体に設けられ、前記検査部による検査結果又は前記産業用カメラの状態を所定の点灯色及び/または点灯パターンで示すためのインジケータと、前記インジケータの複数の点灯条件を含むインジケータ設定を記憶する記憶部と、前記インジケータ設定の入力を受け付けるインタフェース部と、を有している。また、カメラ設定装置は、複数の前記産業用カメラの前記インタフェース部を介して前記産業用カメラに接続され、当該複数の前記産業用カメラの中から、前記インジケータ設定を変更する前記産業用カメラの選択を受け付けるとともに、選択された前記産業用カメラの前記記憶部に記憶された前記インジケータ設定を変更可能に構成されている。
【0008】
この構成によれば、複数の産業用カメラが使用されている現場において、産業用カメラごとにインジケータの複数の点灯条件を変えることができる。これにより、どの産業用カメラが何を通知しているのか、容易に把握できる。
【0009】
また、産業用カメラと、カメラ設定装置と、コントローラとを備えた画像検査システムを前提とすることもできる。コントローラは、産業用カメラが有する撮像部で生成された検査対象画像に基づく、検査を実行するための検査部と、前記産業用カメラの本体に設けられたインジケータの複数の点灯条件を含むインジケータ設定を記憶する記憶部と、を有している。また、産業用カメラは、前記コントローラ及び前記カメラ設定装置に接続されるインタフェース部を有している。また、前記カメラ設定装置は、複数の前記産業用カメラの中から、前記インジケータ設定を変更する前記産業用カメラの選択を受け付けるとともに、選択された前記産業用カメラに対応する前記インジケータ設定を前記コントローラの前記記憶部から読み出して変更可能に構成されている。
【0010】
また、産業用カメラのインジケータ設定に追加する点灯条件を、事前に定義された点灯条件群の中から選択することができる。
【0011】
また、インジケータ設定は、所定の点灯条件が満たされた際のインジケータの点灯色を更に含むことができる。
【0012】
また、インジケータ設定の複数の点灯条件のうち、産業用カメラの故障を示す点灯色は所定の色に固定することができるので、故障を確実に通知できる。
【0013】
また、インジケータ設定は、所定の点灯条件が満たされた際のインジケータの点灯パターンを更に含むことができる。点灯パターンがインジケータの点滅を含んでいる場合には、点滅における点灯間隔又は消灯間隔が設定可能である。
【0014】
また、産業用カメラは、Webサーバを更に備えていてもよい。この場合、画像検査装置から指定された産業用カメラの記憶部に記憶されたインジケータ設定をWebブラウザに表示させてユーザが確認できる。
【0015】
また、画像検査装置から指定された産業用カメラのインジケータを、点灯条件によらず、インタフェース部を介して、カメラ設定装置からの操作により手動点灯させることもできる。すなわち、例えばメンテナンスしたい産業用カメラある場合には、メンテナンス対象の産業用カメラのインジケータを所望の色や所望の点灯パターンで点灯させることで、メンテナンス対象の産業用カメラを簡単に把握できる。
【0016】
また、産業用カメラは、検査対象物までの設置距離、及び産業用カメラの姿勢情報を取得する状態取得部と、状態取得部により取得された、現在の設置距離及び姿勢情報を表示する本体表示部と、を更に備えていてもよい。この場合、インタフェース部を介して、現在の設置距離及び姿勢情報の確認が可能である。
【0017】
また、ネットワークを介してカメラ設定装置に接続された複数の産業用カメラのうち、第1の産業用カメラのインジケータ設定を第1の産業用カメラの記憶部にエクスポートした後、第2の産業用カメラにインポートさせることもできる。これにより、第1の産業用カメラのインジケータ設定を第2の産業用カメラでも利用できる。また、第1の産業用カメラのインジケータ設定を第2の産業用カメラに転送することにより、第2の産業用カメラの記憶部に記憶させてもよい。
【0018】
また、インジケータが少なくとも本体の長手方向に延びる四面又は四辺に設けられている場合には、多方向からインジケータの点灯状態を把握できる。また、インジケータは、産業用カメラの本体において、当該本体の略全周囲から視認可能な位置に設けることもできる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、複数の産業用カメラが同一の現場で使用されていても、各産業用カメラのインジケータによって各種情報を適切に通知できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係る産業用カメラを備えた画像検査システムの使用状態を示す全体図である。
図2】産業用カメラを上方から見た斜視図である。
図3】産業用カメラの正面図である。
図4】産業用カメラの側面図である。
図5】産業用カメラを下方から見た斜視図である。
図6】産業用カメラの内部構造を示す断面図である。
図7】画像検査システムのブロック図である。
図8】ダウンスケーリングの概念を説明する図である。
図9】具体的なワークを撮像した画像に基づいてダウンスケーリングを行う場合を説明する図である。
図10】任意の位置のズーム指示に基づいてダウンスケーリングを行う場合を説明する図である。
図11】ズーム指示等を受け付けるユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
図12】マウスを用いた領域選択によるズーム指示に基づいてダウンスケーリングを行う場合を説明する図である。
図13】任意の位置をパンチルトした後、ダウンスケーリングを行う場合を説明する図である。
図14】画像の縦横比を変更した状態でダウンスケーリングを行う場合を説明する図である。
図15】固定箇所を中心にダウンスケーリングした後、パンチルトを行う場合を説明する図である。
図16】ダウンスケーリングのみで対応可能なズーム倍率の場合を説明する図である。
図17】ダウンスケーリングと光学ズームで対応する場合を説明する図である。
図18】光学ズームとダウンスケーリングを組み合わせる場合の例を説明する図である。
図19】ダウンスケーリング時の縦横比のみを変更する場合の例を説明する図である。
図20】ダウンスケーリング時に画素数を増減させる場合の例を説明する図である。
図21】回転後の検査対象画像を生成する場合の例を説明する図である。
図22】ダウンスケーリングをプロセッサで実現する場合の例を示す図である。
図23】カラー撮像画像をダウンスケーリングした場合の概念図である。
図24】カラー撮像画像をダウンスケーリングする場合の手順を示す図である。
図25】カラー撮像画像を構成する各画素の補間処理及びダウンスケーリングの例を示す図である。
図26】ローパスフィルタが適用された場合を説明する図である。
図27】ズーム倍率入力時の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図28】視野分解能指定時の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図29】パンチルトの処理手順の一例を示すフローチャートである。
図30】縦横比変更の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図31】インジケータの点灯条件を設定するユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る産業用カメラ1を備えた画像検査システム2の使用状態を示す全体図である。図1に示す画像検査システム2は、2台の産業用カメラ1(1A、1Bとする)と、コントロール用パーソナルコンピュータ(以下、コントローラという)3とを備えている。産業用カメラ1の台数は、2台に限定されるものではなく、1台であってもよいし、3台以上であってもよい。産業用カメラ1は、詳細は後述するが、図2図5等に示すような形状を有しており、図6に示すような内部構造を有している。この産業用カメラ1は、検査対象物であるワークWを撮像して得られた検査対象画像を生成する。このような検査対象画像を生成する産業用カメラ1を含む画像検査システム2を画像処理装置と呼ぶこともできる。
【0023】
コントローラ3は、産業用カメラ1を設定するカメラ設定装置である。コントローラ3は、後述するインタフェース部40cを介して複数の産業用カメラ1に通信可能に接続されている。接続形態は特に限定されるものではなく、例えばLAN等のネットワークを介して接続されている。また、コントローラ3と、産業用カメラ1を設定するカメラ設定装置とは別に構成されていてもよく、この場合、画像検査システム2は、産業用カメラ1と、カメラ設定装置と、コントローラ3とを備えたものになる。
【0024】
図示しないが、例えばプログラマブルロジックコントローラや、ワークWの到着を検出するセンサ等から出力されるトリガ信号を産業用カメラ1が受信可能になっている。トリガ信号を受信した産業用カメラ1は撮像処理を実行して検査対象画像を生成する。また、産業用カメラ1は、トリガ信号を外部から受信することなく、内部で繰り返し撮像処理を実行して検査対象画像を生成してもよい。図示しないが、画像検査システム2は、ワークWを照明する照明部を備えていてもよく、照明部は産業用カメラ1の撮像処理と同期してワークWを照明するように制御される。
【0025】
本例では、図1に示すように、産業用カメラ1が使用される現場として、複数のワークWがベルトコンベアB等の搬送装置によって順次搬送される現場である場合について説明するが、静止したワークWを検査する現場であってもよい。産業用カメラ1は、カメラ取付部材4に取り付けられており、所定の位置に所定の姿勢で設置される。
【0026】
コントローラ3は、産業用カメラ1の各種設定等を行うものであり、例えばデスクトップ型パーソナルコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ等で構成できる他、画像検査専用の演算処理装置で構成することもでき、その形態は特に限定されない。コントローラ3は、本体部5と、記憶部6と、キーボード7と、マウス8と、モニタ9とを備えている。本体部5は、ケーブル10を介して産業用カメラ1と通信可能に接続されている。本体部5には、中央演算処理装置、ROM、RAM等で構成された制御部5aが設けられている。また、記憶部6は、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブ等で構成されており、制御部5aを動作させるためのプログラムや、産業用カメラ1の設定情報、各種画像等が記憶される。記憶部6は、その一部が産業用カメラ1に設けられていてもよく、この場合、産業用カメラ1の設定情報、各種画像等を産業用カメラ1で保持することができる。
【0027】
キーボード7及びマウス8は、コントローラ3を操作するための操作部であり、キーボード7及びマウス8の操作状態は制御部5aによって検出される。操作部は、キーボード7及びマウス8に限定されるものではなく、いわゆるタッチパネル式の操作部であってもよい。モニタ9は、例えば液晶ディスプレイ装置等で構成されており、制御部5aによって制御されて産業用カメラ1を設定するための各種ユーザインタフェース、各種画像等の表示が可能になっている。
【0028】
(産業用カメラの構成)
図6に示すように、産業用カメラ1は、レンズユニット20と、センサ基板30と、メイン基板40と、筐体50と、記憶部39とを有している。記憶部39には、産業用カメラ1の設定情報、各種画像等が記憶される。
【0029】
筐体50は、例えばアルミニウム合金等の高剛性な部材で構成されている。尚、説明の便宜上、図2図5に示すように上下方向、左右方向及び前後方向を定義するが、これは使用時の姿勢を限定するものではなく、どのような姿勢であっても産業用カメラ1を使用できる。
【0030】
筐体50は、上側部分51と、下側部分52とを有している。上側部分51は、下側部分52に比べて前後方向に長く形成されている。下側部分52は、上側部分51の後側から下方へ突出するように形成されている。図2図3に示すように、上側部分51の前面部には受光窓51aが形成されている。また、図6に示すように、上側部分51には、レンズユニット20とセンサ基板30が収容され、下側部分52には、メイン基板40が収容されている。つまり、筐体50には、後述するイメージセンサ31、プロセッサ41、出力部42が内蔵されている。
【0031】
レンズユニット20は、電動で光学ズームが可能なズーム光学系を備えたズームレンズであり、所定の範囲内であれば、光学ズーム倍率を任意の倍率に切り替えることができる。レンズユニット20は、筐体50に固定され、当該筐体50と一体化されている。
【0032】
すなわち、レンズユニット20の光軸は筐体50の前後方向と一致している。レンズユニット20は、第1レンズ群21、第2レンズ群22、第3レンズ群23、第4レンズ群24、第5レンズ群25、及び、第1~第5レンズ群21~25を保持する鏡筒26を有している。第1~第5レンズ群21~25は、受光窓51aから入射した光を集光する集光レンズを構成している。また、第1~第5レンズ群21~25の各レンズ群を構成するレンズの枚数は特に限定されるものではなく、何枚であってもよいし、レンズ群の数についても4つ以下であってもよいし、6つ以上であってもよい。また、レンズユニット20は、手動で光学ズームが可能なズーム光学系であってもよい。
【0033】
第1レンズ群21は、筐体50の前面部に配置された固定レンズ群であり、ワークWからの反射光を受光する。第1レンズ群21が受光窓51aから筐体50の外部に臨んでいる。第2レンズ群22は、第1レンズ群21の後方に配置されたズーム用可動レンズ群であり、第1レンズ群21から出射した光を受光する。第3レンズ群23は、第2レンズ群22の後方に配置された固定レンズ群であり、第2レンズ群22から出射した光を受光する。第4レンズ群24は、第3レンズ群23の後方に配置されたフォーカス用可動レンズ群であり、第3レンズ群23から出射した光を受光する。第5レンズ群25は、第4レンズ群24の後方に配置された固定レンズ群であり、第4レンズ群24から出射した光を受光する。
【0034】
鏡筒26には、ズーム用ボールねじ56aと、ズーム用ガイドシャフト56bと、ズーム用ボールねじ56aを正逆方向に回転させるズーム用モータ56cとが設けられている。第2レンズ群22はズーム用ボールねじ56a及びズーム用ガイドシャフト56bに支持されており、ズーム用モータ56cによってズーム用ボールねじ56aが回転すると、第2レンズ群22が光軸方向に移動し、これにより、所望のズーム倍率が得られるようになっている。ズーム用ボールねじ56a、ズーム用ガイドシャフト56b及びズーム用モータ56cは、第2レンズ群22を光軸方向に駆動し、光学倍率を調整するズーム用レンズ駆動機構である。
【0035】
また、鏡筒26には、フォーカス用ボールねじ56dと、フォーカス用ガイドシャフト56eと、フォーカス用ボールねじ56dを正逆方向に回転させるフォーカス用モータ56fとが設けられている。第4レンズ群24はフォーカス用ボールねじ56d及びフォーカス用ガイドシャフト56eに支持されており、フォーカス用モータ56fによってフォーカス用ボールねじ56dが回転すると、第4レンズ群24が光軸方向に移動し、これにより、フォーカス調整が行われるようになっている。フォーカス用ボールねじ56d、フォーカス用ガイドシャフト56e及びフォーカス用モータ56fは、第4レンズ群24を光軸方向に駆動し、焦点位置を調整するズーム用レンズ駆動機構である。
【0036】
図7に示すように、メイン基板40には、ズーム制御部40a、AF制御部40b及びインタフェース部40cが設けられている。インタフェース部40cは、例えばズーム指示等を外部から受け付ける部分であり、インタフェース部40cが光学ズームのズーム指示を受け付けた場合、ズーム制御部40aは、ズーム用モータ56cを制御し、インタフェース部40cで受け付けたズーム倍率となるように、第2レンズ群22を光軸方向に移動させる。
【0037】
AF制御部40bは、従来から周知のコントラスト方式や、位相差方式のオートフォーカス制御を実行する部分である。AF制御部40bがフォーカス用モータ56fを制御して焦点位置がワークWに合うように、第4レンズ群24を光軸方向に移動させる。
【0038】
図7に示すように、産業用カメラ1は、ワークWまでの設置距離、及び産業用カメラ1の姿勢情報を取得する状態取得部34を備えている。ワークWまでの設置距離は、例えばTOF(Time Of Flight)センサにより測定するように構成されていてもよいし、産業用カメラ1が有するAF制御部40bで取得された合焦時の情報に基づいて取得するように構成されていてもよいし、ユーザがキーボード7やマウス8により入力した値に基づいて取得するように構成されていてもよい。産業用カメラ1の姿勢情報は、例えば重力加速度を検出するセンサ等を用いて取得することができ、鉛直方向に対する傾きや水平方向に対する傾き等の計測が可能である。具体的には、ピッチ、チルト、ロール等の各角度を基準からの差に基づいて算出し、その算出結果から産業用カメラ1の姿勢に関する情報が取得される。
【0039】
また、産業用カメラ1は、本体表示部35を備えている。本体表示部35は、例えば液晶パネルや有機ELパネル等のように、数字や記号、図形等を表示可能な表示デバイスで構成されている。本体表示部35は、プロセッサ41により制御され、状態取得部34により取得された現在の設置距離及び姿勢情報を、インタフェース部40cを介して表示し、現在の設置距離及び姿勢情報の確認が可能になっている。本例では、図2に示すように、筐体50の上面に本体表示部35が設けられている。本体表示部35は側面、前面、背面、下面等に設けてもよい。
【0040】
図6に示すように、センサ基板30は、第5レンズ群25の後方に配置されている。センサ基板30には、撮像部としてのイメージセンサ31が実装されている。図7に示すように、イメージセンサ31は、集光レンズにより集光された光を受光する光電変換部31aと、光電変換部31aにより取得された撮像画像から検査対象画像を生成するロジック部31bと、カラーフィルタ31c(図6に示す)を有しており、検査対象物を撮像して得られたカラー検査対象画像の生成が可能になっている。光電変換部31aとカラーフィルタ31cとにより、各色が所定の配列パターンで形成されたカラー撮像画像の生成が可能になる。また、光電変換部31aによりモノクロ撮像画像の生成も可能である。以下の説明は、モノクロ撮像画像とカラー撮像画像の両方に適用可能である。
【0041】
光電変換部31aは、検査対象画像よりも画素数が大きな撮像画像を生成することが可能になっている。また、ロジック部31bは、光電変換部31aと同一チップに実装されており、画像生成部を構成する部分である。具体的には、光電変換部31aは、CMOS型撮像素子であり、複数のウエハの積み重ねで構成され、当該ウエハの一部によりロジック部31bが構成されている。ウエハの一部には、メモリ等が含まれていてもよい。
【0042】
また、光電変換部31aは、グローバルシャッタ方式またはローリングシャッタ方式のCMOS型撮像素子である。グローバルシャッタ方式の場合は、移動体に対しても歪みの無い画像を撮像することができる。ローリングシャッタ方式の場合は、グローバルシャッタ方式の場合の半分程度の画素ピッチで高画素化を実現することができるため、レンズユニット20の各レンズサイズを小型化することができ、ひいては筐体50の小型化が可能になり、設置時の自由度が向上する。光電変換部31aの画素群により、イメージセンサ31の視野範囲が形成されている。イメージセンサ31の視野範囲を光電変換部31aの視野範囲ともいう。
【0043】
ロジック部31bは、光電変換部31aの画素群(イメージセンサ31の視野範囲)の全部または一部の領域である出力領域に対応する撮像画像に対して、ダウンスケーリングを実行することによって、当該撮像画像よりも小さな画素数の検査対象画像を生成し、当該検査対象画像を出力する部分である。ここでダウンスケーリングとは、対象となる画像の画素分解能を下げる処理のことをいう。
【0044】
ダウンスケーリングの概念について図8に基づいて説明する。図8は、ワークWを産業用カメラ1で撮像する場合を模式的に示している。例えば光電変換部31aの画素数が20MP(メガピクセル)であったとする(図面においては、単に20M等と表記する)。図8の左側に示すように、光学ズームすることで、通常視野よりも狭い視野になり、注目領域(ROI)は光学ズーム後の視野よりも更に狭い領域になる。図8の右側に示すように、画素数20MPで撮像した撮像画像A1から注目領域を切り出した場合、画素分解能はそのままで例えば画素数が5MPの注目領域A2となる。光学ズーム後の撮像画像A3から注目領域を切り出した場合も同様に画素分解能はそのままで画素数が5MPの注目領域A4となる。
【0045】
撮像画像A1からダウンスケーリングする際、スケーリング倍率(ダウンスケーリング倍率ともいう)は任意に設定可能である。スケーリング倍率は、撮像画素数を出力画素数で除して求めることができ、例えば20MPで撮像した画像と同じ視野の画像を10MPで出力する場合には、スケーリング倍率が2倍となる。
【0046】
ダウンスケーリングは、画像の縦横比が一定のままで行うこともできるし、画像の縦横比を変化させて行うこともできる。画像の縦横比が一定のままの場合、上述したように、例えば20MPで撮像した画像と同じ視野の画像を10MPで出力する場合には、スケーリング倍率が2倍となる。一方、画像の縦横比を変化させる場合、例えば5000×4000の20MPの画素数で撮像した画像を同じ視野のまま2500×2000の5MPの画素数で出力すると、スケーリング倍率は4倍となる。また、3200×4000の注目領域を2000×2500にダウンスケーリングする場合、スケーリング倍率は2.56倍となる。
【0047】
画像の縦横比が一定のままでスケーリング倍率を例えば4倍とした場合には、画素数が5MPのワーク全体画像A5が得られることになる。画像A5に対して光学ズームとダウンスケーリングを併用することで、画像A5よりも画素分解能の高い注目領域A4が得られる。また、光学ズーム後の撮像画像A3からダウンスケーリングすることで、画像A3よりも画素分解能の低いワーク画像A6が得られる。
【0048】
図9は、具体的なワークWを撮像した画像に基づいてダウンスケーリングを説明するための図である。光電変換部31aの画素群の全部、すなわち撮像部の視野範囲の全部の領域である出力領域に対応する撮像画像を第1撮像画像B1とする。ロジック部31bは、第1撮像画像B1に対し、任意の第1のスケーリング倍率でダウンスケーリングし、第1撮像画像B1の画素数(例:20MP)よりも小さな第1画素数(例:1.6MP)の検査対象画像B2を生成する。
【0049】
インタフェース部40cは、光電変換部31a、すなわち撮像部の視野範囲において検査対象画像として出力する領域である出力領域の指定を受け付けることができる。この出力領域は、例えば図8を用いて説明した注目領域に対応する領域であってもよい。インタフェース部40cは、出力領域の位置、大きさ、及び形状の少なくとも1つを変更する指示を受け付けることもできる。
【0050】
例えば、インタフェース部40cは、光電変換部31aの出力領域を相対的に小さな領域に変更する第1ズーム指示をユーザから受け付け可能に構成されている。具体的には、第1ズーム指示により、出力領域が、光電変換部31aの画素群の一部、すなわち撮像部の視野範囲の一部の領域へと変更される。第2撮像画像B1’は、第1ズーム指示により変更された後の出力領域に対応する撮像画像である。第2撮像画像B1’は、第1撮像画像B1と異なるタイミングで撮像されており、第1撮像画像B1とは独立している。ロジック部31bは、第2撮像画像B1’に対し、第2のスケーリング倍率でダウンスケーリングし、第2撮像画像B1’の画素数(例:5MP)よりも小さな第1画素数(例:1.6MP)の検査対象画像B3を生成する。また、第2撮像画像B1’は、第1撮像画像B1に基づいて生成されたものであってもよく、例えば、第1撮像画像B1の一部を切り取ることで生成してもよい。また、インタフェース部40cは、第1ズーム倍率を整数だけでなく、小数点以下の精度で調整する指示を受け付け可能に構成されている。
【0051】
図7に示すように、メイン基板40には、各種演算を実行するとともに、イメージセンサ31を制御するプロセッサ41が設けられている。プロセッサ41は、演算部41aを有しており、演算部41aで演算された結果に基づいてプロセッサ41がイメージセンサ31のロジック部31bを制御し、所望の検査対象画像をロジック部31bに生成させる。
【0052】
演算部41aは、光電変換部31aの視野範囲内における変更後の出力領域に対応する第2撮像画像B1’を、上記第1画素数とするのに必要な第2のスケーリング倍率を算出する。演算部41aは、算出した第2のスケーリング倍率をロジック部31bに出力する。ロジック部31bは、第2撮像画像B1’を演算部41aで算出された第2のスケーリング倍率でダウンスケーリングすることにより、第1画素数の検査対象画像B3を生成する。第1画素数の検査対象画像B3は、光電変換部31aの出力領域に対応する第1撮像画像B1よりも低分解能であるが、必要な検査精度を確保できるだけの分解能は有しており、検査精度の上で問題は生じない。
【0053】
演算部41aは、インタフェース部40cにより受け付けた第1ズーム倍率が高ければ高いほど、第2のスケーリング倍率を小さくするように演算する。ロジック部31bは、演算部41aで演算された第2のスケーリング倍率が小さくなればなるほど、第2撮像画像B1’に対するダウンスケーリング量を少なくする。これにより、ロジック部31bは高い画素分解能の検査対象画像を生成する。
【0054】
演算部41aは、インタフェース部40cにより受け付けた第1ズーム倍率に基づいて、第1画素数の検査対象画像B3の1画素が、第2撮像画像B1’の何画素に相当するかの比率を計算する。この比率を利用して、演算部41aは、第2のスケーリング倍率を算出する。
【0055】
インタフェース部40cが第1ズーム倍率を小数点以下の精度で調整指示を受け付けた場合には、演算部41aは、小数点以下の精度で調整指示を受け付けたズーム倍率に基づいて、検査対象画像B3の1画素が、第2撮像画像B1’の何画素に相当するかの比率を小数点以下まで計算する。これにより、演算部41aは第2のスケーリング倍率を小数点以下の精度で算出する。ロジック部31bは、小数点以下の精度で算出された第2のスケーリング倍率に基づいて検査対象画像を生成する。
【0056】
図10は、任意の位置のズーム指示に基づいてダウンスケーリングを行う場合を説明する図である。インタフェース部40cは、光電変換部31aの出力領域を相対的に小さな領域に変更する第1ズーム指示を、検査対象画像の任意の位置のズーム指示として受け付け可能に構成されている。具体的には、図10の撮像画像B1の中の枠C1は、説明の便宜上、撮像部の視野範囲内においてズーム指示を受け付けた位置及び領域を示すものであり、ユーザは、図9の撮像画像B1全体がダウンスケーリングされた検査対象画像B2が表示されたモニタ9を確認しながら、マウス8等を介して枠C1を検査対象画像B2に対して指定してもよい。枠C1の位置は検査対象画像B2(すなわち撮像部の視野範囲)のどこに配置してもよく、配置された位置をインタフェース部40cが検出する。また、枠C1の大きさや形状もユーザが任意に設定することができる。
【0057】
インタフェース部40cによって任意の位置として枠C1が指定されたズーム指示を受け付けると、ロジック部31bは、撮像部の視野範囲内において、上記任意の位置を含む出力領域に対応する領域(すなわち枠C1に対応する撮像画像であり、1.6MPより大きい画素数とする)を1.6MPとするのに必要なスケーリング倍率でダウンスケーリングする。これにより、ロジック部31bは任意の位置を含む検査対象画像B4を生成する。枠C1の位置は、撮像部の視野範囲の中心からX方向(画像の横方向)またはY方向(画像の縦方向)にずれていてもよく、撮像部の視野範囲の中心、すなわち光軸からずれた位置にある領域をダウンスケーリングできる。すなわち、一般の光学ズームでは光軸中心に沿ったズームとなるが、本例のダウンスケーリングでは、光軸中心だけなく、光軸中心からずれている領域もズーム可能であり、ダウンスケーリング可能な領域の位置設定の自由度が高い。
【0058】
図11は、ズーム指示を受付可能な設定用のユーザインタフェース画面100を示している。このユーザインタフェース画面100は、コントローラ3の制御部5aが生成してモニタ9に表示させる。ユーザインタフェース画面100上では、キーボード7やマウス8による操作が可能になっており、どのような操作がなされたかは制御部5aが検出して記憶する。
【0059】
ユーザインタフェース画面100には、画像表示領域101が設けられている。画像表示領域101には、光電変換部31aの視野範囲全体における出力領域の位置を示した俯瞰画像D1と、出力領域に対応する検査対象画像D2とが表示されるようになっている。すなわち、図7に示す産業用カメラ1のインタフェース部40cは、光電変換部31aの視野範囲全体における出力領域の位置を示した俯瞰画像D1と、出力領域に対応する検査対象画像D2とを外部に出力可能に構成されている。具体的には、メイン基板40には、出力部42が設けられている。出力部42は、イメージセンサ31から出力された俯瞰画像D1、検査対象画像D2を外部に出力する部分である。出力の際、例えば入出力端子60及びケーブル10を介して産業用カメラ1からコントローラ3へ画像データが送信される。
【0060】
図11に示すユーザインタフェース画面100には、ユーザがズーム倍率を調整するためのズーム調整領域101Aが設けられている。ズーム調整領域101Aをマウス8で「T」側に操作することでテレ側にズームされて視野範囲が狭まる一方、「W」側に操作することで反対に視野範囲が拡大する。また、マウス8のホイールを操作することによっても、ズーム倍率を調整できる。調整されたズーム倍率はコントローラ3側で一旦記憶されて産業用カメラ1のインタフェース部40cに転送され、インタフェース部40cで受け付けられる。
【0061】
ズーム倍率の調整は、数値によっても可能である。すなわち、ユーザインタフェース画面100には、数値入力領域102が設けられている。数値入力領域102は、ユーザがズーム倍率を数値で入力することによって調整するためのものであり、キーボード7やマウス8等によって任意に数値を入力できる。
【0062】
図12は、マウス8を用いた領域選択によるズーム指示に基づいてダウンスケーリングを行う場合を説明する図である。枠C10は、マウス8の操作によって形成されたものであり、例えば左上から右下(または右上から左下等)にドラッグ操作することで形成できる。ロジック部31bは、枠C10で囲んだ領域に対応する撮像画像をダウンスケーリングすることにより、5MPの検査対象画像を生成する。また、枠C11も同様にしてマウス8の操作によって形成することができ、枠C11内の領域が拡大される。このとき、撮像画像B1における枠C11内の領域が5MP未満であり、出力する検査対象画像のサイズが5MPである場合、最大分解能(撮像画像B1の分解能)を超えてしまうため、枠C11を含む5MPの領域が、スケーリング倍率が1倍でダウンスケーリングされて(つまり、実質的にはダウンスケーリングされずに)、検査対象画像として出力される。
【0063】
図13は、任意の位置をパンチルトした後、ダウンスケーリングを行う場合を説明する図である。インタフェース部40cは、任意の位置を、X方向及びY方向に調整する第1パンチルト指示を受け付け可能に構成されている。例えば、光電変換部31aの視野範囲の中央を注目領域として枠C1で指定した後、枠C1の位置をX方向及びY方向に移動させ、例えば符号C1’で示す位置に配置する。枠C1でダウンスケーリングした場合には検査対象画像B5が得られる。ロジック部31bは、X方向及びY方向に調整された後の任意の位置(枠C1’の位置)に対応する撮像画像をダウンスケーリングすることにより、X方向及びY方向の位置が調整された検査対象画像B5’を生成する。ロジック部31bは、枠C1’で囲まれた領域内の一部を更にダウンスケーリングすることにより、検査対象画像B6を生成する。
【0064】
X方向及びY方向の調整は、図11に示すユーザインタフェース画面100を使用することで可能になる。ユーザインタフェース画面100には、視野位置調整領域103が設けられている。視野位置調整領域103は、上下左右それぞれの方向に向いた矢印等を組み合わせて構成されており、例えば上向きの矢印を操作するとで、枠C1の位置が上へ移動する。同様にして、枠C1の位置を下、左、右の任意の位置に調整できる。枠C1をマウス8によって直接ドラッグ操作してもよい。
【0065】
図14は、画像の縦横比を変更した状態でダウンスケーリングを行う場合を説明する図である。インタフェース部40cは、光電変換部31aの出力領域の縦横比の変更を受け付け可能に構成されている。例えば枠C1で示すように、撮像部の視野範囲内の任意の位置のズーム指示を受け付けると、ロジック部31bは、枠C1に対応する撮像画像をダウンスケーリングすることにより、検査対象画像B7を生成する。その後、枠C1で特定される領域の縦横比をユーザが自由に指定できる。縦横比を変更した後の領域を枠C2で示す。ロジック部31bは、縦横比が変更された出力領域(枠C2で囲まれた領域)に対応する領域をダウンスケーリングすることにより、検査対象画像B7’を生成する。そこから、枠C2で囲まれた領域内の一部を更にダウンスケーリングすることにより、検査対象画像B7’ ’を生成する。
【0066】
図15は、固定箇所を中心にダウンスケーリングした後、パンチルトを行う場合を説明する図である。例えば光電変換部31aの視野中心を固定箇所とした場合、ロジック部31bが、撮像部の視野範囲の中心を含む枠C1をダウンスケーリングすることにより検査対象画像B5を生成した後、図13に示すようにパンチルトすることで、ロジック部31bが、パンチルト後の領域に対応する撮像画像をダウンスケーリングすることにより検査対象画像B8を生成する。
【0067】
また、インタフェース部40cは、検査対象画像の画素数を、第1画素数から第2画素数に変更する画素数変更指示を受け付け可能に構成されている。第2画素数は、第1画素数よりも大きい画素数である。具体的には、図11に示すユーザインタフェース画面100には、画素数設定領域104が設けられている。画素数設定領域104では、検査対象画像の画素数を予め決められている選択肢の中からプルダウンメニューの形式で選択可能になっている。選択可能な画素数は、例えば1.6MP以上5MP以下の範囲とすることができるが、これに限られるものではない。
【0068】
また、画素数設定領域104では、縦横比も選択できる。すなわち、画素数設定領域104のプルダウンメニューには、それぞれが検査対象画像の画素数と縦横比の組合せである、複数の選択肢が表示される。ユーザは、これら選択肢の内からいずれか一つの選択肢の選択が可能になっている。選択された画素数に関する情報は、インタフェース部40cで受け付けられ、画素数変更指示として産業用カメラ1のプロセッサ41に送信される。
【0069】
画素数変更指示をプロセッサ41が受け取ると、演算部41aは、光電変換部31aの視野範囲内において、画素数変更指示の前と同じ出力領域に対応する撮像画像を、第2画素数とするのに必要なスケーリング倍率を算出する。演算部41aが算出したスケーリング倍率はロジック部31bに送られ、ロジック部31bは、撮像画像を、そのスケーリング倍率でダウンスケーリングすることにより、第2画素数の検査対象画像を生成する。縦横比が変更された場合、ロジック部31bは、光電変換部31aの視野範囲内において、縦横比が変更された出力領域に対応する領域をダウンスケーリングすることにより、縦横比が変更された検査対象画像を生成する。つまり、ロジック部31bは、画素数設定領域104で選択された検査対象画像の画素数と縦横比の組み合わせにしたがって、検査対象画像を生成する。
【0070】
図16は、ズーム倍率がダウンスケーリングのみで対応可能な場合、即ち光学ズームが不要な場合を説明する図である。図16の上側は撮像画像E1、E2であり、下側は検査対象画像E3、E4である。左側の撮像画像E1と右側の撮像画像E2の視野を一定とし、右側の撮像画像E2ではワークWが存在しない黒い領域の信号は読み出さないようにしているので、左側の撮像画像E1の画素数は20MP、右側の撮像画像E2の画素数は10MPとなる。左側の撮像画像E1をスケーリング倍率4倍でダウンスケーリングすると左側の検査対象画像E3が得られる。左側の検査対象画像E3は、画素数20MP分の領域を画素数5MPで出力することで得られた画像である。また、右側の撮像画像E2は、黒い領域の信号は読み出さないので、スケーリング倍率2倍でダウンスケーリングすることが可能になり、右側の検査対象画像E4が得られる。右側の検査対象画像E4は、画素数10MP分の領域を画素数5MPで出力することで得られる画像である。また、左側の検査対象画像E3の中心をズームすることで、より細かく分解された右側の検査対象画像E4が得られる。
【0071】
すなわち、光学ズームを使っていないにも関わらず、検査対象画像E3よりも画素分解能を高めつつ、ワークWを拡大して表示させた検査対象画像E4が得られる。本明細書では、このズーム処理のことを「センサズーム」と呼ぶことがある。
【0072】
図17は、ズーム倍率がある倍率以上であり、ダウンスケーリングと光学ズームの両方で対応する必要がある場合を説明する図である。図17の上側は撮像画像F1、光学ズーム画像F2、撮像画像F3であり、下側は検査対象画像E4、E5、E6である。撮像画像F1が生成された範囲に対して光学ズームすることで、視野範囲の狭い光学ズーム画像F2が得られる。右側の撮像画像F3ではワークWが存在しない黒い領域の信号は読み出さないようにしている。右側の撮像画像F3の枠F7で囲まれた部分を注目領域とする。この注目領域の画素数は6MPである。
【0073】
左側の撮像画像F1をスケーリング倍率4倍でダウンスケーリングすると左側の検査対象画像F4が得られる。中央の検査対象画像F5は、光学ズームによって取得された画像であることから光電変換部31aの視野中心に沿ってズームされる。よって、ワークWの中心が光電変換部31aの視野中心からずれていると、ズーム後の画像において、ワークWが画像中心からずれることになる。中央の検査対象画像F5は画素分解能が向上している。右側の検査対象画像F6は、右側の撮像画像F3の枠F7で囲まれた注目領域をスケーリング倍率1.2倍でダウンスケーリングした画像であり、画素数は5MPとなる。
【0074】
図18は、光学ズームとダウンスケーリングを組み合わせる場合の例を説明する図であり、パターン1とパターン2とを示している。パターン1では、指定されたズーム倍率が低い領域からダウンスケーリング限界近傍倍率まで、光学ズームをオフにして当該光学ズームを行わずに、ダウンスケーリングによるズームを行う。ダウンスケーリングはダウンスケーリング限界近傍倍率で固定する。ダウンスケーリング限界近傍倍率を超えると、光学ズームをオンにして当該光学ズームの倍率上限までズームする。このとき、指定されたズーム倍率が大きくなるにつれて光学ズームの光学倍率も大きくなる。光学ズームの倍率上限を超えると、光学ズームは固定し、ダウンスケーリングによるセンサズームを行う。このパターン1によれば、光学ズーム後においても、ダウンスケーリングを実行可能(すなわちセンサズームの余力を残すことが可能)であるため、検査対象画像として最終的に出力する領域を定める際の微調整を光学ズームではなく、センサズームにより実行することができる。
【0075】
パターン2では、ズーム倍率が低い領域からダウンスケーリング限界倍率(1倍)まで、光学ズームを行わずに、ダウンスケーリングによるズームを行う。ダウンスケーリング限界倍率までダウンスケーリングを行っているので、以降、ダウンスケーリングは行わない。ダウンスケーリング限界倍率を超えると、光学ズームを使用して光学ズームの倍率上限までズームする。
【0076】
つまり、図16図18を用いて説明したように、ロジック部31bは、インタフェース部40cを介してユーザにより指示されたズーム倍率が所定の倍率以下である場合は、当該指示されたズーム倍率に基づいて算出された第2のスケーリング倍率で第2撮像画像をダウンスケーリングすることにより検査対象画像を生成するように構成されている。一方、ロジック部31bは、インタフェース部40cを介してユーザにより指示されたズーム倍率が前記所定の倍率よりも大きい場合は、ズーム光学系による光学ズームにより、当該指示されたズーム倍率に相当する検査対象画像を生成するように構成されている。前記所定の倍率は、第2のスケーリング倍率が下限値の1倍近傍のスケーリング限界近傍倍率となるズーム倍率とすることができる。
【0077】
また、インタフェース部40cを介してユーザにより指示されたズーム倍率が前記所定の倍率よりも大きい場合、演算部41aは、ズーム光学系による光学ズームを行う。また、ロジック部31bは、スケーリング限界近傍倍率でダウンスケーリングを行うことにより、指示されたズーム倍率の検査対象画像を生成する。
【0078】
また、インタフェース部40cは、光学ズームの光学倍率が上限値に達した後も、より大きなズーム倍率を受け付け可能に構成されている。インタフェース部40cが受け付け可能なズーム倍率の上限値に達すると、演算部41aは、上限値の光学倍率で光学ズームの駆動を実行する。また、ロジック部31bは、インタフェース部40cが受け付け可能なズーム倍率の上限値の光学倍率で撮像された出力領域に対応する撮像画像をスケーリング倍率が1倍でダウンスケーリングして(実質的にはダウンスケーリングを行うことなく)、検査対象画像を生成する。つまり、演算部41aは、ユーザからズーム倍率の指定を受け付けると、受け付けたズーム倍率に基づいて、光学ズームの光学倍率、及びダウンスケーリングのスケーリング倍率を算出する。そして、算出した光学倍率に基づいてズーム光学系を駆動する。
【0079】
また、演算部41aは、インタフェース部40cによりズーム倍率の変更を変更指示信号として受け付け可能になっている。変更指示信号に基づいて変更指示されたズーム倍率が前記所定の倍率以下である場合は、演算部41aにより算出されたスケーリング倍率で撮像画像のダウンスケーリングを実行するように、イメージセンサ31に制御信号を送信して、ダウンスケーリングを実行させる。一方、変更指示信号に基づいて変更指示されたズーム倍率が所定の倍率よりも大きい場合は、ズーム光学系、即ちズーム用モータ56cに光学ズームを行うように駆動信号を送信する。ズーム用モータ56cは駆動信号によって動作し、所望のズーム倍率が得られる。
【0080】
図19に示すように、ダウンスケーリング時に画像の縦横比を変えることができる。FIG.19A、FIG.19Bでは、横長の注目領域を縦長に変更した場合を示しているが、反対に縦長の注目領域を横長に変更することもできる。この変更指示は、図11に示すユーザインタフェース画面100の画素数設定領域104を介してユーザが行える。尚、FIG.19Bに示すように、光電変換部31aの形状の制約上、変更指示を受けた縦横比では光電変換部31aで撮像可能な範囲外に注目領域が位置する場合が考えられる。この場合には、変更指示を受けた縦横比をできるだけ満たすように、演算部41aがダウンスケーリング時のスケーリング倍率を再計算し、ロジック部31bは、再計算されたスケーリング倍率でダウンスケーリングを行って検査対象画像を生成する。
【0081】
図20に示すように、ユーザによる設定に基づいて、ダウンスケーリング時に画素数を増減させることができる。FIG.20A、20B、20Cは、空間分解能(スケーリング倍率)を変えずに画素数を変更する場合を示している。FIG.20A、20Bでは、光電変換部31aで撮像可能な範囲内で画素数を変更しているので、演算部41aは、ユーザによる設定を反映させたスケーリング倍率を計算し、ロジック部31bは、計算されたスケーリング倍率でダウンスケーリングを行って検査対象画像を生成する。一方、FIG.20Cは、ユーザによる設定を反映させると、光電変換部31aで撮像可能な範囲を超えてしまうので、演算部41aは、ユーザによる設定を用いずに、画素数の変更を制限するようにスケーリング倍率を計算する。計算時には、ユーザによる設定にできるだけ近いスケーリング倍率となるようにする。そして、ロジック部31bは、計算されたスケーリング倍率でダウンスケーリングを行って検査対象画像を生成する。
【0082】
FIG.20D、20E、20Fは、撮像視野を変えずに画素数を変更する場合を示している。FIG.20D、20Eでは、最小分解能以上の画素数への変更であるため、演算部41aは、ユーザによる設定を反映させたスケーリング倍率を計算し、ロジック部31bは、計算されたスケーリング倍率でダウンスケーリングを行って検査対象画像を生成する。一方、FIG.20Fは、最小分解能未満の画素数への変更であるため、演算部41aは、ユーザによる設定を用いずに、画素数の変更を制限するようにスケーリング倍率を計算し、ロジック部31bは、計算されたスケーリング倍率でダウンスケーリングを行って検査対象画像を生成する。つまり、演算部41aは、ユーザによる設定に基づいて、第1画素数から第2画素数への変更を制限可能に構成されている。
【0083】
また、インタフェース部40cは、ユーザによる画素数変更指示の後に、出力領域をさらに相対的に小さな領域に変更する第2ズーム指示、及び出力領域をX方向及びY方向にさらに調整する第2パンチルト指示を受け付け可能に構成されている。第2ズーム指示は、第2ズーム指示と同じように、ユーザの指示によって受け付けることができる。また、第2パンチルト指示は、第1パンチルト指示と同じように、ユーザの指示によって受け付けることができる。
【0084】
インタフェース部40cが第2ズーム指示及び第2パンチルト指示を受け付けた場合、演算部41cは、光電変換部31aの視野範囲内において、第2ズーム指示および第2パンチルト指示の少なくとも一方により変更された出力領域に対応する撮像画像を、第2画素数とするのに必要なスケーリング倍率を算出する。ロジック部31bは、演算部41cが算出したスケーリング倍率で撮像画像をダウンスケーリングすることにより、第2画素数の検査対象画像を生成する。
【0085】
図21は、回転後の検査対象画像を生成する場合の例を説明する図であり、回転設定用ユーザインタフェース画面110を示している。回転設定用ユーザインタフェース画面110には、光電変換部31aの出力領域に対応する検査対象画像が表示される画像表示領域111と、回転角度設定領域112とが設けられている。回転角度設定領域112では、画像の回転方向の設定と、回転角度の設定が可能になっており、これら設定項目はユーザによるキーボード7やマウス8の操作で設定可能になっている。
【0086】
回転角度設定領域112で回転方向および回転角度が設定されると、演算部41aは、検査対象画像の画素数及び形状を固定した状態で、検査対象画像を設定された方向に設定された角度だけ回転させる。つまり、演算部41aが検査対象画像に対して任意の角度の回転変換処理を適用する。これにより、回転後の検査対象画像を生成して画像表示領域111に表示させることができるので、例えば産業用カメラ1の設置方向が傾いていたときに、その傾きをソフトウェア上で補正できる。
【0087】
図22は、ダウンスケーリングをプロセッサ41で実現する場合の例を示す図である。この図に示すように、レンズユニットは光学ズームできない非ズームレンズとしている。イメージセンサ31は、光電変換部31aで撮像した画像をダウンスケーリングすることなく、プロセッサ41に出力する。プロセッサ41には、ダウンスケーリング部41Aが設けられており、ダウンスケーリング部41Aは上述したようなダウンスケーリングを実行して検査対象画像を生成する。その他の処理は、イメージセンサ31でダウンスケーリングを実行する場合と同じである。
【0088】
(カラー撮像画像の処理)
イメージセンサ31でカラー撮像画像を生成できるので、インタフェース部40cでは、光電変換部31aの視野範囲においてカラー検査対象画像として出力する領域である出力領域の指定を受け付けることができる。
【0089】
イメージセンサ31では、カラーフィルタ31cを有していることで、各色が所定の配列パターンで形成されたカラー撮像画像の生成が可能である。具体的には、光電変換部31aが出力するカラー撮像画像の配列パターンは、図23に示すようにベイヤ配列である。ベイヤ配列では、赤成分(R画素)および青成分(B画素)に加えて第1の緑成分(Gr画素)と第2の緑成分(Gb画素)とが所定の配列パターンで配列される。配列パターンはベイヤ配列に限られるものではなく、他の配列パターンであってもよい。
【0090】
また、光電変換部31aは、画素数の異なるカラー検査対象画像を生成可能に構成されている。光電変換部31aでカラー撮像画像が生成された場合には、プロセッサ41は、カラーの検査対象画像に対して上述したような演算処理や画像処理を実行する。本例では、カラーフィルタ31cを有しているので、3板式のカメラを用いることなく、またRGBを時系列で点灯することなく、カラー撮像画像を生成できる。
【0091】
ロジック部31bは、光電変換部31aの視野範囲の出力領域に対応するカラー撮像画像を取得した後、当該カラー撮像画像の各色を、上記配列パターンに基づいて個別にダウンスケーリングし、ダウンスケーリング後の各色の画素値を、各色の配列パターンがカラー撮像画像の配列パターンと一致するように配置する。これにより、カラー撮像画像の画素数よりも小さな画素数のカラー検査対象画像を生成することができる。
【0092】
例えば図23に示すように、ロジック部31bは、カラー撮像画像のベイヤ配列に含まれる赤成分、当該赤成分と行方向に隣接する第1の緑成分、青成分、及び当該青成分と当該行方向に隣接する第2の緑成分を、それぞれ個別にダウンスケーリングする。そして、ロジック部31bは、ダウンスケーリング後の当該青成分、当該第1の緑成分、当該赤成分、及び当該第2の緑成分の各色の画素値を、各色の配列パターンが当該カラー撮像画像のベイヤ配列の配列パターンと一致するように配置することにより、カラー検査対象画像を生成する。
【0093】
すなわち、ユーザがカラー検査対象画像として出力する領域を出力領域として指定すると、出力領域に対応するカラー撮像画像の各色が所定の配列パターンに基づいて個別にダウンスケーリングされる。ダウンスケーリング後の各色の画素値は、各色の配列パターンがカラー撮像画像の配列パターンと一致するように配置される。これにより、カラー撮像画像の画素数よりも小さな任意の画素数のカラー検査対象画像を生成することが可能になり、後段のプロセッサやFPGAによる画像処理において、配列パターンの不一致に起因する追加の処理が不要となる。
【0094】
具体例について説明すると、ロジック部31bは、カラー撮像画像の各色に対して、X又はY方向の一方である第1方向にダウンスケーリングした後、当該第1方向のダウンスケーリングにより得られた画像に対して、X又はY方向の他方である第2方向にダウンスケーリングすることによって、カラー検査対象画像を生成するように構成されている。より具体的には、図24に示すように、ロジック部31bは、カラー撮像画像の各色に対して第1方向にダウンスケーリングした後、第1方向のダウンスケーリングにより得られた画像に対して第2方向にダウンスケーリングすることによって、カラー検査対象画像を生成する。図24では、Gr画素に対して、第1方向である水平方向(X方向)に画素補間するとともにダウンスケーリングし、その後、第2方向である垂直方向(Y方向)に画素補間するとともにダウンスケーリングする。また、R画素、B画素、Gb画素のそれぞれに対しても、Gr画素と同様に水平方向に画素補間するとともにダウンスケーリングした後、垂直方向に画素補間するとともにダウンスケーリングする。
【0095】
図25に水平方向の場合を示すように、画素補間する際には、同色の隣接した2画素値の加算平均を演算する。また、ダウンスケーリングの際には、ダウンスケーリングにより得られる検査対象画像の一画素に含まれる、ダウンスケーリング前の撮像画像の各画素のサブピクセルレベルでのサイズに応じた加重平均を演算する。図25中、α、β、γは、入力画素の大きさを1とした場合のサブピクセルサイズを示している。また、αとγはそれぞれ1未満の値を設定することができるため、小数点以下の精度でスケーリング倍率を算出することもできる。また、画像中の他のR画素群に対しても同様の処理を実行する。図25ではR画素について示しているが、他の色の画素も同様である。
【0096】
垂直方向についても、水平方向のダウンスケーリング後の画素を用いて、垂直方向に同様の処理を実行する。つまり、ロジック部31bは、ダウンスケーリング後の検査対象画像の各画素に対応する、ダウンスケーリング前のカラー撮像画像の位置の近傍範囲に存在する同一色の複数の画素に基づいて検査対象画像の各画素の画素値を算出する。そして、ロジック部31bは、カラー撮像画像の近傍範囲をダウンスケーリングのスケーリング倍率に基づいて決定する。
【0097】
図26に示すように、カラー撮像画像を処理する際にはローパスフィルタを適用することもできる。この場合、指定したローパスフィルタ領域(LPF領域)分だけ、ダウンスケーリング後の検査対象画像の一画素が拡大されたものとみなしてダウンスケーリングする。ローパスフィルタ領域は当該ダウンスケーリング後の一画素の両側に均等に適用する。片側あたりのローパスフィルタ領域(サブピクセルサイズ)は、ダウンスケーリングによる縮小度にローパスフィルタ設定値を乗じて得た値を1/2することで算出する。また、ローパスフィルタ設定値は0以上の値であり、かつ、{3×(縮小度-1)}/縮小度で求められる値よりも小さな値とする。図26中、α、β、γ、δは、入力画素の大きさを1とした場合のサブピクセルサイズを示している。また、画像中の他のR画素群に対しても同様の処理を実行する。図26ではR画素について示しているが、他の色の画素も同様である。
【0098】
また、プロセッサ41は、インタフェース部40cが画素数を変更する指示を受け付けると、画素数の変更前後でカラー検査対象画像の各色の配列パターンを一致させる。これにより、変更前のカラー検査対象画像の画像処理における各色の配列パターンに関する設定を変更することなく、変更後のカラー検査対象画像の画像処理を実行することができる。
【0099】
インタフェース部40cが出力領域の位置、大きさ、及び形状の少なくとも1つを変更する指示を受け付けた場合、ロジック部31bは、出力領域の変更前に生成したカラー検査対象画像と各色の配列パターンが一致する、変更後の出力領域に対応するカラー検査対象画像を生成する。
【0100】
また、ロジック部31bは、カラー撮像画像をプロセッサ41に転送する際の転送速度と比較して、カラーの検査対象画像をプロセッサ41に転送する転送速度が相対的に速くなるように、カラー撮像画像をダウンスケーリングする。すなわち、図22に示すように、イメージセンサ31の外部でダウンスケーリングすることも可能であるが、この場合、カラー撮像画像のデータ量が大きいので、プロセッサ41への転送速度が問題となることが考えられる。カラー撮像画像をダウンスケーリングして、カラー撮像画像をプロセッサ41に転送する際の転送速度よりも速い速度でカラーの検査対象画像をプロセッサ41に転送することで、処理速度を高速化でき、高速な移動体に対する画像検査が可能になる。また、イメージセンサ31から出力された検査対象画像の画素数に応じて、ロジック部31bからプロセッサ41までの転送速度を変化させることもできる。
【0101】
産業用カメラ1は、検査部43を備えている。検査部43は、上述のようにして生成された検査対象画像に基づく検査を実行するための部分である。例えば、検査部43では、事前に、ワークWの各部の寸法が所定内または外であるか否かを判定したり、部品の装着状態を判定するなどの検査設定を行っておくことができる。検査設定に関する情報は記憶部6等に記憶させておくことができ、運用時には、検査設定を適用して検査対象画像に基づく検査を実行し、ワークWの良否判定処理を行う。ワークWの良否判定の際、複数の検査結果の全てが良である場合には、総合判定が「良」となるように設定し、一方、複数の検査結果の1つでも否である場合には、総合判定が「否」となるように設定できる。
【0102】
産業用カメラ1は、検査部43による検査結果又は産業用カメラ1の状態を所定の点灯色で示すためのインジケータ32を備えている。図2図5に示すように、インジケータ32は、産業用カメラ1の本体を構成している筐体50に設けられている。すなわち、筐体50の下側部分52の形状は、上下方向に長い略直方体である。インジケータ32は、筐体50の下側部分52の長手方向に延びる四面又は四辺に設けられており、本例では、4つのインジケータ32が筐体50の下側部分52の下端部ないし下端部近傍においてそれぞれ別方向に向けて光を放射するように設けられている。例えば、4つのインジケータ32のうち、1つは前に向けて光を放射するように位置付けられ、別の1つは後に向けて光を放射するように位置付けられ、さらに別の1つは左に向けて光を放射するように位置付けられ、残りの1つは右に向けて光を放射するように位置付けられている。これにより、インジケータ32は、産業用カメラ1の本体において、当該本体の略全周囲から視認可能な位置に設けられることになる。尚、インジケータ32の数は、4つに限られるものではなく、3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。また、インジケータ32は、上や下に向けて光を放射するように設けてもよい。
【0103】
インジケータ32の発光色は、単色であってもよいが、本例では複数色の発光が可能に構成されており、例えば赤色光源、緑色光源、青色光源等を組み合わせて個別に発光量を制御することで、複数色の発光が可能になる。発光色の変更は従来から周知の手法を用いて行うことができる。
【0104】
(設定時のフロー)
以上のように、産業用カメラ1を備えた画像検査システム2では様々な処理を実行することができ、その処理の手順は矛盾が生じない範囲で任意に設定できる。以下では、処理手順の一例についてフローチャートに基づいて説明する。
【0105】
図27は、ズーム倍率入力時の処理手順の一例を示すフローチャートである。スタート後のステップSA1では撮像設定を起動する。撮像設定の起動時は、第2レンズ群22を広角側に移動させる。ステップSA2では、ユーザによるズーム倍率の入力をインタフェース部40cが受け付ける。ズーム倍率の入力時には、図11に示すようなユーザインタフェース画面100が使用されるので、ズーム調整領域101Aを操作して入力できる。他の例として、ズーム倍率を数値で入力してもよい。
【0106】
ステップSA3では、ステップSA2の入力値(ズーム倍率)が第1のズーム値(第1のズーム倍率)よりも大きいか否かを判定する。NOと判定される場合には、ステップSA4に進んでダウンスケーリング設定変更を行う。ステップSA5でトリガ信号が入力するとステップSA6に進んで検査対象画像を表示させる。
【0107】
ステップSA3でYESと判定された場合にはステップSA7に進み、ステップSA2の入力値(ズーム倍率)が第2のズーム値(第2のズーム倍率)よりも大きいか否かを判定する。NOと判定される場合には、ステップSA8に進んでダウンスケーリングを既定のズーム倍率で固定し、それ以上のズームはステップSA9において光学ズームで対応する。その後、ステップSA5に進む。
【0108】
ステップSA7でYESと判定された場合には、ステップSA10で光学ズームのズーム倍率を最大にするとともに、ダウンスケーリングのスケーリング倍率を1に設定し、ステップSA9に進む。
【0109】
ステップSA8でYESと判定された場合には、ステップSA11で光学ズームのズーム倍率を最大にするとともに、ダウンスケーリングのスケーリング倍率を1にする。その後、ステップSA12でCIS設定変更し、ステップSA10に進む。
【0110】
図28は、視野または分解能を指定する時の処理手順の一例を示すフローチャートである。スタート後のステップSB1では、ユーザインタフェース上のWD計測ボタン(図示せず)が押下される。ステップSB2ではWD計測を行う。ステップSB3では、産業用カメラ1に予め記憶されている内部データと現状の焦点位置情報とに基づいて視野及び分解能を計算する。ステップSB4では、ユーザがX視野、Y視野、空間分解能のいずれかを、ユーザインタフェースを介して入力する。ステップSB5では、ステップSB4で入力された値を用いてズーム倍率を計算する。ステップSB6では、ステップSB5で計算したズーム倍率が設定可能なズーム倍率であるか否かを判定する。ステップSB6でNOと判定された場合は、図19のFIG.19Bや図20のFIG.20C、20Fに示すようになるので、ステップSB7に進んで設定可能なズーム倍率にクリッピングする。ステップSB6でYESと判定された場合には、ステップSB8に進んで図27に示すフローと同様な手順を実行する。
【0111】
図29は、パンチルトの処理手順の一例を示すフローチャートである。スタート後のステップSC1では、ユーザが図11に示すユーザインタフェース画面100上の視野位置調整領域103を操作して上下左右の位置調整を行う。ステップSC2では、ステップSC1で位置調整した領域がイメージセンサ31の最大視野範囲よりも狭いか否かを判定する。ステップSC2でNOと判定された場合には、ステップSC3で最大範囲をクリッピングする。その後、ステップSC4に進み、注目領域の位置を変更する。ステップSC2でYESと判定された場合もステップSC4に進む。
【0112】
図30は、縦横比変更の処理手順の一例を示すフローチャートである。スタート後のステップSD1では、ユーザが図11に示すユーザインタフェース画面100の画素数設定領域104を操作して所望の縦横比に変更する。ステップSD2では、変更後の画素領域が同じスケーリング倍率でのイメージセンサ31の視野範囲内に収まっているか否かを判定する。NOと判定された場合にはステップSD3に進み、ステップSD1で変更された縦横比となるようにズーム倍率を変更する。ステップSD4では、図27に示すフローと同様な手順を実行する。その後、ステップSD5に進み、注目領域のサイズを変更する。ステップSD2でYESと判定された場合も、ステップSD5に進む。
【0113】
(インジケータの制御)
上述したように、産業用カメラ1にはインジケータ32が設けられており、点灯タイミング、消灯タイミング、点灯パターン、点灯色等がプロセッサ41によって制御される。プロセッサ41は、インジケータ32を点灯させる条件(点灯条件)が満たされたと判定されるときにのみ、インジケータ32を点灯させ、点灯条件が満たされていない場合にはインジケータ32を消灯させる。点灯条件はインジケータ設定に含まれている。インジケータ設定には、一または複数の点灯条件が含まれており、複数の点灯条件が含まれている場合、任意の一の点灯条件が満たされれば、インジケータ32を点灯させる。
【0114】
インジケータ設定は、例えば産業用カメラ1の記憶部39やコントローラ3の記憶部6等に記憶されている。インジケータ設定は、コントローラ3側を操作することで、ユーザによる入力が可能になっている。入力されたインジケータ設定は、産業用カメラ1のインタフェース部40cで受け付けられる。例えば、コントローラ3は、インタフェース部40cを介して、当該コントローラ3に接続されている複数の産業用カメラ1の中から、インジケータ設定を変更する産業用カメラ1の選択を受け付けるとともに、選択された産業用カメラ1の記憶部39に記憶されたインジケータ設定を変更可能に構成されている。
【0115】
点灯条件は、複数の点灯条件によって構成された点灯条件群の中から選択可能になっている。インジケータ設定を行う際、コントローラ3の制御部5aは、図31に示すようなユーザインタフェース画面150を生成してモニタ9に表示させる。ユーザインタフェース画面150には、事前に定義された点灯条件群が表示される点灯条件表示領域151が設けられている。点灯条件表示領域151には、複数の点灯条件として、「ハード異常」、「起動中」、「アイドル(運転中)」、「アイドル(設定中)」、「総合判定(OK)」、「総合判定(NG)」等が表示可能であり、ユーザはこれら点灯条件の中から必要な条件のみ選択することができる。
【0116】
「ハード異常」とは、産業用カメラ1に不具合が生じて例えば撮像不能になった場合等にインジケータ32を点灯させる点灯条件であり、産業用カメラ1の故障時を示す。「起動中」とは、画像検査システム2の起動中にインジケータ32を点灯させる点灯条件である。「アイドル(運転中)」とは、画像検査システム2の運用中にインジケータ32を点灯させる点灯条件である。「アイドル(設定中)」とは、画像検査システム2の設定中にインジケータ32を点灯させる点灯条件である。「総合判定(OK)」とは、検査部43による検査の結果、総合判定が「OK」となった場合にインジケータ32を点灯させる点灯条件である。「総合判定(NG)」とは、検査部43による検査の結果、総合判定が「NG」となった場合にインジケータ32を点灯させる点灯条件である。各点灯条件の判断に必要な情報は、プロセッサ41が各部から取得する。
【0117】
点灯条件表示領域151には、点灯色を表示する点灯色表示領域151aと、点灯条件の適否選択領域151bと、削除ボタン151cとが設けられている。点灯色表示領域151aには、所定の点灯条件が満たされた場合にインジケータ32を点灯させる点灯色(インジケータ32の点灯色)が表示されており、点灯条件に応じて点灯色を変えることが可能になっている。ただし、産業用カメラの故障を示す「ハード異常」の場合には、インジケータ32の点灯色が所定の色(例えば赤等)に固定されており、変更不可となっている。尚、「ハード異常」の場合の点灯色を変更できるようにしてもよい。
【0118】
適否選択領域151bは、点灯条件を適用するか否かを選択するための領域であり、ユーザによって適否の選択が可能になっている。削除ボタン151cは、点灯条件の削除する場合に操作するボタンであり、削除ボタン151cが操作されると、その横に表示されている点灯条件が削除される。
【0119】
ユーザインタフェース画面150には、点灯色表示領域151aに表示されている点灯色の設定が可能な設定領域152が設けられている。設定領域152には、点灯色を指定するための点灯色指定領域152aが設けられている。色指定ボタン152bを操作することで、任意の色を指定することができるようになっている。
【0120】
インジケータ設定は、所定の点灯条件が満たされた際のインジケータ32の点灯パターンを含んでおり、設定領域152には、インジケータ32の点灯パターンを設定するパターン設定領域152cが設けられている。パターン設定領域152cは、点灯パターンを示す直線や破線等のパターンの選択が可能なプルダウン形式で構成されている。例えば直線であれば、点灯状態を維持し、破線であれば、点灯と消灯と繰り返すパターン(点滅)となる。
【0121】
設定領域152には、インジケータ32の点灯周期を設定する周期設定領域152dが設けられている。パターン設定領域152cで点灯と消灯と繰り返すパターンを設定した場合には、周期設定領域152dで点灯と消灯の周期(秒)を設定する。つまり、周期設定領域152dでは、インジケータ32を点滅させる際に、当該点滅における点灯間隔又は消灯間隔が設定可能になっている。
【0122】
ユーザによって指定された産業用カメラ1の記憶部39に記憶されたインジケータ設定をWebブラウザに表示させることが可能になっている。図7に示すように、産業用カメラ1は、Webサーバ33を備えており、コントローラ3との通信が可能に構成されている。コントローラ3側から、複数の産業用カメラ1の中から1つが指定されると、指定された産業用カメラ1の記憶部39に記憶されたインジケータ設定は、Webサーバ33を介してコントローラ3側で取得される。取得されたインジケータ設定をモニタ9上にWebブラウザの形式で表示させることで、ユーザはインジケータ設定を簡単に確認できるとともに、設定変更操作も簡単に行える。表示形態は、特に限定されるものではなく、例えば図31に示すような形態を挙げることができる。
【0123】
図31に示すユーザインタフェース画面150には、手動点灯を選択する手動点灯選択領域153が設けられている。ユーザが指定した産業用カメラ1のインジケータ32を手動で点灯させたい場合には、手動点灯選択領域153の選択操作を行うと、指定した産業用カメラ1のプロセッサ41は、当該産業用カメラ1のインジケータ32を、点灯条件によらず、インタフェース部40cを介して、コントローラ3からの操作により手動で点灯させることができる。カメラの選択は、ユーザインタフェース上で行うことが可能である。
【0124】
例えば複数台の同じ型式の産業用カメラ1が同じライン上で稼働している場合に、そのうちの1台を特定したい場合には、特定したい産業用カメラ1をユーザインタフェース上で選択する。この特定した産業用カメラ1のインジケータ32を手動で点灯させることで、現場で容易に特定できるようになる。手動点灯時の点灯色は任意に設定することができ、また点灯パターンも任意に設定することができる。
【0125】
また、本例では、図1に示すように、ネットワークを介して第1の産業用カメラ1(A)と、第2の産業用カメラ1(B)とがコントローラ3に接続されており、第1の産業用カメラ1(A)及び第2の産業用カメラ1(B)に個別にインジケータ設定を行うとともに、インジケータ設定を記憶することができるようになっている。このようにネットワークを介してコントローラ3に第1の産業用カメラ1(A)及び第2の産業用カメラ1(B)が接続されている場合、第1の産業用カメラ1(A)及び第2の産業用カメラ1(B)のうち、第1の産業用カメラ1(A)のインジケータ設定を記憶部39に記憶(エクスポート)し、当該エクスポートされたインジケータ設定を第2の産業用カメラ1(B)に設定(インポート)することが可能に構成されており、さらに当該エクスポートされたインジケータ設定を当該第2の産業用カメラ1(B)の記憶部39に記憶させることが可能に構成されていても良い。一方の産業用カメラ1から他方の産業用カメラ1の記憶部39には、共通に接続されたコントローラ3を介して、アクセスすることができる。なお、インジケータ設定のエクスポート先は、コントローラ3の記憶部6であっても良い。
【0126】
具体的には、図31に示すユーザインタフェース画面150には、インポートボタン154と、エクスポートボタン155とが設けられている。エクスポートボタン155を操作すると、第1の産業用カメラ1(A)のインジケータ設定が当該第1の産業用カメラ1(A)の記憶部39またはコントローラ3の記憶部6に記憶(エクスポート)される。インポートボタン154を操作すると、第2の産業用カメラ1(B)の記憶部39またはコントローラ3の記憶部6に記憶された当該第2の産業用カメラ(B)のインジケータ設定が第1の産業用カメラ1(A)に設定(インポート)される。この場合、インポートされた第2の産業用カメラ1(B)のインジケータ設定をさらに第1の産業用カメラ1(A)の記憶部39に記憶させても良い。これにより、一度設定したインジケータ設定の他の産業用カメラ1のインジケータ設定として利用することができるので、ユーザの負担を軽減できる。
【0127】
同様に、ネットワークを介してコントローラ3に接続された第1の産業用カメラ1(A)及び第2の産業用カメラ1(B)のうち、第1の産業用カメラ1(A)の記憶部39に記憶されたインジケータ設定を、当該第1の産業用カメラ1(A)から第2の産業用カメラ1(B)に転送することにより、当該第2の産業用カメラ1(B)の記憶部39に記憶させることも可能である。この場合も、一度設定したインジケータ設定の他の産業用カメラ1のインジケータ設定として利用することができる。
【0128】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0129】
以上説明したように、本発明に係る産業用カメラは、各種検査対象物を検査するための検査対象画像を生成する場合に利用できる。
【符号の説明】
【0130】
1 産業用カメラ
20 レンズユニット
31 イメージセンサ
31a 光電変換部
31b ロジック部
31c カラーフィルタ
40c インタフェース部
41 プロセッサ
41a 演算部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図15
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図19
図20
図21
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図28
図29
図30
図31