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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173550
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】二次電池使用システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/35 20060101AFI20231130BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231130BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20231130BHJP
【FI】
H02J7/35 E
H02J7/00 302C
H02J7/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085880
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】307040691
【氏名又は名称】株式会社風憩セコロ
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128392
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】林 美志夫
(72)【発明者】
【氏名】内立 秀人
(72)【発明者】
【氏名】石田 和久
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA06
5G503BA04
5G503BB05
5G503CA08
5G503CB06
5G503CB16
5G503CC02
5G503DA06
5G503EA05
5G503EA08
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】二次電池を用いたソーラーシステムにおいて、二次電池を所望の寿命まで使用できるようにし低コスト化を図る。
【解決手段】主として用いるリチウムイオン電池3と、リチウムイオン電池3に比べ充放電の繰り返しによる充電容量の低下が大きな従として用いる鉛電池4とを有する。コントローラ7と電池制御部6よりなる全体コントローラ10は、リチウムイオン電池3の充電を鉛電池4の充電より優先し、かつリチウムイオン電池3の放電を鉛電池4の放電より優先する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽エネルギーを受けて発電する発電部と、
前記発電部にて発電された電気を充電する二次電池と、
前記二次電池にて充電された電気を電源として駆動する駆動部と、
前記発電部、二次電池および駆動部のそれぞれに接続され、前記二次電池に対する充放電制御および前記駆動部に対する給電制御を行うコントローラと、を備え、
前記二次電池は、第1二次電池と、この第1二次電池に比べ充放電の繰り返しによる充電容量の低下が大きな第2二次電池とを、有し、
前記コントローラは、前記第1二次電池の充電を前記第2二次電池の充電より優先し、かつ前記第1二次電池の放電を前記第2二次電池の放電より優先する、
ことを特徴とした二次電池使用システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記第1二次電池の充電時間を前記第2二次電池の充電時間より長くし、かつ前記第1二次電池の放電時間を前記第2二次電池の放電時間より長くする、
ことを特徴とした請求項1記載の二次電池使用システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記第1二次電池の充電時間を正午を挟んだ時間とし、前記第2二次電池の充電時間を前記第1二次電池の充電時間の前後少なくとも一方の時間とし、かつ前記第1二次電池の放電時間を午前零時を挟んだ時間とし、前記第2二次電池の放電時間を前記第1二次電池の放電時間の前後の時間とする、
ことを特徴とした請求項1または2記載の二次電池使用システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記第1二次電池の充電が満充電になった後に前記第2二次電池の充電を開始し、かつ前記第1二次電池が所定の放電深度になるまで前記第1二次電池の放電を行った後に前記第2二次電池の放電を開始する、
ことを特徴とした請求項1または2記載の二次電池使用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電の繰り返しによる充電容量の低下率が異なる複数の二次電池を備えた二次電池使用システムの技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、昼間に太陽電池で発電した電力を用いて夜間にLED(発光ダイオード、本発明の「駆動部」例に相当する。)を点灯(駆動)することで照明や表示を行う、いわゆるソーラー式の点灯装置(駆動装置)が知られている。このような装置は、一般に、太陽エネルギーを受けて発電する太陽電池と、この太陽電池で発電した電気を充電する二次電池と、この二次電池からの放電を受けて駆動する駆動部とで構成されている(例えば、特許文献1参照)。そして、この装置に用いられる二次電池は繰り返し充電できる必要があり、この二次電池として鉛電池(鉛蓄電池)が古くから広く用いられている。
【0003】
しかしながら、鉛電池の寿命(充放電の繰り返しによる充電容量の低下)は長くなく、例えば本件出願人の経験では、夜間照明や標識表示等を行うためのソーラー点灯装置の電源として鉛電池を単独で用いた場合、5年程度で電池交換が必要となる。この電池交換のためには、電池自体のコスト、交換作業を行う作業者等の人件コストも発生するため、電池交換までの期間をなるべく長くしたいという要望がある。
【0004】
これに対し、近年、二次電池として、ニッケル・カドニウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池などが広く用いられるようになっている。この種の二次電池は、鉛電池と比べて寿命が長く軽量な利点があるが、リチウム等の希少金属を使用しているため高価であるという問題がある。
【0005】
一方、例えばハイブリッド型の自動車や電気自動車等に用いられる二次電池として鉛電池とリチウムイオン電池とを併用することで、それぞれの二次電池の特色を発揮できるようにしたものも知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-85555号公報
【特許文献2】特開2018-18775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、前述したようなソーラー式の点灯装置においても、鉛電池とリチウムイオン電池のような特性の異なる2種類の二次電池を併用することで、電池の交換期間をなるべく長くし、かつ低コスト化を図ることが提唱される。ところが、二種類の特性が異なる二次電池をそれぞれどのように充放電すれば交換時期を長くできるか検討が必要であり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として発明されたものであって、請求項1の発明は、太陽エネルギーを受けて発電する発電部と、前記発電部にて発電された電気を充電する二次電池と、前記二次電池にて充電された電気を電源として駆動する駆動部と、前記発電部、二次電池および駆動部のそれぞれに接続され、前記二次電池に対する充放電制御および前記駆動部に対する給電制御を行うコントローラと、を備え、前記二次電池は、第1二次電池と、この第1二次電池に比べ充放電の繰り返しによる充電容量の低下が大きな第2二次電池とを、有し、前記コントローラは、前記第1二次電池の充電を前記第2二次電池の充電より優先し、かつ前記第1二次電池の放電を前記第2二次電池の放電より優先する。この結果、二次電池の交換期間を長くでき低コスト化を達成できる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記コントローラは、前記第1二次電池の充電時間を前記第2二次電池の充電時間より長くし、かつ前記第1二次電池の放電時間を前記第2二次電池の放電時間より長くする。この結果、第2二次電池の充放電の繰り返しによる充電容量の低下を抑制できる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2において、前記コントローラは、前記第1二次電池の充電時間を正午を挟んだ時間とし、前記第2二次電池の充電時間を前記第1二次電池の充電時間の前後少なくとも一方の時間とし、かつ前記第1二次電池の放電時間を午前零時を挟んだ時間とし、前記第2二次電池の放電時間を前記第1二次電池の放電時間の前後の時間とする。この結果、第2二次電池の充電量を確保しつつ、第1二次電池の充電量を確実に確保できる。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1または2において、前記コントローラは、前記第1二次電池の充電が満充電になった後に前記第2二次電池の充電を開始し、かつ前記第1二次電池が所定の放電深度になるまで前記第1二次電池の放電を行った後に前記第2二次電池の放電を開始する。この結果、第2二次電池よりも第1二次電池を優先して充電でき、第2二次電池よりも第1二次電池の放電を優先できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、二次電池の交換期間を長くでき低コスト化を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る二次電池使用システムの構成を示すブロック図である。
図2】電池制御部の制御手順を示すフローチャートである。
図3】リチウムイオン電池のサイクル寿命と放電深度との関係を示す図である。
図4】鉛電池のサイクル寿命と放電深度との関係を示す図である。
図5】電池制御部の回路図である。
図6】制御器が行う制御の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<基本構成>
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、本発明が実施されたソーラーシステムとしてのソーラー照明システム1(本発明の「二次電池使用システム」に相当)の構成を示すブロック図である。このソーラー照明システム1は、基本的な構成として、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する発電部としてのソーラーパネル2と、このソーラーパネル2の発電で充電される二次電池としてのリチウムイオン電池(本発明の「第1二次電池」に相当)3および鉛電池(本発明の「第2二次電池」に相当)4とを備えている。
【0015】
また、ソーラー照明システム1は、リチウムイオン電池3および鉛電池4を電源として駆動する駆動部としてのLED照明装置5と、リチウムイオン電池3および鉛電池4に接続され、これらリチウムイオン電池3および鉛電池4の充放電を、後述するコントローラ7とともに制御する電池制御部6と、ソーラーパネル2、LED照明装置5および電池制御部6に接続されるコントローラ7とを備えている。
【0016】
ソーラーパネル2は、昼間発電し発電した電流をコントローラ7に送る。コントローラ7に送られた発電電流は、電池制御部6を経由してリチウムイオン電池3または鉛電池4に送られ充電される。夜間は、リチウムイオン電池3または鉛電池4から電池制御部6を経由してコントローラ7に放電電流が送られる。コントローラ7に送られた放電電流は、LED照明装置5に出力されLED照明装置5を点灯する。よって、LED照明装置5は、一日を一サイクルとして点灯(駆動)・消灯(停止)を繰り返す構成となっており、LED照明装置5の点灯や消灯(点灯時間の制御も含む)、輝度を調節するためのPWM(Pulse Width Modulation)制御等のLED照明装置5に対する給電制御は、コントローラ7にて行われる。このように、コントローラ7は、現在市販されている1種類の二次電池を使用する一般的なソーラー照明システム用コントローラと同様のものである。このコントローラ7に、各種状態に応じて2種類の二次電池の切換え接続を自ら判断して行う電池制御部6が挿入されたものが本発明であり、コントローラ7と電池制御部6とを一体化して全体コントローラ10として統合化することも可能である。
【0017】
電池制御部6は、この電池制御部6に備えられた制御器8(ワンチップマイコン等)からの信号で作動するスイッチ9によって、リチウムイオン電池3または鉛電池4の何れか一方を選択的にコントローラ7に接続し、接続されたリチウムイオン電池3または鉛電池4の充電および放電を制御する。
【0018】
スイッチ9は、制御器8からの信号に基づいて、a-b接続あるいはa-c接続の何れかを選択する構成とされている。a端子は、電池制御部6のコントローラ接続用プラス端子(O+)を介してコントローラ7のバッテリ用プラス端子(B+)に接続されている。b端子は、電池制御部6のリチウムイオン電池接続用プラス端子(L+)を介してリチウムイオン電池3のプラス端子(+)に接続されている。c端子は、電池制御部6の鉛電池接続用プラス端子(P+)を介して鉛電池4のプラス端子(+)に接続されている。
【0019】
また、リチウムイオン電池3のマイナス端子(-)は、電池制御部6のリチウムイオン電池接続用マイナス端子(L-)に接続されている。鉛電池4のマイナス端子(-)は、電池制御部6の鉛電池接続用マイナス端子(P-)に接続されている。電池制御部6のリチウムイオン電池接続用マイナス端子(L-)および鉛電池接続用マイナス端子(P-)は、電池制御部6のコントローラ7接続用マイナス端子(O-)を介してコントローラ7のバッテリ用マイナス端子(B-)にそれぞれ接続されている。
【0020】
そして、スイッチ9がa-b接続の場合は、リチウムイオン電池3がコントローラ7に接続された状態(ON)となり、かつ鉛電池4が切断された状態(OFF)となって、リチウムイオン電池3のみの充電または放電が行われる。スイッチ9がa-c接続の場合は、鉛電池4がコントローラ7に接続された状態(ON)となり、かつリチウムイオン電池3が切断された状態(OFF)となって、鉛電池4のみの充電または放電が行われる。
【0021】
このようにリチウムイオン電池3と鉛電池4とが同時にONとなる直接の並列状態にしないことで、電気特性の異なる2種類の二次電池を併用しても、別途保護回路を設けることなく、2種類の二次電池の電圧値や内部抵抗の違いに起因する発熱や発火の恐れを確実に回避できる構成となっている。
【0022】
スイッチ9のa端子の信号は、制御器8に入力され、a-b接続時におけるリチウムイオン電池3の電圧測定に用いられる。また、コントローラ7からLED照明装置5への照明出力信号は、電池制御部6の照明信号入力端子(LD)を介して制御器8に入力され、LED照明装置5の点灯(駆動)・消灯(停止)の判断や、PWM制御のデューティ比の測定に用いられる。なお、制御器8としては、例えばワンチップマイコンが用いられ、後述する目標放電時間や目標ループ回数LCを設定する手段や、ループ回数の計数手段および電池電圧の測定手段等の各種制御手段を備えている。
【0023】
制御器8は、スイッチ9をa-b接続またはa-c接続のいずれかの接続状態に設定する構成となっている。この設定結果は、コントローラ7と電池制御部6との間の接続状態報知用端子(BI)間を通じて制御器8からコントローラ7へ伝えられる構成となっている。
【0024】
<制御方法>
次に、制御器8が行う制御について、図2ないし図6に基づいて説明する。
【0025】
まず、図2に制御のフローチャートを示すが、制御がスタートすると、初期設定として、LED照明装置5を点灯させるために必要な負荷量に応じた目標ループ回数LCを設定し、この目標ループ回数を数える計数器をリセット「ゼロ(0)」する(ステップS1)。なお、図示していないが、スイッチ9はa-b接続状態(Li→ON,Pb→OFF)に設定し、Pb充電ONフラグ=1およびPb放電ONフラグ=0に設定する。
【0026】
ここで、LED照明装置5を点灯させるために必要な負荷量に応じた目標ループ回数LCの設定について説明する。表1に示すように、例えばLED照明装置5の負荷量が照明用LED12個の場合には、負荷電流が1.3Aとなり、使用するリチウムイオン電池3の定格が24Ahであり、また10年の使用期間(寿命)を可能にする使用率が68%となる(図3より)。このため、このリチウムイオン電池3の使用可能なエネルギーは16.32Ah(=24Ah×0.68)となる。そして、負荷電流が1.3Aであるため、リチウムイオン電池3の使用可能時間(鉛電池4に切り換えるまでの時間)は、45,194sec(=12.554h=16.32Ah/1.3A)となり、50msタイマを用いた場合は、目標ループ回数LC=903,880回(=45,194sec/0.05sec)となる。
【0027】
【表1】
【0028】
次に、Pb放電ONフラグが「1」かを判定し(ステップS2)、このPb放電ONフラグが「1」の場合(YES:ON)は、LD端子信号が放電時かを判定する(ステップS3)。ステップS3にて放電時と判定した場合(YES)は、スイッチ9を操作してa-c接続とし、リチウムイオン電池3をOFF、鉛電池4をONの状態とする(ステップS4)。この状態で、鉛電池4の放電を開始し、第1所定時間、例えば30分のタイマを起動させ、この第1所定時間に亘って鉛電池4を放電させてから(ステップS5)、Pb放電ONフラグを「φ」とする(ステップS6)。
【0029】
その後、鉛電池4を第1所定時間放電した後の出力電圧(Pb電圧)を測定し、測定した出力電圧が予め定めた一定値(V)以上の場合(ステップS7:YES)は、鉛電池4の充電容量に余力があるため、さらに鉛電池4を、例えば90分間放電させる(ステップS8)。ステップS7にて鉛電池4の出力電圧がV未満の場合(NO)は、鉛電池4の充電容量に余力がないため、鉛電池4の放電を終了させる。
【0030】
ここで、ステップS2にてPb放電ONフラグが「φ」の場合(NO)や、ステップS3にてLD端子信号が充電時の場合(NO)は、ステップS5における鉛電池4の放電を行わない。
【0031】
ステップS8での鉛電池4の90分間の追加放電が終了した後、Pb充電ONフラグを判定し(ステップS9)、Pb充電ONフラグが「1」の場合(ステップS9:YES)は、LD端子信号が放電時かを判定する(ステップS10)。このとき、LD端子信号が放電時でないと判定した場合(ステップS10:NO)は、Pb充電ONフラグを「φ」とし(ステップS11)、その後スイッチ9を操作してa-c接続としリチウムイオン電池3をOFF、鉛電池4をONの状態とする(ステップS12)。この状態で、鉛電池4の充電を開始し、第2所定時間、例えば165分(2時間45分)のタイマを起動させ、この第2所定時間に亘って鉛電池4を充電させる(ステップS13)。
【0032】
その後、スイッチ9を操作してa-b接続としリチウムイオン電池3をON、鉛電池4をOFFの状態とする(ステップS14)。この状態で、リチウムイオン電池3のデューティ比が20%かをLD端子信号で判定する(ステップS15)。ステップS14での判定にてリチウムイオン電池3のデューティ比が20%である場合(YES)は、第3所定時間、例えば250msのタイマを起動させ、この第3所定時間に亘ってリチウムイオン電池3を放電させる(ステップS16)。
【0033】
ステップS15での判定にてリチウムイオン電池3のデューティ比が20%でない場合(NO)は、リチウムイオン電池3のデューティ比が50%かを判定する(ステップS17)。ステップS17での判定にてリチウムイオン電池3のデューティ比が50%である場合(YES)は、第4所定時間、例えば100msのタイマを起動させ、この第4所定時間に亘ってリチウムイオン電池3を放電させる(ステップS18)。
【0034】
また、ステップS17での判定にてリチウムイオン電池3のデューティ比が50%でない場合(NO)は、リチウムイオン電池3のデューティ比が65%かを判定する(ステップS19)。ステップS19での判定にてリチウムイオン電池3のデューティ比が65%である場合(YES)は、第5所定時間、例えば77msのタイマを起動させ、この第5所定時間に亘ってリチウムイオン電池3を放電させる(ステップS20)。
【0035】
ステップS19での判定にてリチウムイオン電池3のデューティ比が65%でない場合(NO)は、第6所定時間、例えば50msのタイマを起動させ(この場合のデューティ比は100%である)、この第6所定時間に亘ってリチウムイオン電池3を放電させる(ステップS21)。なお、リチウムイオン電池3は充電時のデューティ比が0%(充電時はコントローラ7からの照明出力信号LDが無くなるので)となるため、ステップS15,S17,S19のいずれにおいても(NO)となりステップS21へ進む。
【0036】
ここで、ステップS9での判定で、Pb充電ONフラグが「φ」の場合(NO)や、ステップS10にてLD端子信号により放電時と判定した場合(YES)は、ステップS11ないしステップS13による鉛電池4の充電を行わず、ステップS14へ進む。
【0037】
その後、リチウムイオン電池3の電圧(Li電圧)が、満充電時の電圧(上限電圧)、例えば14.04Vを超えているかを判定する(ステップS22)。ステップS22での判定でリチウムイオン電池3の電圧が上限電圧を超えている場合(YES)は、リチウムイオン電池3が放電時かを判定する(ステップS23)。リチウムイオン電池3が放電時でない場合(すなわち充電時)(ステップS23:NO)は、スイッチ9を操作してa-c接続としリチウムイオン電池3をOFF、鉛電池4をONの状態とし、鉛電池4の充電を開始させる(ステップS24)。
【0038】
ステップS23での判定で、リチウムイオン電池3が放電時である場合(YES)は(放電時でLi電圧上限越えの場合は通常起こらない)、鉛電池4の充電を開始せず、ステップS2へ進む。
【0039】
次いで、Pb放電ONフラグをON「1」とする(ステップS25)。なお、Pb放電ONフラグを「1」とするのは、ステップS25のみであり、ステップS25以降は、鉛電池4のPb日没前充電(図6の8))が終了すると、Pb日没放電(図6の9))に移行することで、Pb放電ONフラグとしている。
【0040】
その後、第7所定時間、例えば1秒のタイマを起動させる(ステップS26)。次いで、鉛電池4が放電時かを判定し(ステップS27)、ステップS27にて鉛電池4が放電時でない(充電時)と判定した場合(NO)は、ステップS26へ戻り、鉛電池4の充電を継続させる。要するに、ステップS26,S27は、コントローラ7が充電を維持する(日没まで)限り鉛電池4への接続を維持し、コントローラ7の制御によって照明が開始すると、ステップS27にてCD端子信号により鉛電池4が放電時と判定し(YES)、鉛電池4の充電を完了してステップS2へ戻る。
【0041】
ステップS22での判定で、リチウムイオン電池3の電圧が、満充電時の電圧を超えていない場合(NO)は、リチウムイオン電池3の電圧が、所定電圧(下限電圧)より下がっているかを判定する(ステップS28)。このステップS28での判定で、リチウムイオン電池3の電圧が下限電圧を超えている場合(YES)は、リチウムイオン電池3が放電時か否かを判定する(ステップS29)。そして、このリチウムイオン電池3が放電時である場合(ステップS29:YES)は、スイッチ9を操作してa-c接続としリチウムイオン電池3をOFF、鉛電池4をONの状態として、鉛電池4による放電を継続させる(ステップS30)。この後、Pb充電ONフラグをON「1」とする(ステップS38)。このとき、鉛電池4が放電時かをLD端子信号により判定し(ステップS31)、この鉛電池4が放電時である場合(ステップS31:YES)は、第8所定時間、例えば1秒のタイマを起動させる(ステップS32)。
【0042】
そして、ステップS29にてリチウムイオン電池3が放電時でない(充電時)場合(NO)、およびステップ31にて鉛電池4が放電時でない(充電時)場合(NO)も、それぞれステップS2へ戻る。
【0043】
一方、ステップS28での判定で、リチウムイオン電池3の放電電圧が下限電圧を超えていない場合(NO)は、LED照明装置5における照明出力のデューティ比を測定し、測定したデューティ比を保存する(ステップS33)。このデューティ比は、図5に示すデューティ比測定回路10にて測定する。このデューティ比測定回路10は、コンデンサ12(例えば10μF)と、第1抵抗13(例えば22kΩ)とが並列接続され、これらコンデンサ12および第1抵抗13に対して第2抵抗14(例えば100kΩ)が直列接続されて構成されている。要するに、デューティ比測定回路10は、LED照明装置5における照明出力のデューティ比に比例した直流電圧がデューティ比測定回路10から出力され、この直流電圧を測定して保存する。
【0044】
制御器8では、約1/6に減衰された後に平均化された直流電圧が測定される。この直流電圧は、LED照明装置5における照明出力のデューティ比が100%の場合、例えば2.16V(={12V・22/(100+22)}・1.0)となる。また、LED照明装置5における照明出力のデューティ比が50%の場合は、例えば1.08V(={12V・22/(100+22)}・0.5)となる。また、制御器8としてワンチップマイコンを用いた場合は、内蔵するA/Dコンバータ(図示せず)にて直流電圧を測定できる。そして、LED照明装置5における照明出力のデューティ比が0「ゼロ」の場合は、この照明出力が0「ゼロ」であり、コントローラ7の制御が、放電が終了して充電に移行したと判定する。
【0045】
その後、リチウムイオン電池3が放電時かを判定する(ステップS34)。ステップS34にてリチウムイオン電池3が放電時と判定した場合(YES)は、ループ回数をカウントする計数器のカウントを「+1」する(ステップS35)。要するに、ステップS35は、ループを一回りするごとに計数器のカウントを「+1」する。一方、ステップS34にてリチウムイオン電池3が放電時でないと判定した場合(NO)は、計数器を0「ゼロ」にリセットして(ステップS39)、ステップS2へ戻る。
【0046】
次いで、計数器のカウント数(計数結果)が、既存値の目標ループ回数LCに達しているかを判定する(ステップS36)。ステップS36にて計数器のカウント数がLCに達していると判定した場合(YES)は、リチウムイオン電池3の放電時間が所定時間(所定の回数)経過(終了)している。このため、計数器のカウント数を「LC-1」にプリセット(計数ループを1回のみ通過できるように)してステップS30へ戻り、以降の放電を鉛電池4からとし、ステップS30,S38,S31,S32にて鉛電池4の放電を継続させ、ステップS31にて鉛電池4が放電時でない(充電時)場合(NO)になったらステップS2へ戻る。また、計数器のカウント数が目標ループ回数LCに達していない場合(ステップS36:NO)もPb充電ONフラグをON「1」として(ステップS40)、ステップS2へ戻る。なお、前記ステップS38においても、Pb充電ONフラグをON「1」としていて、充電に移行した際には必ず165分間のPb日出充電(図6の5))が行われるようにしている。
【0047】
<回路構成>
次いで、電池制御部6の回路図について、図3を参照して説明する。本実施の形態では、制御器8には前述したようにワンチップマイコンが用いられている。また、スイッチ9はP型の第1ないし第4MOSFET12~15にて構成され、第1および第2MOSFET12,13はリチウムイオン電池3のON-OFF(コントローラ7への接続、切断)を切り換え、第3および第4MOSFET14,15は鉛電池4のON-OFFを切り換える。リチウムイオン電池3用、鉛電池4用にそれぞれ2個づつ用いられているのは、FET内部D-S間に形成されるダイオード(ボディダイオード、寄生ダイオード)を無効化するためである。
【0048】
さらに、第1MOSFET12には識別用LED16が接続されている。識別用LED16は、リチウムイオン電池3がON、鉛電池4がOFF(リチウムイオン電池モード)の場合に点灯し、リチウムイオン電池3がOFF、鉛電池4がON(鉛電池モード)の場合に消灯し、動作状態を識別できる構成とされている。リチウムイオン電池3がONの場合の電圧測定は、制御器8のA/DコンバータであるAN2端子で行われる。さらに、デューティ比を測定するためのデューティ比測定回路10と、制御器8に接続される第1および第2スイッチ17,18とが設けられている。そして、第1および第2スイッチ17,18によって、負荷種類4通りを選択できる構成となっている。また、リチウムイオン電池3の上限電圧および下限電圧は、適切な値が制御器8のプログラム中に設定されている。
【0049】
<動作タイミング>
次いで、制御器8が行う制御の動作タイミングの一例について、図6に基づいて説明する。
【0050】
まず、図4に示す動作タイミングは、次の事項を前提としている。
・「3)日出/日没(日出および日没)」の判定は、充放電制御を行うコントローラ7が「2)ソーラー発電電圧(ソーラーパネル2での発電電圧)」に基づいて判定する。
・日出判定以降を「充電期間」とし日没判定以降を「放電期間」とする。制御器8は、LED照明装置5への照明出力が存在(デューティ比20%以上、すなわち平均電圧1/5以上で放電時と判定し、デューティ比20%未満で充電時と判定)するかで決定する。
・LED照明装置5の点灯時間や明るさ(デューティ比で定める)はコントローラ7が制御する。制御器8は、LED照明装置5の照明出力の平均電圧を測定して現在のデューティ比(何%)を判定する。
・第4日目における負荷(LED照明装置5による負荷)は、第1日目から第3日目に比べ31%増加しているものとする。
・「5)Pb日出充電(鉛電池4を日出のタイミングで行う充電:Pb短期充電)」、「6)Li充電(リチウムイオン電池3を充電:Li長期充電」および「12)Li放電(リチウムイオン電池3を放電:Li長期放電)」は毎日必ず行われる。
【0051】
まず、日出判定とともに充電期間として「5)Pb日出充電」を開始する(矢印1,13,26,34)。この「5)Pb日出充電」は、鉛電池4の充電状態を保つために日出直後の薄暗い時間帯に毎日必ず行われる。
【0052】
次いで、「5)Pb日出充電」を、所定時間、例えば165分間行った後、「6)Li充電」に移行する(矢印2,14,27,35)。この所定時間は、鉛電池4の定格容量の所定量、例えば5%程度の充電量を目安として決定している。「5)Pb日出充電」は、ソーラーパネル2による発電量が少なく充電時間が短いため鉛電池4を十分に充電できないが、主として用いるリチウムイオン電池3の充電を妨げないように所定時間経過後に終了して「6)Li充電」を開始する。
【0053】
「6)Li充電」中は、リチウムイオン電池3の出力電圧を監視し、この出力電圧が予め定めた上限基準値を超えた場合(YESの場合:ほぼ満充電状態)に(矢印3,15,36)、「6)Li充電」を終了する(矢印4,16,37)。要するに、「6)Li充電」は、ソーラーパネル2が十分発電可能になった時刻からリチウムイオン電池3がほぼ満充電になるまで行う。
【0054】
その後、「8)Pb日没前充電(鉛電池4を日没前に充電:Pb長期充電)」を開始する(矢印5,17,38)。そして、日没が到来したら、「8)Pb日没前充電」を終了する。
【0055】
一方、「7)Li電圧上限値越え(リチウムイオン電池3の充電電圧が上限電圧を超えた)」でない場合(NO)は、例えば雨天などの影響によりリチウムイオン電池3が満充電になっていないため、「6)Li充電」を継続し、「8)Pb日没前充電」を行わない。要するに、従として鉛電池4を用いているため、鉛電池4の充電は、主として用いるリチウムイオン電池3の充電を妨げないように行う。
【0056】
なお、「5)Pb日出充電」および「8)Pb日没前充電」による鉛電池4の充電は、鉛電池4の満充電を保つ程度の充電としている。
【0057】
日没を検出した場合、「6)Li充電」または「8)Pb日没前充電」を終了する(矢印6,18,28,39)。
【0058】
一方、「8)Pb日没前充電」が開始したときは、「8)Pb日没前充電」の終了後に、「9)Pb日没放電(鉛電池4の日没後の放電:Pb短期放電)」を所定時間、例えば0.5時間(30分間)行う(矢印7,19,40)。「9)Pb日没放電」の実施時間は、LED照明装置5に流れる電流値と鉛電池4の放電時間とから放電電力量(単位:Ah)を算出し、鉛電池4の定格容量(単位:Ah)の2%程度を目安にする。
【0059】
「9)Pb日没放電」の終了後は、鉛電池4の出力電圧(Pb電圧)を測定し、この出力電圧が予め定めた基準値を超えた場合、要するにほぼ満充電状態の場合(YES:矢印9,42,8,41)、鉛電池4の過充電を解消させて鉛電池4の充放電バランスを取ることを目的として「11)Pb延長放電(鉛電池4を延長して放電)」を所定時間、例えば90分間行う(矢印10,43)。この所定時間は、鉛電池4の定格容量の6%程度の放電電力量を目安にする。
【0060】
「10)Pb電圧基準値超え(鉛電池4の出力電圧が予め定めた基準値を超えた)」が未達の場合(NO:矢印20)は、「11)Pb延長放電」を行わずに「12)Li放電」を開始する(矢印21)。要するに、鉛電池4が十分に充電されていないと想定し、鉛電池4を使いすぎないように「11)Pb延長放電」を行わない。
【0061】
一方、「7)Li電圧上限値越え」がなければ(NOの場合)、「8)Pb日没前充電」と「9)Pb日没放電」を行わず、日没後は「12)Li放電」から開始する(矢印29)。
【0062】
そして、「13)Li68%使用(リチウムイオン電池3の定格容量のうちの寿命実現のための所定容量、例えば68%を放電させて使用)」がYESの場合(矢印22,30,45)は、「12)Li放電」を停止し(矢印23,31,46)、「14)Pb日出前放電:鉛電池4の日出前の放電:Pb援助放電」を開始し(矢印24,32,47)、LED照明装置5の不点灯を防止するとともに、リチウムイオン電池3の過放電による劣化の進行(寿命の低下)を防止する。ここで、リチウムイオン電池3の定格容量(単位:Ah)は、リチウムイオン電池3からLED照明装置5へ流した電流値と放電経過時間とに基づく放電電力量(単位:Ah)を算出し図3を考慮して判断する。
【0063】
日出を検出した場合は、「12)Li放電」または「14),16)Pb日出前放電」を終了する(矢印12,25,33,51,52)。
【0064】
そして、「15)Li電池下限値越え:リチウムイオン電池3の出力電圧を測定し、この測定した出力電圧が予め定めた下限値を低下」が発生したとき(矢印48)、「12)Li放電」を停止し(矢印49)、「16)Pb日出前放電:鉛電池4の日出前放電」を開始して(矢印50)、リチウムイオン電池3を過放電から保護する。この「下限値」は、例えばリチウムイオン電池3の電池残量10%時の電圧(下限電圧)などである。また、「16)Pb日出前放電」は、鉛電池4の所定の放電深度(例えば、15%)を超えないように行う。
【0065】
以上により、制御器8が行う制御は、リチウムイオン電池3および鉛電池4が同時に放電(出力ON)したり停止(出力OFF)したりしないようにしている。そして、日没後の放電開始時においては、リチウムイオン電池3の充電電圧が上限電圧を超えPb日没前充電が行われた場合にのみPb日没放電(例えば30分間程度)を開始させ、その後リチウムイオン電池3の放電を開始させている。リチウムイオン電池3は、定格容量の68%を消費しても、コントローラ7によって設定された所定の放電時間が終了しない場合に、再度鉛電池4を放電させることで、例えば日没から日出までの全時間に亘ってLED照明装置5の点灯を継続させることができる。
【0066】
一方、充電時においては、まず鉛電池4の充電(例えば165分間)を開始し、その後リチウムイオン電池3の充電を開始しており、リチウムイオン電池3が満充電状態になった場合に、再度鉛電池4の充電を開始し、日出から日没までの全時間帯に亘って、リチウムイオン電池3および鉛電池4のいずれかの充電を行うようにしている。ただし、例えば悪天候などの影響で、リチウムイオン電池3が満充電状態にならない場合においては、鉛電池4の再度の充電を行わず、主として用いるリチウムイオン電池3の充電を優先させている。
【0067】
要するに、どのような天候においても、鉛電池4のPb日出充電(例えば165分間)を必ず行うものの、リチウムイオン電池3を優先して用いているため、リチウムイオン電池3の充放電を十分行う構成としている。すなわち、このような鉛電池4の微小ながら確実な充放電の実施により、サイクリック的に鉛電池4を使用する場合において長寿命化を促すことができる。
【0068】
また、Pb日没放電(30分間)の後、鉛電池4の充電量に余力があると見なせる場合、Pb延長放電(90分間)をさらに行うようにし、鉛電池4の過充電を軽減させ、過充電が原因とされる鉛電池4の正極端子の腐食を防止する。また、過放電が原因とされる負極端子の腐食については、Pb日没前充電が実施された時のみPb日没放電を行うことで過放電を軽減させ寿命の低下を抑制している。
【0069】
<作用効果>
従来のソーラー照明システムにおいては、日中はソーラーパネルの発電電流で二次電池を充電し、夜間は二次電池からの放電電流でLED照明装置を点灯しており、これらの電流制御をコントローラ7が行う構成となっている。二次電池としては、単体または複数並列された同種の蓄電池が用いられることが多く、この種の繰り返しの充放電が可能な二次電池として、リチウムイオン電池や鉛電池が多く用いられている。鉛電池は、形状が嵩張る点や重量が大きな点に加え、繰り返しの充放電に伴う充電容量の低下が大きい(電池寿命が短い:通常5年程度)点が大きな欠点となる。一方、リチウムイオン電池は、電池寿命が長い(鉛電池の3~5倍)ものの、一般的に鉛電池に比べ非常に高額(例えば3.9倍)であって、電池寿命という長所を考慮しても費用的に割高になってしまう傾向にある。このような点から、これら異種の二次電池、要するにリチウムイオン電池と鉛電池とを併用することが考えられ、電池寿命を優先してリチウムイオン電池を主として用い、鉛電池を補佐的またはバックアップ的存在として(従として)用いることが考えられる。
【0070】
一般的にリチウムイオン電池や鉛電池等の二次電池の電池寿命を伸ばすためには、これら二次電池を充電し続けたり放電し続けたりせず、微小な電流での充放電を繰り返すことが望ましいとされている。要するに、充放電の交互動作をさせることで、これら二次電池を充電し続けたり放電し続けたりした場合に発生し得る正極または負極の劣化を抑制できるためである。
【0071】
そこで、本実施の形態においては、リチウムイオン電池3を主として用い、鉛電池4を従として用いつつも、これらリチウムイオン電池3および鉛電池4を長時間に亘って充電し続けたり放電し続けたりせず、これらリチウムイオン電池3および鉛電池4それぞれの電池寿命の長寿命化を目指している。
【0072】
具体的に、本実施の形態において、ソーラー照明システム(二次電池使用システム)1は、太陽エネルギーを受けて発電するソーラーパネル(発電部)2と、ソーラーパネル2にて発電された電気を充電する二次電池3,4と、二次電池3,4にて充電された電気を電源として駆動するLED照明装置(駆動部)5と、ソーラーパネル2、二次電池3,4およびLED照明装置5のそれぞれに接続され、二次電池3,4に対する充放電制御およびLED照明装置5に対する給電制御を行う全体コントローラ10と、を備えている。そして、二次電池3,4としては、主として用いるリチウムイオン電池(第1二次電池)3と、リチウムイオン電池3に比べ充放電の繰り返しによる充電容量の低下が大きな従として用いる鉛電池(第2二次電池)4とを有しており、全体コントローラ10が、リチウムイオン電池3の充電を鉛電池4の充電より優先し、かつリチウムイオン電池3の放電を鉛電池4の放電より優先する構成となっている。
【0073】
これにより、主として用いるリチウムイオン電池3の充放電を、鉛電池4の充放電よりも優先させることで、鉛電池4の充放電の繰り返しによる充電容量の低下を適切に抑制できる。このため、リチウムイオン電池3の目標寿命までの不足分に対応できる容量、数の鉛電池4を用い、リチウムイオン電池3および鉛電池4の容量や数を、リチウムイオン電池3の目標寿命を確保できる範囲で最も安価となるように選ぶことで、所望する交換時期(目標寿命)を長くでき、低コスト化を達成できる。
【0074】
そして、全体コントローラ10は、リチウムイオン電池3の充電時間を鉛電池4の充電時間より長くし、かつリチウムイオン電池3の放電時間を鉛電池4の放電時間より長くするように充放電制御をするため(鉛電池4の充放電量はリチウムイオン電池3の約20%)、鉛電池4の充放電の繰り返しによる充電容量の低下をより適切に抑制できる。
【0075】
さらに、全体コントローラ10は、リチウムイオン電池3の充電時間を正午を挟んだ時間とし、鉛電池4の充電時間をリチウムイオン電池3の充電時間の前後少なくとも一方の時間とする充電制御を行う。また同時に、全体コントローラ10は、リチウムイオン電池3の放電時間を午前零時を挟んだ時間とし、鉛電池4の放電時間をリチウムイオン電池3の放電時間の前後の時とする放電制御を行う構成となっている。
【0076】
これにより、比較的充放電量の大きな主として用いるリチウムイオン電池3を、比較的充電効率の良いタイミングで鉛電池4に優先させて充電できるとともに、鉛電池4に比べて平均で約4倍の時間帯での放電をリチウムイオン電池3で行うことができる。一方、充放電の繰り返しによる充放電量の劣化が大きな鉛電池については、あくまで従として用いることを目的として、リチウムイオン電池3の充電の前後、及びリチウムイオン電池3の放電の前後にて行うようにしているため、主として用いるリチウムイオン電池3の充電量を確実に確保できつつ、鉛電池4の充電量を確保できる。
【0077】
上述のように、本発明に係るソーラー照明システム1は、リチウムイオン電池3が主で充放電動作の約8割を占め(年間平均で)、鉛電池4が従で残りの約2割を占めている。しかし、この割合は、ほとんど天候が順当で、ある程度以上の日照が発生するときに当てはまるものであり、梅雨・秋雨・台風等による数日に亘る長雨などの天候不順時は主従が逆転し、リチウムイオン電池3が一晩程度の照明であり、後は鉛電池4の充電容量頼みとなる。したがって、普段から鉛電池4の充電容量を高く(定格容量に近く)保つ必要があることと、天候不順時のバックアップとして何日間照明を保持するかとにより、鉛電池4の必要な定格容量が決まる側面もある。
【0078】
具体的に、全体コントローラ10は、リチウムイオン電池3を主として用いる二次電池とし、このリチウムイオン電池3の放電深度を68%に抑えて使用しているため、リチウムイオン電池3のサイクル寿命特性から目標寿命10年を達成できる。その一方で、鉛電池4を従として用いる二次電池とし、鉛電池4を充電し続けたり放電し続けたりせず、日出充電もしくは日没前充電という比較的軽度(定格容量の5~10%程度)な充放電を連日行う構成としているため、鉛電池4においてもサイクル寿命特性から目標寿命10年を達成できる(図4より定格容量の15%が限度)。要するに、比較的高価なリチウムイオン電池3を複数個使用して目標寿命10年を達成する場合に比べ、比較的廉価な鉛電池4とリチウムイオン電池3とをそれぞれ使用し、これらリチウムイオン電池3および鉛電池4のサイクル寿命特性の範囲内で充放電を行うことにより、これらリチウムイオン電池3および鉛電池4の目標寿命10年を達成でき交換サイクル期間を倍加できるため、運用面を含めたソーラー照明システム1としてのトータルコストを大幅に削減できる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、二次電池を備えた二次電池使用システムにおいて、充放電の繰り返しによる充電容量の低下が異なる2種類の二次電池を併用する場合に利用できる。
【符号の説明】
【0080】
1 ソーラー照明システム
2 ソーラーパネル
3 リチウムイオン電池
4 鉛電池
5 LED照明装置
6 電池制御部
7 コントローラ
8 制御器
9 スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6