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  • 特開-サーボシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173487
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】サーボシステム
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/00 20160101AFI20231130BHJP
【FI】
H02P29/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085779
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 豊
(72)【発明者】
【氏名】吉田 零
【テーマコード(参考)】
5H501
【Fターム(参考)】
5H501AA22
5H501BB02
5H501JJ03
5H501JJ17
5H501KK06
5H501LL07
5H501LL35
(57)【要約】
【課題】サーボアンプを有するサーボシステムにおいて、不特定多数のユーザにサーボアンプが使用される場合であっても、各ユーザが求める動作をサーボアンプに行わせることが可能であるとともに、各ユーザが求める動作をサーボアンプに行わせることが可能であっても、サーボアンプのコストを低減することが可能なサーボシステムを提供する。
【解決手段】サーボシステム1では、サーボアンプ3に、サーボアンプ3に標準的な動作を行わせるための基本ファームウエアがインストールされ、情報処理装置5に、サーボアンプ3に特定の動作を行わせるための機能ファームウエアが複数記憶されている。情報処理装置5は、情報処理装置5に記憶された複数の機能ファームウエアの中から選択された機能ファームウエアをサーボアンプ3に送信し、基本ファームウエアによって動作するサーボアンプ3は、情報処理装置5から受信した機能ファームウエアの妥当性を検証する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーボモータを動作させるサーボアンプと、前記サーボアンプに電気的に接続される情報処理装置とを備え、
前記サーボアンプには、前記サーボアンプに標準的な動作を行わせるためのファームウエアである基本ファームウエアがインストールされ、
前記情報処理装置には、前記サーボアンプに特定の動作を行わせるためのファームウエアである機能ファームウエアが複数記憶され、
前記情報処理装置は、前記情報処理装置に記憶された複数の前記機能ファームウエアの中から選択された前記機能ファームウエアを前記サーボアンプに送信し、
前記基本ファームウエアによって動作する前記サーボアンプは、前記情報処理装置から受信した前記機能ファームウエアの妥当性を検証することを特徴とするサーボシステム。
【請求項2】
前記サーボアンプは、前記情報処理装置から受信した前記機能ファームウエアが妥当であると判断した場合に、前記情報処理装置から受信した前記機能ファームウエアを前記サーボアンプにインストールすることを特徴とする請求項1記載のサーボシステム。
【請求項3】
前記情報処理装置に記憶されている複数の前記機能ファームウエアは、暗号化されていることを特徴とする請求項1または2記載のサーボシステム。
【請求項4】
前記情報処理装置は、前記機能ファームウエアを暗号化した状態で前記サーボアンプに送信することを特徴とする請求項3記載のサーボシステム。
【請求項5】
前記サーボアンプに電気的に接続される付属装置を備え、
前記情報処理装置には、前記付属装置に特定の動作を行わせるためのファームウエアである付属機能ファームウエアが記憶され、
前記情報処理装置は、前記付属機能ファームウエアを前記サーボアンプに送信し、
前記基本ファームウエアによって動作する前記サーボアンプは、前記情報処理装置から受信した前記付属機能ファームウエアを前記付属装置に送信し、
前記付属装置は、前記サーボアンプから受信した前記付属機能ファームウエアを前記付属装置にインストールすることを特徴とする請求項1または2記載のサーボシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーボモータを動作させるサーボアンプを備えるサーボシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットを制御するためのロボット制御システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のロボット制御システムは、ロボットの関節に組み込まれるサーボモータと、サーボモータを動作させるサーボアンプとを備えている。サーボアンプには、たとえば、サーボアンプを取り扱うためのソフトウエアがインストールされたパーソナルコンピュータが接続されており、サーボアンプのパラメータの設定等は、パーソナルコンピュータで行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-178385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
不特定多数のユーザに同じ型式のサーボアンプが使用される場合、ユーザごとにサーボアンプに求められる機能が異なることがある。不特定多数のユーザが求める全ての機能をサーボアンプが果たすことができるように様々なファームウエアをサーボアンプに全てインストールすれば、どのユーザがサーボアンプを使用しても、ユーザが求める動作をサーボアンプに行わせることが可能になる。しかしながら、この場合には、ファームウエアを記憶するためのサーボアンプの記憶容量を大きくする必要があるため、サーボアンプのコストが高くなる。
【0005】
そこで、本発明の課題は、サーボアンプを有するサーボシステムにおいて、不特定多数のユーザにサーボアンプが使用される場合であっても、各ユーザが求める動作をサーボアンプに行わせることが可能であるとともに、各ユーザが求める動作をサーボアンプに行わせることが可能であっても、サーボアンプのコストを低減することが可能なサーボシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明のサーボシステムは、サーボモータを動作させるサーボアンプと、サーボアンプに電気的に接続される情報処理装置とを備え、サーボアンプには、サーボアンプに標準的な動作を行わせるためのファームウエアである基本ファームウエアがインストールされ、情報処理装置には、サーボアンプに特定の動作を行わせるためのファームウエアである機能ファームウエアが複数記憶され、情報処理装置は、情報処理装置に記憶された複数の機能ファームウエアの中から選択された機能ファームウエアをサーボアンプに送信し、基本ファームウエアによって動作するサーボアンプは、情報処理装置から受信した機能ファームウエアの妥当性を検証することを特徴とする。
【0007】
本発明において、たとえば、サーボアンプは、情報処理装置から受信した機能ファームウエアが妥当であると判断した場合に、情報処理装置から受信した機能ファームウエアをサーボアンプにインストールする。
【0008】
本発明のサーボシステムでは、情報処理装置に、サーボアンプに特定の動作を行わせるためのファームウエアである機能ファームウエアが複数記憶されており、情報処理装置は、情報処理装置に記憶された複数の機能ファームウエアの中から選択された機能ファームウエアをサーボアンプに送信している。そのため、本発明では、各ユーザが求める動作をサーボアンプに行わせるための機能ファームウエアを情報処理装置が送信することで、不特定多数のユーザにサーボアンプが使用される場合であっても、各ユーザが求める動作をサーボアンプに行わせることが可能になる。
【0009】
また、本発明では、情報処理装置は、情報処理装置に記憶された複数の機能ファームウエアの中から選択された機能ファームウエアのみをサーボアンプに送信しているため、各ユーザが求める動作をサーボアンプに行わせることが可能であっても、ファームウエアを記憶するためのサーボアンプの記憶容量を低減することが可能になる。したがって、本発明では、各ユーザが求める動作をサーボアンプに行わせることが可能であっても、サーボアンプのコストを低減することが可能になる。
【0010】
また、本発明では、基本ファームウエアによって動作するサーボアンプは、情報処理装置から受信した機能ファームウエアの妥当性を検証している。そのため、本発明では、妥当と判断された機能ファームウエアをサーボアンプにインストールすることで、情報処理装置に記憶された複数の機能ファームウエアの中から選択された機能ファームウエアを情報処理装置がサーボアンプに送信する場合であっても、妥当な機能ファームウエアをサーボアンプにインストールすることが可能になる。
【0011】
本発明において、情報処理装置に記憶されている複数の機能ファームウエアは、暗号化されていることが好ましい。このように構成すると、情報処理装置に記憶されている機能ファームウエアが不正にコピーされても、コピーされた機能ファームウエアの不正な使用を阻止することが可能になる。
【0012】
本発明において、情報処理装置は、機能ファームウエアを暗号化した状態でサーボアンプに送信することが好ましい。このように構成すると、情報処理装置からサーボアンプへの機能ファームウエアの送信時に機能ファームウエアが不正にコピーされても、コピーされた機能ファームウエアの不正な使用を阻止することが可能になる。
【0013】
本発明において、たとえば、サーボシステムは、サーボアンプに電気的に接続される付属装置を備え、情報処理装置には、付属装置に特定の動作を行わせるためのファームウエアである付属機能ファームウエアが記憶され、情報処理装置は、付属機能ファームウエアをサーボアンプに送信し、基本ファームウエアによって動作するサーボアンプは、情報処理装置から受信した付属機能ファームウエアを付属装置に送信し、付属装置は、サーボアンプから受信した付属機能ファームウエアを付属装置にインストールする。
【0014】
この場合には、各ユーザが求める動作を行わせるための付属機能ファームウエアをサーボアンプを介して付属装置に送信することで、各ユーザが求める動作を付属装置に行わせることが可能になる。また、必要な付属機能ファームウエアのみをサーボアンプを介して付属装置に送信することで、各ユーザが求める動作を付属装置に行わせることが可能であっても、ファームウエアを記憶するための付属装置の記憶容量を低減することが可能になり、その結果、付属装置のコストを低減することが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明のサーボシステムでは、不特定多数のユーザにサーボアンプが使用される場合であっても、各ユーザが求める動作をサーボアンプに行わせることが可能になる。また、本発明のサーボシステムでは、各ユーザが求める動作をサーボアンプに行わせることが可能であっても、サーボアンプのコストを低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態にかかるサーボシステムの構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(サーボシステムの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるサーボシステム1の構成を説明するためのブロック図である。
【0019】
本形態のサーボシステム1は、サーボモータ2と、サーボモータ2を動作させるサーボアンプ3と、サーボモータ2の回転位置を検知するためのエンコーダ4と、サーボモータ2に電気的に接続される情報処理装置としてのパーソナルコンピュータ5(以下、「PC5」とする。)とを備えている。エンコーダ4は、サーボアンプ3に電気的に接続されている。本形態のエンコーダ4は、サーボアンプ3に電気的に接続される付属装置である。
【0020】
サーボアンプ3には、サーボアンプ3に標準的な動作を行わせるためのファームウエアである基本ファームウエア(基本F/W)がインストールされている。基本ファームウエアは、サーボアンプ3に内蔵されるマイクロコンピュータの不揮発性メモリ7に記憶されている。エンコーダ4には、エンコーダ4に標準的な動作を行わせるためのファームウエアである基本ファームウエア(基本F/W)がインストールされている。基本ファームウエアは、エンコーダ4に内蔵されるマイクロコンピュータの不揮発性メモリ8に記憶されている。エンコーダ4は、所定の通信ケーブル9を介してサーボアンプ3に電気的に接続されている。
【0021】
PC5には、サーボアンプ3を取り扱うためのソフトウエアであるサーボアンプ用ソフトウエアがインストールされている。サーボアンプ用ソフトウエアは、PC5に内蔵される不揮発性メモリ10に記憶されている。PC5は、USBケーブル等の通信ケーブル11を介してサーボアンプ3に電気的に接続されている。サーボアンプ3のパラメータの設定やサーボアンプ3の状態確認等は、PC5において行うことが可能になっている。
【0022】
PC5には、サーボアンプ3に特定の動作を行わせるためのファームウエアである機能ファームウエア(機能F/W)が複数記憶されている。たとえば、PC5には、「機能F/W1」から「機能F/WX」までのX個の機能ファームウエアが記憶されている。また、PC5には、エンコーダ4に特定の動作を行わせるためのファームウエアである付属機能ファームウエア(付属機能F/W)が記憶されている。機能ファームウエアおよび付属機能ファームウエアは、不揮発性メモリ10に記憶されている。
【0023】
機能ファームウエアは、たとえば、サーボアンプ3の標準仕様に含まれない特殊な機能をサーボアンプ3に実現させるためのファームウエアである。この場合の機能ファームウエアは、たとえば、ツールチェンジャにおいて円盤上に等間隔にセットされたツールをピックアップする装置でサーボモータ2が使用される場合に、最適化された動作をサーボアンプ3に行わせるためのファームウエアである。また、機能ファームウエアは、たとえば、特定のユーザ向けの特殊な機能をサーボアンプ3に実現させるためのファームウエアである。この場合の機能ファームウエアは、たとえば、サーボアンプ3の入出力機能をカスタマイズするためのファームウエアや、サーボアンプ3と所定の上位装置との通信仕様をカスタマイズするためのファームウエアである。
【0024】
また、機能ファームウエアは、たとえば、リリース後のサーボアンプ3に新たな機能を追加するためのファームウエアである。この場合の機能ファームウエアは、たとえば、衝突検出機能等を追加するためのファームウエアである。付属機能ファームウエアは、たとえば、特定のユーザ向けの特殊な機能をエンコーダ4に実現させるためのファームウエアであり、たとえば、サーボアンプ3とエンコーダ4との通信仕様をカスタマイズするためのファームウエアである。
【0025】
機能ファームウエアおよび付属機能ファームウエアは、たとえば、サーボアンプ用ソフトウエアをPC5にインストールするときに一緒に読み込まれてPC5に記憶される。また、機能ファームウエアおよび付属機能ファームウエアは、サーボアンプ用ソフトウエアがPC5にインストールされた後、ネットワークを介して所定のサーバからPC5にダウンロードされてPC5に記憶されても良い。PC5に記憶されている複数の機能ファームウエアは暗号化されている。また、PC5に記憶されている付属機能ファームウエアも暗号化されている。
【0026】
サーボアンプ3には、機能ファームウエアをインストール可能になっている。サーボアンプ3に機能ファームウエアをインストールするときには、ユーザは、PC5においてサーボアンプ用ソフトウエアを立ち上げて、PC5に記憶された複数の機能ファームウエアの中からサーボアンプ3にインストールされる機能ファームウエアを選択する。たとえば、ユーザは、「機能F/W1」を選択する。
【0027】
その後、ユーザがPC5で所定の操作を行うと、PC5は、PC5に記憶された複数の機能ファームウエアの中から選択された機能ファームウエアをサーボアンプ3に送信する。たとえば、PC5は、選択された「機能F/W1」をサーボアンプ3に送信する。PC5がサーボアンプ3に機能ファームウエアを送信するときには、PC5は、暗号化されてPC5に記憶されていた機能ファームウエアを復号してからサーボアンプ3に送信する。
【0028】
基本ファームウエアによって動作するサーボアンプ3は、PC5から受信した機能ファームウエアの妥当性を検証する。本形態では、サーボアンプ3は、まず、機能ファームウエアのデータの整合性を検証する。このときには、サーボアンプ3は、たとえば、CRC(Cyclic Redundancy Code)チェック等によって機能ファームウエアのデータの破損をチェックする。
【0029】
また、サーボアンプ3は、機能ファームウエアが正規のサプライヤが作成した正規のものであるのか否かを検証する。具体的には、まず、機能ファームウエアごとに所定のルールで生成されたコードが機能ファームウエアに埋め込まれており、サーボアンプ3は、同じルールでコードを生成する。また、サーボアンプ3は、機能ファームウエアに埋め込まれているコードと作成したコードとを比較し、両者が一致した場合に、機能ファームウエアが正規のものであると判断する。このように、基本ファームウエアによって動作するサーボアンプ3は、PC5から受信した機能ファームウエアが正常な正規のものであるのか否かを検証する。
【0030】
基本ファームウエアによって動作するサーボアンプ3は、PC5から受信した機能ファームウエアが妥当であると判断した場合に、PC5から受信した機能ファームウエアをサーボアンプ3にインストールする。たとえば、サーボアンプ3は、PC5から受信した「機能F/W1」をサーボアンプ3にインストールする。機能ファームウエアは、不揮発性メモリ7に記憶される。
【0031】
エンコーダ4には、付属機能ファームウエアをインストール可能になっている。エンコーダ4に付属機能ファームウエアをインストールするときには、ユーザは、PC5においてサーボアンプ用ソフトウエアを立ち上げて、PC5に記憶された付属機能ファームウエアを選択した後、所定の操作を行う。PC5は、付属機能ファームウエアをサーボアンプ3に送信する。PC5がサーボアンプ3に付属機能ファームウエアを送信するときには、PC5は、暗号化されてPC5に記憶されていた付属機能ファームウエアを復号してからサーボアンプ3に送信する。
【0032】
基本ファームウエアによって動作するサーボアンプ3は、PC5から受信した付属機能ファームウエアをエンコーダ4に送信する。基本ファームウエアによって動作するエンコーダ4は、サーボアンプ3から受信した付属機能ファームウエアをエンコーダ4にインストールする。付属機能ファームウエアは、不揮発性メモリ8に記憶される。
【0033】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、PC5に、サーボアンプ3に特定の動作を行わせるための機能ファームウエアが複数記憶されており、PC5は、PC5に記憶された複数の機能ファームウエアの中から選択された機能ファームウエアをサーボアンプ3に送信している。そのため、本形態では、各ユーザが求める動作をサーボアンプ3に行わせるための機能ファームウエアをPC5が送信することで、不特定多数のユーザにサーボアンプ3が使用される場合であっても、各ユーザが求める動作をサーボアンプ3に行わせることが可能になる。
【0034】
また、本形態では、PC5は、PC5に記憶された複数の機能ファームウエアの中から選択された機能ファームウエアのみをサーボアンプ3に送信しているため、各ユーザが求める動作をサーボアンプ3に行わせることが可能であっても、サーボアンプ3の不揮発性メモリ7の記憶容量を低減することが可能になる。したがって、本形態では、各ユーザが求める動作をサーボアンプ3に行わせることが可能であっても、サーボアンプ3のコストを低減することが可能になる。
【0035】
本形態では、基本ファームウエアによって動作するサーボアンプ3は、PC5から受信した機能ファームウエアの妥当性を検証し、妥当と判断した機能ファームウエアをサーボアンプ3にインストールしている。そのため、本形態では、PC5に記憶された複数の機能ファームウエアの中から選択された機能ファームウエアをPC5がサーボアンプ3に送信する場合であっても、妥当な機能ファームウエアをサーボアンプ3にインストールすることが可能になる。
【0036】
本形態では、PC5に、エンコーダ4に特定の動作を行わせるための付属機能ファームウエアが記憶され、PC5は、付属機能ファームウエアをサーボアンプ3に送信している。また、本形態では、基本ファームウエアによって動作するサーボアンプ3は、PC5から受信した付属機能ファームウエアをエンコーダ4に送信し、エンコーダ4は、サーボアンプ3から受信した付属機能ファームウエアをエンコーダ4にインストールしている。
【0037】
そのため、本形態では、各ユーザが求める動作を行わせるための付属機能ファームウエアをサーボアンプ3を介してエンコーダ4に送信することで、各ユーザが求める動作をエンコーダ4に行わせることが可能になる。また、本形態では、必要な付属機能ファームウエアのみがサーボアンプ3を介してエンコーダ4に送信されるため、各ユーザが求める動作をエンコーダ4に行わせることが可能であっても、エンコーダ4の不揮発性メモリ8の記憶容量を低減することが可能になり、その結果、エンコーダ4のコストを低減することが可能になる。
【0038】
本形態では、PC5に記憶されている複数の機能ファームウエアは暗号化されている。そのため、本形態では、PC5に記憶されている機能ファームウエアが不正にコピーされても、コピーされた機能ファームウエアの不正な使用を阻止することが可能になる。同様に、本形態では、PC5に記憶されている付属機能ファームウエアが暗号化されているため、PC5に記憶されている付属機能ファームウエアが不正にコピーされても、コピーされた付属機能ファームウエアの不正な使用を阻止することが可能になる。
【0039】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0040】
上述した形態において、基本ファームウエアのインストール時に、基本ファームウエアと一緒に機能ファームウエアがサーボアンプ3にインストールされても良い。この場合には、たとえば、サーボアンプ3にすでにインストールされて記憶されている機能ファームウエアと異なる機能ファームウエアがPC5で選択されてPC5からサーボアンプ3に送信される。また、この場合には、サーボアンプ3にすでにインストールされて記憶されている機能ファームウエアのアップグレード版がPC5で選択されてPC5からサーボアンプ3に送信され、サーボアンプ3にすでに記憶されている機能ファームウエアが書き換えられても良い。
【0041】
同様に、上述した形態において、基本ファームウエアのインストール時に、基本ファームウエアと一緒に付属機能ファームウエアがエンコーダ4にインストールされても良い。この場合には、たとえば、エンコーダ4にすでにインストールされて記憶されている付属機能ファームウエアと異なる付属機能ファームウエアがPC5で選択されてPC5からサーボアンプ3を介してエンコーダ4に送信される。また、この場合には、エンコーダ4にすでにインストールされて記憶されている付属機能ファームウエアのアップグレード版がPC5で選択されてPC5からサーボアンプ3を介してエンコーダ4に送信され、エンコーダ4にすでに記憶されている付属機能ファームウエアが書き換えられても良い。
【0042】
上述した形態において、サーボアンプ3のマイクロコンピュータが暗号化されたファームウエアを取り扱うことができるのであれば、PC5は、機能ファームウエアを暗号化した状態でサーボアンプ3に送信しても良い。この場合には、PC5からサーボアンプ3への機能ファームウエアの送信時に機能ファームウエアが不正にコピーされても、コピーされた機能ファームウエアの不正な使用を阻止することが可能になる。また、サーボアンプ3のマイクロコンピュータが暗号化されたファームウエアを取り扱うことができるのであれば、PC5は、付属機能ファームウエアを暗号化した状態でサーボアンプ3に送信しても良い。
【0043】
上述した形態において、PC5に記憶されている機能ファームウエアは暗号化されていなくても良い。同様に、PC5に記憶されている付属機能ファームウエアは暗号化されていなくても良い。また、上述した形態において、サーボアンプ3に電気的に接続される付属装置は、エンコーダ4以外の装置であっても良い。また、上述した形態において、PC5に付属機能ファームウエアが記憶されていなくても良い。
【0044】
(本技術の構成)
なお、本技術は以下のような構成を取ることが可能である。
(1)サーボモータを動作させるサーボアンプと、前記サーボアンプに電気的に接続される情報処理装置とを備え、
前記サーボアンプには、前記サーボアンプに標準的な動作を行わせるためのファームウエアである基本ファームウエアがインストールされ、
前記情報処理装置には、前記サーボアンプに特定の動作を行わせるためのファームウエアである機能ファームウエアが複数記憶され、
前記情報処理装置は、前記情報処理装置に記憶された複数の前記機能ファームウエアの中から選択された前記機能ファームウエアを前記サーボアンプに送信し、
前記基本ファームウエアによって動作する前記サーボアンプは、前記情報処理装置から受信した前記機能ファームウエアの妥当性を検証することを特徴とするサーボシステム。
(2)前記サーボアンプは、前記情報処理装置から受信した前記機能ファームウエアが妥当であると判断した場合に、前記情報処理装置から受信した前記機能ファームウエアを前記サーボアンプにインストールすることを特徴とする(1)記載のサーボシステム。
(3)前記情報処理装置に記憶されている複数の前記機能ファームウエアは、暗号化されていることを特徴とする(1)または(2)記載のサーボシステム。
(4)前記情報処理装置は、前記機能ファームウエアを暗号化した状態で前記サーボアンプに送信することを特徴とする(3)記載のサーボシステム。
(5)前記サーボアンプに電気的に接続される付属装置を備え、
前記情報処理装置には、前記付属装置に特定の動作を行わせるためのファームウエアである付属機能ファームウエアが記憶され、
前記情報処理装置は、前記付属機能ファームウエアを前記サーボアンプに送信し、
前記基本ファームウエアによって動作する前記サーボアンプは、前記情報処理装置から受信した前記付属機能ファームウエアを前記付属装置に送信し、
前記付属装置は、前記サーボアンプから受信した前記付属機能ファームウエアを前記付属装置にインストールすることを特徴とする(1)から(4)のいずれかに記載のサーボシステム。
【符号の説明】
【0045】
1 サーボシステム
2 サーボモータ
3 サーボアンプ
4 エンコーダ(付属装置)
5 PC(情報処理装置)
図1