(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173473
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20231130BHJP
【FI】
G01R31/26 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085756
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006758
【氏名又は名称】株式会社ヨコオ
(74)【代理人】
【識別番号】100127306
【弁理士】
【氏名又は名称】野中 剛
(72)【発明者】
【氏名】薄田 光二
(72)【発明者】
【氏名】加藤 裕士
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 功
【テーマコード(参考)】
2G003
【Fターム(参考)】
2G003AA07
2G003AG01
2G003AH00
(57)【要約】
【課題】 保持対象物の移動を制限する。
【解決手段】 装置は、第1部材と、前記第1部材に保持される第2部材と、前記第1部材に設けられる取外し部と、を備え、前記第2部材は、押し込み部材の第1方向の動きによって前記第1部材に近づけられる保持対象物を保持し、前記取外し部は、前記押し込み部材の前記第1方向の動きに連動して、前記第1方向と異なる第2方向に移動し、前記保持対象物が前記第1部材から遠ざかる時に、前記第1方向から見て、前記取外し部の少なくとも一部と前記保持対象物の少なくとも一部が重なる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、
前記第1部材に保持される第2部材と、
前記第1部材に設けられる取外し部と、を備え、
前記第2部材は、押し込み部材の第1方向の動きによって前記第1部材に近づけられる保持対象物を保持し、
前記取外し部は、前記押し込み部材の前記第1方向の動きに連動して、前記第1方向と異なる第2方向に移動し、
前記保持対象物が前記第1部材から遠ざかる時に、前記第1方向から見て、前記取外し部の少なくとも一部と前記保持対象物の少なくとも一部が重なる、装置。
【請求項2】
前記保持対象物は、前記押し込み部材の前記第1方向の動きによって、前記第1部材に近づけられた時に、前記第1部材に収納された第3部材と電気的に接続する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記取外し部は、移動部と、リンクと、前記押し込み部材の前記第1方向の動きに連動して前記第2方向に移動するラッチとを有し、
前記移動部は、前記押し込み部材の前記第1方向の動きに連動して、前記第1方向に移動し、
前記リンクは、前記移動部が前記第1方向に移動する時に、前記ラッチを前記第2方向に移動させ、
前記移動部と前記リンクにより、前記ラッチの少なくとも一部は、前記第1方向から見て、前記第2部材の周縁部の内側に位置したり、前記第2部材の前記周縁部の外側に位置したりする、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記取外し部は、2つの取外し機構を有し、
前記2つの取外し機構は、前記第1方向から見て、前記第2部材を挟む、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記保持対象物が前記第1部材から遠ざかり前記押し込み部材と離れた後に、前記第1方向から見て、前記取外し部の少なくとも一部と前記保持対象物の少なくとも一部とが重なる状態から、前記第1方向から見て、前記取外し部と前記保持対象物とが重ならない状態になる、請求項1または請求項2に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソケットなどの装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のように、ハンドラを含む装置などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、温度差などにより、パッケージ(保持対象物)がハンドラのコールドプレート(押し込み部材)に貼り付き、コールドプレートが退避する際に、コールドプレートと一緒にパッケージが移動せしめられるおそれがある。
【0005】
したがって本発明の目的の一例は、保持対象物の移動を制限することにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、第1部材と、前記第1部材に保持される第2部材と、前記第1部材に設けられる取外し部と、を備え、前記第2部材は、押し込み部材の第1方向の動きによって前記第1部材に近づけられる保持対象物を保持し、前記取外し部は、前記押し込み部材の前記第1方向の動きに連動して、前記第1方向と異なる第2方向に移動し、前記保持対象物が前記第1部材から遠ざかる時に、前記第1方向から見て、前記取外し部の少なくとも一部と前記保持対象物の少なくとも一部が重なる、装置である。
【0007】
本発明の上記態様によれば、第1方向から見て、取外し部の少なくとも一部と、保持対象物の少なくとも一部とが重なり、保持対象物の第1方向の移動が制限されることがある。これにより、保持対象物が、第1部材から遠ざかる時に、保持対象物が押し込み部材と一緒に移動するのを防止出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】パッケージと、パッケージが取り付けられる前のソケットの斜視図である。
【
図3】パッケージが取り付けられた後のソケットの斜視図である。
【
図4】
図3における第1ラッチがある部分の断面を示す斜視図である。
【
図7】第1状態のソケットとパッケージと検査用基板とコールドプレートの断面構成図である。
【
図8】第2状態のソケットとパッケージと検査用基板とコールドプレートの断面構成図である。
【
図9】第3状態のソケットとパッケージと検査用基板とコールドプレートの断面構成図である。
【
図10】第4状態のソケットとパッケージと検査用基板とコールドプレートの断面構成図である。
【
図11】第5状態のソケットとパッケージと検査用基板とコールドプレートの断面構成図である。
【
図12】第6状態のソケットとパッケージと検査用基板とコールドプレートの断面構成図である。
【
図13】第7状態のソケットとパッケージと検査用基板とコールドプレートの断面構成図である。
【
図14】第8状態のソケットとパッケージと検査用基板とコールドプレートの断面構成図である。
【
図15】第9状態のソケットとパッケージと検査用基板とコールドプレートの断面構成図である。
【
図16】第10状態のソケットとパッケージと検査用基板とコールドプレートの断面構成図である。
【
図17】第11状態のソケットとパッケージと検査用基板とコールドプレートの断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態について、
図1~
図17を用いて説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用される。また、各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが出来る。
【0010】
方向を説明するために、水平方向の一方(前後方向)をx方向とし、x方向に垂直な水平方向(左右方向)をy方向、x方向とy方向に垂直な方向(上下方向)をz方向として説明する。
図1において、xyz軸のそれぞれの矢印が指し示す方向をそれぞれ前方向、右方向、上方向と定義する。
【0011】
(ソケット1)
図1~
図4に示すように、本実施形態におけるソケット(テストソケット)1は、ピンプレート10、ピンブロック20、フローティングプレート30、コンタクトプローブ50、カバー40、取外し部60を備える。なお、図面上で分かりやすくするため、
図1のコンタクトプローブ50は、他の部材に比べて大きめに図示されている。ソケット1は、例えば、半導体集積回路等の検査対象物(パッケージ100)の検査に使用される。ピンプレート10、ピンブロック20、フローティングプレート30、カバー40は、z方向下側からz方向上側に向けて配置される。ソケット1のz方向下側には、テスター(不図示)が配置される。ソケット1のz方向上側には、ハンドラ(不図示)が配置される。なお、後述する動作手順を示す図(
図7~
図17)では、テスターの一部を構成する検査用基板201とハンドラの一部を構成するコールドプレートなどの押し込み部材301を図示する。
【0012】
(ピンプレート10)
ピンプレート10は、例えば、樹脂製の板で、略四角形形状に形成される。ピンプレート10は、コンタクトプローブ50の下端部(第1プランジャー51)を通すための貫通孔(第1孔11)を有する。
【0013】
(ピンブロック20)
ピンブロック20は、ピンプレート10よりもz方向の厚さが厚い金属製の板で、略四角形形状に形成される。ピンブロック20は、コンタクトプローブ50の本体部分(内部バネを含む導電性チューブ53)を通すための貫通孔(第2孔21)を有する。ピンブロック20の上面であって、z方向から見てフローティングプレート30と重なる領域には、プレート用バネ23が配置される。なお、図面上で分かりやすくするため、
図1のプレート用バネ23は、他の部材に比べて大きめに図示されている。プレート用バネ23の付勢力により、フローティングプレート30は、z方向に移動可能な状態で、ピンブロック20に保持される。
【0014】
ピンブロック20の上面であって、z方向から見てフローティングプレート30と重なる領域よりも外側には、取外し部60が配置される。本実施形態では、ピンブロック20の上面の周縁部であって、x方向前側で且つy方向左側に第1取外し機構60aが配置され、x方向後側で且つy方向右側に、第2取外し機構60bが配置される。ただし、後述するように、第1取外し機構60aの第1ラッチ69a、及び第2取外し機構60bの第2ラッチ69bは、y方向に移動する。このため、第1ラッチ69aの先端部と第2ラッチ69bの先端部は、z方向から見て、フローティングプレート30と重なる位置関係になる場合もある。
【0015】
(フローティングプレート30)
フローティングプレート30は、例えば、樹脂製で、底板30aとフレーム30bを有する。フレーム30bは、底板30aの周縁部からz方向上側に延び、底板30aとフレーム30bとで、略箱形を形成する。フローティングプレート30の底板30aは、コンタクトプローブ50の上端部(第2プランジャー52)を通すための貫通孔(第3孔31)を有する。ピンプレート10の第1孔11と、ピンブロック20の第2孔21と、フローティングプレート30の第3孔31は、z方向から見て重なる。フレーム30bは、底板30aの周縁部を囲む。ただし、取外し部60の第1ラッチ69a若しくは第2ラッチ69bとy方向で対向する領域は、フレーム30bが省略される。従って、フローティングプレート30の第1ラッチ69aとy方向で対向する領域、及びフローティングプレート30の第2ラッチ69bとy方向で対向する領域には、切り欠きが形成される。フレーム30bの内側には、ハンドラのPNPヘッド(ピックアンドプレースヘッド、不図示)などにより、パッケージ100が載置される。
【0016】
(カバー40)
カバー40は、ピンブロック20の周縁部をz方向上側から覆う。カバー40は、中央に孔(収納孔41)を有する。収納孔41には、フローティングプレート30が収納される。
【0017】
ピンプレート10とピンブロック20とカバー40は、ネジ止めなどにより固定される。ピンプレート10とピンブロック20とカバー40の組立体は、ネジ止めなどにより、テスター(不図示)に固定される。当該組立体が、テスターに固定されると、ピンプレート10の下面にテスターの検査用基板201が接し、第1プランジャー51の先端部が検査用基板201と接続する。
【0018】
(コンタクトプローブ50)
コンタクトプローブ50は、第1プランジャー51、第2プランジャー52、導電性チューブ53を有する。第1プランジャー51の先端部は、ピンプレート10の第1孔11を通り、テスターの検査用基板201の電極と接続する。第2プランジャー52の先端部は、フローティングプレート30の第3孔31を通り、検査対象物(パッケージ100のサブストレート101の電極)と接続する。ただし、
図4は、フローティングプレート30が下がっておらず、第2プランジャー52の先端部と、サブストレート101の電極とが接していない状態を示す。
【0019】
導電性チューブ53は、ピンブロック20の第2孔21に収納され、第1プランジャー51の基端部、第2プランジャー52の基端部、バネ(内部バネ、不図示)を収納する。導電性チューブ53の内部バネは、第1プランジャー51と第2プランジャー52を互いに離間する方向に付勢する。絶縁部材54は、導電性チューブ53と第2孔21の内壁との間に設けられ、導電性チューブ53とピンブロック20との間を離隔する。
【0020】
(取外し部60)
図5~
図6に示すように、取外し部60(第1取外し機構60a、第2取外し機構60b)は、押し込み部材301のz方向の動きに連動して、一部がy方向に移動する。これによって、少なくとも、パッケージ100が押し込み部材301によってz方向上側に持ち上げられる時に、取外し部60は、パッケージ100のサブストレート101のz方向上側への移動を制限する。
【0021】
(第1取外し機構60a)
第1取外し機構60aは、第1縦移動部61a、第1縦移動部用バネ64a、第1リンク65a、第1土台部67a、第1ラッチベース68a、第1ラッチ69aを有する(
図5参照)。
【0022】
第1縦移動部61aは、第1取外し機構60aの上部を構成し、押し込み部材301によって、z方向下側に押し下げられる。第1縦移動部61aは、z方向に移動可能な状態で、第1土台部67aに保持される。
【0023】
第1縦移動部61aは、以下の条件を満たす位置関係に配置される。第1縦移動部61aの少なくとも一部が、z方向から見て、押し込み部材301の下端部の一部が重なり、且つ、第1縦移動部61aが、z方向から見て、PNPヘッドの下端部と重ならない。
【0024】
第1縦移動部用バネ64aは、第1縦移動部61aと第1土台部67aの間に配置される。第1縦移動部用バネ64aは、第1縦移動部61aが第1土台部67aから離れる方向に付勢する。
【0025】
第1リンク65aの一方の端部は、x方向に平行な軸周りに回転可能な状態で、第1縦移動部61aに取り付けられる。第1リンク65aの他方の端部は、x方向に平行な軸周りに回転可能な状態で、第1ラッチ69aに取り付けられる。第1リンク65aは、z方向の力をy方向の力に変換し、第1縦移動部61aがz方向下側に移動する時に、第1ラッチ69aをy方向右側(フローティングプレート30に近づく方向)に移動させ、第1縦移動部61aがz方向上側に移動する時に、第1ラッチ69aをy方向左側(フローティングプレート30から離れる方向)に移動させる。
【0026】
第1土台部67aは、第1縦移動部61aをz方向に移動可能な状態で保持する。第1土台部67aは、第1ラッチベース68aを保持する。第1土台部67aは、ネジ止めなどにより、ピンブロック20に取り付けられる。
【0027】
第1ラッチベース68aは、第1ラッチ69aをy方向に移動可能な状態で保持する。第1ラッチベース68aは、第1土台部67aと一体的に構成されてもよい。
【0028】
第1ラッチ69aは、第1縦移動部61aと第1リンク65aの動作に基づいて、第1ラッチベース68aの上で、y方向に移動する。第1ラッチ69aの先端部(フローティングプレート30に近い側の端部)は、z方向から見て、フローティングプレート30のフレーム30bの内側に位置したり、フレーム30bの外側に位置したりする。
【0029】
第1縦移動部61aにz方向下側への力が加えられていない時、すなわち、第1縦移動部61aが移動範囲の最上点(移動範囲の一方の端部)に位置する時、第1ラッチ69aの先端部は、z方向から見て、フレーム30bの外側に位置し、フローティングプレート30に載置されたパッケージ100のサブストレート101の周縁部と重ならない。第1縦移動部61aが、押し込み部材301によってz方向下側に押し下げられると、第1ラッチ69aは、y方向右側に移動する。このとき、第1ラッチ69aの先端部は、z方向から見て、フレーム30bの外側から内側に移動する。
【0030】
第1縦移動部61aが移動範囲の最上点からz方向下側に移動すると、第1ラッチ69aのy方向右側への突出量が増加する。第1ラッチ69aのy方向右側への突出量は、第1ラッチ69aの第1ラッチベース68a(若しくは第1土台部67a)からのy方向右側への突出量を意味する。第1縦移動部61aが移動範囲の最下点(移動範囲の他方の端部)に到達した時に、第1ラッチ69aのy方向右側への突出量が最大となり、z方向から見た第1ラッチ69aとフローティングプレート30に載置されたパッケージ100のサブストレート101の重なる領域が最大となる。
【0031】
押し込み部材301によるz方向下側への押し込みが解除されると、第1縦移動部61aが移動範囲の最下点からz方向上側に移動し、第1ラッチ69aのy方向右側への突出量が減少する。このとき、温度差などにより、パッケージ100が押し込み部材301に貼り付いて、パッケージ100も押し込み部材301と一緒にz方向上側に移動することがある。
【0032】
ただし、パッケージ100が押し込み部材301によってz方向上側に持ち上げられる時に、z方向から見て、第1ラッチ69aの先端部が、フレーム30bの内側に位置し、フローティングプレート30に載置されたパッケージ100のサブストレート101の周縁部と重なる状態が維持される。さらに、x方向から見て、第1ラッチ69aの先端部が押し込み部材301とサブストレート101の間に位置する状態が維持される。
【0033】
すなわち、少なくとも、パッケージ100が押し込み部材301によってz方向上側に持ち上げられる時に、第1ラッチ69aの先端部は、z方向から見て、フレーム30bの内側に位置し、フローティングプレート30に載置されたパッケージ100のサブストレート101の周縁部と重なる。これにより、第1ラッチ69aの先端部は、サブストレート101と接触し、サブストレート101が第1ラッチ69aの先端部よりもz方向上側に移動するのを制限し、押し込み部材301とパッケージ100とを引き離す。
【0034】
(第2取外し機構60b)
第2取外し機構60bは、第2縦移動部61b、第2縦移動部用バネ64b、第2リンク65b、第2土台部67b、第2ラッチベース68b、第2ラッチ69bを有する(
図6参照)。
【0035】
第2縦移動部61bは、第2取外し機構60bの上部を構成し、押し込み部材301によって、z方向下側に押し下げられる。第2縦移動部61bは、z方向に移動可能な状態で、第2土台部67bに保持される。
【0036】
第2縦移動部61bは、以下の条件を満たす位置関係に配置される。第2縦移動部61bの少なくとも一部が、z方向から見て、押し込み部材301の下端部の一部が重なり、且つ、第2縦移動部61bが、z方向から見て、PNPヘッドの下端部と重ならない。
【0037】
第2縦移動部用バネ64bは、第2縦移動部61bと第2土台部67bの間に配置される。第2縦移動部用バネ64bは、第2縦移動部61bが第2土台部67bから離れる方向に付勢する。
【0038】
第2リンク65bの一方の端部は、x方向に平行な軸周りに回転可能な状態で、第2縦移動部61bに取り付けられる。第2リンク65bの他方の端部は、x方向に平行な軸周りに回転可能な状態で、第2ラッチ69bに取り付けられる。第2リンク65bは、z方向の力をy方向の力に変換し、第2縦移動部61bがz方向下側に移動する時に、第2ラッチ69bをy方向左側(フローティングプレート30に近づく方向)に移動させ、第2縦移動部61bがz方向上側に移動する時に、第2ラッチ69bをy方向右側(フローティングプレート30から離れる方向)に移動させる。
【0039】
第2土台部67bは、第2縦移動部61bをz方向に移動可能な状態で保持する。第2土台部67bは、第2ラッチベース68bを保持する。第2土台部67bは、ネジ止めなどにより、ピンブロック20に取り付けられる。
【0040】
第2ラッチベース68bは、第2ラッチ69bをy方向に移動可能な状態で保持する。第2ラッチベース68bは、第2土台部67bと一体的に構成されてもよい。
【0041】
第2ラッチ69bは、第2縦移動部61bと第2リンク65bの動作に基づいて、第2ラッチベース68bの上で、y方向に移動する。第2ラッチ69bの先端部(フローティングプレート30に近い側の端部)は、z方向から見て、フローティングプレート30のフレーム30bの内側に位置したり、フレーム30bの外側に位置したりする。
【0042】
第2縦移動部61bにz方向下側への力が加えられていない時、すなわち、第2縦移動部61bが移動範囲の最上点(移動範囲の一方の端部)に位置する時、第2ラッチ69bの先端部は、z方向から見て、フレーム30bの外側に位置し、フローティングプレート30に載置されたパッケージ100のサブストレート101の周縁部と重ならない。第2縦移動部61bが、押し込み部材301によってz方向下側に押し下げられると、第2ラッチ69bは、y方向左側に移動する。このとき、第2ラッチ69bの先端部は、z方向から見て、フレーム30bの外側から内側に移動する。
【0043】
第2縦移動部61bが移動範囲の最上点からz方向下側に移動すると、第2ラッチ69bのy方向左側への突出量が増加する。第2ラッチ69bのy方向左側への突出量は、第2ラッチ69bの第2ラッチベース68b(若しくは第2土台部67b)からのy方向左側への突出量を意味する。第2縦移動部61bが移動範囲の最下点(移動範囲の他方の端部)に到達した時に、第2ラッチ69bのy方向左側への突出量が最大となり、z方向から見た第2ラッチ69bとフローティングプレート30に載置されたパッケージ100のサブストレート101の重なる領域が最大となる。
【0044】
押し込み部材301によるz方向下側への押し込みが解除されると、第2縦移動部61bが移動範囲の最下点からz方向上側に移動し、第2ラッチ69bのy方向左側への突出量が減少する。このとき、温度差などにより、パッケージ100が押し込み部材301に貼り付いて、パッケージ100も押し込み部材301と一緒にz方向上側に移動する。
【0045】
ただし、パッケージ100が押し込み部材301によってz方向上側に持ち上げられる時に、z方向から見て、第2ラッチ69bの先端部が、フレーム30bの内側に位置し、フローティングプレート30に載置されたパッケージ100のサブストレート101の周縁部と重なる状態が維持される。さらに、x方向から見て、第2ラッチ69bの先端部が押し込み部材301とサブストレート101の間に位置する状態が維持される。
【0046】
すなわち、少なくとも、パッケージ100が押し込み部材301によってz方向上側に持ち上げられる時に、第2ラッチ69bの先端部は、z方向から見て、フレーム30bの内側に位置し、フローティングプレート30に載置されたパッケージ100のサブストレート101の周縁部と重なる。これにより、第2ラッチ69bの先端部は、サブストレート101と接触し、サブストレート101が第2ラッチ69bの先端部よりもz方向上側に移動するのを制限し、押し込み部材301とパッケージ100とを引き離す。
【0047】
(第1取外し機構60aと第2取外し機構60bの位置関係)
z方向から見て、第1取外し機構60aと第2取外し機構60bは、フローティングプレート30を挟む位置関係で配置される。本実施形態では、ピンブロック20の上面の周縁部であって、x方向前側で且つy方向左側に第1取外し機構60aが配置され、x方向後側で且つy方向右側に、第2取外し機構60bが配置される例を示す。この場合、ピンブロック20の外形を示す略四角形形状の対角線上で、第1取外し機構60aと第2取外し機構60bがフローティングプレート30を挟む。
【0048】
しかしながら、第1取外し機構60aと第2取外し機構60bは、ピンブロック20の他の場所に配置されてもよい。例えば、第1取外し機構60aと第2取外し機構60bは、y方向でフローティングプレート30を挟んでもよい。
【0049】
(パッケージ100)
パッケージ100は、サブストレート(Substrate)101と、IHS(Integrated Heat Spreader)102を有する。サブストレート101には、CPU、メモリーなどの回路部品が実装される。サブストレート101の上にIHS102が実装されて、パッケージ100が形成される。サブストレート101は、本実施形態のテスターによる検査対象物である。パッケージ100は、フローティングプレート30に載置される。
【0050】
なお、第1ラッチ69aのy方向右側への突出量が最大の状態でも、第1ラッチ69aの先端部は、フローティングプレート30に載置されたIHS102と接しない。また、第2ラッチ69bのy方向左側への突出量が最大の状態でも、第2ラッチ69bの先端部は、フローティングプレート30に載置されたIHS102と接しない。
【0051】
パッケージ100は、押し込み部材301のz方向の動きによって、ピンブロック20に近づけられた時に、ピンブロック20に収納されたコンタクトプローブ50と電気的に接続し、コンタクトプローブ50を介して、テスターの検査用基板201と電気的に接続する。
【0052】
(孔と電極の位置関係)
ソケット1がテスターに取り付けられた時に、検査用基板201の電極は、z方向から見て、ピンプレート10の第1孔11と重なる。ハンドラのPNPヘッドなどにより、パッケージ100がフローティングプレート30に載置された時に、パッケージ100のサブストレート101の電極は、z方向から見てフローティングプレート30の第3孔31と重なる。
【0053】
(動作手順)
次に、検査の動作手順について説明する(
図7~
図17参照)。
図7~
図17に示すソケット1の各部材は、第1リンク65aなどの動きを分かりやすく説明するため簡略化したものであり、
図1~
図6の斜視図で示すソケット1の各部材の形状などを簡略化している。
図7~
図17では、サブストレート101に実装された回路部品、IHS102の内部構造、カバー40の図示を省略する。
図7~
図17に示す太線矢印は、押し込み部材301の移動方向を示す。
【0054】
予め、ネジ止めなどにより、ソケット1が組み立てられている。具体的には、ネジ止めなどにより、ピンプレート10とピンブロック20とカバー40の組立体が形成され、フローティングプレート30が、プレート用バネ23を介して、ピンブロック20の上に載置される。また、ネジ止めなどにより、ピンプレート10とピンブロック20とカバー40の組立体がテスターに固定される。このとき、コンタクトプローブ50の下端部(第1プランジャー51)は、テスターの検査用基板201と接する。
【0055】
フローティングプレート30には、ハンドラのPNPヘッドなどにより、パッケージ100が載置される(第1状態、
図7参照)。第1状態では、押し込み部材301と第1取外し機構60aの第1縦移動部61aとは接していない。また、押し込み部材301と第2取外し機構60bの第2縦移動部61bとは接していない。従って、第1縦移動部61aと第2縦移動部61bは、移動範囲の最上点に位置する。また、押し込み部材301とパッケージ100とは接していない。
【0056】
第1状態から、押し込み部材301がz方向下側に移動すると、押し込み部材301が第1取外し機構60aの第1縦移動部61a及び第2取外し機構60bの第2縦移動部61bに接する(第2状態、
図8参照)。第2状態では、押し込み部材301とパッケージ100とは接していない。
【0057】
第2状態から、押し込み部材301がz方向下側に更に移動すると、押し込み部材301が第1縦移動部61aと第2縦移動部61bをz方向下側に押し下げる(第3状態、
図9参照)。また、第1縦移動部用バネ64aと第2縦移動部用バネ64bが収縮する。
【0058】
第1縦移動部61aがz方向下側に移動することにより、第1リンク65aを介して、第1ラッチ69aがy方向右側(フローティングプレート30に近づく方向)に移動する。これにより、第1ラッチ69aの一部は、z方向から見て、パッケージ100のサブストレート101の周縁部と重なる。第2縦移動部61bがz方向下側に移動することにより、第2リンク65bを介して、第2ラッチ69bがy方向左側(フローティングプレート30に近づく方向)に移動する。これにより、第2ラッチ69bの一部は、z方向から見て、パッケージ100のサブストレート101の周縁部と重なる。
【0059】
第3状態では、押し込み部材301とパッケージ100とは接していない。
【0060】
第3状態から、押し込み部材301がz方向下側に更に移動すると、押し込み部材301が第1縦移動部61aと第2縦移動部61bをz方向下側に更に押し下げる(第4状態、
図10参照)。また、第1縦移動部用バネ64aと第2縦移動部用バネ64bが更に収縮する。
【0061】
第1縦移動部61aがz方向下側に移動することにより、第1リンク65aを介して、第1ラッチ69aがy方向右側(フローティングプレート30に近づく方向)に更に移動する。すなわち、第1ラッチ69aのy方向右側への突出量が増加する。第2縦移動部61bがz方向下側に移動することにより、第2リンク65bを介して、第2ラッチ69bがy方向左側(フローティングプレート30に近づく方向)に更に移動する。すなわち、第2ラッチ69bのy方向左側への突出量が増加する。
【0062】
また、押し込み部材301がパッケージ100IのHS102と接する。
【0063】
第4状態から、押し込み部材301がz方向下側に更に移動すると、押し込み部材301が第1縦移動部61aと第2縦移動部61bをz方向下側に更に押し下げる(第5状態、
図11参照)。また、第1縦移動部用バネ64aと第2縦移動部用バネ64bが更に収縮する。
【0064】
第1縦移動部61aがz方向下側に移動することにより、第1リンク65aを介して、第1ラッチ69aがy方向右側(フローティングプレート30に近づく方向)に更に移動する。すなわち、第1ラッチ69aのy方向右側への突出量が増加する。第2縦移動部61bがz方向下側に移動することにより、第2リンク65bを介して、第2ラッチ69bがy方向左側(フローティングプレート30に近づく方向)に更に移動する。すなわち、第2ラッチ69bのy方向左側への突出量が増加する。
【0065】
また、押し込み部材301がパッケージ100をz方向下側に押し下げる。パッケージ100がz方向下側に移動することにより、フローティングプレート30の底板30aがz方向下側に押し下げられ、プレート用バネ23が収縮する。
【0066】
第5状態から、押し込み部材301がz方向下側に更に移動すると、押し込み部材301が第1縦移動部61aと第2縦移動部61bをz方向下側に更に押し下げる(第6状態、
図12参照)。また、第1縦移動部用バネ64aと第2縦移動部用バネ64bが更に収縮する。第1縦移動部61aと第2縦移動部61bは、移動範囲の最下点に位置する。
【0067】
第1縦移動部61aがz方向下側に移動することにより、第1リンク65aを介して、第1ラッチ69aがy方向右側(フローティングプレート30に近づく方向)に更に移動する。すなわち、第1ラッチ69aのy方向右側への突出量が最大となり、z方向から見た第1ラッチ69aとフローティングプレート30に載置されたパッケージ100のサブストレート101の重なる領域が最大となる。第2縦移動部61bがz方向下側に移動することにより、第2リンク65bを介して、第2ラッチ69bがy方向左側(フローティングプレート30に近づく方向)に更に移動する。すなわち、第2ラッチ69bのy方向左側への突出量が最大となり、z方向から見た第2ラッチ69bとフローティングプレート30に載置されたパッケージ100のサブストレート101の重なる領域が最大となる。
【0068】
また、押し込み部材301がパッケージ100をz方向下側に押し下げる。パッケージ100がz方向下側に移動することにより、フローティングプレート30の底板30aがz方向下側に押し下げられ、プレート用バネ23が更に収縮する。第2プランジャー52がフローティングプレート30の第3孔31を通り、フローティングプレート30の第3孔31からz方向上側に突出し、パッケージ100のサブストレート101の下面と接する。コンタクトプローブ50は、パッケージ100のサブストレート101と、テスターの検査用基板201によって挟まれる。導電性チューブ53の内部バネの反力が、第1プランジャー51をz方向下方に押し下げようとし、第2プランジャー52をz方向上方に押し上げようとする。これにより、パッケージ100のサブストレート101と、コンタクトプローブ50と、テスターとが電気的に接続された状態になり、かかる状態で、パッケージ100の検査が行われる。
【0069】
検査が終了し、第6状態から、押し込み部材301がz方向上側に移動すると、第1縦移動部用バネ64aの反力が、第1縦移動部61aをz方向上側に押し上げ、第2縦移動部用バネ64bの反力が、第2縦移動部61bをz方向上側に押し上げる(第7状態、
図13参照)。
【0070】
第1縦移動部61aがz方向上側に移動することにより、第1リンク65aを介して、第1ラッチ69aがy方向左側(フローティングプレート30から離れる方向)に移動する。すなわち、第1ラッチ69aのy方向右側への突出量が減少する。第2縦移動部61bがz方向上側に移動することにより、第2リンク65bを介して、第2ラッチ69bがy方向右側(フローティングプレート30から離れる方向)に移動する。すなわち、第2ラッチ69bのy方向左側への突出量が減少する。
【0071】
パッケージ100は、押し込み部材301に貼り付いた状態(凍着状態)で引き出され、押し込み部材301と一緒にz方向上側に移動する。パッケージ100がz方向上側に移動することにより、プレート用バネ23の反力が、フローティングプレート30をz方向上側に押し上げる。
【0072】
第7状態から、押し込み部材301がz方向上側に更に移動すると、第1縦移動部用バネ64aの反力が、第1縦移動部61aをz方向上側に更に押し上げ、第2縦移動部用バネ64bの反力が、第2縦移動部61bをz方向上側に更に押し上げる(第8状態、
図14参照)。
【0073】
第1縦移動部61aがz方向上側に移動することにより、第1リンク65aを介して、第1ラッチ69aがy方向左側(フローティングプレート30から離れる方向)に更に移動する。すなわち、第1ラッチ69aのy方向右側への突出量が減少する。第2縦移動部61bがz方向上側に移動することにより、第2リンク65bを介して、第2ラッチ69bがy方向右側(フローティングプレート30から離れる方向)に更に移動する。すなわち、第2ラッチ69bのy方向左側への突出量が減少する。
【0074】
パッケージ100は、凍着状態で、押し込み部材301と一緒にz方向上側に更に移動する。パッケージ100がz方向上側に移動することにより、プレート用バネ23の反力が、フローティングプレート30をz方向上側に更に押し上げる。
【0075】
第8状態から、押し込み部材301がz方向上側に更に移動すると、第1縦移動部用バネ64aの反力が、第1縦移動部61aをz方向上側に更に押し上げ、第2縦移動部用バネ64bの反力が、第2縦移動部61bをz方向上側に更に押し上げる(第9状態、
図15参照)。
【0076】
第1縦移動部61aがz方向上側に移動することにより、第1リンク65aを介して、第1ラッチ69aがy方向左側(フローティングプレート30から離れる方向)に更に移動する。すなわち、第1ラッチ69aのy方向右側への突出量が減少する。ただし、第9状態でも、第1ラッチ69aの一部は、z方向から見て、パッケージ100のサブストレート101の周縁部と重なる。第2縦移動部61bがz方向上側に移動することにより、第2リンク65bを介して、第2ラッチ69bがy方向右側(フローティングプレート30から離れる方向)に更に移動する。すなわち、第2ラッチ69bのy方向左側への突出量が減少する。ただし、第9状態でも、第2ラッチ69bの一部は、z方向から見て、パッケージ100のサブストレート101の周縁部と重なる。
【0077】
パッケージ100は、凍着状態で、押し込み部材301と一緒にz方向上側に更に移動する。パッケージ100のサブストレート101の周縁部が、第1ラッチ69a及び第2ラッチ69bと接触するため、パッケージ100のz方向上側への更なる移動が制限される。パッケージ100がz方向上側に移動することにより、プレート用バネ23の反力が、フローティングプレート30をz方向上側に更に押し上げる。
【0078】
第1ラッチ69aと第2ラッチ69bによるz方向上側への更なる移動の制限により、第9状態よりも更に押し込み部材301がz方向上側に移動すると、パッケージ100は、押し込み部材301から引き離される。
【0079】
第9状態から、押し込み部材301がz方向上側に更に移動すると、第1縦移動部用バネ64aの反力が、第1縦移動部61aをz方向上側に更に押し上げ、第2縦移動部用バネ64bの反力が、第2縦移動部61bをz方向上側に更に押し上げる(第10状態、
図16参照)。
【0080】
第1縦移動部61aがz方向上側に移動することにより、第1リンク65aを介して、第1ラッチ69aがy方向左側(フローティングプレート30から離れる方向)に更に移動する。すなわち、第1ラッチ69aのy方向右側への突出量が減少する。これにより、第1ラッチ69aは、z方向から見て、少なくとも一部がパッケージ100のサブストレート101の周縁部と重なる位置から、z方向から見て、パッケージ100のサブストレート101の周縁部と重ならない位置まで退避する。第2縦移動部61bがz方向上側に移動することにより、第2リンク65bを介して、第2ラッチ69bがy方向右側(フローティングプレート30から離れる方向)に更に移動する。すなわち、第2ラッチ69bのy方向左側への突出量が減少する。これにより、第2ラッチ69bは、z方向から見て、少なくとも一部がパッケージ100のサブストレート101の周縁部と重なる位置から、z方向から見て、パッケージ100のサブストレート101の周縁部と重ならない位置まで退避する。
【0081】
パッケージ100は、押し込み部材301から離れ、z方向下側に落下し、フローティングプレート30に載置される。
【0082】
なお、パッケージ100が第1ラッチ69a及び第2ラッチ69bと接する状態になった後に、z方向から見て、第1ラッチ69aの少なくとも一部及び第2ラッチ69bの少なくとも一部と、パッケージ100の少なくとも一部とが重なる状態から、z方向から見て、第1ラッチ69a及び第2ラッチ69bと、パッケージ100とが重ならない状態になるのが望ましい。
【0083】
第10状態から、押し込み部材301がz方向上側に更に移動すると、押し込み部材301が、第1縦移動部61a及び第2縦移動部61bから離れる(第11状態。
図17参照)。従って、第1縦移動部61aと第2縦移動部61bは、移動範囲の最上点に位置する。
【0084】
(第1ラッチ69aなどを用いて、押し込み部材301にパッケージ100が貼り付いた状態を解除することの効果)
z方向から見て、ラッチ(第1ラッチ69a、第2ラッチ69b)の一部と、パッケージ100のサブストレート101の周縁部とが重なる。このため、パッケージ100とラッチ(第1ラッチ69a、第2ラッチ69b)が接することで、サブストレート101が第1ラッチ69aの先端部及び第2ラッチ69bの先端部よりもz方向上側に移動することが制限される。すなわち、パッケージ100のz方向の移動が制限される。そして、ラッチ(第1ラッチ69a、第2ラッチ69b)によって、押し込み部材301に貼り付いたパッケージ100が、押し込み部材301から引き離される。これにより、押し込み部材301が退避する際に、パッケージ100が押し込み部材301と一緒に移動するのを防止出来る。
【0085】
また、パッケージ100とハンドラとテスターの構造を変えずに、ソケット1に、ラッチ(第1ラッチ69a、第2ラッチ69b)を含む取外し装置(第1取外し機構60a、第2取外し機構60b)を加えるだけで、実現出来る。
【0086】
(ピンブロック20に近づけた時に、パッケージ100がコンタクトプローブ50と電気的に接続することの効果)
押し込み部材301のz方向の動きによって、パッケージ100とコンタクトプローブ50との電気的な接続のオンオフ制御を行うことが出来る。
【0087】
(リンク(第1リンク65a、第2リンク65b)を用いることの効果)
力が加えられる方向をz方向からy方向に変換するリンク(第1リンク65a、第2リンク65b)などを使って、簡単な構成で取外し装置(第1取外し機構60a、第2取外し機構60b)を構成することが出来る。
【0088】
(取外し部60が2つの取外し装置(第1取外し機構60a、第2取外し機構60b)を有することの効果)
2つの接点で、パッケージ100の移動を制限するため、取外し部60が1つの取外し装置だけを有する形態に比べて、より確実に、押し込み部材301からパッケージ100を引き離すことが可能になる。
【0089】
特に、本実施形態では、ピンブロック20の外形を示す略四角形形状の対角線上で、第1取外し機構60aと第2取外し機構60bがフローティングプレート30を挟む。すなわち、z方向から見てパッケージ100の中心から離れた所で押し込み部材301が接触する。このため、他の位置に第1取外し機構60aと第2取外し機構60bを配置する形態に比べて、パッケージ100の押し込み部材301からの分離をより確実に行える。また、他の位置に第1取外し機構60aと第2取外し機構60bを配置する形態に比べて、パッケージ100を搬送する装置(PNPヘッドなど)との接触を避けた第1取外し機構60aと第2取外し機構60bの配置を行いやすい。
【0090】
(接触後に第1ラッチ69aなどとパッケージ100とのz方向から見た重なりが解除されることの効果)
パッケージ100が第1ラッチ69a及び第2ラッチ69bと接する状態になったと同時に、z方向から見て、第1ラッチ69a及び第2ラッチ69bとパッケージ100とが重ならない状態になる形態に比べて、確実に第1ラッチ69a及び第2ラッチ69bによりパッケージ100を押し込み部材301から引き離すことが可能になる。
【0091】
(その他の実施形態、取外し装置の数)
本実施形態では、取外し部60は、2つの取外し装置(第1取外し機構60a、第2取外し機構60b)を有する。ただし、取外し部60は、取外し装置を1つだけ有する形態であってもよいし、取外し装置を3つ以上有する形態であってもよい。
【0092】
(その他の実施形態、コールドプレート以外の押し込み部材301)
本実施形態では、パッケージ100のIHS102を冷却するコールドプレートがハンドラの押し込み部材301として用いられる形態を説明した。しかしながら、パッケージ100のIHS102を温めるホットプレートがハンドラの押し込み部材301として用いられてもよい。また、パッケージ100のIHS102に温度変化をもたらない部材が、押し込み部材301として用いられてもよい。
【0093】
(その他の実施形態、リンク以外のラッチの移動手段)
本実施形態では、リンク(第1リンク65a、第2リンク65b)を用いて、上下方向(z方向)に加えられた力を、水平方向(y方向)の力に変換する形態を説明した。しかしながら、リンクに限らず、油圧装置など、他の機構を用いて、上下方向(z方向)に加えられた力を、水平方向(y方向)の力に変換してもよい。
【0094】
(その他の実施形態、パッケージ100を保持する部材の応用例)
本実施形態では、パッケージ100を保持する部材(フローティングプレート30)が、プレート用バネ23を介して、z方向に移動可能な状態で、ピンブロック20に保持される形態を説明した。しかしながら、フローティングプレート30に相当するプレートが、ピンブロック20に固定されてもよい。
【0095】
(その他の実施形態、バネの応用例)
本実施形態では、弾性部材として、ピンブロック20とフローティングプレート30の間にプレート用バネ23が配置され、第1縦移動部61aと第1土台部67aの間に第1縦移動部用バネ64aが配置され、第2縦移動部61bと第2土台部67bの間に第2縦移動部用バネ64bが配置され、導電性チューブ53に内部バネが収納される形態を説明した。しかしながら、z方向に伸縮可能な部材であれば、バネに限らず、他の弾性部材が用いられてもよい。
【0096】
(その他の実施形態、方向の応用例)
本実施形態では、パッケージ100の押し込み方向(第1方向)が上下方向(z方向)であり、第1ラッチ69a及び第2ラッチ69bの移動方向(第2方向)が水平方向(y方向)である形態を説明した。しかしながら、当該押し込み方向が上下方向とは別の方向で、当該移動方向が水平方向若しくは水平方向とは別の方向であってもよい。
【0097】
(その他の実施形態、ラッチを用いた引き離しを行う応用例)
本実施形態では、ソケット1がラッチ(第1ラッチ69aなど)を備え、当該ラッチが、パッケージ100の移動を制限して、パッケージ100の押し込み部材301からの引き離し(貼り付いた状態の解除)を行う形態を説明した。しかしながら、ソケット1と異なる装置がラッチを備え、当該ラッチが、保持対象物の移動を制限して、保持対象物の押し込み部材からの引き離しを行ってもよい。
【0098】
この場合、当該装置が、ピンブロック20に相当する第1部材と、フローティングプレート30に相当する第2部材と、取外し部60を備える。第2部材は、パッケージ100に相当する保持対象物を保持する。保持対象物は、ハンドラの押し込み部材301などに相当する押し込み部材の第1方向(z方向)の動きによって、第1部材に近づけられた時に、コンタクトプローブ50に相当する第3部材と電気的に接続する。取外し装置(第1取外し機構60aなど)は、押し込み部材の第1方向の動きに連動して、第1方向と異なる第2方向(y方向)に移動するラッチ(第1ラッチ69aなど)を含む。保持対象物が押し込み部材によって、第1部材から第1方向で且つ押し込み方向と反対方向(上方向)に移動せしめられる(導出される)時に、第1方向から見て、ラッチの少なくとも一部と保持対象物の少なくとも一部(サブストレート101の周縁部)が重なる。すなわち、保持対象物が第1部材から遠ざかる時に、第1方向から見て、取外し部の少なくとも一部と保持対象物の少なくとも一部が重なる。
【0099】
(ラッチを用いて、押し込み部材に保持対象物が貼り付いた状態を解除することの効果)
第1方向(z方向)から見て、ラッチ(第1ラッチ69aなど)の少なくとも一部と、保持対象物の少なくとも一部とが重なる。このため、保持対象物とラッチが接することで、保持対象物の第1方向の移動が制限される。そして、ラッチによって、押し込み部材に貼り付いた保持対象物が、押し込み部材から引き離される。これにより、押し込み部材が退避する際に、保持対象物が押し込み部材と一緒に移動するのを制限出来る。
【0100】
(その他の実施形態、電気的な接続の応用例)
本実施形態では、パッケージ100に相当する保持対象物が押しつけ部材301によって、ピンブロック20に相当する第1部材に近づけられた時に、フローティングプレート30に相当する第2部材を介して、コンタクトプローブ50に相当する第3部材と保持対象物とが電気的に接続する形態を説明した。しかしながら、第3部材が省略され、第3部材と保持対象物の電気的な接続を行う構成が無い装置に応用されてもよい。
【0101】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲及び要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0102】
本明細書によれば、以下の態様の装置が提供される。
(態様1)
態様1は、第1部材と、前記第1部材に保持される第2部材と、前記第1部材に設けられる取外し部と、を備え、前記第2部材は、押し込み部材の第1方向の動きによって前記第1部材に近づけられる保持対象物を保持し、前記取外し部は、前記押し込み部材の前記第1方向の動きに連動して、前記第1方向と異なる第2方向に移動し、前記保持対象物が前記第1部材から遠ざかる時に、前記第1方向から見て、前記取外し部の少なくとも一部と前記保持対象物の少なくとも一部が重なる。
【0103】
上述の態様によれば、第1方向から見て、取外し部の少なくとも一部と、保持対象物の少なくとも一部とが重なり、保持対象物の第1方向の移動が制限されることがある。そして、保持対象物が、第1部材から遠ざかる時に、保持対象物が押し込み部材と一緒に移動するのを防止出来る。
【0104】
(態様2)
態様2では、前記保持対象物は、前記押し込み部材の前記第1方向の動きによって、前記第1部材に近づけられた時に、前記第1部材に収納された第3部材と電気的に接続する。
【0105】
上述の態様によれば、押し込み部材の第1方向の動きによって、保持対象物と第3部材との電気的な接続のオンオフ制御を行うことが出来る。
【0106】
(態様3)
態様3では、前記取外し部は、移動部と、リンクと、前記押し込み部材の前記第1方向の動きに連動して前記第2方向に移動するラッチとを有し、前記移動部は、前記押し込み部材の前記第1方向の動きに連動して、前記第1方向に移動し、前記リンクは、前記移動部が前記第1方向に移動する時に、前記ラッチを前記第2方向に移動させ、前記移動部と前記リンクにより、前記ラッチの少なくとも一部は、前記第1方向から見て、前記第2部材の周縁部の内側に位置したり、前記第2部材の前記周縁部の外側に位置したりする。
【0107】
上述の態様によれば、力が加えられる方向を第1方向から第2方向に変換するリンクなどを使って、簡単な構成で取外し部を構成することが出来る。
【0108】
(態様4)
態様4では、前記取外し部は、2つの取外し機構を有し、前記2つの取外し機構は、前記第1方向から見て、前記第2部材を挟む。
【0109】
上述の態様によれば、2つの接点で、保持対象物の移動を制限するため、取外し部が1つの取外し機構だけを有する形態に比べて、より確実に、押し込み部材から保持対象物を引き離すことが可能になる。
【0110】
(態様5)
態様5では、前記保持対象物が前記第1部材から遠ざかり前記押し込み部材と離れた後に、前記第1方向から見て、前記取外し部の少なくとも一部と前記保持対象物の少なくとも一部とが重なる状態から、前記第1方向から見て、前記取外し部と前記保持対象物とが重ならない状態になる。
【0111】
上述の態様によれば、保持対象物が押し込み部材と離れた状態になったと同時に、第1方向から見て、取外し部と保持対象物とが重ならない状態になる形態に比べて、より確実に取外し部により保持対象物を押し込み部材から引き離すことが可能になる。
【符号の説明】
【0112】
1 ソケット(装置)、10 ピンプレート、11 第1孔、20 ピンブロック(第1部材)、21 第2孔、23 プレート用バネ、30 フローティングプレート(第2部材)、30a 底板、30b フレーム、31 第3孔、40 カバー、41 収納孔、50 コンタクトプローブ(第3部材)、51 第1プランジャー、52 第2プランジャー、53 導電性チューブ、54 絶縁部材、60 取外し部、60a 第1取外し機構60b 第2取外し機構61a 第1縦移動部、61b 第2縦移動部、64a 第1縦移動部用バネ、64b 第2縦移動部用バネ、65a 第1リンク、65b 第2リンク、67a 第1土台部、67b 第2土台部、68a 第1ラッチベース、68b 第2ラッチベース、69a 第1ラッチ、69b 第2ラッチ、100 パッケージ(保持対象物)、101 サブストレート、102 IHS、201 テスターの検査用基板、301 押し込み部材(コールドプレート、ホットプレート)