IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社FTSの特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ノズルガイド 図1
  • 特開-ノズルガイド 図2
  • 特開-ノズルガイド 図3
  • 特開-ノズルガイド 図4
  • 特開-ノズルガイド 図5
  • 特開-ノズルガイド 図6
  • 特開-ノズルガイド 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173494
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】ノズルガイド
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/04 20060101AFI20231130BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B60K15/04 E
F02M37/00 301M
F02M37/00 301E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085788
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120765
【弁理士】
【氏名又は名称】小滝 正宏
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】大地 一明
(72)【発明者】
【氏名】蛭薙 昭人
(72)【発明者】
【氏名】下川 晋治
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038CA25
3D038CB01
3D038CC03
3D038CC14
3D038CD14
(57)【要約】
【課題】給油時に、燃料と燃料蒸気がフィラーネックを越え、給油口から吹き出す、または大気への放散を防止するノズルガイドを提供する。
【解決手段】給油ガンから燃料タンク2に燃料を導く燃料流路25と、燃料流路25から下流側に鋭角に分岐するブリーザポート23が形成されたフィラーネック本体21の内部に配設されるノズルガイド30であって、ノズルガイド30には、ブリーザポート対応領域39の上流側に形成され、ブリーザポート23から流入する燃料及び燃料蒸気の方向を変更させるブロック部40と、ブロック部の上流側であり、且つ全周に形成され、フィラーネック本体21の内周面に当接するシール部41と、を備える
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給油ガンから燃料タンクに燃料を導く燃料流路と、該燃料流路から下流側に鋭角に分岐するブリーザポートが形成されたフィラーネック本体の内部に配設されるノズルガイドであって、
該ノズルガイドには、ブリーザポート対応領域の上流側に形成され、前記ブリーザポートから流入する燃料及び燃料蒸気の方向を変更させるブロック部と、
該ブロック部の上流側であり、且つ全周に形成され、前記フィラーネック本体の内周面に当接するシール部と、を備えることを特徴とするノズルガイド。
【請求項2】
前記ブリーザポート対応領域を挿み、前記ブロック部に連結して下流側に延びるガイド部が形成され、
前記ガイド部の少なくとも一方は、前記ブリーザポート対応領域の下流側に切欠き部を有している請求項1に記載のノズルガイド。
【請求項3】
前記ガイド部を挿んだ前記ブリーザポート対応領域を含むブリーザポート面以外の非ブリーザポート面であり、前記ブリーザポート対応領域の下流側には、孔部が形成されている請求項2に記載のノズルガイド。
【請求項4】
前記ガイド部の少なくとも一方は、前記ブロック部を跨いで前記シール部まで延設され、
前記ブロック部は、前記ガイドを跨いで前記非ブリーザポート面に延設され、
該非ブリーザポート面における前記ブロック部と前記シール部の間には、第2孔部が形成されている請求項3に記載のノズルガイド。
【請求項5】
少なくとも前記ガイド部、前記孔部または前記第2孔部が形成されている領域以外の長手方向には、複数のリブが形成されている請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載のノズルガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給油ガンから燃料タンクに燃料を導く燃料流路に取付けられ、燃料流路から分岐するブリーザポートを有するフィラーネック本体の内部に取付けられるノズルガイドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスステーションの給油ガンの給油ノズルから供給された液体燃料を燃料タンクまで導くフィラーパイプの給油口の近傍と燃料タンクの間には、ブリーザパイプ(ブリーザチューブともいう)が接続されており、給油時に燃料タンクからブリーザパイプを介して押し出された燃料と燃料蒸気を、給油口から吹き出すことなく、または大気に放散することなく燃料タンクに戻すようになっている。
【0003】
ところで、軽量化のため、フィラーパイプの給油口側に接続され、給油ガンの給油ノズルを挿入するフィラーネックを樹脂化し、樹脂製のフィラーネックにブリーザパイプとの接続部であるブリーザポートを形成する場合、フィラーネックを成形する際の制約からフィラーネックに形成されるブリーザポートは、給油口方向に向けて成形される。そのため、フィラーネックを樹脂化する場合には、給油時に、燃料と燃料蒸気がフィラーネックを越え、給油口から吹き出す、または大気に放散する問題を有する。
【0004】
この課題を解決するため、例えば、特許文献1には以下の技術が記載されている。図1図6図7に示すように、フィラーネック200のフィラーネック本体210に取付けられるノズルガイド300は、フィラーネック本体210の内側に嵌合されて配置される円筒状の部材である。ノズルガイド300の内部には、給油ガンの給油ノズル800が挿入される。
【0005】
ノズルガイド300には、ブリーザパイプ400を介してフィラーネック本体210に、給油口方向に向けて導かれた燃料蒸気を下流側へと導く蒸気ガイド部152が形成されている。また、ノズルガイド300の外表面には、蒸気ガイド部152と接続する位置に、第1リブ153と第2リブ154とが形成されている。さらに、第1リブ153の下流側の端部および第2リブ154の下流側の端部から下流側には、円孔151とノズルガイド300の外周面の一部である下流面157が形成されている。
【0006】
図7(ただし、破線矢印を除く)に示すように、ブリーザパイプ400を介してフィラーネック本体210方向に向けて導かれた燃料蒸気は、蒸気ガイド部152によって、下流側へと導かれる。また、蒸気流路は、第1リブ153および第2リブ154によって、ノズルガイド300の周方向へと分散せずに、下流側第1リブ153cの下端および下流側第2リブ154cの下端まで、下流側へと導かれる。その後、燃料蒸気は、円孔151を通って燃料通路に合流する、または、ノズルガイド300の周方向へと分散してノズルガイド300の下端へと流入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017-65289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ノズルガイドをフィラーネック本体に取付ける場合、ノズルガイドとフィラーネック本体との間には寸法公差や組付け公差により、クリアランス(隙間)が発生する。上記の特許文献1では、蒸気ガイド部152が形成されているが、蒸気燃料はノズルガイド300とフィラーネック本体210との間のクリアランスから給油口方向に漏れ出す場合がある(図7の破線矢印)。一方、圧入によりノズルガイドをフィラーネック本体に取付ければ、クリアランスを無くすことができるが、その場合は、圧入のための設備が必要になる。
【0009】
また、特許文献1では、燃料蒸気のみを対象としているが、燃料給油中において、燃料タンクが満タンになり給油ガンのオートストップ機能が作動すると、液体燃料が、ブリーザパイプ400を介して給油口に還流する。特許文献1では、ブリーザポート230に対応する部分は、蒸気ガイド部152、第1リブ153と第2リブ154に囲まれているので、特に、液体燃料が給油口に還流する場合には、蒸気ガイド部152、第1リブ153と第2リブ154で囲まれる空間が液体燃料で閉塞され、液体燃料を下流側に十分戻すことができない可能性がある。
【0010】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、給油ガンから燃料タンクに燃料を導く燃料流路と、燃料流路から下流側に鋭角に分岐するブリーザポートが形成されたフィラーネック本体の内部に配設されるノズルガイドであって、ノズルガイドには、ブリーザポート対応領域の上流側に形成され、ブリーザポートから流入する燃料及び燃料蒸気の方向を変更させるブロック部と、ブロック部の上流側であり、且つ全周に形成され、フィラーネック本体の内周面に当接するシール部と、を備えることを特徴とするノズルガイドである。
【0011】
請求項1の本発明では、ノズルガイドには、ブリーザポート対応領域の上流側に形成され、ブリーザポートから流入する燃料及び燃料蒸気の方向を変更させるブロック部を備えているので、給油口方向に向けて導かれた燃料と燃料蒸気をブロック部に当て、下流側に向きを変更させることができる。また、ブロック部とフィラーネック本体の内周面との間にクリアランスがある場合も、クリアランスを通過する燃料と燃料蒸気の勢いを緩和させることができる。
【0012】
また、ブロック部の上流側であり、且つ全周に形成され、フィラーネック本体の内周面に当接するシール部を備えているので、ブロック部とフィラーネック本体の内周面との間にクリアランスがある場合も、クリアランスを通過する燃料と燃料蒸気が給油口側に漏れることを防止することができる。
【0013】
さらに、圧入等の特別な設備を用いることなく、ノズルガイドをフィラーネック本体に容易に取付けることができる。
【0014】
ここで、ノズルガイドの「ブリーザポート対応領域」とは、フィラーネック本体において、フィラーネック本体の内周面におけるブリーザポートの形状をノズルガイドに投影した領域をいう。
【0015】
請求項2の本発明は、請求項1の発明において、ブリーザポート対応領域を挿み、ブロック部に連結して下流側に延びるガイド部が形成され、ガイド部の少なくとも一方は、ブリーザポート対応領域の下流側に切欠き部を有しているノズルガイドである。
【0016】
請求項2の本発明では、ブリーザポート対応領域を挿み、ブロック部に連結して下流側に延びるガイド部が形成されているので、ブロック部により下流側に向きを変更された燃料と燃料蒸気を燃料タンク側に向かわせることができる。
【0017】
また、ガイド部の少なくとも一方は、ブリーザポート対応領域の下流側に切欠き部を有しているので、燃料と燃料蒸気を切欠き部からノズルガイドの周囲方向に広げて燃料タンク側に流すことができる。その結果、給油口方向に還流する燃料と燃料蒸気の量が多い場合であっても、燃料と燃料蒸気を下流側に確実に戻すことができ、給油ストップ時に燃料と燃料蒸気が給油口から吹き出すことを防止することができる。
【0018】
請求項3の本発明は、請求項2の発明において、ガイド部を挿んだブリーザポート対応領域を含むブリーザポート面以外の非ブリーザポート面であり、ブリーザポート対応領域の下流側には、孔部が形成されているノズルガイドである。
【0019】
請求項3の本発明では、ガイド部を挿んだブリーザポート対応領域を含むブリーザポート面以外の非ブリーザポート面であり、ブリーザポート対応領域の下流側には、孔部が形成されているので、給油ストップ時に燃料と燃料蒸気が孔部から漏れ出すことを防止することができる。また、孔部は、燃料タンク内の圧力を逃がす機能を有する。
【0020】
ここで、ノズルガイドの「ブリーザポート面」とは、ガイド部で挿まれた領域の長手方向における面をいい、ブリーザポート対応領域を含む。
【0021】
請求項4の本発明は、請求項3の発明において、ガイド部の少なくとも一方は、ブロック部を跨いでシール部まで延設され、ブロック部は、ガイドを跨いで非ブリーザポート面に延設され、非ブリーザポート面におけるブロック部とシール部の間には、第2孔部が形成されているノズルガイド部材である。
【0022】
請求項4の本発明では、ガイド部の少なくとも一方は、ブロック部を跨いでシール部まで延設され、ブロック部は、ガイドを跨いで非ブリーザポート面に延設され、非ブリーザポート面におけるブロック部とシール部の間には、第2孔部が形成されているので、ガイド部がブロック部を跨いでシール部まで延設されていることにより、ブロック部を通過した燃料と燃料蒸気が第2孔部を通じて漏れ出すことを防止することができる。
【0023】
また、ブロック部は、ガイドを跨いで非ブリーザポート面に延設されるので、切欠き部からノズルガイドの周囲方向に広げられた燃料と燃料蒸気が第2孔部を通じて漏れ出すことを防止することができる。
【0024】
請求項5の本発明は、請求項1から請求項4の発明において、少なくともガイド部、孔部または第2孔部が形成されている領域以外の長手方向には、複数のリブが形成されているノズルガイドである。
【0025】
請求項5の本発明では、少なくともガイド部、孔部または第2孔部が形成されている領域以外の長手方向には、複数のリブが形成されているので、ノズルガイドをフィラーネック本体に確実に取付けることができる。なお、ガイド部は、リブを兼ねていてもよく、兼ねていなくてもよい。
【発明の効果】
【0026】
ノズルガイドには、ブリーザポート対応領域の上流側に形成され、ブリーザポートから流入する燃料及び燃料蒸気の方向を変更させるブロック部を備えているので、給油口方向に向けて導かれた燃料と燃料蒸気をブロック部に当て、下流側に向きを変更させることができる。また、ブロック部とフィラーネック本体の内周面との間にクリアランスがある場合も、クリアランスを通過する燃料と燃料蒸気の勢いを緩和させることができる。
【0027】
また、ブロック部の上流側であり、且つ全周に形成され、フィラーネック本体の内周面に当接するシール部を備えているので、ブロック部とフィラーネック本体の内周面との間にクリアランスがある場合も、クリアランスを通過する燃料と燃料蒸気が給油口側に漏れることを防止することができる。
【0028】
さらに、圧入等の特別な装置を用いることなく、ノズルガイドをフィラーネック本体に容易に取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】自動車に燃料を供給するための給油装置の概略図である。
図2】本発明の実施形態を示すもので、フィラーネックの断面図である。
図3】本発明の実施形態を示すもので、ノズルガイドに関するフィラーネックの透視斜視図である。
図4】本発明の実施形態を示すもので、ノズルガイドに関するフィラーネックの透視正面図である。
図5】本発明の実施形態を示すもので、燃料と燃料蒸気の流れを説明する図である。
図6】従来のノズルガイドの斜視図である(特許文献1)。
図7】従来のノズルガイドにおける燃料蒸気の流れの概略を示すイメージ図である(特許文献1)。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態を図1から図5に基づいて説明する。図1は、自動車に燃料を供給するための給油装置1の概略図である。給油装置1は、フィラーネック20と、フィラーパイプ3と、ブリーザパイプ4と、流量制御弁6と、逆止弁7と、を備えている。また、図2に示すように、フィラーネック20は、フィラーネック本体21と、フィラーネック本体21の上流側に取付けられる給油口部材10と、フィラーネック本体21の内周面26に配設されるノズルガイド30を有している。
【0031】
フィラーネック本体21と燃料タンク2とは、フィラーパイプ3とブリーザパイプ4によって接続されている。フィラーパイプ3は、逆止弁7を介して、燃料タンク2と接続されている。ブリーザパイプ4は、流量制御弁6を介して燃料タンク2と接続されている。燃料タンク2は、ガソリンなどの液体燃料を貯留する。燃料タンク2に貯留された液体燃料は、図示しない内燃機関へ供給され、内燃機関を駆動するために用いられる。
【0032】
そして、給油口5に給油ガンの給油ノズル8が挿入されて、給油ガンの給油ノズル8から液体燃料が供給されることにより、液体燃料がフィラーパイプ3を通過して燃料タンク2に貯留される。
【0033】
燃料タンク2に液体燃料が満タンになると、フィラーパイプ3に液体燃料が貯留され、給油ガンの給油ノズル8の先端に液体燃料が触れることにより、給油ガンの給油ノズル8による液体燃料の供給が自動的に停止される(オートストップ機能)。具体的には、給油ノズル8の先端側の下面には、液体燃料を検知するためのオートストップセンサが露出しているパイロット孔9が形成されている(図2)。そして、パイロット孔9が液体燃料により塞がれることにより、給油ガンは液体燃料の供給を停止する。
【0034】
ブリーザパイプ4は、燃料タンク2と、給油口部材10に接続するフィラーネック本体21に形成されたブリーザポート23とを接続する。ブリーザパイプ4は、樹脂またはゴムにより形成された長尺状のパイプ(ホース、チューブ)であり、液体燃料がフィラーパイプ3を介して燃料タンク2に供給される際に、燃料タンク2内の燃料蒸気または空気を燃料タンク2側から給油口5側に流通させる。
【0035】
また、燃料給油中において、燃料タンク2が満タンになりオートストップ機能が作動すると、液体燃料が、ブリーザパイプ4を介して給油口5側に還流する。したがって、ブリーザパイプ4は、給油中の燃料蒸気、およびオートストップ時の還流燃料を流通する。
【0036】
なお、給油口部材10から燃料タンク2に向かう方向を、単に「下流方向」や「下流側」とも言い、その逆の方向を「上流方向」や「上流側」と言う。
【0037】
図2は、本発明の実施形態を示すもので、フィラーネック20の断面図である。また、図3は、ノズルガイド30に関するフィラーネック20の透視斜視図であり、図4は、ノズルガイド30に関するフィラーネック20の透視正面図である。
【0038】
<給油口部材>
給油口部材10は、円筒形状に形成されており、上流側、すなわち、給油ガンの給油ノズル8を挿入する側が広がりを有した形状に形成され、給油ガンの給油ノズル8の差し込みを容易にしている。給油口部材10は、樹脂材料によって形成されている。
【0039】
<フィラーネック本体>
フィラーネック本体21は、円筒形状に形成されている。ブリーザポート23との下流側の接続部分に本体段部22を有している。フィラーネック本体21は、内部に供給された燃料が通過する燃料流路25を形成する内周面26を有し、燃料流路25の断面積は、本体段部22により下流側が小さくなっている。フィラーネック本体21の下端部には、フィラーパイプ3が接続される。また、フィラーネック本体21には、ブリーザポート23が、燃料流路25から下流側に鋭角に分岐して、すなわち、ブリーザパイプ4からの燃料蒸気や還流燃料が給油口5方向に向けて流入する方向に形成されている。また、フィラーネック本体21は、樹脂材料によって形成されている。
【0040】
フィラーネック本体21には、後述するノズルガイド30が取付けられ、その後に、ノズルガイド30の上流側に形成されたノズルガイド取付部34を挟むようにフィラーネック本体21の上流側端部24と給油口部材10が溶着等によって接続される。
【0041】
<ノズルガイド>
ノズルガイド30は、円筒形状に形成され、入口部31、連結部32とノズル保持部33から構成されており、ノズルガイド30の断面積は、下流側が小さくなっている。ノズルガイド30は、樹脂材料によって形成されている。本実施形態では、ポリアセチレンを用い、ブロー成形法によって成形した。
【0042】
ノズルガイド30の入口部31の上流側の先端部分には、フィラーネック本体21への取付け時にストッパとなり、その後、フィラーネック本体21の上流側端部24と給油口部材10に挟まれるノズルガイド取付部34が周状に外側に突出して形成されている。
【0043】
また、ノズルガイド取付部34の下流側には、断面が半円形状のシール部41が突出して、全周に形成されている。シール部41は、ノズルガイド30をフィラーネック本体21に取付けた時に、筒状のフィラーネック本体21の内周面26に当接し、フィラーネック本体21の内周面26とノズルガイド30との間をシールする。なお、シール部41の断面形状は半円形状には限定されない。
【0044】
入口部31と連続して、連結部32が形成されている。連結部32は、給油ガンの給油ノズル8を保持するノズル保持部33と入口部31を連結している。図2に示すように、入口部31は、ノズル保持部33よりも直径が大きく、連結部32は、入口部31とノズル保持部33の直径の差を連結するため、斜面形状に形成されている。
【0045】
図2に示すように、連結部32のブリーザポート23と対面する部分は、フィラーネック本体21の内周面26と連結部32との間の空間が下流側に広がるように傾斜する傾斜面35が形成されている。一方、連結部32のブリーザポート23と対面する部分の反対側は、入口部31に対して僅かな傾斜を有してノズル保持部33に連結している。その結果、図2における一点鎖線Aで示される給油ガンの給油ノズル8の中心軸は、一点鎖線Bで示されるフィラーネック本体21の中心軸とは一致していない。これにより、ノズルガイド30の内周面に給油ノズル8を収容する空間と、後述するブロック部40を形成し、ブリーザポート23から流入する燃料と燃料蒸気を下流側に導く空間を確保している。
【0046】
ノズル保持部33は、直径が下流側に徐々に小さくなり、給油ガンを挿入するときに、給油ガンの給油ノズル8の先端が、挿入しやすくなっている。また、ノズル保持部33の先端側には、給油ガンの給油ノズル8の先端部分に取付けられたパイロット孔9に対応する部分に、燃料検知孔36が形成されている。このため、給油中に、ブリーザパイプ4から逆流した燃料が、パイロット孔9を塞ぎ、オートストップセンサを誤作動させることなく、燃料タンク2が満タンになると、燃料検知孔36からオートストップセンサが燃料を確実に検知して、オートストップセンサが働くことができ、誤検知を防止することができる。
【0047】
また、ノズル保持部33の燃料検知孔36より下流側の先端部分には、給油ガンの給油ノズル8の先端を保持するノズルストッパ37が形成されている。このため、給油ガンの給油ノズル8の先端がノズル保持部33の先端の所定の位置から更に奥に侵入することを防止することができるので、安定した給油を行うことができる。
【0048】
図2から図4に示すように、連結部32の途中からノズル保持部33の上流側領域に及ぶブリーザポート対応領域39の上流側には、フィラーネック本体21の内周面26とノズルガイド30との間に流入する燃料と燃料蒸気の方向を燃料タンク2方向に変更させるブロック部40が形成されている。
【0049】
ここで、「ブリーザポート対応領域39」とは、フィラーネック本体21において、フィラーネック本体21の内周面26におけるブリーザポート23の形状をノズルガイド30に投影した領域をいい、図2においては、ブリーザポート23の内側(C-D間)からフィラーネック本体21の中心軸(一点鎖線B)に垂直に下した線がノズルガイド30に到達する両方向矢印の領域をいう。
【0050】
図2に示すように、ブロック部40は、ノズルガイド150の内側空間が下流側に小さくなる連結部32の傾斜面35の途中に、フィラーネック本体21の内周面26に対してほぼ90度になるように突出して形成されている。
【0051】
ブリーザポート23から流入する燃料と燃料蒸気が、このブロック部40に当たり、流れの方向が下流側、つまり、燃料タンク2側に変更される。そして、フィラーネック本体21の内周面26とノズルガイド30の外形との間で広がる空間を利用して燃料と燃料蒸気を燃料タンク2側に戻す。
【0052】
フィラーネック本体21とノズルガイド30間の寸法公差や組付け公差により、ブロック部40とフィラーネック本体21の内周面26との間にはクリアランスを生じる場合がある。この場合、ブロック部40とフィラーネック本体21の内周面26とのクリアランスから、燃料と燃料蒸気が上流側に漏れ出るが、ブロック部40により、ブロック部40から上流側に漏れ出す燃料と燃料蒸気の勢いは緩和される。
【0053】
ブロック部40の上流側であり、入口部31には、入口部31の全周に形成され、フィラーネック本体21の内周面26に当接するシール部41が形成されているので、ブロック部40とフィラーネック本体21の内周面26とのクリアランスからを通過する燃料と燃料蒸気が給油口5側に漏れることを防止することができる。
【0054】
また、シール部41とフィラーネック本体21の内周面26とを当接させることによりノズルガイド30をフィラーネック本体21に取付けることができるので、圧入等、取付け設備を使用することなく、ノズルガイド30をフィラーネック本体21に容易に取付けることができる。
【0055】
ノズルガイド30において、ブリーザポート対応領域39を挿み、90度の間隔で、下流側に延びる第1ガイド部43と第2ガイド部44のガイド部42が形成されている。なお、第1ガイド部43と第2ガイド部44の間隔は、ブリーザポート対応領域39より広ければ、90度には限定されない。
【0056】
また、第1ガイド部43のブリーザポート対応領域39の下流側には、切欠き部45が形成されており、第1ガイド部43は長手方向に2分割されて形成されている。この切欠き部45を形成することにより、ブロック部40によって流れの方向が燃料タンク2側に変更された燃料と燃料蒸気が切欠き部45から下流側、且つ幅方向に広がるように流れることができる。その結果、燃料と燃料蒸気の量が多い場合であっても、燃料と燃料蒸気を下流側に確実に戻すことができる。なお、本実施形態では、第1ガイド部43にのみ切欠き部45を形成したが、第2ガイド部44にも切欠き部45を形成しても良い。
【0057】
第1ガイド部43を挿んだブリーザポート対応領域39を含むブリーザポート面48以外の非ブリーザポート面49であり、ブリーザポート対応領域39の下流側には、孔部46が形成されている。また、孔部46は、切欠き部45によって分割された第1ガイド部43の下流側部分より上流側から形成されている。
【0058】
ここで、「ブリーザポート面48」とは、第1ガイド部43と第2ガイド部44とブロック部40で形成される面をいい、ブリーザポート面48はブリーザポート対応領域39を含む領域である。
【0059】
その結果、切欠き部45から導かれた燃料と燃料蒸気を給油燃料に戻すことができる。また、燃料タンク2内の圧力を逃がすことができる。
【0060】
第1ガイド部43は、ブロック部40を跨いで、シール部41まで延設されている。また、ブロック部40は、第1ガイド部43を跨いで、孔部46の上流側にも延設されている。さらに、孔部46の上流側であって、ブロック部40とシール部41の間には、第2孔部47が形成されている。ブロック部40を跨いで、シール部41まで延設された第1ガイド部43は、フィラーネック本体21の内周面26に当接することが望ましい。シール部41まで延設された第1ガイド部43によって、ブロック部40とフィラーネック本体21の内周面26との間のクリアランスから上流側に漏れ出た燃料と燃料蒸気が第2孔部47を通じて給油口5から漏れ出ることを防止することができる。
【0061】
また、ブリーザポート対応領域39のブロック部40によって下流側に方向が変わった燃料と燃料蒸気の流れが、第1ガイド部43の切欠き部45を通過するときに、第1ガイド部43の上流側部分の下端により、上流側に変わる場合があるが、ブロック部40は、第1ガイド部43を跨いで、孔部46の上流側にも延設されているので孔部46の上流側に延設されるブロック部40によって再度下流側に変えられるので、第2孔部47を通じて給油口5から漏れ出ることを防止することができる。また、第2孔部47は、給油ストップ時にタンク内の圧力を逃がす機能を有する。
【0062】
なお、図3図4において、孔部46の上流側のブロック部40は、ブリーザポート対応領域39の上流側に形成されたブロック部40より下流側に形成されているが、これは、大きめな第2孔部47を形成したことによるものである。したがって、第2孔部47が所定の効果を満足する場合は、ブリーザポート対応領域39の上流側に形成されたブロック部40に連続するように形成してもよい。
【0063】
第1ガイド部43を挿んで第2ガイド部44と反対側に90度の間隔で、長手方向に分割されたリブ38が形成されている。また、第2ガイド部44を挿んで第1ガイド部43と反対側に90度の間隔(図4の紙面裏面側)で、長手方向に分割されたリブ38が形成されている。このリブ38の上流側は、ブロック部40に連結して形成されている。リブ38は、ノズルガイド30をフィラーネック本体21に取付ける時のフィラーネック本体21の内周面26内の位置決めに用いられる。なお、本実施形態では、第1ガイド部43と第2ガイド部44もリブ38の機能を兼ねている。
【0064】
図5は、燃料と燃料蒸気の流れを説明する図である。燃料と燃料蒸気は、ブリーザパイプ4から矢印E方向にフィラーネック本体21のブリーザポート23を通過して、フィラーネック本体21の内周面26とノズルガイド30との間に戻される。燃料と燃料蒸気は、ノズルガイド30のブロック部40に当たり、その流路を矢印F方向に変えられる。
【0065】
一方、ブロック部40とフィラーネック本体21の内周面26の間のクリアランスから上流に通過した燃料と燃料蒸気は、シール部41により上流側が閉じられているので矢印G方向に戻される。その後、ブロック部40とフィラーネック本体21の内周面26の間のクリアランスから下流側に戻される。
【0066】
第1ガイド部43により矢印F方向に流れる燃料と燃料蒸気は、第1ガイド部43に形成された切欠き部45によって、矢印Hのように二股に分かれて下流側に流れる。また、第1ガイド部43により矢印I方向に流れる燃料と燃料蒸気は、ブロック部40により下流側に戻される。
【0067】
上記の結果、給油ストップ時に燃料と燃料蒸気が給油口から吹き出すことを防止することができる。
【0068】
本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0069】
例えば、上記の実施形態では、フィラーネック本体21の上流側に樹脂製の給油口部材10を取付けたが、特許文献1と同様に、フィラーネック本体21の上流側に金属製の口金を取付けてもよい。
【0070】
例えば、上記の実施形態では、給油ストップ時にタンクの圧力を逃がす機能を有するものとして、孔部46と第2孔部47を形成したが、非ブリーザポート面49に追加して孔部を形成してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 給油装置
2 燃料タンク
3 フィラーパイプ
4 ブリーザパイプ
8 給油ノズル
10 給油口部材
20 フィラーネック
21 フィラーネック本体
23 ブリーザポート
30 ノズルガイド
31 入口部
32 連結部
33 ノズル保持部
38 リブ
39 ブリーザポート対応領域
40 ブロック部
41 シール部
42 ガイド部
43 第1ガイド部
44 第2ガイド部
45 切欠き部
46 孔部
47 第2孔部
48 ブリーザポート面
49 非ブリーザポート面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7