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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173479
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】赤外線リモコンセット
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
H04Q9/00 311A
H04Q9/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085764
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】溝内 勇人
(72)【発明者】
【氏名】石木 達也
(72)【発明者】
【氏名】萩原 伸一
【テーマコード(参考)】
5K048
【Fターム(参考)】
5K048AA09
5K048BA08
5K048DB04
5K048EA11
5K048EB02
5K048GC06
5K048HA04
5K048HA06
(57)【要約】
【課題】現場確認をできないユーザが機器に所定動作を実行させて不測の事態を招くことを抑制できる赤外線リモコンセットを提供する。
【解決手段】赤外線リモコンセット1は、送信機10及び受信機20を備える。送信機10が送信する操作信号は、第1データコードDC1を有する第1信号SG1と、第1信号SG1に続き、データ無しでスマートリモコン60の学習を完了させる空白期間BL1と、空白期間BL1に続き、第2データコードDC2を有する第2信号SG2と、からなる。第2データコードDC2が有する複数の数値データC1、C2、D21、D22は、第1データコードDC1が有する複数の数値データC1、C2、D11、D12に対して少なくとも一部が異なる。受信機20は、第1信号SG1及び第2信号SG2を受信したときに操作信号を受信したと判断するように構成される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線信号を送信する送信機であって、機器に所定動作を実行させるための操作信号を前記機器に向けて送信可能な前記送信機と、
前記機器に設けられ、前記赤外線信号を受信可能な受信機であって、前記操作信号を受信した受信結果に基づいて、前記機器に前記所定動作を実行させる前記受信機と、
を備えた赤外線リモコンセットであって、
前記操作信号は、第1データコードを有する第1信号と、
前記第1信号に続き、データ無しでスマートリモコンの学習を完了させる空白期間と、
前記空白期間に続き、第2データコードを有する第2信号と、からなり、
前記第2データコードが有する複数の数値データは、前記第1データコードが有する複数の数値データに対して少なくとも一部が異なり、
前記受信機は、前記第1信号及び前記第2信号を受信したときに前記操作信号を受信したと判断するように構成されていることを特徴とする赤外線リモコンセット。
【請求項2】
前記送信機は、操作ボタンを有し、前記操作ボタンが操作入力を1回受けたときに前記操作信号を1回送信し、
さらに、前記送信機は、前記操作ボタンが前記操作入力を受けて前記操作信号を送信する途中で次の前記操作入力を受けて次の前記操作信号を送信する場合、送信する途中の前記操作信号と次の前記操作信号との重複部分について、次の前記操作信号を優先し、
前記受信機は、前記操作信号を2回受信したと判断したときに、前記機器に前記所定動作を実行させ、
さらに、前記受信機は、前記第1信号を受信した後、前記第1信号及び前記第2信号を1回受信したときにも、前記操作信号を2回受信したと判断する請求項1記載の赤外線リモコンセット。
【請求項3】
前記送信機は、操作ボタンを有し、前記操作ボタンが操作入力を1回受けたときに前記操作信号を1回送信し、
さらに、前記送信機は、前記操作ボタンが前記操作入力を受けて前記操作信号を送信する途中で次の前記操作入力を受けて次の前記操作信号を送信する場合、送信する途中の前記操作信号と次の前記操作信号との重複部分について、送信する途中の前記操作信号を優先し、
前記受信機は、前記操作信号を2回受信したと判断したときに、前記機器に前記所定動作を実行させ、
さらに、前記受信機は、前記第1信号及び前記第2信号を1回受信した後、前記第2信号を受信したときにも、前記操作信号を2回受信したと判断する請求項1記載の赤外線リモコンセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は赤外線リモコンセットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の赤外線リモコンセットの一例が開示されている。この赤外線リモコンセットは、赤外線信号を送信するリモコン送信機と、燃焼暖房装置に設けられ、赤外線信号を受信可能な受光ユニットと、を備えている。
【0003】
リモコン送信機は、燃焼暖房装置に所定動作を実行させるための赤外線信号を燃焼暖房装置に向けて送信可能である。受光ユニットは、その赤外線信号を受信したときに、燃焼暖房装置に所定動作を実行させる。
【0004】
上記のような赤外線リモコンセットが適用された機器は、住宅や施設等において複数設置される場合が多い。そして、それらの機器の遠隔操作を集約的に行うためのスマートリモコンが知られている。
【0005】
スマートリモコンは、複数設置される機器がそれぞれ利用する赤外線信号について学習を試み、学習を完了した赤外線信号をそれらの機器に向けて送信することで、それらの機器に所定動作を実行させることが可能である。
【0006】
住宅や施設等の外部にいるユーザは、スマートフォン等の携帯情報端末を用い、インターネット回線及び無線LANルータを経由してスマートリモコンと無線通信し、所望の機器に対応して学習を完了した赤外線信号の送信をスマートリモコンに指示することにより、その所望の機器を遠隔操作して所定動作を実行させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001-218281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記従来の赤外線リモコンセットが適用された機器には、所定動作を実行するときに不測の事態を招かないように、ユーザの現場確認が必要な機器が含まれる。
【0009】
しかしながら、現場確認が必要な機器に対応する赤外線信号をスマートリモコンが学習してしまうと、現場確認をできないユーザがその機器に所定動作を実行させることが可能となってしまい、不測の事態を招くおそれがある。
【0010】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、現場確認をできないユーザが機器に所定動作を実行させて不測の事態を招くことを抑制できる赤外線リモコンセットを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の赤外線リモコンセットは、赤外線信号を送信する送信機であって、機器に所定動作を実行させるための操作信号を前記機器に向けて送信可能な前記送信機と、
前記機器に設けられ、前記赤外線信号を受信可能な受信機であって、前記操作信号を受信した受信結果に基づいて、前記機器に前記所定動作を実行させる前記受信機と、
を備えた赤外線リモコンセットであって、
前記操作信号は、第1データコードを有する第1信号と、
前記第1信号に続き、データ無しでスマートリモコンの学習を完了させる空白期間と、
前記空白期間に続き、第2データコードを有する第2信号と、からなり、
前記第2データコードが有する複数の数値データは、前記第1データコードが有する複数の数値データに対して少なくとも一部が異なり、
前記受信機は、前記第1信号及び前記第2信号を受信したときに前記操作信号を受信したと判断するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
スマートリモコンが赤外線信号の学習を試みるときの手順の代表的な例は、ユーザがスマートリモコンに学習開始を指示すると、スマートリモコンが赤外線信号の受信を開始し、ユーザが送信機から赤外線信号をスマートリモコンに向けて送信させると、スマートリモコンがその赤外線信号を受信して記憶し、その後、赤外線信号を受信しない状態が所定時間以上継続すると学習を完了し、その後に赤外線信号が送信されてもその赤外線信号は記憶しない、というものである。
【0013】
本発明の赤外線リモコンセットにおいて、操作信号は、第1信号と、第1信号に続き、データ無しでスマートリモコンの学習を完了させる空白期間と、空白期間に続く第2信号と、からなる。第2信号において第2データコードが有する複数の数値データは、第1信号において第1データコードが有する複数の数値データに対して少なくとも一部が異なる。このため、受信機は、スマートリモコンの操作が2回行われることにより第1信号を2回受信しても、操作信号を受信したと判断することはない。
【0014】
そして、第1信号と第2信号との間に設けられる空白期間については、スマートリモコンが学習を完了するための上記所定時間よりも長い時間、例えば、100ms~1000ms、より好ましくは、910ms~1000msに適宜設定することができる。
【0015】
ユーザが本発明の赤外線リモコンセットに係る操作信号をスマートリモコンに学習させようとする場合について説明する。この場合、ユーザがスマートリモコンに学習開始を指示すると、スマートリモコンが赤外線信号の受信を開始し、ユーザが本発明の赤外線リモコンセットに係る送信機から操作信号をスマートリモコンに向けて送信させる。すると、スマートリモコンが第1信号を記憶し、その後、空白期間が継続する途中において、赤外線信号を受信しない状態が所定時間以上継続することになって、操作信号に対応する全ての赤外線信号を学習できないまま学習を完了する可能性が高い。このため、スマートリモコンは、その後に、第2信号を受信する可能性が低く、その第2信号を記憶し難い。
【0016】
こうして、この赤外線リモコンセットは、スマートリモコンについて、現場確認が必要な機器の操作信号に対応する赤外線信号を学習し難くすることができる。その結果、ユーザは、スマートリモコンから操作信号を機器に向けて送信することが困難となる。
【0017】
したがって、本発明の赤外線リモコンセットは、現場確認をできないユーザが機器に所定動作を実行させて不測の事態を招くことを抑制できる。
【0018】
なお、一般的な赤外線リモコンの通信フォーマットとしては、「NECフォーマット」、「家製協フォーマット」、「SONYフォーマット」が知られている。しかしながら、「NECフォーマット」及び「家製協フォーマット」に係る赤外線信号は、データコードを有するフレーム信号と、先のON信号が次のON信号よりも長い2つのON信号の組であるリピート信号と、を所定間隔で送信し、その後、リピート信号を所定間隔で繰り返し送信するだけである。また、「SONYフォーマット」に係る赤外線信号は、データコードを有するフレーム信号を所定間隔で繰り返し送信するだけである。つまり、「NECフォーマット」、「家製協フォーマット」、「SONYフォーマット」に係る赤外線信号は、本発明に係る操作信号とは異なる。
【0019】
本発明の赤外線リモコンセットにおいて、送信機は、操作ボタンを有し、操作ボタンが操作入力を1回受けたときに操作信号を1回送信することが望ましい。さらに、送信機は、操作ボタンが操作入力を受けて操作信号を送信する途中で次の操作入力を受けて次の操作信号を送信する場合、送信する途中の操作信号と次の操作信号との重複部分について、次の操作信号を優先することが望ましい。受信機は、操作信号を2回受信したと判断したときに、機器に所定動作を実行させることが望ましい。さらに、受信機は、第1信号を受信した後、第1信号及び第2信号を1回受信したときにも、操作信号を2回受信したと判断することが望ましい。
【0020】
この場合、ユーザが送信機の操作ボタンに対して操作入力を2回行うことで、機器に所定動作を実行させることができる。その結果、この赤外線リモコンセットは、ユーザが送信機の操作ボタンを誤操作して意図せずに機器に所定動作を実行させて不測の事態を招くことを抑制できる。また、ユーザが送信機の操作ボタンに対して短い間隔で操作入力を2回行った場合、送信する途中の操作信号と次の操作信号とが重複し、送信する途中の操作信号が不完全になるおそれがあるが、そのような場合でも、受信機は、操作信号を2回受信したと判断し易い。その結果、この赤外線リモコンセットは、ユーザが送信機の操作ボタンに対して操作入力を2回行ったときの反応性について不満を持つことを抑制できる。
【0021】
本発明の赤外線リモコンセットにおいて、送信機は、操作ボタンを有し、操作ボタンが操作入力を1回受けたときに操作信号を1回送信することが望ましい。さらに、送信機は、操作ボタンが操作入力を受けて操作信号を送信する途中で次の操作入力を受けて次の操作信号を送信する場合、送信する途中の操作信号と次の操作信号との重複部分について、送信する途中の操作信号を優先することが望ましい。受信機は、操作信号を2回受信したと判断したときに、機器に所定動作を実行させることが望ましい。さらに、受信機は、第1信号及び第2信号を1回受信した後、第2信号を受信したときにも、操作信号を2回受信したと判断することが望ましい。
【0022】
この場合、ユーザが送信機の操作ボタンに対して操作入力を2回行うことで、機器に所定動作を実行させることができる。その結果、この赤外線リモコンセットは、ユーザが送信機の操作ボタンを誤操作して意図せずに機器に所定動作を実行させて不測の事態を招くことを抑制できる。また、ユーザが送信機の操作ボタンに対して短い間隔で操作入力を2回行った場合、送信する途中の操作信号と次の操作信号とが重複し、次の操作信号が不完全になるおそれがあるが、そのような場合でも、受信機は、操作信号を2回受信したと判断し易い。その結果、この赤外線リモコンセットは、ユーザが送信機の操作ボタンに対して操作入力を2回行ったときの反応性について不満を持つことを抑制できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の赤外線リモコンセットによれば、現場確認をできないユーザが機器に所定動作を実行させて不測の事態を招くことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、実施例1の赤外線リモコンセットが適用されたガスファンヒーターと、ガスファンヒーターが設置される住宅内にある他の機器及びスマートリモコンと、外部ネットワーク、外部サーバ及び携帯情報端末との関係を説明する模式図である。
図2図2は、実施例1の赤外線リモコンセットが適用されたガスファンヒーターの模式断面図である。
図3図3は、実施例1の赤外線リモコンセットが適用されたガスファンヒーターのブロック図である。
図4図4(a)は、操作信号のうちの第1信号の構成を説明する図であり、図4(b)は、操作信号のうちの第2信号の構成を説明する図である。
図5図5は、操作ボタンに対する操作入力と、操作信号との関係を示すタイムチャートである。
図6図6は、図5と同様のタイムチャートであって、ユーザが操作ボタンに対して短い間隔で操作入力を2回行った場合に送信される操作信号を説明する図である。
図7図7は、実施例2の赤外線リモコンセットに係り、図5と同様のタイムチャートであって、ユーザが操作ボタンに対して短い間隔で操作入力を2回行った場合に送信される操作信号を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した実施例1、2を図面を参照しつつ説明する。
【0026】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の赤外線リモコンセット1は、本発明の赤外線リモコンセットの具体的態様の一例であり、ガスファンヒーター90に適用されている。ガスファンヒーター90は、本発明の「機器」の一例である。
【0027】
ガスファンヒーター90は、住宅H1内に設置されている。住宅H1内には、シーリングライト80や、図示しないテレビ機器及びオーディオ機器等の複数の機器が設置されている。
【0028】
シーリングライト80は、周知の赤外線リモコン81及び赤外線受信部82を有している。住宅H1内にいるユーザは、赤外線リモコン81を操作して、シーリングライト80の点灯及び消灯を切り替えたり、点灯時の照度レベルを変更したりするための赤外線信号を赤外線受信部82に向けて送信させる。
【0029】
赤外線受信部82は、赤外線リモコン81が送信した赤外線信号を受信すると、その受信結果に基づいて、シーリングライト80の点灯及び消灯を切り替えたり、点灯時の照度レベルを変更したりする。こうして、住宅H1内にいるユーザは、シーリングライト80を近距離から遠隔操作できる。
【0030】
住宅H1内に設置された図示しないテレビ機器等も、周知の赤外線リモコン及び赤外線受信部を備えている。住宅H1内にいるユーザは、その赤外線リモコンを操作することで、図示しないテレビ機器等を近距離から遠隔操作できる。
【0031】
また、住宅H1内には、無線LANルータ7や、図示しないパーソナルコンピュータ等の情報端末が設置されている。図示しない情報端末は、無線LANルータ7を経由して、インターネット等のネットワークNW1や、ネットワークNW1に接続された外部サーバ9等とネットワーク通信可能である。
【0032】
住宅H1内にいるユーザが携帯するスマートフォン等の携帯情報端末70も、無線LANルータ7を経由して、ネットワークNW1や外部サーバ9等とネットワーク通信可能である。
【0033】
携帯情報端末70を携帯するユーザが住宅H1の外部に移動した場合、その携帯情報端末70は、ネットワークNW1及び無線LANルータ7を経由して、住宅H1内の図示しない情報端末とネットワーク通信可能である。
【0034】
さらに、住宅H1内には、スマートリモコン60が設置されている。スマートリモコン60は、住宅H1内に設置されて赤外線信号によって遠隔操作可能な複数の機器について、遠隔操作を集約的に行うための装置である。
【0035】
スマートリモコン60は、無線LANルータ7を経由して、住宅H1内の図示しない情報端末及び携帯情報端末70とネットワーク通信可能である。また、スマートリモコン60は、無線LANルータ7及びネットワークNW1を経由して、外部サーバ9及び住宅H1の外部にある携帯情報端末70とネットワーク通信可能である。
【0036】
スマートリモコン60は、赤外線送信部61及び赤外線受信部62を有している。スマートリモコン60は、住宅H1内に設置された複数の機器をそれぞれ遠隔操作するための赤外線信号について学習を試み、学習を完了した赤外線信号を送信可能である。
【0037】
発明者らは、数社以上の製造会社によって製造された複数種類のスマートリモコン60が赤外線信号の学習を試みるときの手順を調査及び分析した。その手順の代表的な例として、シーリングライト80の点灯及び消灯を切り替えるときに赤外線リモコン81が送信する赤外線信号の学習について説明する。
【0038】
スマートリモコン60が赤外線リモコン81の赤外線信号の学習を試みるとき、住宅H1内にいるユーザは、携帯情報端末70を操作して、スマートリモコン60に学習開始を指示する。すると、スマートリモコン60は、赤外線受信部62によって赤外線信号の受信を開始する。次に、ユーザは、赤外線リモコン81を操作して、赤外線リモコン81から赤外線信号をスマートリモコン60に向けて送信させる。すると、スマートリモコン60は、赤外線受信部62によってその赤外線信号を受信して記憶し、その後、赤外線信号を受信しない状態が所定時間以上継続すると学習を完了し、その後に赤外線信号が送信されてもその赤外線信号は記憶しない。
【0039】
所定時間の一例を挙げると、A社及びB社は50ms未満であり、C社は130ms未満であり、D社及びE社は330ms未満であり、F社は910ms未満である。
【0040】
つまり、スマートリモコン60は、全ての信号の学習を完了した赤外線信号に係る機器を遠隔操作できる一方、学習を試みたが全ての信号の学習を完了できなかった赤外線信号に係る機器を遠隔操作できない。
【0041】
住宅H1の外部にいるユーザは、携帯情報端末70によって、ネットワークNW1及び無線LANルータ7を経由してスマートリモコン60とネットワーク通信し、シーリングライト80に対応して学習を完了した赤外線信号の送信をスマートリモコン60に指示することにより、シーリングライト80の点灯及び消灯を切り替えることができる。
【0042】
住宅H1内にいるユーザも、携帯情報端末70によって、無線LANルータ7を経由してスマートリモコン60とネットワーク通信することで、赤外線リモコン81を使用する場合よりも遠距離から、例えば、シーリングライト80が設置された部屋とは異なる部屋から、シーリングライト80を遠隔操作できる。
【0043】
<ガスファンヒーター>
図2及び図3に示すように、ガスファンヒーター90は、操作パネル92、燃焼装置93、送風ファン95及び制御部91を有している。
【0044】
図2に示すように、操作パネル92は、ガスファンヒーター90の筐体99の上面に配備されている。操作パネル92は、ガスファンヒーター90の動作に関し、ユーザから直接的な操作入力を受けるユーザインタフェースである。
【0045】
操作パネル92は、周知の構成であるので図示は簡略するが、暖房運転の開始と停止とを操作する運転ボタン、暖房温度及び暖房強度の設定や変更を行う選択入力ボタン等の各種操作ボタンと、ガスファンヒーター90の運転状況や設定情報等を表示する表示部と、を有している。
【0046】
燃焼装置93は、都市ガス等の燃料ガスを燃焼させて暖房対象の流動空気を加熱する熱源部である。燃焼装置93は、筐体99の内部に収容されている。
【0047】
燃焼装置93は、燃料ガスと燃焼用空気との混合気を燃焼させるガスバーナ93Aと、ガスバーナ93Aに向けて燃料ガスを案内するガス管93Cと、を有している。また、燃焼装置93は、図示は省略するが、ガス管93Cを開閉する電磁弁と、ガス管93Cによって案内される燃料ガスの流量を調節する比例弁と、ガス管93Cとガスバーナ93Aとの間に位置して、燃料ガスと燃焼用空気とを混合させる噴射ノズルと、を有している。
【0048】
さらに、燃焼装置93は、図示は省略するが、その内部に案内された燃料ガスに点火する点火器と、火炎の立ち消えを判断するために着火による火炎を検出する火炎センサと、を有している。
【0049】
筐体99の背面には、吸込口99Aが形成されている。吸込口99Aは、塵埃捕捉用のエアフィルタ98に覆われている。筐体99の内部における吸込口99Aの上端縁の近傍には、温度センサ97が配備されている。温度センサ97は、吸込口99Aから吸い込まれる空気の温度を検出することにより、現在室温を取得する。筐体99の前面には、温風吹き出し口99Bが形成されている。
【0050】
送風ファン95は、所謂クロスフローファンである。送風ファン95は、図示しない駆動モータに駆動されて回転することにより、筐体99の外部の空気を吸込口99Aから筐体99内に吸い込み、燃焼装置93に向けてその空気を流動させる。
【0051】
筐体99内に吸い込まれた空気の一部は、燃焼用空気として燃料ガスと混合されて燃焼装置93のガスバーナ93A内に供給され、燃焼排ガスとして排出される。筐体99内に吸い込まれた空気の残りは、ガスバーナ93Aを迂回し、燃焼排ガスと混合されて昇温した後、温風吹き出し口99Bから吹き出される。昇温した流動空気は、温風吹き出し口99Bから吹き出されることで、暖房対象の室内を温める。
【0052】
制御部91は、図示しないCPUと、ROM及びRAM等の記憶素子によって構成された記憶部と、インターフェース回路等とを含んで構成された電子回路ユニットである。
【0053】
制御部91は、ガスファンヒーター90の運転停止中に、ユーザが操作パネル92の運転ボタンを指先で押すことにより、ガスファンヒーター90の暖房運転を開始する。
【0054】
そして、制御部91は、操作パネル92に対する各種の操作入力、温度センサ97の検出結果、及び燃焼装置93の火炎センサの検出結果等に基づき、燃焼装置93の一部を構成する電磁弁、比例弁及び点火器と、送風ファン95を駆動する駆動モータと、を制御することにより、ガスファンヒーター90の暖房運転を実行する。
【0055】
その後、制御部91は、ガスファンヒーター90の暖房運転の実行中に、ユーザが操作パネル92の運転ボタンを指先で押すことにより、ガスファンヒーター90の暖房運転を停止する。この際、制御部91は、電磁弁及び比例弁を閉じて燃焼装置93の燃焼を停止させた後、送風ファン95を所定の冷却時間作動させて燃焼装置93を冷却する。
【0056】
ガスファンヒーター90は、「暖房運転の開始」を実行するときに、不測の事態を招かないように、ユーザの現場確認が必要な機器である。
【0057】
<赤外線リモコンセット>
図1図3に示すように、ガスファンヒーター90は、ユーザが近距離から遠隔操作してガスファンヒーター90の暖房運転を開始させることを可能とするため、赤外線リモコンセット1を備えている。「暖房運転の開始」は、本発明の「所定動作」の一例である。
【0058】
赤外線リモコンセット1について複数の所定動作、例えば、「暖房運転の開始」、「暖房設定温度の変更」、「暖房強度の変更」、「暖房運転の終了」等を遠隔操作可能な構成とすることも可能であるが、本実施例では、説明の簡略化のため、赤外線リモコンセット1が「暖房運転の開始」のみを遠隔操作する場合について説明する。
【0059】
赤外線リモコンセット1は、ガスファンヒーター90の筐体99とは別体であってユーザが片手で掴める送信機10と、ガスファンヒーター90の筐体99内に設けられてその一部が筐体99の前面の上端側において露出する受信機20と、を備えている。
【0060】
図2及び図3に示すように、送信機10は、送信制御部11、操作ボタン17及び赤外線送信素子13を有している。
【0061】
送信制御部11は、図示しないCPUと、ROM及びRAM等の記憶素子によって構成された記憶部と、インターフェース回路等とを含んで構成された電子回路ユニットである。
【0062】
操作ボタン17は、「暖房運転の開始」を遠隔操作するためのボタンである。操作ボタン17は、ユーザが指先で押すという直接的な操作入力を受ける。赤外線送信素子13は、赤外線を出射可能である。
【0063】
送信制御部11は、赤外線送信素子13による赤外線の出射及び停止を極めて短い時間間隔で制御することにより、赤外線のON信号及びOFF信号が組み合わされてなる赤外線信号を送信可能である。
【0064】
具体的には、赤外線信号は、PPM信号(Pulse Position Modulation信号、パルス位相変調信号)であり、赤外線のON信号の長さとOFF信号の長さとの組み合わせによってビット値を表現する。
【0065】
送信制御部11が赤外線送信素子13によって送信する赤外線信号は、ガスファンヒーター90に「暖房運転の開始」を実行させるための操作信号である。操作信号の具体的構成については、後で詳しく説明する。
【0066】
送信制御部11は、操作ボタン17が操作入力を1回受けたときに、操作信号をガスファンヒーター90に向けて1回送信する。
【0067】
受信機20は、受信制御部21及び赤外線受信素子23を有している。受信制御部21は、ガスファンヒーター90の制御部91の一部によって構成されている。赤外線受信素子23は、受光面が筐体99の前面の上端側において露出しており、赤外線信号を受信可能である。赤外線受信素子23は、受信した赤外線信号を受信制御部21に伝達する。
【0068】
受信制御部21は、赤外線受信素子23から伝達された赤外線信号に基づき、操作信号を受信したか否かを判断する。そして、受信制御部21は、操作信号を受信した受信結果に基づいて、より詳しくは、操作信号を10秒以内に2回受信したと判断したときに、その判断結果を制御部91に伝達し、制御部91にガスファンヒーター90の「暖房運転の開始」を実行させる。
【0069】
なお、「暖房運転の開始」を意図しないユーザが送信機10の操作ボタン17を誤って1回だけ押して10秒が経過した場合は、受信制御部21は、制御部91にガスファンヒーター90の「暖房運転の開始」を実行させない。
【0070】
<操作信号の具体的構成>
図4及び図5に示すように、ガスファンヒーター90に「暖房運転の開始」を実行させるための操作信号は、第1信号SG1、空白期間BL1及び第2信号SG2からなる。
【0071】
図5に示すように、操作信号は、操作ボタン17がユーザから操作入力を受けてOFFからONに切り替わると同時に、送信が開始される。
【0072】
図4(a)に示すように、第1信号SG1は、第1データコードDC1と、第1データコードDC1に続くデータ無しの期間と、を有している。本実施例では、第1信号SG1の時間長は108msである。
【0073】
なお、本実施例では、第1信号SG1は、NECフォーマットのフレーム信号及びリピート信号のうちのフレーム信号のみの仕様を参考にしている。
【0074】
第1データコードDC1は、リーダコードLC1、4つの数値データC1、C2、D11、D12及びストップビットSB1からなる。
【0075】
リーダコードLC1は、第1データコードDC1の開始を示すパターンである。
【0076】
数値データC1、C2、D11、D12はそれぞれ、8bitの数値を示すデータである。数値データC1、C2は、製造会社を識別するためのカスタマコードである。
【0077】
数値データD11は、「暖房運転の開始」に対応して割り付けられた第1の数値である。数値データD12は、数値データD11のビット反転値であり、数値データD11の受信エラーをチェックするために利用される。
【0078】
ストップビットSB1は、第1データコードDC1の終了を示すパターンである。
【0079】
図5に示すように、空白期間BL1は、第1信号SG1に続き、データ無しでスマートリモコン60の学習を完了させる期間である。
【0080】
本実施例では、スマートリモコン60に学習の完了を判断させる時間TJ1は、空白期間BL1と、第1信号SG1における第1データコードDC1に続くデータ無しの期間と、を含んでいる。
【0081】
空白期間BL1については、上述した数社以上の製造会社によって製造された複数種類のスマートリモコン60が赤外線信号の学習を試みるときの手順、すなわち、スマートリモコン60が赤外線受信部62によってその赤外線信号を受信して記憶し、その後、赤外線信号を受信しない状態が所定時間以上継続すると学習を完了する、という手順における所定時間よりも長い時間、具体的には、100ms~1000ms、より好ましくは、910ms~1000msに設定している。本実施例では、空白期間BL1は1000msである。
【0082】
空白期間BL1を長い時間に設定する程、操作信号の学習を防止可能なスマートリモコン60の種類数を増加させることができる。ただし、空白期間BL1が長くなり過ぎると、ユーザが操作ボタン17を押したときの反応性が遅いと感じ易くなる。
【0083】
第2信号SG2は、空白期間BL1に続き、図4(b)に示すように、第2データコードDC2を有している。本実施例では、第2信号SG2の時間長は65.81msである。
【0084】
なお、本実施例では、第2信号SG2は、第1信号SG1と同様に、NECフォーマットのフレーム信号及びリピート信号のうちのフレーム信号のみの仕様を参考にしている。
【0085】
第2データコードDC2は、リーダコードLC1、4つの数値データC1、C2、D21、D22及びストップビットSB1からなる。
【0086】
リーダコードLC1は、第1データコードDC1のリーダコードLC1と同じであり、第2データコードDC2の開始を示すパターンである。
【0087】
数値データC1、C2、D21、D22はそれぞれ、8bitの数値を示すデータである。数値データC1、C2は、第1データコードDC1の数値データC1、C2と同じである。
【0088】
数値データD21は、「暖房運転の開始」に対応して割り付けられた第2の数値である。数値データD21は、第1データコードDC1の数値データD11とは異なっている。
【0089】
数値データD22は、数値データD21のビット反転値であり、数値データD21の受信エラーをチェックするために利用される。数値データD22は、第1データコードDC1の数値データD12とは異なっている。
【0090】
ストップビットSB1は、第1データコードDC1のストップビットSB1と同じであり、第2データコードDC2の終了を示すパターンである。
【0091】
図5に示すように、受信機20の受信制御部21は、第1信号SG1及び第2信号SG2を受信したときに操作信号を受信したと判断するように構成されている。第2データコードDC2の数値データD21、D22が第1データコードDC1の数値データD11、D12と異なっていることから、受信制御部21は、第1信号SG1を2回受信しても、操作信号を受信したと判断することはない。
【0092】
そして、受信制御部21は、1回目の第1信号SG1及び第2信号SG2を受信して操作信号を1回受信したと判断した後、10秒以内に2回目の第1信号SG1及び第2信号SG2を受信して操作信号を2回受信したと判断したときに、その判断結果を制御部91に伝達し、制御部91にガスファンヒーター90の「暖房運転の開始」を実行させる。
【0093】
<送信機の後入力優先、及び受信器の対応>
図6に示すように、送信機10の送信制御部11は、操作ボタン17が操作入力を受けて操作信号を送信する途中で次の操作入力を受けて次の操作信号を送信する場合、送信する途中の操作信号と次の操作信号との重複部分について、次の操作信号を優先する。つまり、送信機10は、後入力優先である。
【0094】
受信機20の受信制御部21は、送信機10の後入力優先に対応し、第1信号SG1を受信した後、第1信号SG1及び第2信号SG2を1回受信したときにも、操作信号を10秒以内に2回受信したと判断する。そして、受信制御部21は、その判断結果を制御部91に伝達し、制御部91にガスファンヒーター90の「暖房運転の開始」を実行させる
【0095】
<作用効果>
実施例1の赤外線リモコンセット1において、図5に示すように、操作信号は、第1信号SG1と、第1信号SG1に続き、データ無しである空白期間BL1と、空白期間BL1に続く第2信号SG2と、からなる。
【0096】
図4に示すように、第2信号SG2において第2データコードDC2が有する4つの数値データC1、C2、D21、D22は、第1信号SG1において第1データコードDC1が有する4つの数値データC1、C2、D11、D12に対して一部が異なっている。すなわち、第2データコードDC2の数値データD21、D22は、第1データコードDC1の数値データD11、D12と異なっている。このため、スマートリモコン60の操作が2回行われ、スマートリモコン60が学習した第1信号SG1を2回送信する場合において、受信機20の受信制御部21は、スマートリモコン60の操作が2回行われることにより第1信号SG1を2回受信しても、操作信号を受信したと判断することはない。
【0097】
そして、第1信号SG1と第2信号SG2との間に設けられる空白期間BL1については、スマートリモコン60が赤外線受信部62によってその赤外線信号を受信して記憶し、その後、赤外線信号を受信しない状態が所定時間以上継続すると学習を完了する、という手順における所定時間よりも長い時間、具体的には、100ms~1000ms、より好ましくは、910ms~1000msに設定している。本実施例では、空白期間BL1は1000msである。
【0098】
実施例1の赤外線リモコンセット1の送信機10が送信する操作信号について、ユーザがスマートリモコン60に学習させようとする場合について説明する。
【0099】
この場合、住宅H1内にいるユーザは、あらかじめスマートリモコン60のメーカーホームページから専用アプリケーションソフトを携帯情報端末70にダウンロードしておく。次に、ユーザは、携帯情報端末70を操作して、スマートリモコン60に学習開始を指示する。すると、スマートリモコン60は、赤外線受信部62によって赤外線信号の受信を開始する。
【0100】
次に、ユーザは、送信機10の操作ボタン17を押して、送信機10から操作信号をスマートリモコン60に向けて送信させる。すると、スマートリモコン60は、外線受信部62によって第1信号SG1を受信して記憶し、その後、空白期間BL1が継続する途中において、赤外線信号を受信しない状態が所定時間以上継続することになって、操作信号に対応する全ての赤外線信号を学習できないまま学習を完了する可能性が高い。このため、スマートリモコン60は、その後に、第2信号SG2を受信する可能性が低く、その第2信号SG2を記憶し難い。
【0101】
こうして、この赤外線リモコンセット1は、スマートリモコン60について、現場確認が必要なガスファンヒーター90の操作信号に対応する赤外線信号を学習し難くすることができる。
【0102】
その結果、住宅H1内でガスファンヒーター90が設置された部屋にいたり、その部屋とは異なる部屋にいたり、住宅H1の外部にいたりするユーザは、携帯情報端末70を操作してスマートリモコン60とネットワーク通信したとしても、スマートリモコン60から操作信号をガスファンヒーター90に向けて送信することが困難となる。
【0103】
したがって、実施例1の赤外線リモコンセット1は、現場確認をできないユーザがガスファンヒーター90に「暖房運転の開始」を実行させて不測の事態を招くことを抑制できる。
【0104】
また、この赤外線リモコンセット1において、図5に示すように、送信機10の送信制御部11は、操作ボタン17が操作入力を1回受けたときに操作信号を1回送信する。受信機20の受信制御部21は、操作信号を10秒以内に2回受信したと判断したときに、ガスファンヒーター90に「暖房運転の開始」を実行させる。さらに、図6に示すように、送信制御部11は、操作ボタン17が操作入力を受けて操作信号を送信する途中で次の操作入力を受けて次の操作信号を送信する場合、送信する途中の操作信号と次の操作信号との重複部分について、次の操作信号を優先する。受信制御部21は、第1信号SG1を受信した後、第1信号SG1及び第2信号SG2を1回受信したときにも、操作信号を10秒以内に2回受信したと判断する。
【0105】
この構成により、ユーザが送信機10の操作ボタン17に対して操作入力を2回行うことで、ガスファンヒーター90に「暖房運転の開始」を実行させることができる。その結果、この赤外線リモコンセット1は、ユーザが送信機10の操作ボタン17を誤操作して意図せずにガスファンヒーター90に「暖房運転の開始」を実行させて不測の事態を招くことを抑制できる。また、ユーザが送信機10の操作ボタン17に対して短い間隔で操作入力を2回行った場合、送信する途中の操作信号と次の操作信号とが重複し、送信する途中の操作信号が不完全になるおそれがあるが、そのような場合でも、受信機20は、操作信号を2回受信したと判断し易い。その結果、この赤外線リモコンセット1は、ユーザが送信機10の操作ボタン17に対して操作入力を2回行ったときの反応性について不満を持つことを抑制できる。
【0106】
(実施例2)
図7に示すように、実施例2の赤外線リモコンセットは、実施例1の赤外線リモコンセット1に係る送信機10について、後入力優先から先入力優先に変更されている。
【0107】
すなわち、送信機10の送信制御部11は、操作ボタン17が操作入力を受けて操作信号を送信する途中で次の操作入力を受けて次の操作信号を送信する場合、送信する途中の操作信号と次の操作信号との重複部分について、送信する途中の操作信号を優先する。
【0108】
また、実施例2の赤外線リモコンセットは、実施例1の赤外線リモコンセット1に係る受信機20について、送信機10の先入力優先に対応するように変更されている。
【0109】
すなわち、受信機20の受信制御部21は、第1信号SG1及び第2信号SG2を1回受信した後、第2信号SG2を受信したときにも、操作信号を10秒以内に2回受信したと判断する。そして、受信制御部21は、その判断結果を制御部91に伝達し、制御部91にガスファンヒーター90の「暖房運転の開始」を実行させる。
【0110】
実施例2の赤外線リモコンセットのその他の構成は実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して図示及び説明を省略する。
【0111】
このような構成である実施例2の赤外線リモコンセットは、実施例1の赤外線リモコンセット1と同様に、現場確認をできないユーザがガスファンヒーター90に「暖房運転の開始」を実行させて不測の事態を招くことを抑制できる。
【0112】
また、この赤外線リモコンセットは、実施例1の赤外線リモコンセット1と同様に、ユーザが送信機10の操作ボタン17に対して操作入力を2回行うことで、ガスファンヒーター90に「暖房運転の開始」を実行させることができる。その結果、この赤外線リモコンセットは、ユーザが送信機10の操作ボタン17を誤操作して意図せずにガスファンヒーター90に「暖房運転の開始」を実行させて不測の事態を招くことを抑制できる。また、ユーザが送信機10の操作ボタン17に対して短い間隔で操作入力を2回行った場合、送信する途中の操作信号と次の操作信号とが重複し、次の操作信号が不完全になるおそれがあるが、そのような場合でも、受信機20は、操作信号を2回受信したと判断し易い。その結果、この赤外線リモコンセットは、ユーザが送信機10の操作ボタン17に対して操作入力を2回行ったときの反応性について不満を持つことを抑制できる。
【0113】
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0114】
実施例1、2では、赤外線リモコンセット1がガスファンヒーター90に適用されているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、本発明の赤外線リモコンセットは、電気ヒーター等の熱源部を有する電気式暖房装置に適用されてもよい。また、本発明の赤外線リモコンセットは、熱源部を有しない機器であって、ガレージ等の大きな開口を開閉可能なシャッタ、大音量で発音可能なオーディオ機器等の各種機器に適用されてもよい。
【0115】
実施例1、2では、第2データコードDC2が有する4つの数値データC1、C2、D21、D22は、第1データコードDC1が有する4つの数値データC1、C2、D11、D12に対して一部が異なっているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、第2データコードが有する複数の数値データは、第1データコードが有する複数の数値データに対して全てが異なっていてもよい。
【0116】
実施例1、2では、受信機20は、操作信号を2回受信したと判断したときに、ガスファンヒーター90に「暖房運転の開始」を実行させるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、受信機20は、操作信号を1回受信したと判断したときに、ガスファンヒーター90に「暖房運転の開始」を実行させてもよい。また、操作信号を2回受信するときの制限時間は、実施例では10秒以内であるが、10秒より短くても長くてもよいし、制限時間がなくてもよい。
【0117】
実施例1、2では、赤外線リモコンセット1が「暖房運転の開始」のみを遠隔操作するが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、第2データコードDC2の数値データD21、D22を複数の操作信号に対応して互いに異なる数値に設定し、それらの操作信号に対応する複数の操作ボタンを送信機10に設けることで、送信機10が「暖房運転の開始」に対応する操作信号、「暖房設定温度の変更」に対応する操作信号、「暖房強度の変更」に対応する操作信号、「暖房運転の終了」に対応する操作信号等を選択的に送信でき、受信機20もそれらの操作信号について、「暖房運転の開始」、「暖房設定温度の変更」、「暖房強度の変更」、「暖房運転の終了」等のいずれか1つに対応する操作信号であることを判別できる。
【0118】
実施例1、2では、第1信号SG1及び第2信号SG2は、NECフォーマットのフレーム信号及びリピート信号のうちのフレーム信号のみの仕様を参考にしているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、第1信号及び第2信号はそれぞれ、既存の赤外線リモコンの通信フォーマットとは全く異なる仕様を有していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は例えば、住宅や施設等に設置されて赤外線信号による遠隔操作が可能な機器に利用可能である。
【符号の説明】
【0120】
1…赤外線リモコンセット
10…送信機
90…機器(ガスファンヒーター)
20…受信機
DC1…第1データコード
SG1…第1信号
60…スマートリモコン
BL1…空白期間
DC2…第2データコード
SG2…第2信号
C1、C2、D11、D12…第1データコードが有する複数の数値データ
C1、C2、D21、D22…第2データコードが有する複数の数値データ
17…操作ボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7